新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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ど、どうも皆様……お元気でしょうか……。先程、極寒の外から帰ってきました……藤和木弘です……早く暖房効いてぇ!!

シエラ「う……うるっさいわよ……!けど、早く部屋が暖まらないとろくに話せない……。ど、どうも皆様……。藤和木の学校から帰って来たばかりよ、シエラ・ムルセーヌです……」

ジャンヌ「確かに、部屋の中なのにこの寒さは少し応えますね……どうも、皆様。帰り道は藤和木がクリスマスにプレゼントしてくれた手袋のおかげで雪の中でも暖かかったです♡ジャンヌ・ドラニエスですっ」

私もジャンヌさんからのマフラー、暖かかったです。さて、そ、それじゃあ第146話、投稿です。

ジャンヌ「形勢逆転の連続……戦いの場面ではよくあり得ることですね」

シエラ「割と実力が拮抗している相手とだと起きやすいわよね。ちなみに藤和木のバトスピ対戦では割と一方的なことが多いみたいね」

ここで私の対戦成績について触れますか……(´・ω・`)まぁ、最近はνジークがそっぽ向いてる事多いですからね。デッキ更新でちゃんと動いてくれるといいんだけど……

ジャンヌ「たまには、わたくしのデッキでショップバトルに出て欲しいですっ」

うん、一応次のパックで使えそうなのは入れていこうとは考えているから。それでは本編へ!


第146話 形勢逆転の連続

 

 

「みんな、大丈夫か!?」

 

 光樹から無事を聞く声がかけられる。先程の攻撃で機体の方にはダメージが重なってはいたものの、まだ絵里奈は動ける範囲だった。すぐに絵里奈は状況を伝える。

 

「私はまだ大丈夫ー。他のみんなは……」

 

 絵里奈の答えを促す声に、他の者達も続く。

 

「えぇ。問題ないわ」

 

「これくらいのダメージ、まだいけるんだから!」

 

「生憎ながら、まだ倒れるわけにはいかないからな!」

 

 多少の疲労を見せてはいたが、概ね絵里奈自身と同じようにまだ戦えることを伝える3人。光樹もそれを確認すると安心しつつ、次の手に出ることを打診する。

 

「良かった……!とりあえず、まだこっちはCDユニットを破壊しただけだ。もう一回、攻勢に出よう」

 

「もちろん。そのつもりよ」

 

「そのためにも、わたしが道を切り開くっ!!」

 

 すると早速ビーシャが勢いよく前に出る。それに遅れて、DRXも前衛に向かう。

 

「ははっ!ビーシャも勢いが付いてきたぜ!援護に回るっ!」

 

 ビーシャとDRXのタッグはワレチューとの距離を詰める。それに対し、ワレチューも両腕部を向けてビームを連射する。単発のビームが両側2発ずつ放たれる。しかしそれをビーシャが横に躱す。だがそのままではDRXに直撃してしまう。とはいえ、DRXなら何の問題もなかった。

 

「甘いぜぇ!!サイキックフィールド!!」

 

 左手の平を開くとその手にサイキックフィールドを展開させるDRX。そのフィールドを張った手でビームを受け止める。今まで光樹達とぶつかった時と同じように、そのフィールドはまたも敵の攻撃を受け止める。流石、防御力の高いスーパーロボットタイプの体形は伊達ではないようだった。

 そしてビーシャの方もそれだけを狙って避けたわけではなかった。DRXが防御するタイミングで空中に飛び上がると回転しつつ、バズーカ砲を連射する。

 

「たぁぁぁぁぁ!!」

 

「ぢゅぢゅぅぅぅっ!?」

 

 攻撃を行った直後の攻撃がワレチューに直撃する。攻撃を受けたワレチューの体は大きくのけ反り、DRXに向けて放とうとしていた追撃の肩部ビーム砲があらぬ方向へと飛んでいく。

 不意打ちによりダメージを受けたワレチューに続けて攻撃を仕掛けたのは絵里奈とパープルハートであった。パープルハートが真っすぐワレチューの懐に飛び込むと、そのまま胸部装甲に機械刀の振り上げを入れる。

 

