新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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どうも、皆様お元気でしょうか。今週は学校の学園祭の出し物の準備のため、買い出しや飾りつけに奔走しています、藤和木弘です。

レイ「1年前の学園祭は大変だったよねー。学校の地下行ったらGが出てきたし。どうも、みんな!藤和木の学園祭での楽しみはイラストを描いてもらうことらしいよ、レイ・オーバですっ!」

シエラ「あぁ、そういえば藤和木が見せてきましたよね、ジャンヌさんのイラスト。今年は何を描いてもらうのかしらね。どうも、皆様。今週はそんな感じで藤和木は疲れMaxで小説の方に遅れが出ているわ、シエラ・ムルセーヌよ」

ねぇ、まだ遅れと言ってもストック4つくらいあるよ!?それで遅れてるっていうの!?

シエラ「当り前じゃない。先週までの間で1話くらいしか出来てないんだから、十分遅れているわ」

レイ「ごめん、シエラちゃん。今先週のと数えたら、1話も完成してない!3000文字くらい打ってるけど」

シエラ「ならもっと悪いわね。ちゃんと仕上げなさい」

この忙しい時期に私を酷使しないで……(´;ω;`)

レイ「ま、まぁ今度のバトスピ煌臨杯の店舗決勝のデッキ調整とかもあるもんね。けど、仕上げないと後後きついよ?」

うん、それは重々承知してる。だから今日早く帰れたから書くつもりです。さて、今回は第132話の投稿です。

シエラ「今回はあのネズミの店長さんがくるみたいね」

レイ「ネズミの店長さんと言えば、鈴奈ちゃんは出るの?」

あぁ、チューコの付き添いとしてでる予定です。けども、タイトル後半の、あのウルトラマンの話のタイトル名のような不穏さ掻き立てるもの一体何なのか?それでは本編へ!

シエラ「あぁ、自分でも意識してたのね……私あまりウルトラマンは知らないけど」


第132話 久々のチューコ、闇の見せる夢―混乱―

 

 

 いきなりの再会にネプテューヌも驚きの声を上げる。

 

「おーっ!あなたは確か、いつぞやの中古ゲームショップの店員さん!」

 

 彼女と会うのはもう1週間ぶり近くになる。ワレチューを捕まえた時にゲーム機を押収してその後は教会の人に返還を任せていたため会うことはなかったのだが、あれからどうだったのか気になっていた人物だ。

 ネプテューヌの発言にチューコは深々と頭を下げて、その時の礼を述べた。

 

「その節はお世話になりましたでちゅわ。おかげで、あのあと盗まれた商品も戻って来きたんでちゅの。戻ってこなければ、最悪、店を閉めていたところでちたわ」

 

「それはなによりだよ!」

 

 そんな言葉を聞いて、少し嬉しく感じる。チューコも、無事商品が戻って来たことがとても嬉しい様子だ。その時のお礼にと、チューコは券のようなものを手渡す。

 

「こんなものしかないんだけど、お礼にうちの店の割引券をあげるでちゅわ」

 

「おおっ!しかも、6000クレジット以上お買い上げの時に限る、30%オフ割引券だ!」

 

 ささやかな貰い物に、ネプテューヌは今するべきことを忘れるほど喜ぶ。

 まさか泥棒を捕まえてこんなお得な割引券をもらえるだなんて!店員さん気前がいい!こんなときじゃなかったら、楽しくゲーム談義をしながら店に向かってゲームを買いに行ってたんだけどなー。

 今起きてる騒動から手が離せないことを強く悔やむ。今は一刻も早く犯人を追わなければならない。だが、しっかりとお礼をする姿勢にアイエフも関心を見せる。

 

「商魂たくましいというか、ちゃっかりしてるというか……」

 

「でも、ちゃんと感謝してくれるって、大事なことよ」

 

 鈴もチューコの律義さを見て好意的に見ている。しかし、ネプテューヌの思うところは少し違った。感謝する相手が違っているからだ。嬉しさを惜しみつつ、ゆっくりとその割引券を返しながら伝える。

 

