新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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どうも、皆様、昨日は学校のスポーツ大会で、思いっ切り筋肉痛になりまして、今も痛く感じています、藤和木弘です。

ジャンヌ「かなり痛そうですね。わたくしもスポーツなどはあまり得意ではありませんが、体を動かすのはアイドルをやっている影響か、それ程少し動いただけでは筋肉痛にはなりませんね。どうも、皆様。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「藤和木ってば運動音痴なんじゃないの?私は体動かすのは大好きだよ!どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!」

いや、昔は私、運動系の習い事したり、運動部とかに入っていたりするから、多分その時の感覚で体を動かすから体に負荷がかかってるんだと思う。
さてさて、今回は第73話、投稿です。

レイ「この前は海男が何か考えているようなところで終わったよね。」

ジャンヌ「それを見送った光樹さんは、あの後どう行動したのでしょか。」

それが今回の話の中心ですかね。タイトルからも分かる通り、薬は無事完成です。うずめを助けられるのか?では本編をどうぞ。


第73話 薬の完成、決戦へ向けて

 

 

「海男…一体、どうしたっていうんだ…この状況でうずめの元を離れるなんて……。」

 

光樹はそう呟く。海男がテントから離れるのを見送っていた光樹には、今の海男の考えは分かってはいなかった。

でもまぁ、うずめのことは心配していたし、何かを考えて行動しているのか?そう俺は解釈し、海男のことはしばらく置いておくことにした。

そこで光樹の意識は、テントの方に向けられる。今はネプギアが薬を作っている最中だ。しかしながら、テントを出てすぐ入るのも、なんだかおかしいと思っていた。そのため、光樹は少し外の状況を見てから入ることにした。

 

 

 

 

しばらくの間、ゼロと武装のチェックを行ったのち、光樹は再びテントを訪れた。

 

「ネプギア、入るぞ。」

 

断りを入れてから、光樹はテントの中に入る。テントの中は、若干薬の独特の匂いがあったが、それ以外は異変はない。

そして、包帯を巻かれ、寝ているうずめの隣でネプギアが薬の調合を行なっていた。

 

「………最後に粉末状にしたこの素材を配合して…っと。よし、できた。あとは、これをうずめさんの傷口に塗って…」

 

ネプギアはこちらの声に気づいていないようだった。薬を作るのに、夢中になっているのだろう。光樹もそんな様子に感心する。だが、それでも、ちゃんと薬は出来たようだ。

と、そこでネプギアがこちらに目を向ける。そして驚く。

 

「わぁ!光樹さん、いつの間に…。」

 

「あぁ、さっきな。でも、そこまで驚くことか?」

 

「いや、全然声とか聞こえませんでしたよ?」

 

「…マジか。俺、入るぞ、って言ったよ。」

 

「…へ?そ、そうなんですか?」

 

二人はそのように言葉を交わす。だが、ネプギアの話を聞いていて光樹は面白く感じてしまう。まさか本当に気づかなかったとは、光樹も本気で思っていたわけではないのだ。

その反応に、シューティングスターBにて状況を見ていたゼロも呆れる。

 

『…真面目なことは非常に重要なことだ。しかし、他の人の声を聞こえないほどの真面目さは、戦場では大きな隙となる。気を付けよ、ネプギア。』

 

「へ?あ、は、はいっ!」

 

そのツッコミに、ネプギアも慌てて返事をする。その様子を見ていて、光樹は微妙な空気を感じる。

別に今言うことでもないだろうに…。そう思う俺はゼロに言う。

 

「別に今、そのことを言う必要はないんじゃないか?ゼロ。」

 

『…だが、まだ不安さを持つが故の物であれば、それは注意しなければならない。目の前のことだけに注視しすぎて、他の内容に目を通さないのは、成功するはずのものも失敗してしまう。』

 

その光樹の注意に、ゼロはそう言った。要するに、先程のは、ゼロなりの最後の確認をするようにしっかりしろという叱咤激励だったのだ。それにしては、きつめのものだったような気もしなかった。

そんな話の中、ゼロは光樹に進言する。

 

『それより光樹。今ネプギアはうずめに薬を塗ろうとしていたのでは?』

 

「…どういう…あ。そういうことか。」

 

