新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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どうも皆様、お元気でしょうか?最近暑いですね。私も暑い中、スーツを着ていくというものすごく暑い格好していかなければいけない時があります、藤和木弘です。

ジャンヌ「といっても、一週間のうち一日だけじゃないですか…。でもすごく暑そうですし、荷物も着替えを持って行っているので大変そうですよね。どうも、皆様。今はあまりにも暑いので、藤和木の学校に付いて行くときにはグラン・ロロから夏用に短めのステージスタイルを転送してもらってそれを着ています、ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「ジャンヌちゃんの衣装って長袖だもんね。どうも!レイ・オーバだよっ。ちなみに私の衣装は袖部分を取っ払って肩口のないものになるから、それで行ってるよっ!」

ジャンヌさんとレイさんの衣装ことステージスタイルって対称的ですよね。レイさんは夏風、ジャンヌさんは冬風で。

ジャンヌ「私服になると、その逆なんですけどね。」

レイ「一応他にも服はあるんだけど、そこはメタい所になるから言わないけどね。」

まぁ、そうでしょうね。さて、今回は第65話、投稿です。ついに!光樹君の、あの!ガンダムが登場ですよ!!

ジャンヌ「あぁ、光樹さんもようやく本来の力を取り戻すのですね。」

レイ「イメージを膨らませてみたけど、すっごい武装多いよねっ。」

どんな機体なのか、さぁ、本編で確認を!


第65話 黒の機動兵器の復活

 

 

襲ってくるモンスター達を倒しつつ、私たちは施設の中を進んでいた。施設の中は少し迷ってしまうこともあったけれど、確実にドームの方へと向かっていた。それと同時に、感じられるシェアエネルギーの量も大きくなってくる。

その反応を元に、道を選んでいく。途中で何かが隠されているような場所があり、もしかすると道を塞いでいるのかもと思い、それらのオブジェクトも破壊していく。

今のところ、特に道がふさがれているというわけではなく、先程通った道へのショートカットを作ったり、アイテムをゲットしたり、もしくは何もないかのパターンに分かれていた。

地道に道を調べていった結果、階段が目の前に見えてくる。階段の先のこの迷路ともいえる通路の出口、そしてドームへの入り口と思われる穴からは光が差している。

 

「おっ。あれってドームに入れる入り口なんじゃない?」

 

「そうかもしれないですね。」

 

「よし、だとしたら早速行くぞ!ぎあっち、ねぷっち、海男、光樹!」

 

大きいお姉ちゃんの予想を、私は頷く。あの穴からシェアの力を強く感じる。

うずめもそれに気づいたようで、一番乗りにその穴へと向かう。

 

「あ、待ってください。うずめさん。」

 

「まったく…慌てることもないだろうに。うずめのやつは。」

 

うずめの反応に海男も少し呆れている。けれども、ここで重要なアイテムが手に入るのなら喜んで先に先に行くのは当たり前なのかもしれない。その後を光樹も追いかけていく。その後ろを、ネプギアは走っていく。

光の指す入り口の中を抜ける。そして、見えたのは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ちわびたぞ、小娘共。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「マ、マジェコンヌ!?どうして、ここに!?」

 

いきなりの登場に、ネプギアは混乱する。どうしてこんなところにマジェコンヌがいるのかと。ここに先にいるということは、まさか先回りをしていたんだろうかと考える。

けれど、それではなぜここにいるのかの理由が付かない。先回りをするにしても、私たちがここに来ることを決めたのはこの施設に入るほんの三十分前のはずだったのに…。

すると、マジェコンヌの後ろでこちらを伺うようにしていたエクスが前に出てくる。

 

「貴様らの考えていたことなど手に取るように分かる。どうせ、シェアクリスタルのエネルギーに釣られ、ここまで来たのだろう?」

 

「まさか…これはお前達が俺達を誘い込むための罠!?」

 

光樹がそれに気づく。まさか、本当に罠を張られていたなんて…。シェアクリスタルなら、ネプギアたちをここに誘うことも容易い。まさにマジェコンヌたちがしてやったりであった。マジェコンヌも満足そうに誇ってくる。

 

「その通りだ。貴様らをおびき出すには、シェアクリスタルが手っ取り早いと思ってな。」

 

そのことから、まんまと罠にかかってしまったネプギアたちだったが、今はマジェコンヌたちと戦わなければならない。むしろ、マジェコンヌたちを探していたのだから、これはラッキーだった。探していた対象が向こうから出てきてくれたのだ。倒さない以外のことは考えられなかった。

