新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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どうも、皆様お元気でしょうか。昨日は新しいバトスピのデッキでショップバトルを準優勝を勝ち取り、明日から学校の研修旅行があり、更に就職の内定を頂いたりと今週は既に大きな出来事がたくさん起きています、藤和木弘です。

ジャンヌ「…ど、どうも、皆様。本当ならつーんとした対応で藤和木との会話を進めるつもりが……藤和木にたくさんの朗報があり……あぁもう!藤和木、内定と準優勝おめでとうございますっ!!わたくしも嬉しいですっ!!ジャンヌ・ドラニエスですっ♡」

レイ「あはは。流石にそんなに起きたら、ジャンヌちゃんも無下には出来ないよねー。どうも、みんな!藤和木が無事内定決定!で小説のペースが進むかもしれないよ、レイ・オーバだよっ!」

うん、先週今週と色々とあって私の頭付いていけない\(^o^)/なんか今すごい波に乗ってる。この調子で小説も進めたい。
とまあここまでは近況報告として、今回は第125話の投稿になります。

レイ「今回は……また重くなりそうなタイトルだね……。けど、光樹君の過去が明らかになるの!?」

ジャンヌ「ビーシャさんの過去も気になりますが光樹さんの過去も気になりますね」

さて、ビーシャの過去に鈴達はどう反応するのか?そして、光樹君の過去の話は?それでは本編へ!


第125話 ビーシャの過去、光樹の過去

 

 

 プラネテューヌ市街にある、1つの公園。そのベンチに、少女とロボットが座っていた。少女の方は浮かない顔をして顔を俯けている。一方、ロボットの方は少女を励ますように寄り添っている。

 落ち込んでいる少女……ビーシャがため息をつく。

 

「……はぁ」

 

 ハネダシティから逃げてから何回も同じようにため息を出していた。後悔と懺悔のため息に共に付いてきたR1がフォローをする。

 

「まあ、仕方ないって。いくら強いヒーローにだって、弱点はあるって……」

 

「うぅ……R1……。でもさぁ……」

 

 R1の言葉に返そうとする所で、突如聞き覚えのある声が響いた。

 

「へぇ、弱点、ねぇ。詳しく聞きたいわ?」

 

 いきなりかけられた声に、ビーシャの肩がビクッと震える。R1の方も少し態勢が反る。いきなり聞かれたくない、弱みを指摘されたため焦ったのだ。

 声の方を向くと、そこには先程いたハネダシティに共に向かったネプテューヌ、鈴、それに光樹がいた。

 

「ビーシャ発見!」

 

「へ?ネ、ネプテューヌ!?」

 

 思わずビーシャが驚きの声を上げる。まさかこちらを探しに来ていると思わなかったからだ。指さすネプテューヌの横で、光樹もR1に声をかける。

 

「R1もいるな。探したよ」

 

「和藤、光樹……それに、鈴、だったか……」

 

「光木鈴、ね。私のフルネーム。まあ、今はどうだっていいけれど」

 

 R1の言葉に名乗りと言う名の訂正をつける。しかし、鈴の言葉にはかなり棘があった。ネプテューヌと光樹が比較的やわらかなのに対し、この反応は、やはり自身の行動が原因なのだろうとビーシャも感じていた。

 それもそうだ。私が逃げたせいで、戦力の落ちた中で、戦ったはずなんだ。私のせいで……迷惑をかけたんだ。

 R1からの話で、ビーシャが逃げた直後の様子は聞いていた。その中でも最も逃走に怒っていた1人、が目の前にいる鈴ということも知っていた。

 逃げてしまったことには申し訳ない気持ちがもちろんあった。だが、どうしようもなかったのだ。どう言葉を返せばいいのか、戸惑うビーシャ。それを見て少し前に出て庇う様子を見せるR1。

 と、そこでネプテューヌが先だってビーシャに無事であったことを喜ぶ発言をする。

 

「良かった、無事に帰ってこれたんだね。けど、突然いなくなるから心配したんだよ」

 

