新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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どうも、藤和木弘です。

お待たせいたしました!戦闘回の第5話、更新です!

…ただ、問題が…。

以前、8000字越えた際に、あまり長くならないように、と話したのですが…やらかしました。

文字数、9000字

…なんてこったい/(^o^)\

そのため、非常に長い文を見ていただくことにまたなります。
本当にすみません。

では、本編スタートです。


第5話 初めての戦闘、力の目覚め

 

 

周りには溢れんばかりの自然、小鳥たちの囀る様子、そして、モンスター達の荒ぶる姿(?)が目に映る。

光樹たちは今、バーチャフォレストと言うところに来ていた。

こんなところに来ているのはもちろん、昨日言っていた通り、俺の初めての戦闘訓練を行うためである。だが訓練と言ってもそんな堅苦しいものではなく、ピクニックも兼ねてのクエストをしに来ただけである。光樹を除いては、だが。

けれどもネプテューヌ達も光樹のアシストをするためにここに来ているわけだから、それ程ハードなものにはならないだろう。

 

「よし、ここら辺の敵なら、ちょうどいいと思うわ。」

 

アイエフがそう言って歩みを止める。それに続いて光樹達も足を止める。

 

「ねー、あいちゃん。ここ来るのにこれだけしか距離なかったっけ?」

 

「そうですね、前と比べて短くなった気がするです。」

 

ネプテューヌとコンパが若干驚いている。確かにそうだ。地図上では1時間くらいかかりそうだったのに、時計を見ると、プラネテューヌを出発してから20分ほどしかかかっていない。予定より40分も早く着くとは、普通の人なら「手品を使ったのか?」と思うほどである。

そんな所にアイエフが、

 

「ちょっとネプ子、アンタ聞いてなかったの?今回はルートビルドの試運転行うって昨日言ったじゃない。」

 

と怒り気味に言う。

そういえば、と昨日の記憶を辿る。昨日は確か夕食をみんなで食べたあたりでアイエフがネプテューヌに何か言っていたはずだ。それが先ほど言っていた「ルートビルド」の事なのだろうか。

 

「なあ、アイエフ。ルートビルドって何?ここに来るまで随分予定より早く着いたのって、それが関係あるのか?」

 

「ええ、そうよ。流石にあんたとコンパには説明しないといけないけど…ネプギアは知ってる?」

 

「はい、一応いーすんさんに以前聞かされたので。」

 

ネプギアがそう返すと、アイエフがこちらに顔を戻し、そして説明を始める。

 

「ルートビルドっていうのはシェアの力を使って作る道のことを言うのよ。目的としてはみんなも感じた通り、移動時間の短縮ね。まあ最近になってその方法が考えられて、今回はその試運転として許可をもらって使ってるだけだから、帰ったらルートビルドを一度解除しなきゃいけないのよね。」

 

「ふーん、そうなのか。俺はこの世界の外の人間だから移動の時に長いって感じたことは無いな。」

 

自身が覚えている範囲内の事をそのまま言う。が、よくよく考えると確かにネプテューヌVをやってた時のワールドマップからダンジョンまでの時間消費はかなり長かった気がする。見聞者が帰ってくるまでダンジョンの出入りで時間を稼いでいたはずだ。ダンジョンの出入りで数日経過するということはそこに行くまでそれだけ時間がかかっていたということなのだ。そのことを考えると、かなりネプテューヌ達は大変だったんだなと思う。

そんな事を考えていると、ネプテューヌがアイエフに、とあることを聞く。

 

「ねえねえ、あいちゃん。シェアで道を作るってことはさ、それってもしかして空とか海とかにも作れるってこと?」

 

「ええ、出来るわよ。」

 

その返しに「おおー!」とネプテューヌが反応する。何か考えていそうな、期待していると言った方がいいだろうか、そんな顔を見せる。

 

(一体何を思いついたんだ?)

