新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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ジャンヌ「どうも皆様、お元気でしょうか。先日作者の東京行きに同行した、ジャンヌです。」

レイ「同じく、レイだよ!」

どうも皆様、東京でつなこミュージアムに行けなかった、藤和木弘です。皆様は行かれた方いるのでしょうか。

では、第2章開幕です!今回からオリキャラが新たに追加です。でも、前に少し出ています。

それでは、新たな想定オープニング「~Outgrow~」を気になる人は聞いて、本編へどうぞ。


第2章 黒き0、力の復活へ
第47話 久しぶりのプラネテューヌ


しばらくの間、空間が歪んでいるような景色が目の前を包んだ。いつまで続くのかなーと思っていたが、その直後目の前が急に光で包まれる。

その後、すぐ足が地面に着くような感覚を感じる。気づくと、目の前が見慣れた景色になっていた。ここはプラネテューヌの教会内、つまりプラネタワーの中だ。しかもここはよく話し合いで使われている会議室だったと思う。とりあえず、元の世界に戻れたことを喜ぶ。

 

「わたし、超次元にとうちゃーっく!」

 

第一声はそんな嬉しい言葉だった。けど、そんな落ち着いていられる場合ではなかった。理由は簡単、ネプギアと光樹がいないからだ。

転送される直前、ネプギアと光樹はうずめを攻撃から守るため、転送装置から飛び出していた。飛び出していたら、当然二人は転送されていない。それを見て、もちろんネプテューヌも飛び出そうとはしていた。けど、そう思った時には遅かった。すぐに景色が先程の空間が歪んだ場所になって、今ここにいるのだ。

そんな悠長に構えている暇はない。すぐにネプテューヌは、イストワールにそのことを伝えようとする。

 

「って、浮かれてる場合じゃないよ!いーすん!大変だよ、ネプギアが!光樹が!」

 

だがしかし、そこに返ってくるべき言葉は返ってこなかった。

 

「…って、あれ?…いーすん?」

 

いつまで経っても、イストワールからの言葉がこない。なぜだろうとネプテューヌは思う。こういう時は、いつもすぐにこちらに声をかけてくると思うのに…。

 

「おかしいなぁ。いつもなら、開口一番に形式上のお帰りなさいとお説教のコンボが飛んでくるはずなんだけど…。おーい、いーすーん!」

 

気になったネプテューヌはイストワールの事を呼ぶ。もしかすると、転送する場所を間違えたのかも。いーすんはちょっとミスするからこそいーすんだから、きっとそうに違いない。そう思っていた。

探し始めたところで、わたしはいーすんを見つけた。ただし、円卓状の机の下で、横たわっている姿のいーすんをだ。

 

「ねぷっ!?いーすんが倒れてる!?ちょっと、いーすん、大丈夫!?」

 

すぐにネプテューヌは倒れているイストワールのそばに駆け寄り、イストワールを揺さぶる。そこでわたしはいーすんの異常に気づく。

 

「…って、熱っ!?いーすんの体メチャメチャ熱いよ!?」

 

手からはとんでもない熱がイストワールの体から伝わるのが分かった。よく見ると、いーすんの顔がとっても赤くなっている。まるで、風邪で熱を出した時みたいに。

それで気づいたのか、いーすんは目を開ける。そして、第一声がかすかに響く。

 

「…あ、ネ、プテューヌ、さん…おかえり、なさい…無事に帰ってこれてなにより、です…。」

 

「わたしのことなんかどうでもいいよ!それより、今はいーすんだよ!どうしちゃったのさ。」

 

いーすんは声を出すのも精一杯な様子で、こっちの心配なんかをしているけど、見ているこっちが心配になってくる。どうしてしまったのだろうか、すぐにわたしは聞いた。

すると、いーすんは言葉が途切れ途切れになりながら語る。

 

「お恥ずかし、ながら…少々スペック以上の、こと…を頑張ってしまい…。」

 

それを聞いて、ネプテューヌは驚く。まさか、わたしたちをこっちに戻すために、こんなにボロボロになってまで、頑張っただなんて。

ネプテューヌは心配そうにしながら言葉をかける。

 

「…いーすん。そこまでしてわたしたちのことを…。」

 

「ところで、ネプ、ギ、ア…さん…と、光、樹さ…んは…。」

 

それを聞いたところで、イストワールはまた力を失ったように首が垂れる。その様子を見て、ネプテューヌは若干パニックになる。

 

「ちょっ!?まさか、いーすんがショートして故障!?あわわわわっ、どうしよう!?」

 

いーすんがこんなことになったの、今まで見たことがなかった。どうすればいいか、ここでネプギアが居てくれたら、何かいいアイデアが出るんだろうけど、今いるのはわたしだけだ。とりあえず、どこかで安静にさせた方がいい?それとも、薬を片っ端から飲ませた方が…?

