SAOにプレイヤーチャットが搭載された件【連載するよ!】   作:秋ピザ

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今回はプレイヤーチャットなしです。
そしてプレイヤーチャットなしなのにこれが記念すべき100話目……しかしこれでもまだかやひこと戦っていないという事実。
そしてやりたいネタをまだまったくやれていないという事実。

いずれは200話とか行きそうですわこいつぁ……
まぁそんなわけで、これからも末長くよろしくお願いします。


【決着まで】やりすぎちった☆ミ【ツー!!】

戦況はどう考えても、どう足掻いても俺に不利だ。

おっさんと俺には圧倒的なステータス差が存在するし、一瞬でも攻撃の手を緩めるとやられるから立体機動で撹乱したりすることも出来ない。

俺にしては珍しく万事休す一歩手前ってとこだな。

辛うじて勝ってるのは発想の奇抜さと純粋な技術、あとはこっちがクラスカードを使っていないという事実だけ。

……まぁ今はランサーに勝てるようなクラスカードはないんですけどねー。

てかかやひこにパクりアイテムのチートもいい加減にしろよと言いたくなるくらいのキチガイアイテムだからなあれ……具体的にはクレイジーボムの数倍頭おかしい。

入手難易度からして頭がおかしいけど、それでもステータス上がり過ぎだしクラスカード使用時限定ソードスキルが強すぎるんだ。

アーチャーは自身の半径30mほどを入れば大体死ぬとしか言えない空間で包み込むし、セイバーは剣の間合いが数十倍に拡張された挙げ句威力が数百倍になる。

ライダーに至ってはもうただの圧殺で、指定した標的一体のHPにとんでもないダメージを与えるだけのものだが……それはどんな手段を用いても防げない。

三騎士どれもこれも頭がおかしいが、ランサーだってキチガイ具合は負けてない。

なんたって専用ソードスキルが……

「おっと危ない危ない。今時のおっさんは気が短くて困る」

 

「ハハハハ、それは酷い言い草だな」

 

俺は思考を中断し、攻撃を受けながら強引に放たれた槍の一刺しを回避する。

どうやっても長期戦は明らかだからあまり耐久値を使いたくはないのだ。

まぁいずれは攻撃のしすぎであっという間に壊れるだろうけどな。

ブラックグンマー。特になにか目立った能力があるわけじゃないけどシンプルに強くて頑丈なハンマーだ。

結構気に入ってるから、砕け散る前に取り替えないと。

俺はそんなことを考えつつ、突きを放ったことによって生まれた隙を突いておっさんをブラックグンマーで殴ろうとするが、結局当たらずに回避される。

なにか状況をひっくり返すものがほしいところだ。

ただ都合よくそんなものを持っていた覚えはない。

というか今回ここまで追い込まれるのを想定してないからガチ系のアイテムがほとんどないぞ。

それこそ武器は俺が一番得意なやつを選んでないし、アイテムにもドーピング系が入ってない。

だからもうこの状況を……いやせめて流れを変えられる何かなんて……

 

いや待てよ?

なんでここで自分の持っているものにそれを限定するんだ俺。

逆に考えるんだ、今自分が持っていなくても必要なものを手に入れる方法を使えば良いんだと。

リアルでもよくやったじゃないか。

金が足りなくなったら海に潜るか山に入るかして金になるものを取ってくる。

あるいは陣を使って適当な金属を金のようなナニカに錬成したり、遠出して暴力団に殴り込んでチャカ奪って転売したり。

やり方はいくらだってあるじゃないか。

想像力を、イマジネーションを働かせるのさ。

俺の無駄なことばっか詰め込んだ脳の知識を。

これまでの人生でさりげなく倒してきた強敵を破った技を。

出来ればこの目の前の男をぶっ倒せる奴を!