 

そのような事を心の中で思っていると、ネプテューヌからその理由とも言える考えが飛び出す。

 

「ってことは、空とか海の上を、そのシェアの道で歩けるってことだよね!女神じゃない人も空を歩けるんだよ。すごいじゃん!」

 

その言葉に反応したのはコンパだった。

 

「ええー!私たちも、ねぷねぷみたいに飛べるようになるですか!?」

 

コンパもネプテューヌの考えに反応とは。もしかして、とも思ったが、その考えは口を開いたアイエフの言葉により覆る。

 

「残念だけど、空とか海は歩けないわ。あくまでシェアの加護のある領域を作るだけだから。」

 

「えー、そうなの?なーんだ、がっかり。」

 

ネプテューヌがその顔に残念そうな表情を作る。コンパも少しがっかりとする。

そんな2人に構わず、続けてアイエフが言う。

 

「それに、まだ問題があるのよ。シェアの加護があるにも関わらずモンスターが出るとか、さっき言った通り、空路とか海路は乗り物に頼らないといけなかったり。他にも今現状では教会関係者の人くらいしか利用できないわ。」

 

「まだ実用化までは問題があるんだな。」

 

光樹がふむ、とうなずく。確かにまだ問題は山積みのようだが、これが実用化されれば旅人やゲームなんかに出てくる勇者一行のような存在には素晴らしいものだと思う。

と、そこで全員が一斉に身構える。理由は簡単、モンスターの登場だ。

 

「さて…モンスターもお出ましだし、始めましょうか。」

 

「そうだね、光樹、準備はオッケー?」

 

アイエフとネプテューヌが自身の装備を出現させる。さらにネプギアとコンパも装備を手元に出す。出していないのは光樹だけだ。

 

「ああ、いける。来い、デュランダル!」

 

そう叫ぶと同時に両手に光と闇が集まり、剣・デュランダルが顕現する。そしてそれを二刀流で構える。

出てきたモンスターは青いゼリーのような、というか某竜のクエストのゲームに出てくる序盤敵に似たモンスター、スライヌが4体だ。

楽勝だろうが、油断は禁物だ。最初から全力で―――

 

「一気に行く!」

 

そう叫ぶと同時に距離を詰める。自分でもびっくりするくらいの速さでだ。自分の覚えている範囲では絶対にそんな速度で走った記憶は無い。だが今はそんなことはどうでもいい。やることは一つ。

 

「切り刻む!」

 

左手の逆手持ちのデュランダルを一番前にいたスライヌに振り下ろす。その剣はスライヌに大きな傷をつける。スライヌはそのままうめき声を上げることなく消滅する。

その様子を見ていた他のスライヌたちの内、二体がこちらに向かって突っ込んでくる。

その動きに対し、こちらは右手のデュランダルを地面に突き刺し、代わりに服の裏に入れてあるレーザーガンを持つ。そして、そのまま照準を付け、トリガーを引く。

…が、ビームは出ない。

 

「…は?…ってしまった!セーフティはずしてなかった!!」

 

慌ててセーフティを外そうとする。しかし、スライヌたちは止まるはずもなく、迫ってくる。

スライヌが飛び上がった、その時、

 

「てりゃー!」

 

「ヌラー」

 

スライヌが一閃される。そしてそのまま後ろに下がる。その攻撃で光樹を守ったのは、ネプテューヌとネプギアであった。

 

「光樹、なにやってんのさー!」

 

「大丈夫ですか、光樹さん。」

 

ネプテューヌが叱咤し、ネプギアが心配の声をかける。

 

「わ、悪い、二人とも。」

 

「そんな事より、早く撃ちなさい!」

 

アイエフにそう言われ、すぐにセーフティの外したレーザーガンを二体のスライヌの内、ネプテューヌの飛ばした方に向ける。銃の扱いは友達から聞いたものくらいしか頭に残っていなかったが、とにかく、照準がブレないように左手を右手首の少し下の部分に当てて、トリガーを引く。

放たれたレーザーは真っ直ぐとスライヌに直撃する…が、あまりダメージが無いように見えた。見た感じでは、ダメージ1%と言ったところだろうか。…どこぞの乱闘をするゲームのキツネの武器か!

