仮面ライダー鎧武 新章 〜幻獣の樹海〜   作:ダイタイ丸(改)

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どうも、最近寝ても覚めてもこの小説の事ばかり考えているダイタイ丸(改)です。
原典でのアメミト君はハートイートモンスターだそうで。
怖いなぁ。


第4話 襲来!謎の冥界ライダー!

前回までのあらすじ

 

新世代ライダー、デュークⅡへの変身を遂げた十馬は改めて貴虎に光実、そして紘太と共にニヴルヘイムに立ち向かうことを決意する。そんな中シャルモン二号店にクラックが出現。現場に駆けつけた十馬達からベルトを託されたザック、凰蓮、城乃内は再びアーマードライダーナックル、ブラーボ、グリドンとして戦う。そして紘太と十馬の連携によりクラックから現れたインベスは全て倒された。

だが勝利と再会を喜ぶ彼らの前にオーバーロードだと名乗る少年、冥也ことダハーカが現れ、新たなライダーに変身した。

 

「俺はアーマードライダーアメミト!」

「さぁ!裁きの時だ!」

 

ーーーーー

 

 

「アーマードライダー・・・アメミトだと!?」

と俺が言う。

「そうだ!存分にいたぶってやるよ!」

とアメミトがいつの間に手にしていた武器、ブドウ龍砲を俺たちに向かって撃ってくる!

「くっ!皆!いくぜ!」

と紘太さんが言うと同時に皆、各々のライダーに変身し奴に向かっていく。

「オラァ!」

と奴が円刃のような武器、キウイ逆鱗を振るい、周りに衝撃派を放つ!

「うわあぁ!」

「グァ!くっ!こいつ・・・強え。」

「坊や!大丈夫!?こいつ、メロンの君並みに強いわね!」

と衝撃波に切り裂かれ、城乃内、ザック、凰蓮が変身解除してしまう。

 

「僕もヨモツヘグリは使った事はあるけど・・・これほど力を引き出せるなんて!」

と光実が驚愕する。

「ミッチ!皆!大丈夫か!?」

と紘太さんが言う。

「クッ!何だこいつ・・・力の底が全然見えねぇ・・・」

と俺も言う。

「皆、落ち着け!ひとまず距離をとるぞ!」

と貴虎の指示で一度距離をとり、皆で離れた所から銃や矢で攻撃する。

しかし

「これをくらいな!」

『ヨモツヘグリスパーキング!』

と奴がベルトのブレードを三回倒し、銃にエネルギーをためると射撃技『デッドシューティング』を放つ。

「貴虎!ミッチ!危ない!」

と紘太さんが二人を突き飛ばし、まともに奴の攻撃を浴びてしまう。

「うわぁ!」

「紘太さん!ッ!グァァ!」

と攻撃を受けた紘太さんが倒れ、その余波で光実も変身解除してしまう。

「光実!葛葉!」

「てめぇ!よくも皆を!」

と俺がソニックアローを振るい、奴に向かっていく。

「待て!落ち着くんだ十馬!」

と貴虎が言うも俺の耳には届かない。

「ハァ!おりゃ!せいやっ!」

と連続して斬撃を浴びせるも奴にはまるで効かない。

「この程度か!」

「っ!ならコレをくらえ!」

とベルトのレバーを二回押し込む。

『レモンエナジースパーキング!』

「はっ!」

と矢を打ち込み結界を出現させると同時、奴にキック・・・『エクスペリメントエンド』を放つ!

「邪魔だぁ!」

「何っ!?ぐぁぁ!」

と奴がオーラを放ち、結界ごと俺を吹き飛ばす!

「くっ!」

「お前は弱いな。ベルトの力を使いこなすだけの力が無い。」

「もういい、消えろ!」

と奴が腕に巨大なワニの顎のような武器を出現させ、俺に向かって振るう。

「ぐっ!ぐはぁ!」

とライドウェアが切り裂かれ、腕に切り傷ができる。

そのまま変身解除した俺は傷を抑えてうめく。

「うぅ・・・」

「十馬!貴様ぁ!」

と貴虎が奴に斬り掛かる!

