新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結) 作:藤和木 士
ジャンヌ「まぁ、あれはすぐに機嫌を直せと言われても、出来ませんよ。どうも、皆様。そんな藤和木を励ますのがこの一週間でした、ジャンヌ・ドラニエスです」
レイ「ほんっと、私も珍しく怒ってたよ。ひっどいことする人もいるんだねー!どうも、みんな!レイ・オーバだよっ!!」
怒ってる理由ですが、学校の課題でとある同級生の馬鹿が名誉棄損したって話です。詳しい話はしませんが。とりあえず、第113話、投稿です。
ジャンヌ「データが消えた未投稿話の二つ目ですね。ちなみにこれが出来たのは二日前です」
レイ「なんかグロッキーになってたよね、藤和木」
また同じところをやるっていうのがね……。しかも気分が落ち込んでいる中書いてたし……。みんなも経験あると思うんだ、いやな時にやらなきゃいけないことって。
レイ「話の内容は、ぶつかってきたネズミの話だったね」
ジャンヌ「このネズミはネプテューヌ様達は知ってるようですね」
さて、このネズミはあのネズミなのか?なぜここにいるのか?本編へレッツゴー!!
いきなり叫び声をあげるネズミに、勇也は少し驚いた。誰なんだ、という気持ちと、こっちの方を知っているということは、何か関係があるのだろうという期待感を感じさせた。
様子を見る限りは、ネプテューヌ達超次元側のメンバーは全員知っているようだ。しかしながら、アイエフの表情には懐かしさを感じさせるようなものではなく、何か嫌がる気持ちを感じ取れたが。
そして、SSRメンバーの中で、ネプテューヌのことには詳しい光樹の方を見ると、それはもう、面白い反応だった。表情は苛立ちの中に笑みがあり、憎めないやつを見るような眼だ。分かりやすく言うなら、まるで恥ずべき知人が突然仕事場に現れたかのような表情だ。
何がどうしてそんな表情をしたのか、分かりづらかった勇也であったが、そこであることに気づく。ネズミに見覚えがあったのだ。
黒い色に腹のマーク。そしてその顔を見て、思い出す。別次元のゲイムギョウ界で見た、あのネズミと同じ存在だということを。
(まさか、このネズミ……女神達をアンチクリスタルで閉じ込めた、あいつらの……)
別次元でのことが思い返される。そうだ。こいつは別次元で、女神達をシェアクリスタルの反転性質を持ったアンチシェアクリスタルでネプテューヌ達を捕獲したマジェコンヌと行動していたやつだ。確か、名前は……。
名前を思い出そうと脳裏で探している間に、そのネズミはコンパと出会ったことに関して言及した。
「ま、まさかこんなところで愛しのコンパちゃんに出会えるなんてまさに運命っちゅ!」
そのネズミはいきなり告白宣言ともとれる単語を次々と言い放った。愛しのだとか、運命だとか。そんな言葉、現実世界で告白に使う人物は稀だろう。もう少し、ふざけ過ぎない雰囲気で、言うべき言葉だ。
しかし、目の前のネズミは確かにそう言った。運命の出会いというほど、コンパの事を好いているようだ。
が、別の世界でも見た通り、こいつはかなりの悪役だ。大抵は世界が変わっても、同じ人物の場合はやることは変わらないのが基本であるため、もしかすると、という考えが浮かぶ。
そこに続いて、ネプテューヌがネズミを指さして思い出す。
「あーっ!いつぞやのネズミだー!」
ネプテューヌの反応からして見ても、以前に何かネプテューヌ達と因縁があることは明白だ。絵里奈がネプテューヌに知り合いかどうかを聞くと、すぐにその因縁について話した。
「ねぇ、ネプテューヌちゃんはこのネズミさんのこと、知ってるのー?」
「うん!説明しよう!このネズミはワレチューって言って世界中の色んな所で悪さをしている小悪党なんだ」
そうだ、ワレチューだ。あのネズミの名前はそれだ。俺はようやく思い出す。あの時の邪魔したのも、同じ名前のやつだ。