「せぇい!!」

 

 装甲に対しての攻撃であったが、その攻撃で装甲が少しへこみ、宙に浮かぶ。シェアの力を込めた一撃がダメージを与える。その打ち上がった体に絵里奈のガンダムR-ZXが放ったビームの連弾が直撃する。直撃した弾丸の反動でワレチューはパープルハートから距離を離す。

 パープルハートへのカウンターも考慮しての徹甲弾による攻撃で距離を離すことに成功する。だが油断する暇はない。攻撃を喰らったワレチューは地面に着くとその強靭な腕部でブレーキをかけると、体に装着されていた装甲をこちらに向けて開く。

 

「ぢゅぢゅっ!!」

 

 向けられた装甲の蓋が開くと、その中から見えたのは多数のミサイル弾頭であった。絵里奈は他の者達に注意を呼びかける。

 

「みんな、ミサイル攻撃来るよー!!」

 

 絵里奈の声と同時にミサイルがワレチューの叫び声と共に煙を吹いて一斉射される。火薬を搭載しているであろうミサイルの軍勢は一斉にこちらに伸びる。

 それを見てすぐに全員が距離を取る。ミサイル攻撃に対してはとにかくまずは距離を取り、振り切るというのが鉄則だ。パープルハートとビーシャは真っ先に後退する。続く絵里奈と光樹もそれぞれの射撃兵装で撃ち落としつつ、機体のスラスターを吹かせて逃げ切る。

 だがDRXはそんな細かい動きは出来ない。そのためDRXはサイキックフィールドを再び展開……するかと思われたが、今回は違った。機体の武装をすべて、ミサイルに向けると、雄たけびを上げる。

 

「行くぜぇ!DRXフルバースト!!」

 

その声と共に、弾数の残ったすべての武装から一斉にビームを放つ。ガウン・デストロイヤー、ハイフィンガーバスターから放たれた攻撃がミサイルに直撃し、次々とミサイルを撃ち落とす。派手な一斉射で空はたちまち爆発の花で埋め尽くされる。

中々の派手さであったが、それでも流石にすべてのミサイルを撃ち落とすには至らない。そこはいつも通り、サイキックフィールドで防御する。だが、攻撃が少なくなったことで爆発の衝撃によるダメージは軽減されているようであった。

 うん、いい感じに動けてそうだねー。ここは返しに一発入れたいところ!そう思っていたら、光樹君が動いてくれた。爆発の花が晴れたところで頭部に光を集めて叫んだ。

 

「行くぜ!AN……ZEROキャノンッ!!」

 

 両手を握りこぶしにして顔を前に向けると、頭部のブレードアンテナを形成する部分にあった砲口から高出力ビームを一気に解放する。直線的に放たれたビームは地面を薙ぎ払いながらもワレチューを捉える。攻撃が装甲部に直撃し、そのまま装甲を焼くように照射する。

 直撃した高出力ビームで装甲が焼かれていくと、ワレチューは苦しむ声を吐き出す。

 

「ぢゅううぅぅぅぅぅぅ!?!?」

 

「効いているわ!」

 

 パープルハートも攻撃が効いていることに注目する。シェアの攻撃も効いているのは分かったが、やはりビームの攻撃が一番効く。ダメージを与えていく姿を見て、絵里奈も思わず声が張り、光樹を応援する。

 

「光樹君!そのままやっちゃえー!!」

 

「あぁ。……フルバーストモード始動!カートリッジシステム、ロードッ!!」

 

 光樹の声と共に機体のウイングユニットが小羽を開く。開かれた小羽からはAN粒子が翼の形を描くように放出される。さらに機体各部の武装に搭載されたカートリッジユニットが稼働し、煙を上げる。上がる出力、そしてそれが放たれる高出力ビームにもいきわたり、ビームがより太く放たれる。出力の増したビームがワレチューを飲み込み、その地点に大爆発を引き起こした。

 爆発の影響で暴風が発生する。その暴風に飛ばされまいとパープルハートとビーシャが足を踏ん張る。絵里奈も機体制御用のAN粒子を操作して、地面に機体を固定する。

 爆風が収まり、煙が晴れていく。煙の隙間からワレチューの様子が見え始める。ワレチューは息を激しくしながらも、未だ健在であった。とはいえダメージが通っているのは事実で、肩で息をしている状態であった。

 ダメージは通ってる。ここで気を緩めたらダメだ。手負いのジャッカルは危険って光樹君もいつも言ってたように、手負いの敵が一番危険。やけくそ気味に放った攻撃で部隊が壊滅、なんていうのを結構やってきてるこっちがそれを喰らったら恥ずかしいからね。とにかく一気に決めることを考えないと!