「……けど、これをわたしたちじゃなくて、ビーシャにあげてくれないかな」

 

「え?……あぁ、なるほどな」

 

「泥棒ネズミを捕まえられたのはビーシャとR1のおかげなんだ」

 

 ネプテューヌの行動に、光樹の困惑の声が一瞬響く。だがしかしネプテューヌの考えを理解して納得するに言葉を留める。

 元々、ネプテューヌが追っていた事件ではあったが、あの時ワレチューを捕まえられたのは紛れもなく、ビーシャ達のおかげだ。その時の出来事で衝突したこともあったが、それも今は過ぎたこと。今がよい関係になったのだからそれはそれでよかったのだろう。

 今受け取れないのは本当に申し訳ないって思う。だが、それが事実だから、伝えることは伝えないとね。泥棒を捕まえた話の詳細を聞いてチューコは納得する。

 

「まぁ、そうだったんでちゅの!」

 

 しかし、それでも受け取ってほしいとチューコは言葉を続ける。

 

「……けど、それはあなたたちへのお礼だから、そのまま受け取って欲しいでちゅの。ビーシャ様にはまた別の物を用意しまちゅわ」

 

 機転を利かせ、そのままもらってほしいと頼むチューコ。そう言われてしまうと、断るわけにはいかない。ネプテューヌも喜んでその券をもらうことにする。

 

「なら、これはありがたくもらっちゃうね!」

 

 券を大事にポケットにしまい込む。盗難の際の礼を受け取るのが終わったところで、アイエフが唐突に現在の優先事項について聞く。

 

「そうだ、ダメ元で聞きたいんだけど、見慣れないゲーム機を持った怪しい人を見かけなかったかしら?」

 

「あたし達、それを持ったやつを追っているの。もし知っているなら、どっちに行ったとか教えて欲しいんだけど……」

 

 鈴も同じように尋ねる。チューコが必ずしもその居場所を知っているとは思っていない。だが、見かけた可能性があれば、それを覚えている可能性が高いのはチューコかもしれなかった。

見たところ、あのゲーム機はあまり見たことのないゲーム機で、見る人が見れば特徴的なことが分かるはずだ。中古ゲーム機をいくつも見ているチューコなら、もしかするとよく見ているかもしれない。

 とは考えたものの、それらはすべてこちらの願いだ。事が上手く運ぶ保証はない。だが、それは無用の心配だった。

 

「見慣れないゲーム機でちゅ?それって、もしかして、白くてオレンジ色の渦巻きマークがついたやつでちゅ?」

 

「嘘っ!?まさしくそうだよ!?」

 

「どうして分かったですか!?チューコさんすごいです!」

 

 チューコの口から語られたゲーム機の特徴。それはまさにネプテューヌ達が探しているゲーム機とまったく同じものであった。それを聞いて絵里奈とコンパも驚きを露わにする。

 驚く様を見て、チューコは当然のように語る。

 

「中古ゲームショップの店員を甘く見ないでもらいたいでちゅわ。これでも、歴代のゲーム機は全て網羅しているんでちゅのよ」

 

 おー!歴代のゲーム機をすべて覚えているなんて、やっぱりこの店員さんしっかりしてる!

 わずかな望みに希望を見たアイエフはすぐに持っていた人物の特徴と向かった先について尋ねる。

 

「そいつの見た目と、向かっていった先を教えてくれない?」

 

「いいでちゅわよ。けど、このわたしが知らないあのゲーム機は何なんでちゅの?試作品にしてはちょっと古めのデザインで、年季が入ってたでちゅち……」

 

 チューコもあのゲーム機について気になるところがあるようだ。特に、チューコですら知らないというのは気になる話だ。とはいえ、ネプテューヌも拾ったもののため良く知らないのでチューコにはよく分かっていないことを伝える。

 

「それが、たまたま拾ったやつだからわたしも詳しいことはわからないんだ」

 

 説明に困るネプテューヌに代わって、光樹が機密に関わることをぼかしてそのゲーム機について説明を付け加える。

 

「けど、かなりワンオフなゲーム機ではあるみたいだ。けど、チューコでも分からないなんてな」

 