「ごめん……」

 

 ネプテューヌの言葉には比較的怒りがこもっていなかったため、すぐに謝罪をする。その行動に、怒りを見せる姿勢をそのままに鈴が今度は聞いてくる。

 

「その謝罪は逃走に対して?それともネプテューヌに心配をかけさせたことかしら?」

 

 鈴からの言葉に、少し怖気づいてしまう。後から聞いてきた質問の内容が鈴を含めていないところから、鈴の考えの中心が違うことが分かる。鈴は自身の無事については考えていないようだ。

 それを察したのか、R1が訂正を申し入れる。

 

「おい、流石にそれは……」

 

 R1からの要請を鈴は厳しい事実を告げる。

 

「はっきり言って、今のこの状況じゃ、そう言うしかないわ。アイエフも、何も事情を聞かない限り、そういう見方しか出来ないと思うし。だから、今あたしはそう言ったの。で、どうなの?」

 

 鈴の質問する目が、ビーシャを精神的に圧迫し、追い詰める。その目は優しく接する目ではなく、まるで厳しく指導する大人の目だ。それは、ビーシャに逃げた責任を問う眼差しでもあった。

 言葉に迷ってしまうビーシャだったが、それでも何か言わなければならない。そう考えると、恐怖と緊張を抑えて、口を動かす。

 

「それは……その……どっちも……」

 

 言いづらそうにしながらも口から絞り出した言葉を受けて、ネプテューヌがその顔に笑顔を見せて、ビーシャに自分達の気持ちを伝える。

 

「わかってるなら、よろしー。けど、安心して。わたしたち、心配はしてるけど、怒ってはないから」

 

「うぇ!?ほ、ほんと?」

 

 思わず疑ってしまう。確かに、今話してるネプテューヌはもちろん、光樹もこれといって目立って怒ってはいない。けど、問題は鈴の方。さっきからの言葉や態度も、怒ってるようにしか見えない。現にさっきだってそういう見方しか出来ないって言ったばかりで、その言葉を信じることは出来ない。確実に鈴は怒ってるよ。

 ビーシャのその疑惑をR1が言葉にして鈴に問いかける。

 

「怒っていないだって?冗談じゃないぜ!鈴は明らかに怒ってるじゃねぇか!?」

 

 声を大にして指摘するR1。しかし、鈴は少し髪をいじってから、R1の言葉に反論する。

 

「怒ってる?冗談じゃないわ。今、あたしは「真剣」に話を聞いてるの。高圧的なのも、事実を明らかにしたい、潔白にしてビーシャに不安なくこっちに戻ってきてもらうための対応よ。むしろ、今この場で一番怒っているのは、あなたじゃなくて?」

 

「な……!そ、それは、ありがてぇけどよ……」

 

 意外な回答に、R1も口を閉ざす。完全に言い負かされていた。聞いていたビーシャも、その返しに呆然としてしまう。

 そんなに思ってくれているんだ……。怖くなって逃げたのに……。それなら、ちゃんと話した方が良いのかも。

 更にそこに、ネプテューヌが加わる。

 

「ほら、鈴だってそういう風に思ってくれてるんだよ。じゃなきゃ、こうしてお話に来ないよ」

 

「それはもっともだな。怒ってた1人の鈴がここにいるってのは、俺も驚いてるくらいだ」

 

 ここにいた3人がまだ自身のことを信頼してくれているということを受けて、ビーシャも落ち着きを取り戻していく。少しずつ、心が楽になってくる。

 しかし、このままでは何も変わらない。その理由が分からなければ、本当に信用はしてもらえない。それを証明するように、ネプテューヌが理由について聞いてくる。

 

「だからさ、なんでビーシャが逃げたのか、理由を教えて欲しいんだ」

 

「それに、R1。貴方のビーシャへの防衛行動も。多分、理由は同じ所に行きつくんでしょうけれど」

 

「……そりゃあ、そうだよな……」

 

