新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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どうも、皆様年明け直前、いかがお過ごしのことでしょうか。私はのんびり過ごしつつも、就職先の企業からの宿題として出されている資格の勉強をしています、藤和木弘です。

レイ「でもまぁ、少し遊びの方に重点は寄ってるけどねー。どうも、みんな!今年最後の投稿になるよー、レイ・オーバだよっ!」

ソニア「私とシエラはこっちに来て初めての年末ですが、やっぱりこっちも大掃除とか大変ですよね。どうも、皆様。来年の抱負を今から考えています、ソニア・A・ワスプです!」

レイ「あー、抱負かぁ。去年私なんか言ったっけ?」

何も言ってないとは思うけど……。まぁ、それは後々考えればいいさ。ちなみにソニアさんは?

ソニア「やっぱり、文字をかまないようにしたいです……。というか、落ち着きを欲しいですぅ……」

ははは、それは頑張ってほしいね。さて、今回は第142話の投稿です。

レイ「光樹君達VSDRXとの対決だね。ゼロ距離の砲撃も気になるけど、また光樹君は怒りの拳炸裂みたいだね!」

ソニア「なんだか、怒りの拳って使うこと多いですよね」

だけど、今回は光樹君の新たなNFBが炸裂しますよ。その連撃は、果たしてDRXを打ち破ることが出来るのか?それでは本編へ!


第142話 襲い掛かる黄金の戦士達―ゼロ距離の砲撃、怒りの拳―

 

 

「ちぃ、テメェらモンスター共が、俺達の道を阻んでんじゃ、ねぇよッ!!あの世へ行きやがれ!!」

 

 DRXの雄たけびと共に、再び全体への攻撃が放たれる。咄嗟に防御する絵里奈達。機体稼働のための重要な部分への防御を成功させるも、装甲に着弾したミサイルやエネルギー弾の爆発で装甲に軽微のダメージが徐々に蓄積されていく。

 うー……、ちょっとダメージが溜まってきたかも。まだ全体の損傷率で言うならそれほどでもないけど、この状況が長続きするって可能性は出てきてるなぁ。そろそろこっちも本気で行った方が良いかもー。

 この状況を良くないと判断した絵里奈は、横合いから攻めようとしていた光樹に気づく。光樹も先程吹き飛ばされてしばらく攻撃していなかったので突撃していたのだが、それは絵里奈にとってもありがたいことであった。同時攻撃ならフィールドを貫く、もしくは張られる前に攻撃が出来ると踏んだのだ。

 両手にANZXアームズを構えると、絵里奈はDRXに向かって飛んでいく。ANHXウイングスラスターを吹かせて突っ込んでいくのを見て、鈴が援護を行う。

 

「絵里奈、頼んだわよ」

 

「うん、まっかせてー!」

 

「そっちに合わせる」

 

 同じく勇也もコンテナユニットの武装で支援攻撃を行う。コンテナの正面から右下に位置するカバーが開き、外に触れた砲門から拡散ビームが放たれる。鈴はソードカノンでの支援砲撃だ。

 迫る2方向からの攻撃に対し、DRXはミサイルで迎撃する。マイクロミサイルが突撃を敢行する光樹と絵里奈、支援を行う鈴に向かって放たれる。ミサイルを吐いたのち、DRXの装甲部は閉じられる。

迫るミサイルに、光樹の方は両腕にビームサーベルを構えたまま頭部から光を輝かせる。ANZEROユニットからのZEROキャノンの光だ。一気に放たれたビームは空を薙ぎ払うように放たれ、向かってきていたミサイルの波に大きな穴を空けた。大きく開けた敵の弾幕の間をゴッドクロスは通り過ぎていく。

 一方の絵里奈の方は脚部の武装を展開する。脚部装甲が開くと、その中から3本の弾頭が姿を現す。それが両足合わせて6本。そのミサイルに発射指示を送る。

 

「行って、ANチャフミストマイクロミサイルー!」

 

