新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結) 作:藤和木 士
お待たせいたしました、第2話更新です。
今回は特に前書きで伝えることは無いので、本編へGOです。
星空が空に輝く夜の中、光り輝く街を視界の下に捕らえていた。
パープルハートに抱えられながら光樹は空を飛んでいた。
しばらくの間は広い草原の上を飛んでいたが、その景色はすぐに都市の明かりへと変わっている。
自身の記憶が正しければ、ここは紫の都市「プラネテューヌ」だったはずだ。
しかし、実際見てみるとかなり大きな都市だと思う。ここがあのシェア最下位の国だと思うと信じられない。
だが技術力は高いと思う。街の至る所で、それを垣間見ることができる。
例えば街に通っているガラス張りの動く歩道だ。こっちでは空港なんかでしかあまり見たことのないものを街で積極的に使っているから経済的にはかなり発展しているように見える。
そう思っていると、目の前に大きな塔が見えてくる。一目見ただけでそれが重要な建物であることがわかる。
「あれが私の住む『プラネタワー』よ。」
「あれが…そうなのか…。」
プラネタワーと呼ばれたそれは、他の建造物とは明らかに違った雰囲気を出していた。また、その存在感は圧倒的で見ただけで技術力が分かる。
もしかすると自分の世界にあったス○イタワーよりも高さはおろか、使われている技術もこっちの方が高いかもしれないと思う。
と、そこで考えを中断する。理由は単純、もうすぐタワーのテラスに降りるところだからだ。
パープルハートが飛行速度を緩め、テラスにきれいに着地する。
「さあ、着いたわよ。」
そう言うと同時にパープルハートが光の柱に包まれる。
次に光が晴れたときにはパープルハートの姿はなかった。代わりに、自分より少し背の小さい、少し薄い紫の髪をした少女が姿を現す。
外見は、髪はショートカットで、服装は白と紫のパーカーを着ている。だがズボンやスカートといったものを穿いていない、というか見えていない。
おそらくパーカーの長さを利用して下着を隠すタイプなのだろう。いや、よくよく思い出すと確かそんな感じだったはずだ。
今こうして同じ次元にいるからこそ思うのだが、かなり見ている方としては恥ずかしいと思う。
「いやー、やっぱり空から降ってくるってすごい登場の仕方だよねー!あー、そうだ!言い忘れてたよー。私、ネプテューヌ!プラネテューヌの女神だよ。」
「ああ、よろしくな、ネプテューヌ。…ってやっぱり様付けした方がいいかな?」
「あー、別に気にしない気にしない!私、様って同じくらいの子にそうゆう感じに呼ばれるの、あんまり好みじゃないからねー、むしろねぷねぷとかねぷえもん、それかねぷ公とかでもOKだから!」
いやいや、ねぷねぷは分かる。呼びやすいし、性格と相まっていい感じだ。
ねぷ公はなんかその…すごくドッグな感じだからダメだと思う。
だがねぷえもん、それはアウトだ。青いタヌ…じゃない、青い猫型のロボットの漫画を描いている先生に喧嘩を売っているようなものだ。
実際、ネプテューヌをやっているときにこれが出てくるたびに「いやいや、アウトだろこれ。」と毎回思っていたほどだ。
しばらくの間、どう呼ぼうかと考えた結果、たどり着いた答えは…
「じゃ、じゃあ…普通にネプテューヌでいいかな?俺、男だから「ねぷねぷ」って呼ぶのもなんだしな。」
「うん、だいじょーぶ!よろしくね、光樹!」
ネプテューヌがそう返答したその時、テラスの窓の内側の方から人影が出てくる。
「あれ、お姉ちゃん?帰ってきてたんだ。」
「ネプギアー、たっだいまー!」
ネプギアと呼ばれた少女が部屋の外から今こちらのテラスの方に出てくる。少女はネプテューヌと同じ紫色の髪を伸ばしていて、服装は丈が下腹部まである紫と白のワンピースタイプの服を着ていた。こちらも服の丈でズボン代わりの役目を果たしていた。
「あれ?お姉ちゃん、その人は?」
