新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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神を断罪するため、少女は現れる。我が愛する詩姫(ディーバ)よ、今こそフィールドを蹂躙せよ!〔断罪の歌姫〕ジャンヌ・ドラニエス、きませい!!(召喚口上)

光樹「いきなりカードネタに走らないでください。みなさん意味わかってないから(汗)。」

いやー、断罪の歌姫ちゃん当たったから、ついやっちゃいました。
どうも皆様、お元気でしょうか。バトスピで目当てのカードが当たって、歓喜中な藤和木弘です。第45話、投稿です。

今回のお話では、機動兵器戦が中心です。NPとMP、勝つのはどちらか?
更に、サプライズも?

では本編へどうぞ!


第45話 ANドライヴ搭載機の激突

 

 

「光樹!待てって!」

 

光樹のガンダムが敵に突っ込んでいく。俺たちの制止も聞かずにだ。さっきぎあっち言ったことが本当なら、おそらく暴走しているのだ。

いますぐ止めたいところだったが、そこでもう一体の機械のモンスターがこちらに攻撃を仕掛けてくる。

 

ダララララ!

 

「くそっ!!」

 

攻撃を回避したところで、ねぷっちが言う。

 

「これはちょっと光樹の方に助けに行くのは無理かなー?今はこっちの敵を倒すのが先だね。」

 

「ねぷっち…。」

 

うずめはその言葉に不安そうにしながらもその言葉に従う。こっちの敵を倒さないと、ジゴクノトサカたちに被害が及ぶかもしれない。それに、光樹も十分強い。負けることは無いはずだ。

そう考えたうずめは、ネプテューヌたちとあの機械の敵、「ガガムド」と戦うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ビームと実体剣が交わりあい、鍔迫り合いを展開する。幾度も行われていたが、未だ勝敗は決しない。どちらも一歩も引かなかった。だがシュバルトゼロ天の方は少し違った。その装着者、和藤光樹は困惑するばかりであったからだ。なぜ、ゼロはシュバルトゼロ天を勝手に操作しているのか。先程言っていた「反乱軍」も、一体何なのか…。

でも、それ以上に、シュバルトゼロ天の機動が光樹に負担を掛けていた。今まで以上の負荷が、光樹の体に掛かっていた。

 

「おい、ゼロ!勝手に動くなって…。」

 

そう制止するも、ゼロは全く攻撃をやめようとしない。

何度も二機が激突する。だがそこでシュバルトゼロ天の攻撃がサトゥーリアを大きく吹っ飛ばす。大きな隙だ。ここで落とせば、ゼロのオート操作も収まるはずだ。シュバルトゼロ天のANヴァリアブルアームズⅡ改が、敵を切ろうとした、その時だった。

敵が突然、赤く光る。それと同時に、目の前から消える。

 

「何っ!?」

 

光樹は驚愕する。シュバルトゼロ天がその動きを追うように顔を動かす。それと同時に光樹の目にも見えた。だがそこには、驚きの光景が見えた。

 

「これは…!?」

 

その機体は残像が起きるほどのスピードで、こちらの周りを周回していた。その敵の能力は見たことが…体感したことがあった。

 

(トランザムシステムだと!?)

 

敵もANドライヴを装備しているのだから、ありえないことは無いかもしれない。だが、ジムみたいな顔を持つ奴が、トランザムを使うとは…量産機みたいに見える機体がトランザムとか、ジンクスⅣみたいな敵ということだろうか?それとも、この機体だけ特別に装備しているのか?

どちらかは分からなかったが、そんな事を考えている間に、ゼロもこちらのトランザムシステムを起動させる。赤く光ると同時に、敵に追従する。圧倒的な速さで、両機は銃撃と斬撃を放っていく。限界まで機動性を上げた機体の負荷は、光樹を苦しめる。

 

「くっ…ゼロ!」

 

光樹は勝手に操ることをやめるよう言う。だが、その苦痛に見向きもしないように敵を撃墜しようと攻撃を仕掛ける。だが、敵もその行動を読んでいたように攻撃を躱す。そして返す刀でランスをこちらの頭部に向けて手元から射出する。その攻撃を避けようとしたが、躱しきれず、デュアルアイセンサーの左目を貫く。その影響で左目に痛みが少し走る。