そこで、そんなわたしにツッコミを入れる声が聞こえてくる。

 

「ちょっとネプ子、何帰ってくるなり騒いでるのよ。心配してたんだから、挨拶くらいしに来なさいよね。」

 

「あいちゃん!ナイスタイミングだよー!」

 

わたしはその声の主、アイエフことあいちゃんに助けを求めるように抱き着こうとする。すんでの所で避けられて、壁にぶつかったけど、特に気にはしない。今はだれか助けが欲しかった。

 

「ちょっと、何よ、気持ち悪い。そんなに私に会いたかったの?」

 

そう邪険に扱うあいちゃんだけど、それに構わずわたしは泣きすがる。

 

「あ゛い゛ぢゃーん゛。」

 

「こらこら、だから泣かないの。そして鼻水くっつけるな。」

 

「だっで…だっで…いーすんが…!」

 

「イストワール様が…?って、イストワール様!?ちょっと、ネプ子!これはいったいどういうことなの?」

 

その言葉でようやく状況を理解したアイエフは、ネプテューヌに聞く。それに応じるようにネプテューヌは説明する。

 

「それが、かくかくしかじかの。」

 

「かくかくうまうまなわけね。」

 

素晴らしい以心伝心だった。さすが、わたしの心の友だけはあるよ!ネプテューヌに喜びが戻る。

 

「おーっ、さすがあいちゃん!これで通じるとは心の友よー。」

 

「心の友かどうかはこの際どうでもいいとして、今はイストワール様をどうにかしましょう。ネプ子、イストワール様を運ぶの手伝ってちょうだい。」

 

そんな言葉にも冷静に答えたあいちゃんの言う通りに、いーすんをとりあえず、部屋に連れていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネプ子と再会してから数分後、私はネプ子と共にイストワール様の部屋に来ていた。抱えていたイストワールの体をベットに置く。

 

「さて、一先ず寝かせたけど、これは困ったことになったわね。」

 

アイエフは一言、そう呟いた。これでとりあえずは大丈夫だろうが、まだ安心は出来ない。ネプ子の話によれば、イストワール様はネプ子たち三人をこちらに戻すために無茶をして、ショートしている状態になっているらしい。どうすれば元に戻るのか、アイエフにも分からなかった。幸い、先程コンパを呼んであったが、問題はコンパでも治せるかどうかだった。

 

「コンパを呼んだけど…。はたしてイストワール様に私たちと同じ治療が効くかどうかね。」

 

イストワールは教祖と言う立場だったが、人というわけではない。昔のプラネテューヌの女神が作成したという人工生命体らしい。ということは、人に対して行う治療で上手くいく保証はなかった。万が一、効く可能性があったらということで、コンパに頼んだけどどうなるかは誰にも分からなかった。

そう心配していたところに、待っていた人物の声が発せられた。

 

「おまたせです、あいちゃん。そして、ねぷねぷ、お帰りなさいです。」

 

コンパの到着だった。その言葉に、ネプ子がすぐに返した。

 

「こんぱ久しぶり!って、あれ?もしかしてあんまりわたしのこと心配してない?」

 

「ねぷねぷが黙ってどこかに行くのは今に始まったことじゃないですから。どうせ、今回もひょっこり返ってくると思ってたです。」

 

「あー…うん。なんだろう、この心配されてるんだか雑に扱われてるんだか微妙な反応…。」

 

コンパの言葉は、確実にネプテューヌの心に傷を付けた。アイエフにもそれは見ていて分かる。しかし、コンパは優しさも交えつつ、かつ反省するように進める言い方で、ネプ子の信頼を落とさずに反省させるという、いわゆる母親のような反応で対応していた。ネプ子もそれ以上はその話題に固執はしなかった。

なんだかやるせない気持ちになっているネプ子をとりあえず気にしないことにして、コンパにすぐに来てくれたことに対して感謝の言葉をかける。

 

「急に呼び出して悪かったわね。」

 

「あいちゃんの頼みならこのくらいはお安い御用です。久しぶりにねぷねぷにも会いたかったですし。」

 

その事に対し、コンパは笑顔でそう答える。その笑顔に癒されたいと思ってアイエフだったが、今はそんな暇はないとその考えは隅に追いやって、すぐにイストワールの診察を依頼する。

