新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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どうも、皆様、お元気でしょうか。最近カフェイン中毒というネットの記事を目撃し、もしかしてと思って私がよく飲んでいる「M○TCH」の成分を確認したら見事にカフェイン入っていて、「あ、私ひょっとしてカフェイン中毒?」と思ってしまいました、藤和木弘です。

レイ「まぁ、友達よりはいいんじゃない?藤和木の専門の友達って、モ○スターとかレッド○ルとかよく飲んでて体調崩すくらいだし、藤和木はそれなりに制限しているときはしてるからいいと思うなー。どうも、みんな!最近飲んだペットボトルのイチゴのソーダが気に入った、レイ・オーバだよっ!」

ソニア「そうですねぇー。藤和木さん、頭痛い時の次の日は飲み物は水かお茶って時が多いですし。あ、どうも皆様。ディーバデザインズというバトスピの詩姫イラスト集についての情報が少し出てきましたね、ソニア・A・ワスプです!」

そう!ついにバトスピ全ディーバファン待望のイラスト集登場ですよ!

レイ「でもまだ3週間くらいあるよ?それと藤和木、それに付いてくるカードの情報見たとき、微妙って言ってたじゃん」

あ、うん……だって煌臨した後BP10000以下のスピリットの行動不能と自身のシンボル追加ってなんか微妙なんだよ……。どうせならアルティメットへの対応か、シンボル追加を常時、もしくはディーバの数まで増強とかしてほしかったところ

ソニア「そ、それ強すぎませんか!?詩姫の数までシンボル増強とか、プリティアニマルズが強くなりすぎる気が……」

いや、そこらへんは考えてるよ。そもそも煌臨条件がコスト5の時点でプリアニで満たすのは難しいし。

ソニア「あ、それもそうですね……」

レイ「意外とそういうのは考えてるんだねー」

それよりか私としてはネクロ聖剣レイジャンヌをどう組もうか考えたい。

レイ「あー、あのジークフリードネクロと私とジャンヌちゃんのコンボかぁ」

ソニア「聞いた時にはおもしろそうだと思いましたけど、何か問題が?」

ネクロの枚数が足りねぇ!あともう1セットいる!

レイ「藤和木の財布に迫る危機!って感じだね」

ソニア「あの、私とかの為に忍風をわざわざ買わなくてもいいですから、ね?」

いや、後でシエラが怒ってくるからそれは無理だ!だからネクロの枚数同じなら紫速から流用しようかな……って思ってる。

レイ「初、大戦前の入れ替え作業だね」

ソニア「それなら安く済みますね!」

さて、それでは今回も更新ですよ。今回は第136話!パープルハートとステマックスの第2ラウンドだ!

ソニア「女神化して危機を脱したパープルハート様との対決ですね。勝つのはどっちなんでしょうか?」

レイ「それでもって合流と続く……これは敵の増援なのか、それとも……なのかなっ?」

さて、戦いの決着と、合流するのは果たして?それでは本編へ!


第136話 勝敗を決する二打、合流

 

 

 時間は少し戻って、ネプテューヌサイドの戦闘も展開が変わる。最初にコンビネーション攻撃を決め、流れを持っていこうとしたネプテューヌ達。しかし、それを分かってステマックスも対抗策を取る。その対抗策とは移動制限の状態異常を引き起こす術式が刻まれた左腕に装備されていた大手裏剣で動きを封じるというものであった。

 その攻撃をネプテューヌは避け、アイエフとコンパは受け止めた。それにより、アイエフ達の動きが封じられる。

 そんな状態では、アイエフ達が簡単にやられてしまう。そのために立ち回ろうとした矢先に、ネプテューヌもまた動きを封じられる。全員が動けない中、まず最初にネプテューヌが狙われるも、その状況を崩すべく、ネプテューヌは女神化した。

 女神化の余波で状態異常を迫っていたステマックスごと弾き飛ばしたパープルハートは、刀を構えなおしたステマックスに剣を向け、2ラウンドの開始の合図を告げる。

 

