新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結) 作:藤和木 士
木曜日にヒカル君と共に近所のゲームセンターに、先行稼働したガンダムU.C.カードビルダーを遊びに行った藤和木弘です。私はやってませんが(笑)。いや、バナパスとかのカード持っていないですからね。
第1章最終話となる、第46話投稿です。
今回は光樹君達の超次元への帰還です。果たして、無事に帰れるのか?
ちなみに、このお話は約10000字となっています。今回で第1章終わらせようとしたらこうなりました\(^o^)/。長すぎる文を投稿してしまい、申し訳ないです。
では本編へどうぞ!
「やった!修理完了です。」
ネプギアはそう叫んだ。昨日の機械のモンスター、装甲などの文字から推測した名称である「ガガムド」から修理に必要な代用パーツを手に入れて、ようやく修理が終わった。これで準備さえ整えば元の世界に帰ることが出来る。
それを聞いてお姉ちゃんたちがこちらの方に集まってくる。
「よかったな。これでやっと元の世界に帰れるぞ。」
「長かったような、短かったような、そんな感じだな。」
うずめさんと光樹さんがそんな会話をする。光樹さんのその言葉には、私も納得だった。凄く短いけれど長い間この零次元でいたように思える。そう思えるのはおそらくマジェコンヌとエクスたちが操っていたダークメガミとエクストリィムと戦ったからだろう。今もあの戦いがどうして勝てたのかと思ってしまう。
けど、本当に帰ることが出来て良かった。でも、お姉ちゃんはそうでもなかった。溜息をついてから、お姉ちゃんは言う。
「けど、こっちの世界に来ている間に仕事がたまってると思うと、素直に喜べないんだよねぇ…。」
「そういえば俺も、イストワールに仕事を手伝えって言われてたんだったな。…はぁ。あんまり書類作業やったことないんだよな。」
「はぁ…お小言を言ういーすんの姿が目に浮かぶよ。」
お姉ちゃんと光樹さんは互いにそう落ち込む。二人共、仕事がしたくないんだ。でもいつかは帰って仕事をしないといけないから、今のうちに悲観しておきたいのだろう。もちろん、お姉ちゃんの手伝いもする予定だ。
『それは、こういった姿ですか?』
「そうそう。そんな感じで………って、いーすん!?」
「まさか、通信繋がっていたのか…。」
その声に二人共大きさは違うが驚く。実は直すときに装置を繋いでいて、更に直ったと同時にいーすんさんに連絡をしていたのだ。そのことを二人に言う。
「ごめんなさい、お姉ちゃん、光樹さん。ちょうど修理が終わったからいーすんさんに連絡をしたところだったんです。」
そこでいーすんさんがお姉ちゃんに嘆くように発言する。
『ようやく三人が戻ってこれると思って期待して通信を受けたらまさかネプテューヌさんのわたしに対する愚痴を聞くことになるなんて…。ご希望でしたら、こちらはネプギアさんと光樹さんと私に任せて、このままずーっと、そちらの世界にいてもいいんですよ。』
「あ、俺は別に帰ってきていいんですね。」
『書類作業なら一から教えますので。』
「良かった…。」
光樹さんは幸いこちら側だったみたいで、その言葉を受けた光樹さんはどこか嬉しそうにしていた。でも、いーすんさんに顔を隠すようにした後、表情がどこか曇っているようにも見えた。
でもそれは水に流れた。お姉ちゃんがいーすんさんに取り繕う発言をしたからだ。
「やだなぁ、いーすん。あれがわたしの本音なわけないじゃーん。ほら、今プラネテューヌで流行りのネプリカンジョークってやつだよ。」
「ネプリカンジョーク?」
その言葉には、光樹も戸惑いを見せた。なんだろう、ネプリカンジョークって。ネプギアも困惑する中、イストワールがネプテューヌに子供を叱る母親のように言う。
『なんですか、ネプリカンジョークって…。まぁ、いいでしょう。お説教するにも、まずは帰ってきてもらいませんと。』
「え゛。」
ネプテューヌはその言葉に詰まる。まさに帰りたくないという気持ちが見て分かった。どうにかして助けたかったが、ネプギアがまた言うと更に機嫌が悪くなりそうだったので、迂闊に声を出せなかった。
けど装置が直りはしたが、問題がまだ残っていた。エネルギーのことだ。どうにかしてエネルギーをどこかから供給しなければならなかった。海男もそれについて述べる。
「せて、装置が直ったとなると、次はどうエネルギー問題を解決するかだね。」
