仮面ライダー鎧武 新章 〜幻獣の樹海〜   作:ダイタイ丸(改)

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こんばんわダイタイ丸(改)でーす!
嫌な思い出ほど記憶に残ったりしますよね。
自分は4歳くらいの時に見た『エイリアン』がトラウマ……


第12話 明かされる過去

前回までのあらすじ

 

クラックの出現がピタリと止み、十馬は久方ぶりに平穏な生活を送っていた。

しかし、再開発地区に巨大なクラックが出現。

緊張の走る中、葵は一人先走ろうとする十馬にその理由を尋ね過去を明かしてはどうかと提案するのだった。

 

 

 

 

 

「わかった、話すよ・・・俺の戦いが、全てが始まった10年前のあの日の出来事を」

 

 

ーーーーー

 

 

物心がついた時、俺には親がいなかった。

 

何でも夫婦揃って出かけている時に交通事故で死んだらしい。

 

それで俺は孤児院で育った。

 

院長先生とお手伝いの先生が一人、子供が10人程いる小さな孤児院だった。

 

小さい頃の俺は人見知りで暗い性格だった。

 

別に親がいないことが悲しかったわけでも、そのせいで性格が歪んだわけでもない。

 

ただ、何となく本当の自分を誰かに見せるのが怖くて、誰とも仲良くできずにいた。

 

そのせいで他の奴にからかわれることも多く、友達なんてできっこなかった。

 

けどある日、新しい子が一人、孤児院に入ってきた。

 

女の子で名前は藤井真奈といった。

 

俺と同じように両親を同時に亡くし、親戚もいないとのことでここに来たらしい。

 

仲良くしてみようなんて気は全くなかった。

 

だってきっとすぐ他の奴と仲良くなって、俺のことを聞いて、バカにするに決まってる。

 

 

けど入ってきたその日、彼女が俺の目の前に座ってきた。

 

どうせバカにされるんだろうと思っていた俺は、目を合わせずうつむいたままだった。

 

そんな俺に彼女が聞いてきた。

 

「ねぇねぇ、昨日テレビでやってた恐怖の心霊特集見た?」

 

「・・・は?」

 

俺は驚いた。人違いでもしてるんじゃないかとも思った。

 

けれど彼女はじっと俺の方を見ている。

 

実際、その手の番組は好きで特集も皆がいない時に見ていたので控えめに頷いた。

 

すると「やった!見てる人他にもいた!」と言って彼女が隣に移動してきた。

 

それからずっと一人であの心霊写真は偽物だのあのスポットには本当に幽霊が出るだのと話していた。

 

最初は適当に相槌を打つだけだったのだが、話しているうちに何だか盛り上がってしまい、気づけば本当に生まれて初めてなくらいに話すことに夢中になっていた。

 

彼女の方も、饒舌になる俺に戸惑うような仕草を見せつつも一緒になって話して笑ってくれた。

 

一通り話しが終わって、俺は彼女に聞いてみた。

 

「ねぇ、なんで俺と話そうと思ったの?他にも見てる奴いそうじゃん」

 

そんな俺の問いに彼女は笑ってこう答えた。

 

「だって、みんな君とだけ遊ぼうとしないんだもん。だったら君と仲良くなれればみんなも仲良くできるかなって。・・・ごめん、嫌だった?」

 

「いやいや!そんなことないよ。俺、こんな風に人と話したの初めてだったから嬉しくてさ・・・」

 

と少し恥ずかしがりながら言うと彼女は嬉しそうに笑い、手を差し出してきた。

 

「じゃあ友達になろ?えーと、名前は・・・」

 

「十馬・・・龍崎、十馬っていうんだ」

 

「そっか!私、藤井真奈っていうの!よろしくね!」

 

「・・・うん!」

 

 

こうして、俺と真奈は出会った。

 

それからはいつも一緒だった。

 

遊ぶのも一緒、ご飯を食べるのも一緒、本当にトイレと風呂以外はいつも一緒って言えるくらいだった。

 

小学校に上がって、真奈のおかげで性格も明るくなった俺はクラスのみんなとも仲良くできて、何もかもが楽しかった。

 

それも、今思えば真奈がいつも隣にいてくれたからだと思う。

 

だけど小学校3年の夏、そんな優しい世界は唐突に終わりを告げた。

 

 

ーーーーー

 

 