 

 

 

「さぁ、ここからがわたしの本気よ!女神に挑んだこと、後悔なさい!!」

 

 

 

 

 その言葉を口にしたのち、パープルハートは刀を構えて近接戦闘を行う。大きく振り下ろされた一刀がステマックスの刀とぶつかり合う。ぶつかり合った刀は一瞬の間交差したのち、ステマックスの腕力で弾かれる。

 だが、それでもパープルハートは攻撃をやめない。弾かれた機械刀を今度は横から振るう。ステマックスも冷静に受け止める。が、受け止められると、今度はパープルハートの方から切り結びをやめる。しかしながら、攻撃をやめたのではない。剣をひっこめると、今度は前に踏み込んで逆袈裟切りの態勢で攻撃を行う。

 体勢が前のめりになった状態でのその攻撃は避けづらい。ステマックスも思い切り地面を蹴って後ろに後退した。

 流石にやるようね。今のは決まったと思ったのだけれど、やっぱり一筋縄じゃいかないわ。この強さ、間違いなくエリアボス並みの強敵ね。

 若干のメタさを考えつつも、次の攻撃の狙いを定めたパープルハートは息を整えてまた突撃する。次々と連撃を重ねていく女神の一撃は普通の人なら2撃程で防御が疎かになってしまうほどだ。だが目の前の敵はそれを小刀で正確に防御していく。それでもパープルハートは休まずに攻撃を行っていく。

 あまりにも前衛的過ぎて、途中で息が上がってしまいそうになるほどであったが、そこまでして攻撃に集中する理由は他でもない、アイエフ達に被害が及ぶのを防ぐためだ。

 こうして連撃をかましていく間も、まだアイエフ達は上手く動けてはいない。コンパがバックにしまっていた薬を漁っているものの、まだ解除用の薬は見つかっていないようだった。もし、出方を窺っていればいれば、その隙にコンパ達にまた攻撃対象が及ぶに違いない。その隙を与えさせないという目的もあり、パープルハートはひたすら攻撃を行っていたのだ。

 何度も交わされる刀同士の斬り合い。しかし、紫の女神もいつまでもこんなことを続けては無意味だというのは分かっていた。だからこそ、パープルハートは刀の握る手を強くし、一刀に力を込めた一撃を繰り出す。

 

「せぇい!!」

 

「むっ!!」

 

 上段から繰り出された一撃を防御するステマックス。だが刀同士がぶつかり合うと同時に衝撃波が巻き起こる。パープルハートの刀から発せられた、シェアの力がこもった衝撃波だ。その一撃で忍者はそのままの態勢で地面を抉りながら後退させられる。

 強大な一撃に思わずステマックスは片膝を着く。そこに目がけて、パープルハートはウイングの推力を上げて急接近する。突撃の姿勢で構えられた機械刀がステマックスの眼前で突きだされる。ところが、それは決め手の一撃とはいかない。

 視認していたステマックスはその姿勢のまま待機、ぎりぎりまで攻撃を引きつけ、つきだすタイミングと同時に大きく左に避けたのだ。

 攻撃を躱されたことで大きな隙を晒すパープルハート。それを狙ったステマックスは横へ側転しつつ左腕の大手裏剣を左手に持って攻撃の態勢を整える。今のままなら確実に攻撃は当たる。避けなければならないが、避けたとしても、この距離ではどこかに当たる。

 被害を最小限にしようとするも姿勢が前のめりになって行動が追いつかない中、その攻撃は放たれなかった。横から攻撃する影があったのだ。

 

「むむっ」

 

「やらせないっ!!」

 

 リーチの短い武器で攻撃が放たれる。ところがその攻撃は気配を察していたステマックスの反応により回避される。それでもダメ押しのように放たれる攻撃を辛くも小刀が防御する。ネプテューヌを援護するように攻撃を行ったのは、もちろんアイエフであった。攻撃による状態異常から抜け出したのだ。

