仮面ライダー鎧武 新章 〜幻獣の樹海〜   作:ダイタイ丸(改)

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どうもお久しぶりなダイタイ丸(改)です!
今回はズバリ、繋がリーヨ……古いか。


第5話 繋がりと新たな決意

前回までのあらすじ

 

十馬達の前に現れたオーバーロードダハーカを名乗る少年、冥也。

葵が保管していたはずのヨモツヘグリロックシードと戦極ドライバーでアーマードライダーアメミトに変身した彼はその圧倒的な力で十馬達を打ちのめした。

 

その際、ニヴルヘイムの植物に体を侵食されそうになった十馬だが何故か持っていた抗体により事なきを得た。

 

だがアメミトとの力の差、己の経験の無さを実感した十馬は貴虎に教わった言葉を胸に修行を行う。

そしてそんな折、アメミトがドラゴンロンドの本拠地に現れイリス達を襲う。

アメミト出現を察知した十馬は仲間たちを助けるため貴虎から借り受けたメロンエナジーロックシードを使い、決死の覚悟でアメミトにパワーをぶつけるも再び敗れてしまう。

 

だがアメミトは十馬を見逃し、十馬は仲間達と再び和解することができた。

 

そして、貴虎から休息するように言われた十馬だったが・・・

 

ーーーーー

 

 

「あーー!暇だぁ!」

とアパートの天井を眺めながら俺・・・十馬は叫んだ。

 

三日前、アメミトと死闘を繰り広げた俺は無理が祟って全身筋肉痛。

でも貴虎は「あれだけの力を使っておいてそれだけで済んだのは単にラッキーだっただけだ。」と言い、俺に数日間の休息命令を出したのだ。

しかも念には念を入れてベルトと錠前も没収。

俺に無茶させたくない気持ちは分かるけど・・・

 

「暇そうにしてる場合じゃ無いんだけどな・・・」

そう、自分はまだまだ強くならなくてはいけない。

目的を果たすためにも・・・

 

「あーもう!とりあえず本部にいくか!変身して戦わなきゃいいんだから!」

と手っ取り早く着替えを済ませて本部に向かう。

 

 

ーーーーー

 

 

その途中、

 

「十馬!おはようございます!」

とクラスメートであり俺の仲間、イリスが声をかけてくる。

「よぉ、イリス。あれ?私服だけど学校は?」

「今日は開校記念日でお休みですよ。だから今から新しいバイト先に行くんです!」

「あ!そっか!・・・てかイリスさん、バイト先って食品を扱う所じゃないよな?大丈夫だよな?」

「ひどい!?どんだけ信用ないんですか!?って、あ!そうそう、十馬!」

「ん?」

「昨日十馬の家の郵便受けにカルボナーラを入れておいたんですが・・・もう食べました?」

「え?あのダークマターは人間の食べ物だったの?」

「だっダークマターって!そこまで言わなくてもいいじゃないですか!」

「いやだって変色してたし・・・お前、あれに何いれたんだ?」

「え?スイカとキクラゲとリンゴとマヨネーズとカレールーと醤油とウスターソースです!」

「カルボナーラの要素ゼロ!?どうやったらそうなるんだ!?レシピ見たんだろ!?」

「はい!ググレパッドっていうサイトで!」

「ググレパッド?ちょっと待て、調べるから・・・っておい!このサイトの一番下の文章読んだか!?このサイトに載っているレシピは全てデタラメで適当です本当のレシピが知りたいならググレカスって書いてあるぞ!?」

「いいえ?だって普通そこまで読みませんもん!」

「いや、レシピを見て気づけぇぇ!!」

としばらく話しながら(もしくは叫びながら)歩く。

 

「あ!そうです十馬!今日の午後、チームの皆でドルーパーズに集合!って淳吾君が言ってました。」

とイリスが言う。

「へぇ。淳吾が。何かあるのか?」

「分かりませんけどとにかく十馬に伝えてくれって言われたんです。」

「ふーん。そか、あんがと。じゃあ午後にドルーパーズでな。」

「はい。気をつけて。」

とイリスと別れる。

 