だがダメージを与えられるなら使うべきだ。光樹は連射をするため、トリガーを引き絞った。

すると、その銃口から、レーザーの刃が出現する。

 

「これは…銃剣、ってことか?」

 

そう呟く。そしてその状態のレーザーガンを構え、スライヌに突撃する。交差する刹那、レーザーガンを何度も振り抜く。その光剣はいくつもの軌跡を描いてスライヌにダメージを与える。そのままそのスライヌは粒子となって消滅する。

残りのスライヌの方に目を向けたが、既にネプテューヌ達が相手をしていた。

 

「えいです!」

 

「もらった!」

 

コンパとアイエフがすばやい連携でスライヌを仕留める。明らかにスライヌのような雑魚モンスターに対してのオーバーキルな連携は、まさに「蒸発」と言うべき速度でスライヌを消滅させた。

さらにネプテューヌとネプギアも突っ込まなかったスライヌをフルボッコにしていた。…。

 

「さて、一戦終わったけどさ、光樹ってなかなか面白いとこあるよね。一撃だけでモンスターを倒したと思ったら、銃のセーフティ外すの忘れてたり。」

 

「そ、それは本当に悪かったって…。」

 

そう答えつつ、光樹はレーザーガンのトリガーを戻す。

 

 

が。

 

 

 

バシュン!

 

 

 

と、銃口に溜められていたレーザーが飛び出した。

 

「きゃっ!」

 

「ちょ…何すんのよ!」

 

ネプギアとアイエフの間を通り過ぎたので何とか被害はなかったが、当たっていたらやばかっただろう。…俺の立場が。

ただ、ネプギアを少し驚かせてしまい、アイエフからも怒られてしまったので謝る。

 

「ご、ごめん。わざとじゃないんだ!」

 

「大丈夫ですよ、光樹さん。別に当たっていませんし。」

 

ネプギアは首を振って無事であることを伝える。

アイエフは、

 

「注意しなさいよ。自分の武器の特性くらい、把握しなさい。」

 

と一喝する。まったくもってその通りだ。

そこでネプギアがあることを提案する。

 

「そうだ。せっかくだからプラネテューヌに戻ったら、その銃、私に預けてもらえませんか?使い方を解析したいですし、もしかしたら、使いやすくできるかもしれません。」

 

「そうだな…。」

 

光樹は少し考え込む。確かに自分の使っている武器の使い方を知らないのは危険だ。いつ、先程のようなことになるともわからない。それに使いやすくなればそれだけスピーディーに戦うことが出来る。ただ、やはりそうネプギアが言うのは、自分の知らない世界のメカニックを知りたいという興味心からなのだろう。

だが、それならばと光樹はネプギアに頼む。

 

「じゃあ帰ってから頼むよ。ただ、改造するならなるべく元に戻してくれよ。」

 

「はい!分かりました!」

 

ネプギアが嬉しそうな目を見せて答える。

そしてまだモンスターの居る奥地の方へ向かっていく。

 

 

 

 

先程放ったレーザーガンの光線の方向からの敵意に気づかずに。

 

 

 

 

 

 

「ふう、まあこんなところかな?」

 

「そうね、これくらいで十分じゃない?あんたもなかなか見どころあるみたいだし。」

 

「そりゃどーも…っと。」

 

アイエフの返事にそう素っ気なく返す。同時にうさぎのようなモンスターに剣を振り、消滅させる。これでクエストの内容はほとんどこなしたと思う。かなりの戦闘で少し疲れた光樹は、みんなに休憩を提案することにした。

 

「なあ、ちょっと休憩しないか?」

 

それに答えたのはコンパだった。

 

「そうですね。では、ちょうど時間もいい頃ですし、お弁当にするです。」

 

「待ってました!」

 

ネプテューヌが喜びの声を上げる。アイエフも少し力を抜き、ネプギアは持ってきていたリュックからレジャーシートを取り出す。

ものの数分で、お弁当が広げられ、準備が整う。

そして全員がレジャーシートに座り、そして手を合わせたのち、お弁当の方に手を伸ばしていく。

ものの数十分でそれらは食べ終わり、みんなが立ち上がる。そのあとをコンパとネプギアが片づける。

 

「さて、腹もいっぱいになったし、残りの敵も倒そうか。」

 

光樹がみんなに聞こえるように言う。

全員がその声に頷く。

その時だった。

 

 

「がるるるるっ…!!」

 

 

近くの木々が並ぶところから、そのような唸り声が聞こえたのは。

 

「!!?」

 

一斉に全員が声の方に振り向く。そこにいたのは、隊長3~4メートル程の大きさの狼のようなモンスターであった。

その狼のモンスターはとても怒っているようだった。

 

