新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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どうも、皆様ご機嫌いかがですか。この1週間近くの間、企業の研修などに参加して、くたくたの藤和木弘です。……いやぁ、もう本当に疲れましたよ…。

ジャンヌ「終わってもレポートや、企業さんからの課題も出ていましたからね……小説もあまり進んでいないようですし。どうも、皆様。研修の途中で藤和木が熱を出してしまい、心配になりましたが治ってくれてよかったと思う、ジャンヌ・ドラニエスです」

ソニア「本当ですよねぇ。インフルエンザかもと熱を出した日には心配でしたが無事に治って……。ひとえに、ジャンヌさんの献身のおかげかもしれませんねっ!どうも、皆様。研修中は私達も藤和木さんの研修風景を見ていました、ソニア・A・ワスプです!」

ジャンヌ「そ、ソニアさんっ!?……そう言われると、少し照れちゃいます……フフッ♡」

そんな発言を意識もせずに言えるとは流石としか言えない……。ま、まぁ、そのおかげもあるかもしれませんが。それでは今回は第148話の投稿です。

ソニア「え?何の事ですか?」

うん、ソニアは気にしなくていいと思うよ……。むしろ気にしたら負けだと思う。

ソニア「?」

ジャンヌ「それよりもっ!今回のお話は前回からの続きで、光樹さんの大活躍が予感されるお話ですねっ」

そうそう。ちょっと新しいアイテムというか、装備も出てくるから、楽しみにしていただけるといいかもですよ。

ソニア「流れるように繰り出す……慣れた、技……私もそんな風に噛まずに言えるようになれたらいいんですが……」

ジャンヌ「それは練習あるのみですねぇ……光樹さんが前話で光の球体から得たアドバイスで、どこまで戦えるのでしょうか?」

それでは本編へ!



第148話 流れるように繰り出す、慣れた技で…

 ギリギリの所だった。目が覚めつつあった時点で絵里奈のR-ZXに対して攻撃が放たれるのを見てマズイと感じた光樹は無意識に飛び出そうとした。トランザムとドライブモードを再始動させて割り込むつもりではあったが、それでも速度が足りない。それでも光樹は諦めずに完全に覚醒しきっていない脳で必死に体に、機体に命令を下した。

 とはいえ、まさかそれに応える形でDAIモードが再起動を行うというのは予想外の事であった。飛び出す最中に機体の各部が展開したことに意識が戻り始めた光樹は気づいていなかった。急に早くなったところで少し手の距離が長くなったということでようやく気付いたくらいだ。

 だがDAIモードを起動したゴッドクロス……ゴッドクロス・ダイでなければ、あの状態から絵里奈に迫る攻撃を防ぎ、救うことは出来なかっただろう。それを含めれば間に合ったのはまさに自分の限界を突破し、ZEROにDAIモードの再解放をさせた光樹の強い意志があったからこそ、であろう。

 ANフレキシブルアームデストロイブレイカー「ディメンションブレイカー」で受け止めたビームの槍を、ビームを纏った手で捨てる。攻撃を当てることが叶わなかった光の槍はそのまま消失していく。投げ捨てたところで光樹はワレチューと向かい合う。

 

「………………」

 

「ぢゅぢゅうぅぅ……」

 

 互いににらみ合う硬直状態。そんな中、後方から絵里奈のところまで集まってきていたパープルハートとビーシャがこちらに声を送る。

 

「光樹!絵里奈を助けたのね」

 

「その姿って、確か、DRXを救った時の……」

 

 2人の言葉に答えたい気持ちはある。だが、それよりも今は現状の説明が欲しかった。光樹は構わず、全員の状態を聞き出す。

 

「パープルハート、絵里奈の状態は?それにみんなも」

 

「光樹……。私は大丈夫よ。絵里奈の方は……立てる?」

 

「は、はい……。光樹君、ありがとう……!」

 

「わたしも大丈夫!DRXは?」

 

「あぁ。俺も、まだまだ戦えるぜ!このくらい、まだ戦え……っ!……るぜぇ!」

 

