仮面ライダー鎧武 新章 〜幻獣の樹海〜   作:ダイタイ丸(改)

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どうもダイタイ丸(改)です!
今回は城乃内&凰蓮回です。
グリドン進化ぁぁぁ!


第8話 グリドン、友に捧げる新アームズ!

前回までのあらすじ

 

ヨルムンガルドの創設者であり昴の父親でもある科学者、星崎慧と対面した十馬。

そして慧はヘルヘイム時の事の顛末や十馬の適性能力、さらに昴の戦いへの参加を要望している事などを話す。

だが、昴は父に真っ向から反対し出て行ってしまう。

そして、そのすぐ後に沢芽市でクラックとオーバーロード、テーバイが出現。

その力に迎撃に向かったザック達は倒され、紘太もジンバーレモンの力を発現したが、それでも押される。

そして、到着した十馬と貴虎も加わるが圧倒的なテーバイの力と、その手数の多さに苦戦する。

だがそこに、決意を新たにした昴が現れ、新たなアーマードライダーへと変身。

テーバイを退けることに成功したのだった。

 

ーーーーー

 

 

テーバイとの戦いのあと、治療を受けた十馬、ザック、凰蓮、城乃内も司令室に集まり、会議に参加していた。

また、付近の民間人を守るため戦闘には参加しなかった光実も同様だ。

 

そんな司令室の中心で

「これからさらに厳しくなると思われる情勢において、昴が使ったようなA+の錠前は必要になる。開発を頼むぞ、葵。」

と貴虎が言う。

「フッフッフ・・・そう言うと思っていくつかもう試作品を作ってあるよ!ジャジャーン!!」

とデスクの引き出しから二つの錠前を取り出す葵。

「まず、こっちの黄色いやつがL,S+02フルーツトマトロックシード。で、こっちの茶色いやつがL,S+01イガグリロックシードだよ。」

とそれぞれを指して説明する葵。

「ただフルーツトマトの方はエネルギー回路に問題があるのかうまく起動しないんだよね。あ、ちなみに他にもいくつか新しいの作ったり調整したりしてるからお楽しみにね〜。」

とのほほんとして言う葵に貴虎が

「調整?・・・まさか、アレか!」

と言う。

すると光実が

「アレ?・・・それってまさかドラ・・・」

「ちょっ!ストップストップ!秘密にして驚かそうとしてるんだから言っちゃダメだよ〜!」

と何かを言おうとした所で葵に慌てて止められる。

 

「ドラ・・・?まさか、未来から来た猫型ロボット!?ど◯でもドアとかス◯ールライトとか出す奴!?」

「それ、著作権かかるからあんまし言わないほうがいいよ。」

とリアクションする俺、十馬に昴が冷静なツッコミ・・・なんか会議がレッドカーペットみたいになってきたな・・・

 

「ま、まぁお楽しみに。それより昴くん、君はこれからも僕らと戦ってくれるんだね?」

と葵が確認する。

それに

「ああ。父さんは気に食わないけど、僕の意地で傷つく人が出るのはご免だからね。」

と昴が言う。

 

「オッケー、それじゃ次にこのイガグリロックシードを使う人を決めようか・・・だれか希望者いる?」

と葵が言うと一つ、手が挙がった。

城乃内だ。

「俺に、使わせてくれないか?頼む。」

と頭を下げて懇願する。

「ん〜いいけど、これかなり身体に負担かかるよ?それでもいい?」

「ああ、頼む。」

と一応、警告する葵に繰り返し頭を下げる。

「じゃ、これは君に託す。よろしくね。」

と葵が渡そうとしたその時、

 

「待ってちょうだい。」

と凰蓮が言う。

 