思い出したことに納得しつつ、その解説に頷く。概ね、予想通りの回答だった。やはり、悪党という認識で問題ないようだ。勇也の予想も当たり、認識を確実にさせたところで、ネプテューヌは先程の説明に付け加える。
「で、いつだったかこんぱに一目惚れしてそれ以来ずーっと、片思い中なんだよね」
「へぇ、そうなんだ~。けど、無理だよねー。そんな悪党じゃ」
「ど、どういう意味っちゅか!?」
絵里奈の納得が気に入らないネズミ、ワレチューがツッコミを入れる。が、それも一瞬のみで、すぐにコンパの方に視線を、というより、体を向けた。それにより、何故コンパのことを見て、あの反応だったかの理由が分かる。一目惚れとは、一体何がどうして好きになったのか。……なんとなく、理由は付くが。おそらく、コンパの方に理由があるからだろう。
そんな言い合いに、アイエフも加わる。
「そうそう。いつまでもそんなんじゃ、コンパに気づいてもらえないっての。ま、それを直したところで、って感じだけどね」
アイエフのツッコミが入る。確かに、ネズミと人では、いくら何でも無理があるように思える。SSRの女子2人も、若干ワレチューの執心ぶりに引いた様子を見せている。鈴は毛嫌い、絵里奈も苦笑いをしつつ、若干後ろに下がっていた。
それらの話を踏まえて、光樹にワレチューの話について聞いてみることにした。
「なぁ、光樹。お前もあいつのことは知っているのか?」
そう聞くと、光樹はワレチューに対し、むすっとした様子を見せてから、こちらに顔を向けずに言う。
「一応、ゲームを通して、だけどな。レベル上げまくっていたから、戦闘は大して苦労はしなかったけれど、ストーリーでやることが、な。俺はあんまり気に入らないというか……ついでの奴も含めてな」
どうも気に入らないという反応だった。だからこその、先程までのあの表情、ということなのだろう。そのように解釈したものの、そこから光樹は意見を転換させる。
「でも、ネプテューヌらしいキャラクターだと思ったけどな。憎めないところもあって」
「どっちなんだよ……まったく、相変わらずだな」
その曖昧な回答に勇也はツッコミを入れる。どうにも締まらない回答が、勇也には甘いように思えたのだ。意見をどちらかに絞らなければ、何事も行動には移しづらいためだ。
しかしながら、やれやれといった具合で、それを受け入れる。今は記憶喪失中の光樹に求めても、意味はないと判断したからだ。記憶が戻っていれば……いや、記憶が戻っても、このやり取りが更にややこしくなるかもしれないなら、今の方がマシ、と考えることにした。
勇也のツッコミの後、コンパがワレチューの怪我の具合を聞く。
「ネズミさん、怪我はないですか?」
普段のやさしさ溢れる声でワレチューに聞く。すると、ワレチューはそれを聞いて、かっこつけた言い回しで答える。
「オイラは平気っちゅ。このくらい、女神共の馬鹿力に比べればどうってことないっちゅ。それよりも、コンパちゃんっちゅよ!怪我はないっちゅか?も、もし傷ができても、オイラが、お嫁にもらってあげるから、安心するっちゅ」
完全に先程までの対応と、綺麗に真反対の事をその口から言ったのだ。先程までそっちが悪い的なことを言っていたはずが、いつの間にやらぶつかった相手を気にするとは……変わり身が早いとはこのことではないだろうか。
しかも、最後の方はかなり危ないことを言っていたように思える。傷ができたらお嫁に、などという言葉、決して子供が聞いてはいけない単語の組み合わせであろう。
ワレチューの身勝手かつ危険な発言に、鈴も厳しい目で見つめて呟く。
「さっきまで色々文句言っときながら、何よその反応」
「同感ね。同じ口から言ったこととは到底思えないわ」
