新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結) 作:藤和木 士
第23話投稿です。
今回はネプギアがとあるデータを発見する所までの話です。
オリジナル要素が少ないですが、所々で光樹の元の世界の覚えている範囲での解説が入ります。
では本編どうぞ。
「ふわぁー…。大体朝、かな?」
大きな欠伸をしながら、体を伸ばす。床に寝そべって寝ていたため、少し背中が痛かった。しかし、寝れるだけいいものだ。気にしないことにする。
光樹は寝ていた部屋を出る。寝るときに脱いだジャケットに手を通しつつ、歩く。
とりあえず、ネプテューヌ達が寝ていると思われる部屋の方に向かっていく。
昨日、光樹は給水タンクを利用したシャワーを浴びた後、明日に備えて寝ることにした。その際、光樹はネプテューヌ達とは別の部屋で寝ることになったのだ。理由はネプギアとうずめが、男の人と一緒に寝るのはちょっと…ということだった。
…まぁ、三人共結構きれいな部類に入るし、俺も思春期の男子だ。そこら辺は理解していた。
とまあ、そんな話をしている内にネプテューヌ達が寝るのに使用した部屋の前まで来ていた。一応、ボロいが鉄製のドアで部屋は閉じられている。光樹は部屋のドアノブに手を掛けたあたりで、少し考え込む。
(ちょっと待てよ…。こういう場面で、大抵男がドアを開けたとき、なんか気まずい雰囲気になること無くないか?)
そんな心配がよぎる。いや、考え過ぎなのだろうが、どうもネプテューヌという世界はそんなことが起きてしまう気がする。ゲイムギョウ界では、常識に捕らわれてはいけないというのを思ったことがあるくらいだ。
そこで光樹はドア越しに耳を当て、中の様子を探る。すると、ネプテューヌ達の声が聞こえてくる。どうやら、すでに起きていたようだ。安心と同時に、更なる不安が心の中に過ぎった。仮にももし、全員が着替えていたとしたら?そんな所に入っていけば、確実に殺される。棺桶モビルポッドのボールでキュベレイと戦うようなものだ。
そんな事を考えていると、胸の辺りから機械音声が響く。
『何をしている。とっとと入ればいい。』
それは、ゼロの声だった。その率直な意見は確かだ。何も恐れずに、立ち向かわなければならないと、昔の誰かが言っていた気がする。
覚悟を決めた光樹は、ドアノブに手を掛け、声を出す。
「光樹だ。入るぞ。」
声が返ってくる前に、ドアを開ける。いわゆる声かけだ。これならある程度は事故っても大丈夫…なはず、そう思う。
「あっ、光樹さん。おはようございます。」
部屋に入ると、ネプギアがそれに気づいて声をかけてくる。他にもネプテューヌとうずめもいる。どうやら、俺が一番遅く起きたらしい。
そこで、光樹は言葉を返す。
「ああ、おはよう。で、三人集まってどうしたんだ?」
すると、ネプギアがそれに答える。
「はい。実は、これから街の見回りに行こうと思ってたんです。」
「見回り?」
光樹は疑問を浮かべる。わざわざ見回りする必要があるのだろうかと思う。
すると、そこでうずめがその疑問に返してきた。
「デカブツは倒したけど、まだ凶悪なモンスターが居るかもしれないだろ。また避難した連中が戻って来た時に襲われないように、目立つ奴だけ倒しておこうってことだ。」
「なるほどな。それにネプテューヌ達も同行するってことか。そういえば、うずめは街の構造とか知ってるだろうけど、ネプテューヌ達は知らなくないか?俺もそうだけど、分散して行動したらどうするんだ?」
それにはネプギアがそのことについて説明し始めてきた。
「それなら大丈夫です。さっきNギアをネットに繋いで、公的なネットワークにハッキ…じゃなくて、接続して地図データを見つけたんです。今はアプリで修復しています。」
その事に少し驚いた。もちろん、ハッキングの事にではなく、ネット環境に接続したという事についてだ。
昨日この世界に来た時とここで寝る直前に一度ネット通信をしたのだが、どちらも失敗していた。ゼロ曰く、やはり通信回線が弱すぎるのが原因とのことだ。後者の時は、更にこちら側の受信強度を強めたが、それでもサーバーに接続することは無かった。
そんなことをしたせいか、起きたときには体に疲れが残っていた。よくよく考えると、昨日はかなり変身していたような気がする。リーンボックスの技術員から多用はしないようにと言われていたのに、これは駄目だな、と思う。
そこで光樹は、ネプギアのNギアのところから、コードが伸びているのに気づいた。それにより、なぜネプギアのNギアがなぜサーバーに接続出来たのか、理解した。有線接続で直接ネットに接続したのだ。ゲームでも有線の時と無線の時では有線の時の方が、通信回線は良い。
「そうか、なら後で俺にもその地図のデータ分けてくれないか?」
「はい、いいですよ。」
光樹の頼みにネプギアは喜んで返事を返した。
そうとなると、光樹だけがここに残るというのは退屈だろう。ならば自分も、うずめ達に付いて行って見回りをした方が時間も潰せるだろう。
「よし、なら俺も見回りに行くか。」
「おっ、光樹も行くんだね。じゃあみんなですぐに行こう!」
ネプテューヌの声が響いたのち、光樹達は出発を整えていく。
道中、ネプギアが突然こんなことを言い始めた。
「あの、うずめさんが腕につけてるの、ヴィジュアルラジオですよね?」
「ヴィジュアルラジオ?」
「よく知ってるな。どうだ、スケルトンボディでカッコイイだろ?」
それを聞いたうずめが、笑顔を見せながら腕の端末を見せてくる。透明で中の部品が見えていて、その構造がよく分かる。
が、よく見ると、それはかなり古くなっているのが見て取れた。長く使っているのだろうか。
「はい、カッコイイです!」
ネプギアは答える。
と、そこでうずめがある疑問を出してきた。
「…ん?まてよ。なんでぎあっちがこれを知ってるんだ?」
そういえばそうだ。なぜネプギアがこの次元の物と思われるそのヴィジュアルラジオを知っているのだろうか?