 絵里奈の考えをパープルハートも進言する。

 

「攻撃が効いてるわ。このままトドメまで持っていきましょう!」

 

「分かった」

 

「任せといて!」

 

「全部の出力を解放してやるよ!!」

 

「よーっし、これで終わりにしよー」

 

 パープルハートの言葉に全員一致し、攻撃を仕掛けに行く。先行したビーシャと絵里奈が射撃兵装であるバズーカとANミラージュブラスターソードを撃つ。バズーカ弾とビームによる砲撃が直撃しワレチューの動きを縛る。

 ワレチューの動きを抑えたところで、DRXが攻撃に続く。怯ませた瞬間に腕部に念力結界「ドミニオンズボウル」を展開させ、それをワレチューに対し向ける。

 

「行って来い、ドミニオンズボウル!!」

 

 赤・緑・青の光を放つ球体がワレチューに向かって飛んでいく。球体がワレチューの尻尾による刺突弾幕を回避しつつ到達すると周囲に展開し、光を放つ。光が晴れるとワレチューは念力結界の中に閉じ込められた。捕らえることに成功したのであった。

 しかし、捕らえたといっても抵抗が収まったわけではない。動きを拘束されつつも、尻尾を動かそうとしたり、腕部ビーム砲を固定されたまま発車していた。このままでは突破されてしまうだろう。無論、それを黙って見ている絵里奈達ではない。追撃の攻撃を光樹とパープルハートの2人が放ちに向かう。

 

「光樹、タイミングを合わせて」

 

「あぁ。……せい!!」

 

 念力結界の固定が効いているうちに、と2人はその手に掴んだ実体とビームの剣を振るう。機械刀とANビームサーベルⅦXはワレチューの左脇腹部と残った肩部のキャノン砲を斬る。切り裂かれた部分から粒子の放出と爆発が起こり、ダメージがワレチューに重ねられる。

 

「ぢゅぢゅうううううう!?!?」

 

 攻撃を行ったことで、ドミニオンズボウルの膜は破れてしまう。だが、そこに追い打ちを掛けるが如く、DRXが巨腕に持ったD・Oソードを振るう。

 

「この一撃、受けてみなぁ!!」

 

 上から大きく振りかぶってのD・Oソードがワレチューの胸部追加装甲を切り裂く。豪快なまでに振るわれた攻撃によりワレチューはのけ反る。しかし、すぐさま反撃の一手を放つ。尻尾のうち1本を割れたハートの形に分裂させて一瞬の隙にDRXの体に目がけて打ち込む。

 

「ぢゅぢゅっ!!」

 

 普通なら、それくらいの攻撃ではDRXは何ともない機体であろう。スーパーロボットの装甲を撃ち抜くのは非常に骨の折れる戦闘なのだ。ところが問題は狙った部分であった。ワレチューが狙ったのはDRXが現時点で最も装甲が薄くなっている部分、先の戦闘で勇也のガンダムR-ZEROの攻撃で喰らった部分だったのだ。

 一瞬の隙を突かれての、弱点となっていた部分への攻撃にDRXはよろめく。

 

「ぐぁっ!?装甲のない部分を狙って……!?」

 

「DRX!!このっ!!」

 

 DRXの危機を察して、ビーシャがすぐさま援護に入る。背後からバズーカ弾を放ってワレチューの動きを抑制する。そのわずかな時間にDRXも態勢を立て直してよろめきを継続させるためのソードの薙ぎ払い攻撃を喰らわせる。

 

「ビーシャ、助かる!……せぇい!」

 

