新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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どうも皆様、スタッフの集まりの予定がなくなったので、投稿できました藤和木弘です。

ジャンヌ「最近のマイブームは、レイさんと一緒にマクロスΔを見ることです。ジャンヌ・ドラニエスです。」

レイ「マクロスΔの戦闘機カッコイイ!レイ・オーバだよ。」

私、まだマクロスΔ見れてないんだけど…見たいなぁ。
さて、お待たせしました、第54話投稿です。

ジャンヌ「今回のお話はマジェコンヌたちの追撃から逃げる場面です。」

レイ「無事に逃げ切れるのかな、うずめちゃんたち。」

では本編へ、レッツゴー!


第54話 いざ洞窟へ

 

 

うずめたちの行くままに、ネプギアと光樹は洞窟の中へと入っていた。水晶などのある洞窟で、それらが光り輝いていたのでそこまで暗い道のりではなかった。

最初、ネプギアはここがうずめと海男の言っていた本拠地なのだろうかと思っていた。身を隠すにはいい所だと思ったからである。しかし少し進んだところで、その考えに疑問を感じる。理由は単純で、中からモンスターの声が響いてきたからである。それもぬらりんさんのような善良そうな感じのモンスターの声ではなく、凶暴なモンスターらしい唸り声が聞こえてくる。

気になったネプギアはうずめにそのことを尋ねる。

 

「この洞窟が本拠点なんですか?それにしては、中からモンスターらしき唸り声が聞こえてくるんですけど…。」

 

問いかけられたうずめは答える。

 

「いや、ここじゃないさ。で、海男。ここはなんなんだ?」

 

あっ、ここじゃないんだ。そう理解したネプギアだったが、そこで、ん?と思う。

あれ、さっきうずめさんもここがどこか知らないような発言をしたような…?あ、でも海男さんが先に行っているから、今は海男さんの案内でここに入っているのかな?

そこで話を振られた海男がうずめの代わりに答えた。

 

「この間見つけた近道さ。目立つ地上を歩くより、こっちの方が見つかるリスクは少ないからね。中にはモンスターがいるが…まぁ、君たち三人ならなんとかなるだろう。」

 

それを聞いて、納得する。どうやら海男さんの案内でよかったようだ。海男さんの言う通り、地上から行ったら、またマジェコンヌたちに見つかる可能性も上がる。けれど、こっちなら、外から見つからないし、それに近道になるならここから言った方がリスクも少ない。モンスターがいるのも今の私たちでもなんとかできるだろう。

けれど、光樹さんが「んー…。」と唸った。海男さんがその理由を聞きました。

 

「どうしたんだい、光樹。何か気にならないことでも?」

 

海男さんの言葉に、光樹さんが逆に質問をする。

 

「なぁ、海男。ここの近道はいつ見つけたんだ?」

 

それは気になりはするけれど、あまり今聞くべきことでは無い様な発言だった。どうしてそんな事が気になったのか、ネプギアは少し分からなかった。

けれども、海男はちゃんとその質問に答えた。

 

「あぁ、それは君たちがこの世界に来る一週間前のことだよ。」

 

「一週間前か…。何でもない。変なこと聞いてごめん。」

 

それを聞いて、光樹は納得したように謝る。それを聞いて、安心したようにうずめが言う。

 

「なんだ。変なこと言うなよ、光樹。大丈夫だったら、とっとと行こうぜ。」

 

「あぁ、そうだな。」

 

光樹さんはまだ不安そうにしていたけど、前に進むしかない私たちは洞窟の奥へと足を進めていく。

その後を、つけられているのにも気づかずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくの間、モンスターを倒しつつ、光樹達は洞窟の出口へと進んでいた。モンスター達も気のせいか今までよりも強くなっているように感じ、ネプギア達の援護も受けつつ、無事に奥へと進んでいく。

しかし、進みながら、光樹は先程のことについて少し考えていた。それは、海男がこの道を見つけたことについてだ。別に海男を疑っているわけではない。近道であるなら、余計な戦闘を行わずに済むし、時間も短縮できる。