それには余裕で耐えるが、シュバルトゼロ天はそれに構わず、敵に反撃を加える。敵の射出したランスの、残った柄部分を切り裂く。ランスはエネルギー回路を切られたのか、爆散する。爆炎が晴れると、敵は右手に残ったランスの柄から、ビームサーベルを発振させる。どうやら先程のランスはビームで繋がって射出されたようだ。そして左手にライフルを持ち、こちらにビームを放ってくる。それをまたトランザムによる高機動で避ける。

互いに高機動性を与えるトランザムであったため、決定打が決まらない。決まっても、先程のように、まだ活動出来る状態で耐えていた。

このまま睨み合いが続けば、トランザムの時間が切れる。そう判断した二機は決定打となる攻撃を仕掛ける。シュバルトゼロ天はANヴルトガⅡ改を形成し、フルバスターモードを向ける。対してサトゥーリアは腰部からビームで形成したアンカーの先端のパーツをビームライフルに接続する。すると、ライフルの砲門が上下に別れ、砲撃に特化したカノン砲のようになる。

そしてお互いの武器が同時に火を噴く。放たれたビームが激突し、風圧が起きる。その風圧はこちらを吹き飛ばそうとするばかりか、別の場所で戦っていたネプテューヌ達の戦闘にも影響を与えた。風圧でうずめの音波の衝撃波が明後日の方向に飛ばされる。

 

「くそっ!光樹、早く暴走を止めろ!」

 

「悪い。でもどうしても操作がきかないんだ!」

 

そう言い放ったうずめに聞こえるだろう声の大きさで話したが、うずめの耳には入らなかった。そしてその砲撃の鍔迫り合いは更に増す。互いに出力で負けないように、それぞれの出力を上げる。シュバルトゼロ天はカートリッジをロードし、サトゥーリアはライフルのEパックを次々と変える。互いに大出力をぶつけ合う。

 

そして弾ける。

 

二機は大きく吹っ飛ばされ、壁に激突する。肺の中の空気が一気に吐き出される。壁は大きなヒビが入っていた。それと同時に、二機のトランザムが解除される。起動限界時間が来たのだ。粒子残量ゲージは10分の1とそれほど多くはない。それでも、ゼロは戦闘をやめようとせず、壁から離れて敵に剣を向けようとする。

だが光樹の目には分かった。ゼロだけではこの戦いには勝てないことを。人の瞬間的な、機械には予測外の行動がなければ、あの敵には勝てない。敵はおそらく俺と同じように装着者の人間だろう。機械の規則通りの行動では、いくらZEROシステムといえども勝てないかもしれない。ガンダムWでも、ガンダムのパイロットにはいくら性能差があっても殺した例はなかったはずだ。

だがそれ以上に、これ以上ゼロの戦闘には体が耐えられなかった。光樹はゼロに対し叫ぶ。

 

「ゼロ!操縦を代われ!お前だけじゃ勝てない。」

 

そう言うが、ゼロは未だ敵を排除することだけを口にする。

 

『反逆者を殲滅する…。』

 

そしてサトゥーリアもそれに呼応するようにこちらにビームサーベルを向ける。ゼロもANヴルトガⅡ改をフルセイバーモードに切り替え、向ける。

一向にこちらの言うことをきかないゼロに、とうとう光樹も苛立ちが募った。流石にもう我慢が出来ない。たとえシステムのモデルがZEROシステムであったとしても、こちらの言うことくらい聞いてもらいたい。少なくとも、ZEROシステムはそのパイロットの望む答えを曲解して果たすシステムだ。それすらも聞かないなんて。

そう思った光樹は叫ぶ。

 

 

 

 

「いい加減…言うことを聞けぇぇぇぇ!!」

 

 

 

 

その声と同時に、シュバルトゼロが動きを止めた。

そして機体の動きが、光樹の動きとシンクロした。それに光樹も気づく。これはもしかして…。そして、光樹の耳に機械音声が響く。

 

『…光樹?私は一体何を?』

 

「ゼロ、戻ったんだな。」

 

どうやら正気を戻したようだ。その言葉にゼロが疑問を投げかける。

 

『戻ったとは?それに粒子残量が少ないようだが…。』

 

