新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

157 / 170
どうも、皆様。明けましておめでとうございます!SSRと言う名のG、作者の藤和木弘です!

ジャンヌ「今回はアシスタント全員であいさつです、今年の抱負は就職で忙しくなる藤和木を今まで以上にしっかりとサポートしたい、ジャンヌ・ドラニエスですっ♡」

レイ「こっちに来て2回目の年越し!今年の抱負は、ディーバ総選挙3冠達成!なレイ・オーバだよっ!」

シエラ「レイさんは本当に目標が高いですね。まぁ、わたくしも今年はディーバ総選挙のランクインしたいわね。シエラ・ムルセーヌよ」

ソニア「私の抱負は、昨年も言ってたけど、落ち着きが欲しいです!ソニア・A・ワスプでう!……いきなり噛んじゃったぁ……」

シエラ「しょっぱなからそれって、何だか心配ね」

レイ「あはは、これからちゃんと出来る合図かもねー」

ソニア「はうう……そうであってほしいと思いたいです……」

ジャンヌ「さて、今回はあいさつで少し使ってしまったので、早めに今回のお話の紹介にしますか?」

うん、そうだね。今回は第143話の投稿です。

レイ「前回はDRXの動きを止めたんだったね」

シエラ「止めた、というより、沈黙させたって方が合ってる気もしますけど……」

ソニア「でも説得ってタイトルからもここが正念場って感じですよねっ」

ジャンヌ「そうですね。とはいえ、後半の正気へと戻す光、という所から分かりますが、簡単にはいかなさそうです」

さぁ、新年1発目の更新、光樹君達はビーシャ達を救うことが出来るのか?それでは本編へ!


第143話 説得、正気へと戻す光

 

 

 強力な一撃で、何とかビーシャを止めることに成功したパープルハート達。しかし、先程のビーシャの言葉で、未だに洗脳が解けていないことは、パープルハートの心に油断を作らせてはいなかった。

 流石にゴールドサァド、私達女神と変わってゲイムギョウ界の守護者になったのは伊達じゃないわね……。もう少し付き合ってあげてもいいけれど、でも、ここで止めなくちゃ……!

 パープルハートは未だ戦意を見せるビーシャに向かって語り掛けるように呼びかける。

 

「ビーシャ。お願い、正気に戻って!見えないの!わたしたちのプラネテューヌが……。そして、逃げ惑う子どもたちのことが!」

 

 悲痛そうに叫ぶパープルハートの声。その言葉通り、パープルハート達とビーシャが戦っている周りには、多くの逃げ遅れた子供たちがいた。中には瓦礫に隠れながら、こちらの戦闘を窺っている子供の姿も見られた。

 そんな子供達を、もうこれ以上危険には合わせられない。それを伝えて、この戦闘を終わらせなければならない。しかし、パープルハートのその言葉に、ビーシャは疑いの目を向ける。

 

「……子どもたち?モンスターがわたしを騙そうったって、そうはいかないんだから」

 

 そう言うとバズーカを持つ手を横に振るう動作をして自身に今見えている世界を話し出す。

 

「ここにいるのはみーんなモンスター。モンスターは子どもの敵。子どもの敵はわたしの敵!だから、モンスターは皆殺しよ!」

 

 無情にも言い放たれたその言葉。それはパープルハートの心を抉る。自身の訴えも、今のビーシャには届かない。自分の無力さ、そして本心から言っているわけではないはずのビーシャからの反応にパープルハート、そして後ろで構えているコンパとアイエフは複雑な表情を浮かべる。

 もしかすると、もうビーシャを解放することは出来ないのかもしれない。そうなれば、ビーシャの意識を失わせる必要が出てくる。だが最悪の場合……。その結末を浮かべてしまったパープルハートは、この悲しい現状に対し言葉を吐く。

 

「……どうして、届いてくれないの」

 