全員が気を引き締めようとする。でも、そこで声が響く。

 

「ま、見つけ出したのは俺なんだけどな。」

 

マジェコンヌに茶々を入れるように発せられた声に、うずめと海男が辺りを見回す。

 

「…え、その声って。」

 

「この声…まさか!?」

 

一方、ネプギアと光樹は何かを思い出すようにその声が聞こえた上の方を向く。その声の人物に心当たりが二人にはあったからだ。それも、二人にとって、因縁のある(光樹はゲームでだが)相手として聞いたことのある声だった。

視線を向けた先にいたのは、イストワールに似た存在。かつて、キセイジョウ・レイを傀儡として超次元、神次元に被害を出した黒幕ともいえる存在である「クロワール」と呼ばれた存在だった。

けど、そこで大きなお姉ちゃんの言葉で、更に驚くこととなった。

 

「クロちゃん!?」

 

ネプギアの言葉に続くようにして発せられた言葉は、間違いなくクロワールに向けて放たれた言葉だった。そして、クロワールを「クロちゃん」と呼んだ。それはつまり、ネプギアたちを元の世界に帰してくれるかもしれない「クロちゃん」と、かつての敵である「クロワール」が同じ存在ということだった。

姿を現したクロちゃんことクロワールは、大きいネプテューヌに対して挨拶をするように言った。

 

「ネプテューヌじゃないか。久しぶりだな、楽しんでるか?」

 

「楽しんでるも何もないよ!わたし、置いて行かれて凄く寂しくて苦労したんだからね!」

 

大きなお姉ちゃんは、私たちと出会うまでの寂しさをぶちまける。かなり不安だったみたいだ。

そんな大きいネプテューヌに対して、クロワールは軽く謝った。

 

「わりぃわりぃ。こんな面白そうな世界、滅多にないからついはしゃいじまってよ。」

 

でも、その話す様子は、長年暮らしてきた相棒とでもいうべき会話だった。少し内容は過激だったけれど、それでも仲はよさそうに見えた。

全く脅威を感じることのなかったネプギアに対し、光樹は怒ったように言葉をぶつける。

 

「クロワール……まさか、こんなところにいたのか…。」

 

光樹の警戒するようにする様を見て、光樹の存在に気づいたクロワールが思い出したように声を上げる。

 

「あー、てめぇ光樹か!まったく、よくもあの時メガネからひっ放しやがったな!」

 

「!お前も俺に会ったことが!?」

 

「あ?当たり前だろ。何せ、お前のせいで俺の面白い歴史を記録するのを邪魔されたんだからよ。」

 

光樹さんが自分のことを覚えていることに驚く。クロワールも光樹さんが神次元の戦いで戦っていたことを知っているなんて…私はまだ一つも覚えていないのに、一体この違いは何なんだろうか?

その話を聞いていたうずめが、大きいネプテューヌに確認を取る。

 

「ねぷっち、こいつがお前のクロちゃんてやつか?」

 

そのことを聞いたクロワールが、大きいネプテューヌに代わって説明をする。

 

「その通り。俺様がクロワールだ。」

 

「黒いからクロワールっていうんだよ。」

 

「ちげーよ!クロニクルのクロだよ!オメェは、何回言えばわかんだよ。」

 

大きいお姉ちゃんのボケに、素早くツッコミを入れるクロワールの姿はなんだか笑えてくる。

そういえば、クロワールの名前を考えたのって、確かお姉ちゃんだったっけ?キセイジョウ・レイさんが神次元の昔の国、タリの女神だった時からいたから、たぶん命名者は違うだろう。けれども、お姉ちゃんも当時同じようなことをクロワールに言っていたような気もしない。やっぱり、次元が違っていても、同じ存在なんだ。

一方、海男が先程の言葉を冷静に訳す。

 

「クロニクル…年代記や編年史か。」

 

「俺様は歴史を記録するのが役割なんでね。いろんな世界を渡り歩いてはその世界の歴史を記録してるんだ。」

 

クロワールの役割も、基本的にはイストワールと同じだ。歴史を記録するという目的を持つ。けれど、神次元での戦いでは、かなりひどいことをしていた。それを思うと許せない。そんな気持ちがネプギア、そして光樹の中に現れる。

と、そこでうずめがマジェコンヌやイクスといる理由に触れた。

 