だがしかし、そこで絡んでくる問題がある。ここが近道だと分かるなら、当然、海男は一度この道を通ったことがあるということだ。もちろん、海男は見つからないように慎重に進んだのであろうことは予想できる。しかしそれでもこの狭い空間の中で一度も見つからないようにするのは至難の業だろう。もし見つかれば戦闘だって起きる。海男の話によれば、その時はほとんど敵はいなかったそうだ。ところが今はその時よりも数が多い気がするというのだ。

そこで光樹が考えたのは、これも策略の内ではないかということだ。あまり考え過ぎると、孔明の罠の話のようになるが、それでもそのことがどうしても脳裏で引っかかっていた。ここはもしかすると、敵の巣窟で、ここに誘い込まれたと思ってしまう。敵はうずめ達と同じ、この世界に精通している。もっと考えれば、ここは敵のテリトリーとも言える。敵が先回りしたり、出口を塞ぐ可能性もないわけでもない。海男が進んでいた時はわざとモンスターの数を少なくしていた、もしくはモンスターの数が少なく、今はここに自分たちがいるのを知ってモンスターをここに集めたということもあり得る。

そんなわけで、色々と敵の襲撃を警戒していた光樹だったが、それに気づかないうずめがここでネプギアに確認の言葉を口にする。

 

「なぁ、ぎあっち。今更だけど、Nギアは忘れずに持ってきてるよな?」

 

その発言で光樹も今更ながら気づく。あの時は色々と慌ただしかったため、気づかなかったが、色々な機能を持つNギアは今のところ、向こうの次元と通信する唯一の連絡手段だ。それを忘れたままとなれば、向こうとの連絡を取るのは厳しいものになるだろう。

だが、その心配は杞憂になった。ネプギアはポケットからNギアを出し、見せながら持ってきていることを示す。

 

「はい。命の次に大切なモノですからこの通り、ちゃんと持ってきていますよ。」

 

ちゃんと持ってきているなら、それは良かったことだ。取り忘れていたら取りに戻るという考えも少しあったが、流石に追いかけているであろうマジェコンヌ達とぶつかることもあり、諦めていただろう。

安心していたネプギア以外の三人だったが、そこでNギアを操作しようとしたネプギアが呟く。

 

「…あれ?」

 

「ん?どうした。」

 

「…何かあったか?」

 

その言葉に心配になったうずめと光樹は聞く。すると、ネプギアはその理由について困惑した様子で答える。

 

「えと…電源が入らなくて…逃げるとき、無理やり装置から外したせいかな…。」

 

「それって…壊れたってことか?」

 

「みたい…です。」

 

その言葉を聞いて、光樹は大きく息を吐いた。まさか壊れてしまったとは…。こんなところで壊れてしまうことが分かってしまうとは、何とも運がないというか、複雑な気分になる。

どうにかして直さなければいけないが、今は直せる場所はどこにもない。するとそれを見ていたうずめが直そうかと聞く。

 

「なら、俺が叩いてみるか?」

 

「叩く…。」

 

「叩くって、Nギアをですか!?」

 

一昔前の家電を直そうとする母親的発想に、二人も呆れる。流石にそんなものではあの精密機器を直すことは出来ないだろう。

しかし、うずめは自論を通す。

 

「ほら、テレビとか壊れた時は叩いて直すだろ?これも調子が悪い時には叩いて直してるんだよ。ただ、そろそろガタが来てるせいか、最近は叩いても直らなくなってきたんだよな。」

 

ヴィジュアルラジオを見せながらその方法を勧めてくる。叩いて直るならいいが、叩いても直らないのは、おそらく壊れてきているのではないのでは…?

ネプギアもこちらが考えていたことと同じことを発言する。

 

「それって、叩いたせいで余計に壊れちゃってるだけじゃ…。」

 

「ええっ!?そうなのか!?」

 

ネプギアの述べた事実を聞いて、うずめが驚く。これまで自分のやっていたことが正しいと思っていたのがよく分かる。だが、まともで機械を上手く使えるのがうずめと海男など、少人数に限られるこの世界では仕方がないことなのかもしれない。しかし、叩けば直るのは昔の自分たちのおばあさんとかの世代の発想だろう、うずめはその時代出身なのか、と変なことを考えてしまう。

そう考えている内に、ネプギアがヴィジュアルラジオを含めた修理の話を出す。

 