 これだけ願っているのに、ビーシャの洗脳を解くには至らない。しかし、諦めるわけにはいかない。続けてパープルハートが説得しようとしたところで、突如視界の端の方から何かが飛んでくる。それは光樹の所で戦っていたDRXの巨体であった。

 

「ぐああぁぁぁぁ!?」

 

 勢いよく飛んできたDRXは絶叫を上げつつもダメージを受けた体を何とか起き上がらせる。スパークがあちこちに飛び散っている。大ダメージなのは一目で分かる。

 その後に続いて、パープルハート達の元にゴッドクロス・ダイ……光樹達が合流する。合流すると同時に、光樹のガンダムから光が消え、機体各部の展開部分が収納され、ゴッドクロスの姿に戻る。

 

「パープルハート、どうだ?」

 

「光樹……。残念だけど、あんまりよくはないわ」

 

 声をかけてきた光樹に対し、パープルハートはそう残念そうに呟いた。ビーシャに話しても、まったく耳を貸してくれない状況なのだ。自然とそうなってしまう。

 それを聞いていた光樹も言葉に詰まる。しかし、いつまでもそう落ち込んでいる暇はないことも知らされる。不意にステマックスとローゼンの声が飛んだ。

 

「グハァ!?」

 

「ステマックス!?うぐっ!?」

 

「ステマックス!?」

 

「ローゼン!!」

 

 不意にその方向に目を向けると、攻撃を受けたと思われるステマックスとローゼンの姿があった。2人ともそれぞれダメージの受けたと思われる箇所を抑えている。

 そのダメージが決定的となったのか、ステマックスとローゼンは遺言のように言葉を絞り出す。

 

「む、無念」

 

「ぐぅ……すまん、女神、黒の少年……いや、和藤光樹」

 

 言葉を言い切ったのち、ステマックス達は地面に倒れる。それにより、邪魔者がいなくなった猛争・武装化ワレチューが、再び進撃を始める。

 暴走状態のワレチューが向かう先を見て、アイエフがその行き先をこちらに知らせてくる。

 

「まずいわ!ネズミが市街地の方へ向かったわ!」

 

「くぅ!マズイ、私達が止めに行くわ!」

 

「俺も行く。絵里奈は光樹のサポートを」

 

「う、うん、分かった!」

 

「頼んだわよ!」

 

 それを止めると言った鈴と勇也が市街地の方に向かう。市街地の方からは既に人々の悲鳴が鳴り響いていた。

 

『うわあああああああ』

 

「バケモノだあああああ!」

 

「た、助けてええええ」

 

「ママあああああああ!!」

 

 老若男女問わずに聞こえてくる人々の悲鳴に、今すぐ向かいに行きたくなる気持ちが沸き上がる。だがそうしてしまえば、今度はビーシャを止めるものが居なくなってしまう。上手く動けないこの状況に、パープルハートはもどかしく感じ、それと同時にどうすればいいのか分からなくなってしまう。

 とうとうパープルハートの口から、弱音が出る。

 

「この状況、どうすればいいの……!?」

 

 八方ふさがりのこの状況に、女神である自分がとても不甲斐なさを感じる。しかし、当然その悩みを相手が待ってくれるわけではない。ダメージコントロールを完了したDRXが立ち上がり、両腕部の武装を市街地に向ける。

 まさか……攻撃を!?わたしの中で危機感が高まる。わたしと同じように察した光樹がすぐにその前に出て制止しようとした。

 

「くっ!これ以上はやらせない!!」

 

 しかし、その砲門から光の弾幕は放たれることはなかった。攻撃を受け止める準備を行っていた光樹と対比して、ビーシャ達の様子がおかしくなっていたのだ。

 

「……っく!」

 

「あ、あぁ……?この……声、は……?」

 

 ビーシャ達の様子をコンパや絵里奈が指摘する。

 

「ねぷねぷ、光樹さん、ビーシャさんとDRXさんの様子が……!」

 

