新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結) 作:藤和木 士
レイ「いやー、昨日は藤和木の通り道のお祭り見てきたけど、楽しかったよー!どうも、みんな!祭りの楽しめる季節になったね、レイ・オーバだよっ!」
ジャンヌ「7月になって、わたくしもワンピースに衣替えですっ。どうも、皆様。ワンピース姿の似合う季節になりました、ジャンヌ・ドラニエスです」
みんなで夏と言えばということで、夏と言えば何か!を言ってみました。ちなみに光樹君に聞いたところ、テニスの盛り上がる時期だそうな。暑い中よくやるよ……(´・ω・`)
ジャンヌ「でも、藤和木も昔は部活動でソフトテニスをやっていたのでしょう?わたくしとしては、その時のかっこいい姿、見たかったです」
レイ「藤和木のスマッシュ、見てみたいなー♪」
いや、一応私後衛だったんだけど……まぁ、いいか。今回は第115話の投稿です。
ジャンヌ「DRXからの挑発で終わっていましたね」
レイ「光樹君、どう返事をするのかな?」
さて、この二人の激突、どうなる?それでは本編へ!
戦いを教えてやる。プレスターD、いや、DRXは確かにそう言ってきた。先程の割り込み後、不満を持ちながらも、光樹はそのロボットの言葉を重く受け止めていた。あの場面での言い分は確かに正しかった。冷静になってからは少なくともそう思えた。
だが、目の前に再び現れたそのロボットは、こちらの考えを無視し、挑発を入れてきたのだ。あまりにも露骨な挑発だ。普通の人間なら、よほどのことがなければ、その挑発を買いはしない。
ところが、今の光樹に、その挑発はクリーンヒットしてしまった。その言葉を聞いて、光樹は持っていたペットボトルを乱雑にゴミ箱の方角へ投げつける。投げつけられたペットボトルは壁に当たり宙を舞う。そこから何の手助けもなく、ゴミ箱の中にすっぽりと納まる。
見事な技だが、その当の本人は目を細め、DRXと名乗ったロボットを睨み付ける。怒りが先走った行動に、鈴が咎める。
「ちょっと、馬鹿光樹。挑発に乗らない!DRX、あなたも直球な煽りはやめときなさい」
「ああ、そうだろうな。この生意気な少年は、周りもよく見えない少年なんだから、これくらいのこと、冗談だと思って乗るわけないって。まぁ、女への優しさもない青臭いガキには、これでも乗せられちまうんだろうけどな」
限界だ。完全にこちらをなめきっている。それが敵の狙いだというのは、光樹にももちろん分かっている。ここで手を出せば、こちらがかえって不利。その件を理由に、何かここで活動するのを阻害するつもりなのだろう。やはり、狙いは秘密結社の手伝い……。
絵里奈が不安そうにその行く末を見つめる。ここで割って入らないということは、自身の行動に何か安心感を持っているということなのだろう。絵里奈の期待を裏切りはしない。そして、このまま好きにもさせない。
その口から出かけていた怒りの言葉をグッと堪えつつ、表情を変えずにDRXに返す。
「……おい、そこの合体ロボの野郎」
「あ?何だい、気配りのない少年君?」
おどけた様子で返事をする。が、それには目もくれず、挑発への返答だけをする。
「そんなに自分達の正義を示したいのなら、戦えばいい。ここは模擬戦ドームなんだ。そこで証明すればいいだろ?」
対戦を行おう。そう意味した、目先の餌だ。果たして、やり返しともいえるこの挑発に乗るのかどうか……。光樹は若干の心配をしたものの、それは無用となった。
「……正義を示したいのは、君なんじゃないかい?ブラックボーイ?」
先程の挑発を返した光樹からの逆挑発に、先程よりも真剣さのある声で返答する。どうやら、こちらからの焚き付けは成功したようだ。それを見計らって、やり取りを見ていた鈴と勇也が対決のルール等を提案した。
「じゃあ、成立ってことね。ここの第2模擬場を使うってことで」
「あそこならお前らも全力で戦えるだろう。開始は10分後でいいか?二人とも」
「あぁ、それで行こう」
