僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた。   作:楠富 つかさ

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短くてすみません!


#4 何はともあれ君が好き

「た、ただいま……」

 

いったいどれだけの服を買ったのだろうか……。

凄い金額だったなぁ……。サイズの大きい下着って値が張るものなのね……。靴も買っちゃったし。

やばい、脳内の会話口調が徐々に女の子化してきた……。

それにしても、母さん元気だなぁ……水を得た魚みたい。

 

「あら、麻琴ちゃんじゃないの。いらっしゃい」

 

あ、麻琴が来ているのか……。今の僕を麻琴はどう見るかな……。いや、そもそも僕が男子だったことすら記憶にないだろう……。不思議なことに僕の友人に僕が男子だったことを覚えているというか知っている人は居なかった。むしろ皆は、どうして僕のメアドを知っているのか疑問に思っていたくらいだ。麻琴もそうなんだろう……。

 

「悠希よね? 男のクセに私の服とかの選んでくれちゃう悠希だよね!?」

 

お、覚えている……だと!!

 

「そうそう!! その悠希だよ!! 覚えているんだ。良かったぁ……」

「驚いちゃったよ。ふいに中学の卒業アルバム見たら悠希の写真がすごく可愛い女の子になっててさ。試しに友達に『悠希ってすごく可愛かったよね』ってメールしたらさ、『男の子に生まれたらとっくに告白して玉砕されただろうね。ていうか玉砕すんのか!!』って返信きたもん」

 

メールの相手はあの人なんだろうなぁと中学時代のクラスメートを思い出しつつ。

 

「ま、とにかく悠希の服を買ってきたから悠希は着替えようか。夏希は出ていきなさい」

 

身体は女の子なので、夏希を追い出しワンピースを脱ぐ……。麻琴から歓声が聞こえた気がするが気にしたらいかん。買ってきた服をてきぱきと着ていく。

買ってきた服は白や薄いピンクといったシンプルな色を中心に、グリーンやオレンジといった温かみのある色遣いのものばかりだ。

今着るトップスをカットソーにしてみたのだが、胸元スースーするなぁ……。スカートは落ち着いたカラーリングのミニフレアだ。

心もとない短さだなぁ……。とはいえ女性陣には好評のようでなによりだ。

すると突然、麻琴がわた……僕の手を取って外に出た。いかん、一人称までブレてきた……。

 

 

「どうしたのさ突然?」

 

麻琴は俯いたままボソボソと話し始めた。

 

「女の子になった悠希を見て、言う機会はなくなったと思ったけど、私は悠希が好きだった……。一人の女の子として。でも……女の子になった悠希が―――」

 

麻琴……。僕は彼女の想いに気付けなかった……そんな風に想われていたなんて。

 

「女の子になった悠希があまりにも可愛くて、今の悠希の方が愛せそうな気がするのよ!!」

 

僕のさっきのしんみり感を返せ!! 何を大声で!

ひでぇよ……これはひどい……。想定外だったなぁ……。確かに麻琴は可愛いものに目がないけど……。あ、今のは自分が可愛いって言いたかった訳じゃなくて……面倒だな!!

 

 

はぁ……どうやら、僕が美少女になったせいで幼馴染みが百合に目覚めたみたいです。


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