新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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どうもみなさん、お元気でしょうか。
夏休みも半分を切りそうな藤和木弘です。
第12話投稿です。

そう言えば、ネプテューヌVⅡの方はDLCでキャラがたくさん出ますね。
自分的にはニトロプラスちゃんが好みです。
まあ全部のキャラの中ではうずめちゃんが好みですが。
でもチーカマちゃんもいいですね。
ミリオンアーサーちゃんとゴッドイーターちゃんは原作ゲームやったことないのでゲームの特徴を取り入れているのか分からないですが、ネットの反応見る限りではいい感じらしいですね。まあ、自分が見た範囲内では、ですが。

では今のところ、本編で彼女らを出すつもりは今の所ありませんが、本編どうぞ!


第12話 黒血を纏いしZEROと言う名のG

 

その機体、ブラッドゼロガンダムを新たに纏った光樹は、とても落ち着いていた。否、落ち着いているより冷徹と言うべきものだった。

 

(…この機体は……俺の…力。)

 

この時、観客席のマイクからネプテューヌたちから声をかけられていた。しかし現在の光樹には、周りの人物たちの声は聞こえてはいなかった。

というより無駄な情報を一切カットしているのだ。この機体の戦術支援・情動欠落化インタフェースがそうしていた。

 

「…」

 

そんなことも気にせず、光樹はただ、先程投げ飛ばしたパープルプロテクターを見つめ返す。パープルプロテクターは先程の攻撃に屈することなく、バックパックに装備された二本の柄を引き抜く。そこからはビームの刃が形成される。ビームサーベルである。それを構えて再び急接近してくる。そして再び突きを繰り出す。だが。

 

ビシッ!

 

右手の突撃槍と両刃剣を合わせたような武器、ANアームドアーマーZR(ゼロ・ランス)を腰部に収めてから、再び高密度のANフィールドで受け止めると、今度は中国武術の発勁(はっけい)で突き飛ばす。今度もまたビームサーベルを取り上げ、横に投げ捨てる。再び観客席の全員が歓声(ただ一人は驚愕の声)を上げる。

だがそれすらも光樹は気にしなかった。まるで機械のように敵と戦況を冷たく見つめていた。

一方で、パープルプロテクターの方は、ただ茫然とした様子でこちらを見返していた。おそらく、攻撃が効かないことでシステムの中でどう対処すべきか演算しているのだろう。

少しの間の後、演算が終わったと思われるパープルプロテクターが動く。機体のウイングパーツから、シェアエナジーを全力で噴射し、突撃してくる。インターフェースの「未来予測」から、来る攻撃はおそらくバリアを先端に限界まで研ぎ澄ませ、こちらのフィールドを突破する高速突撃であるだろう。だがその程度ではこのANフィールドを抜くことは出来ないと確信していた。

そう考えた光樹は再びフィールドを構え、呟く。

 

「斬神…。」

 

白い仮面の侍の当身技で再び攻撃を受け止め、後方に投げ飛ばす。

だがそれは甘えだったようだ。すぐに敵は機体を立て直すと、床に落ちていたライフルとビームソードの柄を拾い、ビーム刃をまた発生させる。どうやら先程の攻撃はわざとこちらのカウンターを受け、武器の回収に回るためのものだったのだ。

 

(暴走のくせに、よく判断が出来ている…。やはりコンピューター制御だからか……。)

 

そう考えつつ、こちらも戦闘準備を整える。右手首からビームサーベルの柄を出し、光の剣を出現させる。出力最大のソードとも呼べる剣を構える。

だがこれで決める気などない。まだやることがある。あの機体に同化させられている、少女を救うことだ。幸いにもその決意だけは、今の感情が欠落しているような状態でもはっきりと残っている。

そうこう考えている内に、敵がライフルブレードとビームソードを前に構え、さらにその先にバリアを発生させ、突撃形態に形状変更する。

流石にあれを防いで投げ返すのはこの機体の性質上不可能だろう。だからこそ、「あのシステム」で決めるならここしかないと判断する。

 

「ガガガガガガ!」

 

パープルプロテクターそのものからと思われる、そのような声と同時に、相手が動く。もちろん高速突撃だ。だがその行動と同時に、こちらは左腕部のシールドを、装備されていたロストカノンに似たものごと排除する。機体の機動力を上げるということもあるが、それ以上に、このシステムを起動させると、周りのシールド系の防御機能が使用不可になるからだ。