そして目的地である旧ユグドラシルタワーに着く。

「よし!まずは・・・」

とタワーの前にあるモニュメントのある部分に手を当てる。

するとモニュメントの後ろが開き、地下へ続く階段が現れる。

「確かにアメミトに侵入されたからってこんなに厳重にしなくても・・・」

といくつも設置された監視カメラに向かって言う。

そして幾つものゲートを抜け、本部の司令室・・・ディスプレイのある部屋に着く。

 

「ん?十馬か。何か用か?・・・言っておくがベルトと錠前はまだ返さんぞ。」

とその場にいた貴虎が言う。

「いや。なんか暇でさ。」

「なら丁度いい。二つ、お前に話があったんだ。」

「話?」

「ああ、まず一つ目だがこの間一緒に戦った三人を覚えているか?」

「ああ、ザックに凰蓮に眼鏡内だろ。」

「城乃内だ・・・その三人に話をしてきて欲しい。」

「話・・・?何を話すんだ?」

「我々の仲間として戦ってくれるかをだ。私としてはヘルヘイムの際に巻き込んでしまった彼らをまた巻き込みたくは無い・・・だがこれからの状況には彼らの力が必要なんだ。」

「だからあいつ等に会ってどうするか聞いてこい・・・と。」

「そうだ。そして二つ目はお前についてだ。」

「俺の事?」

「ああ、お前は適正能力だけでなくニヴルヘイムへの抗体も持っていた。・・・だがそれについては今は聞かない。」

「え?・・・何で?」

「お前を信じているからだ。同じ目的を持つ、同志として。」

「・・・そうか。わりぃ、抗体のことについては俺もよく分かってないんだ。・・・でも、お前達に黙ってる事もある。・・・でも今は話せない。理由があるんだ。」

「そうか・・・それでもいい。その内話してくれたら嬉しいが。」

「・・・」

「それは置いておいて話とは、十馬、お前は強くなりたいか?」

「え?・・・ああ、もっと強くなりたい・・・大切なものを全て守れるように。」

「そうか・・・なら明日から早朝と夜に分けて特訓をするぞ。」

「え?貴虎が?俺に?」

「ああ、私がお前に戦闘技術のイロハを教えてやる。」

「まじで!やったサンキュー!助かるよ!」

「ああ、代わりに覚悟しろよ?私はそう甘くは無いぞ?」

「分かってるって。じゃ、さっそくあの三人に話をしてくるよ。」

「ああ。気をつけてな。」

そう言って俺は本部を後にした。

 

ーーーーー

 

 

十馬が去った本部にて

 

「貴虎?どうかしたのか?」

と今入ってきた様子の紘太が言う。

「十馬と少し話をしていただけだ・・・それよりも葛葉。」

「何だ?」

「お前・・・晶さんやビートライダーズの皆には会わないのか?」

「・・・」

「特に晶さんだ。彼女は気丈に振る舞ってはいるが、ときどき寂しそうにしているぞ。」

「・・・姉ちゃんと会ったのか?」

「ああ、お前の決断は尊重しているが・・・それでも私には大人として、お前に全てを背負わせてしまった負い目がある・・・だからせめて、彼女には会ってやってはくれないか?」

「・・・悪い。俺が姉ちゃんや皆に会わないのは理由があるんだ。・・・やっぱりさ、皆とまた会って色々話したり、過ごしたりすると戻りたくなっちまう気がするんだ・・・自分で望んだ事なのに。」

「なるほどな・・・だが、私はそれでも会うべきだと思うぞ。」

「何で?」

「お前は彼女や皆にまだちゃんと別れを告げていないだろう。」

「・・・あ。」

「それに変わらないものなど有りはしない。いつかは皆、それぞれの道へ進んでいくだろう・・・だからこそ、限りある今を大事にしなければならないんだ。」

「・・・そうか。ありがとな、貴虎。」

「フッ。ようやくお前に大人らしい事を言えた気がするよ・・・いや、お前ももう立派な大人か。」

「いや、まだまだアンタみたいな人に教わらなきゃいけないことが沢山あるよ。」

と二人で笑いあう。

「ちょうど今日、ビートライダーズのステージが午後にある。午前中に晶さんの所へ行って、午後は仲間達と過ごすといい。」

「ああ、サンキュー貴虎。んじゃ行ってくるぜ。」

と紘太が本部を後にする。

 