 光樹はそんなことを口にする。すると、チューコの店員魂か何か火が付いたように提案をする。

 

「なら、取り戻した後、わたしと鈴奈にみせてくれない?これでも、昔は“ハード鑑定士チュー”と“歩くゲームペディアベルアップル”の二つ名でそれぞれよばれていたんでちゅわ」

 

 それはそのゲーム機の調査をしたいということであった。ゲーム機については光樹達が元々調べようとしていたことだ。それならばまだ間に合っている。だが、別の側面から見ることも時には大事だ。

 話を聞いていた鈴と光樹がそれぞれで示し合わせる。

 

「そうねぇ……。光樹、彼女達に後で任せてみる?」

 

「鈴もか。元々俺達が何とかしようとしていたことだけど、彼女達の力を借りた方がなにか分かるかもしれないな」

 

「そうかもね。……じゃあ、その時はお願いできる?」

 

「もちろんでちゅわ!」

 

 鈴達からもチューコ達に任せるという意見がまとまる。話の整理がついたところで、一行はチューコから、窃盗犯の情報について教えてもらう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 チューコから情報をもらった光樹達は、現在プラネテューヌの街の外へ出る道へ来ていた。犯人の逃走した方向がそちらだったからだ。

 その方向を一瞥し、アイエフが再び犯人の情報を確認する。

 

「確か、チューコの話だと、如何にも忍者って感じのロボットがこの先に向かっていったのよね」

 

「だな。けど、忍者ってもしかして……」

 

 光樹の言葉が詰まる。というのも、その人物に心当たりがあったからだ。

 それは、アイエフと海優の記憶が戻った時、マジェコンヌとエクスと再び相対した時だ。確かマジェコンヌ達の離脱を手伝ったロボットのような敵が、忍者のような姿だったのだ。

 同じようにネプテューヌもしばし考えたのち、それに気づいてその人物の存在について触れる。

 

「にんじゃ……にんじゃ……あいちゃん、光樹、もしかしてあいつじゃないかな?ほら、あいちゃんがドジ踏んだ時にマジェコンヌを助けにきたやつ」

 

「だから、その言い方やめなさいって。こっちだって好きでドジ踏んだわけじゃないんだから」

 

「ごめんごめん」

 

 触れられたくない話題に触れられて、バツの悪い表情をするアイエフにネプテューヌは謝罪する。あの時はアイエフの尾行が気づかれ捕まる形となったため、ネプテューヌの言葉はその事実を証明していた。プライドの高いアイエフとしても、そう言われるのは事実でも傷つくのは当たり前であった。

 だが、アイエフもネプテューヌの言及した場面のことを思い出して、その意見を肯定する。

 

「けど、あいつが犯人なら見つけるのに好都合だわ」

 

「あぁ。あれほど見つけやすい人物はいないだろうし」

 

 示し合わせると、光樹達は犯人の追走を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、プラネテューヌの路地裏ではネプテューヌ達から逃げ去ったワレチューがとぼとぼとと歩いていた。

 ため息をつき、先程のコンパに言われたことを思い返す。

 

「……はぁ。今度こそコンパちゃんに嫌われたっちゅ……」

 

 コンパの口から飛び出した「大嫌い」という言葉。それがワレチューの心を深く傷つけていた。今まで、何度もコンパとは戦っていたワレチュー。だがそれまでの間、ワレチューは一度も大嫌いとまでは言われていなかった。

 しかし、今回の戦闘で、ワレチューはコンパの口から、自身に向けて直接言われてしまった。面と向かって言われ、もはやどう自身に言い聞かせればいいのか分からなかった。

 

「恋に破れ、仕事にも失敗……。オイラはこれから何を生きがいに生きていけばいいっちゅかねぇ」

 

 ステマックスとローゼンから要請された陽動の仕事もあっさり突破されてしまい、時間稼ぎになったかすらも分からない。果たしてステマックスは無事ゲーム機を手に入れ羅手たのだろうか。それを知るすべは今のワレチューには分からなかった。

