新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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どうも、雨の季節の中失礼します。藤和木弘です。

ついにオリジナルガンダムの戦闘シーンの話になりました!

ぜひ見ていってください。


第6話 黒き機動戦士

 

 

「こいつは、一体?」

 

自身に起こったことをあまり理解できていなかった。目が覚めたのち、ボーっとした視界の中で、光っていた流星ペンダントを握りしめたところは覚えている。その後、赤と黒の光の奔流に吞みこまれたあたりで、完全に目が覚め、気づいたらこの姿になっていた。

その姿はまさに「ロボット」というものにふさわしい、機械的な姿だった。

しかし、そこで不思議なことが一つあった。それはこの機体の操作性であった。光樹が手を動かそうとすると機械の手が動く。明らかに人の手が入っているわけなさそうな腕が、ラグなしで動くさまを見て、まるで自身がこの機体と一体化しているかのようだと思う。本当にその機械のパーツを身にまとっているだけのように感じる。そうなると気になるのは、その大きさ的に、どうやってこの機体の中に入っているのかということである。関節部は明らかに機械だ。普通この中に入れるわけがない。機体各部のあらゆる所の関節部などが、そこに体が入るとは思えないような構造なのに、この機体を動かせるということに一種の感動を感じていた。

しかしその考えは一旦やめることになる。一匹のフェンリルがこちらに突撃してくるのが見えた。

 

「くっ!」

 

反射的に左腕に装備されていたシールドのような物を構える。フェンリルの爪とシールドがぶつかり、金属音が響く。そしてその状態のまま、硬直状態が続く。が、それは光樹がそのままシールドで押し返したことで終了する。その様子を見ていた他のフェンリルたちが徐々にこちらを囲んでくる。

少しこの状態はマズイか、そう思っていると、

 

『大丈夫ですか?』

 

というような機械音声が聞こえてくる。

 

「これって、支援AIっていうやつか?」

 

『いいえ、正確にいうと、私は自己進化型戦術支援インターフェース「ACEシステム・ノルン」です。』

 

そのACEシステム・ノルン…は長いのでエースと呼ぶ。エースがこちらの言葉を訂正する。

 

「じゃあエース、こいつは何なんだ?ガンダムって言ってたけど…。」

 

『?どういうことです?』

 

エースが疑問をぶつける。まあそうだろう。俺が記憶喪失という状況を知らないのだから。そこでそのことを伝えようとするが、突然機体の頭部から「キュルキュル」という音が聞こえたと思うと、

 

『なるほど、記憶喪失ということですか。分かりました、戦闘支援はお任せください。』

 

なんてことを言われたからびっくりしてしまう。さっきの音は頭の中をスキャンした音だったのだろうか。しかしそんなことに構わずエースが行動をとる。

 

『では、最初から本気で行きましょう。「ガンダムモード」へ移行します。』

 

「え!?ガンダムモード!?確かに今の状態だとジムとかジェノアスみたいな顔の感じだけどさ…。」

 

そんな事を言っていると、目の前に様々な情報を表示していたフェイスバイザーが消失する。次に顔の額辺りから装甲が出てくる。この時点で普通なら頭部損傷で死んでいるような演出だが、これでも死なないあたり、自分がホログラムになっているからなのではないかと思う。実際、顔も見えている範囲ではなんか電子っぽい感じがする。

そうこう考えている内に顔をカバーするように装甲が閉じられる。目の部分に今度はインターフェースと映像が表示されるようになる。おそらく、見えている映像からメインカメラアイからの映像だろう。

画面には機体の変化がデータで表示されていた。見ると顔の部分が確かにガンダムの特徴であるツインアイとフェイスマスクにヒゲと言う名のスリット…は無いものになっている。いわゆるゼータ顔と言うやつだ。

そして最後に機体の額より少し上の部分にあったアンテナがL字型のアンテナが少し不格好な、デスティニーのアンテナに近いものに展開する。その展開されたアンテナの中心には、何かの砲口が姿を現す。ダブルゼータのハイメガキャノンのような武器なのだろうか。

その変形が終わり、周りを見てみると、フェンリルが若干ひるんだようにじっとしている。

その様子に若干呆れながら、戦闘態勢をとる。

 

「さて、何か武器はあるか?エース。」

 

『腰背部兵装、ANヴェスバーレールガンⅣのラッチ、ANビームサーベルⅥを。』

 

エースの言った場所には確かにビームサーベルの柄のようなボックスユニットが存在していた。それを掴み、構える。

そこでエースが告げる。

 

『脳内でビームサーベルの出力の指示を。』

 

「分かった、こう…か?」

 

脳内でビームサーベルを出力するのを考える。すると、サーベルの柄からビームの刃が生成される。刃の部分が横に広いので、ソードと言った方がいいのではという出力である。

それを確認すると同時に、目の前のフェンリルに突っ込んでいく。背部のウイングスラスターから粒子を吹かせ、一気に距離が縮まる。そしてビームサーベルを振るう。その攻撃は振り上げていたフェンリルの右前足を両断する。切られた先から血が噴き出す。しかし今はそれに構わず、飛び上がって回転切りを浴びせる。大きな傷を受けたフェンリルは、叫びながら消滅していく。その様を見ていたフェンリルたちが怯えるように後ずさる。だが、まだ敵意は向けられたままだ。