「全く・・・どいつもこいつも世話が焼けるな。」

と一人だけの司令室で貴虎は呟いた。

 

ーーーーー

 

 

その頃、十馬は凰蓮たちと話をしにシャルモンに訪れていた。

 

「こんちわー。」

「いらっしゃいませ・・・ってお前はこの間の!?」

と眼鏡をかけた青年、城乃内が言う。

「あ、めが・・・じゃなくて城乃内。」

「おい!今眼鏡って言おうとしただろ!?しかも呼び捨てだし!」

と城乃内がたまらず叫ぶ。

「坊や!?声が大きいわよ!お客様もいるというのに・・・ってあなた!この間のシトロンの坊やじゃない!何か私に用かしら?」

と店の奥から凰蓮も出てくる。

「ああ、凰蓮さんも。ちょうどいいや。二人に話があるんだけど。」

「話?」

「何かしら?」

 

その後、俺は貴虎に言われた事を二人に伝えた。

また巻き込んでしまった事を詫びる気持ちや改めて共に戦って欲しいことを。

 

「・・・って感じなんだけど。」

「全く。メロンの君も人がいいんだから。もちろん一緒に戦うわよ。ね?坊や?」

「お、おう!当たり前だろ!俺だって・・・人を守ることくらいはできる!」

「アンタ等・・・ありがとう!先輩として何かあったらジャンジャン言ってくれ。」

「それ普通、俺等が言うんじゃないの?」

としばし談笑する。

すると

ドンガラガッシャァン!

と店の奥の厨房からド派手な破壊音が聞こえた。

「な、何だ!?敵襲!?」

「ちょっ!またやったの貴方はぁぁぁ!ちょっと待ってなさい!」

と凰蓮が厨房に向かう。

気になった俺も後に続く、すると

「・・・うきゅぅぅ。」

と大量の割れた皿や鍋などに埋もれて妙な声をあげるイリスがいた。

 

「お前何やってんだぁぁ!食品に関連するバイトは禁止つったろ!」

「えぇ・・・?でも皿洗いとかでしたし・・・」

「その結果割ってんなら意味ねぇだろぉ!」

と絶叫する俺を置いてさっさと皿達の監獄から脱出するイリス。

 

「それよりごめんなさい!店長さん!・・・また割っちゃいました・・・」

「全くよ!これで何回目!?」

「回数13の割った皿の数、合計58枚です!」

「そこだけハキハキするなぁ!アンタもうクビよクビ!クビ!クビクビ!クビクビクビクビクビクビィ!」

「凰蓮さん落ち着いてください!途中からクビがゲシュタルト崩壊しそうになってますよ!」

と怒る凰蓮を城乃内が慌てて止める。

 

「ハァハァ・・・とにかく!これ以上店の皿を割らせる訳にはいかないわ!今日でクビよ!」

「・・・はい。すいませんでした・・・」

とショボンとしながら店を出て行くイリス。

 

「あの・・・何かすんません・・・」

「あの子、あなたの知り合いなの?」

「まぁ、仲間っつーかクラスメートっつーか。」

「そう。なら今回の件は水に流してあげるわ。」

「え?」

「だって、あなたは私達を一度助けているでしょう?借りは返すわよ。」

「・・・ありがとう。凰蓮さん。あんた、良い奴だな。そんじゃ、俺ももう行くよ。これからもよろしくな。」

「ええ。今度は友達皆でいらっしゃい。」

「また来いよ。」

と俺はシャルモンを後にした。

 

ーーーーー

 

 

そのころ

 

貴虎に姉、晶に会うよう言われた紘太は姉と住んでいたマンションを訪れていた。

「・・・何か緊張するな。」

と扉の前で呟く。

「・・・よし!とにかくインターホン押してみるか。」

とインターホンを押す。

が返事が無い。

「・・・あれ?いないのかな?仕方ない。貴虎にでも連絡先を聞いて・・・」

と携帯を取り出そうとした。

 

そのとき

 

「・・・紘太?」

「・・・!姉ちゃん!?」

と今帰ってきたらしい晶が声をかけてきた。

 