おっさんの攻撃をギリギリで捌きながら、とにかく最速の思考で全ての記憶を漁り、今のおっさんを倒す方法を模索する。

しかしクラスカードなんてものを実際に使う奴を初めて見たせいでなんのとっかかりも無いから突く弱点がない。

必然的に倒す方法はなんらかの形で正々堂々圧倒するくらいしかないけれど……それも何か違う気がする。

本能が叫んでいるんだ。

コイツは正々堂々圧倒するな、極限までバカにしてプライドを踏み荒らしてから倒せと。

いや実際はそんなえげつないことを言ってはいないのだけど、とにかく似たようなことを言ってる。

だから何でもいいからコイツを小馬鹿にしつつ倒す方法を……

「これで終わりだ!隊長ォォォォォォォォォォォ!」

 

俺が思考に没頭しておっさんを倒す方法を必死に絞りだそうとしている途中で、不意におっさんが大きく距離を取ってから跳躍した。

なんだ?さらに変身でもするのか?

昔のライダーは風がないと変身できないからわざわざ跳んだりバイクで走る必要があったんだよな……その設定を忠実に守っていた超初期の頃は人気もそこまで高くなかったらしいけど。

実は仮面ライダーが人気になったキッカケは変身する時のポーズで、初代ライダーから見ていて現役時代に貯めた金を使って今に至るまで仮面ライダーのベルトやら武器やらはプレバン含めて全部買ってるほどライダー好きのジジイいわく『変身の時の動きで燃えると言ったら初期の仮面ライダーじゃ!』と言わしめ……ってなに無駄なことを考えているんだ俺。

今は目の前のおっさんの攻撃に集中しないと流石に不味いぞ。

ただでさえ絶望的なステータス差があるんだから相手の一挙一動を捉えて先手を取らないと。

「突き穿て黒槍ッ!冥府の果てまで追い翔け回せッ!」

 

俺は一旦思考を中断しておっさんの攻撃に備える。

なんか嫌な予感がする詠唱だな……

「……【突き穿つ死翔の槍】ッ!」

 

「おい待てそれはいくらなんでもおかs……」

 

予想が当たった。

いくらクラスカードがあるからってそこまで再現する必要あるか?なんて思いながら俺は即座に後方へ走り出した。

あれはどう考えても投げボルクじゃなイカ!

俺も流石にfate全英霊の全宝具を覚えていたりはしないから記憶もあやふやだが、たしかアレって当たるまでいつまでも追いかけるんじゃなかったか。

 

かやひこ……テメェは一体なにがしたいんだ。こんなものゲームバランスをぶち壊すだけだろう。

そしてなんでよりによって投げの方なんだ。

せめて刺しボルクなら救いはあった。逃げ切れるから。

だが投げの方になるとどうにもならん。

だって逃げ切れない。それこそ投げた本人を殺さない限りはな。

しかし俺としてはおっさんを殺すのではなく最大限の屈辱を与えたい。

どうすればいい?

逃げながらそんなことを考える。

嫌なことばかり考えていると気が滅入りそうだ。

「こっち来んなボケェ!」

 

だからついつい周りの被害を一切気にせずに投げボルクに向かって超危険アイテムをぶち撒けられるんだが……

とりあえず喰らわせてみた猛毒(プレイヤーに使うとその周囲10m以内の奴が連鎖的に毒を喰らう。そしてほぼ死ぬ)も槍にダメージを与えた様子はないし、いくらか爆弾を叩き込んでも壊れない。

流石は宝具。無駄なところで設定に忠実で俺さんはもうキレそうだぜ。

 

まぁ、Fate本編じゃギルが強すぎたせいであまりスポットライトを浴びなかったけどそもそもがメチャクチャ有能な兄貴を強く設定したことについてだけは素直に評価するがね。

それに昔はケンカやら道場破りやらに明け暮れてたおかげで母さんに番犬代わりにされてたからクー・フー・リンには結構親近感が……

待てよ?