「ほぉ!お前は少しはやりそうだな!」

とアメミトと斬月の対決が始まる。

お互い、一歩も譲らず五分五分の戦いが繰り広げられる。

「そこだ!」

「グッ!?」

と、一瞬の隙をついて斬月の一撃が奴に決まる!

「ハハハ・・・こうでなくっちゃ!」

と初めてダメージらしいダメージを受けた奴が楽しげに笑う。

だが、その時

「なにぃ!グハッ!」

と奴のロックシードが妖しく輝くと同時、奴が力をとられたように膝をつく。

「あれは、ヨモツヘグリの副作用か!?」

と貴虎が言う。

 

「なるほど・・・命を吸うってのは伊達じゃないみたいだな。・・・興ざめだ。今日はここまでにしてやる。」

と奴が隣に開いたクラックから森へ帰っていく。

 

 

「助かったか・・・大丈夫か!?十馬!」

と変身を解いた貴虎が駆け寄る。

「あ、あぁ。・・・っ!グッ!グアァァ!」

と俺が叫ぶと同時、傷口から植物が生え、体にまとわりつく!

「っ!ヘルヘイム症と同じか!傷口に植物の種が!?クッ!とりあえず本部に・・・っ?何!?」

と貴虎が驚く。

無理も無い。先ほどまで俺にからみつき、苦しめていた植物が急に枯れ、ボロボロと自壊し始めたからだ。

さらに、

「っ!・・・え?傷が・・・塞がってる?」

そう、植物の自壊と同時、腕の傷口が緑に光り、傷が塞がったのだ。

 

「・・・何で?」

「っ!十馬!大丈夫なのか?」

と貴虎が心配そうに言う。

「あ、あぁ・・・でも、何で?」

「わからんがとりあえず本部の医務室で検査しよう。まだ種が残っているかも知れない。皆も手当を受けるんだ。今はしっかり休め。」

「さすがね!メロンの君!惚れ直したわ〜!」

「おい、オッサン!今は本部に行くのが先だろ!」

と凰蓮が貴虎にからみ、紘太さんがそれを止める。

「まぁ、それだけ騒げるなら大丈夫か・・・ん?十馬、どうかしたか?」

「・・・いや。何でも無い・・・」

「?そうか。なら行こう。一応、一番の重傷をおったのは君だからな。」

「・・・ああ。」

と俺はそれに答え・・・無言で拳を握りしめた。

 

 

ーーーーー

 

 

その後、俺は医師の診察をはじめ、CTスキャンなども使って体を調べたがどこも異常はなかった。

 

「どうなってんだ・・・あの時、俺は間違いなく傷をおった・・・それにあの植物も体に入り込んでいたはずだ。なのに何で?」

と廊下の椅子に座りながら呟く。

「それに・・・」

と奴、アメミトの圧倒的な強さと奴が言い残した言葉が甦る。

「俺はベルトをまだ完全に使いこなしていない・・・もっと・・・強くならなきゃ・・・じゃなきゃ、”あいつ”を・・・クソっ!」

と憤りと怒りを込めて壁を殴りつけた。

 

ーーーーー

 

 

そのころ、本部の司令室では・・・

 

「十馬のDNA検査の結果はどうなった?」

と貴虎が葵に尋ねる。

「99%、人間のものだよ。ニヴルヘイム植物も、検出されなかったし。」

と葵が言う。

「99%?残りの1%は?」

「いや、1%くらいなら誤差の範囲内だ。少なくとも彼が実はオーバーロードでドライバーと錠前を盗み奴、ダハーカに渡したということはありえないよ。」

と葵が貴虎に言う。

「!・・・すまない。別に彼が信用ならない訳ではないのだが・・・」

と貴虎が少し、気まずそうに言う。

「いいよ。君はこのチームのリーダーだ。あらゆる可能性を考えなければならないからね。仕方ないさ。」

と葵が少し慰めるように貴虎に言う。

「ああ。だが、だとすれば一体何故・・・?」

と貴虎は再び尋ねる。

「これはあくまで仮説だけど・・・彼の体内にはニヴルヘイムの毒素に対する抗体のようなものがあるのかもしれない。それが先天的なものか、あるいは誰かに与えられたのかは分からないけど。」