 絵里奈の声を合図に3本のミサイルがAN粒子の尾を引いて放たれる。しばらく進んだのち、ミサイルは弾頭を分離させる。するとその後部から細かな粒子サイズの物が空にばら撒かれる。ミスト状のチャフだ。空に展開されたミストチャフはAN粒子の干渉により広域に展開される。その中にDRXが放ったミサイルの群れが突っこんでいく。だが、そのわずかな時間で次々とミサイルは空中で爆発。絵里奈に届く前にほぼすべてのミサイルが撃ち落とされることとなった。

 すべてのミサイルが空で散って、地上はその爆発の光で照らされる。その爆発が残る中を、絵里奈はANHXウイングスラスターと脚部のミサイルを放ったユニット、ANマルチサポートユニットの外側に装備されたANハイパーEXブースターを噴射して突っ切っていく。爆炎を抜けた先で絵里奈の目に見えたのは暴走するDRXの姿。既に光樹が攻撃を仕掛けていた。

 

「はぁぁ!!」

 

「吹き飛べェェェェ!!!!」

 

 ANデストロイイーターⅡとD・Oソード。2人の持つ大型格闘兵装がぶつかり合う鍔迫り合いの状況だ。DRXの腕力で光樹が弾かれ、そこに更に追撃としてDRXが上段の構えから一気にソードを振り下ろす。辛くも光樹がこれをANデストロイイーターⅡで防御する。が、その勢いに負け、ANデストロイイーターⅡが破壊される。デストロイイーターⅡが破壊されたことで受け止めていたD・Oソードの刃が光樹を斬る。

 

「ぐぅぁ!?」

 

「光樹君!?この……っ」

 

 絵里奈は悲鳴を上げる。光樹が斬られた、という事実に恐怖を感じたからだ。斬られた状態から地面に叩き落されたゴッドクロスは地面をバウンドしながら吹き飛ばされる。

 しかし、その事実は絵里奈に怒りの感情を持たせるには十分だった。素早く両手に握っていたANZXアームズのソードモードを逆手持ちにすると、スラスターを大きくふかせて空に飛びあがる。そこから一気に降下し、DRXの胸部装甲に目がけてANZXアームズを突き立てる。

 だが、その攻撃はDRXが展開したサイキックフィールドに阻まれてしまう。DRXを敵の攻撃から守る最大の盾。それをガンダムR-ZXの剣は貫くことが出来なかった。ところがそれで絵里奈は退くことはなかった。

 

(攻撃を受け止められた……でも、まだ終わりじゃない!)

 

 受け止められた状態で胸部を前に突き出す。すると胸部に存在していた獣の顔が前に展開される。その獣のパーツからはビームの刃が展開される。ビーム刃が展開された胸部ユニットが敵のフィールドに接触する。フィールドは通そうとはしなかったが、それに構わず絵里奈はカートリッジシステムを起動させる。

 

「カートリッジ、ロード!!」

 

『了解、出力増大』

 

 R-ZXのナビゲーター「モデル」が返答すると更に胸部の顔がフィールドにねじ込まれていく。段々とフィールドを突き破っていき、最後に大きくその口を開くとフィールドは完全に破壊される。

 フィールドが解除されたことで持っていたANZXアームズ・ソードモードが胸部ユニット「ANケルベロスヘッドユニット」の牙と共にDRXの装甲に突き立てられる。その攻撃でDRXが面食らった声を上げる。

 

「馬鹿な?フィールドを破った!?」

 

「このまま……行くよっ!!」

 

『ANバスターキャノンⅤ改・改、発射』

 

 モデルの声と共に胸部のケルベロスユニットの口部分に内蔵されていたキャノン砲が放たれる。ゼロ距離からの砲撃はDRXの装甲を抉りながら吹き飛ばす。

 しかし、絵里奈もその影響を受けないわけではない。その反動で絵里奈も大きく後方に飛ばされる。

 