おっさんのクラスカードがクー・フー・リンということは……

俺はある可能性に気付き、そして脳内で勝利への道筋を作り上げる。

それは非常に雑で荒っぽく、何一つ確かなところのない欠陥だらけの道だ。

だが、かやひこのパクりアイテムへの熱意だけはこの世界で数少ない信じられる物だ。

「ちょいさぁ!」

 

俺は、導き出した勝利への道を辿るべく、まず道端の箱を全力でゲイボルグに向かって蹴り飛ばす。

無論これで止まったりはしないが、箱を貫いている間なら方向転換は難しいだろう。

だからその一瞬で一気に加速し、全速力でおっさんの元へ向かう。

「貴様らしいな隊長!自らが貫かれるより速く倒すつもりだろう!……だが甘い!」

 

おっさんはそんな俺を見て自分を倒してゲイボルグを止めることを狙っていると考えたのか、再び最初の武器である双細剣を装備した。

恐らくはあれでまた武器を破壊し、ゲイボルグが当たるのを待つつもりなのだろう。

いいじゃないか乗ってやるよ。

俺は走りながらクイックチェンジメニューを選択、それなりに距離があることを利用してとあるアイテムを使用する。

【カレス・オーの聖晶瓶】だ。

「俺のとっておきだ!喰らいな!」

 

スキルを交換した俺は、そう叫びながらとある武器を投げ付ける。

それは剣と言うにはあまりに巨大すぎた。

大きく、厚く、大雑把すぎた。

それは、剣というよりも鉄塊であった。

なんて頭の悪い、パクりに近いフレーバーテキストが古代バビロニア語で刻まれた大剣……滅龍剣ゲオルキウス。

そこはベルセルクでもよかった気もする、SAOでもっとも巨大、そして鈍重だったが為に俺ですら使いこなすことの出来なかった数少ない武器だ。

だがそれは今、そのサイズゆえにクイックチェンジで装備するとほとんどの相手を貫いた状態で出現するという数少ないメリット(それを補って余りあるデメリットがあるが)を十全に活かし、おっさんを貫く。

 

それでもおっさんのHPはほとんど削れていない……が、それでいい。

ゲオルキウスを使ったのはおっさんを倒すためではなく、口を開かせるためだから。

俺はゲオルキウスを素早く手放し、いまだ貫かれた衝撃で口を開けているおっさんの至近距離に接近してあるものをねじ込む。

「もぐぉっ!?」

 

それは、S級食材であるデスハウンドの肉を焼いただけの簡素なもの。

もちろん毒効果も、ダメージもデバフもなく純粋に美味しい食べ物の1つだ。

本来なら戦いのあとにでも物理的上から目線しつつ優雅に食事してやろうと思って持ってきてたんだが……まさか戦闘に使うなんてな。

俺はそんなことを考えつつ、おっさんが肉を飲み込んだのを確認してニヤリと笑い、勢い余って後ろに走り抜けつつ足払いをかけて転ばせる。

もちろんおっさんはそれに抵抗しようとするし、転んだとしてもすぐにリカバリーしようとするが……動けない。

「動けない……だと……?」

 

俺は目の前で抵抗の出来ない状態になったおっさんを確認し、一切のタイムラグを作らずに近寄る。

そして、その体を持ち上げて後方へと勢いよく投げ飛ばす。

「それじゃあばよっ!」

 

そしておっさんは俺の後方から迫っていた“クラスカードによるステータス補正とソードスキルの威力補正が乗った槍”によって体を貫かれ……

 

 

 

 

 

……………………あ、まずい。




【100話記念】次回及びその次の予告。

「チクショウ……なんでや!なんでこないな酷いことを出来るんや!答えろ!隊長!」

「お前は取り返しの付かないことをしたんだよ、店長ォ……もう今の俺はエフ子ちゃんにだって止められねぇ……一度暴走した列車は止まれねぇんだよォ!」

「殺す殺す殺す殺ス殺ス殺スコロスコロスコロスコロス殺殺殺殺殺殺殺殺殺……」

「ハハハハ……まさか最期までお主には敵わんとはなぁ……悔しいが……私の……負け、だ……」

「……フッ、私の計画において最大の障害を排除してくれてありがとう、と言っておこうか……隊長」



この予告からこの先の流れを読めた人は多分天才。

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