と葵が言う。

「ロックシードの力を引き出す適性能力にニヴルヘイムの抗体・・・彼は一体何者なんだ?」

と貴虎が言う。

「分からないけど、彼の過去については調べておいたほうがいいかもね。」

と貴虎に葵が提案する。

「ああ。少し、彼とも話してみることにする。」

そう言って貴虎は司令室を後にした。

 

「まったく。君は馬鹿がつくほどまじめだなぁ。まぁ、そんな上司に付いていってる僕も僕か・・・」

と貴虎の去った司令室で葵が呟いた。

 

ーーーーー

 

 

一方、司令室を去った貴虎は医務室に向かっていた。

すると、医務室の前の椅子に座る十馬を見つける。

「十馬。大丈夫か?」

と貴虎が尋ねる。

「・・・ああ。」

と十馬が弱々しく返事をする。

「何か、あったか?」

と少し十馬を気遣いながら貴虎が聞く。

「・・・なぁ、貴虎。」

とうなだれながら十馬が言う。

「何だ?」

と貴虎が答える。

「あんた・・・何でそんなに強いんだ?」

と十馬が聞いてくる。

「私は強くなど無い。」

と貴虎が言う。

「でも、あんたはアメミトと互角にやりあえたじゃないか。」

と十馬が言う。

そんな十馬に貴虎は続ける。

「確かに直接的な強さは必要だ。だが、それ以上に必要なものもある。私はそれを葛葉から教わった。」

と教え諭すように貴虎が言う。

「・・・それって?」

と十馬が聞く。

貴虎はそれに真剣な表情で答える。

「決して諦めない心だ。私はヘルヘイムの侵略の際、何度も葛葉を倒しユグドラシルに楯突くのは無謀だと知らしめた。私はヘルヘイムの脅威から全ての人を守るのは不可能だと諦めていた。たとえ人類の七分の六を見捨てるとしても、それしか方法は無いと無理矢理自分に言い聞かせてきた。・・・だが、葛葉は違った。あいつは決して諦めず、何度倒されても自分の信念を貫いた。たとえ・・・自分自身を犠牲にしてでも今ある世界を救うという信念を。」

と貴虎がかつての自分に言うように続ける。

「・・・」

十馬は黙ってそれを聞く。

「だからお前も諦めるな。何度でも奴に挑んで、勝つまで諦めるな。その思いこそ、強さの理由になる。」

と十馬に言い聞かせる。

「決して・・・諦めない・・・そうだ。俺は、こんな所で止まってる場合じゃない!」

と十馬が立ち上がる。

その目に決意を宿らせて。

「ありがとう。貴虎。・・・それと俺、二、三日留守にするわ。じゃ、そういうことだから。悪いけどその間は頼む。」

と十馬が歩き出す。

「わかった。こっちは任せろ。」

と貴虎はその背を静かに見送った。

 

「結局、抗体については聞きそびれたか・・・」

「まぁ、いい。あいつの過去については葵にでも調べてもらおう。」

と貴虎は一人きりの廊下で呟いた。

 

 

ーーーーー

 

 

それから三日の間、十馬は姿を見せなかった。

 

そして、

 