「凰蓮さん!?どうしてですか!?」

と予想していなかったのか、驚いた様子で城乃内が言う。

「・・・一応、理由を聞こうか。」

「坊やを戦士として育てたのは私よ。この子の実力は一番分かってる。・・・まだ、坊やには過ぎた力なのよ。」

と聞く葵に答える凰蓮。

「そんな・・・でも!俺だって!」

と反論しようとする城乃内に

「落ち着きなさい。誰も、一切使うなとは言ってないわよ。」

と優しく凰蓮が諭す。

「あなたがそれに見合う実力になるまで、私が訓練してあげるって言ってるのよ。とはいえ、やるからにはビシバシしごくけど。」

「・・・わかりました!俺、凰蓮さんに認めてもらえるよう頑張りますから!だからお願いします、俺を鍛え直してください!」

と凰蓮に頭を下げる城乃内。

それを見て、

「分かった、それじゃ今は凰蓮さんに預けるよ。じゃ、今日はここまでだね。皆、かいさ〜ん!」

と葵が言うと同時、席を立つ昴に俺は話しかけた。

「なぁ、昴さん。もし良かったら、この後少し話したいんだけど。」

「いいけど、そのさん付けやめてよ。僕のことは昴でいいよ。」

と言う昴と共に、司令室を出る。

 

ーーーーー

 

 

それから十分後、ある河原で俺と昴は話していた。

 

「なぁ、教えてくれないか?アンタと親父さんの間に何があったんだ?」

と俺が聞くと渋々といった様子で昴が話し始めた。

 

「僕には母さんがいた。昔から僕のことを何より心配してくれる優しい母さんが。でも父さんはそのころから仕事人間でロクに家にも帰ってこなかった。だから母さんは一人で僕を育ててくれたんだ・・・けどある日、母さんが倒れた。極度の疲労が蓄積してね。僕はすぐに病院に行った。・・・そしたら危篤だって言われた。僕はすぐに父さんに連絡した。早く来てくれって・・・その後、母さんは死んだ。でも、父さんはそれから3時間も後に来たんだ・・・もう、とっくに冷たくなった母さんの前で僕は言ったんだ。

『お前のせいで母さんは死んだんだ・・・絶対に許さない!』って。それからさ、僕が父さんを嫌悪するようになったのは。」

 

と話し終えた昴が息をつく。

「そっか・・・そりゃ、恨んで当然だな。」

と俺が言う。

「だろ?あいつなんかいなくなれば良いんだ。」

「・・・けど、ある意味羨ましいかもな。」

と昴に俺が言う。

「へ?羨ましい?」

「ああ、そういう良くても悪くても家族の記憶があるのは羨ましいんだ。・・・俺、孤児で親の顔知らないから。」

と少し寂しげに言う俺。

「・・・そうだったんだ。何かごめん。」

「ああ、別に良いんだ・・・でも、俺から言わせてもらうとどんな親でもいた方が絶対良い。ただ、人間ってのはバカな生き物だから、無くすまで絶対気づかないんだよな。」

と昴に言う。

「じゃあ、何?父さんと仲直りしろっての?」

「別にそうは言ってない。ただ、一度お互いに本音で話し合ったらどうだ?そうすればスッキリはすると思うけど。」

と優しく、昴に語りかける。

「・・・そうだね。僕は単に逃げてるだけなのかもしれない。父さんからね。・・・ま、話しあってみるよ、許すつもりは無いけど。」

と昴がどこか晴れやかな表情で言う。

「ま、何とかなるか。マイペンライだね。」

「まいぺんらい?何だそりゃ?」

「タイの言葉で”気楽に行こう”って意味さ。まぁ、父さん相手に気楽にはなれないけどね・・・」

と話す俺達。

 

「それじゃ、もう行くよ。久々の日本で観光もしたいし。」

と昴が腰を上げる。

「おう、じゃあまたな。」

そう言って俺達は別れた。

 

ーーーーー

 

 

