仮面ライダー鎧武 新章 〜幻獣の樹海〜   作:ダイタイ丸(改)

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皆さん本当にお久しぶりですダイタイ丸(改)です。
まずは投稿がかなり遅れてしまい申し訳ありませんでした。
体育祭とかゲームとかゲームとかゲームをしてたらなかなか書けませんでした。
…うん、ほんとにごめんなさい。しにます。



第6話 飛来!世界チャンプは反抗期⁉

前回までのあらすじ

 

アメミトに再び敗北し、無理をした罰としてベルトとロックシードを取り上げられた十馬だったが貴虎の提案で戦闘訓練を受ける事になる。さらにザック、城乃内、凰蓮の三人に戦うかどうか聞いてくることを依頼された十馬はそれぞれの下に向かう。

 

一方の紘太は貴虎に促され二年ぶりに姉、晶と再会する。久々の姉弟水入らずの時間を過ごした後、紘太はかつてのチームの仲間達に会うためにビートライダーズのステージを舞と共に見る。その後、元チーム鎧武のメンバーであるラット、リカ、チャッキーと再会した紘太達はドルーパーズで開かれるチームの交流会にて十馬のチーム、ドラゴンロンドと交流し親睦を深めた。

 

そしてザックからかつて紘太と神の座を争った男、駆紋戒斗のことを聞いた十馬は彼の眠る墓地に出向き、決意を新たにしたのだった。

 

ーーーーー

 

 

ビートライダーズとの交流会の翌日、とある森の中で二人の人影が対峙していた。

 

片方はジャケットを脱いだYシャツ姿で片手に竹刀を持った貴虎。

そしてもう片方はあちこちになぜか泥のついた服装をし、竹刀を携えた十馬である。

「いくぜ!」

と貴虎に向かって十馬が駆ける。

そして竹刀を横なぎに振る。

だが

「甘いな。」

と貴虎が横から迫る竹刀を上に弾く。

「フッ!」

そしてがら空きになった胴に竹刀を打ち据える。

「ぐぁっ!」

と十馬が堪らず膝をつく。

「そろそろ休憩するか?」

と十馬に貴虎が聞く。

「・・・いや、まだいける。・・・もう一度頼む。」

と明らかに痛みをこらえながらも十馬が言う。

「だがもうかれこれ2時間やりっぱなしだぞ。あまり無理をするな。」

と貴虎が諭す。

 

そう、貴虎の提案で始まったこの特訓だが朝の4時半から今まで休憩を一度もせずに十馬は貴虎と組み手をしていたのだ。

・・・まぁその度に貴虎にやられ、泥だらけになっているのだが。

 

「・・・いや、でも。」

と言い返そうとする十馬。

やはり一度も勝てないのが悔しいのだろう。

それを見かねた貴虎が

「お前が早く強くなりたいのは分かっている。だが単にがむしゃらにやればいいというものではないぞ。第一その証拠にさきほどから攻撃がワンパターンになっている。これでは特訓にならん。」

と淡々と述べる。

「・・・そうだな。じゃあ最後にもう一度だけ頼む。それが終わったら今朝の分は終わりにしよう。」

と十馬が渋々といった様子で提案する。

「分かった。もう一度だけだぞ・・・。」

と貴虎が竹刀を構え直す。

 

「やっぱり強いな・・・。」

と俺、十馬は呟く。

いざ、こうして対峙してみると貴虎から発せられる闘気のようなものが肌で感じられる。

「けどそれにビビってるようじゃダメだよな。」

と集中して竹刀を構える。

 

貴虎の方を油断なく見ながら頭の中で戦略を組み立てる。

(今までの様子から見て貴虎は俺の攻撃を受け流して隙を作るといった戦法をとることが多い。なら受け流す隙を与えなければいい!)

「よし!いくぞ!」

と貴虎に向かっていく。

そしてまずは竹刀を上段に構え、走る。

当然それを見た貴虎はすぐさま攻撃に対応できるように竹刀を横に持つ。

(それが狙いだ!)

とそのまま竹刀同士をわざとぶつけ、反動を利用して構えを瞬時に変える。

そしてそのまま相手の胴を目がけて竹刀を振る。

(これでどうだ!)