「うわぁぁ!」

 

 吹き飛ばされつつもスラスターを吹かして何とか反動を抑え込む絵里奈。その直後、後方から鈴と勇也による追撃がDRXを襲った。攻撃を受けて2度揺らぐDRXの巨体。

 ふぅ……ダメージは与えられたみたいだね。私はそう感じ取る。胸部装甲へのゼロ距離砲撃、ついやっちゃったけど、光樹君に攻撃が及ばなかったからこれでいいよねー。

 突発的な行動を反省するも光樹への追撃がなかったことに安心する絵里奈。ところが、攻撃を喰らったDRXが立ち上がると、攻撃の矛先を絵里奈に向けて急接近を開始し始める。

 

「ゼロ距離からの攻撃たぁ、生意気じゃねぇか、モンスター!!」

 

「ちょっ!いきなり攻撃ー!?」

 

 地面を揺らしながら距離を詰めるDRX。スラスターを吹かして更に距離を詰めると、D・OソードをR-ZXに振り下ろす。大型のエネルギー剣を受け止めるべく、素早く腰のANミラージュバスターソードに持ち替えて防ぐ。

 攻撃を何とか受け止めることには成功する。受け止めた場所からエネルギーと火花の弾き合いが起こる。だが出力は当然DRXの方が上、すぐに押し込まれて片膝を突いてしまう。

 

「くうぅ……お、重いぃ……!」

 

「絵里奈!!」

 

 悲鳴を飛ばした鈴がANソードカノンⅢとANビームブラストマグナムを同時に発射する。その攻撃は真っすぐDRXに着弾し、爆発を起こす。だが、それでもDRXを絵里奈からどかすことは出来なかった。

 すると今度は勇也が接近攻撃を仕掛ける。手には大質量で対抗しようとANエクサランスアームズⅡがバスターソードモードで握られていた。そのまま大振りで振り回す。

 

「こっちを向け、このっ!!」

 

「ハッハア!!そんな程度……でぇ!!」

 

 だがそれを見切っていたDRXは鍔迫り合いを一旦解くと絵里奈の体を蹴飛ばし、R-ZEROをD・Oソードで迎え撃つ。ぶつかり合う大型の剣。それでも勢いに負けたのは攻撃を行った勇也の方であった。

 

「てんにゃろうがァ!!」

 

「ぐおっ!?」

 

 思い切り横薙ぎに振られたDRXの大剣に弾かれ、勇也のR-ZEROがビルの壁面に叩き付けられる。叩き付けられた衝撃で勇也の空気が吐き出された声が聞こえる。R-ZEROは壁面から抜け出そうとしていたが、その前にDRXが追撃を放つ。

 両腕部からハイフィンガーバスターが一気に放たれていく。連続して放たれたその攻撃で勇也のR-ZEROは瓦礫の塵によってその姿を確認できなくなってしまっていた。何とか無事を確認しようと鈴が通信回線に呼びかけていた。

 

「勇也、大丈夫なの!?」

 

 しかし、その声をかけている間にもDRXは攻撃をやめない。今度は鈴の方に赤・緑・青に輝く念力の結界弾を放っていく。

 

「こいつで動きを止めてやらァ!」

 

「くっ!!」

 

 鈴も気付いて回避行動を取るが、いかんせん弾数が多かった。ギリギリのところで避けていくが、動きに機体の性能が追いつかなくなっていく。

 そして、とうとうその念力による磁場が鈴のR-EXEグレイガを捕らえた。球体に捕まると、鈴の動きが止まってしまう。

 

「鈴ちゃん!!」

 

「く……動け……ない!」

 

 絵里奈が呼びかけても鈴は全く動こうとはしない。動けずにいた。一方DRXはそれを見て得意げに叫ぶ。

 

「モンスター如きが、逃げられるとでも思ってたのかァ!吹っ飛べ!!」

 