「ま、まだまだ大変だろうけど仲直りしてほしいなぁ。」

と呟きながら歩く俺。

すると

「十馬!」

と後ろから声をかけられる。

「よぉ、イリスじゃん。どした?」

「どうしたじゃないですよ!さっきまで街で凄い破壊音が鳴ってたから心配で・・・」

と少し目を伏せて言う目の前の少女。

その純粋な気持ちに少し苦笑し、

「わりぃ、心配かけて。じゃあお詫びにシャルモンでケーキ奢ってやんよ。」

と言う。

「本当ですか!?じゃあ、レモンタルトにショートケーキにモンブランに・・・」

「いや一個に決まってんだろ!?」

と言い出すイリスに慌てて釘を刺す・・・すぐ調子乗るんだよなコイツ。

 

 

 

そして、シャルモンにて

 

「ごちそーさまです!」

「一個って言ったけど一番高いモンブラン頼む事無いだろうが・・・」

と幸せそうに言うイリスとガックリうなだれ財布を振る俺。

 

「じゃあそろそろ・・・」

「ちょっといいかしら、シトロンの坊や?」

と席を立ちかけた俺を店の奥から出てきた凰蓮さんが呼び止める。

 

「あれ?凰蓮さん?城乃内の特訓はどうしたのさ。」

「ぬかりないわ。今は一人用のメニューを言い渡してあるし。」

と話す俺達。

「ってあなた!あのディザスターなバイト娘じゃない!・・・まさか、またバイトに!?」

「違います!今日はお客ですお客様!」

と言い合う二人・・・そういや皿を割りまくったんだったかコイツ。

「まぁ、確かに災害級ではあるな・・・」

と苦笑する俺に凰蓮さんが

「・・・まぁいいわ。それよりシトロンの坊や、あなたと少し話したいのだけれど。」

と言ってくる。

「へ?いいけど・・・じゃあまたな、イリス。俺、少し話してから帰るから。」

「はい。それじゃあまた明日。」

とイリスを帰らせ、凰蓮に向き合う。

「で、何?話って。」

「ええ、その前に少し場所を変えましょうか。」

と店の裏に回る。

 

 

「それで、何さ。」

と話を促す。

「一つ言いたいことがあってね・・・突然だけど、もし今インベスが襲ってきたらどうする?」

と凰蓮が聞いてくる。

「へ?・・・そりゃあ俺が片付けるけど。」

「そう、それが心配なのよ。」

と俺の答えに反応する凰蓮さん。

「あなたもウチの坊やも、自分の力を過信し過ぎてるのよ。だから無茶しかねない。そういうのはね、大人である私達の仕事なの。」

と凰蓮さんが続ける。

「私の意見自体は昔と変わらないわ・・・あなた達は所詮アマチュアよ。危ないことはプロである私達に任せなさい。メロンの君と同じように、私もあなた達を巻き込みたく無い。あなた達に傷ついて欲しく無いの。」

と言う凰蓮に

「あんた、俺達を心配してくれてるんだな・・・けど、ただ守られるのは嫌だ。俺達にだって出来る事がきっとあるはずだから。」

と言い、続ける。

「確かに俺達はまだまだかもしれない・・・でも、だからこそ強くなろうとあがいてるんだ。大人になるためにな。」

と言う。

すると

「そうね・・・分かったわ。あなた達の気持ちは十分伝わった。だから、もう少しあなた達を信じることにするわ。」

と言い、優しく微笑む凰蓮さん。

その笑顔に笑い返し、

「ああ、それじゃまたな。俺もやることあるし!」

と店を出て行く。

 

十馬のいなくなった店の裏で凰蓮は愛弟子の事を思っていた。

 

「あの子も、もっと信じてあげるべきなのかしら・・・」

そう言いながら、いつまでも空を見上げていた。

 

 

ーーーーー

 

 

そんなシャルモンから数百メートル離れた場所で、

 

二人の男が裏路地で会っていた。

「本当にくれるんだろうな?」

と一方がせかすように言う。

「ええ、もちろんです。ほら、こちらに。」

ともう一方がアタッシュケースを差し出す。

「へへ、ありがてぇ・・・でも、随分気前が言いな?」

「まぁ、こちらにもメリットはありますしね。」

「ふん!まぁいい・・・存分に使わせてもらうぜ?」

と男の片方はおもむろに路地を後にした。

 