「本当だー!でも、どうして……」

 

「まさか、子どもの声に反応しているの」

 

 アイエフの指摘でパープルハート達に希望が見える。もし本当に子供の声に反応しているというのなら、その声が洗脳を解くカギとなるかもしれなかったからだ。

 アイエフの言葉に反応したのか、チューコと鈴奈が呼びかけを行いながらビーシャの方へと向かっていく。

 

「ビーシャ様!!」

 

「ビーシャ……様ぁ!!」

 

「チューコさん!?鈴奈さんまで……!?」

 

「だ、ダメだよ!今のビーシャちゃんに不用意に近づいたら!!」

 

 2人の行動はあまりにも危険だ。確かに先程、子どもたちの呼びかけで一旦動きの止まったビーシャとDRXだが、それが本当にそうなのかも分かっていない。コンパと絵里奈が止めるのは当たり前の行動だ。

 もちろんパープルハートも止めるべきだとは思った。しかし、もし子供達やチューコ達の言葉で彼女達を救えるのであれば……そのわずかな可能性に賭けてみたい、そう思った。

 同じく、止められたチューコが行動せずにはいられないことを告げる。

 

「こんな時にそんなこと気にしてられないでちゅわ!うちのお客の子どもたちを守るためにも、プレスト仮面の力が必要なんでちゅの。子どもがメインの顧客の店が、客を失ったらどうなるか……。考えただけでも、おぞましいでちゅわ」

 

 それは、今ここで言うべき台詞なのだろうか、という感想を聞いていた全員の脳裏に浮かび上がらせた。おそらくパープルハートが女神化していない、ネプテューヌの時点でそれを聞いていたのなら、真っ先にツッコミを入れていたであろう。しかし、パープルハートよりも先に、話を聞いていた絵里奈が苦笑いを見せてその姿を称える。

 

「あぁ……すごく、お金にがめつ……ううん、お店の店長らしい考え方……商魂たくましいいっていうか……」

 

 意外な考えのためか、絵里奈が素で黒いことを言いかけてしまう。慌てて訂正するも、これはあとでどうなるか気になるところであった。

 店長の話でややこしくなった話だが、そこで鈴奈がフォローに入る。自分自身の意見をパープルハート達に聞かせる。

 

「確かに、営業者にとってお客が減ってしまうってことは危機的な状況です……。……でも、それは同時に、私達が見ることが出来る、子どもたちの笑顔が減ってしまうってことです。子どもたちが傷つくくらいなら……私達が傷ついた方が、はるかにマシ……です!」

 

「鈴奈ちゃん……」

 

「鈴奈、あなた……」

 

 鈴奈の言葉に、思わず言葉が出る絵里奈とアイエフ。2人の思うことは話を聞きながら警戒していたパープルハート達の耳にも届いていた。彼女達も、各々が思う、子どもへの愛を持って今自分達と共にビーシャ達を洗脳から解放しようとしていたのだ。

 そして、先程の言葉はビーシャ達の方に影響があったようだ。2人は頭を押さえながら、本来の守るべき存在について思い出し始める。

 

「た、助けなきゃ……。子どもたちを……モンスター……から……!」

 

「あ……ぁ。そうだ……子供達の笑顔が消えるのは、絶対に……させねぇ……!!」

 

「ビーシャ、DRX……」

 

 2人の言葉に、光樹が耳を傾ける。2人も今、心の中で敵の意志と戦っているのだ。

 

「わたし達が……プレスト、仮面が……ゴールデン、プレスト、が……助けて、あげなきゃ……。でも、モンスターが……」

 

 苦しみながらも絞り出されるビーシャの言葉。やはりビーシャも戦わなければいけないと思っていたのだ。しかし、そこにはやはりモンスター恐怖症がビーシャの願いを遮ってしまっていた。

 どうしようもない恐怖の記憶。だがそれは同時に超えられる自分の限界でもあった。そして、それは無理に超える必要はない。パープルハートは自分の思いを乗せてビーシャに説く。