すると、ネプギアはとある事実を述べた。
「私たちの国でも一昔前に流行ってたんです。」
まさか、ネプギア達の住むゲイムギョウ界でヴィジュアルラジオがあったとは…。光樹はネプギアにその一昔前について聞く。
「本当か?どれくらい前だ?」
「それが、今は製造していないので、私も実物を見るのは初めてなので、どれくらい前かは分からないです。」
「そうか…。」
それを聞いて少し気落ちしてしまう。だが、分かったことがある。それはネプギアが生まれる前にそれが作られたという事だ。
女神は不老であるというのは光樹も知っている。だがネプギアはもちろん、ネプテューヌもイストワールからの話によると、2、30年以内に生まれたらしい。(この辺りはなぜか記憶が曖昧とのことだ。)
その前に生産、中止された物をうずめが持っていることと、昨日うずめが俺たちのゲイムギョウ界が海の向こうにあるのでは、という話から推測されるのは、それ程昔からうずめが生きていて、更にそのヴィジュアルラジオが何らかの形でうずめの手に渡ったという事だ。
それを確かめるべく、光樹はうずめに聞く。
「なあ、うずめ。そのヴィジュアルラジオはどうやって手に入れたんだ?」
「ん?手に入れたっていうか、元から持ってたぜ?」
「え?元からなのか?」
「あぁ。最初の記憶があるときから身に着けてたんだ。使っていく内に色々と覚えたんだ。」
その答えを聞いて唸る。そうなると、うずめはそんな昔に一度ゲイムギョウ界を訪れたのだろうか。
そんな事を考えていると、うずめがネプギアに言う。
「けど、女の子なのによくこんなの知ってるな。もしかして、ぎあっちは機械とか好きなのか?」
すると、ネプギアは目を輝かせながら答えた。
「はい、大好物です!」
「はははっ。大好きじゃなくて、大好物か。よっぽど好きなんだな。」
そう言うと、うずめは腕に着けていたヴィジュアルラジオを外しながら、再び言う。
「なら、貸してやるから好きなだけ見ろよ。」
「いいんですか!」
ネプギアは喜ぶ。それに答えるようにうずめは答える。
「特別だぞ?こいつは俺の宝物だから本当なら誰にも触らせないんだが、ぎあっちはこいつの良さをわかってるみたいだからな。ほらよ。」
「わあ!ありがとうございます!」
うずめから手渡されたヴィジュアルラジオを、ネプギアはすぐに色々調べ始める。本当にうれしそうなので、こちらも少し笑ってしまう。
そんな風に思っている光樹には気にせず、ネプギアはうずめに色々と聞いていく。
「これって、ゲームのセーブデータを保存できたり、ミニゲームも遊べるんですよね!」
「それだけじゃないぜ。その名のとおり、ラジオも聴けるし、短距離だが無線通話も可能だ。あと、有線でネットができる端末に繋げば、外でもこいつでネットが楽しめるすぐれものなんだ。」
「すごいな…。あれ、なんか俺の世界でも、なんかそれに近いものを見た気がするな。」
光樹の記憶の隅には、確かにそれに似たものが、あった。しかし、何だったかはよく覚えていない。こういう時に記憶喪失は本当に厄介だ。
そう思っている間に、ネプギアはその機能を聞き、嬉しそうに驚く。
「凄い!凄いですよ、うずめさん!いいなぁー。これ、どこかにまだ残ってたりしないんですか?」
ネプギアがそう言う。おそらく、自分の分として一つ欲しいのだろう。
だがうずめは少し首を傾げながら、言った。
「んー…。特に見かけたことはないな。けど、もし見つけたらぎあっちに教えるよ。」
それを聞いてネプギアは「見つかるといいなぁ!」と祈るように手を合わせる。
その喜びようを見てうずめは笑顔で言葉を返す。
「やっぱ、こういうのは価値のわかるやつが持たないとな!」
そんな感じに喜んでいる所に光樹はあることを言う。
「それはいいけど、目的忘れてないか?」
『あっ…。』
二人はそれに気づき、話に加わっていなかったネプテューヌ共々、真面目に向かうのであった。
♦
「ふぅ。気になるのは、こんなもんか。思ってた以上にねぷっちと光樹も戦えるんだな。特に光樹。」
「ふっふーん。まさに、能ある鷹は爪を隠すってやつだよー。」
「特にってなんだよ…まぁ、実際ここまで戦えている自分が驚いているんだけどな。」