 攻撃を浴びせたのち、DRXは脚部スラスターを全開にして後退する。ビーシャとそれに反応した光樹と絵里奈による背後からの攻撃のおかげでDRXは無事後退することに成功する。

 突発的な攻撃だったとはいえ、これは望むところであった。DRXが後退したのと、ワレチューの注意を引くために分散して攻撃したことで丁度ワレチューを囲む形で包囲陣形に展開することが出来た。

 敵を逃さないように展開する包囲陣形が出来た。となれば、やることはただ一つ。絵里奈は全員に呼びかける。

 

「今だよー、全員一斉射撃ーっ!」

 

 その声に一斉に反応を見せる光樹達。AN高純化射撃兵装「オーディン」、バソダヌ、ガウン・デストロイヤーといった大火力兵装を用意する。

 

「カートリッジロード、「オーディン」、出力最大!!」

 

「バソダヌ、肩部ボンボンユニット狙いよし!!」

 

「ガウン・デストロイヤー、出力マキシマイズ!!」

 

 みんな、最大火力で終わらせようとしてる。なら私も手加減する必要なしだよねー!久々の使用だけど問題ないはず!私は自機に備わった2つのモードを起動させる。1つはガンダムのお馴染み機能。そしてもう一つは、この機体のモデルの力を参考にした、限界突破システムだ。

 絵里奈は2つのシステムの承認をコールする。

 

「モデル、トランザムシステム……それから、OXを解放するよ」

 

『了解。トランザムシステム始動。および、OXモードに機体出力切り替え。OXバランサーユニット稼働』

 

 その声と共に機体装甲が赤く光り輝く。トランザムの始動だ。だが、そこで一拍おいてからR-ZXに変化が生じる。機体各部のボルト部分のロックが傾き解除される。更にロックを解除された部分の隙間から蒸気が溢れる。やがて、ロックの解除された部分から蒸気に変わって深紅のAN粒子が放出を始める。放出される粒子は機体を呑みこむほどであったが一瞬で機体にぴったり張り付く。まるでオーラのように。

 AN粒子のオーラを纏う形となったガンダムR-ZX。その状態で絵里奈は胸部のANバスターキャノン改・改の砲門をワレチューに向ける。残念ながら絵里奈のガンダムの中で威力が高いのはこの武装とANミラージュブラスターソードくらいだ。しかし大出力を発射しても射撃時の安定性を考えると、機体に埋め込まれた砲身を持つANバスターキャノン改・改の大出力の方が安定して撃ち続けられる。

 

「胸部ANバスターキャノン改・改、出力最大ー!」

 

 武装の出力を増大させて敵に狙いを合わせる。そして光樹の一声で一斉に攻撃が放たれる。

 

「全員、一斉射!!」

 

 高出力のビームと実弾の連続射撃、それらが次々とワレチューに向かっていく。ワレチューはそこから動くことなく、攻撃をまともに受ける。

 同時に直撃した絵里奈達の全力攻撃は巨大な爆炎となって辺りを照らす。その爆炎が収まる前に、待機していたパープルハートが腰だめに機械刀を構えて突貫する。炎の海をパープルハートが突きぬけていく。

 

「桜花一閃、喰らいなさい!!」

 

 機械刀にシェアを込めての一撃がワレチューの体を斬る。攻撃が当たると同時に爆炎に穴が出来る。斬った時の振りで起きた風によるものだ。そのままパープルハートは切り抜けて地面に着地する。

 

「これで、終わりよ」

 

 パープルハートの声と共にワレチューを中心にシェアによる爆発が炸裂した。その爆発を受け、ワレチューは唸る。

 

「ぢゅぢゅううぅぅ……」

 

度重なるダメージにワレチューは腕の方に重心を預けなければ立てないようになっていた。それは最大出力による攻撃が効いている証拠であった。しかしながら、ここまで攻撃を加えていても、未だ猛争化の影響が途絶えていないというのは予想外のことではあったものの、この調子なら倒せる。

 そこで絵里奈とビーシャが追撃の一撃を加えに接近する。

 

「よーっし、このままダメージ追加するよー」

 

「うん!ここで倒そう!」

 