と俺が心の中で叫ぶ。

「フッ!」

と貴虎が気合いと共に横向きの竹刀を片方の手で弾き瞬時に縦に構え俺の竹刀を受け止める。

「何っ!?」

と俺が驚愕する。

「ハッ!」

そして竹刀を持たない方の手で俺の腹に拳を見舞う。

「ぐはっ!?ゲホッゲホッ!」

と俺はたまらず腹部を押さえうずくまる。

「全く、竹刀だけを使えと誰が言った。臨機応変な対応こそ相手の隙をつく重要なものだ。」

と貴虎が言ってくる。

「だからと言ってグーはねぇだろグーは・・・。」

とうずくまったまま恨めしそうに貴虎を見上げる俺。

「甘えた事を言うな。もし相手がオーバーロードなら爪で引き裂かれていたかもしれんぞ。」

と平然と言う貴虎。

「・・・ふぅ。じゃ、今朝はここまでだな。」

とようやく回復した俺が言う。

「ああ、それとコレを返そう。」

と貴虎がベルトとロックシードを放ってくる。

「・・・よっと!サンキュー!じゃあまたな!」

とそれ等を受け取った俺は急いでアパートに向かう。

 

 

十馬が去った森の中で貴虎は一人、物思いにふけっていた。

 

「まだまだムラが多いな・・・が、素質は本物か・・・。」

と僅かに痛む左手を見る。

あの時、竹刀の向きを変えるためかなり強く手で叩いたのが失敗だったようだ。

その事が表すのはつまり、最後の一撃は貴虎も予想外だったということだ。

「だからこそ・・・今度は正しく導いてやらねばな。」

とかつての弟と十馬を重ねながら貴虎は呟いた。

 

ーーーーー

 

 

その後、アパートに戻って即座に着替えを済ませた俺は久方ぶりの通学路を歩く。

 

「はぁ、しばらく行ってねぇから何かかったりぃなぁ。」

と愚痴りながら道を歩く。

すると

「十馬!おはようございます!」

と後ろからイリスがやってきて満面の笑みで十馬に挨拶をする。

「よぉ・・・お前は毎日、楽しそうで良いよなぁ・・・。」

と既に疲れた様子で答える俺。

「え?そ、そうですか?えへへ、照れますよ。」

「いや、今のはビタイチ褒めてねぇから。」

といつも通り(久しぶりだけど)に登校する俺達。

 

空は見事に晴れ渡り、何か良い事でもありそうな朝だった。

 

その後、久しぶりの学校で大量の宿題と補習を言い渡された十馬はリアルに泣きそうになった。

 

ーーーーー

 

そして放課後、チームの倉庫にまで宿題を持ち込んだ十馬はようやく全ての宿題を終わらせた。

 

「もう、文字は見たくねぇ・・・。」

と精魂尽き果てた様子で十馬が言う。

「大丈夫さ。いまさらどうあがいてもリーダーの成績は小揺るぎもしないよ。」

と淳吾が軽く、そのくせ容赦のない口調で言う。

「まぁオールウェイズ赤点カイザーだもんね。」

とジョーも茶化して言う。

「うっせぇ!竜希!お前は俺の味方だよな!?こないだの中間テスト何点だ!?」

と自暴自棄で竜希に食って掛かる俺。

「・・・ごめんなさい。」

と気まずそうに視線をそらす竜希。

「竜希君は確か全教科でトップ10に入ってましたよね?」

とイリスがとどめの一言。

「なぁ〜にぃ〜!?」

と若干クールポコが混ざる俺。

「やっぱり頭良い人は良いんだね・・・。」

「そうですわね・・・。」

とすでに諦観ムードのリンとレイナが呟く。

「リン!レイナ!お前等は分かってくれるかぁ!」

「分かるよ〜!やっぱり神様は不公平だぁ〜!」

「努力しても報われない・・・だから努力をやめるのですわ。」

と意気投合する三人を見て淳吾が

「これがドラゴンロンドのトリプル馬鹿、通称バカトライアングルさ・・・。」

と誰かに説明するように言う。

 

「あぁ!ちゅーかリーダー!今日ステージの日でしょ!?」

とジョーが叫ぶ。

「忘れてたぁぁぁぁ!?皆急ぐぞ!」

と急いで荷物を持つ十馬。

そのまま皆も十馬の後を追う。

今日も今日とてドラゴンロンドは平常運転だった。

 

ーーーーー

 

 

そのころ、沢芽市にある沢芽国際空港に一人の青年が降り立っていた。

 