「待てよ。なんでそんなやつが紫ババアと一緒にいるんだよ。」

 

何も知らないうずめさんが知らないのも無理はない。普通そんな重要な存在が、世界の敵ともいえる存在に協力するというのもおかしな話だ。

と、そこでクロワールは本性を出す。

 

「そりゃあ、こいつと一緒にいた方が、歴史が面白くなりそうだからに決まってるだろ。」

 

「また、神次元と同じ事件を起こす気か!」

 

その言葉に光樹が怒りをぶつける。その考えは、誰が見ても異常だ。クロワールは更にその考えを語った。

 

「まぁな。だって、世界を滅ぼす一歩手前なんだぜ?世界の滅亡なんて滅多に見ることなんてできねぇよ。」

 

まるで楽しんでいるかのように、笑顔でそう言った。その発言に危機感を抱いたのか、海男が真剣に味方なのかどうかを聞く。

 

「君は、オレたちの味方じゃないのか?」

 

「オレは誰の味方でもないぜ。強いて言うなら、面白い歴史に傾く方の味方だな。」

 

けれども、海男の発言にクロワールはそう答えた。

それにとうとう、光樹の怒りが限界を迎えた。

 

「許さねえ!お前はここで倒す!たとえ、俺たちを元の世界に戻す存在でもなっ!」

 

前に出ようとするけれど、そこでエクスが邪魔をしてくる。

 

「させぬわ!」

 

ビームライフルの一射が放たれる。その一撃に何とか反応した光樹さんは、前に出る体を抑えて、後方に退く。けれど、それで終わりにはしなかった。後方へ飛ぶと同時に、剣を下から上に振り上げると剣より光の三日月状のエネルギー波がクロワールに放たれた。

 

「や、やべぇ!」

 

「いちいち手間のかかる協力者だ。」

 

驚くクロワールを守るように、エクスがエネルギー波の前に立ちはだかり、ビームサーベルで飛んでくる刃を後方へとはじき返す。

いきなりの行動だったので、大きいお姉ちゃんが悲鳴にも似た声で光樹さんを怒る。

 

「ちょっと!危ないよ!?クロちゃんが死んじゃったらどうするの!?」

 

「あんなことを言うんだからな。ついゲームでの怒りが。」

 

「本気でやろうとしてたよね?ダメだってば!」

 

光樹さんとしては、あの発言を取り消させようとしたのだろう。けれど、それは逆に大きいお姉ちゃんを怒らせてしまった。

そうして言い争いが起きようとする。

 

「あいつ頼るのも、あんまりよくないって…」

 

「こ、光樹さん。今はマジェコンヌとエクスを。クロワールに何か言うんでしたら、マジェコンヌたちを倒してからで…。」

 

「そうそう!後でクロちゃんには言えばいいからさー。」

 

ネプギアと大きなネプテューヌの言い分もあり、光樹は不満そうにしながらも、再びエクスと相対する。

その様子を見ていたマジェコンヌが、その言い争いと、クロワールとの会話をまとめて鼻で笑う。

 

「そういうことだ。残念だったな。」

 

悔しいけど、今はクロちゃんことクロワールは協力してくれなさそうだ。一方、本人は大きなネプテューヌを誘う。

 

「どうだ、ネプテューヌ。せっかくだし、お前もこっちに来ないか?一緒に見ようぜ、世界の終りってやつをよ。」

 

まさか、逆に共に旅をする仲間を、世界の崩壊の方に力を貸すように言ってくるだなんて。

そのあまりにも無茶苦茶な考えに、ネプギアは怒りを覚える。こんな考えの人をマジェコンヌのような悪人と行動させていたら、世界を崩壊させるのは明らかだ、と。

けれども、そこはネプテューヌだった。大きなネプテューヌはその言葉に悩むような仕草を見せつつも、答える。

 

「んー。それは、お断りかな。わたし、なんとなくマザコング嫌いだし、世界を滅ぼすなんてやり過ぎだよ。」

 

「なんだよ、つれねぇなぁ。こんな面白い歴史、見たくてもなかなか見れるもんじゃないんだぞ。」

 

クロワールはつまらなさそうに言った。もしも大きなネプテューヌがその意見に賛成していたら、どうしようかと考えていたネプギアとしては、その言葉を聞いて安心した。

と、そこでクロワールの前に出ていたエクスがクロワールに言いつける。

 