 

「すげえな、まさか自分がビームサーベルを使う日がくるなんて…っていうか威力高いな。他の武器はどんなのが…。」

 

敵意に構わずに喜んでいる光樹は、他の武器の使い勝手を確認するために、画面に武器のデータを出すように考えてみる。するとやはり、武器のデータが出てきた。このシステム、かなり画期的だと思う。客観的に見ると、このシステムは、ユニコーンガンダムに搭載されている、「インテンション・オートマチック・システム」に近いだろうか。あちらは考えた通りに機体が動くものだが、こちらは機体の出力制御やデータなどのシステムを担当しているようだ。

そんな事を思いながら武装欄を手早く見ていくと、とある武器に目が留まる。「ANヴァリアブルアームズ」という武器だ。データ上ではシールドの先に装備されている武器と表示されている。シールドの先には確かに剣と銃の機能が合わさったような兵器が、シールド基部の、巨大な砲身を折りたたんだライフルの先に存在していた。

 

「こいつか!」

 

すぐにその武器の持ち手部分に手を触れる。

瞬間、脳裏にとある光景がよぎる。

 

(なんだ…?)

 

武器に触れようとしていた手で頭を押さえる。

そしてその光景がはっきりと見えてくる。それは一機の機体が戦闘をしている光景だった。右手に持った武器で、すぐにその機体が、自分の操るこの機体だということが分かった。

と、そこで機体が何機もの機体に囲まれる。しかし、囲まれた機体は慌てることなく、ANヴァリアブルアームズを持つ手を上げる。瞬間、武器から何か小さいものが周囲にまき散らされる。それらはすぐに敵に当たり、爆発する。

機雷だ。小型の浮遊式機雷を散布したのだ。

そして、敵がひるんだその隙に、ANヴァリアブルアームズを銃にして撃ったり、剣のように振るっていく。あっという間に敵を両断し、全ての敵が撃破されるとすぐに飛んでいく。

 

(これは…俺の記憶…なのか?)

 

それくらいしか考えられなかった。おそらく、今の似たような状況に呼応して、記憶が呼び起されたのだろう。一瞬の間に見た光景だったが、かなり上手い動きで、これが自分かと思うと少し怖いくらいだ。だがこれでやることは決まった。

抑えていた右手を、またANヴァリアブルアームズに伸ばし、手に持つ。そして先程の光景と同じく、空に向けて掲げ、機雷を出すことを考える。

 

『ANマイン、散布します。』

 

エースの言葉と同時にANヴァリアブルアームズの側面から機雷、ANマインと呼ばれたそれが全24発、周りを囲んでいたフェンリルたちの群れに飛ばされる。それらがフェンリルに触れたと同時に爆発が起こる。フェンリルたちがひるむ。その隙に、右手のANヴァリアブルアームズを折りたたんだライフルモードに変形させ、左手にはサイドアーマーに懸架された拳銃タイプの射撃兵装…いや、正しい名前は、ANヴァリスⅡ。そのことを思い出す。

 

「よし、やってやる!」

 

それらの武器を持ち、そして射撃戦を開始する。だがそれはいろんな意味で違っていた。そもそもフェンリル系のモンスターは、射撃戦の攻撃は持たない。そのため射撃戦は出来ない。だが違っていたというのはそこではない。ブラックエースⅣの、その射撃だ。機体を高速で回転させるような機動の中で、正確に、ひるみから立ち直った敵にダメージを与え、なおかつさらにひるみを作り、時間の余裕を作り出す様子は、まさに戦場を踊る奇術師のような戦いであった。実際にその様子を戦いながらもフェンリルの群れの隙間から見ていたネプテューヌたちは、ただただ驚いていた。

しかしその攻撃でもなかなか数はなかなか減らない。先程の銃撃で二体ほど倒したが、それでもまだこちらを囲めるだけの数がいる。しかし、それでも数えられるだけの数になっていた。現在は九体に減っていた。

 

(チャンスは今しかないか…なら!)