「たぶんそうかなと…。せっかくですし、向こうに着いたら見てあげますね。Nギアが起動しない原因も調べなきゃいけないですし。」

 

「じゃあさ、せっかくだし俺のもぎあっちのみたいにカッコよく改造してくれよ。なんかすげぇ機能とかいっぱいつけてさ!」

 

その話にうずめが食いつく。修理と同時に改造もお願いするとは、おそらくもっと色々な機能を詰め込んで、それらを使う姿を夢見てのことだろう。そうでなくても、自分達が元の世界に帰った後でもうずめがこの世界で生きていくのに何か役立つかもしれない。

 

「あ、それいいかも。うずめさんは搭載して欲しい機能とかありますか?」

 

その意見にはネプギアも賛成し、機能について聞く。

 

「んー。そう言われるとなかなか思いつかないな。」

 

しかし、こういった時にはっきりと何が欲しいかは決まらないものだ。うずめも何が欲しいか悩んでいる。せっかくなので、うずめのためにも、何かいいアイデアはないかどうかを考える。…が、記憶喪失の自分では、いいアイデアは何も思いつかない。

そんな二人の様子を見たネプギアが、焦らずに考えることを伝える。

 

「じゃあ、向こうに着くまでに考えておいて下さい。光樹さんも何か思いついたら言ってあげてくださいね。」

 

「おう、わかったぜ。光樹も何かいいのがあったら、言ってみてくれよな。」

 

「そうだな。考える時間はゆっくりありそうだしな。」

 

先程まで心配していたことなど忘れたかのように、光樹はうずめのヴィジュアルラジオに付ける新しい機能について考えることに夢中になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、海男。まだつかないのか?」

 

うずめの待ちくたびれるような発言を受けて、海男は少し焦っていた。早く着くことは重要だ。それは海男自身ももちろん思っていた。

しかし、いくら歩いても、出口が見つからなかった。それどころか、今のこの景色を、以前に見たことがなかった。おかしいと思った海男は呟く。

 

「おかしいな。ここをまっすぐ進んだ先のはずだったんだが…。どうやら迷ってしまったようだね。」

 

「そうなのか…とりあえず戻った方が…。」

 

それを聞いて、光樹もそう言う。まさか迷ってしまうとは思わなかった。だが、幸い他の道があったので、光樹の言う通り、引き返せば道はある。そこで光樹の意見に従う発言をする。

 

「そうだね。一度引き返そう…」

 

か、と言い返そうとしたその時。

 

 

 

 

「ハーッハッハッハッハッハ!」

 

 

 

 

と、どこからともなくそんな高笑いが聞こえてくる。

 

「!?」

 

四人はその声が聞こえた後方を見る。すると、そこには襲撃してきた敵であるマジェコンヌとエクスが、各々の武器を構えてそこにいた。

 

「随分と楽しそうな話をしていたな。だが、ここまでだ。」

 

その言葉でビクッと内心驚く。まさか、先程の話を聞き取れる距離にいたのだろうか。そんな近くにいたのに気づかなかったのかと焦る。光樹も同じことを思ったのか、エクスに対し、その言葉に質問のように言葉を投げかける。

 

「さっきの話を聞かれてた…ってことか?」

 

「いや、逃げきれてよかったかと思っていたのではと考えていただけだ。ただ、何か面白そうに話していたのは見えたがな。」

 

「それ聞いてないか?」

 

光樹が冷静にツッコむ。どうやら雰囲気は察していたようだが、詳しい話までは聞こえていなかったようだ。

と、そこでうずめが睨み付けながら言葉を発する。

 

「ともかく、なんでポッと出の紫ババアとガンダムもどきが!?」

 

「わたしはポッと出の紫ババアではない!」

 

「ガンダムもどきと言われるとは…ガンダムと言われるのも好かんが、もどきと言われるのはもっと気に食わん!」

 

うずめの言葉に二人の怒りのスイッチを入れたようだった。敵から怒りの感じが見えて分かる。エクスの方は目の部分が赤く染まっていた。その怒りを持ったまま、二人はうずめに理解させるように名乗る。

 

「マジェコンヌ…これが貴様らを倒し、この世界に終焉の鐘を鳴らす私の名だ。」

 

「我はエクス。究極の絶望なり!」

 

わざわざ名乗る必要もないはずなのだが…と海男は思う。名乗りをしている時点でものすごく目立ちたがり屋にも見える。

しかし、今はそれが問題ではない。なぜ、やつらはここにたどり着くことが出来たというのかだ。先程、光樹が聞き出す形となったエクスの話によれば、付けていたというような話だったが、ここまでの道のりで誰一人やつらに気づかなかったなど、ありえるのだろうか?