「紘太・・・本当に紘太なのよね!?」

「ああ、そうだよ姉ちゃん。」

「なんで帰ってきたの!?舞ちゃんも一緒なの!?呉島さんにはもう会ったの!?」

「ねねね姉ちゃん落ち着いて!ちゃんと全部話すから!」

と揺さぶってくる姉を止める。

 

「そうよね。色々あるだろうけど今は、紘太。」

「何?姉ちゃん。」

「・・・おかえり。」

「・・・ああ。ただいま、姉ちゃん。」

と少し涙ぐみながら姉弟の再会を分かち合う。

 

「立ち話もなんだし中に入りなさい。」

と晶が部屋に入るように言う。

「ただいま・・・って言うのもなんか違うか。」

「良いのよそれで。ここはあんたの家なんだから。」

と話していると

ーワンワン!ー

と奥から声が聞こえると同時、茶色のフカフカした物体が紘太にぶつかってきた。

「うおっ!何だ!?・・・って子犬!?」

「ワンワン!」

そう、紘太にぶつかってきたのは柴犬の子犬だったのだ。

 

「この犬どうしたんだよ!?このマンションってペット禁止じゃなかったっけ?」

「そうだけど大家さんや周りの住人の皆さんと相談して特別に許可してもらったの。ちなみに名前はジローよ。」

「ジローって・・・てゆうか何でまた犬なんか?」

と晶に問う。

 

「だって、姉泣かせの弟が別れも告げずに勝手にどっかに行っちゃうんだもの。寂しくもなるわよ。」

と少し目を伏せて晶が言う。

「・・・そっか。ごめんな姉ちゃん。俺、自分の事で精一杯で姉ちゃんのこと何も考えてなかった。」

「いいのよ。こうしてまた帰って来てくれたんだから。」

と謝る弟に姉が笑い返す。

 

「それより、今からお昼ご飯作るけど食べる?」

「え・・・でも、俺の体はもう・・・」

「一緒に食卓を囲むだけでいいの。また昔みたいに取り留めの無い話でもしてさ。」

「・・・うん。わかった。じゃあ久々にごちそうになろうかな、姉ちゃんの手料理。」

「すぐできるから、ジローと遊んでてあげて。」

こうして三年ぶりに姉弟は同じ食卓を囲んだ。

 

「「ごちそうさまでした。」」

「ってもほとんど食べてないけど・・・」

「いいのよ。しょうがないじゃない。」

結局、幾つか食べてはみたものの味が分からずあまり食べる事ができなかったのだ。

 

「ごめんな、姉ちゃん。せっかく作ってくれたのに・・・」

「あんたが気にしても仕方ないでしょ。それより午後はどうするの?私はもう一回会社に戻るけど。」

「ああ、午後はビートライダーズの皆の所に顔を出そうと思ってるんだ。」

「そう、なら気をつけてね。」

「うん。じゃあ行ってきます。ジローもまたな。」

「いってらっしゃい。」

「クゥーン。」

と紘太は家を出た。

 

「クゥーン?」

とジローが晶を不思議そうに見つめてくる。

「全く、いつの間に大きくなっちゃって・・・色々あると思うけど頑張れ、紘太。」

と弟が出て行った扉に向かって晶は呟いた。

 

ーーーーー

 

 

そのころ

 

「よし!じゃあそろそろステージを見に行くか。」

と紘太は西のステージ・・・今日、ビートライダーズのダンスが行われる場所に向かった。

 

「おお。こりゃすげぇな。」

到着すると既に大勢の人が詰めかけているのが分かる。

すると

「紘太!」

と本部にいたはずの舞が駆け寄ってくる。

「舞!?怪我はもう大丈夫なのか?」

「うん!もう平気。それより凄い人だね!」

「ああ、そろそろ始まると思うけど・・・あ!皆が来たぞ!」

 

ステージに若者達が現れ、音楽と共に踊りだす。

 

「皆、やっぱり凄いな。」

「うん。前より上手になってるね。」

と、しばしステージに見惚れる。

 