真面目な女子2人の嫌味の言葉が吐かれる。2人の性格からして、出てきて当然の言葉であろう。対して、当事者の1人であるコンパは、そんなワレチューの告白、およびセクハラまがいの言葉を軽く受け流して無事を伝える。
「うふふっ。ネズミさんは冗談がじょうずですね。けど、見ての通り怪我はないので、安心してください」
「そ、そっちゅか……。それはそれでちょっと残念っちゅ」
何もないことにワレチューは少し残念そうにする。そこはむしろ、何もなくて一安心すべきところなのだが、ワレチューの思惑は完全に外れた部分にあった。
ワレチューが残念そうにしている所に、声が飛んだ。
「さて、まさか、お前に会える時が来るとはな……」
「ん、お前は……」
声の主は、光樹であった。光樹はその拳を片方の手のひらで抑えて、喧嘩を始めようとする様子で近寄っていく。その様子はただならない様子だ。
あいつ、何をするつもりだ?行動を起こす光樹を理解できない勇也。すると、光樹がその理由を呟いた。
「様々なネプテューヌシリーズでたまった恨み、晴らさせてもらうぜ!」
ド直球すぎる八つ当たりだった。待て、先程までお前はあのネズミを「ネプテューヌらしいキャラ」とか、「憎めないやつ」と言っていたのではないか。先程までとは違う、かつ勇也達が知っている「現在の光樹」のような唐突な行動に困惑する。
すると、その様子を見て、ワレチューもまた反応した。
「な……!お前はガンダムのガキっちゅか!?」
「は?俺の事を知っているのか?」
既にワレチューの方は知っているようだ。お互いの反応からおそらく、光樹の方は覚えていないよう……?
そこで、勇也は違和感を感じた。確か、この超次元は、「何者か」による工作で、ネプテューヌ達は光樹達のことを「覚えていない」とのことだった。そこまでは、光樹から聞いていた話でネプテューヌ達が光樹のガンダムを知らなかったことから分かっていた。
しかし、そこで問題となるのが、先程のワレチューの発言だ。なぜ、ワレチューは光樹のことを覚えているのだろうか。まさか、ワレチューは「何者か」の息がかかっているため、覚えているのだろうか。
光樹の反応に、ワレチューが何を言っているんだという形で聞き返す。
「何言ってるっちゅか。お前は二回もオイラのいたところの企みを邪魔してきたんちゅよ?」
「え?光樹ってば、前にもゲイムギョウ界に来たことが?」
「いや……覚えてないけど……。女神に秘密裏にってことか?」
ネプテューヌからの問いに、光樹も何がなんだか分かっていない様子であった。どうやら、この世界に一度来たことは忘れてしまっているようだ。ネプテューヌと、光樹、両者お互いに。
話がややこしくなりかけている中で、コンパが話の主軸を元に戻す発言をした。
「私たちは知らないですよ?でも、ネズミさんと会うのも、久しぶりですね。今日はどうしてプラネテューヌに来たですか?」
コンパの質問に対し、ワレチューは気まずそうな顔をする。
「それは……」
手をいじって、何か言葉に困った様子だ。まるで、その理由を言いたくないかのようだ。普通なら何を隠しているのか、分からなかっただろう。
だが、コンパと絵里奈、それにネプテューヌ以外の全員は、なんとなく、そしてアイエフには確実にその理由が分かっていた。おそらく、それはアイエフが話していた泥棒に関係することで……。
すると、いつの間にかワレチューの背後に回っていたアイエフが見下ろすような形で言い放つ。
「ゲームの転売をしに、でしょ?はい、容疑者一匹確保、っと」
軽くネズミの背中をつまんで持ち上げる。やはりそうだったか。犯人がネズミという点と、この世界観で悪さをするという二つの点から導き出されるのは、間違いなくそのネズミに違いないのだから、そうでなければおかしいのだが、冤罪の可能性も少なからずあった。しかし、アイエフの行動で、それが間違いないという証明になったので、問題はない。