 光樹からの問いかけに対する返事は、全員速かった。その声に安心すると同時に、少し不安を感じる。生身であるパープルハートとビーシャは体力を回復アイテムで回復できる。だが戦闘能力の残存を機械という外部の存在に頼る絵里奈とDRXは修理をしなければ回復できない。特にDRXはロボットであることから内部機構の破損状況で状況が違ってくる。

 しかし、光樹の中に、試してみたいことがあった。それは、光樹が完全に取り戻した、中学生時代のガンダムの機能。

 

「分かった。けど、DRXと絵里奈はこれを使っておいてくれ」

 

 光樹は腕部クロスビームボウガンから手元にデータを実体化させる。そこには「リカバリー500」と書かれたパックパーツが2つあった。それを2人にそれぞれ投げ渡す。

 

「おっと!?……光樹、こいつは……?」

 

「!これ緊急時のリカバリーパックだよ!!機体の損傷を修理するやつ!」

 

「へぇ、便利だな……」

 

 首を傾げるDRXに絵里奈が教える。そう、これは機体を修理しなければ破損したまま戦うことが考えられるMP・NPの損傷をある程度回復させることのできる、「リカバリーパック」というものだ。

 元々はSSRシリーズのガンダムが当時持っていたリカバリーカードというSSRのみの回復機能だったのだが、現在では機能を解析し、機体の応急修理パックとして全MP・NPの標準装備となっていた。

 だが、それは同時に絵里奈の機体にもあるということだ。絵里奈もそれを指摘する。

 

「けど、これ使ってもいいの……?私の分ならあるし……」

 

「いいんだよ。元々MPの方に500ほどの容量を積める余裕はなかったと思うし。場合によってはその分は取っておいた方が良いかもしれないからな」

 

「光樹君……うん!」

 

 光樹からの「遠慮するな」という意味の言葉に絵里奈も受け取る姿勢を見せる。それを見届けて光樹はワレチューの方に目を向ける。またいつ、攻撃を仕掛けてくるか分からないからだ。

 これだけ便利な機能ではあるが、ここで問題が2つあった。1つは元々からある問題で、どこまで回復できるかは損傷次第、ということだ。今回出したのは最大回復可能範囲の半分である500。1000は残念ながら現在切らしていた。そのため2人の損傷を満足に回復できるかどうか分からなかった。そしてもう1つはDRXに果たして効くか、ということだ。中学3年間の記憶の中でリカバリーパックを外のロボットに対し使ったことがなかったのだ。

 それら2つの問題を心の中で心配する光樹。だが、その心配は杞憂となる。

 

「それで、どう使うんだ?」

 

「損傷部位近くで潰せばいいんだよー。こんな風に、ねっ!」

 

 絵里奈が損傷部位の近くでリカバリーパックを割る。損傷部位は右胸部から腹部に駆けての部分と左肩装甲部分だ。そのため間に当たる左胸部の部分で割ると、中から出てきた光の粒子がたちまち損傷箇所に向けて伸びる。二手に分かれた光の粒子はすぐさま損傷箇所を覆いだす。

 そして瞬く間に絵里奈のR-ZXの損傷箇所は回復した。それもほぼ完璧に回復していた。元々NPを回復させるだけの損傷修理用マテリアルだったため、MPならば全回復したのだ。

 それを見て、DRXの方もすぐさま損傷部である腹部でパックを割る。

 

「おお、すげぇな!なら俺も……!ちょ、ちょっとくすぐったいが……痛みが引いていくぜ!」

 

「本当ね!機体装甲が完全に修復しているわ!」

 

「これなら継戦出来るぞ」

 

 その修復能力にR1はおろかR2、R3も驚きの声を漏らす。どうやら回復は成功したようだ。

 光樹が安心するも、その隙を狙って、ワレチューが攻勢に出る。スラスターを吹かせ、尻尾の先から電撃を放ちながら接近を行ってくる。

 