「あれはフェンリル?なんでこんなところに…。」

 

アイエフがそんな事を口にする。確かにそうだ。昨日、このあたりのモンスターについて調べていたのだが、その時このモンスターについては全く載っていなかった。その本にはもちろん、このモンスターについても載っていた。確か名前は「フェンリル」と呼ばれる種類だ。

だが、このモンスターは過去のネプテューヌシリーズでも出ていたのでよく知っている。種類によっては炎や氷を吐くモンスターだったはずだ。そして重要なのは、危険種と呼ばれる種類だということだ。よくゲームでは中ボスのような位置にいるモンスターという存在だ。

かなりの強敵に、光樹は若干緊張していた。そんな中、

 

「よーし、とっとと片づけちゃおう!あいちゃん、こんぱ、ネプギア、光樹。」

 

ネプテューヌが叫ぶと同時に、目の前に電源マークのようなクリスタルが出現し、それを胸に当てると光に包まれる。その光から姿を現したのは、濃い紫の髪をサイドで三つ編みにしている女性、女神パープルハートであった。

 

「そうだね、お姉ちゃん!」

 

ネプギアが答えると同時に、同じように光に包まれる。光が晴れると明るい紫(というよりピンクに近い)のストレートの髪を持ち、パープルハートのものと同じ、肌が少し露出しているスーツを身にまとった少女が姿を現す。彼女こそが、プラネテューヌの女神候補生ネプギアの女神化した姿、パープルシスターだ。

パープルハートとパープルシスターが前に出る。

だが、その時だった。

 

「がるうううう!」

 

「!?」

 

周りから大きな唸り声が再び聞こえる。周りを見渡すと、なんとそこにいたのは、フェンリルの群れであった。それが意味するのは、囲まれていることだった。

 

「しまった、囲まれた!?」

 

いくら何でもここまで気づかないのはおかしいが、大方、後ろから急接近したのであろう。

と、ここで、なぜ自分たちに対して怒っているのだろうと考える。おそらく怒っている原因は自分たちが何かしたからなのだろう。それを確認するため、周りをよく見る。

と、

 

「……あ。」

 

その原因を見つけてしまう。それはとある一匹のフェンリルに刺さっていた。

 

(あれってまさか…。)

 

そう思いながら、ネプテューヌとアイエフに耳打ちをする。

 

「なあ、二人とも。あれなんだか分かるか?」

 

「ん?何…って、え!?」

 

「まさか、さっきのレーザーガンの!?」

 

二人もそれに気づく。そう、そのフェンリルの脇腹に当たる部分に、先程うっかり放ってしまったレーザーガンの弾が突き刺さっていたのだ。おそらく、チャージした状態のレーザーは硬質化するという特性があったのだろう。まったく、ありがたいのか、そうでないのか。

まあ、原因が分かったのなら、これは前者…でいいのか?

とにかくこの状況はヤバイ。敵もどれだけいるか分からない上、逃げ場はどこにもない。となると手段はただ一つ。敵の全滅のみだ。

 

「悲しいけど、これ、戦闘なんだよな。」

 

こちらが悪いとはいえ、ここで死ぬわけにもいかない。他のみんなも同じく、武器を既に構えていた。光樹もまたデュランダルを構える。

 

「私とネプギアが切り込むわ。光樹は近接支援、あいちゃんとこんぱはそれぞれ魔法と回復を!」

 

「その方がいいわね。光樹、あんたは前に出過ぎないこと。分かった?」

 

「オーライ!」

 

そう言った後、全員が配置につく。円状のフォーメーションで、中心にコンパとアイエフ、ネプテューヌとネプギアが一番外側、そしてその中間が光樹という形になっている。

そして、戦闘が開始される。

 

「はぁっ!」

 

「えいっ!」

 

まず、ネプテューヌとネプギアがそれぞれの敵に切り込んでいく。その一太刀をなるべく何体かを巻き込んで、敵から攻撃される危険性を減らしながら戦う。だが、傷に構わず突撃する個体もいる。それ以外にも、攻撃されていない個体からも攻撃が来る。

そこで俺とアイエフだ。

 

「光樹、あいちゃん!」

 

「ああ!」

 

「任せときなさい!」

 