 R1にも理由を聞く鈴。あの場面でR1が抜けたことも、彼らにとっては予想外の行動であるのはビーシャやR1本人も分かっていた。むしろ、あそこでなぜR1も追って離脱したのか聞きたいぐらいであるだろう。無論、理由は鈴の予想通り、ビーシャ自身の問題にあった。

 R1に対しての質問も含めて、ビーシャとR1にどうなのかを聞く。

 

「いーすんも理由を知らないってことは、ずっとビーシャとR1とで抱え込んでたってことだよね?だからさ、力になってあげたいんだ。2人でダメなら、3人、4人って、もっと多い人数で力になるからさ」

 

 優しく、積極的に問題解決に関わろうとしてくれるネプテューヌ。嬉しいと思う一方で、疑問を感じる。なぜ、ここまで自分に快く接してくれるのか。あの時、ゲイムギョウ界トーナメントでいきなり現れて、「何かの力」で国を奪って、元いた地位にいるというのに。それなのに、どうして……この異変の元凶とも言える自分にここまで親身になってくれるのだろう、と。

 どうしてなのか分からなくなったビーシャは疑問をそのままネプテューヌに問いかける。

 

「……どうして?どうして、ネプテューヌは、この国を奪ったわたしに……わたしたちに良くしてくれるの?」

 

 その言葉に、ネプテューヌではなく、鈴が若干目線をきつくする。それに気づいて、また反射的に体をビクつかせてしまう。すると、ネプテューヌが鈴の方に顔を向けて叱る。

 

「もー、ダメだってば。今は怒るときじゃないって」

 

「ネプテューヌ。……分かったわよ……」

 

「ははは、流石の鈴も怒られるもんなんだな、これは」

 

 ネプテューヌに注意された鈴を見て、光樹が笑う。しかし、鈴の怒りの矛先は、それによって光樹に向けられる。

 

「……光樹、あんた今日はDRXとの戦闘でダイを使ってたから言わなかったけど、これからDAIモードを起動させてもいいのよ?」

 

「……悪かったって……」

 

 鈴からの痛烈とも取れる言い方で仕置き内容を告げられた光樹は、手を振って遠慮する様子を見せる。しかしビーシャはDAIモードがどういったものか知らなかったので、何を言っているのかは分からなかった。少なくとも、光樹にとって嫌なことであることはビーシャには分かった。R1も相手こそしたものの、詳しい詳細は知らないので同じ感想であった。

 鈴達の言い合いが終わると、ネプテューヌが先程のビーシャの考えの誤解を解く。

 

「んー……。まずは、そこんとこの誤解をとかなきゃだね。わたし、国を奪われたなんて思ってないよ?それどころか、みんなから忘れられちゃったわたしの代わりに国を守ってくれてるんだから、感謝はしても、恨んだりはしないよ」

 

 ビーシャ達にとって、予想外の反応が返ってくる。ネプテューヌが今回の一件はもちろん、大事である国の代表を奪い取る暴挙にすらも気にしていない、むしろ自身がいない間に国を守ってくれたと逆に感謝する対応にビーシャはますます困惑を見せる。

 いや、確かに途中から、女神の代わりに何とかしないとって思ってたけど……でも、ネプテューヌからしてみればあれは国を盗ったことになるはず。今までの世界でなら、女神の地位を奪ったことは大罪に繋がるほどの事件なのに……。どうして、ネプテューヌはそんなわたしを許せるの?