「今日で三日か。彼がいなくなってから。」

と葵がため息をつく。

あれから三日の間、クラックの出現頻度は変わる事はなかった。

だが幸いなことに奴、アメミトが現れることはなかった。

「まぁ、奴が現れればベルトの反応がでるからすぐ見つけられるけどね。」

と葵が言う。

「だが、仮に見つけたとしても現時点で奴を倒せる者はいない。私でも攻撃を当てるのが精一杯だった。」

と貴虎が言う。

「ああ、それについてだけど奴を倒す策を考えてみた。」

と葵が少し得意げに言う。

「何だ?その策とは?」

「それを言う前に一つ、これは十馬君でなければできない。そして今の彼では力不足だ。」

と葵が告げる。

「どういう事だ?」

と問う貴虎に葵が続ける。

「君は覚えているかい?十馬君が奴に必殺技を放った時の事を。」

「ああ、結果としてはあらかじめ張っていた結界ごと弾き飛ばされたのだったか。」

とその時を思い出して貴虎が言う。

「うん。この事から奴には最高クラスのエナジーロックシードのパワーも効かないと分かる。」

と葵が言う。

「なら、どうするんだ?」

と貴虎が尋ねる。

「答えは簡単さ。ロックシードのエネルギーを直接、奴の装甲の一番弱い場所に叩き込むんだ。十馬君の斬撃に耐えたということは奴は何重にもなった装甲を持っていると思われる。まさにワニの鱗さ。最初の鱗が切り裂かれてもその下にある何枚もの鱗が攻撃を無効化する。なら、その鱗が薄い位置をデュークの解析能力で見つけ出し、そこにエネルギーを集中させるって訳。」

と葵が説明する。

「なら、十馬が力不足だというのは?」

と貴虎がさらに尋ねる。

「この方法を行うには奴に接近戦でひけをとらない力が必要だ。だが、彼にはそういった駆け引きの経験が圧倒的に足りない。だから力不足だということだ。」

と葵が説明を終える。

「そうか・・・」

と貴虎が言う。

「ああ、それと管理していたロックシードが五、六個無くなってたんだけど君が持ち出したのかい?」

と今度は逆に葵が貴虎に尋ねる

「いや。私では無いな。・・・まさかアメミトが!?」

と貴虎が慌てたように言う。

「いや、それは無い。奴は自力でクラックを開けられるからね。」

とそれに冷静に葵が答える。

「となると・・・一体誰が?」

と貴虎がいぶかしむ。

「さぁ?それより彼が帰ってきたら君が鍛えるなりしてあげなよ?」

と葵が言う。

「ああ。分かった。」

と葵に返事を返す。

 

そのとき

 

部屋にブザーが鳴り響き、ディスプレイに座標と反応が表示される。

「これは奴の反応か!?」

と貴虎が葵に聞く。

「ああ、そうだ。場所は・・・西D区の倉庫内!」

と葵が座標を伝える。

「っ!確かそこはドラゴンロンドの本拠地だったはずだ!」

と貴虎が戦慄して言う。

「急いでくれ!彼らに被害が及ぶ!」

と葵が指示する。

それに従い貴虎は急いで倉庫に向かった。

 

ーーーーー

 

 

その数分前、倉庫では・・・

 

ドラゴンロンドの面々が皆、一様に暗い表情をしていた。

「十馬・・・どこに行っちゃったんでしょう・・・」

と銀髪の少女、イリスが呟く。

「もう四日も学校にも来てないですからね・・・」

と隣に座る少年、竜希が返す。

「何か、あったのかねぇ・・・」

といつも明るいジョーも暗い様子で言う。

「もうこのまま会えないんじゃ・・・」

とリンが言う。

「・・・!そんな事ありません!十馬は絶対に帰ってきます!」

とイリスが泣きそうになりながら言う。

「そ、そうだね・・・」

「まぁ、リーダーのことだし大丈夫だとは思うけど・・・」

と皆、どこか不安そうに言う。

「十馬・・・」

とイリスが呟く。

とはいえ皆がここまで十馬を心配するのは、単にチームのリーダーだからという理由だけでない。

このチームのメンバーは皆、一度は十馬に助けられた人間なのだ。

イリスもかつて、いじめに合っていたとき十馬に助けられたのだった。

 

ーーーーー

 

 