音楽が終わり大盛況の中、彼らのステージは終わった。

すると

「紘太!舞!」

と自分たちに気がついたのかステージで踊っていたツートンカラーの服を着た青年、ザックが駆け寄ってくる。

「よう!ザック。皆も久しぶり!」

とステージの上の皆に笑いかける。

「紘太さん!?」

「うっそ!?マジで!?」

「舞も!お帰り!」

とかつてのチーム鎧武のメンバー、ラット、チャッキー、リカが駆け寄ってくる。

「どうしたんですか!?」

「ああ、まぁ色々あってな。」

と皆と久しぶりに談笑する。

 

「皆、話もいいけどそろそろ移動しないか?」

とザックが呼びかける。

「え?移動って何処に?」

「今日はドルーパーズで他のチームと交流会をするんだよ!」

と紘太の質問にペコが答える。

「俺も行って良いのか?」

「ああ、もちろんだ。久しぶりに坂東さんにも顔見せてやろうぜ。」

とザックが言う。

「よし!じゃあいくか!」

と皆でその場を後にした。

 

 

ーーーーー

 

 

そのころ、ドルーパーズでは・・・

 

「・・・はぁ。」

とイリスがため息をついていた。

「おいおいイリス、そんなんじゃ折角の交流会を楽しめないぜ。」

と今回の交流会の立案者である淳吾が言う。

「そうだぞ。淳吾の言う通りだ。ほれ、俺のおごりだ、食って元気だせ。」

と店長の坂東清治郎がパフェを差し出す。

 

「ありがとうございます・・・モグモグ。」

とパフェを頬張る。

すると

「こんちわー。」

と十馬がやって来る。

 

「・・・!十馬!さっきはごめんなさい!」

とイリスが十馬に頭を下げる。

「いいって。凰蓮さんも許してくれたし。それより久しぶり、坂東さん。」

「おお!十馬。久しぶりだな。最近なんかあったか?」

と坂東さんが聞く。

 

「ま、それなりに色々ね。それより淳吾、何でまた皆で集合なんて?」

と淳吾に問う。

すると淳吾は笑みを浮かべて、

「ああ、それならそろそろ来るよ。」

と答える

「来るって何が?」

と話していると

 

「こんにちはー!」

と若者の声がすると同時、大勢の若者がドルーパーズに入店してきた。

人数が人数だけにちょっとコミケみたいになっている。

 

「おお!来たなお前等・・・って紘太!?お前どうしたんだよ、久しぶりだな。」

「ああ、久しぶり坂東さん。」

と若者達の中に何故かいた紘太さんが坂東さんと挨拶する。

 

「おお!十馬もいたのか。これがお前のチーム?」

「ああ。ドラゴンロンドっていうんだ。」

とチームの格メンバーを紹介する。

 

「そっか・・・ま、折角の交流会だし楽しもうぜ!」

と紘太さんが言う。

「交流会・・・?淳吾、もしかしてお前が俺を呼んだのは・・・。」

と淳吾に問う。

すると淳吾は少し照れくさそうに視線をそらして

「そう、このためにリーダーを呼んだんだ。最近疲れてるみたいだしちょっとでもリラックスできればと思って。」

と言った。

 

「そっか、ありがとな淳吾。」

と淳吾の思いやりに感謝しつつ笑いかける。

「よし!今日は楽しむぞー!」

「「「おー!!」」」

 

それからしばらくして、俺は外にいたザックに声をかけた。

「よう、ザック。ちょっと話があるんだけど。」

「話?何だ?」

 

と首をかしげるザックに俺は貴虎から言われたことを伝える。

 

「そうか・・・やっぱりあの人マジメだな。」

「・・・で、どうなんだ?」

「・・・もちろん一緒に戦うよ。俺にも目標があるんでな。」

とザックが言う。

「目標?何だそれ?」

と俺が問う。

「俺には追いつくべき男が一人いる。そいつは誰より強くあろうとする不器用な男だった。そしてその生き様が故に命を散らす事となったんだ。俺は今でもアイツの背中を追いかけてる。アイツの目指した高みに立ちたいんだ。」

と遠い目をしてザックが言う。

「・・・その人って?」

「・・・駆紋戒斗。俺の昔のチーム、バロンのリーダーだった男だ。」

「駆紋、戒斗・・・。」

と今聞いた名を反芻してみる。

 