ーーーーー

 

 

そのころ、十馬はある場所にいた。

 

「ここかなっと・・・あ!いたいた、城乃内!」

と向こうで黙々とトレーニングを続ける青年、城乃内に声をかける。

「ああ、悪いな十馬。急に呼び出しちゃって。」

と城乃内がこちらへやってくる。

 

さきほど、シャルモンにいた時『話がしたい』とメールが届いたのだ。

そのあと凰蓮に話しかけられたときは、さすが師弟と思っていたが。

 

「で、話って何?」

「実は、お前に話しておきたいことがあったんだ。・・・ある男の話をな。」

といつになく神妙な面持ちで城乃内が言う。

「ある男・・・?それって?」

 

「いいから聞いてくれ。・・・そいつはかつて、ビートライダーズのあるチームのリーダーだった。オールバックに革ジャンなんか着ちゃってさ、ワイルドそうに見せてたけど実はヲタだったりして・・・変わった奴だったんだ。

で、そいつと俺はコンビを組んでた・・・まぁ、悪友ってやつ?そんな感じである日、二人揃って戦極ドライバーを手に入れたんだ。

・・・けど、あるゲームに参加してる途中、そいつのドライバーが壊れちゃってさ。元の弱小チームに元通りさ・・・

そして、そいつは俺に助けを求めた・・・でも、俺は見捨てたんだ。結局そいつは力を求め・・・そして死んだ。俺のせいで。」

と話し終えた城乃内が息をつく。

 

「でも、あんたが直接手を下した訳じゃ・・・」

「確かにそうだ・・・でも、最後に背中を押したのはきっと俺だ。」

と言う十馬に城乃内が言い返す。

「そいつの名前って?」

と俺が聞くと

「初瀬・・・初瀬亮二って奴だ。俺は初瀬ちゃんって呼んでたけど・・・」

とどこか遠い目をして城乃内が言う。

「俺が戦ってるのは初瀬ちゃんへの罪滅ぼしと、もう後悔しないためなんだ。」

だから危険なA+のロックシードにも志願した、そういうことだろう。

「そっか・・・何か、見直したよ。あんたも強い人間なんだな。」

と言う俺。

「いや、お前の方が強いだろ。そういう理由も無しに戦ってるんだからさ。」

と城乃内がフォローする。

「俺はそんなに褒められた人間じゃないさ・・・何をしでかすか分からないぜ?」

と少し皮肉を込め、俺は言う。

 

「ま、話せてよかったよ。じゃ、俺はまた特訓続けるから。」

と腰を上げる城乃内に

「ああ、こっちこそ話してくれてありがとう。・・・その、嬉しかったぜ。」

と笑顔で言う。

 

そのとき、

 

人々の悲鳴が響き渡ると同時、十馬が来た方向から破壊音が鳴り響いた!

 

「な、何だ一体?」

と城乃内が驚いて言う。

「さぁ?でもクラックじゃなさそうだぜ?」

と言いながら、俺は携帯を見る。

「やっぱり反応は無しか・・・くそっ!何だってんだよ!」

と叫ぶと同時、走り出す俺。

「あ!待ってくれよ!」

と城乃内がその後を追った。

 

ーーーーー

 

 

音を目印に走っていくと、そこはショッピングモールのような場所だった。

 

そしてそのど真ん中で、何かが暴れているようだ。

 

「一体何だ?・・・ただの人間にしちゃあやり過ぎだろ!」

と言い、ホールの真ん中の吹き抜けのエリアに飛び出す。

 

そこで暴れていたのは・・・何と、足軽のような姿のアーマードライダー、黒影トルーパーだった。

 

「な!?何で黒影が!?」

と続いて入ってきた城乃内が言う。

 