 そう語るDRXはその手にD・Oソードを構えていた。あんなもので叩ききられたら、ガンダムタイプとはいえMPの範囲内の性能しかないR-EXEでは耐え切れない。危険な状況だ。

 もちろん、それをただ見ているわけには行かない。すぐに敵の行動を妨害しなければならない。絵里奈は機体のトランザムシステムを発動させてその手にANHXキャノンバスターを持つ。モードは威力重視のキャノンモードだ。腕をしっかりと固定しその一撃をDRXの腕部に放った。

 

「こっのぉぉぉぉー!!」

 

 絵里奈も声を上げて渾身の攻撃を放つ。ANHXキャノンバスターの反動で放ったR-ZXの機体が大きく揺さぶられる。反動でトランザム中の機体の残像が小刻みに発生する。その砲撃は絵里奈の狙い通り、その一撃はDRXの腕部に直撃をする。

 しかし、攻撃を当てて爆発を起こすDRXの手であったが、爆炎が晴れると、その手にはまだD・Oソードが握られたままであった。

 う、うそ……。R-ZXのトランザム下の高出力射撃でも無理なの?私は心の中で困惑する。けど、その手に見えた輝くものを見てその理由を察する。フィールドだ。DRXはその手にサイキックフィールドを形成して邪魔となる攻撃を防御したんだ。

 絵里奈の思った通り、DRXは手元の防御の為にフィールドを展開していた。他からの攻撃で邪魔されるのを嫌ってフィールドで攻撃をシャットアウトしていた。特別絵里奈の砲撃を警戒しての事ではなかったのだが、この行動が絵里奈の精密射撃による妨害を無駄とした。

 攻撃を凌がれたことに絵里奈は呆然とする。しかし、DRXが飛び上がろうとするのを見て我に戻ると再びDRXの腕部に狙いを定める。

 

「……くっ!当たって、貫いてー!!」

 

 先程よりも硬く、鋭いエネルギー弾を収束させてから撃つ。が、その前にDRXはドミニオンズボウルで捕獲した鈴に向けて進撃する。もう撃っていては進攻を止められないと判断した絵里奈はスラスターを全開にして鈴の元へ向かう。機体を滑りこませて防御すれば、被害を最小限に出来ると考えたのだ。

 

「お願い、間に合ってー……!」

 

 精密射撃を行いつつ向かう。しかし、DRXの進攻は止まらず距離が詰まっていく。スタートダッシュが遅れた分絵里奈と鈴の距離もDRXよりもある。このままでは割り込めない。

 そして、DRXがその剣の攻撃範囲に鈴を捕らえると大剣を上に掲げる。

 

「これで終わりだァッ!!」

 

「っーー!!」

 

 もう自分の手は届かない。それを察した絵里奈がただただ鈴の無事を心に強く願う。DRXの刃が無慈悲に鈴に向け振り下ろされる――――その時。

 

 

 

 

「やらせねぇ……よっ!!」

 

 

 

 

 唐突に聞こえた声に思わず顔をはっと上げる。聞き覚えのある、絵里奈を安心させる声だ。顔を上げたときには、先程の絶望的状況は変わっていた。

 振り下ろされたDRXの必殺兵装D・Oソード。それが鈴のR-EXEグレイガを覆っていたドミニオンズボウルの障壁を破っていた。その切り裂いたものの中には鈴のR-EXEが……含まれていなかった。斬れたのは念力結界の外縁部分だ。

 なぜ、あのタイミングで鈴は攻撃を受けなかったのか。それは実に簡単だ。DRXの手元を狂わせた存在がいたのだ。その機体は光を放ちつつ変形を行い、赤色化させた機体を2人の間に滑り込ませ、瞬時にDRXの手元を思い切り蹴り飛ばした。過程を見なかった絵里奈も、顔を上げた時に見た光景からそれを察することが出来たのだ。

 DRXの攻撃の軌道を逸らした者はゆっくりと蹴り上げた足を下ろし、腕を格闘の構えに作るその人型機動兵器。自身の攻撃を邪魔されたDRXは唐突の乱入者に拳を飛ばす。

 

