新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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どうも、皆様お元気でしょうか。つい先日発売されたバトルスピリッツ最新ブースター「選バレシ者」を2Box分を買ったりガチャを回したけれど、目当てのものをほぼ全く当てられず、今回のブースターはもう諦めようかなと思っていた矢先に買った3パックのうち1つの中から、かつての相棒で今弾ぶっちぎりのトップレアである「超神星龍ジークヴルム・ノヴァ」のリバイバルを引き当て、更にノリで買ったBoxから狙いの物を2枚ほど引き当てました、藤和木弘です。説明長くてごめんなさいm(__)m

レイ「あ、あはは……本当、藤和木ってハチャメチャな展開になりやすいよね……明日から企業関連の物事が集中するっていうのにさ……。でも、それだけの運を引き込めたんだから、これはこれでいいよねっ!どうも、みんな!カードゲーマー付録カードにもなった、レイ・オーバだよっ!」

ソニア「今までの結果が散々だった分、今回はいい結果になったんですねっ!けど、小説の方もいくら企業からの宿題的な物があるとはいえ、サボってはいけないですよ?ってシエラも言ってました、ソニア・A・ワスプです」

うん、こんなに色々なことがあると、たまに体力なくなるんじゃないかなって思う。どうせなら体力ゲージ3本くらい欲しいね。そんなのは実際には無理だけど。

レイ「それ、エグ○イドから?」

それに限らないけれど?

ソニア「あはは……。それよりも藤和木さん、今回のお話の方に行きませんか?」

おお、それもそうだね。今回は第147話をお届けします。

レイ「光樹君が電撃で倒れて、ネプテューヌちゃんと絵里奈ちゃんだけとなった戦場……。2人は勝てるのかな?……っていうけど、タイトルがネタバレになってそう……(笑)」

ソニア「この流れ、いつも通りですよねぇ……。けど、リミットブレイクっていうのは気になる単語ですね」

ははは、まぁね。さて、ガンダム1機とゴールドサァド組を蹴散らす黒き猛獣を止めるのは誰だ!?本編をどうぞ!



第147話 負けてたまるか、リミットブレイク

 

 

 その時、光樹はまた光の世界にいた。オレンジハートの姿をした少女のいる「夢」の世界ではなく、光に包まれた存在のいるほうのだ。来た直後はまた前後の記憶が曖昧でどうしてと思ったが、すぐに前後の状況を思い出す。

 意識が飛ぶ直前に光樹のガンダム、シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスはワレチューの攻撃に巻き込まれた。尻尾からの電撃で動けなくなったのだ。何とかして光樹もその拘束から逃れようとゼロのコンソールに脱出するための方法を念じていた。だが、その前に敵の行動の方が速かった。自身を避雷針とした落雷攻撃には流石のゴッドクロス……というよりも、光樹の方が先にダウンする形となった。意識を保つためのダメージ許容量を超えて、結果意識を失っていた。

 まさか自分の方が先に限界を迎えるなんて。まぁ、意識があったとして、ちゃんと戦えたかは分からないが。それでも起きているのと起きていないのとでは天と地ほどの差がある。とにかく早く起きなければ……。

 すぐに頭の中で意識を覚醒させようとすることを考える。だがそう簡単に失神状態から起きることは人には難しいことだ。それよりもまたここに来たということにはまた意味があるということであった。そしてそれはすぐに判明する。

 

『久しぶりだな、光樹よ』

 

 ふと、久々の声が響く。この声を聞くのはいつぶりだろうか。確か、天が解放されたときだろうか。聴くとなぜか安心するその声する方向にはやはりあの光の球体に包まれた「それ」がいた。

 落ち着いた様子でこちらに語り掛けるその光の球体に光樹は返答する。

 

「お前は……あぁ、久しぶりだな。ここに来たってことは……」

 

 ここに来た理由を問う。光樹の問いかけに、球体の人物は答える。

 

『あぁ。お前がもう一歩、力を取り戻すための段階に達したことを伝えに来た。……もっとも、今もまた危機の真っ最中だが』

 

「そうだよな……。第一、なんで毎回こんな危機的状況の中でこの世界に呼ばれるんだよ」

 

 以前と同じような状況での呼び出しについて口にする球体に対し、光樹もツッコミを入れる。毎度毎度こんなことがあったのでは、いつかコールセンターにでも苦情がかかるだろう。……しかしながら、この世界にコールセンターがあるわけなどなく、そもそもここを利用しているのはおそらくこの球体と光樹くらいなので、苦情を言うとしたらこうきだけだろう。