「こっちもそれで構わないぜ。さぁて、悪はどっちなのかな?」
二人は各々に頷きを見せる。そこで準備のためにDRXが部屋を出ていく。よって静寂が部屋を支配した。突如として緊迫に圧されていた空気は、あっけなく終わりを迎えたのだ。
終わりを察したところで、絵里奈が息を思い切り吐いて、疲労を語った。
「…………はぁぁぁ~……びっくりしたぁ……。どうなるかと思ったよ」
絵里奈の言葉は一番この雰囲気を象徴する言葉であった。続く鈴や勇也も、緊張したことを明かす。
「まぁ、驚くのも無理はないわね。まさか、改変して一番目立つ人物がやってくるなんて。しかも、さっき会ったばかりだってのに」
「やって来た理由は、邂逅したこと自体がなっていたようだけどな。……とはいえ、記憶喪失なのによくああも模擬戦の方向に持ってったと思うな。光樹、あれは狙い通りか?」
勇也からの問いに、光樹はそうだったと答える。
「あぁ。目に見えた罠だったし、ここで即攻撃、なんてことしたらイストワールやネプテューヌに迷惑をかけたはずだからな。って言っても、もうあと何回か挑発か何かを受けてたら、耐えられなかったかもしれないけれど」
「フン、そもそも挑発に乗ること自体をしなければ、こんなことにはならなかったと思うんだけど?」
鈴からは厳しい指摘を受ける。鈴の言うこともごもっともだ。あんな安い挑発、気にしなければよかっただろう。しかし、光樹も自身の考えを変える気はなかった。それが、自身の信じる道だからだと思ったから。
光樹の思惑を汲み取るように、絵里奈も鈴に向けて擁護する。
「でも、あのままいいように言われるのも、なんかしゃくじゃないかなー?少なくとも、私は嫌だな~。だってぇ、光樹君に色々と言うだけ言うなんて、許せないもん!」
「絵里奈、あんたも少しは大きく物事を見て……」
鈴が否定しようとするところで、それを遮るように礼を口にする。
「ありがとう、絵里奈。絵里奈の言う通り、ただ自分の考えを無理矢理押し付けるってのは、俺も気に入らなかったからさ」
「光樹君……えへへ……!」
そのまま絵里奈の頭に手を置くと、絵里奈は照れ顔を見せて喜びの笑みを見せる。絵里奈の喜びに光樹の口元が自然と緩む。一方、見せられていた鈴は大きくため息をつくと、光樹に強く言いつける。
「はぁ~~っ……。光樹、とりあえず今回はあんたに賭けるわ。絶対に負けるなんてこと、ないように!もし負けでもしたら……」
「分かってる。負けられない……この戦い!」
そう意気込み、光樹は第2模擬戦場へと足早に向かった。
♦
「いやー、まさかこんなことになるなんてね~」
「だよねぇ~。私も思わなかったってー」
ネプテューヌの声に絵里奈が頷き返す。彼女らは現在、第2模擬戦場の観客席にいた。呼ばれたネプテューヌは最初こそ、なぜ自分が呼ばれたのかは分かっていなかった。しかし、絵里奈に連れてこられたここで、鈴からの説明を聞いてようやく話を理解することができた。
でも、正直言って驚いたなぁ。さっき会ったばかりのゴールデンプレスト?って二人組の一人とまた会って、しかもそのロボットの方が光樹と対戦するなんて。
ネプテューヌが聞いていたのは、絵里奈からは光樹との進退を賭けた一騎打ち、鈴からは各々の信じる正義を賭けての真剣勝負だという。どちらにしても、光樹にはかなりプレッシャーがかかっているはずだ。それほどの勝負を買って出たことにネプテューヌも驚いていた。
しかし、その分自分がここにいることは理に適っていると思う。こっちはこっちでアイエフとコンパにあのネズミ……ワレチューの看護と見張りで留まってもらっているが、この大一番の勝負、国の代表が見なければいけない。……「元」、ではあるが。
そんなことを考えているうちに、フィールドに動きが出る。地面に開いた穴から、それぞれの機体が出てきたのだ。右に出てきたのは、お馴染み黒いガンダムこと和藤光樹の「ゴッドクロス」、左手から上がってきたのは、ワレチュー追跡時に姿を見せた仮面のロボット、「プレスターD」だ。