 行き場を見失ってどうするべきか。そんなワレチューに、物影から突然声をかけられる。

 

 

「なら、俺がいい夢を見せてやるよ」

 

 

 いきなり響いた声に驚き、声の方向を向く。すると、そこにいたのは1人の少女と1機のロボットであった。声の感じから、先程の声は少女の方だろう。訝しみつつも、ワレチューはその人物達に聞く。

 

「ちゅ?お前ら、誰っちゅか?」

 

 すると、今度はロボットの方がその質問に答える。

 

「なに、ただの通りすがりだよ」

 

 人の声のような発声に、ワレチューも警戒をする。そして、その人物達から、ワレチューに悪魔の囁きが告げられるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 場面はまた変わって、プラネテューヌの公園。ビーシャが何かを探すように辺りを見回していた。見渡した先にいるのはいたって普通の人々だ。その中からビーシャが探していたのはネプテューヌから伝えられた、怪しい人物の捜索だ。

 ゲーム機を盗まれたということを聞いたビーシャは自分にも手伝わせてほしいと頼み、こうして自分の活動範囲内をくまなく捜索し、犯人逮捕につなげようとしていた。捜索にはDRXも加わっており、2人がかりで至る所を回っている。が、残念ながら簡単には見つからない。

 

「怪しい人かぁ。んー……ここにはいないなぁ」

 

 早く見つけないと、犯人に逃げられちゃうよ。犯罪組織にねぷねぷの大事なゲーム機を取られるなんてさせないんだから!わたしはそう意気込みを入れる。……けど、どんなやつなんだろう……。ねぷねぷに聞いておけばよかったなぁ。探してるときに会ったら特徴を聞いて、今は怪しそうなやつを片っ端から追うかな?

 そのようなかなり非効率的な考えを取ろうとする傍ら、しばしの間沈黙を守る。そしてふとビーシャは呟く。

 

「やっぱり、ねぷねぷは凄いなぁ」

 

「ビーシャ?どうかしたか?」

 

 ビーシャの呟きにDRXも反応する。聞いてきたDRXにビーシャはその言葉の意味を語る。

 

「うん。ねぷねぷは元々この国のトップで、今はみんなから忘れられたんだよ。でもすぐに人気者になっちゃうなんて……わたしには出来ないよ」

 

 ビーシャは、ネプテューヌの強さに感心していたのだ。例え今までの地位がなくなっても、それでもこの改変された世界で自分の居場所を見つけている。そんなネプテューヌを見ていると、今の自分を超えないといけないような気がしたのだ。

 超えるべきものとは、もちろんモンスター恐怖症のことだ。今のビーシャに足りないもの、それはモンスターに立ち向かう勇気だ。仲直りの際、ネプテューヌは言っていた。2人で支え合っていけばいいということを。その時はそれでもいいと思っていた。しかし、それでは納得しきれない。

 

「それに、無理に直さなくてもいいって言ってくれても、そうはいかないって思うんだ……」

 

「ビーシャ……」

 

 DRXもそれを聞いて口を閉ざす。別に、ビーシャに呆れたりバカバカしいと思って言いたくなくなったわけではない。むしろ逆で、そこまで思い詰めているビーシャにどう言葉をかけていいか分からなくなっていたのだ。

 しかし、今のビーシャにとっては、それでよかった。無理に言われるよりも、今は自分で決めていきたかった。ネプテューヌが自分自身の力で人々の助けになっているのだから、自分もそれを自分の力で乗り越えていきたかった。

 それでも思い悩んでしまう。その迷いをため息として口から吐き出す。

 

「……はぁ」

 

 すると突然、声がかけられる。

 

「やっと見つけたでちゅわ。あなたがビーシャでちゅわね」

 

 いきなりであったので誰なのかすぐに声の方を向く。すると、そこにはエプロンをした白いネズミとジャージを羽織る少女がいた。

 普通なら誰なのか名乗りを聞く場面だ。が、ビーシャの目に強く印象に残ったのはネズミの方……そのネズミがモンスターに見えた。突然現れた苦手なものにビーシャは怖さのあまり大きく退く。

 