 光樹からの指摘に球体は笑いながら責任を転嫁し要点を伝えてくる。

 

『それは知らんよ。そんな状況に陥るお前が悪い。……が、その時を狙ってこっちに招き入れているというのは否定しないがな。今回呼び出したのは、お前の記憶、どれだけ思い出している?』

 

「知らないとか言っておきながら意図的じゃねぇか……。って唐突だな。んー……鈴達と戦ってた時の記憶が前の時からは多く思い出してきたかな。あ、華南のことも思い出し始めてはきているな。それがどうかしたか?」

 

 光樹の記憶の中で新たに思い出しつつあったのはそれくらいだ。3人と共に戦った記憶。その戦いの記憶はいずれも激闘であり、戦ってきた相手の名前も思い出しつつあった。古代戦闘人種の「バイオレンサー」、成層圏内浮遊大陸「クロスエヌ」の種族「ザンヒューマン」、偽りの神々を使役した「イマジンズ」の面々……中には、光樹達のクローンまでいた。

 その中にはもちろん、華南の本当の父親やかつてのGKSWAXPの総司令、鳥門も含まれている。中学生という3年間の中でもそれだけの者達と戦ってきていたのだ。

 そして中学生活の最後を飾った戦いで得た、かけがえのない義妹、華南。その記憶はまだ思い出せないものもあるが、高校に上がる直前の所までは思い出せた。とても短い期間ではあったが、それだけでも華南との思い出は総司令を継いだ直後の忙しくあった光樹の癒しとなりえそうな内容だった。

 だが、そんな内容に何か重要な意味があるのだろうか。心の中でどういうことか考え始めると、光の球体はそれを踏まえての発言を行う。

 

『……そうか。ならば言わせてもらおう。今のそれで満足しているのか?』

 

「満足って……どういうことだ?」

 

 急な問いかけに光樹も困惑する。光が訊いている言葉の意図がよく分からなかったからだ。それを察して、光の球体も言葉を改める。

 

『言い方を変えようか。……今の目の前にある物だけを守るだけで、お前は十分なのか?そのために、自分から限界を超えることを諦めてしまっているのではないのか?』

 

「な……!?そんなこと……は……」

 

 遠回しに自分が前に進めていないということを指摘され、感情的になる光樹。ところが言うにつれて、言葉の勢いがなくなっていく。その言葉の意味を次第に理解したからだ。

 確かにそれは言えている。新しい力を手に入れてはいるものの、それはどれも、誰かの助言があってこそのもの。デュランダルのNP使用は鈴から、そもそも攻撃のパターン展開も前よりは減少したとはいえ、未だにゼロからのサポートが多い。自分から行動したとは言い難い。そもそも、ゴッドクロスも、未だに自分が動かしているのか、ゼロが動かしているのか怪しいところがある。

 それに限界を超えてというのにも心当たりがある。それはもちろん、ゴッドクロス・ダイの制限時間の延長だ。約半年かけてようやく1分から2分の起動時間延長に成功したのに、この激闘が続く中で未だに変身可能制限時間を延ばすことが出来ていない。鈴もその事には訓練の時に不審がって聞くことがあった。これだけ激しい戦闘をしていれば、普通なら制限時間が伸びても不思議ではない。体に多くの負担がかかっているのに、その「限界」を超えることが出来ない現状こそが、「限界を超える」事なのだろう。

 俺は一体、何なんだ……これじゃあ、鈴が文句を言い続けているのにも納得だ。けれど、どうすればいい?どうやって、戦えば……。

 

「確かに、俺はまだ鈴達が求めているような、しっかりとした、安心して総司令を任せることが出来る俺に戻れていない……。なら、どうすれば……?」

 

 一体何をすれば変われるのか。悩む光樹。だがしかし、その答えを光の球体がはっきりと答える。

 

『まぁ、そんなに考え込むな、光樹よ。そんなのは簡単だ。……たった1つ、たった1つのことを成せばよいのだ』

 

「たった……1つ?」

 

 光の球体が発した言葉を復唱する。とても重要なことだから、よく覚えておこうという意志の表れであった。だが、球体から語られたのは、光樹が考えていたような、とても厳格ある助言ではなく、かといって適当なことでもない、シンプルかつ意味の大きいことであった。

 

「そう、それは、お主の体のままに動く。ただそれだけのことだ」

 

「……はぁ?体のままに動くって……」

 