「全く、久々に連絡してきたと思ったら”今すぐ帰ってこい”だもんなぁ・・・まぁ時間までまだあるし何か面白い事ないかな〜?」

と青年がスマホを操作し沢芽市の情報を調べていると、

「ん?ダンスチームの日替わりステージ?へぇ、面白そうじゃん。」

とサイトの地図が示す場所に行くべくタクシーを停めた。

 

ーーーーー

 

 

そのころ、西のフリーステージではドラゴンロンドによるステージが行われていた。

 

音楽にあわせ時には全体で、時には個人技で観客を魅了する。

 

そして音楽が終わり「皆さん今日はありがとうございました!」と最後に十馬が挨拶をしていつものように幕を閉じるはずだった。

だがその時、

 

はい注目〜、と言う声と共にピピー!と笛の音が鳴る。

 

「ん?何だ?」

と十馬がいぶかしんでいると笛を吹いたとおぼしき人物が人々をよけてステージに上がってきた。

 

「うんうん!とってもグレイトなステージだね!」

それは先ほど空港にいた青年だった。

ダンスステージに興味を持ち、ここまでやってきたのだ。

「あ、ありがとう・・・っていうかアンタは?」

と辟易しながら十馬が問う。

そんな十馬の反応に青年はわざわざ注目を集めるかのようにステージの真ん中に立つと

「ん〜。まぁいいじゃん。・・・それよりさ、僕と勝負しないかい?」

突然提案してきた。

「は?・・・しょ、勝負?一体何の?」

と十馬がとまどいながら聞く。

「決まってるだろ、ダンスでさ。一対一で、より観衆を沸かせた方が勝ちってことで。」

と十馬の問いにルール説明もふまえて青年が答える。

「あー、悪いけど次のチームもそろそろ来るしそういうのはちょっと・・・。」

と断ろうとする十馬。

「リーダー。ちょっと待って。」

と珍しく淳吾が止める。

「何だよ、淳吾?」

と普段はチームのまとめ役でルールもキッチリ守る淳吾の行動に俺は驚いていた。

「この勝負、俺にやらせてくれ。・・・あの人、何か引っかかるんだ。」

といつになく真剣に淳吾が言う。

その眼差しを見て、

「・・・分かった。ただし、やるからには勝てよ?」

「ああ、サンキューリーダー。」

と十馬が承諾し淳吾が一歩前に出る。

「おお!いいね、やる気だね!?よ〜しそれじゃあスタート!」

と青年の合図と共に音楽が流れ出し勝負が始まる。

「いくぞ!」

と淳吾が踊りだす。

本気でプロを目指しているだけあって時に躍動感に満ちた大技を、時に繊細なステップを繰り出し観客を魅了する。

そして音楽が変わり青年の番になる。

「わお!やるね!僕も本気でいくぞ〜!」

と青年が踊りだす。

 

それを見て俺達は唖然とした。

青年のダンスがあまりにも、人を惹き付ける魅力に満ちたものだったからだ。

けっして人間離れした大技があるわけではない。

それでも青年の一挙一動から一つの思いが伝わってくるのだ。

・・・踊るのが、楽しいと。

気づけば自然に手拍子をしていた。

他のメンバーや群衆も一緒だ。

勝負をしている淳吾でさえ、青年の踊りに見入っているようだった。

そして曲が終わり青年がパフォーマンスを終える。

「っと!こんなんでどうよ?」

とキザったらしく言う。

結果は誰の目にも明らかだった。

 

すると淳吾が青年に歩み寄り

「今ので確信した。あなたは世界的プロダンサーの星崎昴さんですね。顔を見たとき気づくべきでした。」

と言った。

「「「・・・え?ええ!?」」」

と皆の驚愕の叫びがこだました。

「星崎ってあの!?」

「今やその道で知らぬものはいないと言われるあの星崎昴さん!?」

「世界ツアーを毎年やっているあの!?」

と皆で言う。

「そのとーり!ってそんなに驚く事かなぁ?」

と青年・・・昴があっけらかんと言う。

「どうりでダンスがうまい訳だ。」

と淳吾が苦笑する。

「でも君の腕前もたいした物だよ。相手が僕じゃなきゃ勝ててたぜ。」

「いや、そんなことは無いですよ。」

と早くも打ち解けた様子の二人。

「へぇ!プロのダンサーか。そうだ!メルアドとか教えてくれませんか!?」

と俺。

「ああ、いいよ別に。じゃケータイ出して。赤外線使える?」

と瞬く間に俺だけでなくメンバー全員の携帯にメルアド登録する世界的プロダンサー。

「君たち、見所あるしね。これからもよろしく♪」

と朗らかに笑う昴。

 

とその時、

十馬の携帯からブザーが鳴ったと思いきやどこからともなくインベス達が現れ、人々を襲いはじめた!