 

「さっそくだけど、イストワール様を診てくれるかしら。状態はさっきメールで伝えた時と変わってないわ。」

 

「任せるです。…と言いたいところですが、たぶん、普通の治療方法じゃ無理だと思うです。」

 

意気込んだコンパだったが、すぐに申し訳なさそうに話す。それを聞いて、少し気持ちが落ち込んでしまう。やはり人と同じ治療法では治せないのだろう。コンパはすぐにそのネプ子にとあることを聞く。

 

「確か、いーすんさんって、すごーく昔にいたプラネテューヌの女神様が作った人工生命体ですよね?」

 

「そうそう。たしか、「SC」だったか「SG」だったか、そんな感じの女神様だね。」

 

その質問にネプ子はすぐに答える。意外にもネプ子もちゃんと先代の女神様のことはちゃんと覚えているとは…さすがに女神だから知っているか、と思った。ちなみにアイエフ自身は、以前イストワール様のことについて調べたことがあった際に偶然その名前を聞いたことがあった。

それを聞いたコンパは次にそれに関連する、イストワールを元に戻す重要な物があるかどうか聞く。

 

「なら、いーすんさんの取扱説明書とかないですか?あるなら、それに直し方が書いてあると思うです。」

 

説明書、確かにそれになら直し方が載っているかもしれない。けれども、そんな物、いくら人工生命体とはいえ、あるのだろうか、疑問を持つ。

 

「取扱説明書って…。さすがにそんなものはないんじゃないかしら…。」

 

「そうそう。家電じゃないんだから取扱説明書なんか…。」

 

アイエフの疑問に、ネプテューヌも同じように答える…かと思われた。

しかし、そこでネプテューヌは何かに気づいたように叫ぶ。

 

「って、あるよ!取扱説明書あるよ!」

 

「って、本当にあるのね…。」

 

「うん。確か、前にいーすんが取扱説明書がどうこうって言ってたの覚えてるよ。」

 

その事実に、流石に私もあっけにとられる。イストワールに取扱説明書があるなんて…。だけど、方法はそれにしかないだろう。

 

「でしたら、まずはそれを探すです。」

 

コンパの言葉を受けて、私たちはネプ子が言う取扱説明書があると思われる場所へ探しに行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後、取扱説明書は見つかった。埃が思った以上に被っていたけど、とりあえずこれで間違いないだろう。

だが問題はまだあった。

 

「さて、取扱説明書が見つかったわけだけど…。」

 

「“故障かな?と思ったら”のコーナーが多すぎて探すのに時間が掛かりそうです。」

 

そう、トラブル解決の項目が多すぎて、どれがどのことについてなのか、さっぱり分からなかった。こういうのには普通目次で調べるのがセオリーだけど、目次の文字も専門用語が多すぎて分からなかった。一つ一つ確かめようにも、ページは多すぎるので時間が掛かり過ぎる。

そんな中、ネプ子がとある項目を指さして言う。

 

「ならさ、この簡単診断シートやってみようよ。該当する症状に対してYESかNOで進めていくやつ。」

 

見ると、それはよくある診断シートだった。これならどのページを見ればいいのか分かりそうだ。コンパもそれを見て賛成する。

 

「面白そうです。やってみるです。」

 

これで見つかるなら、苦労はしないだろう。とりあえず、その診断シートを始めてみる。ネプ子が項目を言っていく。

 

「じゃあ、始めるよ。えっと…“意識がない”。」

 

「“YES”です。」

 

「次は、体が冷たくなっている。」

 

「これは“NO”ね。」

 

そうしてアイエフたちは次々と項目を読み進める。

 

「じゃあ、次。自動で再起動を何度も繰り返している。これも“NO”だよね。次は“スペック以上のことを行った”。」

 

その項目で思い当たることがあるようなことを気まずそうに言う。

 

「な、なんだろう、このピンポイントな質問…。」

 

ピンポイントということは、おそらくそれが大きな原因なのかもしれない。もったいぶっているようなので、アイエフはネプテューヌにどうなのか聞く。

 

「で、実際はどうなのよ、ネプ子。」

 

「そう言えば、いーすんが気を失う前に、スペック以上のことを頑張ってしまったとか言ってたような。」

 

「さすが、いーすんさんです。ダイイングメッセージとして手がかりを残してくれているです。」

 

コンパがそんな事を口にする。確かに重要なことを残してくれているのはありがたかった。けれどコンパ、まだイストワール様は死んでいないから。「ダイイング」メッセージじゃないということを伝える。

 