俺の言葉に、ねぷっちは自慢げに、光樹は少し気を落としながら、答える。
四人で分散して倒し回ったので、きつかったがそれでもかなりの数を減らせたはずだ。これなら、避難した連中が戻ってきても大丈夫だろう。
と、そこでぎあっちだけが帰ってきていないことに気づく。
そこで二人にぎあっちがどこに行ったか聞く。
「ネプギアなら、向こうの広場近くにいたのを見たぜ?行ってみるか?」
光樹がそう答える。居場所は分かったが、何をしに行ったのだろう。あっちは固定電話くらいしかない。
そんな風に思いつつ、うずめは声を返す。
「そうだな。もうこれだけ倒せば大丈夫だろうし、迎えに行こうぜ。」
「うん!」
ねぷっちの声が響き、俺たちはぎあっちを探しに向かった。
♦
「…はぁ。」
私は溜息をつきながら、Nギアを操作していた。
Nギアからは、コードが伸びている。今は近くの固定電話の回線を利用してネットに有線接続している。
電波が悪いせいで、こうしなければ接続できないというのはきつかった。
「外でネットするには公衆電話に有線で繋がなきゃいけないなんて不便だなぁ。いっその事、無線の装置作って街中に設置しちゃおうかな…。」
一応、部品があればそれを作ることは可能だ。うずめさんの拠点の地下のあると言っていた開発室で作れるはずだ。
と、そこでネプギアは本題の方に頭を切り替える。今はあるデータを手に入れていた。
「って、今はそんなことしてる場合じゃないんだった。ハッキングして見つけたこのデータを調べないと。」
すぐにネプギアは、そのファイルに入っていたデータを開く。
「えー…と、なになに。」
すぐに内容に目を通し始める。日記のようで、内容は以下の通りだった。
1ページ目
『にっき 11がつ 27にち □□□□□□のきょうかいで □だいめの あたらしい □□がたんじょう。』
2ページ目
『□□がつ □□にち うまれたばかりの □□を わたしたちは □□□ と名づけた。』
3ページ目
『□がつ □にち □□□が あらたな ちからを おぼえる おぼえた ちからを □□ とよぶことに』
4ページ目
『1がつ31にち □□□の □□が つよすぎる ダメだ… □□□にも わたしにも てにおえない!』
それを見終わり、ネプギアはうなずく。
「…記憶はこれで最後みたい。もしかして、この国がこんな廃墟になった原因なのかも。」
そう思う理由は二つあった。一つは前半の内容、誰かが生まれたという事。そしてもう一つの理由は、後半の内容だ。何かの力を手に入れたというのに関連して、おそらくその力が、強すぎるという記述から暴走したのだろうか。
とにかく、この続きを見た方がいい。何か分かるかもしれない。
「…うん、調べてみよう。」
そう判断したネプギアはすぐにNギアを操作して、更にデータを集めようとする。
が、そこに聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「おーい、ネプギアー!そろそろ帰るよー!」
「あ、お姉ちゃんが呼んでる。」
それはお姉ちゃんの声だった。見るとお姉ちゃんだけじゃない。光樹さんやうずめさんもいる。どうやら、あっちは目的のモンスターの掃討は終わったみたい。
よくよく考えると、私は付いてきたものの、全然戦闘していなかった。でも、一応皆さんには私の方の目的…廃墟に残ったデータをハッキングおよびサルベージで集めることは伝えてあるので、大丈夫なはずだ。
…あれ、よくよく考えると、私、道中で見せてもらったヴィジュアルラジオに夢中で、言ってなかったような気が……。
「とにかく…このこと、お姉ちゃんたちに伝えるのは、もう少し確信を得てからの方がいいよね、うん。」
そう考えると、ネプギアはすぐにNギアをしまい、三人と合流した。
TO BE CONNTINUED
いかがだったでしょうか。しばらくの間は戦闘は入らないですが、あと3話くらいでまた戦闘回が入ると思います。
では次の投稿は来週の日曜日です。テストの関係でそうなりました。1週間以上待たせることになってしまい、申し訳ないです。
次回もお楽しみに。