天使はいつだって憧れの君を見てる   作:ぶーちゃん☆

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夏休み編第二話となります!


トツラーの皆様っ、なかなか筆が進みませんでゴメンナサイ><


とつかわいい⑦

 

 

 

「もしもし戸塚です」

 

携帯のディスプレイに映し出された名前に戸惑いながらもぼくはすぐに電話に出た。

なんだか、なんとなくだけど、とても良い予感がしたから。

 

『やあ、戸塚。突然すまないな。どうだね?良い夏休みを過ごしているかね?まぁもっとも君はかなりの頻度でテニス部の方に顔を出しているのだろうがね』

 

電話の向こうから、うちの学年の現国教師、平塚静先生が相変わらずとっても格好良い物腰で語り掛けてきた。

ホント平塚先生って格好良いよね!ぼくの中では八幡の次くらいに格好良い人だって思ってるんだっ。

 

「お久しぶりです先生。はい!充実した夏休みを過ごしてます!」

 

ホントは……ちょっとだけ物足りないんだけど……それは内緒にしておこう。

 

『ふふふ、それは良かった』

 

「はい!……ところで先生、今日はどういったご用件なんですか?」

 

『ふむ。ちょっと人手が不足していてね、戸塚にお願いしたいこと…………というかお誘いしたい事案があってね。まぁ毎日部活で忙しいだろうが、充実した夏休みがさらに充実すること請け合いだぞ?』

 

お、お誘いしたい事案?なんだろう?

でもぼくは、なんのことなのか全く分からない先生からのその『さらに充実すること』という誘い文句に、漠然とだけどなんとなく幸せな予感をすっごく感じて、なんだか胸の高鳴りを抑える事ができなかった。

 

× × ×

 

 

「えっと……つまり平塚先生のお手伝いで、小学生の林間学校のボランティアに参加……という事、ですよね?それも二泊三日で……」

 

『ああ、そういう事だ。まぁもちろん無理にとは言わんぞ?戸塚はテニスで大変だろうしな。ふふふっ、聞いているぞ?戸塚をテニス部新部長に……との話も持ち上がっているそうではないか』

 

「わっ……ご存知だったんですか!?」

 

そうなんだ!まだ決まったわけじゃないんだけど、秋くらいから部長をやってみないか?って、顧問の先生から打診が来てるんだっ。

ぼくなんてまだまだ弱くて分不相応だって思うんだけど、頑張りを認めて貰えたみたいでスゴく嬉しいっ!

 

 

それもこれも、あの日奉仕部での出会いがあったから。全部比企谷君達のおかげなんだ……っ!

 

『ああ。次期主将として今こそが頑張り時とも言えるな。だから今回のお誘いはあくまでも自主的に決めてくれたまえ。私は仲間達とテニスに打ち込む青春も、または仲間達とボランティア活動をして汗をかく青春も、どちらも君の糧になると思っている。まだ出発まで三日あるし今すぐ即答でなくとも問題無いぞ?』

 

確かに今が頑張り時なんだよね。もしもホントにぼくなんかが次の主将になるんなら、この夏での部員達と共有する時間っていうのはとっても大事だと思う。

でも、このポッカリと穴が空いてしまった気持ちのままでいたずらに過ごすだけの共有時間というのは、本当にぼくにとっての糧となるんだろうか……?

 

たった三日間のボランティア活動で、もしもそのポッカリと空いた穴が埋まるのならば……

しっかりと穴が埋まった心でその後の部活動に集中して打ち込めるのならば……

 

そっちの方が、断然いい気がする……!

 

 

だからぼくは、平塚先生になによりも一番重要な事を聞く。

さっきまでは漠然とした幸せの予感だったんだけど、でも……『平塚先生』『ボランティア活動』『仲間達』。この三つのワードから導きだされるであろう答えは、ぼくの予感を漠然から確信へと変えてくれていた。

だって……平塚先生って言えばっ……

 

「あの……先生?」

 

『ん?なにかね?』

 

「えっと……その……ボランティアに参加するのって、ひ……他にもメンバーが居るんですよね……?」

 

『ひ?……ああもちろんだ。すでに君以外は決まっている。あと一人には当日までは伝えないが、そいつは強制だから参加は決定事項だしなっ』

 

電話越しだけど、最後の一言を付け加えている時の平塚先生の、ちょっと悪戯な笑顔が容易に想像できた。

そして先生のその笑顔に、ぼくの胸は期待と喜びに高鳴ってる……!

 

「そっ、その参加メンバーって!?」

 

『決まっているだろう?奉仕部メンバーだよ』

 

 

その瞬間、ぼくの夏休みに新しい一ページが書き加えられる事が決定したんだ!

 

 

× × ×

 

 

あれから三日。今日は待ちに待った千葉村へと出発をする日。

 

ぼくは早めに起きて、今日着ていく服、明日着替える服を部屋中に広げてウンウンと唸っていた。

うーん。ちょっと語弊があったかな?早めに起きたんじゃなくって、早く目が覚めちゃったんだよね。

ちなみに昨夜は今日の為に早くベッドに入ったんだけど全然寝付けなかった。

 

 

 

だって…………だってだって!八幡と会うの二週間ぶりなんだよ!?

えへへ〜っ!八幡元気にしてるかな〜?八幡のことだから毎日不規則な生活してるんだろうけどねっ。

 

あ!だったら夏休みの間にテニス誘っちゃおうかな?

ああ!だったら今度こそ八幡の連絡先をゲットしなくっちゃ!