ネプテューヌとネプギアに向かってくる敵に対して光樹が攻撃を受け止める。そしてはじき返す。アイエフはその次に来る敵に魔法を放つ。炎の渦が敵を焼き尽くす。

そのようなキャッチ&リリースと杭打ち戦法でなるべくアタッカーの二人を疲れさせないという戦術でなんとか切り抜けようというのがこちらの考えだ。もちろん、これでも大分無理のある考えである。だがコンパの回復も行うことも考慮してある。

そうして最初の内は優勢に戦闘を進めていた。一時はフェンリルの群れを押し返す程だった。

ところが、やはりそれにも限界があった。女神ではない面々はスタミナは普通くらいで、特に光樹は、ほとんど戦闘は素人であった。そのため、数分の戦闘でスタミナが切れていた。

それは女神の二人も当てはまった。流石に危険種の大群(にしては耐久値少ないか?)相手では無理があったのだろう。

そしてとうとう最悪の展開になる。

 

「きゃあ!」

 

ネプギアがフェンリルの一体に弾き飛ばされる。手に持っていた銃剣のような武器、M.P.B.L(マルチ・プル・ビーム・ランチャー)が宙を舞い、地面へと落ちる。

そして、ネプギアを弾き飛ばしたのとは、別のフェンリルがネプギアに迫る。

 

「まずい…っ!」

 

その様子を見た光樹は、迫るフェンリルと尻餅をついたネプギアの間に体をすべり込ませ、そのフェンリルの振り下ろした爪をデュランダルでギリギリのところで受け止める。

 

「こ、光樹さん!」

 

だが、

 

「グオォォォォ!」

 

「うわああああ!」

 

受け止めた光樹は、その勢いを殺せず、そのまま吹っ飛んでしまう。光樹はフェンリルたちのいる所よりも外に飛ばされてしまう。

 

「光樹さん…光樹さーん!!」

 

ネプギアのその声は、しかしながらだんだんと消えていく意識の中に消えていく。最後にこちらにゆっくりと近づいてくるフェンリルが目に映るのを最後に光樹の意識は途絶えた。

 

 

 

 

暗く沈んだ意識の底で、光樹は目覚めていた。

 

(ここは…あの時のと似てる…?)

 

光樹はそう思った。あの時、光樹がゲイムギョウ界に来る直前のあの空間によく似ていた。どちらかと言うと、オレンジ髪の女神に会うさらに前の空間に近いだろうか。

これが俗にいう、精神世界、というものなのだろう。

とにかく一刻も早く、この世界から出なければならない。そう思ったその時。

 

『目覚めたか…。』

 

「え!?」

 

いきなり聞こえた声に、思わず反応する。その声の主がどこにいるのか確認するため辺りを見渡す。しかしどこにも見えない。

すると、また声が聞こえてくる。

 

『こっちじゃ、こっち。』

 

その声の方を向くと、そこには光に包まれた何かがあった。いや、いたという方が正しいか。

そんな事に構わず、その光に包まれた存在は言う。

 

『今お主らは危機に陥っているな?』

 

「まあ、結構危険な状況だけどさ…なんか出来るのか?」

 

光樹の質問に、その光の存在は答える。

 

『出来るさ、お主ならな。』

 

力強く答えたその光の存在に対して、光樹は少し拍子抜けしてしまう。なぜここまで俺を信じるのかと。まるで、自分とは何年も付き合っているかのような話し方だ。

と、そこでとあることに気づく。服の中から、光が発せられていたのだ。

 

「な、なんだ急に…?」

 

慌てて服のジッパーを下してその光を確認する。それは首にぶら下げていたあの流星マークのペンダントから発せられていた。普通ペンダントが光るなんて展開、二次世界くらいのものだ。しかし、今まさに光っている。これはまさか…?