そして身軽になった機体で、その突撃を回避する。今度は受け止められなかったためか、敵は数十メートル前進した辺りで、ブレーキを掛ける。身を翻らせようとするのが見える。だがもう既に遅い。

光樹は機体のインターフェースに指示を出す。

 

「“ゼロ”、ディバイダー・ゼロ・システムを使う。」

 

『了解、ディバイダー・ゼロ・システム始動開始。ディバイドエッジにアタックシフトします。』

 

ゼロと呼ばれたインターフェースがそう答えると同時に機体の全スラスターから黒い粒子を放出し始める。それはAN粒子をロストカノンのロストモードの粒子とは別の方法で縮退させた粒子、DAN(ディバイド・アウロラ・ノイズ)粒子である。

その光はやがて右手に握られ、ビームの出力を切ったANビームサーベルⅤの柄に集まっていき、黒い剣を作り出す。そして、その剣を振るう。

 

「はっ!」

 

その力強い一声と共に、黒い剣から黒色の衝撃波がパープルプロテクターに向かって伸びる。ちょうど反転して加速しようとしているところだったので当たるのは確実だ。だが相手はその攻撃を食らわぬよう、シェアリングバリアを展開する。だが無意味だ。特にエネルギーバリアなどは。

 

スッ

 

エネルギーバリアを通り抜けた。そして、パープルプロテクターに直撃する。が、その装甲に傷は付かない。威力が弱かったわけではない。DAN粒子単体では、物理的なダメージは無いのだ。その攻撃を受けたパープルプロテクターは再びゴーグルセンサーの光を失った。

そして確信する。少女は、海優は無事であると。

 

 

 

 

「見て!パープルプロテクターが動きを止めたわ!!」

 

「今の黒い斬撃…一体なんだったの?」

 

ユニちゃんとノワールがそれぞれ発言した。二人だけじゃなかった。ブランやベール、ネプギアやロムちゃんとラムちゃんも反応は違うが、パープルプロテクターを止めたのと、先程光樹が放った黒い衝撃波の話題でいっぱいだった。

 

(でも、海優はどうなって…!)

 

ネプテューヌはそのことに気づく。すると突然、上の方から「プシュー!!」と音が聞こえてきた。そのような音がするのは、この状況ではただ一つ。海優の入っていた、シェアプロテクターの精神転送装置だ。

カプセルが開き、中にいた海優が姿を見せた。そこに、S・P・Nのみんなはもちろん、観客席にいた全員が、一斉にそちらの方に向かう。

海優はその目に涙を浮かべてたけど、どうやら無事みたいだった。

 

「海優!よかった…無事で……」

 

「ホンマ心配したで!」

 

「閃、ミヤト…ありがとう。私…わたしぃ…!」

 

海優が泣きそうになるところで、私は海優をそっと優しく抱きしめた。

 

「ごめんね、海優。私たちがあの開発主任の企みを知ってれば…」

 

「ネプ…テューヌ様ぁ…うわあーーーーん!!」

 

海優は我慢していた涙を堪え切れず、泣き始めた。思いっ切りだ。余程つらかったのだろう。こんなことをした開発主任を許すわけにはいかない。

一方、その開発主任は、とんでもない行動を取っていた。

 

「ええい!パープルプロテクター、スタンドアロンモード起動!」

 

「スタンドアロン!?まさか自動操縦で…」

 

ベールがそう言った時には遅かった。既に開発主任のジニアスは手に持っていたコントロールボタンを操作していた。

終わると同時に、スタジアムで停止していたパープルプロテクターが再び起動し始める。

 

「おいテメェ!もう終わっただろ!!なんでまだ続けんだよ!」

 

ブランがブチ切れ状態になる。だがその怒りの言葉すらも、ジニアスには届かないようだった。ジニアスが言葉を返す。

 

「うるさい!!元々は貴様らがアプサラスⅢと呼んだあの兵器、アフサラスⅢがあの害悪を消す手はずだったのに!」

 

「ちょっと待ってください!じゃあ、あの兵器はあなたが作ったものだったんですか?」

 

「そうさ!!あの兵器は、シェアプロテクターの次に素晴らしい、私の傑作だ!あんな得体の知れないものに私の住む国を任せられるか!」

 

あまりにもゴーマンで身勝手な理由だ。流石の私でも、かなり怒りがこみ上げてくる。

 

(もう、なんでそんなに気に入らないかなー!)