「待ちなさい、2人とも!油断は禁物よ!」

 

 パープルハートが止めに入ろうとしたが2人はそのまま抵抗のないワレチューとの距離を詰めていく。絵里奈もパープルハートの言葉はちゃんと心の中で受け取ってはいた。だがこれ以上戦闘が続くのは良くないと感じていたのだ。

 何度かの爆風で避難民の方で不安が生まれていた。直接的な被害がないとは言っても、これ以上市民の不安を煽るのは良くない。何事も、迅速な対処による沈静化が重要なのだ。

 ある程度の危機感を持って対処するつもりの絵里奈とは反対に、ビーシャはパープルハートの方に手を振りながら大丈夫だと叫ぶ。

 

「大丈夫、すぐにみんなが怖くなるものを取り除くから!」

 

 女神たちの戦いを見守る人々にも聞こえる声での返事を送るビーシャ。そして2人は近接距離までたどり着いたところで攻撃を仕掛ける。

 

「喰らえ!バズーカ散弾3連射!!」

 

「ANZXアームズ、アタックシフト「龍斬火炎撃」!!」

 

 息の合ったビーシャの散弾と絵里奈のエネルギー刃の攻撃がワレチューに伸びた。その攻撃はワレチューの装甲を穿つ―――――

 

 

 

 

ことはなかった。

 

 

 

 

 瞬間、ワレチューは動いた。尻尾を前面に向けると、ハート型の尻尾を2つに割る。別れた尻尾が四隅の形を作る。そして別れた尻尾の間に電撃を発生させた。

 唐突の雷撃防壁は向かってきていたバズーカ弾とエネルギー刃を阻む。散弾として分かたれた弾も電撃のランダム放電によってほぼ撃ち落とされ、ワレチューの体にはダメージを与えることは叶わなかった。

 攻撃凌がれたことに絵里奈とビーシャも驚きを隠せない。

 

「嘘ぉ!?電撃!?」

 

「やるね……けど、だからって引けはしない!」

 

 とんでもない方法だったとはいえ、絵里奈達に攻撃の手を緩める暇はない。ビーシャが一足先に立ち直ってバズーカ弾を連発する。

 だがしかし、反撃を開始したワレチューは止まらない。バズーカ弾が散弾に変わる前に尻尾からの雷撃を飛ばし、バズーカの弾を撃ち落とす。

 

「バズーカの弾を電撃で撃ち落とした!?援護する」

 

「あの電撃、厄介そうね。2人とも、気を付けて!」

 

 見ている側だった光樹達も2人に気を付けるよう通達しつつ援護を行う。しかし、光樹の放ったANデストロイランチャーⅡの砲撃はとあるもので防がれることとなった。ワレチューは突如、口を開く。何をしてくるのか、という絵里奈であったが、すぐに理由がわかる。

 ランチャーが放つビームの方向に口を向けると、そのビームは口の中に吸い込まれていった。攻撃を回避や防御するのではなく、その生身の口で吸収したのだ。先の鈴達の防衛戦でも見せたその防御行動が絵里奈達を驚かせる。

 

「び、ビームを飲んだ!?」

 

「そんな防御法があるかよ!くそっ!」

 

 DRXもツッコミを入れる。今まで盾や腕でビームを吸収した敵はいくつもいた。だが流石にビームを生身の口で飲み込むというものは絵里奈も見たことがなかった。

 そして、ワレチューが怒涛の攻撃を開始する。まず腕部を地面に叩き付けると、地割れが発生する。いきなりの攻撃に近づいていた絵里奈とビーシャは後ろに飛んで回避する。しかし、その地割れが更なる攻撃を呼び寄せる。割れた裂け目から炎で形成された巨大な腕、がビーシャ達を吹き飛ばす。

 

「ぐはっ!?」

 

「こ、これって腕……!?」

 

 自然現象を利用しての攻撃なんて……。やっぱりこのワレチューの猛争・武装化状態、いつもの猛争・武装化モンスターとは違う……っ!