 

「ビーシャ、聞いて。誰だってモンスターは怖いものよ。わたしだって怖いわ。でもね、その怖さを無理に克服しようとしなくてもいいの。あなたなら持っているはずよ、それを受け入れる勇気を」

 

 その言葉を聞いて、ビーシャの意識が戻り始める。パープルハートの発した、「受け入れる勇気」という単語に反応する。

 

「怖さを……うけ、いれる……。そっか、怖くても、いいんだ……」

 

「えぇ。怖さを知らなければ、ヒーローにはなれないわ」

 

 わたしもビーシャの言葉に頷き返す。弱さもまたその人にとっての強さだとわたしは思っているわ。だから、ビーシャ……。

 しかし、そう言った直後、再びビーシャ達が苦しみだす。

 

「うっ!うわぁあぁ!!」

 

「ビーシャ!?」

 

 パープルハートは思わず声を上げてしまう。いきなり苦しみだすビーシャを抑えようとする。同じように、先程までパープルハートの言葉に同じように耳を傾けていたDRXもその腕を再び市街地の、モンスターが暴れている方向へと向ける。

 しかし、それは彼らの意志ではなかった。DRXが、DRXを構成する機体達がパープルハートや光樹に対し、制止を求める。

 

「パープルハート……わ、和藤光樹、止めてくれ……っ!」

 

「私達じゃあ、もう、この力を止められない……R1が制御しようとしているけれど……あぁっ!!」

 

「R2、R3……!」

 

 DRXの中核をなすR1と共に戦う存在、R2とR3の声が途切れ途切れとなりつつも聞こえてくる。彼らも洗脳の影響から解放されつつあったのだろう。しかし、今また強まった洗脳の影響が彼らの意志の覚醒を阻んでいる。

 必死に洗脳により高まる敵意を抑え込もうとするビーシャが、パープルハートに対して乞う。

 

「お願い……ねぷねぷ……!わたしに、これ以上傷つけさせない……で!」

 

「ビーシャ……」

 

 ビーシャからのお願いにパープルハートは葛藤する。おそらく気絶させてと言うことなのだろう。気絶させることが出来れば、今のビーシャ達の暴走を止められるかもしれない。

 だが、本当にそれでよいのだろうか、という気持ちもあった。ここで気絶させてしまっては、ビーシャの本当の気持ちを……子供たちをモンスターから守るという願いを達成させることが出来ない。

 もちろん無理にはさせないことはさっきも言った通りだ。けれどもビーシャの願いを叶えてあげたい。これがビーシャにとって大きな転換点となるのなら……。

 しかし、考える間にビーシャの悲鳴が更に大きなものとなる。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 

「ビーシャ……!くっ!!」

 

 その声を聞いて、パープルハートは決心する。ビーシャを苦しみから解放する、そして、これ以上ビーシャの願いをビーシャ自身の手で汚させないためにもパープルハートは剣の峰を向ける。

 ところが、そこで横から光樹の声が響く。

 

「パープルハート……いや、ネプテューヌ。お前が行動する必要はない」

 

「光樹!?でも……」

 

 光樹からの拒絶の言葉にパープルハートは反論しようとする。だが、その後に続いた光樹の言葉に、パープルハートは沈黙し、納得することとなる。

 

「ここで直接攻撃する必要はない。……俺達がやるのは、心に訴えかけるってことだけだ」

 

「……えぇ、そうね。あなたの言う通りだわ」

 

「ってことは「あれ」だね。了解ー!」

 

 パープルハートは表情を明るくする。絵里奈の方も光樹の行動を理解し返事を返す。パープルハート自身はよくは分かっていなかったが、今の光樹なら、この状況を何とか出来る。そう感じたのだ。