 ますます困惑するビーシャを見て、首を傾げてネプテューヌはビーシャの発言の真偽を聞く。

 

「……けど、まさか、盗んだつもりだったの?」

 

 ネプテューヌの顔が残念そうになっていく。それを見て、慌てて盗んだことを否定する。

 

「ち、違うってば!それだけは信じて!」

 

「それは本当なの?」

 

「あぁ、本当だ。決して悪意があってあんなことをしたわけじゃない」

 

 鈴からの追及をR1が擁護してくれた。ビーシャ達もそこまで悪に落ちていない。むしろ正義を名乗っているのだから、そんなわけはない。そしてもちろん、自分達の行動で、世界が滅茶苦茶になっていることにも、責任を感じていた。

 責任を感じていたからこそ、ネプテューヌが戻るまで何とかしようと頑張って来た。しかし、結局は今回のようにダメだった。自身の欠点のせいで、果たさなければならない使命を放り出した。

 そんなビーシャの心理を読むかのように、探りを入れてくるネプテューヌ。

 

「んー……。けど、そのリアクション、なんだか怪しいなぁ……」

 

 どうにも信じ切ることが出来ない様子を見せる。しかし、それはネプテューヌの考えの中であった。続けて彼女の口から一気に問題の中心となる件が口にされる。

 

「どうして逃げたかを話してくれたら、盗んだつもりはないってこと信じてあげてもいいな」

 

 それは選択誘導だった。逃げた理由を話せば、国の一件は許す。しかし、話せないのなら許すこともできない。

 最初から逃げた理由については聞いていたが、深くは聞き入らなかった理由は、ビーシャの隠している心理を探るためだったのだ。その表情からは、まったくそんなことは考えていなさそうだったが、それでも確実に話すか話さないかの2択に絞らせたのはネプテューヌの手によるものであり、完全にビーシャはそれに乗せられたのだ。

 

「……ネプテューヌの意地悪」

 

 ビーシャの口が細くなり、思わずそう口から恨み言のように呟く。ここまで来た以上、もう言い逃れも、下手な嘘も言えない。ビーシャに続いて、R1も降参を口にする。

 

「参ったな……流石、プラネテューヌの女神だぜ」

 

 一方、その様子を見ていた光樹達はネプテューヌの耳元で囁く様子を見せる。この時は全く聞こえなかったのだが、鈴と光樹はネプテューヌが本当にここまで計算通りに事を運んだのかを聞いていた。ネプテューヌのその口から語られたのは「それはどうかな~」と言葉を濁しての回答だったが。

 ビーシャ達の負けを認める発言と、光樹達の確認を聞いて、当の本人は調子よさげに胸を張って自信満々に言い放つ。

 

「ふっふーん。悪知恵なら小学生にも負けない!それがわたしなのだ!ドヤァ!」

 

「あー、なんかネプテューヌに負けたのがすごいショックに感じるよ……」

 

 光樹も思っていた言葉を口にしていた。人は見かけによらないというのも、この場にいたネプテューヌ以外の人物が思っていた。

 けど、ここまで話す場を展開されて、話さないわけにもいかない。

 

「………………」

 

 しばらく沈黙を守るビーシャ。だが、横からR1の視線を感じたところで、ビーシャは顔を上げる。もう、言うしかない、と。

 R1の方に顔を向け、頷いて、心の準備を決めたのち、ビーシャは話を切り出した。

 

 

 

 

「……わたしね、モンスターが怖いんだ。だから逃げた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビーシャの発言は、光樹達にもよく聞こえた。モンスターが怖い。確かに彼女はそう言った。モンスターの存在がよく知られているゲイムギョウ界でも、そんな人はいるかもしれない。事実、先のモンスター襲撃でも、民間人は逃げ回っている。武器の有無かもしれないが、この世界にもモンスターを怖がる人はいるだろう。

 しかし、ビーシャがそう言うのには、どうも信じ切れなかった。意外だと思ったのだ。女神を圧倒でき、シュバルトゼロもそれなりに苦戦させられている。女神やガンダムが圧倒的な力を持っているのに、それに臆することなく立ち向かい、女神に対しては勝利もしている。

 その女神が、モンスターに悠然と立ち向かっている中、彼女はモンスターが怖い、だから逃げた。その事実は光樹を混乱させるのには十分だった。話を聞いていたネプテューヌも最初は素直に受けていたが、後から驚きを露わにする。

 

「そっかそっか。モンスターが怖いから逃げたのかぁ。……え、マジ?そんな単純な理由!?」

 