「ひぃ!?モンスター!?」

 

 なぜモンスターがその場にいるのか。ビーシャには分からなかった。が、それ以上に分からなかったのは、モンスターが自分の名前を言ったのかであった。

 

「どどどどうしてモンスターがわたしの名前を!?……はっ!?まさかわたしを食べる気なんじゃ!?」

 

「お、落ち着け、ビーシャ!このネズミはたぶん敵じゃない!」

 

 恐ろしい発想をするビーシャをDRXは制する。そのやり取りを見て、白いネズミこと「チューコ」も自身の扱いにツッコミを入れる。

 

「まったく、こんなに可愛いわたしを怖がるなんて、しちゅれいでちゅわ」

 

「て、店長も落ち着いて……。何か事情があると思いますから」

 

 チューコを少女がなだめる。だが、それぞれのパニックと反射的なツッコミをサポート役が抑えても、モンスターの恐怖さからビーシャの警戒は解けない。

 

「ガクガクブルブルガクガクブルブル」

 

 全く言葉を聞こうとしない様子を見て、白いネズミは困る様子を見せる。

 

「これじゃあ、せっかくお礼を言いに来たのにそれどころじゃなさそうでちゅわね」

 

「お礼……だって?」

 

 白いネズミからの話を聞いて、DRXが頭を傾げる動作を取る。その言葉で少し落ち着きを取り戻したビーシャも何が何なのか分からなかった。

 お礼?って言っても、わたしこの白いネズミとあった事なんて今までになかったよ?もしかしたら、前に助けた子供の親ってことなら分かるけど、そもそもモンスター嫌いの私がネズミ型モンスターの子供を助けたことなんてないし……。

 いったいどういう接点があるのか過去の記憶を思い出そうとするビーシャとDRX。だが、記憶のどこを探しても、関係ありそうなものは思い出せなかった。すると、チューコは理由を2人に語る。

 

「この間、うちの店に入った泥棒をあなたが捕まえてくれたってネプテューヌたちに聞いて、ずっと探してたんでちゅわ」

 

 それでようやくビーシャも納得がいく。あの時はあまり気にしていなかったが、確かにネズミを捕まえた後でイストワールにその事件については聞いていた。

 その事件に自分が関わっていたとは知らず、ビーシャは頷く。

 

「そうだったんだ。あのお店の店員さんかぁ」

 

 しかしその声にはどこかぎこちなさがあり、変な喋り方となる。まだ目の前のネズミがモンスターであるという事実を受け入れられなかったのだ。喋り方を不安に感じたDRXは大丈夫かどうかを聞く。

 

「ビーシャ、無理してないか?」

 

「だ、大丈夫だよ!それよりも、それをわたしに伝えに来たってことは、プレスト仮面の正体も!?」

 

 DRXからの声かけに返答しつつもビーシャは自身がプレスト仮面である事実を知っているかを確認する。普通ならプレスト仮面のことをこの場面で聞くのは自分がプレスト仮面がであるということをバラしているようなものだ。もっとも、元から正体を知っている人の方が多いのだが。

 そして無論、目の前のネズミ達も知っていると返答する。

 

「それは前から知ってたでちゅわ」

 

「お……同じく、私も……です」

 

「さ、さすがモンスターとそれを操るモンスター使い……。ネズミタイプとは言え、侮れない」

 

「あなた、まさか気づいていないと思っていたんでちゅの……」

 

 誰も気付いていないという思い込みにツッコミを入れる白いネズミ、いや、もうチューコと呼ぶべきだろう。ツッコミを入れたところで、これまでのビーシャの反応に対して考えを口にする。

 

「けど、まさかヒーローともあろう子がモンスター恐怖症なんて情けない話でちゅわね」

 

「うぅ……」

 

「そんなに言ってやらないでくれ。ビーシャ自身も気にしているんだ」

 

「それは……申し訳なかった……です」

 

 直球で言われたことで落ち込みを見せるビーシャ。そこでDRXがフォローを入れる。だが今はどうしてもそれに対し強く出れない。どうにかしなければという思いは大きいが、それでも行動に移しきれないのだから。