「何にも覚えてないか。でも今はアイツを倒すぞ。…俺たちの力で!」

 

光樹はそう語る。どういうことか、まだゼロは分かっていないようだが、サトゥーリアの動く姿を見て把握したようだ。ゼロがそれに応える。

 

『了解。ウイングチェンジシステムを使うのを推奨する。』

 

「分かった。」

 

ゼロの言う通り、ウイングチェンジシステムを起動させる。それと同時に背部のウイングバインダーがノイズの穴に飲み込まれる。

ウイングがなくなったということは、機動力がなくなったに等しい。サトゥーリアはこちらに向かって急接近してくる。何の妨害もなく接近したサトゥーリアはその光剣――――ビームサーベルを振り下ろす。

誰もが決まったと思うだろう。だが、次の瞬間、ビームサーベルは弾き飛ばされ、敵の動きが止まる。サトゥーリアは現状を理解できなかった。だが、それは実に簡単なことだった。シュバルトゼロ天の背部に新たに現れたウイングのようなシールドの先から展開されたクローパーツで捕えたのだ。

そのウイングのようなシールドはバックパックのところから、六本のアームで支えられたものだった。名づけるなら、バインダーシールドウイングだろうか。だがゼロが正式名称を言う。

 

『ANウエポンバインダーシールドウイングユニット装着完了。敵を捕獲。』

 

大体名称はあっていた。そこですぐにANヴルトガⅡ改で追撃しようとした。

が、そこで気づく。右手に持っていたはずのANヴルトガⅡ改がなくなっていたことに。すると、ゼロがそれについて説明をする。

 

『ANヴルトガⅡ改を形成するANヴァリアブルアームズⅡ改はANフレキシブルウイングバインダーユニットⅡの兵装。こちらに換装すると同時にANヴルトガⅡ改は特別な理由がない限り分解され、使えない。』

 

確かによく考えれば、バックパックを交換しているのだから、背部に装備していたANヴァリアブルアームズⅡ改がなくなっていても当然だ。

 

「分かった。なら…!」

 

すると光樹は、背部のANウエポンバインダーシールドウイングユニット…は長いので、表示された武器名であるANウエポンバインダーシールドに攻撃命令を送る。すると、クローでつかんでいた敵を壁に向かって投げ、シールドの裏側が敵に向けられる。そしてクローのように上下の別れた部分が起き上がる。そしてそこに電流が貯まる。ビームを溜めているのだ。

圧縮されたビームは敵に向かって発射される。六本のビームは敵を飲み込み、爆炎を起こした。

 

「やったか!?」

 

光樹は思わずそう叫ぶ。だが、爆炎が晴れると、未だにあの機体、サトゥーリアが残っていた。だがほとんどの部分からスパークが散っていて、今にも爆発で破壊されそうだった。

そこでゼロがトドメを指示する。

 

『光樹、ノイズフォースビックバンでトドメを。』

 

「よし、必殺技で一気にトドメってことか。」

 

光樹もその考えに乗る。そしてノイズフォースビックバンに出力を切り替える。

 

『ノイズフォースビックバン・ハイパープラズマフレイム。』

 

ANウエポンバインダーシールドの先端をサトゥーリアに向ける。そして全砲門からビームを連射する。いくつものビームが敵を貫く。完全に動きが止まった所でカートリッジをロードし、急速に粒子をチャージする。敵はこちらの攻撃を受け止めようとビームシールドを展開する。

 

『チャージ完了。ハイパープラズマフレイム、発射。』

 

全砲門から粒子ビームが発射される。全てのビームが束ねられ、敵に向かって直進する。防ぐはずだったビームシールドを貫く。敵は直撃したビームに飲み込まれる。

ビームを撃ち終わるとそこにはある物を除いて、先程までいたサトゥーリアの欠片すら残さず消滅した。壁すらも撃ち抜いて、外の景色が見えていた。その時、はっ、と我に返ってあることを調べる。それは先程の場所にジゴクノトサカの仲間たちがいなかったかどうかであった。すぐに先程の時のレーダーを表示させる。

 

『巻き込みはゼロ。建物外の被害もとくになし。』

 

「良かった。うずめの仲間を倒してたらシャレにならないぜ。」

 