「堕ちろ!!」

 

「ふっ!」

 

 しかしながらDRXの攻撃を回避する乱入者。代わりにその拳に、自身の次元力を込めた拳の一撃を放つ。次元の拳を受けて起きた衝撃波でDRXが大きく後退する。

 拳を放ったその機体……その装着者は絵里奈と鈴を守るように立ち、DRXに言い放った。

 

 

 

 

「言ったはずだ。俺は、誰かを傷つけるなら、仲間だったとしても容赦しない、ってな!」

 

 

 

 

 その言葉と共に、その機体、シュバルトゼロガンダム・ゴッドクロス・ダイはDRXに向け飛んでいく。その様子を絵里奈は心強く安心の面持ちで見届ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハン!モンスター風情が、ヒーローのように現れんじゃねぇぜェ!!ガウン・デストロイヤー!!」

 

 DRXが猛ると同時に顔面部からビームを放つ。突発的なビームに対し、ゴッドクロス・ダイ、光樹は避けることなく、その腕部を突き出す。握りしめられたその拳はそのままDRXの放つ高出力ビームを受け止める。そのまま熱量に負けることなく次元力を解放してビームを相殺、打ち破る。

 この時、光樹の脳裏には避けることは考えていなかった。正面から打ち破る。それだけを考えていた。というのも、それはDRXを洗脳から解くために考えた光樹の考えである。

 それはかつての状況を再現することで思い出させるということであった。かつてDRXとぶつかり合った時、光樹はDRXの攻撃を真正面から打ち破った。その状況に近いことを見せることで、DRXの記憶回路に干渉できれば……もしかすると洗脳が解けるかもしれない。

 その考えを持って光樹はDRXへの突撃を続ける。その突撃にDRXも近づけさせまいと一斉射撃を放つ。

 

「このッ!沈みやがれ、DRXフルバースト!!」

 

 既に弾数を切らしたミサイル以外の、DRXの全射撃兵装が発射される。バルカンの雨とビーム砲の嵐が飛んでくる。しかしその攻撃を光樹は少し大型化したゴッドクロス・ダイの次元力がこもった拳でいなしていく。バルカン弾を弾き、ビームをANフレキシブルアームブレイカー「ディメンションブレイカー」で受けとめる。受け止めたビームを拳で握り潰すような動作で消失させる。

 放つ攻撃を次々と相殺されていくことに苛立ちを見せるDRX。光樹もそれは願うところだ。感情を滾らせれば、洗脳の波に介入できるはずだと信じて。しかし、唐突に聞こえた悲鳴が、光樹に更に影響を与える。

 

「きゃあ!!」

 

「ひーちゃん!?」

 

 突如聞こえた親子の声。見ると、そこには吹き飛ばされたと思われる子どもと駆け寄った母親の姿があった。DRXの攻撃のうち、光樹が見逃したものが流れ弾として隠れていた瓦礫の近くに被弾し、子供が吹き飛ばされたのだろう。

 攻撃を払っていた絵里奈と拘束が解けた鈴がすぐにその子供と親に駆け寄る。

 

「大丈夫ですかー!?」

 

「幸い軽傷ね……ここから動かないでください。あたし達が守ります」

 

「は、はいっ」

 

 鈴の言葉に母親が頷く。その様子を、攻撃を回避・防御しながら光樹も見ていた。無事でよかったと思う。しかしながら、ふと見た周辺反応を見て息をのむ。まだこの近くに民間人が残っていたのだ。それも、かなりの人数が。

 こんな状況で派手な戦闘は出来ない。しかし、DRXが攻撃を行いつつ言い放った言葉が光樹の怒りに触れる。

 

「フン!これだけ撃ち続けてりゃあ、隠れてる雑魚にもついでに当たるってもんさァ!!」

 

「……っ!!この……!」

 

 隠れている民間人を「雑魚」だと……?その人達は民間人なんだぞ?子供だっていた。守るべき存在だ。なのに……それを洗脳の影響でモンスターとしてしか見ることが出来ないなんて……!