 

『その光こそ、お主の力…その力に身を浸せば、少しだが記憶を思い出すだろう。』

 

「記憶を、思い出す!?」

 

その言葉に光樹が反応する。少しでも記憶を取り戻せるなら、ありがたいことだ。

そして暗かった視界が徐々に開けてくるとその光の存在は最後に言う。

 

『光樹よ、この先、さらなる試練に直面するかもしれない。だが、その時は私もなるべく目覚めるようにする。だが、そこで必須となるのは光樹、お主の記憶だ。そしてその力は、記憶を取り戻すため、それに、この世界を救うための剣だ。だから…』

 

そこでその言葉は途切れ、視界が光で包まれる。

 

 

 

 

「くっ、まずいわね、これは。」

 

パープルハートことネプテューヌがそう吐き捨てる。何体倒したかも、今はどうでもよかった。とにかく全部倒さなければ、みんなやられてしまう。そんなことだけを考えていた。

だがそんなことを考えている内に悲劇が起こった。先程、ネプギアがはじき返された際に援護に入った光樹が群れの外側に吹っ飛ばされたのだ。今日初めて戦闘を行ったのと同じにしてはかなりの実力だった光樹でも、流石に無理があったのだろう。

 

「お姉ちゃん!光樹さんが…!」

 

「分かっているわ、ネプギア。あいちゃん、こんぱ、少しの間だけ、持ちこたえて!」

 

そう言うとすぐに飛び上がる。そして光樹の方へと飛行する。

しかしそれに気づいたフェンリルが大きくジャンプしてそれを阻む。なんとかフェンリルの攻撃を受け止めるが、そのうちに一体のフェンリルが光樹に迫るのが見える

 

(くっ…このままじゃ、光樹が。)

 

そう思ったその時。

辺りに光がほとばしる。

 

「え!?」

 

「な、何!?」

 

そこにいた存在全てがその光に驚く。一時的に目を閉じる。ゆっくりと目を開けるとその光の出所を知る。光樹だ。その光は光樹の胸の部分から発せられていた。いつ外したのであろう上着のジッパーの下の服には、光り輝くペンダントが首からかけられているのが分かった。。

光樹は、そのペンダントを手でつかみ、胸のところに持ってくる。

そして―――

 

 

 

「セット・オン!」

 

 

 

そう叫ぶと同時に、空から赤と黒のドットの塊…ノイズと言った方がいいだろうか、その奔流に吞まれる。その奔流の波動に近づいていたフェンリルがはじかれる。

そして奔流が消えるとそこにいた光樹は、全く違う姿をしていた。

 

「あれは…パワードスーツ!?」

 

ネプギアが言う。そう、光樹が身にまとっているのは、明らかにそういった類のものだった。カラーリングは全体的に黒に所々赤のラインの部分と緑色が入っている。頭部にはフェイス部に赤いバイザー、額に角のようなアンテナ、耳部に耳当てのパーツが存在する。

それだけではない。

体全体が機械のパーツで構成されていた。肩のスラスターパーツ、腕部の手甲パーツ、背部のウイングスラスターなど、明らかに「ロボット」の特徴が見て取れる。光樹だと分かるのは、バイザーの奥に光樹の顔がおぼろげながら見えるからだ。

更に武装も装備されていた。特徴的なのは、左腕に装備されていたシールドとその先にある剣のような武器、腰の銃のような武器が見える。

どちらかと言うと、装甲や攻撃力の高い「スーパーロボット」より、機動性の高い「リアルロボット」と言うタイプのロボットだろう。

と、そこで機械音声が響き渡る。おそらく、光樹の身にまとっているパワードスーツからだろう。

 

 

『SSR-EFX-BA001X-VerⅣ(エスエスアール・イーエフエックス・ビーエーゼロゼロワンエックス・バージョンフォー)』

 

そして、その機体の名が響く。

 

『ガンダム・ブラックエースⅣ、ファイナライズ・セット・オン完了。』

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。

一部の方からは、たぶん、いや、おそらく「流星のロックマン」のタグなくね?と、言われるかもしれませんが、これはタグ設定の際に起きた一つの悲劇が原因です。

簡単に言うと…文字数足りませんでした。

それなら他のタグ抜けばいいんじゃない?と思われますが、自分にはどのタグを抜けばいいか、分かりませんでした。すみません。

ただ、一応「様々なロボットアニメ要素有」の部分でロックマンの要素を入れているので大丈夫かなと思っています。

ですが、「加えた方がいい」と思われた方は、感想の方で言っていただけると、おそらく、「一部台本書き有り」のタグを流星のロックマンに変えると思います。



それから、今回の話で登場したガンダムは、第6話の後に台本書きで話しを進める紹介コーナーで詳しく解説したいと思います。

では、次回投稿は木曜日になると予想されますので、次回もお楽しみに。

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