 

「っ!こんな時にインベスかよ!皆、お客さん達を誘導しろ!道は俺が作る!」

そう指示すると同時、ベルトを巻きロックシードを解錠する。

「変身!」

『レモンエナジーアームズ!』

と次の瞬間、俺はアーマドライダー、デュークⅡとなりインベスの群れに飛び込んだ!

「まずは皆を避難させないとな!」

とロックシードをベルトから携えた武器、ソニックアローに装填し弓を引く。

『ROCK ON!』

『レモンエナジー!』

とソニックアローから放たれた光の奔流がインベスの群れの一角を消滅させる。

「皆!こっちだ!」

「急いで!荷物とかはいいから!」

とチームの皆が誘導しにかかる。

(よし、あっちは大丈夫そうだな。)

と再びインベスに向き合う俺。

(せめてもう一人アーマードライダーがいれば・・・って泣き言は言ってらんないか。)

とソニックアローを振るい次々にインベスを倒していく。

見る者が見れば気づいただろう。

十馬がインベスの急所に攻撃し、ほぼ一撃で倒していることに。

確かにデュークに搭載されたスキャン機能なら弱点を探る事も可能だ。

だが、今十馬はその機能を使っていない。

だが分かるのだ。相手が無意識に庇っている箇所が、手に取るように。

相手の動きを注意深く観察する能力、それは貴虎との特訓で十馬が会得したものの一つだった。

「一気に決めるぜ!」

とベルトのレバーを一回押し込む。

『レモンエナジースカッシュ!』

とソニックアローの刀身にエネルギーを込め、周りのインベスに向かって放つ。

「そりゃぁ!」

とインベスの群れが爆散し、俺は変身を解除する。

「いっちょあがりってな。・・・にしてもやっぱりダメか。」

とあたりを見ながら、複雑な表情をした後、少し焦燥に駆られるように呟く。

 

そんな十馬を物陰で観察する者がいた。昴だ。

「何だよアレ・・・もしかして父さんが言ってたのって・・・。」

と呟くと同時、携帯から着信を知らせる軽快なメロディーが響く。

「っ!?誰だっ!」

と十馬がこちらに気づいたようだ。

「ゴメンゴメン、覗き見するつもりは無かったんだけどつい・・・。」

と仕方なく柱の影から姿を見せる。

「星崎さん?びっくりしたぁ、何で逃げないんすか!?危ないでしょ!」

「・・・ゴメンゴメン。」

と反省していない様子の昴。

「っと、電話だ・・・もしもし・・・え?へぇ!?・・・分かった。じゃあ後で。」

と誰かと話した後こちらを見てくる。

「な、何か?」

「ちょっと君に案内してもらいたいんだ。『ヨルムンガルド』の本部まで。」

と真剣な眼差しで言う。

「な、何でヨルムンガルドのことを・・・今の電話、一体誰からだ!?・・・あんた、何者なんだ?」

と警戒しながら言う。

「僕は星崎昴。しがないダンサーさ。・・・あと一つ聞きたいんだけど、ヨルムンガルドって何?」

「・・・は?」

「いやだからさ。ヨルムンガルドって何よ。蛇?」

と本当に知らない様子で昴が聞いてくる。

「え〜と・・・。」

と話そうかどうか迷う。

すると

「十馬!無事だったか?」

と貴虎がようやくやってくる。

「いつも思うけどアンタ遅すぎ。・・・っとそれより貴虎、この人・・・星崎昴さんのこと、何か知らない?」

と貴虎に聞く。

「ん?・・・ああ、話には聞いていたが君が・・・よし、なら移動するぞ。お前も来い、十馬。」

「え?ちょ、移動ってどこへ!?つか何で俺も!?」

「ついてくれば分かる。君もそれでいいな?」

と昴に貴虎が聞く。

「ああ、僕はいいけど・・・。」

と戸惑いつつも返事をする昴。

「よし、なら行くぞ。あまり待たせるのも忍びないしな。」

と歩き始める貴虎の後を俺達が追う。

 