「ぢゅー!?な、何をするっちゅ!?」
わけも分からず、捕まったワレチューは説明を要求する。シラを切るつもりのようだ。すると、アイエフが罪状を言い渡す。
「あんたが、中古ゲーム店から盗んだものを転売しようとしてるのはわかってるのよ」
「ど、どうしてそれを!?身元がバレると思って身分証は出していないはず……」
ワレチューは身分証を出していないことを口にする。その時点で、こちらは証拠を握ったため、この時点で逮捕が可能である。しかし、アイエフは更にワレチューを犯人だと絞った理由を述べる。
「ネズミってだけでも、犯人は絞れるのよ。それに、悪事を働くネズミってのも、アンタくらいしかいないしね」
その絞り方は、間違ってはいないだろう。過去の犯罪履歴から犯人を割り出すというのは、現実でもよくあることだ。ただそれが、警察組織のライブラリーのような部分を通して行われていないというだけだ。
それだけ、ネプテューヌ達からは印象が強い悪役キャラということだが、理由を聞いていたワレチューは勘違いと共にその理由に対して言う。
「まさか、オイラの人気が仇となったとは……」
「それは人気とは違うような……」
率直にネプテューヌがその認識は違うと否定する。ネプテューヌの言う通り、それは人気ではない。警戒が強いとかいう部類の話だ。加えて光樹もワレチューの自己中心的な発言に物申す。
「何夢を見ているんだ、世界で4番目に人気のネズミを自称する悪チュウが」
「光樹君、流石にそれは不味くない?花札屋の人達に怒られちゃうかもよー?」
光樹の発言に絵里奈が注意を入れる。確かに、その名称は天に任せる会社に失礼なネーミングだとは思うが、そのくらいは許容範囲内ではないだろうか。
しかし、ワレチューにも泥棒としての意地があった。偉そうに手を放すことを要求する。
「けど、ここでつかまってはネズミの面汚しっちゅ!離すっちゅ!」
しかしながら、人とネズミという大きさでは力でなんとかするのには無理がある。ところが、そこでワレチューは機転を利かせた。
「ペロリ」
なんと、いきなりアイエフの指を舐めたのだ。流石にこの行動にはアイエフも咄嗟に適切な行動がとれず、嫌がってしまう。
「うわぁ!?ネズミが指を舐めた!?」
女の子故に仕方がないことだ。汚い物に触られた時の反応としては当たり前の行動であった。が、それが大きな隙となってしまう。
「隙ありっちゅ」
手の拘束が弱くなったところで、ワレチューは体を振って拘束から脱出する。そして、そのまま地面に着地すると同時に、逃げ出した。
「しまった!?」
「何やってるのさ、あいちゃん!」
思わずネプテューヌが失態にツッコむ。ネプテューヌの言う通り、あそこは捕まえたままの方が良かったのは確かだ。しかし、状況や常識といった不可抗力な点も否定することはできない。アイエフも、その事を強調する。
「だって、指を舐めてきたのよ!ばっちいじゃない」
「確かに、それは離すっていうのも分かるわ」
「あんなネズミさんになめられちゃったら、どんあ女の子でも離しちゃうよぉー!気持ち悪ーい!」
アイエフの意見に鈴と絵里奈も納得を入れる。汚いものに触れたくないというのは、綺麗な女性ほど顕著なものだ。
しかし、いつまでもそんな女々しいことに付き合っている暇はない。ネプテューヌと光樹が逃げたワレチューを指さして追いかけることを言い放った。
「もう!そんなこと言ってないで、早く追わないとネズミに逃げられちゃうよ!」
「ショックかもしれないけど、今は追跡の方に目を向けよう!」
その言葉を聞いてアイエフもやるべきことに目を向ける。すぐにハンカチで指を拭き取る。その間に光樹達はネズミを追いかけ始める。勇也もその後を走っていく。
こうして、ネズミの追跡劇が始まったのである。
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「待てやこらぁ!!」