 光樹はまさにその通りの方法でビーシャ達を解放する手段を繰り出した。ゴッドクロスが再び飛び上がると、機体を赤色化させる。TRANS-AMシステムが起動し、光樹はその場にいた人々に呼びかける。

 

「頼む、みんな。彼女達を解放する為に、みんなの思いをくれ!!」

 

 その言葉はパープルハート達だけではなく、民間人の人々に対しても向けられていた。強い思いの力を核にするためだ。パープルハート達がまず頷き、やがて見ていた子供やその両親達も光樹の指示に従って祈りを見せ始める。

 しかし、それではDRXの動きは、2人の洗脳の影響は止まらない。とうとうDRXのハイフィンガーバスターが光樹のいる方向……市街地へと向けられる。それと同時に、ビーシャとDRXの声が重なって絶叫として響き渡る。

 

「やめろぉぉぉぉ!撃たせるなぁぁぁぁ!」

 

「嫌だぁぁぁぁ!!」

 

 ハイフィンガーバスターの砲門が光る。だがしかし、それと同時に光樹の方もまた行動を起こしていた。赤く光る機体から冷静沈着なAIの声がその機能の名を告げる。

 

 

 

 

『――――トランザムレボリューションバースト、始動』

 

 

 

 

 赤々と輝くゴッドクロスの機体が緑色に変わる。それと同時に機体から赤と緑の混ざり合ったAN粒子が大量に吐き出される。一方DRXの方からもハイフィンガーバスターが暴発し、弾丸が放たれる。しかしその弾丸はAN粒子の起こす圧倒的な粒子の奔流により防がれ、霧散する。

 解放されたAN粒子の波は更に大きく広がり、あっという間にDRXとビーシャを飲み込む。当然パープルハート達も粒子の波に飲み込まれていった。圧倒的な粒子で視界が奪われる。それと同時に意識が宙に浮く感覚を感じる。

 この光、見たことがあるわ。そう、あれは……マジェコンヌとの零次元での最後決戦の時に、光樹がモニター越しに見せた光……。一度展開を阻害されたシェアリングフィールドのシェアを集めなおすためにこの光が発せられたんだわ。

 パープルハートの脳裏に当時の記憶が呼び覚まされる。しばらくすると光が徐々に弱くなる。しかし、その光が少し晴れた先で見たのは、先程よりも弱いが、それでも十分に光を放つ空間。そこにいたのは、赤い靄に包まれ、苦しむ様子を見せるビーシャとDRX、そして光を放った本人である、光樹のゴッドクロスであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 光樹の考え通り、トランザムレボリューションバーストが作り出した量子空間へとビーシャとDRXを飲み込むことに成功した。それは洗脳の影響で苦しむビーシャとDRXを救うにはこれしかないと判断した故の行動であった。言葉での説得は通じている。なら後は心への侵食を直接心理空間で視覚化して排除するしかない。

 光樹自身も上手くいくかどうかは分からなかった。しかし、かつてこの機体の動力と理論が似たガンダムの話を思い出し、更にビーシャ達自身の力で洗脳が弱まった、このタイミングでこれしかないと確信した。結果、その判断は功を成し、2人の精神空間に入り込むに至った。

 精神空間の状況を把握した光樹は早速同じく精神空間に入り込んでいたパープルハートに合流を果たす。

 

「パープルハート、動けるか?」

 

「こ、光樹。えぇ、こっちは問題ないわ。それより……これは」

 

 パープルハートもいきなりこの空間に放り込まれたことに困惑しているようだ。しかし、そんな悠長に時間を消費する暇はない。この空間がいつまで維持できるかどうかが分からない以上、すぐに行動しなくてはならない。光樹は説明を省いて問題だけを明確化する。

 

「話はあとだ。とにかく、ビーシャ達を覆ってるあの靄を何とかしよう」

 

「分かったわ。けど攻撃が効くの?」

 

 投げかけられた疑問に対し、答えたのはゼロであった。

 