出てきた二機を見て、絵里奈が真っ先に指し示して言う。
「見てっ!光樹君達だよっ!」
「本当だ。あの仮面ロボットもいるね」
ネプテューヌも同じく反応する。ただ、ネプテューヌの言葉には誤りがあった。現れた仮面ロボットは、今は仮面をつけていなかったため、ただのロボットに近かった。とはいっても、仮面がついていないだけで、今はやけにモニターの部分がデカい顔と、その奥に光る二つの光が灯されているのだが。
二人の盛り上がりを見つつも耳に当てたイヤホンマイクから声を出す鈴。増幅された声がスタジアム中に響く。
『じゃあ、これから模擬戦を始めるわ。互いに武器はセーフティ設定。ただし出力はそれぞれの機体と同じ。全力で戦って、先に機体の設定ライフポイントを削り切った方の勝ち、いいわね?』
『了解!』
『おうっ、構わねぇぜ?』
二人からの返答がスピーカーから流れる。お互いにルールを確認しあったようだ。
今回の勝敗は「ライフポイント形式」だ。機動兵器のコンピューターに耐久値を設定し、装甲にもらった攻撃の大きさによって耐久値が減少、0になった方が負けというものだ。ネプテューヌも海優との練習で知った模擬戦形式だ。
ついでにセーフティ設定とは、電子的にダメージを作り出し、反映させるというもの。これは光樹のガンダムのシステムを解析して作られたシステムだ。
お互いに機体のチェックを行う。プレスターDの方からは先ほども聞いた声のほかに、男系の声と女系の声が聞こえることから、どうやら複数のロボットが合体しているようだ。合体していないとどうなんだろうかとネプテューヌは気になる。
そして、勇也が戦闘開始のコールを行う。
「じゃあいくぞ。3、2、1……GO!!」
その声と共に、激戦が始まる。まず最初に動いたのは光樹。早速両手に持ったANロング・メガ・マグナムを連射する。素早い連射にプレスターDは臆することなく、防御姿勢で攻撃をその自慢の装甲で守っていく。
先にも思った通り、この模擬戦はライフポイント制だ。攻撃を受ければ、ライフが減っていく。となると、攻撃を受けるのは悪手とも言える。この場合、受けに回ったプレスターDが不利だろう。
が、それは甘い考えだ。目の前にモニターされている二人の体力ゲージを見る。すると、プレスターDの体力はあまり目立つようなダメージの減り様は見られなかったのだ。
「やったぁ!光樹君の先制攻撃っ!……って、あれ?あんまりダメージ受けてないような……?」
光樹の攻勢に喜んでいた絵里奈も疑問を浮かべる。ここが重要な点だ。
まぁ、わたしも最初にこれやったときは驚いたんだよね。簡単に言えば、これ、防御値が反映されちゃってるんだよね。もっと簡単に言うなら、本人の耐久が体力の減りにも反映されてるってこと。
耐久値が高ければ、それだけ受けるダメージが減る。ということは、防御が厚ければ受けるダメージも減るということだ。ここが、普通の模擬戦とは違う厄介なところ。リアリティさを表現しているが、踏ん張りが反映されないという、安全性とリアルな戦闘を絶妙に再現した機能だ。
光樹もそれには手を焼いたように手数から威力で押す攻撃法に変更する。ライフルを合体させ、高出力のツインモードにすると、高出力ビームを放つ。が、これに対してもプレスターDは防御姿勢でダメージを抑える。
連射攻撃が収まったのを見て、今度はプレスターDが攻撃に回る。全スラスターを全開にしてゴッドクロスに突撃したのだ。
「今度はあっちの攻撃みたいだな」
勇也もそれを察する。接近したプレスターDは脚部の装甲を開く。内部には多数の弾頭が見える。それら全てが一斉に白煙を上げて光樹のガンダムに伸びる。
反撃として放たれたミサイルに光樹は一旦距離を取る。距離を取ったところで空中でドライブモードを起動させて「オーディン」の砲撃態勢を取る。刹那の溜めののち、「オーディン」は赤い閃光と共に放たれる。放たれた光の矢により、迫りくるミサイル全てを撃ち落とす。
攻撃を防がれたものの、プレスターDは気にすることなく、顔面部のモニターを光らせる。本気を出すときの合図か、とも思ったが、それは違った。その直後、光るビームがゴッドクロスに放たれる。