逃げるネズミに対し、光樹はそう叫びながら追いかける。その声には周りに居合わせた民間人も驚きを示す。その追跡劇はかなりの人の注目を集めていた。
先頭を光樹とネプテューヌ、そして鈴と勇也が続いて追いかけ、後はアイエフ、絵里奈、コンパの順で追うネズミもといワレチュー捕獲部隊。だが、そんな様子を後ろを振り向いて見たワレチューが鼻で笑う。
「ぢゅっぢゅっぢゅー。誰がお前らみたいなノロマに捕まるかっちゅ。あ、けどコンパちゃんには捕まってもいいかもっちゅ」
余裕を込めた言葉を吐き捨て、更に逃げる速度を上げるワレチュー。その言葉に、光樹達の方はかなり怒りを溜め込ませることとなった。
「あいつ……!余裕そうにしやがって!!」
「任せときなさい!走るのならこっちに分があるわ!!」
光樹の舌打ちに、鈴が応答する。すると、鈴は更にスピードを上げてワレチューに迫る。光樹達をあっという間に追い越す速さに、光樹は驚いてしまう。だが、それでもワレチューを捕まえるには至らない。
なんて速さだ。こっちも全力で追いかけているのに……。歩幅も明らかにこちらの方があるというのに、あのネズミはどれだけ早いんだよ?というか、それについていける鈴も鈴だろう。
ワレチューはおろか、鈴にすら追いつけないことに光樹は戸惑いを覚える中、同じ速度で追いついた勇也がこちらに聞いてくる。
「大丈夫か、光樹」
「あぁ。まだ何とかな。というか、鈴ってあそこまで速かったか?体育祭でも、あそこまで速かったようには……」
光樹は疑問を呟く。その疑問に勇也が軽く答える。
「まぁ、鈴は学校での身体能力は少しセーブしてるしな。学校じゃ、結構鍛えた脚力は隠しているから」
「マジか……。でも、俺も確かに、学校と任務での体力が違ってたしな」
「それは記憶が戻った……というか、分かったんだな」
「あぁ。とりあえず、早く鈴に追いつかないと……」
そのように交わすと、光樹と勇也もスピードを上げてネズミを追いかける。ネプテューヌもそのスピードに追従していく。流石、女神と言ったところだ。非女神化時でも自分達に付いていけるのは零次元であの巨大な敵達と渡り合っただけのことはある。
が、そこで思わぬことが前方で起きる。ワレチューの進行方向に親子が出て来たのだ。
「わっ!でっかいネズミだ!ママ、デッカイネズミがこっちに来るよ!」
少年がワレチューを指さして離れたところにいる親に言う。その声音からして、先程のアイエフと同じく、汚いものを見たような反応だ。
だが立ち位置が悪かった。ちょうどワレチューの進行方向を邪魔する形となっていたのだ。加えて、親の方を見て言っているので、ワレチューをよく見ていない。それを見て、ワレチューが迷惑そうに叫ぶ。
「邪魔だっちゅ!」
「……え?」
ドガンッ!!
鈍い音と共に、ワレチューは少年を突き飛ばした。かなり乱雑に弾いたためか、少年は尻餅をつくと、涙を浮かべて叫ぶ。
「うわあああん、ママあああああ!」
「坊ちゃま!?大丈夫ざますか!?」
子供の叫びに、親も慌てて駆け寄る。しかし、少年は痛みに耐えかねて泣き叫ぶ。
「うわあああああああああああん」
そんな少年に対し、ワレチューは面倒くさそうな様子で言い捨てた。
「すぐに泣くから人間の子どもは嫌いっちゅよ」
身もふたもない、わがままな言葉だった。子どもは弱い。だが、それならそれなりに心配すべきなのに。逃げるためなら、自分優先だとしても、そんなことを言うなど、許されないことだ。その行動に対し、光樹達は怒りを込める。
「あのくそネズミ!!」
「最っ低ね。子どもに対して、あんなこと言うなんて……!!」
光樹が呟くと、少し先にまで近づいていた鈴も同意の声を漏らす。勇也もその表情を硬くし、許さない構えを見せる。
それに対する怒りは、ネプテューヌも同じだ。後方で声を大にして言う。