「あー紹介するねー。この人、名前は光樹って言うんだって。さっき空から落ちてきたんだよー!」
「そ、空から!?なんで空から落ちてきたんですか?」
「いや、俺も何が何だか…。」
ネプギアと呼ばれた少女がこっちを興味深そうに見つめてくる。あまりこちらはそんな目で見られたことが無いので恥ずかしくなってしまう。
だがそのまま黙っているのも失礼だと思い、話を振ることにした。
「っと、こっちの紹介がまだだった。さっきネプテューヌが言ったけど、俺は光樹、和藤光樹だ。こことは違う次元の世界に住んでる…はずだ。」
「和藤光樹さん、ですか。私、ネプテューヌの妹のネプギアって言います。よろしくお願いしますね、光樹さん。」
お互い自己紹介を終えたところでネプギアがあることに気づく。
「あれ、さっき違う次元の世界に住んでいるって…それに「はずだ」って?どういうことですか?」
当たり前の反応だ。なにせ別の次元から来たというだけでもありえない話なのにその上それすらも曖昧であるのなら疑問を持つのも当然だ。
ネプギアが少し考えているところにネプテューヌが話に割り込んでくる。
「まーまー、その話はとりあえず部屋の中に入ってからにしようよ!立ち話も疲れるし。」
「そうだな、ここの教祖のあの人にも一応話しておきたいし…とりあえずお邪魔していいかな?」
「そうですね。じゃあ私飲み物を用意してくるので部屋の椅子に座っててください。」
そう言ってネプギアが部屋の奥の方に姿を消す。
そして俺たちは部屋の中に入り、椅子に座る。
ネプギアが戻ってくるまで少し時間がかかるだろう。そう思った俺は少しだけ体を伸ばして緊張を解くことにした。
♦
しばらくしてネプギアが手に持ったお盆の上にジュースを乗せて戻って来た。
「すみません、今お菓子切らしちゃってて。」
そう言いながら机の上に先にコースターを敷き、その上にジュースを乗せていく。
すぐにネプテューヌがそのジュースをサッと取り、飲み始める。
光樹もそのすぐ後にジュースを手に取る。ちょうど喉が渇いていたのでありがたかった。
少し飲んだ後、ネプギアが先程の疑問をぶつけてくる。
「そういえばどうして別の次元に飛ばされたってはっきりしていないんですか?」
「ああ、実は…少し記憶喪失になっているんだ。」
「えっ、記憶喪失、ですか。」
流石にネプギアも驚く。が、すぐに表情を平静に保つ。
「それで、行き場所もないしでそれだったらってことでネプテューヌに頼んで記憶が戻るまでここに置いてもらおうと思ってここに来たわけなんだ。」
「そうだったんですか…私はかまいませんよ。でもそういうことはいーすんさんに聞いてみないと分からないです。」
そうネプギアが言うとネプテューヌが席を立つ。
「それだったら問題なーし!私がいーすんに光樹をここに置いてくれるように頼んであげるよ!」
そう言ってネプテューヌは勢いよく部屋を飛び出す。
そうして部屋には光樹とネプギアだけになる。
「ちょっと聞きたいんですけど、光樹さんの世界ではメカニックとかってどんなのがあったんですか?」
しばらくしてネプギアが突然そんなことを聞き始める。
「えっ、…ああ、そういえばネプギアってメカ好きだったっけ。」
「あれ、私そんなこと言いましたっけ?」
しまった。一番重要なことを言い忘れていた。だがこれを言ってしまってもいいのだろうかと思う。もしこれを言って即侵略者扱い、なんてことになればもう最悪だ。
しかしネプギアは如何にも興味津々な目で見てくる。ヤメテクダサイシンデシマイマス。
そして俺は悩んだ末、それについて話すことにした。そのことを隠していてもプラスになることは無いと判断したからだ。
そのことを言おうとした、その時。
「すみません。ネプテューヌさんの話を聞いていて少し遅れてしまいました。」
そんな少し幼さの残る、しかし凛々しい声が部屋に響く。