その日は夏にしては風が涼しかったのを覚えている。

 

学校が終わってから、帰り道にある公園で遊んで帰ろうと俺が言うと真奈は嬉しそうに頷いて俺についてきた。

 

それからブランコに乗ったり、滑り台を使って追いかけっこをしたり、当時ハマっていた特撮ヒーローごっこをしたりした。

 

気づけばもう夕焼けで空が赤く染まっていた。

 

「そろそろ帰るか?」

 

「そうだね。先生達心配性だから遅くなると悪いもんね」

 

そう言って仲良く手をつないで帰り道を歩いた。

 

 

すると、その時。

 

 

帰り道の途中にある空き地に、妙なものを見つけた。

 

「なんだこれ?チャック?」

 

”それ”はまるで壁にチャックが付いているかのように見えた。

 

その向こう側には何故か不思議な雰囲気の森が広がっている。

 

「これ、向こうに行けるのかな」

 

「や、やめよう?危ないよ」

 

「大丈夫だって。怖いなら待ってるか?」

 

「やだ!」

 

そうして、俺たちは森へと入っていった。

 

 

ーーーーー

 

 

森に入るとまず目に付いたのはそこらじゅうの木からぶら下がっている不思議な木の実だ。

 

赤と青がまだらになっていて、とても食べられるとは思えない。

 

「ね、ねぇ十馬・・・帰ろうよ・・・」

と袖を引っ張り、本格的に怖がっている様子の真奈の手を取りさらに奥へと進んで行く。

 

すると遺跡のようなものが目の前に現れた。

 

「なんだこれ・・・」

 

そう言って、遺跡の柱に触れた。

 

 

その瞬間

 

 

遺跡の奥から植物のツルが大量に伸びてきて俺たちに襲いかかってきた!

 

 

「うわっ!なんだよこれ!?真奈!大丈夫か!?」

 

「と、十馬ぁぁぁぁ!!」

 

と声のする方を見ると真奈が植物の波にのまれ、遺跡の奥へと連れ去られていくのが見えた。

 

 

「真奈・・・真奈ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

と彼女の名前を叫び、植物を振りほどこうと暴れる。

 

すると遺跡の奥から衝撃波のようなものが飛び、俺を吹き飛ばす。

 

 

鋭い痛みが体に走り、抵抗することもできずに俺は意識を失った。

 

 

 

ーーーーー

 

 

「そのあと、俺は空き地に倒れていたところを発見されて病院に搬送された。でも、真奈はどこを探しても見つからなかった・・・誘拐事件だろうって周りの大人は決めつけた!俺の言うことなんか誰も聞いちゃくれなかった!・・・だから決めたんだ。俺は俺の手で、真奈をあの森から助け出すって!」

と全てを語り終えた十馬が一同を睨みつける。

 

 

「・・・なるほど、通りでニヴルヘイムやヘルヘイムの存在にも驚かなかった訳だ。何しろ自分で体験してるんだから」

と葵が得心がいったように呟く。

 

「ああ、ヘルヘイムの時はそのためにユグドラシルタワーまで行ったこともあったぜ。まぁ結局捕まって、でもその時にあんたらアーマードライダー達に助けてもらったんだ」

「そうか・・・あの倉庫で言ってたのはそういうことだったんだな」

と紘太が納得する。

 

「・・・だから、お前はもう一度ニヴルヘイムに向かうというのか」

貴虎が質問する。

 

「ああ、俺はそのためにドライバーとロックシードを拾って持っていた・・・そのためにヨルムンガルドに入る決意をした。止めるっていうなら、力づくでも行かせてもらうぜ」

 

と瞳に決意をたぎらせ、十馬は宣言する。

 

「・・・だってさ、皆どうする?」

葵が意味深な視線を十馬に向けてから一同に質問する。

 

「どうするって・・・」

「それはもう・・・ね?」

「はい、決まってるじゃないですか。ね?兄さん」

 

 

「十馬、お前がどう思うかはわからない。だが私達の考えは一つだ」

 

「何だよ?危ないからやめろって?」

 

「フッ・・・いいや、私達はお前に協力する。藤井真奈を取り戻すために、戦おうじゃないか」

 

「・・・え?」

 

「全く、何を驚いてるんだよ。当たり前だろ?」

「そ、そりゃあ危ないとは思うけどよ?でも、その真奈って子をほっとく訳にもいかないだろ」

「そうね、はじめから事情があるなら言えばいいのに。そんなに私たちが信用できないの?」

 