一瞬、どういうことか本気で疑問に思った光樹だったが、少しして、ようやくその意味を理解した。薬を塗るためには、うずめの体がここにいる人物全員が見る必要がある。更にそのためにはうずめの服を脱がせる必要もある。

そんな状況で、男である光樹がここにいるというのは、他の人から見れば大変不味い状況だ。一部の人からは、これほど嬉しい展開はないというかもしれないが、普通ならその逆だ。

流石の光樹もそんな空気は味わいたくはなかった。光樹は慌ててテントの出口の方を向く。ネプギアも苦笑いしつつ、作業を始める。この時、テントを出ればよかったのでは?とも思えるが、しなかった理由が二つほどあった。

まず一つは、手当てが終わらないタイミングでまたテントに入るようなことにならないためだ。しかし、それならテントの外で待っていればいいのではと思うだろう。しかし、この時の光樹もまた、うずめの状況を心配する一人であったため、少しでも早く、うずめの具合を知りたかったため、外に出ることをやめたのだ。

二つ目は手当ての際に何らかの手伝いのためだ。もし、何らかのアクシデントがあった時に、すぐに手助けできるようにすることを考えたのだ。

しかしながら、そんな心配もなく、作業は進んでいるようだった。光樹もそれに少し安堵する。だが、油断は出来ない。薬をこぼしたとかいうのが起きないわけでもない。後ろを向きつつも、注意をする。他にも、誰かが急に入ってきて、特にモンスター達がうずめの裸体を見るような事故を起こさないようにも、テントの出口の方にも注意を向ける。

作業が長いと思いつつも、そう気を張っている所で、ネプギアが最後の段階に入る。

 

「それと、気付け薬としてお姉ちゃんからもらったスペシャルネプビタンVⅡを飲ませて…っと。…ふぅ。これでよし。」

 

ネプギアの言葉どおり、それで治療は終わった。その声を聞いて、光樹もネプギアの方を向く。見ると、ネプギアがうずめに巻かれていた包帯を処理しているのが見えた。長いと思っていたのも、包帯も巻き替えていたためなら納得がいく。

しばらくすると、テントの中に、大人ネプテューヌが入ってくる。

 

「ネプギア、薬はどう?」

 

大人ネプテューヌもまた、うずめの様子が気になっている。だからそう聞くのは当たり前であった。大人ネプテューヌの質問に、ネプギアは答える。

 

「あ、お姉ちゃん。丁度今、完成した薬を飲ませたところだよ。…あとは、うずめさん次第、ってところかな。」

 

その言葉を聞いて、大人ネプテューヌは喜びと同時に、とある問題が起きていることを知らせる。

 

「良かった。…って、言いたいところなんだけど、実は大変なことが起こっちゃったんだ。」

 

「…何かあったのか?」

 

その言葉には、光樹も気になる。今の危機的状況から脱したと思った所からのその報告なので、二人も緊張感を持った表情を見せる。

その二人に、大人ネプテューヌは言う。

 

 

「実は、さっきまでクロちゃんとマジェコンヌとエクスの偵察に行ってきたんだ。」

 

それは、撤退したことで動向が掴めていなかったマジェコンヌとエクスの偵察に関してのことだった。実はテントに到着した後、大人ネプテューヌは街の様子を見てくると言って、ここから離れていたのだ。光樹も何をしに行ったのかは分からなかったが、それを聞いてそのためであったことを知る。

それはいいとして、さっき大人ネプテューヌは「大変なことが起きた」と言っていた。それと関連して偵察の話が出てきたということは、動きがあったということなのだろう。

光樹の思う通りのことが、大人ネプテューヌの口からではなく、ノートにいるクロワールの口から語られる。

 

「そしたらよ、マジェコンヌのやつダークメガミと一つになりやがった。それにエクスのやつも同じだ。エクストリィムの動力っぽい所に飲み込まれたと思ったら、動き出したぜ。」

 

「一つに…って、つまり融合したってことですか?」

 

「話が早くて助かるぜ。今までのダークメガミにエクストリィムってのは、マジェコンヌやエクスの命令に従うだけの木偶人形だったんだ。だが、今回は違うぜ。ダークメガミやエクストリィムと融合することで自由に動かせる巨大な体と力を手に入れちまったんだからよ。」

 