 予想外の攻撃に舌を巻く絵里奈。だが攻撃の波は緩まない。吹っ飛ばした直後にワレチューは4本となった尻尾を自身の前面に展開する。また防御壁を形成しての待ちの態勢を取るのかと思ったが、違った。展開された尻尾同士を電撃で繋ぐ。そしてその口をまた大きく開ける。そして間髪入れずにその口から大出力のビームを放つ。

 砲撃ならそれほど驚くものではない。ところがその砲撃は先程までの砲撃とは明らかに違う挙動を見せる。電撃の間を通過すると、そのビームは拡散し、まるで雷撃のように拡散し、絵里奈達に連続してダメージを与えてきた。

 

「ぢゅううううううう!!」

 

「ふぇえ!?あああっ!?」

 

「う、うわあぁあぁぁぁ!!」

 

「ビーシャ!!くぅぅ!?」

 

 吹っ飛ばされた絵里奈おビーシャがもろに攻撃を受け、助けに入ろうとしたパープルハートもその余剰分を受ける。絵里奈とビーシャは地面にそのまま地面に叩き付けられる。何とか動こうとする2人であったが、雷撃型ビームの高い威力で上手く動けずにいた。

 何とか立ち上がりながら機体の状況をチェックする。けど、その状況は芳しくないことを機体のシステム側から告げられる。

 

「モデル、状況……は?」

 

『殴られた時点で機体の内部回路に若干の損傷。そこに雷撃型ビームを3発もらったことで左腕部の粒子供給回路損傷。装甲の破損は左肩、ボディユニットにいくつかのヒビありです』

 

 モデルの言う箇所を少しチラ見する。確かに左肩の装甲を損傷してる。体の部分にも装甲を割れてるところがあった。不意打ちとはいえ、これだけのダメージがあるのはちょっと辛いかな。

 それらを踏まえて次の行動を考えようとする絵里奈をよそに、ワレチューが再び動く。今度は腕部をこれまでの地面への設置位置をより奥の方に持っていくと、光を放って飛ぶ。今度はビームをスラスター代わりにしたのだ。あまりにも予想外すぎるその行動だが問題はその狙い。飛んだ先にはようやく立ち上がったビーシャがいた。

 

「き、来たぁ!?」

 

「ビーシャ!!危ねぇ!!」

 

 DRXが体を張ってビーシャの前に出る。腕を真正面に向けて飛んでくるワレチューを抑え込もうとする。ところがワレチューの砲撃による飛行はDRXの力を超えていた。ぶつかり合った腕部と頭はワレチューが押し上げる。頭部がそのままDRXの胸部を捉えて地面へと押し倒す。

 押し倒されたDRXに馬乗りの形となったワレチューは右腕を上げる。するとその巨腕に装備されたビーム端末から3本の光の爪を形成する。ビームクロ―だ。それを振り下ろすしぐさを見せる。

 

「DRX!」

 

 すぐに対応するようにパープルハートが呼びかける。もちろんDRXもそれは承知済みであった。巨腕が振り下ろされる前に素早く攻撃箇所に対しサイキックフィールドを形成して防御する。展開は間に合い、何とか防御することに成功する。

 しかし、それでワレチューの猛攻は終わらない。防がれてもそのまま二度三度とその剛腕とともにビームクロ―を振りかざす。それでもなおDRXのフィールドが阻む。しかし、三度目の攻撃の直後、ワレチューは攻め手を変える。尻尾を結合させると、一気にフィールド発生部分に向けて打ち込む。鋭角的なその先端はいともたやすくDRXが生成したサイキックフィールドを貫いた。貫いた先には、先の戦闘で損傷した装甲の切れ目があった。その部分をピンポイントで攻撃される。

 

「グハァッ!?」

 

「DRX?DRXっ!!」

 

 攻撃を庇ったDRXの危機にビーシャが悲鳴する。だがワレチューはそのまま腕部によるクロー攻撃で更に傷口を痛めつけていく。その度にDRXの体から爆発が起き、スパークと部品が飛び散る。

 このままではDRXがやられる。当然そう危機感を感じ、パープルハートと光樹が背後からの奇襲をかける。それぞれの手に持った機械刀とANブラスターソードエッジで斬りかかる。