「ち、違うんだ!そうじゃなくて・・・」

 

「わかってるよ。でも、もう少し頼ってくれてもいいんじゃない?ってことさ」

「そうですよ。僕たち仲間なんですから」

「ま、それにニヴルヘイムのデータも収集できるいい機会だしね」

 

そして紘太が十馬に近づき、言葉をかける。

 

「十馬、今まで大変だったよな。一人で抱え込んでよ。でも、これからは俺たちも一緒だ。絶対に真奈って子を助けてやろう」

 

仲間たちの優しさに触れ、十馬は自然と涙を流していた。

 

「・・・皆、今まで言えなくてごめん。頼む、協力してくれ」

 

そういって頭を下げると紘太と昴が肩を叩いて励ましてくれる。

 

 

 

「さて、感動ムードに水を差すようで悪いけど作戦会議してもいいかな?」

 

としばらくして葵が手を鳴らし周りの様子を伺ってくる。

 

「あ、ああ悪い、続けてくれ」

と先ほどまで泣いていた十馬も落ち着いたようだ。

 

「じゃあ始めるよ。まず今回重要なのはクラックが閉じる前に十馬君をニブルヘイムに送り、そして藤井真奈を連れて戻って来させること。ただ、これの一番難しいところは・・・」

 

「オーバーロードの妨害に遭う可能性が非常に大きいところだな」

 

「そう、できれば複数人でニヴルヘイムに行きたいけれどこちら側の被害も無視できないからね」

と腕組みをして葵が言う。

 

「じゃあどうするんだ?」

 

「だからオーバーロードをこっちに引きずり出す。インベスを効率良く殲滅してね」

 

そして作戦を葵が発表する。

 

各自説明を受けたアーマードライダー達は決戦のため、司令室を後にするのだった・・・

 

 

ーーーーー

 

 

その30分後、再開発地区のクラックの前には五つの人影があった。

 

ザック、城乃内、凰蓮、十馬、昴のメンバーである。

 

「よし、作戦通りに始めるか!」

と言ってザック、城乃内、凰蓮がロックシードを構え十馬達は一歩後ろに下がる。

 

「「「変身!!」」」

 

『フルーツトマト!』

『イガグリ!』

『ドリアン!』

 

『『『ROCK ON!!』』』

 

『フルーツトマトアームズ!!ブレイジングハート!!』

『イガグリアームズ!!ミスターニードルマン!!』

『ドリアンアームズ!!ミスターデンジャラス!!』

 

 

 

「よし!まずは俺から!」

とグリドンがベルトのブレードを二回倒す。

 

『イガグリオーレ!!』

 

「おりゃっ!」

 

そして地面にイガノコを思いっきり突き刺すとクラックと自分たちを囲むように大量のトゲ型のエネルギー体が出現する。

 

「よし、次は俺だな!」

と今度はナックルが拳にエネルギーを集め、地面に叩きつける。

 

すると先ほどのトゲ全てを炎が包み、あっというまにインベスを閉じ込める檻が完成する。

 

 

「よし、これで後は待つだけだな」

「さ〜て暴れるわよ〜!」

「な、なぁこれ武器抜いたらエネルギー消えるんだよな?俺、素手?」

「何のために全身にトゲがあると思ってるのよ!ほら、来るわよ!」

 

そう凰蓮が指差す先にはクラックから現れる大量のインベスの姿があった。

 

檻に戸惑いながらもこちらを敵と見なしたのか一斉に向かってくる。

 

 

「来たぞ!紘太!貴虎さん!頼むぜ!」

そう言ってナックルが他の二人を自分の近くに来させ炎のバリアで包んだ。

 

 

ーーーーー

 

 

その頃、貴虎と紘太はクラックのある通りの左右のビルの屋上にそれぞれ立っていた。

「了解した。いくぞ葛葉!」

「ああ、貴虎!」

 

「「変身!」」

 

『オレンジ!』『レモンエナジー!』

『メロンエナジー!』

 

『『ROCK ON!』』

 

『ジンバーレモン!ハハー!!』

『メロンエナジーアームズ!!』

 

と、それぞれ鎧武ジンバーレモンアームズと斬月・真に変身し、ロックシードをソニックアローに装填する。

 

「いくぜ!」

 

とソニックアローを上に構え、大量の矢を放出する全体攻撃『ソニックレイン』を二人同時に放つ。

 

すると矢は放物線を描きながら通りに溢れるインベスたちに降り注ぐ!