ゼロからの報告に安堵する。これで問題はないだろう。犠牲者がいなくて、ホッとする。安心した光樹は、サトゥーリアのいた場所まで接近する。そこには、見覚えのあるような、ないようなものがあった。

それはドッグタグであった。だが、光樹の持っていた物とは違う、別の軍のようなものだ。だが、それがただのドッグタグでないことが、ゼロから語られる。

 

『これはMP装着用デバイスのようだ。しかし、我らの軍の物ではない。』

 

「そうなのか?」

 

『だが機体の外見から、GKSWAXPタイプの機体である可能性がある。』

 

ゼロの分析を聞いていると、どうやら敵はNPの量産型のMPらしい。光樹の記憶でも、MPがNPの量産型であることは知っている。だが戦っていたのがMPで、更にそれが自分とゼロが所属している軍とは違う機体であるとは思わなかった。だが、敵の機体は全体的にはジムに似ていたが、なぜトランザムを使えたのか、それをゼロに聞いてみることにした。

 

「なぁ、ゼロ。なんで敵はトランザムを使えたんだ?」

 

『トランザムを…?あの敵が?本当か?』

 

「あ、そういえばゼロが元に戻ったのはトランザム終わった後だったな。」

 

そこで光樹は自分が見たことをゼロに話していく。敵が赤く光ったこと、そしてゼロが突然敵を反逆者と認識したことを。

それを話し終わると、ゼロはあることを話す。

 

『すまない。その時の記録が一切ない。』

 

まさかゼロもその時のことを覚えていないとは。もしかすると、さっきの自立起動はシステム外での操作だったということだろうか。

ともかく、そろそろネプテューヌ達に合流した方がいいだろう。光樹はネプテューヌ達のいるであろう方へと飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「てぇぇぇぇい!!」

 

うずめの拳が機械モンスターの腹の部分を強打する。それで限界が来たのか。モンスターはゆっくりと膝をつき、機能を停止した。

 

「ふぅ。見掛け倒しだったな。」

 

うずめはそう言った。うずめの言う通り、今のわたしたちにとってあの強さはそれ程苦じゃなかった。武器がガトリングとかキャノン砲とかの射撃武器で攻撃してくることが多かったけど、それ程痛くもないし、キャノン砲も回避できる余裕があったから、被弾も少なかった。

 

「さて、あとは光樹の方だけど…。」

 

わたしは光樹のことについて言う。何かさっき暴走しているみたいな事を言っていたけど、大丈夫だろうか。そう思っていたのだが、そこに光樹が戻ってくる。

 

「あ、光樹さんが戻ってきたよ。」

 

「まったく。光樹、大丈夫か?」

 

うずめはそう聞く。すると光樹がその問いに答える。

 

「悪い。こっちは何とか片づけた。こっちも何とかなったみたいだな。」

 

「よし、大丈夫ならいいこと…」

 

 

 

 

それを言いきる直前。

 

 

 

 

ウィィィィィィン!!

 

 

 

 

その機械音声と共に、うずめが消える。

否、それは違った。突然、倒したはずの機械モンスターがまた動き出し、うずめを、右手のガトリングを排除して出現した腕で抱えたのだ。突然のことにうずめも驚く。

 

「くそっ!まだ動けたのか。」

 

「うずめ!」

 

「うずめさん!」

 

ネプテューヌとネプギアはすぐに助けようとしたが、そこで思わず急停止する。それはなぜか。それは、敵が残ったガトリング砲をうずめに突き付けていたからだった。

 

「くそっ…俺は人質ってことかよ…。」

 

うずめの言う通りだった。敵はうずめを人質にしたのだった。これでは手が出せない。その様子にネプギアも動揺し、光樹も手を固く握り、悔しそうにする。

うずめを助けることは出来ないのだろうか。わたしたちはただ見届けるままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

迂闊だった。まさかうずめが人質になるなんて。光樹は歯ぎしりをした。今すぐにでも助けに行きたかったが、あの距離でつっこんではうずめに攻撃が直撃するのは明らかだった。

だがこのまま逃がすわけにもいかない。一瞬の隙をついてうずめの奪取をしたかったが、そのために必要なトランザムシステムは現在十分な粒子量がなかった。ワンセコンドトランザムでも、届かないことがゼロの表示するデータで分かった。何か、あと一手欲しかった。

その時だった。

 

 

 

 

ヒュウウウウウン!