全員が言葉に詰まる中、一人とあるアイデアを出した。
「それなら、こいつらは使えないのか?」
それはうずめさんだった。うずめさんの手には、シェアクリスタルが載せられていた。うずめさんは、自分の持つシェアクリスタルのエネルギーで装置を動かそうと言うのだった。
でも、それはうずめさんが女神化するために必要な物を消費するということだった。私は遠慮しながら言う。
「それって…シェアクリスタルですよね?そんな貴重なもの使えませんよ。」
「そうだよ、それがなきゃ、うずめは女神化できないんだよ!」
お姉ちゃんもそれに反対する。けれど、うずめさんは言う。
「大丈夫だって。ねぷっちたちのおかげでデカブツたちは倒せたし、あとはポッと出の紫ババアと機械野郎だけだろ?それに、少しとはいえモンスターからシェアを得られるようになったんだ。今更こんなにひつようねぇよ。必要になったらなったでまた集めればいいだけだしな。いいだろ、海男?」
そのうずめさんの意見に、海男さんも許可する。
「あぁ、それがいい。オレも賛成だ。」
「ありがとう、うずめ!うずめのことはぜーったい忘れないからね。」
「あぁ、俺もだ。ねぷっちたちのことは絶対忘れない。」
その雰囲気に流されて、お姉ちゃんも感謝の言葉を述べる。話はこのまま纏まると思われた。
けどそこで光樹さんがある考えを出した。
「ネプギア、この装置のエネルギー…AN粒子でも代用できるか?」
「え?たぶん、エネルギー系統が合えば行けると思いますが…もしかして。」
「あぁ、エネルギーにAN粒子も使いたい。」
そこでようやく、以前光樹さんが考えていたという策が分かる。AN粒子をエネルギーとして使うのだ。でも、それを採用するにはまた調べなければ…と思っていたのだが、そこでゼロさんが話に加わる。
『エネルギー系統は以前調べた時に分かっている。AN粒子もエネルギー源として使用可能だ。』
それによって、話は纏まった。エネルギーには光樹さんのガンダムのAN粒子も使うこととなった。それを聞いていたいーすんさんも理解して話す。
『では、ネプギアさん。わたしの指定する座標をNギアに入力して下さい。あとの次元間転送の制御は私が行います。』
けれど、そのいーすんさんの言葉に、私は待ったをかけた。
「…あの、いーすんさん。帰るの、もうちょっとだけ待ってもらえませんか?」
『突然、何を言い出すんですか、ネプギアさん。』
その突然の発言に、イストワールも驚く。しかし、ネプギアにはどうしても、まだ残りたい理由があった。けれど、それを言う前にいーすんさんは独自に解釈する。
『まさか、ネプテューヌさんの怠け癖が、ネプギアさんにまで伝染ってしまっただなんて…。真面目なネプギアさんだけが救いだったのに、ネプギアさんがネプテューヌさん化してしまっては、歴代の女神様たちに合わせる顔がありません。』
その言葉がネプギアの心に刺さる。確かに、今の状況からしてみれば、お姉ちゃんに似ているかもしれない。実際、今ネプギアが考えていることは、ネプテューヌの行動に近かった。
一方、当の本人であるお姉ちゃんは…。
「あれ、もしかしてわたしディスられてる?」
と、仲間はずれにされているように一人ポカンとしていた。
だけど、いーすんさんの考えと、私の考えていることは違う。そのことを、はっきりと伝える。
「いえ、私はただうずめさんのお手伝いを、最後までしてから、帰りたいんです。」
その言葉を聞いたいーすんさんが茫然とする。だけど、いーすんさんだけじゃない。光樹さんも少し目を凝らしてこちらを見返していた。
そして、そのままネプギアはうずめに言う。
「うずめさん、私、あなたを最後までお手伝いします。だから、マジェコンヌとエクスを倒して全部解決したら、一緒に私たちの世界に来ませんか?そこなら、お姉ちゃんもいるし、美味しい食べ物だって、ゲームだってあります。だから、一緒に行きませんか?」
「………。」
ネプテューヌたちと行ったゲームセンターで思いついたことを、ネプギアは言った。これであとはどう返ってくるか…それだけだった。
するとうずめさんは納得したように呟く。
「…あぁ、なんだ。そういうことか。ねぷっちといい、ぎあっちといい、ほんとこの姉妹は優しいんだな。こんな俺のために、そこまで悩んでくれてさ。」
それを聞いて、ネプギアは疑問を持つ。
(ねぷっちといい…ってことは、お姉ちゃんも?このことを言ったの?)