 DRXの言葉に対する怒りが沸き上がる。光樹もそれが洗脳の影響であることは分かっている。そしてその怒りの矛先はあくまでその言葉であってDRX本人ではなかった。そして、その怒りの矛先を、光樹は口にする。

 

「許さない……DRX、お前に洗脳を施した、少女とガンダムは絶対に!!だから……!お前を討つ!!」

 

 その怒りが、光樹自身のリミッターを解除する。かつてDRXと戦った時に見せた、瞳から光が消えた状態、鈴達から聞いた「無想」。それを発動させる。

 6枚のウイングから粒子を一気に放出し、DRXとの距離を一気に詰める。DRXも慌てて迎撃を行うも、放つ頃には既にハイフィンガーバスターの前まで接近を許していた。

 

「クッ、はえぇ!」

 

 すぐにバルカン弾が放たれる。だが、それを光樹は次元力を集めた脚部で蹴り弾く。蹴り弾かれたバルカン弾はそのままハイフィンガーバスターの銃口に着弾し、爆発を起こす。

 DRXが爆発の余波でよろめくその前に、光樹は横に回り込む。そしてその顔面に右ストレートを打ち込む。

 

「ぐぅ!?がぁっ!?い、いつの間に……」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 右ストレートを決めたのち、すぐ回し蹴りを放つ。右に揺らいだDRXの巨体はすぐに反対側に無理矢理動かされる。

 DRXは態勢を整えようとする。もちろん、それを光樹は許さない。巨体を固定しようとするDRXに追撃の飛び蹴りを浴びせる。その後空中で後転するとウイングスラスターを全開にして拳と足によるラッシュを胸部に与えていく。

 右足の蹴り込み、左振り下ろし、左足の回し蹴り、右肘の打ち込み……。拳法の型とは程遠い、関連性のない攻撃ではあったものの、強烈な一撃が次々と繋がっていく。その拳に、ただただ洗脳が解けることを願う気持ちを込めて。

 それらの連撃でDRXは胸を押さえ、頭を振るう動作を見せる。かなり効いているようだ。

 

「くそがッ!まだ俺はァ……」

 

『今だ、光樹』

 

 ゼロからトドメを促される。しかし、DRXを完全に倒すわけにはいかない。それでは意味がない。倒せるか倒せないかの、ギリギリの一撃がいる。光樹は残り1分となったダイモードの発動限界時間を見てからNFBを発動させる。

 

「あぁ、ノイズフォースビックバン!!」

 

 ゴッドクロス・ダイは構えを取る。それと同時に、光樹は脳裏にとある光景を思い出す。それはネプテューヌのゲームの映像だ。それはネプテューヌの必殺技、エグゼドライブ「ネプテューンブレイク」。その技をゴッドクロス・ダイのNFBで再現するためにだ。

 その攻撃をゼロのシステムにも認証させる。認証させると、そのまま攻撃に移る。まずは一気に加速してからの強烈な次元の拳の一撃を放つ。

 

「でぇいりゃぁ!!」

 

「ぐうォ!?」

 

 その一撃はDRXの巨体を揺らす。その勢いは凄まじく、ゴッドクロス・ダイの体はそのままDRXを過ぎ去り、後方まで機体を滑らせる。機体のウイングスラスターを反対に向けて制止させたのち、ゴッドクロス・ダイは機体を反転させると再び攻撃を行う。

 ダイの限界まで強化された推進力で放たれる連続蹴りがDRXの体に衝撃を与えていく。その攻撃が8回続く。8回目の蹴り込みを行ったのち、一旦静止して再び反転してDRXに突っ込んでいく。今度は右手を拳の形に固める。その拳をDRXの胸倉に叩き込む。

 

「はぁっ!!」

 