 すると、少し考えたチューコが妙案を出す。

 

「んー……そうでちゅわね。泥棒を捕まえてくれたお礼といってはなんでちゅが、わたしがあなたのモンスター恐怖症をなおしてあげるでちゅわ」

 

「治すって……店長、そんなことが出来たんですか……?」

 

 チューコの口から出てきたのは「治す」という単語であった。無論それはモンスター恐怖症のことを指している。自身を雇っている店長から出た言葉に店員の鈴奈も困惑を見せていた。おそらく、そのような事実を初めて知ったのだろう。

 

「治す……けど、どうやって?」

 

 ビーシャもどういうことか理解できていない。DRXもその巨体を傾け、考える。

 だが、チューコの案は既に行われていたのだ。チューコはその事実を2人に共有させる。

 

「あなた、気づいてないんでちゅの?今、わたしと普通にお話ししているんでちゅわよ」

 

「あ、本当だ!?」

 

 当たり前のことに気づく。そうだ。さっきまでは少し怖がっていたのに、今は全然そんなことを考えずに話が出来てた!モンスターを克服しようっていう気持ちを抱えてないのに、なんで!?

 考え込むビーシャ。すると、チューコはその理由について簡単に予想をする。

 

「きっと、わたしがチュートで可愛いからでちゅわ。わたしのお友達を紹介してあげるから、徐々にモンスターになれるといいでちゅ」

 

自画自賛っぽいが、もっともらしい理由である。だが、少し離れたところでDRXと鈴奈がその理由を語る。

 

「まぁ、こじつけっぽいよな。自分から可愛いって言うあたり」

 

「けど、あの話の入り方が店長のいいところですから。……そういう私達も、け……結構話せてますね……」

 

 2人の会話もまた弾んでいく。そして、ビーシャは徐々にチューコのペースに巻き込まれていく。

 

「わたしほどではないでちゅが、みんな可愛い子ばっかりでちゅのよ」

 

「ほんと!それなら、ちょうどいいよ!わたし、モンスター恐怖症を治したいと思ってたんだ!」

 

 チューコの誘いにビーシャが乗る。ようやく自分のモンスター恐怖症も治る。そう思えてきたビーシャはすぐにチューコと鈴奈にDRXと共に付いていこうとした。

 だが、それは突然の乱入者によって大きく邪魔されることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 DRXがそれに気づいたのは、ビーシャ達と同じく、悲鳴を聞いたからであった。

 

「だ、誰か助けてだっちゅー!」

 

 助けを呼ぶ声を聞いて、一瞬ネプテューヌ達が追っているという窃盗犯が誰かを追いかけているのかと思った。だが、その声が聞こえた方向からやって来たのは、窃盗犯側の人物、いや、ネズミであるワレチューだったのだ。

 その姿を見て、チューコ達も現れたワレチューに以前のことを引き合いに出して警戒する。

 

「あ、あなたは、うちの店に入った泥棒ネズミでちゅわね!?」

 

「うわ……やっぱり店長と違って、……汚いことが大好きそうなネズミ……」

 

 警戒心を強める店員達とは対照的に、いきなり増えたモンスターの一種にビーシャが若干戸惑いつつも身構える。

 

「ネズミが増えた!?しかも、なんか悪そうな顔してる!?」

 

「なんで一度捕まえたネズミを怖がってるんでちゅの!!」

 

 怖がる姿勢を見せるビーシャをチューコが一喝する。彼女の言う通り、今は怖がっている場合ではない。ネズミが仕掛けてきても、ネズミを追っている者がいたとしても、どちらにしろ民間人の2人を守らなければならない。DRXは拳を構えつつ、ビーシャに2人の護衛を伝える。

 

「ビーシャ、戦えるか?」

 

「た、たぶん……。でも、あの時はプレストマスクをつけてテンションが上がってたから、ノリでたまたまだったし……本当に出来るかどうか」

 

 ビーシャから不安の声が漏れる。今のビーシャでも、いきなりモンスターとの戦闘は難しいだろう。ともかくDRX自身は前に出ることを意識して構えようとする。その体格差から、攻撃が1発当たれば終わるだろう。