 丁度いいタイミングで救援に来てくれたあいちゃんにわたしは声をかける。

 

「あいちゃん!もう大丈夫なの?」

 

「当然!……とはいいがたいけどね。でも、だいぶ動けるようになったからマシよ……っと!!」

 

 パープルハートからの言葉に返答しつつ、アイエフは思い切りステマックスを弾き飛ばす。その動きには若干まだ動きづらさを感じさせるが、それでも戦闘は出来るほどだった。

 けれども、それ以上に今思うべきなのは、あのタイミングでよく防御するまでに至ったことだ。アイエフ達に近いところにいたとはいえ、あのタイミングで飛び込んできたのは予想外だった。しかしその予想外に今は感謝する。

 そして、遅れてコンパもパープルハートの隣に来る。息を上げつつも、無事硬直状態から解けたことを伝える。

 

「けど、偶然2つだけ解除の薬があって良かったです。おかげでねぷねぷを助けることが出来たです!」

 

「そうね、こんぱ。2人が状態異常の薬を飲むのがもう少し遅かったら、わたしはやられてたわ。……けど、ここからは3人で対抗よ。2人とも、いいわね?」

 

 パープルハートがそう聞くと、2人は当然のように答える。

 

「当然よ!」

 

「もちろんです!」

 

「そう……じゃあ、行くわよっ」

 

 敵を囲むように3人は散開する。まずコンパは遠距離から注射器による射撃を行う。意外にも注射器による攻撃は弾速が速く、ステマックスも慌てて回避する。

 コンパの射撃に気を取られているステマックスの背後からアイエフがカタールによる強襲を行う。首元を狙った一撃だが、そこは流石隠密行動を得意とする忍者。見事に攻撃を刀で受け止める。それでもアイエフはカタールに入れる力を緩めず切り結び、敵をその場に固定する。

 そしてパープルハートは正面から斬りかかる。だが、その直前でステマックスがアイエフの対処に追われたため、その背が明らかとなっている。攻撃を受け止めていたステマックスも、素早くアイエフの切り結びによる拘束を弾き飛ばし、パープルハートと相手をする。後方に刀を向けてからの右切り上げを放つ。それを左腕に盾のように大手裏剣を再装備して防御するステマックス。しかし、防御することには成功するものの、攻撃の勢いを殺せず、大きく後方に腕ごと弾かれる。

 その勢いで大きく後退するステマックスだが、それを逃さないようにパープルハートは踏み込む仕草でウイングの出力を全開にして距離を再び詰める。詰めた先で今度は機械刀を上から真っすぐに振り下ろした。振り下ろされた一撃は小刀に再び防御されるが、その勢いまでは殺せず、機械刀を受け流す形となった。攻撃を捌ききれなくなっていくステマックスが呟く。

 

「くっ……勢いを殺しきれない……」

 

「今よ!!」

 

 それを攻める好機と悟ったパープルハートは一気に状況を突き崩す。一度前に出た手を引き、突き出し攻撃をかける。今までの突きは体を狙っての物。だが、今度は違う。狙うべき場所、そう、厄介な大手裏剣だ。相手の行動で最も厄介なもの、それは反射神経、機動性能、そして何より状態異常を起こす手裏剣がこの状況を起こしていた。なら、それを壊せば、状況の不利につながるに違いない。それをネプテューヌの時点で考えていたパープルハートは、コンパ達が復帰したところでそれを実行に移したのだ。

手裏剣の展開部分を狙っての一撃が繰り出される。反応が遅れたステマックスは手裏剣による防御を狙うも元から狙いはその大手裏剣。狙いすました突きが手裏剣の可動部をピンポイントに刺さる。

 

「狙い通りよ!」

 

「な……しまった!」

 

 攻撃を受け、可動部の一部が砕ける。砕けたのを見て、ステマックスが下がる様子を見せる。だが、ここで逃がす女神ではなかった。機械刀を構えなおして、最後の攻撃をかける。