 

そう思ってそのことを言おうとしたその時だった。

 

『雑魚の言うことだな…この雑魚主任…。』

 

光樹の声が通信回線を通して響いた。

 

「ざ、雑魚だと…。ふざけるな!!なぜそんな事を部外者の貴様に…」

 

その言葉に、ジニアスが猛烈に返す。

だがそれすらも光樹は冷静に遮る。

 

『それより、こいつぶっ壊しても、問題ないよな…?』

 

「はっ!壊せるものなら、壊してみろ!!」

 

その言葉が確実にスイッチになったのは間違いなかった。通信越しでも、私たちには、光樹の明らかな殺気とでも言うべきものを感じ取れていた。

そして、光樹の口から、言葉が紡がれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

『そうか…ならガラクタにしてやる……』

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉と同時に、光樹の新たな機体から、先程の黒色の衝撃波がスタジアム全体に広がる。

その衝撃波は観客席に貼られていたバリアフィールドにあたり、そして――――――

 

砕いた。

 

『!?』

 

全員が衝撃を受けたが、問題はそこからだった。その衝撃波がこちらにも向かってくる。それに飲み込まれた瞬間、異変が起きる。

 

 

 

 

 

 

 

 

突然、胸のあたりが痛み始め、息が苦しくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

『うっ…!!』

 

その症状が全員に起こる。みんな膝をついてしまう。

 

「何…これ…」

 

息が苦しく思うように声が出ない。息も落ち着かない。どうも人の生きることを阻害しているようだ。なんとか私やノワール、ブラン、ベールが立ち上がろうとする。けれどネプギアたち女神候補生たちはその力も残っていないかのようなひどい状況だった。対して、S・P・Nのメンバーは元から身体能力が高いからか、私たち女神と同じ状態だった。だが何も鍛えていないジニアスは、生きてはいるみたいだが、起き上がれていなかった。

と、そこに光樹の声が聞こえてきた。通信回線ではなく、スタジアムからの声だ。

 

「みんな、少しの間、負担を掛ける…でも、これで倒すから。」

 

その言葉を言い終わり、また戦闘が始まることになる。

 

 

 

 

ネプテューヌたちに迷惑を掛けることを言った後、光樹は再び動き出したシェアプロテクターを睨み付ける。そのシェアプロテクターだが、再起動してからはおかしな挙動を取りながら、こちらをうかがっていた。

ならこちらから攻めるべきだ。そう考えた光樹は、左手を横に振り、とある武器の名を叫ぶ。

 

「来い…ブラッドゼロアームズⅡ…。」

 

すると、その先に空間の歪のようなものが出現し、そこから武器が出てくる。ダブルオーライザーのGNソードⅢに似た武装を左手でつかみ、ソード部を展開する。加えて右手に先程、腰背部にセットしたANアームドアーマーZRを持ち直す。

少しの睨み合いの後、先に動いたのは光樹の方だった。背部のウイングスラスターから粒子を大量に放出して全力で接近する。相手の方もライフルからマシンガンの弾をばら撒いてくる。ランダムに撃ってきて、回避を困難にしていたが、それは既に見切っていた。

 

「甘い……。」

 

そう一言呟きながら、両手の武器で、マシンガンの弾を「撃ち落して」いく。射撃武装でではなく、その刀身で弾を打ち消していたのだ。敵はその行動に何も感じていない様子で、そのままライフルにブレードを出現させ、二刀流で攻めてくる。振り下ろしてきたビームソードをANブラッドゼロアームズⅡのソードモードで受け止める。互いの剣が交わる。しかし相手はそれを嫌がるように右手のライフルブレードを突きの構えにする。

だが、その前に光樹の方は動いていた。

 

ザクッ!