 体のままに動く、とは、あまりにも人任せな言い方だと思う。要するに自分がやりたいようにやれということだ。それでは戦闘もあったものではない。だが、そこを光の球体もフォローする。

 

『とはいえ何も考えずに戦うなと言っているわけではないぞ。戦い方は既に体に染みついている。お主は、それに無理に逆らおうとするのではなく、その流れに身を任せ、かつどれだけ自分の思うままに動かせるかだ』

 

 戦い方が体に身についている。その言葉にはどこかしっくりくるものがあった。例えば、ビームサーベルを振るとき。その太刀筋は記憶の片隅にあったものを使っているが、時には自分の体が勝手に斬撃の軌跡を描くことがあった。他にも射撃武装を撃つ時も最近では直感とも言えるほど無意識に狙いを定めて撃っている。

 それをもし、意図的に出来るのなら、それはもう戦場を駆けるベテランエースパイロットとでもいうべきなのではないだろうか。堅実的な攻撃をいつもの事のようにこなせるようになれば、きっと鈴も見直すはずだろう。もっとも、そんなに簡単に見直してくれるわけはないだろうが。

 光樹は自分に言い聞かせるように、光の球体の言葉をもう一度口にする。

 

「自分の体に従う……無理に逆らうんじゃなく、流れに身を任せて、俺がしたいように」

 

 そう言ったところで、空間に変化が生じる。右方向の空間に、光が差し始めたのだ。それを合図に、光の球体は別れの言葉を口にする。

 

『ではの、光樹よ。お主が思い出したときは、また共に戦おうぞ』

 

「あぁ。その時は、よろしく頼む。今回はありがとう。俺は、ワレチューに負けない。負けてたまるか!絶対に、あの化け物をくい止めて見せる!」

 

『……ふふっ。それならば安心だ。くれぐれも気をつけてな』

 

 光樹の誓いに光の球体は少し口調を柔らかくして激励する。そののち、光の球体は光の先へ去っていく。

 もう十分に体力は回復出来た。戦い方も定まった。後は、ここから目覚めること、そして自分で勝手に定めた限界を超えていくこと。そのために必要なのは、ありのままの自分を解放すること。

 光樹は光に向かって足を進める。徐々に生身の肉体の感覚を感じ始める。景色も目に映り始める。その目、ゴッドクロスのカメラアイから見えたのは、ダメージを受けてもまだ立ち上がろうとするパープルハート達の姿。彼女達の思いに応えるために光樹は手を伸ばす。光樹の硬い意志が、強い脳波が機体に伝播する。脳波の波が、傷ついたガンダムにこの危機的状況を覆す力を再起動させる。今までの限界を超えていく、大きな一歩として。未だ完全に覚醒しきっていない意識の中でゼロがその名前を告げる。

 

 

 

 

『装着者の強い脳波を確認。セーフティリミッター1段階解除、機体各部装甲稼働問題なし。――――――――DAIモード、1分追加の再解放』

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぢゅぢゅううぅ!!」

 

「くぅ!!」

 

 飛んでくる尻尾の刺突を手に持った機械刀で受け流す。受け流された尻尾はその地面に突き刺さる。互いに一歩も引かない。

 小回りの利く部分が一時的に使えないところを狙ってパープルハートは機械刀を振り上げる。だが、完全に振り上げる前にワレチューの巨腕が思い切り突き出される。ビームクローも展開しての突き出しを危険と察したパープルハートは攻撃を取りやめ、そのままクローを防御する。

 

「ネプテューヌちゃん!ってぇい!!」

 

 攻撃は数センチの所で機械刀で防ぐことに成功する。だがまだクローはこちらに向けられたまま。逃げ出す好機を作るべく絵里奈がANHXキャノンンバスターを撃って注意を引く。

 攻撃はワレチューの左わきを撃ち抜く。正確な狙いながら、攻撃はわずかにその血を滴らせるだけに留まる。だが、それでも狙いどころは正確で、ワレチューはそちらの方に気を向ける。

 

「ぢゅぢゅう……?」

 

「!今っ」

 

 機械刀で受け止めていたクローの手が少し緩むのを感じ取ったパープルハートはすぐに距離を取る。バックジャンプではあったがそれでもウイングのユニットを使えば十分に逃げ切れる距離だろう。

 だがそれは止められてしまう。少しこちらの方に目を向けたかと思うと、地面から放電が発生する。もちろんそれは自然現象ではない。見るとワレチューの尻尾に付いた、地面に触れていない部分の金属装甲から電気が走っていた。