「がぁっ!?」

 

 すさまじい轟音と共にDRXの体に大きな衝撃を与える。攻撃を喰らったDRXはそのまま空中を飛んで大きく後退する。そこで一旦攻撃の手を止める光樹。しかし、わずかな溜めののち、光樹は再び攻撃を開始する。

 フルバーストモードを追加で起動させ、更に加速度を増してDRXの懐に潜りこむと、その両腕の連撃を打ち込む。それを振り払おうとDRXが右手のD・Oソードを振るうが、それを下に潜り込んで回避するゴッドクロス・ダイ。その姿勢から強烈な蹴り上げを行う。

 蹴り上げの威力で、DRXの体は上空に吹っ飛ばされる。とはいえ、その高さはせいぜい5メートルほど。すぐに叩き付けられる高さだ。だがしかし、その前に光樹は飛び上がる。飛び上がった光樹は打ち上がったDRXに追いつくと、拳を上げる。これが、本当の最後の一撃であった。

 光樹は最後の一撃と共に、叫ぶ。

 

 

 

 

「これで……元に戻れぇぇーー!!」

 

『ノイズフォースビックバン「ディメンションコンボアーツ NB(ネプテューンブレイク)」』

 

 

 

 

 ゼロの読み上げと共に次元力のこもった最後の一撃がDRXの腹部に叩き込まれる。渾身の力を込めた攻撃がDRXの腹部に強く衝撃を与える。

 

「グハァッ!!」

 

 その攻撃によってDRXの声が漏れる。攻撃を受けたその特機の体は斜め下に向かって落下。地面に叩き付けられ、転がりながら停止する。丁度その近くにはパープルハート達と言い争いを行うビーシャの姿があった。

 どうやらあっちはもう説得に入ってるみたいだな。俺はそう察した。見たところ、攻撃を受けたDRXも機体のあちこちからスパークを散らせ、その巨体を上下に揺らしている。説得するタイミングは丁度今しかない。

 すると、そのタイミングで音沙汰のなかった勇也が回線に入って来た。

 

『よう、また新しい技を編み出しやがって……!』

 

「勇也、無事だったのか」

 

『当たり前だ。……多少武装は損傷して使えないのもあるけどな。それより満足に動けない今がチャンスだ。洗脳を解きに行くぞ』

 

 光樹からの声に多少の余裕を含んだ声で返す勇也。大分やられたようではあるが、それでも思っていたほどではないようだ。

 勇也からの洗脳の解除を促される声に同じく鈴と絵里奈からも通信が入る。

 

『そうね。光樹のおかげで、だいぶあっちも動けなくなってるみたいだし』

 

『早く正気に戻さなくっちゃ!』

 

「あぁ。行こう」

 

 2人の声にそう答えると光樹は地面に降り立つ。3人が着地した光樹の元まで集まるのを待って、光樹は大ダメージに苦しむDRX、そしてビーシャに説得を行うパープルハート達の元に向かった。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただき、ありがとうございます。まさかのゴッドクロス・ダイがNFBにネプテューンブレイクを取り込みました。

レイ「でも、徒手空拳での連続コンボって、なんか格闘ゲームを感じさせるよね」

ソニア「でも、DRXさん大丈夫でしょうか……」

レイ「あぁ……それはそうだね。絵里奈ちゃんの怒りのゼロ距離砲撃に、前の話じゃ勇也君のジャベリンで腹部分を損傷しているし……」

ソニア「これじゃあ、助けても戦えるかどうか心配ですね」

まぁ、そこはスーパーロボットですから。伊達に装甲厚くないですよ。さて、それでは今回はここまでです。あ、ちなみにまだアポ○リファは見てないので、その話題はまた次回以降かな。

レイ「あはは、メタいよ藤和木~。じゃあ、次回の年明け後の初投稿は1月6日辺りになるみたいだよ」

ソニア「次回はアシスタント全員集合します!では皆様、よいお年を!」

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