「ぢゅぢゅうううぅぅぅっ!!」

 

「来たわっ!!」

 

 パープルハートが全員に注意を促す。だが、ここで簡単に崩れる光樹達ではもうなかった。それに一番に対応したのは、意外にもビーシャだった。

 

「もう好き勝手にはやらせないよっ!「マルチブラスト」、全弾発射ー!!」

 

 両腕にゴールドサァドの力で分身させたバズーカを構え、一斉に発射する。それらの弾丸は電撃によって本体には当たらなかったものの、ワレチューの進行速度を抑える。それどころか、電撃を押し返してしまったのだ。

 そこで更なる追撃を行う。パープルハートと光樹はバズーカが撃ち終わると同時に突撃する。光樹が真っすぐワレチューに突っこみ、パープルハートは回り込みながらの接近だ。まず攻撃したのは光樹だ。機体のウイングスラスターを全開にして一瞬でワレチューの懐に飛び込む。

 

「ぢゅ……」

 

「遅いっ!!」

 

 ワレチューが驚きの声を漏らす前にその胸部を思い切り拳で殴りつける。殴りつけた衝撃が空気を振動する。空気をも振動させるゴッドクロス・ダイの一撃だが、それに続けて回し蹴りがワレチューの顔を直撃し、吹っ飛ばす。

顔を思い切り蹴とばされ、ワレチューは瓦礫の山に激突する。だが起き上がる前に光樹とパープルハートが攻撃を放つ。

 

「パープルハート!」

 

「えぇ!三十二式……エクスブレイド!!」

 

 パープルハートの声と共に、上空に光の剣が生成される。光樹の方も回し蹴りの終わり際から、そのまま「ミドガルズ・オルム」の発射態勢を取る。銃の形をとった手の先に、次元の力が収束する。

 そして、2人の攻撃が同時に放たれる。

 

『いっけぇぇぇぇーーーー!!』

 

 上空と地上からの二面攻撃は寸分狂わずワレチューに直撃する。丁度瓦礫から顔を上げたところで、攻撃は顔面を直撃。そのまま顔面部で爆発を起こす。

 爆風が光樹達に吹く。更に砂埃が戦場を舞う。この状態ではどちらも視認不能で、攻撃は仕掛けづらい。

 だが、そんな状況に構わず、攻撃を仕掛けた者がいた。煙の中から飛び出してくる、黒いネズミ……ワレチューだ。

 

「ぢゅぢゅぢゅぢゅううううーーーー!!」

 

 電撃で砂塵を弾き飛ばしながら光樹に向かっていく。その光景を見て、機体損傷を回復して武器を構えなおしていた絵里奈が叫ぶ。

 

「光樹君!危ないっ!」

 

 近づいてくるにも関わらず、光樹は絵里奈の声に耳を貸さないように立ち尽くす。だが、実際は違った。光樹は待っていたのだ。攻撃を通す、その瞬間を。やがて電撃が光樹の方に伸びる。

 

「光樹君っ!!」

 

「……大丈夫さ」

 

 絵里奈に対し、通信回線を開いてそう呟く。すると、電撃が直撃すると思われた瞬間、光樹の機体が大きく前方に倒れる。そのまま地面に着くことはないその姿勢で電撃を避ける。狙ったような避け方に、ビーシャとDRXが驚く。

 

「えっ!?何その避け方!?」

 

「姿勢を低くしつつの回避……これなら、すぐに攻撃に」

 

 DRXの1機、R2の言葉通り光樹は傾いた姿勢から前に足を踏み出す。そして地面を蹴り上げると同時にウイングの出力を最大まで高めて、一気に放出、加速する。

 初速を上げての突撃に対し、再びワレチューの電撃が迫る。だが、こちらの方が突っこむスピードが速い。加えて、光樹の方も電撃の流れに対応していた。迫る電気の柱と網に対し、機動力だけで回避していく。