「与太話はそこまでだ、黒の歴史監視者。マジェコンヌも我も、そろそろあいつらに引導を渡してやりたいのでな。」

 

「へいへい。短気なもんだ。負けんじゃねぇぞ。」

 

そんな心のこもってない応援を送った後、クロワールはステージの外縁部まで後退する。光樹が追いかけようとしたのか、体が少し前のめりになったが、エクスの視線を感じて、すぐに姿勢を戻す。

 

「私が、負けるだと?ふん、貴様はそこで女神共の最後でも見ていろ。これが、私の真の姿だ!はああああああああ!」

 

先程のクロワールの発言に、マジェコンヌはそう返し、力を溜める。すぐに魔力がマジェコンヌの周りに集まっていくのを感じ取る。

 

「みんな、注意しろ!」

 

海男さんからの指示が飛ぶ。分かっている。マジェコンヌも先程の言葉が嘘じゃないのはこの魔力の量からも分かる。

ネプギアは気を引き締める。魔力が見えるようになり、可視化した魔力がマジェコンヌを包み込む。それはまるで、闇に飲み込まれる魔女と言ったような様子だった。

その魔力は、こちらに風を起こす。風圧でセーラーの裾がめくれるのを抑える。うずめさんたちも顔の前を腕で覆い、風を防ぐ。

そして、魔力が晴れ、姿を変えたマジェコンヌがそこにいた。女性と獣人が一体化したような姿に、後ろに漂う、機械の翼のパーツ、手には巨大な槍があった。

その姿は、かつて見た犯罪神の姿にそっくりだった。その姿に、大きいお姉ちゃんが驚く。

 

「ねぷっ!?変身したよ!?」

 

無理もなかった。大きなネプテューヌはあちらの禍々しい姿しか見ていないのだから。こちらはそれに対し、女神にどこか似た姿をしている。元々、この姿は犯罪神マジェコンヌがギョウカイ墓場と一体化した際、墓場の主ともいえる存在を模して変身した姿だったのだから、このような姿も納得できるのかもしれない。

驚くこちらに対し、マジェコンヌが言う。

 

「今までの私と思うなよ、愚かな女神共よ。私の真の姿の前にひれ伏すがいい!」

 

これまでの鬱憤を晴らすかのように、マジェコンヌは大きく宣言した。

そんな姿を見て、うずめさんがその姿について呟く。

 

「相変わらず悪趣味な見た目してやがる…!」

 

うずめとしては、そんな姿に怖気づくような性格ではないため、強気を保っていた。うずめとしては、こんなところで怖気づいていたら、モンスターたちを守れないという思いもあったのだろうが。

そこでネプギアはその姿のことについて口を開いた。

 

「こ、この姿は…。」

 

「マジェコンヌだからって予想はしていたが、まさか本当にこの姿に?」

 

「ぎあっち、光樹、知ってるのか?」

 

マジェコンヌの姿に、ネプギアと光樹がその姿を知っていた故の発言をする。ネプギアはギョウカイ墓場で見たため、そして、光樹はゲームで見ていたからだ。それを聞いていたうずめが、どういうことなのか二人に聞く。

 

「以前、私が元の世界で戦った犯罪神と呼ばれるマジェコンヌの最終形態と同じです…。」

 

「前に戦った四足歩行のやつも、ネプギア達が戦っていた犯罪神マジェコンヌの第一形態そのままだった。これはヤバいぞ。」

 

ネプギアは、緊張しつつもそう説明する。あの時戦ったとはいえ、この姿を二度も戦うのはやはり精神的にもきつかった。せっかくあれだけ苦労して倒したのに…、と思う。

それに、光樹が言ったように、以前戦ったマジェコンヌの四足歩行形態も、犯罪神事件にて戦ったことがあった。やはり、別世界のマジェコンヌも同じような存在だったのだろうか。

そんなことが重なり、ネプギアは自信を失う。

 

「それに加えてクロワールさんまで一緒にいるんじゃ私たちの勝ち目は…。」

 

「…難しい、というわけか。」

 

「はい…。」

 

海男の言葉に、ネプギアも頷く。あの時はネプギア以外にも、ユニやロム、ラム、そしてネプテューヌたち女神四人に加え、アイエフたちもいたからこそ勝てた、総力を尽くしての勝利だったのだ。

だがしかし、今はネプギアやうずめ、大きなネプテューヌの三人だけ。光樹もおそらくエクスとの相手でこちらには手を出せないだろうと思った。この戦い、不利だった。

 