 

右手に持ったANアームドアーマーZRで敵の右肩を刺し貫く。だがそれだけではなかった。

ジャキン、と音が聞こえる。その音は、ANアームドアーマーZRからの音だ。突然刀身が縦に開き、肩と体をつなぐ部分を引き裂いたのだ。普通の人だったなら悲鳴が聞こえるものだ。だが相手は機械でありながら、その痛みに耐えかねたのか、悲鳴にも似た咆哮を周りに響かせる。

 

「ガガガガガァァァァ!!?」

 

パープルプロテクターが切断された肩部分を反対の手で庇う。そこが、大きな隙になる。

 

(今しか、ない…。)

 

そして、発する。

 

「ノイズフォースビックバン……。」

 

『了解、ノイズフォースビックバン、「ディバイドゼロ・エクリプス」発動。』

 

ANブラッドゼロアームズⅡを持つ左手を左下方向に振ると同時に、先程ネプテューヌたちを襲った衝撃波が小さく発生し、機体の周りに黒いオーラが発生する。DAN粒子が作り出しているのだ。

そして敵に突っ込む。パープルプロテクターもそれに気づき、対応しようとするが、遅い。

 

「ふっ!はあ!!」

 

ANアームドアーマーZRを左下に振り下ろし、すぐに横薙ぎに切り裂く。胸部と腹部に傷が刻まれる。さらにそこに追撃と言わんばかりにANブラッドゼロアームズⅡのソードモードで打ち上げる。パープルプロテクターが宙に舞う。

だがそこで終わりではない。ANアームドアーマーZRを受け身を取れないパープルプロテクターに向ける。狙うはシステムが内蔵されていると思われる頭部だ。刀身が再び開き、砲門を形成する。そして、撃つ。

その一撃がパープルプロテクターの頭部を撃ち抜き、消滅させる。それと同時に、機体の各部からスパークが散る。機体の背を相手に向けながら、はっきりと発した。

 

「ジ・エンド……。」

 

そして機体は爆散した。スタジアムに、機体の破片が散る。パープルプロテクターはある程度形状を保っていたが、明らかにもう使えないのが見えた。

しばらくの間、痙攣のようにその機体は震えていたが、小爆発を起こしたのち、完全に機能を停止する。こちらのインターフェースにも、既に敵のアイコンが消えている。

全てが終わったのを確認すると、光樹は機体を浮かせ、観客席に向かって飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐに観客席に着くと、ネプギアが少し苦しそうにしながらだが、こちらの方にやって来た。

 

「こ、光樹さん。ありがとうございます。海優さんを助けてくれて。」

 

すぐに言葉を返そうとしたところで、気づく。

 

(ZEROシステムはもういい…オフ…。)

 

そう機体に指示を出すと、光樹の感情の感覚が戻ってくる。ZEROシステムの情動欠落化を切ったのだ。

そしてネプギアに返事を返す。

 

「あ、ああ。大丈夫か海優…と、みんなも…。」

 

そう言ったところで、ノワールが怒りの声を浴びせてくる。

 

「大丈夫って…あなたねえ!こっちは死ぬかと思ったわよ!」

 

「私たちが女神じゃなかったら、もしくは身体能力が高くなかったら死人が出てもおかしくなかったわ。」

 

ブランも同じく咎める。やはり全体へ起動する必要はなかったようだ。だがあいつの、開発主任のジニアスとかいうやつが許せなかったので、つい堪忍袋の緒が切れたのだ。ZEROシステムで感情は出ないようにしていたのにそうなるということは、やはりゼロがジニアスを敵として認識したからなのだろう。ゼロはこちらが制御しないと、味方の被害を考えないのが欠点だ。

だがそんな事考えている暇はない。先程話しかけてきた二人以外にも、ネプテューヌやユニ、さらにロムとラムも不満そうに見つめてくる。

 

(流石に謝らないとな…。)

 

そう思うとすぐに謝罪の言葉を述べた。

 

「ごめん、みんな。命の危機に晒してしまって。」

 

だが、そこに予想外の言葉がかけられる。それはネプテューヌと海優、さらにカテリーナからだ。

 

「確かにあんなの何回もされたら、オンラインで負けそうになったら電源切る人並みにいらついちゃうけどさー。でも、光樹は海優を救うために戦ってくれたんだよ?それに比べたらまだ安いもんだよ!」

 

「アタシの代わりにジニアスを懲らしめるためにわざわざやったんでしょ?すっきりしたわよ。ありがとうね。でもあれは二度としないでね!」

 

「私も二人と同意見です。ですが、あなたには感謝しきれません。海優を助けてくれて、ありがとう!」

 

その言葉を聞いて、少し恥ずかしくなる。さらにそこにミヤトや閃、ベールも続く。

 

「すごいやんか!海優を救っただけやなくて、あの腹立つシステム付けられとったシェアプロテクターも止めるなんて、最高やで!!」

 