海男はマジェコンヌたちにどうやってここまで来たのかについて聞く。

 

「ここは地図にも載っていないような洞窟のはず。何故お前たちがここに…。」

 

その海男の言葉にマジェコンヌたちが答える。

 

「簡単なことさ。貴様らを付けさせてもらったのだ。」

 

その発言に、光樹が反応する。

 

「ちょっと待て。こっちはかなりのスピードで飛んでたんだぞ!?それに追いついたのか!?」

 

光樹が驚くのも無理はない。実際、あの時の光樹が出していたスピードは、かなりの速さだった。それなのに、追いつけてしまうとは。

すると、エクスが呆れたように言う。

 

「スピードは対して変わらんさ。こちらも「飛んだだけ」のことだ。バックパックを換装してな。」

 

「っ!よく考えれば、お前はガンダムだからな。それも極限の。」

 

光樹は納得したことを呟く。光樹だけがガンダムではないのだ。敵もまたガンダム、同じことが出来ても、おかしくない話だった。

そこでマジェコンヌが話に割り込む。

 

「だが、そのおかげでこうして貴様らを袋小路に追いつめることができた。感謝するぞ。」

 

そう言われてしまうと、オレ自身の注意力がなかったことが悔やまれる。よくよく考えると、光樹は既に何かを感じていたのかもしれない。マジェコンヌたちが自分達を付けているということに。あの時にもっと注意を払っていれば、なんとかなるかもしれなかったはずだ。

海男が真剣に後悔している間に、うずめがマジェコンヌたちが行った行動に対して、嫌悪感をはっきりと口に出して言っていた。

 

「げっ、キモっ!?ストーカーとかマジキモいんですけど!?」

 

「うずめさん、口調口調!!」

 

思わず本心が出てしまったようだ。慌ててネプギアがうずめを正気に戻すため声をかける。

しかし、今の海男はそんな事を口出しする気にはなれなかった。自身の行動のせいで三人に迷惑をかけてしまった、そのことを気に病む。

 

「嗚呼…すまない、三人共。オレのせいでこんなことに…。」

 

そう謝罪する。しかし、その言葉に、光樹とうずめが反論する。

 

「海男、お前だけじゃない。俺も気づけなかった。何か嫌な予感はしてたけど、行動に移せなかったんだからな。」

 

「俺なんか怪しいとも思わなかったんだぜ?とにかく、要はここでアイツらをぶっ倒せばいいだけの話だ。」

 

二人もこの状況の原因だと語った。そこにネプギアが逆に有利であることを言う。

 

「うずめさんの言うとおりです。追いつめられてはいますが、この狭さなら一度に沢山のモンスターを相手にしなくてもいいはず。」

 

ぎあっちの言う通りだ、と海男は思う。幸い、あの二人以外の明確に敵意を向けている存在はいない。あの二人を倒すことが出来れば、問題は解決するだろう。

意気込んだうずめが心配ないようにこちらに言ってくる。

 

「窮鼠猫を噛む、って言うだろ?懐に飛び込んで、アイツを食い千切ってやるよ。」

 

なかなかワイルドさのある言葉であったが、今は三人が勝つことを祈るしかない。海男は呟く。

 

「三人共…。」

 

そして、ネプギアがマジェコンヌに言い放つ。

 

「覚悟してください、マジェコンヌ!ここであなたを倒させてもらいます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ネプギアがマジェコンヌを倒すことを言い放ったのを、光樹は確かに聞いていた。この発言は間違いなく、戦いの始まりの合図だと誰もが思うだろう。主人公がボスに対し宣戦布告する。それが引き金のようになってボス戦が始まる。よくあるRPGのゲームでのお決まり展開だ。

ネプテューヌというゲームでも、それは例外ではなかった。そう、なかった…。

 

「な、なに!?貴様、今なんと言った!!」

 

はずなのに、マジェコンヌがそんなことを言い出した。…何か聞き直す言葉が聞こえた気がする。もしかして、先程のネプギアの言葉が聞こえなかった…?