先程のうずめの言葉から、そのことを読み取る。けれど、そこからうずめさんがこちらに感謝の言葉を送ってくる。
「ありがとよ、ぎあっち。」
「じゃあ!」
先程の言葉を忘れて、ネプギアは一人喜ぶ。きっと一緒に来るのだろう。そう思ったからだ。でも、うずめさんからの言葉はそうではなかった。
「お前の気持ちは嬉しい。…けど、ごめん。一緒には行けねぇ。」
「どうしてですか?こんな誰もいない世界に一人ぼっちだなんて寂しすぎます。」
「こんな世界だからだ。それに、何が起こるか分かったもんじゃねぇ。だから、帰れるうちに帰りな。」
うずめさんの言う通りだ。帰るのを渋って、もし装置が壊れるなんてことになれば、帰ることは出来なくなってしまう。だけど、どうしても満足できなかった。なぜうずめさんがこの世界を離れたくないのか。
「そんな…。」
更に理由を聞き入ろうとした、その時。
ドガガガガガン!!
建物の外からそんな破壊音が聞こえてくる。壊れかけたビルが崩壊した音とはまた違った音だ。その音を聞いて皆さんもその音についてびっくりする。
「な、何だこの音は!?!?」
「これは…恐らく外からのようだ。」
すぐに全員が外に出る。
♦
建物の外では、ある者たちがモンスターを率いて、建物に攻撃していた。
「ハーッハッハッハッハッハ!モンスター共よ、こんな建物壊してしまえ!わたしたちの計画を邪魔した者たちを逃してたまるものか!」
「ギタード・ビームライフル、最大出力!」
それはマジェコンヌとエクスたちであった。マジェコンヌはモンスターたちに命令をし、エクスは指揮しつつ、建物を攻撃していた。ネプテューヌたちのいる転送施設を壊そうとしているのだった。
外に出たわたしたちはその様子に気づく。うずめが言葉を飛ばす。
「ちっ、やっぱりテメェ!」
「せっかくネプギアとうずめの良いシーンだったのに、どうしてぶち壊しにしちゃうかなー!あの真面目でシリアスなシーンをいつわたしの渾身のギャグでブレイクしてやろうかと思ってずーっとタイミングを見計らっていたのに!」
わたしはマジェコンヌに文句を言う。ほんと、別れ際の友人たちの会話のような泣ける場面だったのに!空気読んでよー、と思う。あのシリアスな雰囲気をぶち壊して笑いに変えて、みんなすっきり笑顔で帰れるようにしたかった。そんな思いがあった。
でも、それについて光樹が一言。
「いや、重要ならぶち壊すなよ…。」
と、冷静なツッコミが入る。いや、でも確かに普通ならあそこであのままの方がいいんだろうけど、でもわたしにも芸人魂っていうのが…。
けど、その光樹のツッコミにもくじけず、マジェコンヌに言葉をぶつける。
「言っておくけど、シリアスブレイカーの二つ名はマザコングにはあげないんだからね。」
「誰がマザコングか!それにシリアスブレイカーなどそんな不名誉な二つ名などいらん!」
そこでマジェコンヌからそんな言葉が返ってくる。シリアスな雰囲気を壊すシリアスブレイカーが狙いじゃないのなら、一体何が目的なのか…。
「じゃあ、目的はなんなのさ!」
そこで、ネプテューヌはある考えに至る。そんな事をしてまでこのシリアスシーンをぶち壊す理由。その行動に隠れた本当の目的を、言葉にして出す。
「…はっ、もしかしてわたしから主役の座を奪う気!?」
「はっ、そんなくだらない理由で…。」
エクスがそれを否定しようとした所で、突然マジェコンヌが独り言のように話した。
「“新次元デストロイヤー マジェコンヌ”、か。…ふむ、貴様を倒して主役の座を奪うのも悪くはないな。」
その言葉に、そこにいた全員が失笑する。
「ねぇ、聞いた?“新次元デストロイヤーマジェコンヌ”だってさ…ぷぷぷぷ。」