 

「これで決める!」

 

「そうはいかないで御座る!」

 

 ステマックスも負けるわけにはいかないと煙玉を投げようとする。だが、投げつける前にそれはステマックスの手から落ちる。突如パープルハートの後方から放たれた空気の塊が左手に持った煙玉を吹き飛ばしたのだ。

 

「な……」

 

「やったです、狙い撃ちです」

 

 それはコンパの注射器から放たれた射撃であった。あの距離からではダメージを与えるにはやや厳しかったものの、煙玉を吹き飛ばすには十分な風力を持っていた。

 ステマックスの手から今この瞬間を乗り切る一手は離れた。決めるなら今しかない。機械刀を目の前で構え、敵に向かって飛び込む。刀に力を込め、衝撃波を2発放つ。2発の衝撃波は光を放ってステマックスに直撃し、その場に固定する。その拘束から逃れようとステマックスも抵抗するが、攻撃は既にステマックスの抵抗を封じた。

 機械刀に更にエネルギーが溜まる。動きの止まったステマックスに、その最後の一刀を振るう。

 

「デルタスラッシュ!!!!」

 

 横一線に振るった刀から衝撃波が飛ぶ。きれいに一直線を描くエネルギー刃は既にステマックスの動きを封じていた2つの光の刃と繋がり、正三角形を形成する。形成された正三角の刃がステマックスの体にダメージを与える。

 ダメージを与え続けた末に、その三角形ははじけ飛ぶように消失する。拘束から解放されるステマックス。だが攻撃は終わらない。パープルハートは素早くステマックスの前まで急接近する。刀を振り上げ、とどめの一撃を放つ。

 

「せいっ!!」

 

「くっ……」

 

ザンッ!バキャン!パキン!

 

 金属音が響いたのち、パープルハートはステマックスの後ろまで通り過ぎていた。だが、ステマックスが咄嗟に防御に使用した大手裏剣と小刀は破壊、折られステマックスの攻撃の手は完全に喪失した。

 攻撃の手を失ったところで、上空から1機の機体が降りてくる。それは光樹と戦っていた騎士ローゼンであった。だが、その装甲には多くの傷が刻まれており、片膝を着いた状態で舌打ちする。

 

「……クソッ……」

 

「ローゼン殿……ここまでで御座るか……」

 

 ステマックスも限界を悟った様子を見せる。そしてそこに光樹達もまた戦闘を終え地上に降りてくる。

向こうも戦いが終わったみたいね。上での騒ぎはあまり見ていなかったのだけれど、それでもかなり派手に戦闘を行ったのは分かったわ。途中で地上近くで機体の爆発があったし、その激しさはこちらと決して劣るものではないのは確かね。

それぞれの戦いを制し、敵からの抵抗がなくなったところでパープルハート達は2機にゲーム機の奪還を行う。

 

「わたしたちの勝ちのようね。約束通り、このゲーム機は返してもらうわ」

 

 2機の前に放り出されたゲーム機をその手に取る。アイエフから、それが本当に求めていたものかを確かめるよう指示される。

 

「ネプ子、それで間違いない?」

 

「えぇ。確かにこれよ。間違いないわ」

 

 その手にあるのは確かに渦巻きマークが描かれた、白いゲーム機である。それを光樹も確認して間違いないことを伝える。

 

「うん。俺も保証する。これで間違いない」

 

「これで一件落着だねー」

 

 ゲーム機の奪還に喜ぶ一同。だが、それとは対照的にステマックスとローゼンは奪い返されたことを悔しそうにする。

 

「不覚……!まさか、せっかく手に入れたものを奪われるとは……!」

 

「何たる失態……これでは大佐に示しがつかない……!」

 

 攻撃のダメージによりあまり大きく動けてはいないものの、それでも悔しさを表現するには十分だ。

 そして、アイエフが動けない2人に対し、教会への強制連行を伝える。

 

「あんた達を秘密結社の重要参考人として、教会が拘束するわ」

 