 

 

 

 

機体の音声収集機能から、微かにそんな音が聞こえてくる。まるで、何かが落ちてくるような。機械モンスター「ガガムド」が、先程開けた穴から出ようとした所で、その音の正体を知ることとなる。

光樹の目に、ガガムドの奥から、何かが急降下、そして急接近する影が見える。何なのか知る前に、その何かがガガムドの腕部を横切る。と、同時にガガムドの手からうずめが離れる。

だが正確には違った。その何かがガガムドの腕を切ったのだった。

 

「うわぁぁぁ!?」

 

「うずめ!」

 

すぐに光樹はここが分かれ目と判断し、トランザムを起動し、うずめをキャッチする。だが腕を切られたガガムドもみすみす逃すつもりはなかった。残った左腕のガトリングをこちらに向け、掃射する。光樹はそれにうずめが当たらぬよう、こちらにその身を預けさせて抱えるようにしながら、ANウエポンバインダーシールドユニットで防御する。その時うずめが「熱い熱い!!」と言っていたが、そんな事に構っていてはやられる。光樹はそのまま防御する。

そう行動したものの、このままだとうずめにやけどを負わせてしまう。女神といえども、この高温に耐えるのはきついだろう。何とかしてあいつの弾丸を止めないといけなかった。しかし、敵はそうはさせまいと弾丸を撃ち続ける。そこで先程の何かが急速反転し、ガガムドへと向け飛翔する。そしてガガムドと交差する刹那、ガトリング砲を切断する。

砲撃がやむと同時に、光樹はすぐに後退する。うずめを安全圏に置くためだ。

 

「うずめはここにいてくれ。」

 

「お、おう。」

 

うずめを置いたのち、光樹は戦闘に戻る。ガガムドは光樹達を助けた何かと戦っていた。何かが優勢だったが、偶然敵の振り回した腕部が当たり、地面に叩き付けられる。動きが止まった所で、ようやく光樹はその正体を知る。

鳥だ。だがただの鳥ではない。鋼鉄の体に鋭い刃を備えた翼、そして尾に四門のガトリング砲を持った機動兵器だった。そこでゼロがその正体を言う。

 

『シュバルトフェニックスだ。シュバルトゼロガンダム系列の支援兵装。修復途中だったものを呼び出した。』

 

そうか、こいつは支援兵装なのか。ということはシュバルトゼロの新しい兵装ということに違いない。光樹はゼロに使い方を聞く。

 

「どうすれば使える?」

 

『ウエポンモードへ変形させろ。』

 

その言葉通り、ウエポンモードというものに変形するよう念じる。すると、シュバルトフェニックスが変形を開始する。その姿は巨大な大剣に変化した。そして光樹の手元に来る。それを掴むと、装着時の音声が響く。

 

『シュバルトゼロフェニックス天、クロスアップ。』

 

シュバルトゼロ天は、不死鳥へと変わった。大剣との合体で、シュバルトゼロ天のフルノイズドエナジールーンフレームは赤黒から金色がかった赤へと変わっていた。それと同時に、出力が増大する。

その形状はまるでアストレイブルーフレームセカンドLのタクティカルアームズのようだった。だがそれを今は気にしている余裕はない。敵はこちらにキャノン砲を構え、撃つ。だがその攻撃は大剣の面を前面に向け防御する。その状態のまま、敵へと急接近する。キャノン砲を受け止めた反動を物ともせず、突っ込む。

そして、間合いに入る。その大剣を横薙ぎに振るう。その攻撃はガガムドの上半身と下半身を両断する。その断面は綺麗な物だった。匠の技ともいえるものだった。

ところが、それでもなおガガムドの上半身は動く。そこで敵の動く源を叩く。動力源を叩くという方法が一番だったが、爆発する可能性もある。そこで光樹はある部分を分断した。

 

ザンッ!