 しかし、その攻撃すらも今のワレチューには予測済みだった。振りかざされる攻撃を尻尾での振り払いによるカウンターで2人を吹き飛ばす。

 

「ぐぅ!」

 

「中々の威力……けど、まだっ」

 

 光樹が負けじと反撃しようとするがその行動の前にワレチューは足と翼のスラスターを吹かせて距離を詰める。急な強襲に流石の光樹も驚く。

 

「な……!?」

 

 だが、その驚く暇さえも一瞬だった。距離を詰めたワレチューは尻尾の雷撃機能を活性化させ、距離を取ろうとするゴッドクロスの四肢を電撃で拘束する。電撃のダメージが光樹を襲う。

 

「ぐああああぁぁぁぁ!!」

 

「光樹君!?」

 

 ようやく立ち直った絵里奈はすぐにANHXキャノンバスターを向け、撃つ。だがその弾丸は周囲にまき散らしだした電撃で防がれる。

 

「そんな……くっ!」

 

 早く助けないと……!そう思う絵里奈だが周囲にまき散らされる電撃のせいで攻撃を行えずにいた。やがてワレチューは光樹に対し必殺とも言える攻撃を準備する。周囲に放電していた電気が上空に収束し始める。まるで雷雲の中で起こっていることが視覚化されたようなその現象はやがて、凄まじい電撃の嵐を形成する。

 そして十分とも言える電撃を集めたところで、ワレチューが咆哮するとそのプラズマ集合体がワレチューと光樹を飲み込むように落ちる。

 

「ぢゅぢゅううううぅぅぅぅ!!」

 

「ぐがああああぁぁぁぁっ!?」

 

「こ……光樹君!?」

 

 圧倒的過ぎる電撃に顔を塞ぎつつもワレチューの捨て身とも言える攻撃を喰らう光樹の名を叫ぶ絵里奈。辺りを光が包む。

 やがて光が晴れた先で見たのは、電撃が未だほとばしりながら、地面に倒れ込む光樹のシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスと、身体に残っていた電撃を振り払い、疲労を見せつつも未だに健在の猛争・武装化ワレチューであった。

 

「そ、そんな…………」

 

「何てこと……」

 

 同じく見ていたパープルハートもその威力とワレチューの耐久性に驚く。明らかに自身を巻き込んだ攻撃であるにも関わらず、機体の装甲に焦げが見えている程度のダメージだった。

 そして、まだ戦いは終わっていない。それを示すようにワレチューは光樹に背を向け、今度はパープルハートと絵里奈の方向に体を向ける。

 

「ふしゅー……ふしゅー……!!」

 

「くぅ!!」

 

 パープルハートも機械刀を向ける。しかし戦力はほぼ半壊。残っている者達もパープルハート以外は消耗している。この絶望的状況をどう立ち向かえばいいのか。

 しかし、諦めることは許されない。絵里奈は心を奮い立たせて、ANHXキャノンバスターを向ける。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。あー、ようやく暖房が効いてきたよ……。

シエラ「ようやくってところね。それでも部屋に入った直後よりはマシだわ……」

ジャンヌ「部屋の方もいいですけれど、光樹さん達、かなりピンチに陥っていますね……」

シエラ「そういえばそうですね。尻尾からの放電とか、腕部で地面を割っての攻撃はこの作品でのオリジナルの攻撃法みたいね。藤和木の考えかしら?」

そうだよー。そのままだと5人相手には勝てないでしょうよ。まぁ、大抵武装化は攻撃バリエーション増やすのと耐久力増やすが目的だから、狙い通りではあるよ。

ジャンヌ「そのおかげで光樹さん達は苦戦していますからね。次回はここからどうなるのでしょうか……」

シエラ「ネプテューヌ編最後の戦いだから、光樹達には何としても踏ん張ってもらわないと、ですね。藤和木もストック回復させなさいよ?」

そうですね……テスト期間とか全然書けていないですし……。それでは今回はここまでです。

シエラ「次回は1週間後の水曜日の投稿になるみたいよ。藤和木もテスト期間終了の日は少し落ち着きたいみたいね」

ジャンヌ「それでは皆様。次回もよろしくお願いいたしますっ!」

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