まさか、と光樹は思った。後ろに居る光樹にも、先程のネプギアの言葉は聞こえていた。それなのにネプギアの正面にいるマジェコンヌに聞こえないはずがない。

ならば一体なぜ?何か思いがけない言葉が聞こえたのか、光樹はそう予測する。

その言葉を聞いたネプギアが、戸惑う。

 

「…へ?「マジェコンヌ!ここで、あなたを倒させてもらいます」、ですけど。」

 

先程の言葉を律儀に言うあたり、ネプギアらしいとは思った。だが、その言葉の何にマジェコンヌは反応したのだろうか?

すると、マジェコンヌが更にネプギアに要求してくる。

 

「最初だけ!最初の方だけもう一回!」

 

「マジェコンヌ、お前、何をやっている…。」

 

流石のエクスも、困惑をしているようだ。最初の方というと、確か、マジェコンヌという、名前ではないだろうか。

それを言われて、ネプギアも同じことに気づく。

 

「最初って…名前ですか?マジェコンヌ。」

 

「最後に、さん付けでもう一回だけ!」

 

それを聞いて思った。…こいつは何を考えているんだ。敵に対してさん付けって…。○○様と言え!とかなら、光樹自身も納得していただろう。だがさん付けでと言うし、しかもそれをこのタイミングで言うだろうか普通。あの海男ですら、横で首を傾げる仕草をしているくらいだ。

だがその要求すらも、ネプギアはちゃんと答える。

 

「マジェコンヌさん。」

 

その言葉が響いた瞬間、マジェコンヌは泣きだす。

 

「くうぅぅー…。」

 

いきなりの謎行動に、敵対しているこちらは何がなんだか分からなくなってくる。なぜここで泣く。それも、自分の名前をさん付けで呼ばれたくらいで、そんなに悲しくなることなんだろうか。

が、光樹のその考えは違っていた。

 

「初登場以来、マザコングだのポッと出の紫ババアだのオバサンだの言われ続けたが…ようやく…ようやく私を名前で呼んでくれたか!」

 

あまりの感動で泣いていたのだった。それも名前をちゃんと呼んでくれたことに対してだ。名前を間違えられる、それもわざととしか言えないのであれば、ちゃんと名前で呼んでくれるのは嬉しいだろう。

だが、今このタイミングで気にすることか?こんな明らかにシリアスな状況の中で、戦闘が始まろうとするタイミングでこんな話題に触れるなど、メタい。明らかに狙っているのでは…と光樹は感じていた。

その言葉にネプギアも、

 

「あ、あはは…。実は気にしてたんですね…。」

 

と言う始末だ。

が、ネプギアもこれはチャンスと考えたのだろう。感動の渦に飲みこまれている状態のマジェコンヌにさらっと重要な提案をする。

 

「あ、それじゃあ名前を呼んだ代わりにそこを通してもらいますね。」

 

「な…!おい、紫の女神の妹!何を言って…!」

 

そこにエクスが制止してくる。流石にエクス自身には気づかれてしまったようだ。しかし、マジェコンヌはすぐに答えた。

 

「あぁ、数少ない…いや、唯一私の名を呼んでくれる者の頼みだ。このくらいお安いご用だ。」

 

「ま、マジェコンヌ!?貴様正気か!?」

 

エクスが動揺する。それでも、こんなことで戦闘を回避できるのなら、ありがたい話だ。無駄な戦闘を行わず、突破する、実にいいことだと、光樹は思う。

だけども、こんな突破の仕方で本当にいいのだろうか。何か、俺の直感が言っている。こんな形で突破してはいけないと、ガンダムの神様か何かが言っている気がする。

 

「わーい。ありがとうございます。」

 

しかし、光樹の考えに気づくはずもないネプギアが先頭でマジェコンヌの横を過ぎ去る――――

 

 

 

 