 ここまでの大事を起こす敵をこのまま見逃すわけにはいかない。ワレチューよりも口は堅そうだが、それでも聞き出せれば大きな情報を持っているに違いなかった。

 だがそこで、ローゼンが記憶の片隅にしまい込んでいた事実を思い出させる。

 

「ククッ。だが貴様らは何か忘れていないかな?」

 

「忘れて?」

 

「そうだとも。我々が嗾けたオートマシン・ギラ・ズールの残骸による自爆に巻き込まれた者達のことを」

 

 ギラ・ズールという単語に、光樹と絵里奈が大きく反応する。そう、わたし達、特に光樹と絵里奈に大いに関係のある話だったわ。襲い掛かって来た機械の兵士達を倒したのち、データのサルベージを行うために残った2人。2人にその場を任せてここに来る直前に聴こえた、あの爆発。あれはこのローゼン達が仕掛けた罠だったのだ。

 ゲーム機を奪い返した以上、2人の無事を確認しに行かなければならない。しかし、いくら無力化したとはいえ、2人も無理をすればまだ戦えそうな様子だ。もしかすると、救援に行かせている間にゲーム機を奪い返されて逃げられる可能性もある。

 女神としてのプライドに賭けてそれはないと思いたいが、かなりの実力者であることも否定できない。救援に行かせるとしたら1人位だろう。アイエフが爆発の件を思い出しつつ、どうするかを考える。

 

「そういえば、そうだったわね。2人の救援に向かわないと……。けど、コンパだけに行かせるっていうのもそれはそれで心配だし……」

 

「かと言って、わたしや光樹も行くと戦力的に不安だし……」

 

「なら仕方ないな。こいつらも連れて戻るか?」

 

「そうね」

 

「確かに、その方がいいかもー」

 

 光樹からまとめて連れていくという案が出る。それならば全員で向かうためまだ安心だろう。アイエフや絵里奈からも頷きがくる。意見が一致してすぐにステマックス達の捕縛を開始しようとしたところで、聞き覚えのある声が飛ぶ。

 

 

「ちょっと、悪いけどあたし達は何ともないわよ?」

 

 

 その声の方を一斉に注目する。パープルハート達の前に現れたのは、少し細く見える鈴のガンダムR-EXEグレイガと勇也のガンダムR-ZEROであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 無事にあの爆発から逃れて、急いで来たらもう戦闘が終わっているなんてね。もう少し早く来なきゃいけなかったわね。そんなことをあたしは心の中で思う。けれども、光樹も絵里奈と2人で敵を倒せるようになるまで戻って来たんだから、それはそれでいいか。そして、相手は忍者とローゼン・ズールに似たやつ……まぁ、予想は出来てたけど。

 鈴は素早く状況を読み取っていく。彼女達は爆発による被害を最小限に抑えてここまでやって来た。では、どうやって?それを知るには、その当時の状況を知る必要があった。時は爆発直前のことだ……。

 

 

 

 

『自爆モード、起動します』

 

「ちぃ!」

 

「マズイ!!」

 

 2人は自爆の宣言を聞いて、すぐさま駆けだした。目指す先には突撃を行う前まで隠れていた曲がり角があった。鈴はその手に敵の機体のコアを抱えていた。無論、データのサルベージをちゃんとした設備で行うためにだ。これが失われれば、秘密結社への足取りが減ってしまう。任された以上、これを手放すのだけは出来なかった。

 しかし、コアのみを回収するために鈴は自爆宣言の直後にコアと機体との切り離し作業を行った。しかも切り離しにはフロントアーマーの裏側に装備されているANアーマーナイフを使っている。いくら装甲を斬りやすいのと接続部がさほど頑丈ではなかったとはいえ、それらは鈴の逃げ出すタイミングを遅らせるのには十分であった。