「ありがとうございます!海優を助けてくれて…本当に良かった!」

 

「何はともあれ、この騒動を収めたのは確かですわ。流石ですわ、光樹さん。…ですが、海優さんを助けたとはいえ、もうあの黒い波導は無しですわよ?」

 

それに、先程言った二人も、肩を落としながらも、その顔に笑みを浮かべていた。

そのみんなからの気遣いに、心に余裕が生まれる。

 

(ああ、みんな優しいな。)

 

心の中でそんなみんなに感謝する。

と、そこで光樹はジニアスの方に眼を向けた。

ジニアスは未だに体を起こせてなかったが、憎々しげにこちらを睨み付けている。そこでベールに話しかける。

 

「さて、問題はこいつだけど…さっきこいつアプサラスⅢもどき作ったって言ってたな。どうします?ベール。」

 

「決まっていますわ。ここまで問題を起こした以上、開発プロジェクトからは抜けてもらいますわ。加えて、国家反逆罪で逮捕は確実ですわ。」

 

ベールが端末を操作すると、入り口の方から何人かの人々がこちらに向かってくる。その容姿から、警察部隊であることが分かった。警察部隊は速やかにジニアスの体を起こすと、その手に手錠を掛ける。ガチャリ、という音が観客席に無慈悲に響く。そして、警察部隊に連行されていく。

 

「いやー、しかし災難だったね。こんなことになっちゃって。」

 

「そういえばパープルプロテクターどうしよう…。大破しているんだけど。」

 

そんな心配をしていると、カテリーナが問題ないことを言った。

 

「大丈夫です。シェアプロテクターの予備パーツはまだまだありますし、それに今回の運用のおかげで反省点を見いだせました。特にシステム面は大幅に変えることは確実なので、心配ありません。」

 

「そうか、なら良かった。てっきり弁償することになるかと…。」

 

「そんな心配をしていたんですか!?確かにそんな感じはしますけど、今回は光樹さんは別に悪くないはずですから大丈夫ですよ。」

 

ネプギアに突っ込まれる。流石に心配し過ぎだったようだ。笑みでその言葉に返すとベールにとあることを言う。

 

「さて、しばらくの間は、シェアプロテクターはメンテナンスでいっぱいですが…でも俺の新しい機体の調査も必要ですよね。どうします?」

 

だが、その心配をベールは寛大な言葉で返した。

 

「それでしたら、一緒に調整やテストを行うというのはいかがでしょうか?」

 

「え?いいんですか?」

 

「ええ、こちらの調整が終わるまで待ってもらうのも悪いですし。それにネプテューヌやネプギアちゃんから聞いた「ガンダム」について研究員の方々も興味があると言っていましたわ。」

 

そんな事を返されたのでびっくりする。ありがたい話だが、一日でそれが終わるわけがない。そのことを伝えると、ベールは…。

 

「大丈夫ですわ。こちらの方には部屋の空きはありますし、何だったら居心地の良さを考えて、S・P・Nの皆さんが使っている宿舎を借りましょうか?」

 

意外な回答を返してきた。いや、確かに時間がかかるなら泊まるのが最適だろう。さらに知っている面々なら、少しは異郷の地でも安心(まあ今の俺はこの世界のどこに行っても異郷の地なのだが)だろう。

だがそこで問題となってくる人物たちがいた。ネプテューヌとネプギアである。

 

「えー、光樹が残るなら、私も残ろっかな?」

 

「お、お姉ちゃんが残るなら、私も残りたいです!光樹さんの新しい機体を調べてみたいし!」

 

二人とも、真っ当な理由だが、実際は違った。二人とも昨日のガンダムの話の続きについて話すことを約束してたのだ。

だが、女神二人が自国を放って他国に長期間滞在するなど、許されるものではない。そこで光樹が二人を説得…しようとしたのだが、そこにノワールが話に入って来た。

 

「二人とも、わがままはやめときなさい。誰がプラネテューヌを守るの?」

 

「うっ…痛いとこつくねー、ノワール。」

 

「そ、そうですよね。私たち二人がプラネテューヌに居ないといざという時に国を守れないですし、それに何より、いーすんさんが怒りそう…。」

 

二人はしょんぼりとしながら、あきらめる。二人とも、ちゃんと理解してくれたようだ。

 

「では、そろそろアフタヌーンティーの時間にしましょうか。」

 