「こらこら、コンパ。勝手に殺しちゃダメだって。」

 

そう言った所で、ネプテューヌが項目を読み進めていると、結果を見つけたことを伝える。

 

「てことは“YES”で進むと…あった!“ショートしてます。サンシローの入魂パッチを当てましょう。気合いで復活します”だって。」

 

それを聞いて、一瞬「え?」と思ってしまう。パッチを当てるというのは、ある意味正しいことなので、問題ない。よくゲームでも修正パッチとかを当てて動作不良が改善することが出来る。

だが問題はそこではない。最後の一文、そう、気合いで復活という文だ。

 

「気合いで復活しますって…ずいぶんいい加減な修理方法ね。」

 

思わずそう返してしまう。重要な所である部分がこういうのというのもなんだか締まらない。

しかし、今のところ分かっている解決法はそれくらいだ。これに頼るしか方法がなさそうだ。コンパも同じように言う。

 

「けど、これしか頼れるものがないなら、これを見つけるしか手が無いです。」

 

そうなれば、ここはネプ子の仕事だ。すぐに私はコンパの意見に賛成しつつ、ネプ子にそのパッチを見つけるよう指示する。

 

「そうね。そういうわけだから、ネプ子。帰ってきてそうそう悪いけど、探しに行ってきてちょうだい。」

 

「おっけー!…って、あれ?その言い方だと、もしかして、あいちゃんは来てくれない感じ?」

 

「ついていってあげたいのは山々なんだけど、さすがに教会を空けることはできないわ。ただでさえ、女神の転換期で物騒な空気してるし、何かあってからじゃ問題だわ。」

 

ネプ子が聞いてきたその質問に、私はそう答える。帰ってきてすぐにその仕事を押し付けるのは本当に申し訳ないとは思うが、昏倒状態のイストワールを今の物騒な時期に一人教会に残すのも危険だと思っての行動だった。他の職員も、今は別の仕事で手がいっぱいな上、コンパもすぐに仕事場に戻らなければならない。そうなれば、アイエフ自身がここで留守番をするべきだと思ったのだ。

だが、それにネプ子は早速いつものサボリ癖を表に出してくる発言をする。

 

「なら、わたしが教会に残るからあいちゃんが行ってくるってのはどう?物探しなら、あいちゃんの方が得意だよね。」

 

けれど、ネプテューヌの判断はある意味正しい。こういう時は、諜報系のアイエフでやった方が手っ取り早いかもしれない。

だがしかし、アイエフは他のことも考えていた。それはプラネテューヌ内での問題への対処だ。仮にネプテューヌがこちらに残ったとして、その時に大きな問題でも起きた時、対処できるかどうか不安な所があった。

それを言うのは気が引けたが、ネプ子を納得させるため、私はその事実を言う。

 

「そうなんだけど、教会や国内で大きなトラブルがあった時はどうするのよ。今まではイストワール様がなんとかしてくれてたものの、あんたにその代役ができるっていうの?」

 

「うっ、それは…。」

 

「他の国ならそこんところは女神様が処理してくれるけど、あんたができないんじゃ、私が残るしかないじゃない。」

 

目を逸らすネプテューヌに、アイエフは文句にも似た言葉をかける。それを受けたネプテューヌは申し訳なさそうにしながら答える。

 

「うっ、もっともなご意見で…。なら、こんぱは一緒についてきてくれるよね?」

 

私では無理だと判断したのか、コンパについてきてくれるように頼む。しかし、先程も例を挙げたように、コンパは仕事がある。それもイストワールの面倒を見るという仕事が。コンパもそれについて言う。

 

「わたしも付いて行きたいのですが、いーすんさんに何かあるといけないですから…。ねぷねぷ、ガンバルです!」

 

「あー…うん。なんとなくそれは察してたよ…。」

 

「こっちでも情報や手がかりは探してあげるから、何か情報を手に入れたら連絡するわ。だから、たまにはイストワール様の為に頑張りなさい。」

 

その言葉をかけ、アイエフはネプテューヌを送り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

プラネテューヌの街はずれ、そこは不良達の集まる庭と化していた。住人からは苦情が届き、プラネテューヌ教会も対処に困っていた。ここに来た者は、大抵不良達にひどい目に合っていた。女も子供もお構いなしにだ。こうなったのは、女神の転換期になった辺りからだ。不良達は女神の悪い噂に乗って、自分達の行い全てを女神のせいにするという考えがあっての行動だった。