 逃げる途中で間に合わないと感じ取る。このままでは機体は地面に叩き付けられる。そこで鈴は咄嗟に腰部のANインパクトブレイカーユニットを切り離した。機体重量を軽くしたのだ。だが、それでもわずかにスピードが上がっただけ。光が増していくのを背に、更に鈴は最後の手を使う。

 

「――――超獣化!!」

 

 鈴がそのコールを行うと、機体を禍々しい輝きが包む。機体のカメラアイは黄色から赤に変わり、機体各部も装甲が一部展開されていく。

マスクが解放され、牙をむき出しにしたような顔つきになった「超獣化」形態になったところで、爆発が起こる。迫る爆炎に分離したインパクトブレイカーユニットが飲み込まれ更なる爆発を起こす。だが、R-EXEは飛ぶ。更に増した推進剤と壁を地面として蹴って跳んでいく。爆発が迫る2秒ほどのわずかな時間の間で、鈴は何とか通路の角まで逃げ切る。

 壁にたどり着くと爆発が角の所まで到達し、こちらに残りの爆炎と爆風が襲う。だがそれらもすべてガンダムの装甲には何ともない。爆炎にさらされる中、鈴と既に壁に到着していた勇也は静かに待つ。爆炎が過ぎたところで、2人は息を着く。

 

「……っは、何とかなったな……」

 

「えぇ。結構ギリギリだったけどね……」

 

 勇也からの危なかったという言葉に鈴も同意を見せる。あの爆発なら、普通の人間ならもう死んでいた距離だ。ガンダムを纏う鈴達でも、攻撃はもろにくらい、最悪壁にぶつけられ意識を失っていたかもしれなかった。しかし、鈴達はトラブルがあっても何とか無事に切り抜けることが出来た。

 安心したところで鈴のガンダムの超獣化が解ける。緊急とはいえ、この機能を使わなければただでは済まなかったことには鈴も反省させられる。もっと上手くやらなくては、という気持ちがよぎる。

 ふと、手に持っていた敵機体のコアに目を向ける。コアには多少黒いすすが付いていたが、目立つ傷は一切ないと思われるほど光を放っていた。これの為に命を懸けるというのもあまり嬉しくなかったのが事実だ。それでも無事手に入れられたことに改めて良かったと口にする。

 

「けど、これでこっちに有益な情報が手に入るってものよ」

 

「だな。……さてと、この爆発だ。ひょっとすると光樹達も心配しているかもしれない。急ぐぞ」

 

「それもそうね。行きましょうか」

 

 勇也の予測に頷くと、鈴も続いて通路に出る。通路はボロボロで、機械の破片がいくつも転がっていた。いつ崩れるかもわからない通路を鈴達は急いで通る。そしてそのまま、光樹達のいるスタジアム中心部へと足を進めていった。

 

 

 

 

 ここまでが、鈴達の危機を潜り抜けた方法であった。何はともあれ、鈴達はモンスターを蹴散らしここまで来たのである。

 2人の様子を見て、女神となっていたパープルハートとガンダムのままの光樹が無事を確かめてくる。

 

「鈴、勇也。無事だったのね」

 

「当り前よ。あれでやられたなんて思ってたの?」

 

「少し武装がなくなってるみたいだけどな。けど、目立った損傷はないみたいで安心したよ」

 

「鈴は直前まで作業をやっていたからな。けどまぁ、そのおかげでこいつらに繋がる手がかりは手に入れたんだけども」

 

 勇也が手に入れたものについての話に触れる。その言葉を聞いて、絵里奈が小さく喜びを見せる。

 

「ってことは、情報ゲット!?」

 

「まだ完全には、だけどね。それでも解析すれば、こいつらの情報も分かるってものよ」

 

 鈴は膝を着く忍者と騎士を一瞥して答える。コアは既に鈴のガンダムの電子ストレージに電子化して保存してある。これで物理的な手段で壊したり奪ったりは出来ない。物理的以外の方法で奪おうにも電子化に干渉可能な機体でなければ奪うのはほぼ不可能だ。