「あのネズミ、男の子を突き飛ばしたよ!」
「最低ね。けど……」
アイエフが何か言っていたものの、それは既に光樹には届かなかった。ワレチューへの突貫を決め、変身しようとしていたのだ。
「もう我慢できない!!シュバルトゼロを使う!!」
「待ちなさい、光樹!!」
「そうだ。いくら非道でも、こんなところで無闇に変身すれば……」
鈴と勇也は止めようとする。が、それを聞かずに変身する。変身が完了すると、光樹は空に飛び上がる。そして、ウイングのスラスター口を後方に伸ばし、急加速して突っ込んでいく。
多数の人物が目撃している様子が見えるものの、そんなことは気にしていられない。子どもを傷つけたことを後悔させるために、光樹はその手に力を込める。鉄拳制裁の構えだ。その勢いにはいくら足の速いネズミでも、すぐに距離が詰められる。
そして、その拳を突き出し、飛び込む。
「この一撃……喰ら……」
その時だった。
「まてーーーい」
そんな静止の声が響き渡る。何事かと思った所で、光樹の目の前に壁が現れる。
「んな……!!」
急停止をかける光樹。残念ながら完全に勢いを殺すことは出来ず、その硬い壁に拳を打ち据える。AN粒子を込めた一撃は、その壁……否、装甲に阻まれる。
なぜ壁がいきなり目の前に現れたのか、という疑問は顔を上げて分かることになる。そこには巨大なロボットとその肩に乗る1人の少女がいた。光樹がぶつかったのは、ワレチューを越えて出た、ロボットの腕だったのだ。どこかで見たことのある姿に、目元を隠す変なマスクを掛けた姿はどこか滑稽さを感じさせる。と、そこで少女は高らかに宣言する。
「天が呼ぶ!地が呼ぶ!人が呼ぶ!」
「悪を倒せと我らを呼ぶ!聞きな、悪人共!」
唐突に始まる戦隊モノのようなコールに、光樹は戸惑うと共に、既視感を口にする。
「な、なんだ、こいつら……。でも、どっかで…………って、あ」
そこでビジョンが重なる。あの日、ゲイムギョウ界トーナメントでの出来事。突然、女神達の決勝に割り込んできたイレギュラー。そして、女神と光樹を負かした者達。そう、彼らは、ゴールドサァド、そして、ゴールドソフツの1人と1体だ。
いきなり現れた存在に、いきなり現れた謎の正義の味方を見た悪役のようにワレチューは叫ぶ。
「だ、誰っちゅかお前は!そこをどくっちゅ!」
すると、先程の光樹のつぶやきも合わせて、名乗りを上げた。
「我は正義のヒーロー、プレスト仮面!!」
「そして、俺はその相棒、プレスターD!!」
「「我らが「ゴールデンプレスト」が、悪人を裁くッ!!」」
TO BE CONNTINUED
今回もお読みいただき、ありがとうございます。プラネテューヌのゴールドサァドのご登場です!!
レイ「ゴールデンプレスト……かっこいい!!」
ジャンヌ「いきなりの登場でしたが……というか、何気に光樹さんの攻撃を止めているという……」
そうなんだよねー。一応、NFBの攻撃ではなかったにしても、ゴッドクロスの拳を止めるのはすごいよね。大きさが違うってのもあったんだろうけども。
ジャンヌ「それにしても、今回ネタが多くありませんでしたか?世界で四番目に人気のネズミっていうのと、あと天に任せる会社って……」
レイ「あー、それ思った。一番人気のネズミのところは、言ったら消されちゃうし、天に任せる会社ってのも、動画からのネタのような気もする」
ははは、大丈夫じゃない?
レイ「いいのかな……」
ジャンヌ「あぁ、それと、ワレチューが光樹さんのことを知っていましたが、あれは……」
あぁ、あれは結構重要なことなんだよね。それは追々わかるから、ここでは言わないでおこう。
ジャンヌ「ネタバレは禁止ですからね」
そうそう。さて、今回はここまで
レイ「次回も光樹のペース配分として、土曜日の投稿になるよー!」
ジャンヌ「それでは皆様、また次回です」