クロワールの言葉通りなら、それは厄介なことであった。どれほど巨大でも、それがゲームのCPUだったりすれば、それは自立意志が無く、相手にするのも簡単だ。だが、自立意志があるということは、その力を最大限にまで発揮することができる。

今までのダークメガミやエクストリィムよりも、強敵になることはよく分かった。しかも、それだけではないことがクロワールの口から発せられる。

 

「しかもだ。最悪なことにゆっくりとだが、こっちに向かってるんだよ。」

 

「そ、そんな…。まだうずめさんも目覚めていないのに…。」

 

事態は完全に風向きが逆だった。ダークメガミ達がこちらに向かってきている以上、どうにかしなければ全員に命はない。逃げ延びるか、もしくは撃破するか。

ネプギア達は深刻にこの状況の打破を考える。するとそこに、待ちに待った声が聞こえる。

 

 

 

「…なら、モンスターたちを早く避難させねぇと。」

 

 

 

声の響いた方には、先程ネプギアが手当てをしたうずめが起き上がろうとしていた。それを見て、ネプギアが嬉しそうにする。

 

「うずめさん!目を覚ましたんですね!」

 

どうやら薬が効いたようだった。起き上がろうとするうずめに、ネプギアが駆け寄る。その様子は、まだ痛みが残っているようではあったが、それでも動けるようになったことは容体が良くなったということだ。

その姿に、大人ネプテューヌや光樹も笑みを見せる。しかし、うずめはそれに気にすることなく話を進める。

 

「海男を呼んでくれ。近くに棲むモンスターたちを避難させねぇと………痛っ!」

 

起き上がろうとするうずめだったが、途中で痛みに負け、地面に倒れようとする。倒れるその体を、光樹が駆け寄って支える。

 

「ダメだ、うずめ!今無茶をしたら、それこそどうなるか…。」

 

無茶をしようとするうずめを、光樹は制止する。いくら目を覚ましたといえども、今の状態で動くのは危険だった。

だが、うずめは痛みに耐えながら、弱々しい声で言う。

 

「だが、早く知らせないと逃げ遅れるやつが出ちまう!知らせなきゃいけないんだ…!」

 

うずめの思いは分かる。誰も傷つけさせたくないのは、俺も同じだった。でも、それでうずめが傷ついたり、苦しんだりするのは嫌だ。

けれども、うずめの思いに答えたいと光樹は思っていた。すると、そんな言葉にネプギアが答えた。

 

「なら、私が代わりに行きます。だから、うずめさんはダークメガミやエクストリィムとの戦いまでに体を少しでも休めてください。」

 

それは、ネプギアなりの、うずめの説得だった。代わりに行くというのなら、うずめも了解すると思っての行動だったのだ。

しかし、後半のその言葉に、大人ネプテューヌは大反対する。

 

「何言っているのさ、ネプギア!?こんな体でうずめがダークメガミやエクストリィムと戦うなんて、絶対無理だよ!」

 

大人ネプテューヌの言う通りだ。これ以上うずめに無理をさせれば、どうなるか分からない。俺も大人ネプテューヌの意見に同意だということを告げる。

 

「もうこれ以上うずめは戦えない。なのに戦わせるなんて、死人に鞭を打つようなこと、許されるわけが…!」

 

だが、その意見に、ネプギアはある程度分かっていること伝える。

 

「私もそう思います。けど、そう言っても、きっと素直に聞いてくれませんよね?」

 

大人ネプテューヌや俺の意見にそう返しながらも、うずめに諦めを呟くようにしながら聞く。その姿は、まるで戦場に行く恋人を引き留めようとする女性のような様だった。

その言葉に、うずめも息を整えつつ、笑いを見せる。

 

「わかってるじゃないか、ぎあっち。仲間がラスボスと戦ってるのに、呑気に布団で寝てるなんてかっこ悪すぎるぜ。」

 

…どうやら、何を言っても無駄なようだ。それを俺は理解する。ふと大人ネプテューヌの方を向くと、俺と同じように、諦めの表情を見せる。

そういうわけで、光樹達はうずめを止めることを諦めた。しかし、うずめ以外の三人は、まだうずめに無茶をさせるわけにはいかないと思っていた。早速、ネプギアが大人ネプテューヌにダークメガミ達の更に詳しい状況を聞く。