「だ、ダメだよお姉ちゃん。本人は真面目なんだから笑っちゃ…。」
「デストロイって言葉は、使うやつによってここまでダサくなるんだな。」
「けど、今どきデストロイはないだろ、デストロイは…くくくっ。」
「きっと本人は破壊者を名乗りたかったんだろう。しかし今どき、このセンスはちょっとな…。」
「マジェコンヌよ、貴様の感性はどこかおかしい…。」
味方であるはずのエクスにまで笑われる始末だった。ここまで来ると、同情してしまう。全員が笑う中、それに我慢できなかったマジェコンヌが駄々をこねる子供のように叫ぶ。
「う、う、う…うるさあああぁぁぁぁーーーーい!いちいち揚げ足をとりおって!許さんぞ、貴様ら!」
「ふっ、ようやくマジェコンヌが本気になったか。」
「エクス、貴様もだ!!」
「なんということだ…。」
その怒りはエクスにまで飛び火した。けど、その様子が漫才みたいで面白く思って、更にマジェコンヌを煽る。
「キャー☆赤面して恥ずかしがってるマジェっち、か・わ・い・いー☆」
「お姉ちゃん、そろそろやめてあげなよ。あの手の痛い人って、キレると何をするかわからないんだよ。」
「そのとおりだ。いい歳してあの見た目、まさに見える地雷と言えよう。最近の若者以上に、キレたらなにをするかわかったもんじゃない。デリケートに扱わねば。」
ネプギアと海男ががそろそろやめた方がいいと言う。けれど、なんだかいじるのがやめられないというか、もう少しいじっていたい気がする。何せ、こちらはせっかくのシリアスブレイクを邪魔されたのだから。
だがしかし、ここでマジェコンヌがとうとう本気になってしまう。
「うがああああああああっ!!」
『ひぃ!?』
その奇声に、思わず全員がたじろいだ。とうとう限界を超えてしまった。もう誰にもこの怒りは止められない。完全に怒ったマジェコンヌはこちらに向かって激おこになって憎しみを込めながら言葉を紡ぐ。。
「貴様ら、よくも人のことを好き勝手言ってくれたな!今日は邪魔をして貴様らを絶望のどん底に突き落とすつもりだけだったが、気分が変わった。今直ぐに始末してやる!」
「…ぷっ。絶望のどん底!絶望のどん底だってさー。わたし、ゲーム以外で使う人、初めてみたよ。おっかしー。」
それでも、ネプテューヌはまだ笑った。だって、絶望のどん底だよ?今時のゲームのラスボスだって使わないくらいの言葉だから。ネプギアや海男が止めても、これで笑わないのはおかしい。
さすがに止めるのは無駄と判断したのか、海男もやれやれといった感じで声を出す。
「どうやら、ねぷっちの煽りも大概だが、おばさんの煽り耐性のなさも問題のようだ。」
その言葉が合図のようだった。マジェコンヌはモンスターたちに命じる。
「貴様、これ以上の侮辱は許さんぞ!ゆけ、モンスターたちよ!小娘共々、建物を壊してしまえ!!エクス、お前も命令しろ!」
「分かっている。転送装置を破壊せよ!」
命令を受けたモンスターたちが、転送装置のある建物を攻撃を開始する。
「くそっ!ねぷっちたちを帰すために、壊されてたまるか!」
うずめの言葉と同時に、ネプテューヌたちは建物を攻撃するモンスターたちと交戦する。
♦
「てぇぇりゃぁぁ!!」
うずめのメガホン音波の攻撃が棒人間のようなモンスター「こいつ○」をまとめて吹き飛ばす。しかし、その穴を埋めるように他のモンスターたちが襲い掛かる。
「うずめ!…くそっ!」
光樹はすぐに助けに行こうとしたが、その行く手を大きな斧とシールドを持ったモンスター、「リザードマン」と他のモンスター達が行く手を塞ぐ。
「邪魔だ、どけ!」
光樹は思い切りデュランダルを振るう。しかし、その攻撃は敵にとっては軽いものだったらしく、全くダメージを受けているようには見えなかった。よく見ると、敵は攻撃の直前で防御していたようだった。