 余裕を見せられたステマックスとローゼンは、悔しがりつつも、奥の手を繰り出そうとする。

 

「おのれ……まさか無事だったとは……!」

 

「……っく、かくなる上は……」

 

「まさか、奥の手を隠していたというの!」

 

「不味い!」

 

 パープルハートと光樹が身構える。他のメンバーにも緊張が走る。2機はどちらも懐部分から何かを取り出そうとしている。本当に奥の手を出そうとしている様子だ。

 そして、2機の奥の手が明かされる。

 

「これでも見るがいい!!」

 

 懐からまとまった紙が投げられる。それも、いくつも。だがやがてそれは紙の束ではなく、本であることを知る。ただの本を投げられたと思ったアイエフがそれに拍子抜けした様子を見せる。

 

「何をしたと思えば、ただ本をばら撒いただけじゃない」

 

 しかし、そんな様子を見て、ステマックス達は何やら気持ち悪い笑い声を響かせる。

 

「ふ、ふっふっふ……こ、これらがただの本とあ、あなどるなかれ……」

 

 なんだか詰まった声に鈴は怪訝さを感じる。鈴はまだステマックスが女が苦手なことを知らないため、そんな風に感じていたのだ。同じく勇也もそれとローゼンの男好きには全く情報がなかった。

 すると、ステマックスとローゼンは力を込めて手を振るう。

 

「せいっ」

 

「はぁっ」

 

 その手は爪のようにとがっていた。そのため本はきれいに斬られていく。意味不明な行動にパープルハートと絵里奈が戸惑いを見せる。

 

「自分で本を切り裂いた!?」

 

「な、何?まさかこの葉隠れの術っ?それとも紙がくれの術?」

 

 絵里奈の言っていることはわけが分からなかったが、この行動にいったい何の意味があるのか。静観していた鈴であったが、その狙いがすぐに分かることになる。

 

「ふふふ……よく目を凝らしてみるがいい」

 

 ローゼンからそのように伝えられる。全員はその言葉に従って紙を見る。

 

「よく見る?」

 

「よく見るって、何が……って、えぇ!?」

 

 絵里奈の声が響く。続いてパープルハート、光樹、勇也と次々と声を、悲鳴を上げていく。

 

「何この本っ!?」

 

「ぶっ!!?こ、これって……」

 

「な、なんだこりゃ……こいつは……」

 

 全員言葉を失っていく。かくいう鈴も、頭を抱える。全員が悲鳴を上げる理由、それは彼らの斬った本、その内容。そこに描かれていたのは2種類。1つは肌を露出させる少女の絵。そして、もう1つは男と男がいやらしく絡み合う絵。

 それを言い表す本の種類を、鈴は怒りがこもった声で叫ぶ。

 

 

 

 

「エロ本じゃない、これぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」

 

 

 

 

 鈴の絶叫がスタジアム中に響く。そう、それは18禁モノの女性と男性にそれぞれフォーカスを当てた本だったのである。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。合流したのは鈴と勇也達でした!

レイ「比較的無事っぽい?でもインパクトブレイカーがなくなってるみたいだね」

あ、ちなみに続く戦闘でも鈴のガンダムのインパクトブレイカーは使用不能ですので、ご注意を。

ソニア「藤和木さんも忘れずに覚えておかないといけないですよね」

うん、そうだね。忘れないようにしないと……

ソニア「あ、あとあんまり言いたくないんですけど、最後の鈴さんの叫びが……」

レイ「うんうん、あれは絶叫物だよねー。いきなりハレンチな物を切って見せるって、うちの学園の風紀委員がみたらシェイロンデスされるよ……」

シェイロンデス……それは何とも、恐ろしいな。まぁ、更に呼び寄せるつもりは今のところないけれど。さて、今回はここまでです。

レイ「次回は金曜日の投稿だよっ」

ソニア「それではみなしゃま!……じゃない!皆様、また次回もよろしくお願いします!(また間違っちゃったよぉ、シエラぁ……)」

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