 不味い、気づかれた!わたしがそう思ってすぐに全力で離脱しようとしたものの、行動するのが遅かった。ウイングにシェアエナジーの放出を行わせて噴射する瞬間に、放電が開始される。

 

「ぐあぁあぁぁぁぁ!?」

 

「ネプテューヌちゃん!?」

 

 予測不能な雷撃の直撃を受ける。絵里奈が叫ぶも、パープルハートはもろに喰らい、大ダメージを負う。ボディのプロセッサユニットの一部が焼けて破れ、身体を余剰電気が走る。

攻撃を受けて地面に叩き付けられるパープルハート。何とかして立ち上がろうとするも、その身体も痺れがあって思うように動けなかった。体力の方にはまだ余裕はあったが、痺れという枷が行動を縛る。

 それを敵も分かっていたようだ。ワレチューは援護攻撃として放っていた絵里奈のANHXキャノンバスターによる連続射撃を受けてもパープルハートにのみ意識を集中させる。攻撃を受けながらもワレチューは胸部のビーム砲からビームを放つ。光弾ではない、収束ビームがパープルハートに向けて放たれる。

 回避しようにも、まだ体が十分動けない。しかしパープルハートは女神としての意地を見せる。プロセッサユニットを、シェアを通して無理矢理動かし、機械刀を振るう。女神化後のプロセッサユニット装着システムを利用した、少々イレギュラーな身体操作であったが、それは功を成す。何とかワレチューの砲撃が直撃する前に機械刀が攻撃を防ぐ。

 だが防いだだけであり、自身の力を上乗せできない状態でビームを斬るなどということは出来そうになかった。砲撃の威力に何とか拮抗し、ビームを受け流すことには成功する。受け流されたビームはパープルハートの斜め後方に過ぎ去り、建物の壁に爆発を起こす。周辺にまた瓦礫の山を作る。

 何とか裏技的なもので攻撃は凌いだ……けど、いつまでもこのままってわけには行かないわ。出来ればこんぱにパララキシンを届けてもらいたいところね。でも、この状況で来られるかどうか怪しいところ。さっきビーシャの方に応急手当をしに行ったのは見えたから、それが終わっていればこんぱの事だから、来るかもしれない。いえ、むしろこの状況でも隙を見て来てくれることを願いたいわ。

 そんなパープルハートの思惑を外すかのように、ワレチューは続く2発目を放とうとする。パープルハートもゆっくりとだが身構えようとする。だが、その前にワレチューを魔法による光の奔流が襲う。

 

「ネプ子はやらせないっ!!」

 

 アイエフだ。パープルハート達の危機を見て、援護に駆け付けたのだ。光の魔法「ラ・デルフェス」により、ワレチューの動きが止まる。だが何もアイエフだけが動いていたわけではなかった。後方から待望の声が聞こえてきたのだ。

 

「ねぷねぷ、大丈夫ですか!」

 

「こんぱ!いいところに……!」

 

 コンパがこちらに救援に来たのだ。パープルハートの状態を察して既にその手にはパララキシンを手にしていた。コンパもそれを落とさないようにしっかりとパープルハートに手渡す。

 

「はいです。これでまだ戦えるはずです」

 

「えぇ。んく……」

 

 自身の手の力も今の出せる力でしっかりと持ち、口に持っていく。今は時間が惜しい為、一気に飲み干す。すると、すぐに体の痺れが解けていく。それをはっきりと感じ取ったパープルハートは助けに来てくれたコンパにお礼を言う。

 

「助かったわ、こんぱ。これでまた戦えるわ」

 

「良かったです!もしダメージが大きくなったら、言ってください。あ、でもこれを渡しておきますね」

 

 コンパが更に回復薬の瓶を手渡す。おそらく回復する時間が間に合わなかった時の保険としてだろう。その気遣いとアイテムをパープルハートもありがたく受け取る。

 

「これは……助かるわ」

 

 アイテムを腰のプロセッサユニットに格納する。その頃にはアイエフのラ・デルフェスも放射が収まり、ワレチューもまた攻撃を加えようとしていた。だが、その前にワレチューの胸部装甲が火花を散らせた。それは横から近接攻撃を行った絵里奈のR-ZXによるものだった。

 

「いくらネプテューヌちゃんが弱ってる上に、私のガンダムの火力がないからって、無視するなんていい度胸してるよー!」

 

 連続したANZXアームズ・セイバーモードがワレチューの胸部装甲に切り込みを入れるダメージを与えワレチューが吠える。

 

「ぢゅぢゅうっ!?」

 