ーーーーー

 

 

そして貴虎に連れられるまま向かった先は巨大なビルの立ち並ぶビジネス街のような場所だった。

 

「おお!なんだこれデッケェ!つか首イテぇ!」

と俺が目の前の超高層ビルを見上げながら言う。

「これはキサナドエンタープライスの本社ビルだ。そしてその隣のビルが目当ての場所だ。」

と貴虎が隣のビルを指して言う。

「キサナドって確か桃源郷って意味だっけ?でユグドラシルやスマートブレインなんかと並んで称される日本有数の大企業だよな。やっぱ金かけてる感じあるなぁ。」

と感心する俺。

「ほら、いつまでも観光気分はやめろ。行くぞ。」

と貴虎が隣のビルへと入っていく。

だがその前にさきほどから黙っている昴に

「なぁ、さっきから口数少ないけど大丈夫か?気分悪いとか?」

と少し心配しながら聞く。

「・・・いや、大丈夫さ・・・多分ね。」

と昴が目を合わせないまま少し投げやりに言う。

「・・・そっか、じゃ行こうぜ。貴虎にどやされる前にな。」

「ああ、行こうか・・・。」

と再び貴虎の後を追う。

 

 

そしてビルに入り、エレベーターの隠されていたボタン(全ての階のボタンを押してパスワードを入力することでようやく出てきた)を押し、そのさきの幾つものゲートを抜けてある部屋の前についた。

 

「博士、呉島貴虎です。龍崎十馬と星崎昴君を連れてきました。」

とドアをノックして貴虎が言う。

すると入りたまえ、と言う声と共にドアが開く。

「ようこそ、貴虎様。博士はあちらに。」

と内側からドアを開けたらしい青年が貴虎に言う。

 

そして青年が指した方には書斎のような空間が広がっていた。

年期の入ったデスクにその上に置かれた専門書の類い、そしてそれらの向こうには椅子に腰掛けた初老の男性が座っていた。

「やぁ、待っていたよ。呉島君に昴、そして龍崎十馬君。」

とその男性が椅子を回してこちらに顔を向ける。

「私は星崎慧。『ヨルムンガルド』の創設者だ。・・・ついでに昴の父親さ。」

と男性、星崎が笑う。

 

「君に会えて嬉しいよ。さて、少し話をしよう。・・・この戦いの始まりの話をね。」

 

ーーーーー

 

 

そのころ、ニヴルヘイムの樹海の遺跡に二つの人影があった。

 

「ダハーカはしばらくは向こうの世界を攻めるつもりはないようです。いかがなさいますか、シュバリヤ様。」

と人影の一つ、凛とした印象の女性が王座に腰掛ける青年、シュバリヤに問いかける。

 

「あいつはそういう奴だ。しばらくは好きにさせておけ・・・お前は何か考えはないのかワイバーン。」

とシュバリヤが逆に女性、ワイバーンに問う。

「・・・そうですね、ファフニールは”例のキカイ”に付きっきりですしオロチは行方知らず。コアトルはまだ戦わせるのは早いかと、あとはゲオルとギウスの二人ですね。ただゲオルにやる気を出させるのはそう容易では・・・。」

とワイバーンが丁寧に答えていく。

 

すると

「おいおい、俺様を忘れちゃいないか?ワイバーンよ!」

と声が響くと同時、大柄な体躯の男性が姿を見せる。

 

「ダメですテーバイ。貴方は殺し過ぎます。今はまだその段階ではありません。」

とワイバーンが反論するが

「・・・いいだろう。そのかわり、龍崎十馬と戦ってこい。」

とシュバリヤが言う。

「ハハッ!いいのかシュバリヤ?俺に任せたら殺しちまうかもしれないぜ?」

と男性、テーバイが聞き

「・・・それで死ぬようなら奴もそれまでという事だ。」

とシュバリヤが答える。

「わかった、久しぶりに暴れてくらぁ!楽しみだぜ・・・。」

とテーバイは残忍な笑みを浮かべた・・・

 

 

 

 

続く




というわけで第6話いかがでしたか?
ちなみにこの世界のスマブレはもうオルフェノクの巣じゃないです。
まぁ地下にエビ姐さんは潜んでるかもしれないけど…

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