『問題ない。彼女達を覆うあの靄、その靄と彼らをつなぐ部分を断ち切れば洗脳は解ける』

 

「そう。なら、さっさと終わらせましょう。2人のためにも」

 

「あぁ。行くぞ!」

 

 2人は納得を示すと、それぞれの目標に向かって飛翔する。パープルハートはビーシャ、そして光樹はDRXを担当する。それぞれの目標までたどり着くと、それぞれ合図を送る。

 

「光樹、準備はいい?」

 

「問題ない。合わせる」

 

 互いに確認し終えたのち、2人は武器を手にしてその靄と対象を繋ぐ部分を断ち切る。

 

「せぇい!!」

 

「おらっ!!」

 

 断ち切れると、赤い靄はエネルギー元を失ったかのように霧散していく。そして量子空間に光が再び溢れる。その光に4人は飲み込まれていく――――

 

 

 

 

 次に光樹が目を開けたとき、その風景は元のプラネテューヌの市街地に戻っていた。機体のトランザムシステムは解除され、目元のバイザーにはトランザムが限界を迎えていることを告げるポップアップが表示されていた。

 ふと、ビーシャ達のいた方角を見る。すると、そこには元の状態に戻ったビーシャ達と、それを介抱するコンパ、アイエフ、絵里奈、チューコ、鈴奈の姿が見受けられた。同じく量子空間に入っていて行動が遅れたパープルハートと顔を見合わせたのち、2人もすぐにビーシャ達の元に向かった。

 地面を走りながら目的の地点にたどり着くと、アイエフが油断を許さない発言をする。

 

「……さて、ビーシャとDRXが正気に戻ったところで、残るは、あのネズミの化け物ね」

 

「そうだねー。鈴ちゃん達、大丈夫かなぁ……」

 

 絵里奈はステマックス達に代わって足止めを行っている鈴達の無事を心配する。猛争化していたビーシャとDRXと互角に渡り合っていたのだ。その不安はよく分かる。しかし、光樹はまだ大丈夫だと感じていた。

 なぜか、は分からない。しかし先程のトランザムレボリューションバーストの影響で蘇った記憶がそう感じさせていた。彼らはSSRNPと一番長く共に戦ってきた。だから戦いはよく分かっている。そうそう負けるわけはない。

 しかし、それはあくまで渡り合えるというだけ。倒すのはまた別の問題だ。それを案じてか、正気を取り戻したビーシャが2人の手助けを優先する発言をする。

 

「……なら、急ごう」

 

「ビーシャさん、その体で大丈夫なんですか!?無理しちゃダメです」

 

 そのダメージを見てコンパからもストップがかかる。医療関係の仕事を扱うコンパの発言通りなら、無茶させるのはよくはない。だが、ビーシャもそれを承知で反論をする。

 

「無理だからって、呑気に休んでられないよ。こういう時こそ、ヒーローの出番なんだから」

 

「ビーシャ……分かったわ。けど、コンパの応急処置を受けてから、ね?」

 

「ねぷねぷ……うん、わかった」

 

 パープルハートからの指示を受けてビーシャはそれにおとなしく従う。その一方でDRXの方はそれを見て少し心残りのように悔いを漏らす。

 

「残念だが、俺は少し暴れすぎたみてぇだ……。光樹、ビーシャのこと、頼めるか?」

 

 唐突に相談される、ビーシャのアシスト。てっきりDRXも援軍に加わると思っていたので少し驚いたが、その言葉をしっかり受け止める。

 

「分かった。あとは俺達に任せ……」

 

 ところが、そこで唐突にR2の声が響く。

 

「R1、遠慮なんてするんじゃない」

 

「R2?どういうことー?」

 

 同じく話を聞いていた絵里奈がどういうことかの説明を要求する。遠慮とはどういうことなのか。それはすぐに知らされる。

 

「R1ってば、私達の損傷具合を心配しているのよ。まだ十分に戦えるっていうのに」

 