あのとき、自分は転校してきたばかりで右も左も分からなかった。

自分の容姿を妬んだ女子がいやがらせをしてきた事もあった。

そんなある日、通りかかった男子上級生に校舎裏に連れて行かれた。

そして、自分に迫ってきた。

イリスは嫌だと言ったが男子生徒たちは無理矢理しようとしてきた。

そのとき、一人の少年の声が聞こえた。

「何やってんすか?先輩方。」

「転校生に無理矢理してそんな楽しいっすか?なら、俺と遊びましょうよ!」

そう言うなりイリスを抑えていた男子生徒の顔面に拳を叩き込んだ。

それからわずか十分足らず。

五人はいた上級生を彼は一人で倒してしまった。

そして

「大丈夫か?班目さん。」

「あ、あの・・・ありがとう、ございました。何で私の名前を?」

「あ、やっぱ覚えられてない?一応君のクラスメートだけど。」

「・・・あ。」

そうだ、思い出した。最初の日、挨拶を皆にした時に優しい目で拍手をしてくれた人だ。

「あ、あの・・・その、ごめんなさい。私のせいで・・・。」

「何で謝るのさ。だって女の子が襲われてたら助けるっしょ。フツー。」

「で、でも上級生相手に・・・」

「どうせ、相手も学校には言えないでしょ。・・・ああ、そうだコレ。」

と彼がヘアピンを差し出してくる。

「・・・!こ、これ!」

「落ちてたぜ。君のだろ?」

それは日本に行く際、母がくれた大切なものだった。

「ありがとう・・・何から何まで。・・・あの、お礼に何かできることありますか?」

「ん?そうだな、じゃあ・・・俺の友達になってくれるか?友達、あんましいなくてさ。」

と彼が手を差し出してくる。

「俺、龍崎十馬。十馬って呼んでくれていいぜ。」

「はい。私のこともイリスって呼んでくれますか・・・?」

「ああ。よろしく、イリス。」

「こちらこそです・・・十馬。」

こうしてイリスは十馬と、自分のヒーローと出会った。

 

ーーーーー

 

 

それからイリスは十馬を特別な存在だと意識するようになった。

十馬の気持ちがどうかは別として。

だからあの時も彼に寄り添っていたくて無理を承知で自分も連れて行ってくれと頼んだのだ。

「十馬・・・早く帰ってきてください・・・。」

と膝を抱えて呟いた。

 

そのとき

 

倉庫の真ん中に突如、次元の裂け目のようなものが出現し、中からアーマードライダーが出てきた。

「さぁて・・・今回の獲物は何だぁ?」

と中から出て来た謎のライダーが言う。

「な!なんだよお前!」

とジョーが腰を抜かす。

「ああ?うるせぇよ!黙りな!」

とライダーが衝撃波を放ち、皆が吹き飛ばされる。

「きゃぁ!」

「うわぁ!?」

「くっ!?」

と皆が壁に叩き付けられ悲鳴をあげる。

「さて・・・」

とアメミトが首を鳴らしながらイリスに近づいてくる。

 

「あ、あぁ・・・」

恐怖でうまく言葉が出せない。

 

でも、前にもこんな事があった。

 

あのときは・・・どうしたんだっけ?

 

たしか、怪物に連れて行かれそうになって・・・

その後は・・・

 

「俺の仲間に・・・手を出すなぁ!」

と倉庫の壁を突き破り、一台のバイクが奴に突進する。

「なに!グァ!」

と不意をつかれたのか奴が弾き飛ばされる。

そしてバイクに乗っていた少年がメットをとる。

 

「皆!大丈夫か?」

 

イリスのヒーロー、十馬の帰還だった。

 

「十馬!」

「十馬さん!」

「リーダー!」

「十馬!?何してたのさ?」

と皆、思い思いに十馬を呼ぶ。

 

「ああ。皆わりぃ。遅くなった。俺が変身したらすぐ逃げろ。守りながら勝てる相手じゃねぇ・・・。」

と珍しく十馬が弱気な口ぶりで言う。

「わかりました・・・十馬!無茶だけはしないでください!」

 

「よぉ・・・こないだはどうもな。」

と十馬がアメミトと対峙する。

「お前じゃつまらん。あの白い奴はどこだ?」

とアメミトが言う。

「お前に教えてやるよ・・・人は絶えず進化するもんだってな!」

と叫びベルトを装着する。

「いいぜ・・・前菜くらいにゃなるだろ。」

とあくまでアメミトは余裕を崩さない。

「なめんなよ・・・行くぜ!」

 