「せっかく帰る方法を見つけたと思ったのに…。」

 

ネプギアは弱気になる。けど、そこに更に追い打ちをかけるように、エクスが声を大にして言い放つ。

 

「マジェコンヌだけで絶望するか。しかし、我の極限進化は、更なる絶望を加速させる!エヴォリューションフェース、フルセット!」

 

「まさか…エクスも?」

 

ネプギアはそう疑問を口にする。一体、何が起こるのか。

すると、エクスの周りに、データが集まる。データは装甲のような形となってエクスを覆う。更に次々と装着され、装着された部分から次々と実体化していく。それは光樹と戦っていた時や逃げるときにも装着されていたパーツだった。けど、一つ一つを換装するのではなく、一斉に装着していた。

装着が終わったのか、周りにデータのオーラのようなものが張られ、一瞬ではじけ飛ぶ。その姿は、決戦用とでも言うべき程の大量の武器を備えていた。

 

「これが、我の極限進化した真の姿だ。有象無象の少年と雌どもよ、我に勝てると思うな!」

 

「くそっ、EXA(エグザ)フェースか…。」

 

「そんな…あれだけの武器を搭載するなんて…。」

 

勝てるわけがない。ネプギアは直感的に思った。こんな双璧、どうやって倒せというのか。どちらかが倒せなければ、もう一方が倒しても、残った方が倒しにかかってくるのは当たり前だ。ネプギア達三人がマジェコンヌを倒しても、光樹が倒さなければ蹂躙され、光樹が倒しても、またマジェコンヌとの戦闘に入り、光樹のガンダムのエネルギーが尽きるかもしれない。これはどちらも負けたらいけない戦いだった。

そんなネプギアの心配に、うずめが手を差し伸べる。

 

「……いや、まだ諦めるには早いぜ、ぎあっち。」

 

なぜ、ここまで勝てるのか分からない状況なのに、冷静でいられるのか。ネプギアは不思議でいられなかった。だがしかし、すぐにそれは分かった。

 

「正直、俺にはクロワールや犯罪神、それにあの全部乗せガンダムもどきがどんなやつなのかは知らない。ガンダムもどきに関して言えば、ぎあっちだって同じだろ?けどな、クロワールが滅びの歴史を記録したいなら、その可能性を潰せばいいだけだ。」

 

「うずめさん…。」

 

そう、うずめは知らないのだ。何も知らない。

無知であることは本来、戦いにおいては危険だ。相手の経歴を知らずに突っ込めば、やられるのは確定だ。しかし、うずめは知らないことで、戦闘意識を損なわなかったのだ。それにより、相手の圧倒的な姿を見ても、屈していないのだ。

だけど、ここで屈しないというのは、幸いであった。その勢いで、マジェコンヌに臆せず攻撃を全両区でぶつけられる。そしてなにより、そのうずめの意志に、ネプギアが勇気をもらったのだから。

うずめさんが戦う意志を見せているのだ。一度戦い、勝った自分がこんなところで諦めちゃだめだよね。

自分を鼓舞し、自信を取り戻したネプギア。そして、うずめはいつものように、宣言する。

 

「安心しな。あんな紫ババアにガンダムもどき、俺がカッコよくぶっ倒してやるからよ!」

 

光に包まれ、女神化する。オレンジハートに変身し、余裕の表情を見せる。

 

「相手がでっかくないなら、余裕でタイマン張らせてもらっちゃうよー!」

 

オレンジハートが、因縁の敵にそう言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

うずめのそんな勢いづいた言葉に、光樹もまた鼓舞されていた。この状況、かなり不利だ。エクスは全装備統合型のEXAフェースを倒すためには、本機でぶつからなければならない。そんな状況下でうずめの声に、不思議と気分が高揚する。異性に応援されるのだから、この戦いに負けるわけにはいかないと思っていた。

だが、気持ちでは勝とうと思っても、機体が問題だ。今の最新機である「クロス」で勝てるかと言われれば、それは難しい。だが、今ある機体で倒さなければならない。今までの流れからすると、光樹が危険になる辺りで次のファイナライズアップデーティングが起こるはずだ。確実性はないが、それに頼るしかない。

と、そこでエクス達が動いた。

 

「フン、ならその自信叩き折ってくれるわ!!」

 

「橙の女神よ、我が力に沈め!!」

 