『ちぃっ!!』
光樹は光る瞬間に回避行動を行い避ける。だが回避するにしてもスムーズ過ぎたようにネプテューヌには見えた。
「おおう!?いきなりなのに避けた!」
考えたことを口にすると、鈴がその理由を説明する。
「おそろく、光樹自身も覚えているんでしょうね。あの機体のモデルのことを」
「だろうな。でなきゃ、あんな初見の攻撃を、ああもよけられたりはしないだろうよ」
「そ、そうなんだ……」
二人の推測にネプテューヌは押される。光樹をほめているようにも、馬鹿にしているようにも聞こえたその言葉には、どことなく期待感が感じられた。何だかんだ言っても、結束は強いと思った。
そんな唐突な攻撃を避けた光樹だが、プレスターDが続いて攻撃を行う。
『念力結界、「ドミニオンズボウル」!!』
無数の赤・緑・青に輝く光の球体が放たれる。先程の攻撃を回避して接近をしようとしていた光樹も、それを見て急停止して回避行動に移る。
ネプテューヌも知っていた。この攻撃は、あの場、ゲイムギョウ界トーナメントで見た攻撃だ。そこでようやくネプテューヌもあのロボットがゴールドサァドと一緒にいた、「ゴールドソフツ」の一人であることを知る。
ってことは、この戦いはリベンジマッチだね。再戦という言葉に、わたしも固唾を飲んで見守る。
特殊な球体による攻撃へ、光樹が迎撃を行う。腕部の端末からビームソードを出現させると、その再びプレスターDに突撃する。その途中で念力結界とすれ違う、が、その刹那で念力結界に対し、腕部のビームソードを突き立て、切り裂く。
切り裂かれた念力結界はスパークを散らせた後爆発する。爆風に光樹のゴッドクロスが巻き込まれるものの、すぐに爆煙から飛び出し、また次の念力結界の処理を行う。回避する方法もあるだろうが、今回はこちらの進退を賭けた戦闘。処理できるものは限りなく処理した方がいいのはゲームでも現実でも同じことだ。それでもどちらかと言えば、リスクは軽減していきたいところだろうが、光樹としては邪魔なものはその時排除するというのが根本的な考えなんだろうと思った。
すべての念力結界を破壊した光樹は、そのままプレスターDに突撃をかける。膝に装備されたANエネルギシャープナー「ゼロ・ソードキルⅡ」で切りかかる。プレスターDもそれに呼応するように右手に青い光を帯びさせてその拳で迎え撃つ。
ビーム剣とエネルギーナックルがぶつかり合うと、激しいスパークが散る。辺りを激しく照らしたのち、両者はピンボールの如く弾かれる。互いに地面を擦って後退を止める。お互い、一歩も引かない攻防だ。HPゲージでは光樹の方が有利だが、それでも体力の差はあまりない。
息詰まる攻防にどちらが勝つのか、この場にいる誰もが注目していた。
♦
視点は変わって光樹の方はと言うと、この一進一退の戦況に困っていた。とはいえ、静止するのもよくはないため、次の一手を考えつつ、再び攻撃に入る。腕部のANクロスビームボウガンⅣを高出力射撃、スマッシャーモードに切り替えて撃つ。高速で放たれる攻撃だが、それに対し、DRXはまた防御壁を展開しつつの防御態勢で攻撃を防ぐ。
これまでの攻撃は、すべて防御姿勢に加えて、装甲に展開した防御用の障壁によって防御されていたのだ。光樹や観客席の鈴と勇也の見立てでは、DRXはスーパーロボット系の機動兵器。そういったものは大抵は装甲による防御性能が高い。その分、スピードはないものの、防御行動に回れば、攻撃は非常に通しづらい。そこに加えて、防御障壁ともなれば、まさに鉄壁の城、難攻不落の要塞だ。
ライフルなどの高速の攻撃では不利。ならば一撃に重みのある攻撃をすればいい。そう考える光樹はANシェイブシフトドラグーンを展開する。展開されたドラグーンが包囲し、総攻撃を行う。全遠隔操作端末による攻撃は苛烈さがあり、傍から見れば大ダメージ必須な攻撃だ。