 

すぐにANヴァリアブルアームズをソードモードに、ANヴァリスⅡを出力を増大させたフルバーストモードに切り替え、機体の出力全開で殲滅に移行する。ヴァリアブルアームズの一閃が、たった一撃でフェンリルの体を裂き、粒子に帰す。ヴァリスのビームも同じくフェンリルに直撃し、消滅する。さらに切りつけた後、後ろから迫るフェンリルの攻撃をジャンプで避け、空中で回転しつつ、地上のフェンリルに対し、ヴァリスのビームで薙ぎ払う。

それらの行動により、九体いたフェンリルは三体に減った。するとその状況に焦ったのか、フェンリルたちが突っ込んでくる。と、そこでエースが効果的な攻撃方法を導き出す。

 

『ANACEグラビカルアンテナユニットⅣ、ACEハイメガキャノンモードⅣに切り替えます。』

 

すると、頭部のV字アンテナを形成していたユニットの正面中央のパーツが開き、砲口を形成する。そこに、光が集まる。エネルギーをチャージしているのだ。

 

『チャージ完了。撃てます。』

 

「よし!」

 

エースからのチャージ完了したことを聞いて、気分が乗る。なぜならこの武器、この状況なら、一度は言ってみたい言葉があったからだ。

そして、叫ぶ。

 

「いっけー!ハイメガキャノン!!」

 

その叫びと共に、太いビームが一直線に飛んでいく。その大きさは体の半分が飲み込まれるかのような大きさで、フェンリルに迫る。そして直撃する。だがそれでもその勢いは止まらず、先頭のフェンリルの体を貫くと、そのまま後ろに居たフェンリルたちにも襲い掛かる。

ビームはフェンリルたちを貫いた後、数十メートルを進み、消滅する。貫かれたフェンリルたちの死体は光となって次々と消滅する。これで全て倒したことになる。勝ったのだ。

その様子を見ていたネプテューヌたちがすぐに駆け寄ってくる。

 

「光樹!大丈夫!?」

 

「な、何なのよ!その姿…それにその戦闘力、聞いてないわよ!!」

 

ネプテューヌが光樹の様子を案じ、アイエフがいきなり起きたことに対して追及してくる。

だがそれらにすぐ答えようとしたその時、体に凄まじい疲労感が襲う。

いきなり起きたことに驚いてしまうが、ネプテューヌたちに心配を掛けないために平静を装って、それらに答える。

 

「あ、ああ。大丈夫だよ。この機体について、思い出したよ。こいつは俺の…」

 

そう言おうとしたその時、突然ネプギアが急接近してくる。

 

「ネ、ネプギア?どうし…」

 

光樹が言おうとする前に、ネプギアが口を動かす。

 

「すみません…私のせいで…光樹さんを迷惑をかけてしまって…。」

 

ネプギアが若干涙目になりながら言う。少しの間戸惑うが、すぐに悟る。

 

(そうか、あの時フェンリルに飛ばされてしまった時のことを…。)

 

そう察した光樹はネプギアの頭に手を置き、言う。

 

「気にするなよ。あの時は俺の力が足りなかったからああなったんだ。それに、この力もその出来事が無かったら、目覚めなかったかもしれないし。」

 

「光樹さん…。」

 

ネプギアが面目なさそうな顔をする。だが落ち着いたようで、すぐに表情を明るくする。

 

「じゃ、じゃあ…戻ったら、その機体も調査させてもらっても…いいですか?」

 

「ははっ、いいよ。ただ壊したりはしな…」

 

そう言いかけたその時、クラっとする。

 

「ちょ…光樹!あんた大丈…」

 

しかしそのアイエフの言葉に答える暇もなく、光樹は倒れた。

 

 

 

 

「光樹!?しっかりして。光樹!」

 

ネプテューヌが驚きのあまり、取り乱して光樹に駆け寄る。倒れる光樹を支えると同時に、光樹の体が光り、その光が治まると光樹の纏っていたパーツが消え、元の姿に戻っていた。

そこに、あいちゃんとこんぱが駆け寄る。

 

「ネプ子!光樹は?」

 

「分からないわ。こんぱ、様子を診て。」

 

「はいです!」

 

こんぱはそう答えると光樹のそばに寄り、すぐに状態を確認する。少しして、こんぱが安心したようにして言う。

 

「大丈夫です。少し疲れちゃったみたいです。体の傷の方も、幸い深く無い様なので、戻って手当をすれば問題ないです。」

 

「本当ですか!よかった…突然倒れたからびっくりしちゃった。」

 

ネプギアが安堵する。本当に良かった。あれほどの敵と戦って勝てたのは光樹のおかげだ。その光樹も、かなり消耗したけど、何より全員無事でよかった。

 

「じゃあ、とりあえずプラネテューヌに戻りましょう。」

 

「そうね、ネプ子の言う通り、ここまでの戦果ならもう戻っていいでと思うわ。それに、新しくやらなきゃいけないことも出来たし…」

 

あいちゃんの同意もあり、私たちは街に戻ることにした。まだ意識を失っている光樹はネプギアが運ぶことになった。なんでも「光樹さんには迷惑をかけたから、少しでも恩返しに。」

とのことだ。実にネプギアらしい、と思った。

ネプギアが光樹を背負ったところで、私たちはすぐにダンジョンを後にした。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回の話も読んでいただき、ありがとうございます!

次は設定資料の一部公開に加え、作者と登場人物達が質問に返答していく、黒の館と呼ばれる解説兼番外編をお送りいたします。

質問なども受け付けています。

次は解説なので月曜日に投稿したいと思います。なぜかと言われれば、解説回予想以上に早くできていたからです(笑)

では次の回、「黒の館」でお会いしましょう。

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