 攻撃を避けていくうちに分かる。確かに瞬間的な攻撃は早い。けど、よく見れば当たりはしない。それに必ず電撃を放つ前にはワレチューの尻尾に電気が走る。それを見た上でなら、回避も容易だ。

 その言葉の通り、光樹は迫りくる電撃をすべて回避し、懐まで飛び込む。だが、そこでワレチューも不意打ちを仕掛ける。突如電撃を放出するのをやめ、代わりに力を溜めて一気に尻尾を突き出してくる。唐突な、かつ狙い澄ました一撃は流石に光樹も避けきれない―――

と思われたが、その攻撃を光樹は瞬発的に避ける。

 明らかに当たると思われた一撃を、光樹は避けてしまったのだ。それを見ていたパープルハート達も目を見張る。

 

「あれを避けた!?」

 

「光樹君……今までの動きと違う……まさか、記憶が?」

 

 絵里奈の言う通り、光樹は記憶を取り戻していた。鈴や絵里奈達と共に戦った、中学3年間の記憶だけではあるが、日常も戦い方も思い出していた。その影響で、光樹は先程の攻撃に思考よりも先に体が動き、攻撃を回避するに至ったのだ。

 光樹を狙った尻尾の4本はそのまま空を通り抜け、地面に突き刺さる。手ごたえがないことでようやく避けられたことに気づいたワレチューは残った部分から電撃を放電する。不意の後ろからの攻撃。だが、今の光樹にはそれは通用しない。光樹は後ろの様子を映すカメラに自然と目を向けて、攻撃をウイングスラスターの噴射で回避する。回避したところでそのまま敵の顔面を殴りつける。流石に口でそれを捕らえるなどという芸当は出来なかったのか、攻撃はそのまま通り、ワレチューは大きく吹っ飛ばされる。

 次元の拳で殴られたワレチューは何度か地面を転がって、途中で停止する。顔を抑え、頭を振る。ワレチューにダメージが重なりつつあったのだ。

 そろそろ決めに掛かった方が良いかもしれない。限界を超えたゴッドクロス・ダイと言えども、DAIモードの制限時間はもう残り25秒ほどだ。このまま戦っていたら、先にDAIモードの時間の方が尽きる。

 制限時間を考慮し、光樹は全員に提案を入れる。とはいえ、提案というよりは、頼みであったが。

 

「みんな、今しかない。もう一度全力攻撃を!!」

 

「よっし、了解だよ」

 

「光樹?……あぁ、承知した!!」

 

 その声にビーシャとDRXがすぐに反応する。2人ともあまり深く考えないタイプのため、すぐに返事をする。一方のパープルハートと絵里奈も事情を察して答える。

 

「意外ね。もう少し削ると思ったのだけれど……」

 

「たぶん制限時間だね。分かったよー、私の全力、ぶつけちゃうよ!」

 

「なるほどね。なら、この一撃にすべてを賭ける!!」

 

 パープルハートが機械刀を構える。その刀にシェアの光が収束していく。大技の準備だ。そして、攻撃は開始される。まずは、ビーシャの攻撃からだ。

 

「いくよっ!とうっ!!」

 

 背部の球体ユニットのスラスターを吹かせ、ジャンプと共に大きく飛翔する。バズーカもサイドグリップを展開し、バズーカを保持する手とは反対の手でそれを構える。如何にも大技を放ちそうな構えだ。

 最高到達点となったところで、ビーシャはバズーカから、最大火力の必殺技を放つ。

 

「バズーカモードスキル!いっけぇ、アトミック・オーバーバズーカ!!」

 

 バズーカより実体の弾頭が放たれる。速度は遅いが、ワレチューとの距離をすぐに縮めていく。そのまま意識をはっきりさせようとするワレチューに弾頭が直撃する。すると、その弾頭が光を放って大爆発を起こした。

 爆発は、今まで放った攻撃の余波全てよりも規模が違った。そして、強烈なまでの光と爆風が見ていた者達を襲う。

 まるで、核爆発のような爆風が収まると、爆心地にいたワレチューの姿が明らかとなる。その体に存在していた装甲にすすなどが大量に付着していた。それを掃ってワレチューが吠える。