 

「お姉ちゃん、ダークメガミたちはどのくらいでここに到着するか分かるかな?」

 

「んー…。丸一日はかかるんじゃないかな?結構距離もあるし、マジェコンヌはまだ新しい体に慣れてないせいか転びまくってたし。エクスも飛ぼうとすると前のめりになっていたり、マジェコンヌに進撃の速度を合わせてたよ。」

 

その様子を聞いて、光樹も安堵する。その状況なら、確かに一日は時間が掛かるだろう。それに、慣れない体になってそこまで動くのに苦心しているということは、もしかすると休憩の時間もあるかもしれない。

そうなると、大人ネプテューヌの推測通り、一日は時間があるだろう。それだけあれば、何かは出来るだろう。

 

「なら、あと一日、うずめさんは体を治すことに集中して下さい。私は、避難誘導をしてきます!」

 

ネプギアがうずめに安静にしていることを伝えながら、自分が避難誘導を行うことを名乗り上げる。そうなると、光樹も何かをするべきだった。そのため、光樹はネプギアに何かできることがないかと聞く。

 

「ネプギア、俺も手伝うよ。」

 

「でしたら、光樹さんは私と一緒に避難誘導に。逃げ遅れたモンスターがいないかどうかを確認してもらえますか?」

 

「分かった!」

 

ネプギアに返事をすると、光樹もネプギアに後れてテントを出る。

誰も死なせない。モンスターも、うずめも。そのために、俺は俺にできることを、精一杯成す。そう心に決めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「みなさん!こっちに!慌てないで落ち着いて!」

 

ネプギアの大きな声が響く。その誘導の指示に従い、多くのモンスターたちがその方向へと避難を開始する。

私は、今海男さんから教えてもらった、ダークメガミたちの進行ルート上に存在するモンスターたちの避難誘導を行っていた。いきなりのことだったけど、うずめさんからの指示だということを伝えると、みんな不安そうにしながらも冷静に動いてくれるから、本当に助かるよ。

そう思いながら、避難指示を進める。すると、避難してくるモンスターたちの後方から、別のモンスターたちがやってくる。それは避難するモンスターたちを襲う、凶暴なモンスターたちだった。

そのモンスターたちが、避難するモンスターたちに攻撃を加えようとする…ところに。

 

「やらせない!!」

 

光樹さんが間に割って入った。ビームサーベルで敵の攻撃を押さえつつ、左手のライフルでもう一体を撃ち抜く。

もう一体の方も、左手に持ったANカタナⅡで切り裂く。その一撃は、機械の腕すらも両断する。そしてそのまま頭部のANZEROキャノンで撃ち抜く。一通り、襲ってきたモンスターが消滅したところで、光樹はネプギアに報告する。

 

「こっちの方は終わったぞ、ネプギア。」

 

「はい。これでこの辺りは終わりです。次の場所に移動しましょう。」

 

「了解だ。」

 

声をかけ合いつつ、二人は次のモンスターたちの棲家へと移動する。避難するモンスターを引き連れつつ、他の場所に住むモンスターたちと合流する。そんな作業を、何度も繰り返していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、ネプギアはうずめの本拠点にて風呂に入ろうとしていた。避難誘導を終わらせたのだ。避難誘導は光樹の協力もあり、全員が無事、この本拠点に避難が終了した。だが、それだけ時間もかかり、今は夜の時間帯へとなってしまっていた。おかげでネプギアの体もヘトヘトだった。

そんな時間帯に風呂に入ることに、ネプギアは溜息をつく。

 

「…ふぅ。何とか避難誘導が終わったけど、もうこんな時間かぁ。」

 

この時間になると、起きている者はほとんどいない。本拠点にて、留守をしていた大きなネプテューヌも、今は寝てしまっている。一方、ネプギアと共に避難誘導した光樹は、武器の整備を行っていた。全員、迫りくる最終決戦に備えていた。

 

「お風呂から上がる頃には、もうみんな寝てるかな。」

 

ネプギアはふとそう呟く。おそらくネプギアの言う通り、この時間ならば起きている者も、そうはいないだろう。

そう思いつつ、ネプギアはドラム缶風呂に入ろうとする。するとそこに声がかかる。

 