「な……!そんなことは……」

 

 続いたR3の説明とそれに対するR1の反応を見て、光樹も少し理解する。要するに仲間の損傷具合を懸念しての断念だったようだ。

 その反応からしてR1はそれを隠したかったのだろう。仲間に無茶をさせない為に。合体機のリーダーとして、仲間を酷使することが出来なかった。だがしかし、遠慮を持つR1に、R2とR3が言う。

 

「R1、俺達だってビーシャの力になりたい。俺達の気持ちも汲んでほしい」

 

「らしくないわよ、R1。こんなところで立ち止まるあんたじゃないでしょ?」

 

「R2、R3……」

 

 しばしの間、R1が沈黙する。仲間からの言葉にどうするべきかを考えていた。その様子を光樹と絵里奈はただ見つめる。ここは光樹達の介入する話ではないと判断したからだ。

 そして、次にR1が発した音声は確かな答えであった。

 

「分かった。行こうぜ、俺達の護るべきものの為に!!」

 

 そしてその答えを光樹達にも告げる。

 

「光樹、さっきの言葉は撤回だ。俺達も一緒に行く!」

 

「あぁ。分かった。一緒に行こう!」

 

「うんうん、それでこそって感じだね!」

 

 5人が頷く。ビーシャの手当てが終わると7人と、その後を追う2人は市街地……猛争・機械化状態のワレチューの元へと急いだ。

 

 

 TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。新年1発目から粒子大放出でしたね。

シエラ「いや、在庫放出みたいなノリで言わないでほしいわ……」

レイ「うん、何だかそんな感じするよね。でも新年から鮮やかな場面、そして希望ある展開っていうのはいいんじゃないかなっ♪」

ソニア「それは間違いないですね!暗い展開から明るい展開が来るっていうのが、新年の始まりとしてとてもいいことだと思います!」

ジャンヌ「後はワレチューとの決戦……DRXさん達、いえ、この場合はビーシャさん達と言った方が良いでしょうか?ともかく、全員の力を結集してのネプテューヌ編の決戦となることは間違いないですね」

最終決戦、果たしてどうなるのか?……さて、それじゃあ私もこれからの予定と合わせて抱負でも言うかな?

ジャンヌ「あら、ちゃんと言うんですね」

ソニア「どんなことを抱負にするんですか?」

まぁ、SSRの更新をちゃんとする、かな?

シエラ「なんか面白くないわね、真面目すぎて」

レイ「そうだよ、もっと大きな目標にしなくちゃ!」

えー……でも今年から働くことになるから、それも出来るか少し怪しいからそれにしたんだけど

シエラ「それにしたって、他にないの?」

んー……。じゃあ、2つでいい?

ソニア「抱負を2つ、ですか?」

レイ「んー、内容によるかな?言ってみて?」

バトスピチャンピオンシップ地方予選参加!

ジャンヌ「バトスピですか……でも、いいかもしれませんね」

シエラ「それもちょっと……けど、2つ掲げるから、まぁオッケーにしておくわ」

レイ「もちろん、ディーバで店舗決勝突破だよね♪」

ソニア「えっ!?ジャンヌさんが入ったデッキでですか!?」

ジャンヌ「本当ですかっ!?藤和木っ♡」

待て、そんなことは言っていないぞ!?

レイ「あはは、冗談だよー」

はぁ……新年しょっぱなから焦りますよ……

シエラ「けれど、それはそれでいいかもしれないわね」

ソニア「そうだね。それが出来れば、カッコいいですよね」

ならジャンヌさんの強いカードを今度のブースターで出してください\(^o^)/

ジャンヌ「それはバンダイさんのみぞ知る、ですよ、藤和木」

そうだね……。さて、今回はここまでです。次回の投稿は金曜日になります。

ジャンヌ「それでは皆様、今年もこのSSRと言う名のGをよろしくお願いしますねっ」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。