「変身!」

 

『レモンエナジー!』

『ROCK ON!』

『レモンエナジーアームズ!ファイトパワー!ファイトパワー!ファイファイファイファイファファファファファイト!』

 

と俺はアーマードライダーデュークⅡになり、奴に向かっていく。

「おりゃぁ!」

「フン!」

とすぐに打ち合いになるが俺の劣勢は変わらない。

「どうした!さっきの自信はぁ!?」

「ぐぁぁ!」

と吹き飛ばされる。

そのとき

「十馬!」

と貴虎が駆け込んでくる。

「十馬。いいなよく聞け。奴の装甲の薄い所をお前のベルトの力で探せ!

そしてそこにエネルギーを集中させるんだ!」

と貴虎が奴の攻略法を教えてくれる。

「ああ!わかった。それと貴虎!お前のロックシードを貸してくれ!考えがある!」

と貴虎に頼む。

「考え?・・・分かった。お前に任せる。」

とメロンエナジーロックシードを十馬に渡す。

 

「行くぜ!・・・まずは解析!」

と言うと額のゲネティックシグナルが光り、奴の全身をスキャンする。

すると、以前斬月に斬られた脇腹の装甲が薄いことが分かる。

「そこか・・・よし!いくぜ!」

 

『レモンエナジースカッシュ!』

 

とソニックアローの刀身にエネルギーを集中させる。

「あとは正確に攻撃するだけだが・・・」

と貴虎がどこか不安そうに言う。

「ハッ!その程度のエネルギーで俺に勝てると思ったか!?」

とアメミトが嘲る。

「いいや、思っちゃいないさ・・・だからコレを借りたんだ!」

そう言ってさきほど貴虎から譲り受けたメロンエナジーロックシードをソニックアローに装填する。

 

『ROCK ON!』

 

「・・・!よせ、十馬!エナジーロックシードを二つ使っての必殺技は危険だ!お前の体が耐えられない!」

と貴虎が戦慄して言う。

「やってみなきゃ・・・分からないぜ!」

と俺は二つのロックシードのエネルギーをソニックアローに集中させる。

「・・・ククク。ッハハハ!お前もなかなかやるじゃないか!なら礼儀をつくさねぇとなぁ!」

 

『ヨモツヘグリオーレ!』

 

と奴も持っていた武器、アメミトバイトにエネルギーを集中させる。

 

「いくぜ!」

「かかってこいよ!」

 

とお互い相手に向けて走り出す。

 

そして二人の姿が交差し、エネルギーが爆発した!

 

「うわぁぁぁ!?」

「くっ!これほどとは!」

「きゃっ!」

と爆発の余波が皆にも降り掛かる。

 

そしてエネルギーが収まり・・・二つの人影が見えるようになる。

 

「クッ!ッハハ・・・やっぱりお前は詰めが甘いな・・・」

と脇腹をおさえるアメミト。

そして

「くっ!くぁ・・・」

と変身解除し、膝から崩れ落ちる十馬。

 

「・・・!十馬!」

「とうま・・・?っ十馬!」

とイリスと貴虎が駆け寄ろうとするが、思いとどまる。

 

 

無理にエネルギーを集めた俺はダメージが大きく立ち上がる事すらできないでいた。

そんな俺にアメミトが語りかける。

「お前・・・この数日の間に何があった。」

「何・・・?」

「お前はまだまだ弱い。・・・だがこの間より格段に動きが良くなった。

俺に相打ちとはいえ一撃当てたのがその何よりの証拠だ。」

 

「・・・別に、特別な事は・・・しちゃあいねぇさ・・・お前に勝つには・・・経験が足りない・・・だから無理矢理補おうとしただけさ・・・。」

そう、俺はこの三日の間、足りない実践経験を補おうとしていたのだ。

 

「ロックシードでインベスを召喚して片っ端から倒す・・・それしか思いつかなかったんでな・・・。」

 

「そうか!葵が言っていたロックシードはお前が・・・!」

と貴虎が言う。

 