だが、それでもなお、DRXは装甲での防御を選ぶ。こちらほど早く動けないというのもあっただろうが、それ以上に通常のドラグーンシャワーでは一点に与えるダメージが小さすぎて装甲と障壁のダブル防御に信頼を置いたうえでの行動なのだ。
事実、観戦エリアの方の耐久メーターでは、先程よりもゲージは減っていたものの、未だにその耐久値は余裕を見せていた。
だが、それも光樹としては予想の範囲内なのであった。本命はここからだ。光樹はゴッドクロスの右手に光を収束させる。黄金に輝く右手を開き、一撃を放つ。
「高熱爆砕!!」
『ディメンション・ブレイカー』
敵機めがけて一直線に突撃する。DRXもまた指の部分から弾幕を放って迎撃する。爆風がこちらを覆い尽くす。ダメージが入っていくが、それでも軽微。ビームによるバリアとなった攻撃の余波でそのまま突撃していく。
突撃した先に、DRXの装甲を確認する。そこへ、一点集中の一撃を撃ち込む。接触と同時に表面にビームが放たれ、爆発を起こす。爆風により光樹は空中でやや後退、攻撃を受けたDRXは弾き飛ばされる。弾き飛ばされたDRXは背中から地面に激突する。光樹が攻撃を放った左腕の装甲には、ダメージのセーフティ設定の影響で赤く光るダメージの跡が残る。
「……ち。なかなかやるじゃねぇか……!」
ダメージを喰らったDRXも憎々しげにその実力に驚嘆する。予想以上にダメージが入ったということなのだろう。
そのことに少しだが安心する。これで効かなかったら、もうDAIモードしかないと思っていたほどだったため、ダイだけではないのなら、負担をまたかける必要はない。今のドライブモードで最大の攻撃を喰らわせ続けることが出来れば、勝てる。
ところが、そうもいかない。相手もこのダメージにより、本気になることとなった。
「けど、こっちもやられてばっかなわけにもいかないんでね!!R2、R3!!」
「あぁ!!」
「了解よ!」
DRXの声に二つの機械音声が響く。おそらく、元ネタとも言えるSRXのR-2、R-3のパイロットに当たる存在だ。二つの声と共に、DRXは駆動音を響かせ、攻撃に移る。巨体からは予測できないやや早めの速度で、こちらに襲い掛かる。
と同時にその巨大な腕でこちらに拳の一撃が伸びる。こちらもすぐにディメンションブレイカーで受け止めるものの、質量の差で押し負ける。地面をバウンドしつつ何とか着地に成功する。
だが、そこに追い打ちと言わんばかりにまたDRXが近接格闘攻撃を仕掛ける。
「行くぜ!ジ・ザインナッコウ!!!!」
巨体から放たれる拳がシールドを展開して防御した光樹にすらも衝撃と痛みを与える。この一撃、装甲を纏っていなければ骨が折れているレベルでは済まなかった。もしガンダムを纏っていなかったなら……と考えてしまう。
だが、この状況は不利だった。次々と繰り出される重みのあるパンチは、こちらを防戦一方にさせる。さらには、こちらの耐久ゲージまで減らしてくる。防御力の低いシュバルトゼロガンダム・ゴッドクロスには、このダメージはあまりよろしくない。ビームシールドで防御する中、体力ゲージが半分を切った危険ゲージの音が鳴る。
『光樹、HPが半分を切った』
「この数発で!?あっちよりも受けた攻撃は少ないってのに……」
このまま攻撃を受け続けるのはまずい。そう考えた光樹はすぐに離脱を試みる。しかしながら、それをのうのうと見逃すDRXではない。拳を繰り出した左手を突き出したまま、右手で光樹の回避先を塞ぐ。
逃げ道を塞がれると同時に、光樹に左手のラリアットがかまされる。光樹は防御態勢を両腕で取る。攻撃を受け止めることには成功するも、ビームシールドの展開が遅く、衝撃がすべて光樹の電子化された体に襲い掛かる。地面に跳ねるように着地する光樹。そこになおも本気を出したDRXが迫る。
胸部の装甲が開くと、そこから何かの持ち手が現れる。それをDRXの巨大な手が持ち、引き抜くと、それが刀身を形成し、一本の剣へと姿を変える。仰々しいまでの登場の仕方の剣をDRXはこちらに振りかざす。
「喰らいな、このD・O(デュナイド・オリハルコニウム)ソードをな!!」