ベールのその言葉に、全員が反応し、移動を開始する。もちろん、光樹も同じように笑みをこぼす。

そうと決まれば、と、すぐに新たな機体、ブラッドゼロガンダムをセット・オフし、その後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します!王、将軍。たった今、ジニアス・サハリンがリーンボックス軍に捕らえられたと報告が!」

 

部屋に入って来た者は敬礼をすると、部屋の中にいた人物らにレポートを出すと、報告を開始する。その者の容姿は極めて異質であった。直角的な体をしていて、爪のようなものが三本、手の部分に取り付けられている。さらにその中央には砲門のようなものが三個あった。左腕には盾のようなものを装備している。さらに背部にはバラの蕾のようなものが二基、背負われていた。さらに特徴的なのはその顔だ。一つ目にスリットのついた顔、横にはパイプのついた、いわゆるモノアイ顔になっていたのだ。

彼の存在は普通の人が見ればおかしいと思うが、この部屋の中では気にするほどではなかった。

なぜなら全員が彼と同じような、いわゆる機械生命体のような姿をしていたからだ。

と、そこで私の隣でイスに座り、パソコンを打っていた「将軍」が声を上げる。

 

「ふむ、あの開発主任がやられたか。だがそれはあまり「計画」には影響はないな。」

 

「将軍」はガチャっ!と、音を立てつつ、またパソコンに向かい直した。一方、私は次の指令について言い渡す。

 

「ご苦労だった、騎士ローゼン。ではローゼンには忍者ステマックス、AM(オートマティック・マシン)ギラ・ズールと共に、ジニアス邸の地下に存在する「例の物」の回収を頼む。リーンボックス軍よりも先に回収だ。分かったかな?」

 

「了解です、王!行くぞ、ステマックス。貴様の能力、当てにしているぞ。」

 

ローゼンがそう言うと、「将軍」の横に控えていた者、ステマックスが言葉を返す。

 

「了解でござる、ローゼン殿。」

 

すぐにその二人が部屋を出ていく。そして部屋には私こと「王」と「将軍」がいるだけとなった。

そこに突然、将軍から声をかけられる。

 

「相変わらず部下に対して厳しいな、シナンジュ王。少しくらい労ってやったらどうだ?」

 

「今回はそういうわけにもいきません。「あれ」を女神側に知られれば、こちらの位置もばれる可能性があります。今は迅速に証拠を隠し、動かず、時を待つべきです。」

 

「ふむ、そうだのう。そう考えるとは流石、元ラステイション軍の大佐…」

 

そう将軍が言いかけたところで口に手を当てた。このことはなるべく話さないように、と決めているのだ。

だが私は答える。

 

「そのことはあまり言わないように、アフィモウジャス将軍。…ですが、気になることがあります。」

 

「気になることとな?」

 

アフィモウジャス将軍が聞いてくる。それに対し、こう答える。

 

「シェアプロテクターを撃破した、「ガンダム」です。精神の中でうずくのだよ…。そう、この感覚は…強敵と会った時の感覚と似ている。」

 

シナンジュ王は少し息を溜めてから言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「80年前…私の顔に傷を付け、片足を持っていったあの白い一角獣の兵士と戦った時以来だ。私にこのような気持ちを抱かせたのは…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

CHAPTER 0 END

 

TO BE CONNTINUED 

 

NEXT CHAPTER 1 「崩壊寸前の世界、零次元へ」

 




いかがだったでしょうか。今回のお話ではブラッドゼロがチート級の能力を使いましたが、あれにはそれ相応のデメリットも付けているので大丈夫だと思います。

それから、今回アフィモウジャス将軍らと出したシナンジュ王と騎士ローゼンはもちろん、機動戦士ガンダムUCのモビルスーツ、シナンジュとローゼン・ズールがモデルになっています。
本格的な登場は超次元編からですが、彼らはアフィモウジャス将軍と共に待ち受けるボスキャラクターなのでその際はかなり強く登場させるので、楽しみにしていてください。

それから、前半のDLCに海男とネプギャーが出るらしいですね。ネプギャーはともかく、海男が出るとは…どちらかと言うと草の根運動時代の海男さんに出てもらいたいです!
まあ今までの例(イストワール)から、魚の海男が出てくると思いますが、使ってみたいです。

では次は黒の館第2回、ブラッドゼロガンダムの紹介なので、金曜日に投稿したいと思います。
ではこの次もお楽しみに!

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