「って、そんなわけあるかー!」

 

 

 

 

前に、マジェコンヌがどんでん返しを起こす。やはり通してくれなかったか。その手のひら返しに、ネプギアも残念そうにしながら言う。

 

「あーん、やっぱりー!?」

 

そう簡単には通してはくれない。もしあのまま突破していたら、すごく気まずい雰囲気だっただろう。だが、エクスもいたから、どちらにしろエクスに止められていた気もするが。

ともかく、これで先程の戦闘前の空気に戻る。その空気を作る先陣を、うずめが切る。

 

「なら、力ずくで道を切り拓くだけだ。見た感じ、テメェとガンダムもどきの二人のようだしな、たった二人で来たことを後悔させてやるよ。」

 

うずめの言う通り、他には誰もいないようだ。あの二人だけなら、こちらにも勝機はある。あの時は数が多かっただけだ。今なら勝てる。

そして、うずめがこちら側の二人に指示する。

 

「ぎあっち、光樹、本気で行くぞ!」

 

「はい!」

 

「よし、行くぞ!」

 

その言葉と同時に、三人は光に包まれる。光の中で自らの戦闘用のアーマーを装着し、再び姿を現す。変身した三人の顔には笑みが浮かんでいた。この戦い、勝てると。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ。今の貴様らなど私とエクスで十分だ。その強気、果たしていつまで続くかな。」

 

マジェコンヌはそう強気に言う。けど、うずめの目からしても、この勝負は明らかにこちらの方が有利だということが分かる。こんなの、ぎあっちと光樹とうずめの三人で勝てる。そんな自信を持っていた。

けど、そこで、ガンダム男こと、エクスが静かに呟く。

 

「くだらない。マジェコンヌ、私はリミット1の最大で行く。それでいいな?」

 

「ほう、リミット1で十分だと?」

 

「あぁ、黒の少年は今は本力を発揮できていない。なら使える手は最後まで取っておくべきだからな。」

 

何か作戦があるみたいだったが、そんなもの、こっちが全力で立ち向かえば問題ないはずだ。光樹にもそのことを言う。

 

「光樹、こっちも全力でね!」

 

「分かった。来い、シュバルトフェニックス!」

 

光樹が叫ぶと、洞窟の入り口の方から風を切る音と共に、鳥のメカ、シュバルトフェニックスが姿を現す。出てきたシュバルトフェニックスは変形して光樹のガンダムの手に握られる。そして戦闘態勢を取る。

一方、エクスはその様子をただ見ていただけだった。すごく余裕そうに見える。光樹もその様子に対し、発言する。

 

「おいおい、シュバルトフェニックスを落としてもよかったんだけど?戦隊モノのお約束壊してもいいんだぞ?」

 

光樹も声の調子を上げている。けど、その言葉を受けて、エクスは語った。

 

「貴様にそんな無駄な力がついたところで大して強くなるわけがない。この姿を見るがいい…エクストリームバースト!!」

 

その声と共に、ガンダム男ことエクスの体が光り輝く。けど、体全体がというわけじゃない。体のあちこちに埋め込まれたクリアーパーツが、青く輝いていた。

けれども、その輝きだけで、光樹が若干後ろに下がる。でも、これはうずめにも分かった。…強くなっているってことが。

そして、ガンダム男がこちらに対して問いかけるように話してくる。

 

 

 

「さぁ、始めよう。絶望の宴の序章を…。」

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回もお読みくださり、ありがとうございます。

ジャンヌ「最後の方のエクスのあの輝き…。これはエクストリームバーサスシリーズのゲームシステムのあれですね。」

そうそう。ゲームの方では素のでプレイヤーと戦わない上に、エクストリームバーストもイクスタイプはミスティックしか使ってないから、素のエクストリームにも使ってほしいなって。

レイ「でも、ゲームでエクストリームガンダムが素の状態がエクストリームバースト使ったら…。」

確実に戦犯ですね、負け確ですよ。たまに私も、極限進化状態になれずに落ちることがあります。
さて、今回はここまで。

ジャンヌ「次回の投稿は、土曜日になると思われます。」

レイ「もしこの作品を面白いと思ってくれた方は、是非感想を書いてね!」

では次回もお楽しみに。

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