 

断末魔の声を上げながら爆散していくインベス達。

 

これが葵の言う『効率よくインベスを倒す方法』だ。

 

それにしてもと通りを眺めて高虎が一言。

 

「なかなかにえげつない作戦だな・・・」

 

ーーーーー

 

 

次々と爆散していくインベスをスコープ越しに見ながら龍玄に変身した光実は作戦通り待機していた。

 

今、龍玄がいるのはクラックのある通りの向かいにあるビルの屋上だ。

 

光実が葵に言い渡された役割とは簡単に言うとサポート役だ。

 

背後からの不意打ちや飛んで檻から逃げようとするインベスを狙撃すること、さらには万が一他の場所でクラックが開いた場合のヘルプ要員として活動することになる。

 

そのために新たなA+ロックシード、マスカットロックシードを葵から託された。

 

「そろそろサポートに入った方が良さそうですね」

 

と武器のマスカットライフルを構えなおし、スコープを覗く。

 

龍玄マスカットアームズは狙撃専用のアームズだ。

 

そのために額には新たにバッタの触覚を思わせる二本のアンテナが追加されている。

 

さらに肩の鎧の隙間からは円筒形のセンサーが伸びており、周囲の大気の動きをキャッチし、自分に近づく敵がいないかわかるようになっている。

 

するとインベスの群れの中から何匹かのインベスが羽を広げ、屋上の紘太と貴虎を狙って上昇し始める。

 

「っ!させない!」

と狙いを定めてトリガーを引き、次々とインベスを撃墜していく。

 

「よしっ!何匹だって狙い打ってやりますよ!」

 

とさらに数を増やしていくインベスの群れに向かって再びトリガーを引いた。

 

 

ーーーーー

 

 

次々とクラックから現れるインベスを撃破し続けておよそ30分。

 

もはやクラックから現れるインベスは二、三体になっており、もう少しで全滅というところまで来ていた。

 

「よしっ!・・・あっ・・・とっ!10っ・・・匹ぃ!」

と目の前のインベスをタコ殴りにしながら疲労が色濃く見えるナックルが残りのインベスに向かっていく。

 

「無理すんなよザック!」

「そうよっ!私たちに任せなさい!」

とパティシエコンビがベルトのブレードをそれぞれ一回倒す。

 

『イガグリスカッシュ!!』

『ドリアンスカッシュ!!』

 

そして全身にエネルギーを纏わせグリドンが残りのインベス集団にタックルをかけ、そこにブラーボが追い打ちの斬撃を放つ。

 

そして残っていた10匹のインベスが爆散し、ようやく全てのインベスを倒し終わった。

 

「三人とも、大丈夫か?」

「ええ、でもまだクラックは開いているわ。油断はできないわね」

 

と凰蓮が言ったその時

 

 

「その姿勢・・・悪くないぜ!トゲトゲのおっさん!」

 

とクラックの方から声が響く。

 

「ちっ!やっぱり出てきたか・・・テーバイ!」

 

とクラックから現れたオーバーロード、テーバイを睨みつけ、十馬が叫ぶ。

 

「おやおや、私は無視なんですか?」

とテーバイの後ろからさらにもう一体のオーバーロードが現れる。

 

「お前は・・・ファフニールか!?」

「その通り。覚えていただいて嬉しく思いますよ」

と恭しくお辞儀をしてみせるファフニール。

 

だがその表情は嘲笑に彩られている。

 

「ちょっと・・・これはキツイぜ・・・」

「ザックは下がってろ!ここは俺たちで!」

「ええ!食い止めるわ!シトロンとカラムボルの坊や!クラックの方に行きなさい!」

と満身創痍のはずの三人が果敢にテーバイたちに戦いを挑む。

 

しかし

 

「ああ?テメェらに用はねぇよ!消えな!」

テーバイが衝撃波を放ち、三人が吹き飛ばされる。

 

 

「前とは違うんだよ・・・!この脳筋が!」

「十馬の邪魔はっ・・・させねぇ!」

「その程度で・・・プロである私を倒せると思ってるの?・・・甘いわよ!このハゲ!」

再び立ち上がりフラフラになりながらもテーバイへと向かっていく三人。

 