しかし、光樹はデュランダル二本を交差させ、切り抜ける。二本の剣による斬撃が敵を切り裂く。だがそれだけではとどまらない。何度も敵の周りを回るようにデュランダルを切りつける。そして、最後にクロスを作るようにして二本を同時に振り下ろす。その攻撃をもって、敵は消滅をする。
次の敵を相手にしようとしたところで、膝をついてしまう。生身で戦うことは増えてきてはいたが、これまでの無理がたたったのか、疲れがどっときたのだ。
『光樹、そろそろ変身を…。』
「分かってる。」
ゼロからの提案を受け取る。やはりこの辺りが生身での、自力での限界だろう。光樹はシュバルトゼロ天をセットオンする。装着と同時に、光樹は新たに存在を知った支援機を呼ぶ。
「ゼロ、シュバルトフェニックスを!」
『すでに呼んである。』
すると、空から高速でこちらに向かってくる影が見える。その影は低空飛行の後、敵を切り裂きつつ光樹の横に舞い降りた。
颯爽と現れたシュバルトフェニックスは、すぐにその体を大剣へと転じ、光樹の手に握られる。そして、機体は赤黒いフレームを金色にほのかに輝かせる。シュバルトゼロフェニックス天に姿を変えた。
『シュバルトゼロフェニックス天、クロスアップ。ガトリングフォームへ切り替え。』
ゼロの言葉によって、大剣となったシュバルトフェニックス天は更に姿を変える。大剣が真っ二つに割れる。そこにシュバルトフェニックスの尾であったガトリング砲が姿を現す。
姿を現した砲門は敵を確認すると回転をはじめ、弾丸を発射する。次々と放たれた弾丸は敵を撃ち抜く。前面にいた敵は、その掃射でほとんど消し飛ばす。だが、それも一時のものだった。
マジェコンヌの背後にいたモンスターたちがその穴を埋めるように前面へと出てくる。このままではこちらがジリ貧だ。
「ちっ、数だけはいやがる…!」
うずめの叫びはある意味当たっていた。敵の強さはほどほどだが、数が問題だ。このまま相手にしていたら、建物が破壊されるどころか、こちらが全滅するのも時間の問題だ。
一方、その様子を見ていたマジェコンヌは高らかに笑い声を響かせる。
「ハーッハッハッハッハッハ!どうした、貴様らの実力はこの程度か。」
その言葉に、イラつく。自分は何もしていないくせに、勝ち誇っているのが癪だ。だが、そう思っても、どうしてもこの大群を圧倒しきれなかった。ドラグーンを射出してモンスターを掃討しつつ、マジェコンヌを狙うが、そのビームは全てエクスのシールドによる防御もしくはビームライフルの弾丸によって撃ち落されていた。
「多数戦で要を撃とうとするのは実に効率的だ。だがその程度では浅はかだ。」
逆にエクスにそう返される。悔しいが、エクスの言うことは間違っていない。今の俺ではたとえ一撃当てても、倒すことはできないだろう。
だがそこで、流れが変わる。先程まで海男と何か話し合っていたうずめがこちらに言ってきたのだ。
「ねぷっち、ぎあっち、光樹。撤収だ、早く転送施設に入れ!」
事実上の撤退だった。その指示に、ネプテューヌ達が驚きを見せる。
「ねぷっ!?」
「え、けどまだモンスターが…。」
「作戦変更だ!詳しくはあとで話す!今は早く中に入るんだ!」
しかし、驚くネプテューヌ達に構わず、うずめは叫んだ。光樹はその策には賛成だった。どちらにしろ、この戦闘はかなり不利なのが素人の光樹から見ても分かった。ここは何かのタイミングでここを放棄して撤退するのが一番の策だと思った。
その指示に光樹達は黙って従い、転送施設の中へと入っていった。