うわ〜!夢が膨らむよぉ!早く待ち合わせ時間になればいいのにっ!

 

はっ!その前に今日着ていく服選ばなきゃ!どれ着てこうかな〜?

む〜……八幡ってばいつもぼくを女の子扱いしてからかうんだもんなぁ……

だったら今日はボーイッシュなスタイルで行こうかな?

 

うーん……これとこれ……いやいやこっちも捨てがたいなぁ……あっ!でもこの組み合わせも可愛いかもっ♪

へへぇっ、これなら八幡に可愛いって思って貰えるかな……

 

ってダメだよ!ぼくダメダメだよっ!!

女の子扱いでからかわれないようにする為にボーイッシュスタイルコーデを考えてるのに、なんでぼく可愛いって思われる服を選んでんのさっ!?

 

もうっ!最初っからやり直し!

んー……やっぱりこれとこれかなぁ?いやいやでもこっちの組み合わせも捨てがたいぞ?

あ!これとこれ組み合わせたら可愛いかも…………ってまた!?

うーっ……ぼくのばかっ……

 

 

そんなこんなであれこれ悩んでたら、いつのまにか家を出ようと思ってた時間を過ぎてしまっていた……

一番に待ち合わせ場所に到着して、八幡を待ってようと思ってたのにぃっ!!

 

 

× × ×

 

 

いつまでも出発の用意に悩んでしまっていた為、諦めていた夏休みに八幡と会えるという貴重な一分一秒をかなり無駄にしてしまった。

ぼく、どれだけ八幡に会いたいんだよっ。

 

 

家から走ってようやく最寄り駅に到着したんだけど、タッチの差で電車が出発してしまった……

あうぅ……次の電車まで10分もあるよ……たったの10分がもどかしいっ……

 

もどかしい10分後に到着した電車に勢い良く駆け込む。ふふっ、別に急いで駆け込んだって電車の出発が早くなるわけでも無いのにねっ。

出発した電車の中でもぼくはずーっとソワソワしてる。あぁ、早く待ち合わせの駅に着かないかなぁ!

 

 

そしてついに待ち合わせの駅へと電車が到着し、ドアが開いた瞬間ぼくは弾かれたように車内から飛び出すと、勢いよく改札を抜けて駅の階段を駆け降りる。

……確か、待ち合わせ場所はこっちだったはず!

 

 

階段を下りて待ち合わせ場所の方へ歩きながらきょろきょろしていると、不意にこっちだぞと言わんばかりに手が挙げられた。

ぼくの視界一杯に飛び込んできたのは、二週間ぶりに見た八幡の笑顔とちょっと恥ずかしそうに挙げられた手だった。

 

真夏の太陽は暑いけど、電車に乗ってるとき以外は家からほとんど走ってばっかりだったから息は切れてるけど、その幸せのカタチが待ってくれている場所へとぼくは駆けていく。

 

「八幡っ!」

 

二週間ぶりの八幡は、いつもと変わらずにぼくに笑顔を向けてくれた。

だからぼくもいつも通りに笑顔を向けた。

やっと……やっと会えたぁぁ……

 

「戸塚さん、やっはろー!」

 

すると八幡の横にいた小町ちゃんが元気に挨拶してくれたからぼくも元気に挨拶を返す。

 

「うん。やっはろー」

 

小町ちゃんに挨拶を返しながらもチラリと八幡に視線を向けると、なんだかすっごい幸せそうな顔してぼくを見ていた。

あれ?ぼくがやっはろーって挨拶するの、なんか変だったのかな?

そんな幸せそうな笑顔のまま、八幡が放った第一声は……

 

 

「戸塚も呼ばれてたのか」

 

え……?八幡は、今日ぼくも参加するって知らなかったんだ……

ぼくはこの三日間、ばかみたいに一人で勝手に舞い上がってたけど、そんな八幡のセリフに言いようのない不安が押し寄せてきた……

ぼく、お邪魔虫だと思われてたらどうしようっ……!

 

奉仕部のみんなと小町ちゃんとで楽しもうと思ってたところに、急にぼくなんかが交ざっちゃったら……お邪魔って……思われちゃう……かも……

 

だからぼくは不安に押し殺されそうになる気持ちに負けないように、ちょっとビクビクだったけど八幡に訊ねてみた。

 

「うん、人手が足りないからって。でも……ぼく、行っていいのかな?」

 

不安げな上目遣いで訊ねるぼくに、八幡はなんの迷いもなく、ぼくの質問に被せるくらいの勢いで力強くこう断言してくれた。

 

「いいに決まってるだろ!」

 

 

 

えへへっ!良かった……♪

やっぱり八幡はぼくの大好きで大切なお友達だよっ?

 

 

夏休みが始まってから二週間弱の今日、ぼくはそのたった二週間でポッカリと穴が空いてしまったこの心を、あっという間にに埋めてくれた大好きな友達の大好きな笑顔を真っ直ぐに見つめていた。

この三日間が、ぼくにとっても八幡にとっても、素敵で素晴らしい三日間になりますようにって、たっぷりの想いを込めてっ……!

 

 

 

続く

 






ありがとうございました!

よ、ようやく出発ですよ……orz
二話も使ってようやく出発前って……


そして次回から苦手な原作沿いになっちゃうんで、より苦戦しそうな悪寒(白目)
なんとか極力原作を沿わないカタチでサクサク進めていけたらなぁ……とか思っております!


はっ!そういえば次回からルミルミが出るのか!?
だったらちょっと頑張らなくっちゃ☆


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