 攻撃に怯んでいるうちにコンパは後退することに成功する。代わりに攻撃を終えた絵里奈がマニューバを行ってパープルハートの横に来る。絵里奈の発言には少しパープルハートもにやりとしてしまう。相手にされなかったことに不満を持っていたようだ。

 危機に陥っていたパープルハートを助けるのに自分の機体の火力不足に文句を言うというのはどうかというかもしれないが、結果的にパープルハートのクールタイムを稼ぐ目的を果たせたのには変わりない。パープルハートは絵里奈に言葉をかける。

 

「助かったわ、絵里奈。けどそんなことないわよ。絵里奈はそれを補って、あまりある精密射撃センスがあるんだから」

 

「むー、でも火力が足りないのは確かなんだよねー。OXになってもそんなに出力が増してるわけじゃないしー」

 

 絵里奈は口を尖らせたような言い方で機体への文句を続ける。光樹の記憶が戻った時はそのことを言った方が良いのかもしれない。とはいえ、今はそれに目を向ける暇はない。ワレチューが装甲部分から発せられる火花にかまわず、ミサイルを放つ。

 

「ぢゅぢゅぢゅううぅぅ!!」

 

 ばら撒かれる弾幕に、2人は回避行動を選択する。大きく後退しつつ、それぞれのウイング、スラスターユニットからチャフとして放出したシェアとAN粒子の塊でミサイルを落としていく。

 全弾落としたところで、パープルハートは再度接近を試みる。だが、ワレチューの方も丁度同じタイミングで接近戦を仕掛けていく。全スラスターを全開にして突っ込んでくるワレチューに対し、紫の女神も全力で立ち向かう。機械刀をそのまま一直線に突き出す。だが、神速の一閃はワレチューの肥大化した腕部で一瞬のうちに掴まれる。

 

「攻撃を止めた!?」

 

「ネプテューヌちゃん!そのままやらせないよーっ」

 

 絵里奈がすかさずフォローに入る。後方からの接近攻撃で不意打ちを狙う。しかし、その行動を敵も予測していた。後ろで見えないはずの攻撃にワレチューの尻尾が反応、絵里奈のガンダムの左肩装甲を粉砕、更に胸部装甲を貫く。

 

「げぁ!?」

 

「絵里奈!?」

 

 絵里奈の苦悶の声が漏れる。幸い光樹達のガンダムの急所だという「コア」は破壊されていないものの、機体の各所から火花と血のようにAN粒子がこぼれだす。しかしその反動を利用しスラスターを吹かせて距離を取る。

 つい絵里奈の方に目を向けてしまうが、こちらも悠長に構えている暇はないことを知らされる。機械刀を押さえつけた状態で、ワレチューの口が開く。その口から光が収束する。

 

(まさかビーム攻撃!?この至近距離で!?)

 

 そう思った時には既に遅かった。口から高出力のビームが放たれる。咄嗟に機械刀から手を放し、両腕で防御する。攻撃は何とか受け止められる。受け止めたときに気づいたが、どうやらこの攻撃は魔力ベースの攻撃のようだ。ワレチューが元から魔法を使えたかは忘れてしまったが、これだけの高火力はおそらく猛争化によるものだろう。

 しかし攻撃を受け止めたとはいえ、その威力は凄まじい。一気に押し返される。それどころか腕が後方に押し出され、ビームの直撃を体に受けてしまう。

 

「くうっ!!」

 

 直撃を受け、吹っ飛ばされるパープルハート。地面に倒れるも、すぐに立ち直す。

 大丈夫。ダメージは受け止めたおかげでそれほどじゃない。それに肩のビーム砲を先に潰していたおかげで火力もそれだけ落ちているみたいだし……まだ戦える。それよりもさっきの絵里奈のダメージが心配だわ。

 パープルハートは絵里奈の方に目を向ける。その機体からはいくつかスパークが散り、立ち上がるのにも不安定だ。ここは絵里奈への離脱を呼びかけた方がいいだろう。パープルハートは叫ぼうとする。

 

「絵里奈、一旦退いて態勢を……」

 

 だがワレチューがその声の意図に気づいた。急に方向転換したかと思うと、その方向に一気にスラスターを吹かせて突撃する。その方向とはもちろん、絵里奈のいる方角である。

 

(っく!しまった!このままじゃ絵里奈が……!)