一気に距離を詰めてくる。狙いは一目でわかる。うずめだ。先程の発言は相手としても不快だったようだ。

そうなるとうずめが危険だ。あの強敵二体の攻撃を受け止めるのは女神でも難しい。誰かが割って入らなければ、どちらか一方の攻撃を止めなければ難しい。

ネプギアと大人ネプテューヌもそれには気づいており、うずめを守ろうとする。だがしかし、突然前を塞ぐようにビームのカーテンが展開された。

 

「キャッ!?」

 

「塞がれた?うずめ!」

 

大人ネプテューヌはうずめに逃げるように言う。ところが、うずめはシールドで受け止めようとする。ある意味それも正しかったが、動きが遅かった。

 

「無駄だ!!諦めろ!」

 

その一声と共に放たれたビームが、うずめの左腕のシールドに直撃する。ビームが命中した衝撃でうずめの腕が後方へと下がる。

隙だらけになったうずめに、マジェコンヌの槍とエクスのビームサーベルが迫る。

 

「うずめっ!!」

 

光樹が前に出ようとする。その時だった。

 

『シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス修復完了。』

 

待望の知らせだった。クロスを強化した機体、それがこのタイミングで修復完了ときた。このピンチに、装着しないはずがない。

光樹は駆け出しつつ、シューティングスターBを手で握り、叫ぶ。

 

 

 

 

「セット…オンッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

光が溢れる。そして、うずめとマジェコンヌ、エクスの間に機体が割り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なん…だと……?」

 

「馬鹿なッ!我が攻撃を受け止めただと!?」

 

「…光樹!」

 

そこにいたのは、うずめへの攻撃を一本の大型の大剣とANカタナタイプの武器でそれぞれを抑え込む、ガンダムであった。

シュバルトゼロ・クロスの姿を受け継ぎつつも、頭部はガンダムとは違う、大きなマスクで覆われ、ガンダムの顔には見えない、いわゆるユニコーンガンダムのユニコーンモードに似た顔つきとなっていた。腰にはクロスでは背中に装備されていた武器に似た武器をテールのように装備、肘には刀の鞘を備えている。腰部のウエポンコンテナは大幅に小型化、シャープな形状になりすらっとしたシルエットになっているが、そこには、二本のロングライフルを備えている。そして、大きく違うのは肩の換装パックと、ウイングだ。肩部のパックユニットには、右側に今持っている大剣を取り付けるようなジョイントが見て取れ、反対側にはシールドとランチャーを一体化したようなものを備えていた。翼の方は、四枚だったウイングが、六枚にまで増え、そのボリュームが一目でわかった。

新たに装着したガンダムに、光樹は驚いていた。最強クラスの敵を相手にしているのに、全く不利を感じていなかったからだ。むしろ、余裕さえ感じる。

 

「こいつが、新しいガンダムの力…!」

 

そのすごさに、感嘆しつつも光樹は目の前の敵に目を向ける。そうだ、ここで倒さなければいけない。そのために、目の前の敵を離れさせなければならなかった。

光樹は出力を上げ、一気に弾き飛ばす。弾き飛ばされたマジェコンヌとエクスはただただ驚く。

 

「おのれ、女神の始末を邪魔しおって!」

 

「黒の少年が力を取り戻したか…。その力、邪魔だな…!」

 

敵もこの機体の性能は予想外の様だ。光樹もこうして動いてみて感じる。この機体なら、やれると。

勢いづいた光樹は、先のうずめの言葉と同じように言い放つ。

 

 

 

 

「こいつなら、負けやしない。さぁ、かかって来いよ!エクス!!」

 

 

逆転が、始まる。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。残念ながら今回はゴッドクロスは活躍が少しだけでしたが、ちゃんとその強さを見せますよ!

レイ「次が楽しみだねー。」

ジャンヌ「ですが、次回の話は女神様達の戦いになるのでは?」

そうです。まぁ、女神の活躍も見せないと、意味ないですよ。もちろん、光樹君に負けないほどの活躍を見せたいと思いますよ!

ジャンヌ「それは…期待していいんですか?うふふ…!」

な、なんか寒気が…。

ジャンヌ「ちょっ…!どうしてそんな怖がるんですかっ!せっかく期待しているのに…。」

す、すみません。さて、今回はここまでにしましょうか。

レイ「だね。今度は火曜日辺りだって。」

ジャンヌ「もうっ!…では皆様。次回もよろしくお願いいたします。」

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