僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた。 作:楠富 つかさ
翌日、ボクは麻琴、初美さん、明音さん、千歳ちゃんに昨日貰った割引券を見せながら温泉旅行の話をした。
「この三日間になるけど、平気そう?」
「お、大会明けだ。行けるよ」
一番に反応したのは初美さん。そっか、運動部だと夏に大会があるもんね。麻琴は大丈夫かな。
「麻琴は? 陸上に被らない?」
「こっちも大会明けだから平気だよ。よく休めそうだよ」
良かった……って私は何を安心してんのよ!!
「嬉しそうじゃん?」
「全然そんなことないんだからねっ!!」
あ……そもそも麻琴が……。いいや止めておこう。初美さんと明音さんがニヤニヤしているし。
「明音さんは……大丈夫そうね」
めっちゃ頷いてる……。楽しみなんだろうなぁ。
「千歳ちゃんは?」
「その時期、神社のお祭りがあるのよ。まぁ、規模も大きくはないし大丈夫だろうけれど、一応確認を取っておくわね」
これでボク、麻琴、初美さん、明音さん、希名子ちゃんが確定で、千歳ちゃんは保留。もう一人声をかけるなら誰がいいかな……? 取り敢えずみんなにも聞いてみようっと
「明音さんや初美さんは誰か誘いたい人はいない?」
「いや、特にはいないかな」
「うー、わたしもいいかなぁ」
となると悩むなぁ。あ、忙しいかもしれないけど部長に声をかけてみようかな。
家庭科部は活動日以外でも常時お茶会をしている。家庭科準備室を部室としているため、家庭科室を通って部室に向かう。
「部長、ちょっとよろしいでしょうか?」
ドアを開けてすぐの席に部長は座っていた。
「わーい姫宮さーん!! いい香り……お茶してく?」
やっぱり抱き付かれるのか……。部長、軽いなぁ……歳上なのにすごく可愛い。
「そろそろいいですか?」
「なでなでして〜。もひゅー……はい、満足!! で、どったの?」
部長は頭をなでられるのがすっかり気に入ったみたいで、頻繁にねだられる。ボクもとうとう母性本能が……いや、ないない……。
「いや、温泉なんていかがですか?」
「ん、いつ? あ、この日程かぁ……。ごめんね、塾の集中講義が入ってて。うぅ、行きたかったなぁ」
そっか……残念。先輩をなでなでしながら、お土産の約束をして部室を後にした。三年生の夏休みだもんね、忙しいよね……。
部長の予定が合わないことを知ったボクは、一人くらい年長者がいた方がいいんじゃないかと思ってこの前十九歳になったお姉ちゃんに帰宅後、夏休みに温泉へ行かないかと誘ってみた。即答で行くと告げられ、大学生の夏休みはそれほど暇なのだろうかと思いながら話をまとめた。その後、千歳ちゃんから予定を空けることが出来たという連絡が来た。これでボク、麻琴、初美さん、明音さん、千歳ちゃん、希名子ちゃんとお姉ちゃんの七人だ。お姉ちゃんはまだ自動車教習の真っ最中だから電車での移動になる。その辺は既に調べてあるから大丈夫だけど。さて、忘れちゃいけないのが明日明後日は授業があるし、その次の日は終業式があることを……なんか、面倒になってきちゃったなぁ……。まぁ、行かなきゃなんだけどさ。