「それでも、俺にはまだ及ばないか・・・。」

とアメミトが言う。

「くそっ・・・」

 

いつ、とどめを刺されてもおかしくない状況の中でも十馬は決意していた。

 

「まだ・・・あきらめねぇぞ・・・」

決して諦めない、貴虎から教わった言葉の通りに十馬は諦めるつもりは無かった。

 

「・・・ッククク・・・ハッハッハッ!それでいい・・・お前はまだまだ強くなりそうだぁ・・・。」

と言ってアメミトがクラックを出現させる。

「今日は生かしといてやる・・・次に会うときはもっと強くなってろ・・・」

と言い残しアメミトがクラックへと消えていく。

 

アメミトが消え、クラックが閉じるのを確認してから貴虎は十馬に駆け寄った。

「十馬!大丈夫か!?しっかりしろ!」

「・・・ああ。わりぃな貴虎・・・ロックシード返すぜ・・・」

「今はそれどころじゃ無い!」

と十馬に肩を貸してやる。

「十馬!」

「リーダー!」

「十馬さん!」

とチームの面々も駆け寄ってくる。

「皆・・・わりぃな・・・黙ってて・・・」

「このバカ十馬!今はそんな事いいのに・・・!」

とイリスが目を潤ませながら言う。

「本当ですよ!十馬さんは一人で抱え込み過ぎです!僕たちも少しは信用してください!」

と竜希も珍しく怒っている。

「ほんっと、バカなリーダーだよ・・・!」

とジョーは少し安堵した様子で言う。

「もう!心配したんだかんね!」

とリンがプンプンと怒る。

「全くだよ、このバーカ!」

と淳吾は怒りながらもどこか安心した様子だ。

「本当に自分勝手な人ですわね・・・少しは私達の事も考えて行動しなさい!」

とレイナがキツく言う。

 

そんな皆に俺は思わず笑ってしまっていた。

自分の事をここまで心配してくれる皆が愛おしく思えたからだ。

そして言う。

「ああ、わりぃ・・・それより皆・・・」

「「「何?」」」

「・・・ありがとう、そしてただいま・・・」

と皆に笑顔を見せる。

「全く・・・おかえりなさい、十馬。」

とイリスが言う。

 

外からの夕焼けが俺たちの影をいつまでも優しく照らしていた。

 

ーーーーー

 

 

そのころ・・・ニヴルヘイムの樹海の奥にある遺跡のような場所に複数の影があった。

その中にはアメミト・・・ダハーカの人間態、冥也の姿もあった。

そんな冥也にその場にいた一人の男が話しかける。

「ダハーカ・・・どういうつもりですか?あの人間を生かすとは。分かっているでしょう?彼の持つ『因子』は私達の障害となる可能性がある。ならば早めに叩き潰すべきです。」

と知性を感じさせる口ぶりでその男が言う。

「うるせぇよ・・・ファフニール。俺はお前の駒じゃねぇ。協力者だ・・・立場を考えな。」

と冥也が言う。

「しかし、ですよ・・・」

となおもファフニールと呼ばれた男が咎めようとしたとき、

 

「好きなようにさせてやれ、ファフニール。俺たちは仲間だ・・・喧嘩はよそう。」

と一つの声が妨げる。

 

「申し訳ない。シュバリヤ、しかし彼はやはり危険です。」

とファフニールが声を発した張本人に向かって言う。

「そのときはオレが自ら奴を倒すさ・・・それまでは好きにしろ。ダハーカ。」

とシュバリヤ・・・正面の玉座に座る青年が冥也に言う。

「ああ・・・そうさせてもらうぜ・・・」

そう言うと冥也はその場を立ち去った。

 

「いいんですか?」

とファフニールが言う。

「いいさ・・・それに、奴の力も手に入れられればオレはますます強くなれる。」

とシュバリヤと呼ばれる青年が答える。

「龍崎十馬・・・お前の力も奪ってやる・・・あの日のようにな・・・」

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




と言う訳で第4話でした。
貴虎にはこのまま十馬の師匠ポジに居てもらおうかなと考えていたり。
生身でデスアーミー倒せそう。

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