 

「ぢゅ……ぢゅうううぅぅぅ!!」

 

 しかし、当然これで終わりではない。既に他の者が次の攻撃態勢に入った。次はDRXの攻撃であった。呼び寄せたDRXの支援機であるRマグナム・レイが銃の形態へと姿を変えていた。それを手に持ち、エネルギー充填を完了させたDRXはアトミック・オーバーバズーカの余波が終わったところで続けざまに放つ。

 

「いけよ、次元無敵の、一発必中砲!!」

 

 DRX最大の一撃、「限界突破一発必中砲」を繰り出す。大出力の一撃は、ワレチューを撃ち抜き、連続した爆発をワレチューの纏っていた装甲に生じさせる。装甲の溶解がさらに目立っていく。

 だが、連携攻撃はまだまだ続く。今度はエネルギーを溜めていたパープルハートと絵里奈のガンダムが相手となる。パープルハートは腰だめに機械刀を、絵里奈は上段からの振り下ろしの構えでANZXアームズ・セイバーモードをそれぞれ準備していた。そしてDRXの攻撃が終わったところで、2人は同時に溜めていた力を解放する。

 

『行く(わ)っ!!』

 

 2人の合図と共に、それぞれの剣に光が凝縮される。それぞれ圧縮されたシェアエナジーとAN粒子が一回りはおろか、二回り以上の大きさを誇る光剣を形どる。

 圧倒的なまでのエネルギー剣「オーバーライトブレイド」と「限突至煌剣」。2つの刃が、2人の使い手と共にワレチューの方に向けられる。スラスターを全開にして一気に距離を詰める2人。続く攻撃に対応できないワレチューからの妨害なく、攻撃が届く範囲にたどり着いたところで2人の剣戟が炸裂する。

 

「せぇい!!」

 

「たぁ!!」

 

 パープルハートが横から、絵里奈が上から放つ一閃を繰り出す。剣の軌跡が十字を生み、ワレチューに大ダメージを与える。2人の同時攻撃がワレチューを中心に爆発を生む。攻撃を終えた2人は、そのまま距離を空ける。

 次々と繰り出されていく大技。それらはすべてワレチューにとって脅威の一撃となっていた。ワレチューが肩で大きく息を吐いていた。

 

「ぢゅ……ぢゅ……ぢゅううぅぅ……っ!」

 

 姿勢を維持するのに精一杯となっていた。だが、ワレチューもこのまま終わるわけではないようだ。尻尾を分割して4つにすると、電撃を間に形成する。更にワレチューの口も大きく開き、ビームのエネルギーを集中させる。その攻撃は、先程絵里奈達にダメージを与えた砲撃だ。雷撃のようなビーム「ボルテックス・フルバースト」の発射態勢を整えていた。

 だが、光樹もまた攻撃の準備は整えていた。ウイングユニットを後方に向け、両腕部を拳の形にする。その手には、既にAN粒子と次元力を大量に込めていた。制限時間内に、一発で決められるだけの粒子を込めて。

 そして、2つの影は同時に動く。

 

「ぢゅぢゅううううううぅぅぅぅぅぅぅっっっ!!!!」

 

「………………!」

 

 ワレチューの口部から圧縮された高出力ビームが放たれる。雷のような軌跡を描くそれは、地面を抉りながら光樹のゴッドクロス・ダイへと伸びる。光樹の方も、その中に向かって突撃する。次々と迫る雷撃ビーム。だがそれを光樹は肩と脚部のスラスターの噴射で回避していく。今までのような最大出力での回避ではない。スラスターの噴射制動が以前よりも無駄なく行われていた。

最小限の動きでの回避で光樹はワレチューをその拳が届く範囲に収めた。懐に飛び込まれたワレチューは足掻きと言わんばかりに砲撃の中で両腕部を光樹に打ち付けようとした。だが、その前に光樹がゴッドクロス・ダイの拳をその胸部に打ち込む。強力無比な、その機体の十八番とも言える技を。