「よっ、ぎあっち、お疲れ。俺もいいか?」

 

一瞬ビクッ!となったが、すぐにその声の主を知る。声の主はうずめだった。それを見て、ネプギアは慌てて駆け寄る。

 

「うずめさん!?ダメですよ、まだ寝てなきゃ。」

 

まだうずめは十分回復できていない。それなのに、無理に風呂に入るはどうかと思ってのことだった。だがしかし、うずめはネプギアにこう返す。

 

「ずっと寝てちゃ体も鈍っていざと言う時に動けないと困るだろ?」

 

うずめの意見は的を射ていた。あまり動かさないでいると、感覚が鈍るというものだ。安静にしている必要はあるが、それでも戦場に立つ必要があるのなら、少しは体を動かさなければならないだろう。

心配そうにしつつも、ネプギアはそのことを了承する。

 

「まだ、絶対安静なんですから、無理はしないでくださいね?」

 

「わかってるよ。」

 

そのような会話をして、ネプギアたちは風呂に入ろうとする。するとそこで、ネプギアはとあることに気づく。それはうずめの姿にあった。うずめの風呂に入る姿は、女性のようなものではなく、男性が入る時のような、首からタオルをかける姿だったのだ。

周りに人がいないとはいえ、その大胆な風呂の入り方に、ネプギアはどうしてかを聞く。

 

「…って、あれ?うずめさん、その格好、恥ずかしくないんですか?」

 

すると、うずめは若干照れくさそうにしながらも言う。

 

「…お前らのおかげでなれた。恥ずかしいって言っても、人前で裸になることだしな。それにさえなれちまえば、あたりに誰もいないんじゃ、こんな格好恥ずかしくもなんともねぇよ。まぁ、男の前だと、恥ずかしいけどな。」

 

それを聞いて、ネプギアはへぇ、と思いながらもそう感じたうずめに対し、心の中で思う。

 

(この人、裸族…?)

 

何か、ネプギアが考えてしまってはいけないというか、それはネプギアが言えるようなことではないような気もする言葉ではあったが、ある意味当たってはいただろう。誰かに見られても問題ないというのは、流石に裸族と思われても仕方がなかった。

しかしながら、「男」はちょっと、という発言に対しては、ネプギアには心当たりがあった。それは間違いなく、光樹のことだろう。

今この世界にいる人で、男といえば、光樹さんしかいないよね。海男さんは今まで一緒にいたってことから、多分男としてはカウントしていないと思う。でも、やっぱり男の人に裸を見られるのは、やっぱり嫌だよね。

ネプギアの思う通り、うずめが言っていた「男」とは、光樹のことであった。とはいえ、それをネプギアは予想しただけで、実際にそうであるということは知る由もなかった。

そう思いつつも、二人共湯船に入る。と、そこでうずめがネプギアに言う。

 

「…で、だ。俺を助けてくれたの、ぎあっちなんだってな。だから、その…礼を言わせてくれ。助けてくれて、ありがとな。」

 

それは、自分を助けてくれてありがとうということだった。確かに、うずめを助けたのは、結果的にはネプギアだ。しかし、当の本人であるネプギアはそうではないと思っていた。ネプギア自身、薬を作れたのは自分によるものが全てではないと思っていたからだ。もちろん、それをネプギアは話す。

 

「私だけじゃありません。光樹さんも、お姉ちゃんも、クロワールさんも、海男さんも他のモンスターも、みんなが頑張ってくれたおかげです。なので、お礼ならみんなに言って下さい。もちろん、マジェコンヌとエクスを倒した後で、ですよ?」

 

ネプギアの笑顔による回答に、うずめもそれに合わせて答える。

 

「あぁ、もちろんだ。」

 

そう答えた後、うずめは何かを考えるように黙る。

 

「…」

 

「…?」

 

ネプギアも、何だろうと思っていると、うずめがふと、口にする。

 

「…今だから言えるんだが、ぎあっち、お前たちに会えてよかった。」

 

それは、うずめからの、これまでのことについての礼だった。

うずめは少し自信なさげにネプギアに打ち明ける。

 

「きっと、俺一人じゃここまで来ることはできなかったと思うんだ。改めて言うけどさ、ねぷっちとぎあっちに向こうの世界に来ないかって誘われて、……凄く嬉しかったんだ。」