「うん。マジでそんな単純な理由」

 

 聞き返したネプテューヌにビーシャは先程と同じような声音で返す。あまり気乗りではないテンションに、鈴も怪訝な様子でR1に真偽を確かめる。

 

「……ただ、それだけなの?」

 

「あぁ、それだけだ。けど、それだけ深刻なのさ」

 

 R1から真剣な口調で語られる。そんな風に言われてしまえば、嘘だとも思えない。信じるしかないだろう。だが、それを聞いて、モンスターが怖いというのが、ビーシャにとってかなり重いというのも理解する。

 ビーシャから衝撃発言を聞いて、困惑を見せたネプテューヌだったがこの世界をよく知っているだけあって、順応は早い。そこまでの問題に至るだけの理由を聞く。

 

「これまた予想外な展開だよ。真っ先に、それはないと思ってたのに。何かトラウマでもあるの?」

 

 ネプテューヌの質問に、ビーシャは小さく頷く。そして語りだす。

 

「うん。小さい頃に、モンスターに襲われたんだ」

 

「モンスターに……」

 

 鈴が復唱する。小さい頃に襲われたり、恐れたりしたものがトラウマになるというのは、よくある話だ。実際、光樹も虫とかは苦手だ。まだゲイムギョウ界の虫系モンスターは戦えたりするが、純粋に虫となると触れない。小さくもぞもぞとしたものがダメなのだ。

 続けてビーシャは話す。

 

「それが自分でもビックリするくらい、トラウマになってるみたいで、未だによく当時のことを夢で見るんだ……」

 

 怖いことが繰り返し脳裏に現れ、それをずるずると引っ張ってしまう。トラウマのよくない典型的な流れである。

 だが、その流れが悪いこともビーシャは分かっていた。それに呼応して現れた気持ちを次に口にした。

 

「だから、かっこよくモンスターや悪人と戦うヒーローにすっごく憧れたんだ。自分もこの人たちみたいに強くなれば、このトラウマも克服できるかもって思って今までわたしを守ってきてくれて来たR1と一緒に、強くなるためにゴールドサァドになったんだ」

 

「憧れて、それでゴールドサァドに……」

 

 ビーシャがトラウマを克服するために選んだもの、それこそが、ゴールドサァドへの道であった。恐怖の対象となる存在を打ち消す力を手に入れることで、恐れをなくし、トラウマを支配しよう。それがビーシャの考えだったのである。

 これで光樹達もビーシャがゴールドサァドになった理由が分かった。となれば、R1がゴールドソフツになった理由も……と考えた光樹がR1に真相を確かめる。

 

「R1がゴールドソフツになったのも、それに関係が?」

 

「あぁ。ビーシャでも自衛出来ないモンスターが出てきた時でも、ビーシャを守れるように、ゴールドサァドの守護者にも力を分け与えてもらえるっていう話だったから、俺も相方のR2、R3を呼んで、ゴールドソフツになったのさ」

 

 光樹の予想通りの答えだった。ビーシャを守るために、R1もゴールドソフツという、ゴールドサァドの守護者となったのだ。

 だが、残念ながら、ビーシャの考えは上手くいかなかったことを光樹達は事情を知ると同時に理解した。ビーシャもそれを語る。

 

「……でも、やっぱり無理だった。それに、最近は今まで以上に当時のことを夢で見るようになっちゃって……。余計にトラウマが悪化しちゃったんだ」

 

「余計に?力を手に入れたのにか?」

 

 光樹もビーシャのその発言に疑問を口にする。力を手に入れたことがトラウマを刺激したのだろうか、と考えたからだ。すると、鈴が事象例を挙げる。

 

「むしろ、力を手に入れて、余計にモンスターのことを意識したせいかもしれないわ。モンスターへの対抗できると強く持ちすぎて、裏にある不安も増したんだとしたら……」

 

「……なるほど」

 