転送装置のある部屋に入った後、すぐに光樹達はマジェコンヌ達が入ってこられないようにバリケードを急遽作った。光樹のガンダムから電気を流し、一時的に電子ロックをかけ、壁にあった本棚を思い切り倒し、そこにあった使用不可能な機材を適当に乗せた簡易的なものだったがこれならしばらくは持つだろう。
「…これなら当分は入ってこれないだろう。」
海男が息をつく。だが安心はできない。ここで何か手を打たなければ詰みだ。
バリケードを作り終え、少し疲れた様子を見せたネプテューヌが納得がいかなそうな表情を見せて呟く。
「もう、最後の最後であんな大群を引き連れて襲撃してくるなんて、あのおばさん性格悪すぎだよー。」
「けど、あんなにいるのにどうすれば…。」
ネプギアは姉をなだめつつも、心配をする。ここに逃げ込む前にも、退きながら迎撃はしていたが、倒したのは何十体ほどだったが、それでも数が減っていないように思えた。まさに無限ともいえる数である。
だが、そのネプギアの心配を装置を何やら操作していたうずめが気にしないように言う。
「なぁに、ぎあっちが気にするこたぁねぇよ。」
そのうずめが、驚愕の発言をする。
「今からお前らを転送する。早く装置にはいってくれ。」
「いやいやいや、ダメだって!あんな大群がいるのに置いていけないよ!」
ネプテューヌもうずめが考えていることに気づく。うずめは俺達だけでもこの場から逃がすつもりなのだ。敵の狙いは俺達を元の次元へと戻さないことだ。ならば、俺達が戻りさえすれば、敵のやることは無くなる。こちらの勝利だろう。
だが、それは同時にうずめをあの大群に孤立させることと同義だった。俺達がいなくなっても、敵はうずめに狙いを変えて襲撃を続けるだろう。女神とはいえ、うずめも少女だ。敵を全て倒すのは不可能だ。
それに、光樹もネプギアと同じように、まだ帰るべきではないと思っていた。「夢」のオレンジの女神の言ったこの次元での役目を果たしていない気がする。おそらく、全て解決しなければ…。
しかし、うずめはその顔に笑みを浮かべつつ、ネプテューヌの言葉に答える。
「大丈夫だ。デカブツたちに比べれば数が多いだけの雑魚なんざ大したことないさ。」
その時、部屋に大きな振動が響く。最初はここの部屋の扉が破られたのかと思った。だが違った。
「…どうやら、扉が破られたようだね。時間がない、三人共、転送装置に。そして、ぎあっちはイストワールに転送の合図を。」
海男の発言の通り、おそらく施設の扉が壊されたのだろう。こうなればここを襲撃されるのもすぐだ。海男のその指示に、突然、イストワールが答える。
『それなら、準備は整っています。みなさんの状況はこちらでもNギア経由で把握しています。』
そういえば、襲撃を受けた時、Nギアの通信はまだ繋がっていた気がする。ここまでの間に、イストワールはずっと作業をしていたのだ。そして三人はうずめに押されて転送装置に入った。
うずめはこちらに別れ際の言葉を述べる。
「よし、三人共入ったな。まさか、こんな慌ただしいお別れになるとは思ってもいなかったが…向こうの世界に戻っても元気でな。」
「うずめ、無茶はするなよ?」
「あぁ、お前らが行ったら、適当に逃げるさ。」
「………。」
その言葉を交わしあったその時、バリケードに大きな穴が開く。エクスのビームライフルによって開けられたのだ。そこからマジェコンヌとエクス、そして率いられたモンスター達がなだれ込んでくる。
「見つけたぞ、小娘共!」
「もう来やがったか。じゃあな、ねぷっち、ぎあっち、光樹。」
そう言い放つと、うずめはマジェコンヌ達の前に出た。攻撃の的になるつもりなのだ。
『それでは、転送、始めます!』
イストワールの言葉に続いて、転送装置に光が集まる。転送が開始されたのだ。