そんな場所の一角でとある人物が歩いていた。黒いコートを着た少女だ。少女は少し前に、この世界に来たのだ。だが、決して好きでこの場所に降り立ったのではない。偶然この場所に降り立ったのである。端末を見て、ここが町はずれだと気づいた少女はすぐに街の方へと向かう。だが、その行く手を何人もの少年に阻まれる。

 

「おい、姉ちゃん。どこ行くんだよ?」

 

「………。」

 

少女は気にもしない様子で、その少年達の横を通り過ぎようとする。しかし少年達のリーダー格に肩を掴まれる。

 

「おい、待ってっての。」

 

その行動をした少年に対し、少女は睨み付ける。少女としては、早く街の方に行き、目的を果たさなければならなかった。それに、こんなところで「力」を使いたくはなかった。ここで「力」を使えば、必ず後々問題になる。あいつがいるかどうかも分からないのに力を使うには危険だ。

そこで少女は更に無視する方向へと行動した。肩を掴んだ少年の手を払いのけ、素早く街へ通じる道へと走る。

 

「くそっ、逃げんじゃねぇ!」

 

少年達はすぐに少女を追いかける。しかし、少女の足は、少年達が考えていたよりも速かった。あともう少しで出口だった。その時。

 

ダンッ!

 

少女の頬から血が垂れる。すぐに振り返ると、少年の手には拳銃のようなものが握られていた。

…まったく、と少女は思う。こうなってしまえば、戦わなければ街の方にも被害が出る。あいつが気に入っている世界だから、その住人に手を出すのも引けるが、おそらくあの馬鹿のことだから、同じように戦うだろう。そう思った少女は、懐からあるものを取り出す。

それは通信機のようなものだった。手持ちサイズでモニターにボタンが付き、更に上の面には何かを読み込むようなリーダーが備わっていた。不良達はそれを見て笑いを見せる。おそらく馬鹿にしているのだろう、少女はそう思った。だが、そんな笑いもすぐに吹き飛ぶことになる。少女はフードを取る。そのショートカットの黒髪が風に少しなびく。そしてその機械、「エグゼスキャナー」のリーダーを首元に当て、アナライズボタンを押す。

 

『スキャン完了。R-EXE・グレイガ、アーマー・セットスタンバイ。』

 

「セット・オン。」

 

エグゼスキャナーの準備完了の声にその言葉を返す。すると少女を赤黒い光が包む。エグゼスキャナーによる光が少女を飲み込んだことに、不良達は驚く。何だと思って、不良達は次々と武器を取り出し、撃ち、殴る。しかし、攻撃はその光に阻まれ届かない。

光が晴れると、少女はその姿を変えていた。その身は機械の体に変わっていた。

 

「な、何だ。お前は!」

 

不良のリーダーはそう叫ぶ。しかし、少女はそれに答えず。敵の懐に潜り込み、拳銃を叩き落とす。そして、その拳でリーダーを吹っ飛ばし、壁に叩き付ける。

不良のリーダーはその衝撃で気を失う。それで危機感を覚えた不良の仲間達が攻撃を集中させようとかかってくる。だが、それは少女にとっては赤子の手をひねるようなものだった。少女は次々と不良達の攻撃を躱し、一瞬の隙をついて倒していく。

ものの一分で少女は全ての不良達を沈黙させた。完全に気を失ったことを確認した少女は装着していた機械の体…否、NPを解除する。変身してしまったのは不覚だが、一人であの数はまずいと思っての判断だった。

再びフードをかぶると少女は街の方へと出る。幸い、こちらの乱闘には気づかなかったようで、こちらに注目していた人々はいなかった。

少し長居してしまったが、本来の目的に戻ることにする。少女、光木鈴は街の方へと歩いていく。黒いコートをその身に纏って。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




今回も読んでいただきありがとうございます。

レイ「鈴ちゃん容赦ないね。不良達を一瞬で倒しちゃうなんて。」

ジャンヌ「けれど、あれも新しいガンダムなんでしょうね。どういった性能を持っているのか、想像が膨らみますね。」

と、ここで少しお話を。
先日、ハーメルン運営より、感想欄での会話の禁止が通達されました。これにより、今私達が前書き、あとがきでやっているようなキャラとの会話による感想は打てなくなります。

レイ「あれ、作者って結構それやってない?」

うん、だから私もこれからは気を付けたいと思います。

ジャンヌ「そして、皆様もそれには注意してくださいね。」

では今回はここまで。

ジャンヌ「次回は火曜日くらいの投稿になるそうです。」

レイ「それじゃあ、新しい想定エンディングの「Amazing」を聞きたい人は聞いてね!」

それではまた次回。

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