その声の方を向くとそこには本の上に乗っかった、人の顔と同じくらいのサイズの女性がいた。そしてその隣には先程出ていったネプテューヌがいる。それが意味するのはただ一つ、その女性こそがいーすん、いや、正しい名前は――――
「初めまして。私がこの国の教祖を務めています、イストワールです。」
「は、初めまして!イストワール様。」
その声に反応して立ち上がる。
イストワール。その小柄な大きさながら、その威厳がひしひしと伝わってくる。これが一国を女神と共に束ねる者の姿かと思うとすごい存在である。思わず自身の声が高くなってしまう。
「そんなに緊張しないで大丈夫ですよ、光樹さん。話はネプテューヌさんから聞きました。ここにしばらく置いてほしい、ということでしたね。事情は分かりました。」
イストワールの言葉を聞いて少しほっとする。だがそこでイストワールの言葉は止まらなかった。
「ですが、少し気になることがあるのですが…よろしいでしょうか?」
「はい…何でしょうか。」
「光樹さん、…あなたはなぜここが自分の世界とは別次元であることが分かったのですか?」
なんともピンポイントな質問だ。先程ネプギアに話そうとしていたことをまさか別の人からそのことについて聞かれるとは。
だがそれは当然なのかもしれない。なにせネプテューヌにはここが自分の世界と別の次元だということを話してある。だからネプテューヌもそのことは伝えるだろうとは予想していた。そしてイストワールならそのことを聞くことも。
しかしこちらもそれを隠すことは無い。むしろ言うべき場面だ。
「…じゃあ、そのことについて話しますね。」
そう言いながら光樹は再び席に座る。イストワールとネプテューヌもそれぞれ机の上とイスに座る。
それを確認した後、光樹は話し始める。
「実はこの世界、ゲイムギョウ界は俺の世界では『超次元ゲイムネプテューヌ』と呼ばれるゲームのシリーズの舞台となっているんです。」
「「え!?」」
イストワールとネプギアが驚きの声を上げる。無理もない。自分たちの住んでいる世界がゲームの世界なんて言われたら、普通の人なら生きる意味を失うものだ。二人も少し狼狽えている。
だがそんな中、一人だけ全く違う反応をした人物がいた。
「えー!光樹の世界じゃ、私たちゲームになっているんだー!!しかもそのタイトル、やっぱり私が主人公?いやー、主人公だなんて照れるなあ。」
ネプテューヌである。やはり他の人とは何か感性が違うのだろう。だがそんなやつが一人でもいると少し気が楽になる。こんな時に落ち着けると緊張感がほぐれる。
だがそこまで喜ぶのは自身が主人公というからだろう。…でもネプテューヌだったらどんな役でも喜んでいた気がする。
しばらくネプテューヌがカメラ目線を気にしているところで、イストワールがコホン、と声を出してネプテューヌを制する。
「そういうことだったんですか…分かりました。あなたが別次元の方であることは理解したので…。」
「じゃあ…ここに?」
「はい、しばらくここで保護…というより、ネプテューヌさんの説明から教会の職員として採用、教会に住み込みという形になりますが、よろしいでしょうか?」
「はい!それで大丈夫です。」
その返事を聞いて安心する。敵扱いされないか少しひやひやしていたこちらにとってはこんなにうれしいことは無い。
「では、空いている部屋にご案内しますね。」
そういってイストワールが机の上から浮かび上がる。
「やったねー、光樹!」
「良かったですね、光樹さん。」
「ああ、危うく路地裏生活になるかと思ってた。」
そんな冗談交じりな言葉を返し、光樹はイストワールの後についていく。
♦
イストワールに案内された部屋は先程までネプテューヌたちと話していた階と同じ階にある部屋だった。
「すみません、現在この部屋しか空いてなくて…。」
「問題ないですよ、少し埃かぶってるみたいですけど、明日あたりに掃除すれば大丈夫でしょう。」
イストワールの言葉にそう返す。ドアには「空き部屋」と書かれている。中にはベットが1つと鏡が1枚、本棚が3つ、それから古そうな機械が置かれていた。