その後ザックは駆紋戒斗について色々な事を教えてくれた。

そして最後にこう言った。

「お前はアイツに少し似てる所があるよ。自分の目的のために力を得ようとするその姿勢がな。」

と俺に姿を重ねながらザックが言う。

「・・・そっか。ありがとなザック。これからもよろしく。」

と俺は手を差し出す。

「ああ、こっちもよろしく頼むぜ。」

と堅い握手をかわす。

 

すると

「十馬〜!ザックさんもこっちに来て皆でおしゃべりしましょうよ〜!」

とイリスの呼ぶ声が聞こえる。

 

「ああ、今行く。」

と俺たちは再び店内に戻った。

 

そして交流会は終わり、それぞれが家へ帰っていった。

・・・十馬を除いては。

 

ーーーーー

 

 

「ここか・・・。」

と呟く。

俺は今、街外れにある墓地に来ていた。

ザックに別れ際に聞いた場所だ。

そしてある墓石の前で立ち止まる。

 

その墓石には『駆紋家』と刻まれていた。

「・・・あんたは強さを求めた。俺も同じだ。でも違いがあるとすれば・・・俺は自分じゃない誰かを救うために力を使う。たとえ自分がどうなろうと、世界がそれを否定してもだ。」

と言い、百合の花束を供える。

すると

「君もお墓参りに来たの?」

と後ろから声をかけられた。

 

「うおっ!びっくりしたぁ。・・・あんたもこの墓に?」

「うん。君もなんだね。」

と後ろの人物が一歩前に出る。

歳は20代はいっていると思うが少し幼い雰囲気のある青年だ。髪は茶髪で少し跳ね上がっている。

 

「じゃあ、俺はこれで。」

「うん。ごめんね、邪魔しちゃって。」

「いいって。じゃ、失礼するよ。」

と俺は墓地を去った。

 

その後、十馬が去った墓地にて

 

「少し、戒斗に似てたな。さっきの人。」

と青年、シャプールは呟いた。

「戒斗。僕今、お父様の子供と一緒に財団を運営してるんだ。君があのとき言ってくれた、戦う相手と戦ってね。」

と墓石に向かって続ける。

「君も、きっとそうして、死んじゃったんだね・・・お礼が直接言いたかったのに・・・!」

とシャプールの頬に涙が伝う。

それを拭い、続ける。

「でも、決めたんだ。戒斗の分まで生きてもっと世界のために働こうって!・・・だから見守ってて、僕も君の仲間も。」

そう言ってシャプールは墓地を後にした。

 

ーーーーー

 

 

そのころ

 

墓地を後にした十馬は家に帰る道を歩いていた。」

「皆、それぞれ思いを抱えてそれでも戦うのか。・・・俺も負けてられないな!」

と歩きながら言う。

「俺はもっと強くなる!・・・皆を、”あいつ”を守るために!」

と決意する。

そんな彼の上には北極星が道しるべのように輝いていた。

 

 

ーーーーー

 

そのころ・・・

 

貴虎はある場所に訪れていた。

どこかの書斎のようなその部屋で貴虎はある人物と相対していた。

「・・・そうか。適性能力とニヴルヘイムの抗体をもつ少年に人類に敵意を示すオーバーロードか。」

とデスクに座った初老の男性が言う。

「はい。かつてのアーマードライダーを集めてはいますが戦力不足というのが現在の状況でして・・・。」

と貴虎がその男性に言う。

「それについては追加戦力を用意してある。君は今まで通り、任務に励みたまえ。」

「はい。分かりました。・・・それでは失礼します。」

と貴虎はその部屋を後にした。

 

その後、貴虎の去った書斎にて

 

「戦力は”アイツ”を呼んであるから大丈夫だろうが・・・不確定因子はやはり龍崎十馬か。」

と初老の男が言う。

「まぁいい。今はまだ雛でもいずれ羽ばたく巨鳥になるか。・・・さぁ龍崎十馬。君はどんな可能性を見せる?」

と男、星崎慧は一人きりの部屋で呟いた。

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第5話、いかがだったでしょうか。
ちなみにシャプールは本話だけのスペシャルゲストです。
素の小林豊さんを知った後だと、もうただのこばゆたにしか見えない…

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