 

 声かけによる失態にパープルハートは心の中で舌打ちをする。すぐに飛び出すが距離が遠い。意外にも猛争・機械化状態のワレチューは速度が高い。ワレチューはそのまま絵里奈の機体へと急接近していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、不味い……くぅ!」

 

 自身の身に迫る危機に、当然絵里奈も気付いていた。機体を動かそうとデータとなった四肢を動かそうとする。だが、機体の損傷の影響を受け、思うように動けない。MPやNPの機体電子一体化技術は、思うように動ける分、機体の損傷が動きにもダイレクトに動きに反映される。その逆もまた然りである。それが今影響しているのだ。

 早く、早くっ!機体の動きの悪さに焦りを感じる。けど、私の思いに反してR-ZXは答えてくれない。久々だ、ここまでダメージを受けるなんて。今までは何とか対応できてたか、それか他の人に助けてもらってたからそんなに危機に陥ることってなかったんだけど……。

 でも、そんなことをいつまでも考えていられるほど、状況は予断を許してはくれない。ワレチューはこちらにそれなりに距離を詰めたところで砲撃態勢に入る。胸部のビーム砲と口部、更にはウイングに装着したフィールド発生装置をも連動させてビームを圧縮し始めていた。圧縮ビーム弾を形成しているんだ。イメージはセラヴィーのハイパーバーストの印象だと思う。

 しかし、絵里奈の考えは少し甘かった。敵の圧縮したビームはハイパーバーストの時の球体ではない、その形を二又の槍のようなものに変えていたのだ。明らかに殺傷することを狙っての形状変更に絵里奈はゾッとする。

 

「嘘……でしょ?そんなの……耐えられるわけ……っ!」

 

 しかし、その拒絶も無意味だ。ワレチューは咆哮を上げるとそのビーム槍を飛ばしてくる。いつもの調子のR-ZXなら、硬質AN弾で軌道を逸らしたりでも出来るのだが、今は動けない。もっとも、あの攻撃を本当に逸らせるかどうか、不安なところであったが。

 しかし高速で放たれた槍を、こちらは回避できない。もう、終わりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、すべてを貫く光の槍は、絵里奈を貫くに至らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビームが何かと干渉する音が響く。最初はR-ZXが貫かれたのかと思った。だが、機体のコアが貫かれたわけではない。続いて考えたのは当たったものの、運よく急所を避けることが出来たのだろうか、ということだ。

 しかしそれも違う。機体のどこも動きが受ける前とほぼ変わらない。ならば先程……否、今も響き続けるこの音は何なのか。それは簡単だ。

 絵里奈もその目にしっかりと見ていた。受け止めていたのだ。彼女の愛する少年のガンダムが、既に今日の変身可能分を使い潰したはずの機能を使い、その片手で。赤色に輝く機体全体装甲にオレンジ色の光を放つ機体フレーム。そして拡張した機体各部の装甲……。再び姿を現した、次元の機動戦士の名前を口にする。

 

 

 

 

「…………シュバルトゼロガンダム……ゴッドクロス・ダイ……光樹君……!!」

 

 

 そう、ゴッドクロスが、再び「次元の拳」の力を得たのだ。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。颯爽とピンチに駆けつける光樹君でした!

レイ「まぁ、読めてるよねぇ。とはいえ、流石にDAIモードがまた使えるようになるのは予測できなかったけどさっ」

ソニア「そうですねぇ……ワレチューさんの攻撃の方も驚かされましたし。特にパープルハート様の剣を捕らえるほどの瞬発性と二又の槍をビームで生成するところとか」

レイ「そうそう。あれだけの装甲積んでいるのにあの女神化したネプテューヌちゃんの剣を止めるのは、私も驚いたなぁ。この時点で結構ワレチュー強いと思うんだけども……」

ソニア「これから先、更なる上が出るってことですよね、藤和木さん?」

うん、そのつもりではある。私の方も他のアニメとかゲームから技の発想とかもらったりしてオリジナルを織り込んでいこうとしたりしているからね。それでは今回はここまでということで。

ソニア「えっと……次回なんですが、藤和木さんの都合により、今度は来週の木曜日に投稿するとのことです。理由は冒頭にも言っていたのですが、藤和木さんの会社関係の都合が連続していて、とても十全に書ける状況じゃないから、とのことです」

レイ「そんなんじゃ、これからが心配だねー。もっと気を持ちなよー」

正直言って、どうなるかが分からないからっていうのも今回の期限伸ばしに関係しています。最近体の方が休まっていないからか、寝落ちすることが多いですからね……

レイ「だって。みんなに迷惑をかけるね。それじゃあ、次回、木曜日にまた!次回もよろしくねっ!」

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