 

 

 

 

「ディメンション…………ツインナックルッ!!!!」

 

 

 

 

 ワレチューの胸部をゴッドクロス・ダイの両腕部が強烈に打ち据える。打ち込まれた拳の影響で衝撃波が横に発生し、打ち込んだ方向の空気をも振動させ、ワレチューの胸部を大きくへこませる。へこんだ直後、装甲に亀裂が生じる。亀裂は徐々に大きくなっていく。

 その過程で、光樹のゴッドクロス・ダイのDAIモードが解除される。緑色の光が消失し、装甲が変形を始める。

 

 

 

 

 だが同時にワレチューが纏っていた装甲が、完全に破壊される。

 

 

 

 

「ぢゅ……ぢゅうぅぅぅ……」

 

 装甲が砕け、ワレチューは力を失ったかのように地面へと背後から倒れ込む。最初は警戒していたビーシャ達も、倒れたワレチューを見て、恐る恐る勝利の確信を得ようとする。

 

「……や、やったの?」

 

「えぇ。勝ったのよ。わたしたち」

 

「……そっか。勝ったんだ……わたし、モンスター相手に逃げなかった……んだ……」

 

 パープルハートからの勝利の報告を聞いて、ビーシャは安堵したのか、その場に倒れかける。幸い、間一髪の所でDRXが駆け寄り、その腕で抱きとめる。

 

「ビーシャ!?」

 

「大丈夫だ。多分疲れて気を失っちまったんだ……けど、まさかモンスターと戦えるようになれるなんてな」

 

「うんうん。良かったねー」

 

 取り乱したパープルハートも、DRXの言葉に一安心する。光樹もその様子を倒れたワレチューのそばで見る。一方のワレチューの方は、身体から赤黒い靄が抜け、小さな姿へと戻っていた。

 あぁ。これで終わったんだな。この戦闘も。まだワレチューやビーシャ達をああしてしまった少女とガンダムを倒してはいないが、それでもこの戦闘はひと段落だ。それに、ビーシャの方も困難を1つ乗り越えたみたいだし。

 ビーシャの周りを囲むパープルハートとDRX、絵里奈。それに集まってきていたアイエフとコンパ、鈴と勇也を見て、どこか安心した気持ちを抱く。そして光樹も、その中へと混ざりに行くのであった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。これにて猛争・武装化ワレチューとの決戦は終了となります。

ソニア「結構長く続きましたよね、今回の戦い……」

ジャンヌ「ステマックスにローゼン、それにビーシャさんやDRXさんとの戦いも続いての戦闘ですから、余計にそう思うんでしょうね。実際今回の戦いひとくくりで十数話あるみたいですから……ですが、その分戦闘は多く描けたのでこれはこれでいいのではないでしょうか」

そうですね。戦闘を多く書けたのは少し嬉しいですね。それにあまり執筆が進んでいないといっても、ネプテューヌSTORYの最終話が見えて来てはいるので、書くペースも上がりそうです。

ソニア「あ、もうすぐネプテューヌさんの物語が終わるんですね!あぁー、しばらくネプテューヌさんが見れなくなっちゃうんですねぇ……」

ジャンヌ「ネプテューヌさんだけではないですよ?光樹さん達も含めた、プラネテューヌの担当者さんはほぼ全員がしばらくお休みですから」

それにステマックスとかマジェコンヌはまだまだ別の大陸で出ますからね。とはいえ、それまで少し話が続きますから、ね。それじゃあ次回予告行ってみましょうか。

ジャンヌ「そうですね。では次回の更新はまた1週間ほど空きます。藤和木がペースを取り戻すまでお待ちいただけると嬉しいです」

ソニア「それでは皆様、次回もお楽しみくだしゃい!……か、噛んじゃいましたぁ……」

まぁまぁ、気を落とさないで。

ジャンヌ「それがソニアさんの個性というものですから」

ソニア「はうぅ……すみませぇん……」

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