 鈴の考えに頷いて納得する。裏にある不安とは、また同じような目にあった時への「恐怖」だろう。もう二度と同じ目に遭いたくないという気持ちが、より一層トラウマの風景を印象付けているのだとしたら、そうなるのも致し方ないのかもしれない。

 先程のビーシャの話に続いて、R1もその現状を話す。

 

「前はスライヌ程度の低ランクモンスターなら何ともなかったんだが……。ここ最近は特に酷くてな、とにかく俺無しじゃ遠くの街へ行くのも一苦労なんだ」

 

 R1の言う通り、それはかなり酷い状況だ。夢で繰り返されることで、ビーシャのメンタルにも負荷がかかっていると予想できる。そこにまた現実でのモンスターの遭遇なども重なるのだとしたら、完全に負のスパイラルに陥っている。

 それを今まで抱えていたのだとしたら、ストレスレベルにまで達していてもおかしくない状況である。事実、ビーシャの口から、弱音の言葉が口にされる。

 

「こんなんじゃ、ヒーローどころか、ゴールドサァドも失格だよ……」

 

「ビーシャ……」

 

 R1も心配の声を向ける。光樹もなんと声をかけたらいいのだろうかと反応に困る。すると、ネプテューヌと鈴がそれぞれ前に歩み寄る。

 

「そんなことないよ。モンスターが怖くて戦えなくても、ビーシャは悪い人から子どもたちを助けてくれてたよね?自分でできることを精一杯やってたんだから、ヒーローもゴールドサァドも失格なんかじゃないと思うな!」

 

「そうね。ゴールドサァドは失格かもしれないわ。けど、ヒーローとしては、まだ失格じゃないんじゃないかしら?」

 

 如何にもネプテューヌらしい言葉と、鈴らしからぬ発言だと思った。ネプテューヌの方は、まだ考え方がいつものネプテューヌらしく、ビーシャの行動を良い方向に捉えて励ましている。しかし、鈴の方はゴールドサァドとしてのビーシャは良くないと言っているものの、ヒーローとしてのビーシャを否定していない。そんなところが、これまで関わってきた鈴の性格から想像出来なかった。あまりにも想像から外れていたのだ。

 案外人の考えは外見や普段のことからは読み取れないと改めて知らされた。光樹も何か言わなければと思ったが、そこで鈴から制止を受ける。ビーシャが口を開いたからだ。

 

「……でも、そのせいでモンスターの対応が疎かになってハネダシティがあんなことになっちゃったし……」

 

 先程の失態を悔やむビーシャ。すると、ネプテューヌが提案を持ちかける。

 

「なら、これからは2人で協力してこうよ」

 

「……え?」

 

 あまりのことに一瞬ビーシャは反応に困った。予想だにしていない言葉が飛んできてから、もしくは、どういう意味か理解に困ったからだろう。そこで、ネプテューヌもビーシャの返事にすぐ説明を合わせる。

 

「誰にだって、特異不得意はあると思うんだ。けど、それって仲間同士で補えばいいだけの話だと、わたしは思うんだ。ビーシャは街の治安維持。わたしはモンスターの討伐。R1はビーシャに付いていくもいいし、わたしや光樹に協力してもいい。そうすれば、それぞれの長所を生かせるし、問題ないよね?」

 

 ビーシャとR1、それに鈴や光樹達にもその言葉は向けられる。早い話が役割分担だ。今までもネプテューヌは役割分担で国を治めてきた(もっとも、どちらかというとネプテューヌが怠けすぎていて、イストワールが仕方なく分担の形を作った上にイストワールが事務のほとんどを行っているのが現状だが)。考えとしてはアリな方法である。

 もちろん光樹は頷いて賛成する。他にも鈴に加え、R1も戸惑いつつも賛成する。

 

「それはありがたいが……けど、いいのか?」

 

「うん!てか、これもう決定事項ね!」

 

「随分と強引な決定事項ね……」

 