そんな城乃内を見て、黒影が言う。

「城乃内ぃ?テメェは良いよなぁ、皆から正義のヒーロー扱いだ・・・俺もそうなるはずだったのによぉ!!」

と影松を振り回し、辺りの物を破壊する。

「・・・うそ、だろ?」

と呆然とする城乃内。

あの姿に言葉、声はまるで変声機越しのようにくぐもっているが城乃内には目の前の者が重なって見えた。

・・・かつての友、初瀬に。

 

「おい、やめろ!・・・どうしてもやめないなら!」

とベルトとロックシードを取り出す俺。

 

ところが

「待ってくれ。」

と城乃内が俺に待ったをかける。

 

「何で止めるんだ!?早くあいつを止めないと!」

と焦る俺に

「頼む・・・アイツの相手は俺にさせてくれ。お願いだ。」

と城乃内が言う。

「・・・わかった。そのかわり、今度奢れよ?」

「ああ、店長自ら作ってやんよ。」

と言い俺は後ろに引き、城乃内が前に出る。

 

「お前が誰かは知らない・・・多分、初瀬ちゃんじゃないんだろうけど・・・言わせてもらう。」

と黒影を正面から見据え、叫ぶ。

「今度こそ、俺が助ける!もう後悔したくないから!」

 

「変身!!」

 

『ドングリ!』

『ROCK ON!』

『ドングリアームズ!ネバーギブアップ!』

 

そしてアームズを装着し、中世の兵士のようなアーマードライダー、グリドンに変身する。

 

「行くぞ!」

と走り、敵との距離を詰めるグリドン。

そんなグリドンに黒影が容赦なく攻撃を浴びせる。

「おらおらおらぁ!」

恨みでもあるのか、執拗に攻撃をあびせる。

だが、それらに怯むことなくグリドンもまた、ドンカチで相手に殴打を加えていく。

 

「・・・おいおい、いくらなんでも攻撃浴び過ぎだろうが。」

と呟く俺。

先ほどから見ていれば分かるが、着実にダメージは与えられている。

だが、それでもグリドンは引き下がらない。

「これは俺の受けるべき罰だ・・・初瀬ちゃんの痛みはこれの比じゃなかったはずだから!」

と、むしろ前に進み相手の懐に飛び込む。

「しまっ・・・」

「これで決める!」

と一瞬、無防備になった胴に全力でドンカチを叩き付ける!

 

そして、黒影が吹き飛ばされ変身を解除する。

「っ!お前、曽野村!?」

と黒影トルーパーに変身していた青年、曽野村に驚いた様子でこちらも変身解除した城乃内が言う。

それに

「ああ、そうだよ・・・俺だって、あのオッサンにベルトを取られなきゃ今頃は!」

と悔しそうに答える曽野村。

「全部、お前等が悪いんだ!俺だって輝けたはずなのに!」

とまくしたてる曽野村に

「ふざけるなっ!」

と城乃内が組み付き、殴る。

「お前はまだ生きてるだろうが!それなのに、何でそんな小さいことにこだわってんだよ!」

そう言い、掴んでいた胸ぐらを放す。

そして

「・・・お前の今後は貴虎さんと相談して決める。それまでは大人しくしてろ。」

と言い放ち、貴虎に連絡を取ろうとする。

 

そのとき

 

曽野村が着けていたベルトが火花を吹き、全身を電流が駆け巡る!

「ぐっ?ぐぁぁぁぁぁぁ!!」

と苦しんで身悶えする曽野村に城乃内が駆け寄る。

「ぐふっ!」

と電流が収まり、曽野村が倒れたまま動かなくなる。

「おい!曽野村!?曽野村!!」

と城乃内が叫ぶ。

 

ーーーーー

 

そのすぐそばの路地で

 

「もしもし・・・はい、実験は概ね成功です。副作用も無し・・・はい、記憶は消去が完了したはずですが念のため”始末”します。」

と誰かと通信で会話する男の姿があった。

「さて、せめて楽に死なせてあげましょう。」

と男はおもむろにポケットに手を入れ、ロックシードを取り出し解錠した。

 

ーーーーー

 

 

「チッ!何らかの装置が仕込まれてたのか!?」

とモールの真ん中で舌打ちする俺。

「一体誰がこんなことを・・・」

と怒りをあらわにする城乃内。

 

そのとき、頭上にクラックが開くと同時、中からセイリュウインベスが現れ曽野村を襲おうとする!