それを見てマジェコンヌは歯痒そうにする。
「ちっ!今からでは止められんか!」
「ならば橙の女神よ、貴様だけでも葬る!」
マジェコンヌ達は己が武器を構える。その先にいるのはうずめだ。転送する前に転送装置を破壊できないと判断し、うずめに目標を変えたのだ。
その危機に、ネプギアが動く。
「うずめさん、危ない!」
ネプギアは転送装置から飛び出した。うずめを助けようとしたのだ。だが、それに気づいたエクスがビームライフルの狙いをネプギアに変えるのがディスプレイのロックオンカーソルが捕えた。このままでは二人共やられる。
それが光樹の意志を固めた。そして光樹もまた、転送装置から飛び出した。二人をやらせないために。
先に出たネプギアが、うずめを抱え、マジェコンヌの攻撃の斜線上から離れる。
「なっ!?」
だがそこにエクスがネプギアの着地点に向け、ビームライフルを撃つ。そこを先回りをするように、トランザムを発動させた光樹がシュバルトフェニックスを大剣のままシールドのように構える。
「ちょ!?ネプギア!?光樹!?」
ネプテューヌの声と共に、更に転送装置が光り輝く。そして、ネプテューヌの声が響く。
「ネプギアーーーーーーー!光樹ーーーーーーー!」
その言葉と共に、ネプテューヌはこの次元から姿を消した。
CHAPTER 1 END
TO BE CONNTINUED
NEXT CHAPTER 2 「黒き0、力の復活へ」
いかがだったでしょうか。
光樹君はまさかのネプギアの行動に影響され、零次元に残ることに。次章ではネプテューヌとオリジナルキャラクターの一人の視点が中心となって物語が始まります。
次回は黒の館です。第1章の振り返りとサトゥーリアとシュバルトフェニックスの解説もあります。
と、ここで冒頭で話していたU.C.カードビルダーの話を少し。
このゲームは以前稼働していたとあるゲームをベースとしたゲームになっています。U.C.と言う名の通り、宇宙世紀と呼ばれるガンダムのシリーズの機体しか登場はしませんが、それでもヒカル君のプレイを見ていた限りでは、十分楽しめるものだと思います。
難易度ですが、少し高めかなと見ていて思いました。リアルタイムで戦況が動くので少し早く、カードを動かししつつ、ゲージが貯まったらすぐに右側のボタンを押し、ストライクオペレーションとかいう必殺技を敵よりも早く使う必要があるなど、スピード感があり、エクストリームバーサスをよくやっている自分でも、見ていてこれは難しいと思いました。
それと、もう一つガンダム関連でお話を。
ヒカル君が付録につられて買ったガンダムエースで知ったのですが、新たなるエクストリームガンダム登場です!
イクス・トリムの登場する新たなるエクストリームガンダムの名は「エクストリームガンダムMKーⅡ(マークツー)AXE(アグゼ)!見た感想は「な、なんだこいつ…。」でした。
でも、武装が興味をそそられるのですよ。武装は背中に背負ったマルチウエポン。ブースターとして使用する他、大剣やシールドにもなるなど、万能感が半端ない…。機体の大きさは今までのボスエクストリームガンダムとは違い、普通の大きさ、プレイアブル機体達と同じです。でも私には分かります。…これ絶対スーパーアーマーですよね!?攻撃で仰け反らないですよね、バン○イさん!ちなみにこの機体がプレイアブル機体と同じ大きさなのは、エクストリームガンダムディストピアフェイズの制御機体として内蔵されているからです。
更にセシアのエクストリームガンダムも登場する情報が!でも使うかな?出たら一度使ってみようとは思いますが。
話が長くなりましたが、今回はここまで。次回の投稿は黒の館なので木曜日になります。
次回もお楽しみに!