 

敵の体と頭部が分断された。続いて敵の頭部を貫く。敵の頭部は爆散する。

それで最後だった。敵の残った体は完全に機能停止した。それを確認し、セットオフする。

装着を解除すると、うずめがこちらに来る、

 

「助かったぜ、光樹。」

 

「うずめ、無事だったんだな。」

 

「ちょっとまだヒリヒリするけどな。」

 

「ご、ごめん。」

 

「気にするなって。おかげで助かったんだしよ。」

 

光樹の謝罪に、うずめが笑顔で答える。うずめの方にもやけど以外の目立った傷もないみたいだ。そう安心したところで、唐突にネプギアがテンションMAXでこちらに聞いてきた。

 

「光樹さん!さっきのあの鳥型の機動兵器、何なんですか!?調べさせてもらってもいいですか!」

 

「え、あぁ、ゼロ、いいか?」

 

『修理中ではあるが、それでもいいというなら問題ない。』

 

「やった!じゃあ後で調べさせてもらいますね。その前に、こっちのモンスターを解体しないと!」

 

ゼロからの許可を得たネプギアは、そのまま先程倒した機械モンスターをばらし始めた。ところ構わず分解するもんだから、ネプテューヌが「散らかしちゃだめだよ。」と言う始末だ。

そんなネプギアを横目に、うずめが戸惑いを見せる。

 

「人が捕まったのに、戦闘後第一声が「解体」ってのも、凄いな…。」

 

「メカヲタなところがネプギア唯一の個性みたいなものだからね。」

 

「こんなことなら、頭部壊さなきゃよかったなぁ。」

 

うずめがそう思うのも分かる。たぶん、ちゃんと心配はしていたのだろうが、そこで急にシュバルトゼロの新兵器、というか支援機が登場したため、話題がそっちに持っていったのが原因だ。

だが第一声が「解体」というのは、完全にネプギアの欲だろう。でもそれくらいしかネプギアの個性がないというネプテューヌの意見も間違ってはいないかもしれない。ネプギアには悪いが。

 

「あーっ!」

 

そこで突然、ネプギアが大声を上げる。何かあったのだろうか。声の調子から、嬉しそうな声ではあったが、すぐにネプギアのところへ行く。途中、散らかったパーツでこけそうになったが。

 

「ん?どうしたのネプギア。」

 

ネプテューヌがそう聞くと、ネプギアは驚くべき事実を述べた。

 

「転送装置のコアパーツの代用品、発見しちゃった!」

 

「本当か!?」

 

「じゃあ、転送装置が直せるんだね!わーい、やったー!」

 

まさか修理に必要なパーツが見つかるとは。これは流れがこちらに来ている。このまま行けば、エネルギーの方も何とかなりそ…いや、パーツはネプギアが見つけてくれたんだ。あとはこちらの考えている方法で何とかしなければ。光樹はそう決意した。

一方ネプギアは…。

 

「そうだ、他にもなにか掘り出し物があるかも。他の場所も分解してみよーっと。」

 

そう言って機械モンスターの分解の方に戻った。やはり機械には目が離せないようだ。それも別の次元の機械だから、それも手伝ってネプギアを虜にしているのだろう。

その一連の流れを見て、海男が言葉を発する。

 

「遊びに来たはずが、とんだ拾いものだったな。」

 

「だな。ぎあっちも元気になったし、来てよかったぜ。」

 

うずめもそう返す。

もうすぐ装置が直る。それは光樹達とうずめの別れであった。

 

(本当にこれでいいのか…?)

 

そんな心配がまた光樹の中に過ぎる。しかしその考えも虚しく、時間は過ぎていくのであった。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか。トランザムシステム搭載のMP、実はこれは本来ありえない機体なのです。
その紹介は次の次の黒の館で明らかになります。

そしてシュバルトゼロの新兵装、シュバルトフェニックスは本編でも光樹君が思った通り、ガンダムアストレイブルーフレームセカンドLのタクティカルアームズをベースとしています。ですが、所々でガンダムアストレイレッドフレーム改のタクティカルアームズⅡLの要素も入っています。

それから、実は前回と今回のお話は、一度全部書き換えています。追加したのは、サトゥーリアとの戦闘、そしてシュバルトフェニックスのところです。ただ原作の敵と戦うだけじゃつまらないと思ったため、こうなりました。

それから、次の次の話に当たる、黒の館で、アシスタントのヒカル君が抜けることになります。理由はその時の黒の館のあとがきにて明らかにしたいと思います。

では次回の投稿は土曜日とさせていただきます。
次回もお楽しみに。

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