 

「な!テメェ何しやがる!!」

とインベスに組み付く俺。

だが、生身で勝てるはずも無く吹き飛ばされ、その拍子にベルトも吹き飛ばされてしまう。

「ぐはっ!しまった、ベルトが・・・」

と壁に身体を打ち付け、うめく。

 

「十馬!くそっ!やめろぉ!」

と再び変身した城乃内がセイリュウインベスにドンカチで一撃を浴びせる。

「ギシャァァァ!」

と全くダメージを受けていない様子でセイリュウインベスが攻撃してくる。

「うわっ!堅すぎるだろこいつ!」

とやられたグリドンが言う。

「ギシャァ・・・」

と曽野村に再び襲いかかろうとするセイリュウインベス。

 

そのとき

 

「お待ちなさい!!」

という声と共に凰蓮が現れる。

「お、凰蓮さん?」

と倒れたままのグリドンが言う。

そんな弟子の様子に顔をほころばせ、

「よくがんばったわね。・・・私もあなたを信じてみるわ。」

そう言って、預かっていたイガグリロックシードを差し出す。

「いいんですか・・・?」

と言う城乃内に

「ええ、これが最終試験。うまく使いこなして見せなさい!」

と凰蓮が発破をかける。

 

「ありがとうございます・・・いくぞ!」

と言ってロックシードを解錠する。

 

『イガグリ!』

『ROCK ON!』

『イガグリアームズ!ミスターニードルマン!!』

 

「行くぞ!!」

とブラーボの武器に似た二振りの剣、イガノコを振るいセイリュウインベスに猛攻を加える。

「すげぇ、力が溢れる!!」

と新しい力に驚きながら、さらに追撃する。

普段のドンカチとはリーチも重さも違う武器。

それを使いこなせているのは、間違いなく特訓で鍛えられた城乃内の戦闘センスを証明するものだった。

「とどめだ!」

と言い、ベルトのブレードを三回倒す。

 

『イガグリスパーキング!』

 

まずはエネルギーを込めたイガノコを二本とも相手に投げつける。

エネルギーを放つそれはセイリュウインベスの堅い表皮にも容易く突き刺さる。

「グギャア!!」

と苦しむインベス。

それに向かい、高く跳躍したグリドンはその勢いのまま、踵落としを決める。

「うおりゃぁぁ!!」

そしてグリドン渾身の必殺技、イガグリハンマーを食らったインベスはそのまま爆散する。

 

「ふぅ・・・さすがA+、キツいなぁ。」

そう言って変身を解く城乃内。

「よくやったわ。合格よ。おつかれさま。」

そう言って城乃内に労いの言葉をかける凰蓮。

「俺、まだまだかもしれないですけど、いつか凰蓮さんの”相棒”になれるよう頑張ります!弟子じゃなく!」

と言う城乃内に

「なら、もっと鍛えてあげるわ!覚悟なさい!」

と言い、笑う凰蓮。

 

そんな二人を見て

「師弟って、いいもんだな・・・」

と俺は笑みをこぼした。

それから表情を引き締め

「にしても、一体誰がこんなことを・・・?」

と一人、考えを巡らせていた。

 

ーーーーー

 

 

そんなショッピングモールから出て行く人影があった。

 

「始末には失敗しましたか・・・まぁ、記憶は消しましたし大丈夫でしょう。」

そういってその人影がおもむろに携帯を取り出す。

画面には”上司”からの不在着信が。

「まったく、博士も人使いが荒いですから・・・大変ですよ。」

そう言って、彼はその場所を後にした。

 

 

ニヴルヘイムを取り巻く”何か”が動き始めていた・・・

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで第8話でした。
ドングリ、むいちゃいました。
食べられなくはないけど美味くない、微妙な味してるよねドングリ。

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