 が、黒いネズミのワレチューは攻撃の姿勢を取らずに、こちらに向かってきて頼み込んでくる。

 

「そ、そんなことはどうでもいいっちゅ!今すぐオイラをかくまうっちゅ!」

 

 ワレチューからの尋常ではない頼み方にDRX達も困惑する。一体何に怯えているのだろうか。だが、それはすぐに分かることになる。

 地面をゆっくりと踏みしめる音が聞こえる。DRXはすぐにその正体を確認する。がそこにいたのは拍子抜けするほどの存在だった。

 黒髪の……少女?それにあれは……ガンダムか?俺はそう認識する。姿こそ全く違うが、2人には共通点がある。色だ。どっちも黒を基調にした服と装甲が目に映る。

 ガンダムの方はともかくとして、少女の方は一体なんだと疑う。すると、その少女がワレチューに向けて言う。

 

「おいおい、いきなり逃げることはないだろ。そんなに、オレたちのことが嫌いなのかい?」

 

 少女は冷静な表情で淡々とそう言った。たったそれだけではあったが、DRXにはその言葉に何か違和感を、いや、少女の雰囲気に危機感を抱いていた。

 お、俺が危機感を……?そんな馬鹿な。相手は少女だぞ。まさか、あんな奴が俺よりも強いっていうのか?

 DRXが恐怖を己の中で抑え込む中、DRXと同じことを感じ取っていたワレチューが言い返す。

 

「生まれついてのワルなオイラにはわかるんだっちゅ。お前らからは嫌な感じしかしないっちゅ」

 

 強気に言い返すが、その表情はこわばっており、汗を額に浮かべていた。緊張感が押し寄せる中、黒いガンダムの方が今度はその声を発する。

 

 

 

 

「……あぁ、それは心外だよ。せっかく、君にいい夢を、彼女と共に見せてあげようと思ったんだが……」

 

 

 

 

 ガンダムの言葉に続いて、少女が再び、今度は哀しい声音で呟く。

 

 

 

 

「そうだよね……。オレなんかが見せる夢なんてどうせ気に入ってくれないもんね……」

 

 

 

 

「だが、君はそうだったとしても、そこにいる可愛らしいネズミの子なら、どうだろうか。それに、ちょうどよい具合にうってつけの子と戦士もいることだ……全員で楽しい夢でも見ようじゃあないか?」

 

 

 

 

 ゆっくりと向けられたカメラアイ。それに見られ、チューコとビーシャ、そして……DRXの体が、揺れる。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。さて、黒幕達も怪しく動き始めてきました、どうなる次回以降!?

レイ「今日特撮ネタ多くない?」

シエラ「あれじゃないですか?今週のジードの話」

レイ「あぁ、そっかー」

今週の連続タイプチェンジからのロイヤルメガマスターかっこよかったです。特にソリッドバーニング登場時から流れた挿入歌とそれをバックにどんどん押していくジードの姿!マグニフィセント登場時なんか予測していたのに轟音と共に悠然と向かっていくジードには感動を覚えた!これを超える話があると思うとジード最終回楽しみですよ!(過度な期待)

レイ「まぁ、男の子たちの心をくすぐる展開ではあったよね」

シエラ「無理矢理見せられましたからね。しかも公式配信を流しながら小説3000字分の一部打ってたし。多分それがあんまり進まなかった原因」

それは認めよう。事実私が小説進める時は適当なアニソンをループで流してそれをバックに書いている方が進むし。だからしばらくはアニソン流さないとね。次回はまた戦闘回!……だったはず。

レイ「けど、それって確か小さな戦闘なんだよね?ジャンヌちゃんから聞いたよ?」

うん、でも今回の超次元編を大きく動かすかもしれない戦闘シーンになるよ

シエラ「あら、そうなのね。ってことは、捕虜を確保したり?」

それは次回の楽しみということで。さて、今回はここまで!

レイ「次回は火曜日に投稿だよーっ!」

シエラ「じゃあ、次回もまた見なさいよね?」

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