と言っても本棚にあるのは漫画くらいだし、機械もどうやらゲーム機のようだ。…つまりこの部屋、ネプテューヌの私物置場なのだろう。まあ俺も漫画とかゲームとか好きだし、別にいいのだが。
と、イストワールが行った後で、渡されていたパジャマの方に目を向ける。パジャマはプラネテューヌらしく紫と白のチェック柄だった。少しおばあさんっぽいというのは言ってはいけないだろう。
「今日は疲れたな…もう寝るかな。」
そう思い、上着を脱ごうとしたその時、チャリン、と何かが落ちる音がする。
「ん?なんだ?」
見るとそこには銀色の板状のものが2枚、チェーンに繋がれていた。それは自分の好きなアニメの漫画で見た「ドッグタグ」であった。
「なんで、こんなのが…?」
そこでふと鏡の前に立ってみる。ドッグタグを見てもしやと思ったのである。そしてあることに気づく。
「この服…ソレスタルビーイングの制服に似てる…?」
そう、今光樹が着ていた服は細部こそ違うものの、「機動戦士ガンダム00」の機動兵器、「ガンダム」を使う組織「ソレスタルビーイング」の構成員の着る制服に似ていたのだ。
違う部分としてはズボンが薄い青と白ではなく白一色であること、そして大きな違いとして上着であるジャケットがジッパーで留めて着るタイプになっていることと丈がオリジナルより長いことである。ジャケットの色は黒と白、それに赤のラインが混じっている。
「まさか、俺軍隊に入ってたのか?」
そう言いながらゆっくりとドッグタグを見る。英語で書かれているようだ。上から名前、生年月日、性別、血液型、所属組織、階級と書かれていた。
名前は『KOUKI WATO』和藤光樹。次に生年月日『July 19』7月19日。性別『Male』男性。血液型『O』O型。うん、合っている。
そして問題の部分に差し掛かる。所属組織『GKSWAXP』。
…?なんだこの組織。普通は自衛隊とかの単語が書かれているのではないのか。確か自分が覚えている中では自衛隊はあったはずだ。ということはこの組織は一体…。
だがそれだけを考えていても何も解決しない。最後の項目に目を向ける。
階級『Total commander』。
…英語が読めない。少なくともTotalが総合、commanderが指揮官という意味だったはずだ。つまり総指揮官ということだろうか。なんかすごい気がする。いや指揮官ということは、部隊を持っているということだ。
というか自分は学生なのになぜ軍隊なんかに入っているのか。それが問題だ。常識的に考えて学生が軍隊に参加なんて第日本帝国時代の学徒動員ではないのか。
だがそこで妙な違和感を感じる。
(あれ、なんか俺忘れてるような……?)
若干頭に痛みを感じる。何かを思い出そうとしているのか。
しかしそんなことを思っていても解決したりはしない。
そう思ってすぐにパジャマに着替える。そして電気を消し、ベットに入る。
とりあえず風呂は朝一番に入ることを考えながら寝入った。
TO BE CONTINUED
いかがだったでしょうか。
今度の更新は土日のどちらかになります。多分日曜日になる可能性が高いです。
それから少し報告を。前回、アンケートを実施したのですが、全く来ませんでした!(笑)
感想の方だと「コメント稼ぎ」になるのでメッセージの方に誘導していたのですが…駄目だったか。
というわけなので、今回はTwitterの方で取ろうと思います。アカウント名は「藤和木弘」、つまり私のペンネームそのままです。
一応、作者の名前のところをクリックすると出てくるプロフィールの所で私のTwitterのアドレスがあり、クリックすればページが出てくると思います。
アンケート内容は以前と同じです。
ツイートしておくのでリツイートしていただければ、アンケートの集計が出来る…のか?
出来なければ手動集計するだけです!
それでは、長くなりましたが、次回もお楽しみに!