 

ネプギアたちの世界に行く、それは以前にうずめに提案した話だ。しかし、前に話した時には、うずめはその誘いを断っていた。

でも、私はそれを聞いて、なんだか安心しました。やっぱり、うずめさんも私たちの世界に行きたい気持ちがあったんだ、って。

だけど、うずめさんの話は、まだ終わらない。

 

「ぎあっちたちの世界に行けたら、どんなに楽しいか、何度も何度も妄想したんだ。実は、海男たちも、俺が行きたいなら行ってもいいって言ってくれて背中を押してくれたんだ。」

 

それは、まだネプギアが聞いていなかった事実だ。海男や他のモンスターたちも、うずめがネプギアたちの世界に行くことを許してくれた。むしろ、うずめの気持ちに同調してくれていたのだ。

けれど、それを隠していたということは、当然理由があったのだろう。うずめはそれを言う。

 

「…けど、ダメだった。少しだけど、シェアを取り戻す度に記憶が蘇るんだ。」

 

「…え?」

 

うずめの言葉に、ネプギアは疑問の声を出す。シェアを取り戻す度に記憶が蘇るということに、気になったからだ。

おそらく、女神の力の源であるシェアが、何らかの形でうずめさんが忘れてしまった記憶に干渉して、記憶を取り戻しているのだろう。でも、本当にシェアによって記憶が戻るのだろうか、と思う。だって、今までの歴代の女神様が記憶喪失になったことなんて、聞いたことがなかった。騒ぎを起こすことがあるお姉ちゃんでも記憶喪失になんてなったことなんて、一度もなかったんだから。

だから、ネプギアはそれに半信半疑だった。しかし、うずめがそう言うのだから、そうなんだろうということにしておいた。そして、うずめの話は続く。

 

「俺が女神として沢山の人に囲まれている姿や、綺麗でみんな幸せそうに暮らす俺の国がさ。そんな思い出を見ちまうとさ、今まで以上に愛着が湧いてさ、余計この世界を捨てて行くことなんてできなくなったんだ。」

 

うずめの思いがネプギアにもよく分かった。人は誰だって、故郷を思う気持ちがある。何年も、何十年も暮らした街を捨てることなんてできはしない。たとえそれが、これほど荒れ果てた零次元であったとしても、だ。

その話を聞いたネプギアに、うずめはいつもの強気の笑みを見せて言う。

 

「だからさ、ぎあっち。改めて力を貸してくれ。俺はこの世界を救いたい。俺と一緒に、マジェコンヌからこの世界を救ってくれ。」

 

それは、今までにも言われたことだった。だがしかし、それはネプギアたちにとってお約束とも言える言葉でもあった。

それを断るなんてこと、私はしません。出来るわけありません。だから、私はそれを快諾する。

 

「もちろんです。だって、私たちの出会いも、その約束で始まったんですから。だから、一緒にマジェコンヌを倒して救いましょう。このゲイムギョウ界を。」

 

 

二人の意志はゆるぎない。だからこそ、二人は望む。この最後の強敵に立ち向かうことを。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。うずめも何とか復活。さて、そろそろ決戦が近くなってきました。

ジャンヌ「うずめさんは怪我を押してでも参加することを望んでいますね…。なんだか不安です。」

レイ「守りたいから、戦わなくちゃいけない。うずめちゃんも、それを分かっていて、戦うんだね…。」

ジャンヌ「…レイさん?」

レイ「っ!いや、でもそこは流石、うずめちゃんだと思うよっ!」

(レイさん、まさか「彼」に重ねて?)…まぁ、それがうずめですからね。光樹君もうずめのサポートをこなしてくれることを祈りますよ。
さて、今回はここまで!

ジャンヌ「次回の投稿は火曜日辺りになります。」

レイ「それじゃーみんな!明日から藤和木は福井に学校の研修旅行に行ってくるね!次回もよろしくねっ!」

よし、今からお祈りだ!

ジャンヌ「何のです?」

台風よ、早く熱帯低気圧に変われ!

レイ「それ、明日学校がある学生が聞いたらすごく反対しそう…。みんな学校が休みになってほしいって思ってそうで。」

ジャンヌ「台風は、時として消えて欲しいとも、消えないで欲しいとも思われるますね。」

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