「くっそっ!!」
振り下ろされた必殺の一撃を、光樹はゴッドクロスのディメンションブレイカーで再度受け止める。腕で受け止めるのは無謀とも言えたが、防御能力も考えられたうえで、ビームの流れを断ち切られにくいこの攻撃でなくては受けきれない、かつビームサーベルを出す暇も惜しかった光樹にはそれしかないと思い、受け止めた。
攻撃は凌ぐものの、圧倒的なエネルギーの疑似熱で機体の腕部にダメージが重なっていく。セーフティとはいえ、ここまでのダメージを負わせるのは普通ではない。完全に相手の機体のエネルギーが大きすぎた。加えて、耐久値もレッドゾーンに突入する。
「くっ……」
光樹のゴッドクロスが体勢を崩しかける。それを見て、DRXが勝機を悟った発言をする。
「へっ!見たか!!これが子供というか弱き存在に代わって悪に鉄槌を与える、子供への愛っていう正義なんだよ!!」
叫びと共にDRXが剣を振り下ろす力に更に上乗せする。このまま押されてゆく―――――
その時、光樹の中の、「何か」が弾けた。怒りの限界を突破したような感覚だ。だが、それと同時に、光樹の脳内にまた、記憶が流れ込む。光樹のブラッドゼロガンダムと孔雀のような翼を持つ機動兵器と対峙している、そんな唐突な場面が流れ込む。
ところが、それを光樹は理解していた。どの場面なのか、「思い出していた」。それは、GKSWAXPが、まだGKPと呼ばれていた頃。
当時の、「総司令」と対峙した時の事。未来を掴もうと反逆する光樹に対し、その「総司令」の言葉が蘇る。
『子供とは、ただ大人が、「正義」が与える未来を歩めばいい……それが弱く未熟な小童どもへの祝福だ……!』
「………………違う………………」
光樹のトーンの落ちた声が紡がれる。と同時に、押し込まれていたD・Oソードが地面に突き刺さる。
「よっしゃ!!……ってぇ、あれ?どこに……」
剣への抵抗がなくなり、大ダメージを与えたと喜んだDRX。しかし、そこに光樹の姿はない。確かめようと首を振ったその時……
ガギャァン!!
「ぐぁっ!?」
DRXの頭が真横に吹っ飛ぶ。吹っ飛ぶといっても、頭部が体と離れるほどではなく、突如横からの衝撃に合わせて体が動かされたというのが正しい。
吹っ飛ばされるその前の地点に、残像を起こすほどの速度で光樹のゴッドクロスが姿を現す。その姿はすでにダイモードへと移行し、機体のツインアイを赤く光らせている。
禍々しい雰囲気を持ったまま、間髪入れずに、DRXに突撃を行う。腰部のAN高純化射撃兵装「オーディン」もスラスターに転用し、速度を上げている。先の回し蹴りで怯んでいるDRXに対し、光樹は先にDRXが言った言葉に対し、言い放つ。かつての記憶の中で見た「総司令」に向けた言葉を、適した言葉に変えて。
「子供だけへの「愛」だけが「正義」なんて……そんな「正義」、絶対に違う!!そんなの、子供への「愛」でも「祝福」でもでもねぇ。強者だと思い込んでいる者の、ただの「自己満足」だッ!!!!」
子供だけを守るという、身勝手な考えを持つ者への、怒りの拳が炸裂した。
TO BE CONNTINUED
今回もお読みいただき、ありがとうございます。
ジャンヌ「光樹さんの記憶が戻った……ですけど、今回は戦闘の記憶ではなく、非戦闘時の記憶でしょうか?」
そうですね。ただ、今回思い出したことは、光樹君が総司令という職に就いたことと、密接な関わりがありますね。
レイ「そっかー。光樹君の苦労話が聞けるのかな?」
そ、それはどうだろう……。でも、そろそろ以前光樹君が思い出した銀髪の少女の話についても書く予定ではありますね。時期が問題だけども。
ジャンヌ「それは考えなければいけませんね」
レイ「それはそうと、もうすぐ夏だけど、番外編とか書かないの?」
書きません。ただでさえこれも昨日打ちあがって出来立てなんですから。誤字脱字がすごい怖い……。
レイ「あははー、そうだったね……。ってことで、今回はここまで!次回も土曜更新になるよっ!」
ジャンヌ「それでは皆様。次回またお会いしましょう」