 意気揚々と既に決まった事と語るネプテューヌに鈴も頭を抱える。しかし、反論することはなく、認めているようだ。

 無理矢理感があるものの、自然とその気にさせるネプテューヌにビーシャがポツリ、とつぶやきを口にする。

 

「……あぁ、そっか。だから、この国の人たちはネプテューヌを信仰してたんだ……」

 

「……そうだな。俺達以上に、それも無意識にヒーローだったんだよ、ネプテューヌは」

 

 そんな2人の納得を聞いて、光樹達は不思議と笑いがこみ上げてくる。もしや本当にネプテューヌが常にダラダラしていたと思っていたんじゃないかと考えたからだ。もちろん、そんなことで2人がそう言ったわけではなかった。それに、光樹達もその考えを切り捨て、本当は今まで人々が信仰していた理由を知ったからだと考え直す。

 一方で、それらが耳に入っていなかったかのように、ネプテューヌが2人に聞き直す。

 

「ん?なんか言った?」

 

 この状況で、どう考えても聞こえてたとしか思えない上でのその反応に、光樹達も反応に困る。

 ……いや、お前絶対聞こえてたよな?ビーシャの声はともかく、R1はそこそこ聞こえる声でビーシャに語っていた。俺達にもよく聞こえてたくらいだというのに……。そのとぼけはどこか裏があるとしか思えないぞ、その反応は。

 しかし、ビーシャの方も気にしていない様子で、返事をする。

 

「ううん、なんでもない!」

 

 ビーシャの表情には、迷いはなかった。それを見たところで、鈴が唐突に割って入る。

 

「これでビーシャも気持ちが決まったようね。けど、話はまだ終わらないわよ。ここからは、貴女が自分で成長できるための足掛けの話よ」

 

「あ、足掛けの話?」

 

「それってなんだ?」

 

 話が終わったところでの次の話題の内容に困惑する2人。当然話す内容は光樹達は知っていたが、ここで話すことになるとは……。

 とはいえ、機会があるとしたら、ここしかないことは間違いない。むしろ、先程そう言って付いてきた鈴としては、ここで話しておかなければ、付いてきた意味がない。

 唐突ではあったが、光樹もその流れに乗ることにした。

 

「あぁ。……ちょっとな」

 

「何でも、光樹の過去に関わるらしいよ?」

 

『光樹の?』

 

 ネプテューヌも含めた内容の詳細にビーシャ達は声を合わせて返答をする。実際光樹も知らないため、これからあの銀髪の少女について、何が語られるのかが気になっていた。

 そして、鈴は話の始まりを告げる。

 

 

 

 

「じゃあ、始めるわ。……これは、1人の少女を救うために、「不死鳥」と呼ばれた王に反逆した、新たな不死鳥となった少年の物語よ」

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。さぁ、光樹君の過去語りは残念ながら次回になります。

ジャンヌ「これ、詐欺じゃないんですか?」

うーん、詐欺じゃないと言いたいんですが。でも光樹君の過去、それもGKSWAXPの総司令となった経緯が語られる手前も入っているので、このタイトルにした。ある意味じゃ、まだ完全に語ってないからセーフ!

レイ「どうなんだろ……。でもネプテューヌちゃん、悪知恵が働くね。結構天然系だと思ってたのにー!」

レイさんがそれ言うかな……(;´・ω・)でも、ネプテューヌああ見えても結構策士なとこあるよ。今あまり言うのは控えるけど、大人ネプテューヌもそれが目立つし。

ジャンヌ「確かに、既にVⅡの前回、Vのラスボス格を既に閉じ込めているのは大変強力だと思います」

でしょ?オリジナルの話でもそこを大きく出したいと思うんだけどなー。出せるように努力します。
さて、今回はここまでです。

ジャンヌ「次回ですが、冒頭にも申しました通り、明日から藤和木は2日の研修旅行に行ってきます。なので1日分書くペースが落ちるので、火曜日に投稿する形となります。火曜日ですよ、皆様」

レイ「それじゃあみんなー、また次回っ!!」

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