 

「皆・・・すまねぇ!行こう!昴!」

「ああ、今はそれが一番さ!」

 

と助けたくなる自分をどうにか押さえ、クラックに向かって全力疾走する。

 

 

だが、その前にもう一人のオーバーロード、ファフニールが立ちふさがる。

 

「そう簡単に行かせるとお思いで?」

そして手に持った槍の先端から光弾を放ってくる。

 

「うわっ!?」

「クッ!」

と怯む俺たちに次々と光弾が襲いかかる。

 

「このままじゃ・・・でも、十馬を行かせなきゃ!」

と昴がベルトを装着しロックシードを解錠、そして流れるような挙動で持って北斗に変身する。

 

「ハァッ!」

と手に持った七星刃を振るい、ファフニールに向かっていく。

 

「な!昴!」

「僕のことはいいからさっ!早く行って、連れて帰って来なよ!大事なんだろ!?」

「でも!お前一人じゃ!」

とファフニールに押される北斗に自分も戦おうとする十馬。

 

「ここは私たちが引き受ける!お前は行け!十馬!」

とファフニールの背中に不意打ちにも近い形で斬撃を浴びせるのは屋上から降りてきた斬月・真だ。

 

さらにテーバイと戦う三人には鎧武が加勢しているのが見える。

 

さらに龍玄が放ったと思われる援護射撃が加わり、どうにかせめぎ合うことができているようだ。

 

「皆・・・すまない・・・ありがとう!」

そう言って、振り返らずにクラックへ向かって走る。

 

クラックは先ほどから徐々に閉じており、もはや半ば閉じかけた状態だ。

 

「何!?」

「チッ!行かせませんよ!」

と二人のオーバーロードが後を追おうとするも周りのアーマードライダーに組みつかれ身動きが取れない。

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

全力で走り、どうにか閉じかけたクラックのわずかな隙間に滑り込む。

 

そしてクラックは閉じ、龍崎十馬は再びニヴルヘイムの樹海に足を踏み入れた。

 

 

ーーーーー

 

ニヴルヘイムの樹海にて

 

 

「・・・ハァハァ・・・っ!ここは・・・」

と周りを見るとあたり一面の樹木に毒々しい果実。

 

間違いない、10年前に迷い込んだあの森だ。

 

「・・・とにかく、あいつがいそうな場所は・・・あの遺跡か」

 

と視線の先にある遺跡に足を向ける。

 

 

 

最初は遠くに見えた遺跡も歩いてみると以外と近くにあった。

 

ゆっくりと、気配を殺しながら遺跡の中へと入っていく。

 

しばらく行くと、広いスペースに出る。

 

「・・・キレイだ」

と思わずつぶやく。

 

そこは白い花が咲き乱れる花畑のような場所だった。

 

「ここにも、こんな穏やかな場所があるなんて・・・」

言いながらしばらく花畑を歩くと後ろに人の気配がした。

 

「誰だっ!」

そう言ってベルトを装着しロックシードを構え、臨戦態勢になる。

 

だが、目の前に現れたのは敵ではなかった。

 

「・・・あ・・・」

と思わず声が漏れ、力を失った手からロックシードが滑り落ちる。

 

 

 

目の前に立っていたのは少女だった。

 

白いワンピースタイプの服を着て、髪は腰まで伸ばしている。

 

背はイリスより少し低いだろうか。

 

そして彼女は可愛らしいその顔を涙で濡らしていた。

 

 

気づけば、自分も涙が溢れていた。

 

そして、呼ぶ。

 

二度と呼べないのではないかと一度は思ったその名を。

 

昔から、誰よりも近くにいてくれた。彼女の名を。

 

「真奈・・・真奈、なのか?」

 

その問いかけに泣きながら頷き、彼女もまた、こちらの名を呼んでくる。

 

「うん・・・そうだよ・・・十馬」

 

 

二人は同時にその場から駆け出した。

 

 

そして、惹かれ合うように。

 

そこが、本来自分のいる場所だったかのように。

 

 

お互いを強く、強く抱きしめあった。

 

 

 

〜To be continue〜

 




はい!というわけでどうだったでしょう12話!

龍玄マスカットアームズは狙撃手で狙い撃つぜな兄貴の影響でつくったアームズですはい。
ハロはいないからセンサー多め。

もーいーくつねーるとーお正月~♪

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