新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結) 作:藤和木 士
ジャンヌ「電気付けた状態でよく寝られますよね……。どうも、皆様。そんな藤和木に布団をかけてあげている、ジャンヌ・ドラニエスですっ」
レイ「でも、そのせいで小説の進み具合遅いもんね。どうも、みんな!私のスリーブが届くのがまだかなと焦ってる、レイ・オーバだよっ!」
そうなんだよな(;´・ω・)レイさんスリーブがまだ届かないっていう。公式に連絡でもするかな?
ジャンヌ「他の人に聞いてみたところ、それは少し遅いんじゃないかと言われたんでしたっけ」
そうそう。で、今回は第108話の投稿です。敵側の視点になりますよ
レイ「アフィモウジャス将軍達かぁ。何が起こるのかな?」
それでは本編へ
ゲイムギョウ界の地から、少し離れたとある場所。そこで、光樹達の話にも上がっていた存在、将軍ことアフィモウジャス将軍が「ラステイションの赤い彗星」であるシナンジュ王と共に自室にいた。相変わらずの金色ばかりの装飾が多く。異様さを感じさせていたが、むしろそれが特徴となり、誰も文句は言わなかった。
シナンジュ王の護衛の元、将軍はパソコンを見て情報を集めていた。今見ていたのは、新作ゲームに関する情報であった。一通り目を通して、アフィモウジャス将軍は確信を込めた予想を口にする。
「…………うむ。この新作ゲームの記事は注目を集めそうだ。さっそく、ブログにまとめなければ」
そう言ってパソコンに表示させたブログ編集ページを開き、編集を始める。ブログのページに書かれたブログ名は「@将軍のまとめサイト」。アフィモウジャス将軍が運営する、ゲイムギョウ界の情報まとめサイトだ。
重厚な甲冑姿に似合わない速度でブログに情報をまとめつつ、別のページにアクセスしていく。そんな様子を見ていたシナンジュ王が将軍に声をかける。
「どうかな、将軍。今日の情報収集の状況は」
「あぁ。今日は素晴らしい情報がいくつかあるのう。お、なんと来期の新作アニメのキャスティングが発表のようじゃ!!まったく、今日はいつにも増して、忙しいわい」
「ふふっ。それは良かったじゃないか」
将軍のにやけ声に王が理解を示す。この活動は、ゲイムギョウ界改変以前より行っていたアフィモウジャス将軍の仕事風景だ。王もまた、この仕事時間中の将軍の護衛が続いている。だが時たま、こうして話し合ったり、場合によっては周辺領域のパトロール、それに加え、アフィモウジャス将軍にとって障害となる存在を排除したりと、意外にも忙しい護衛であった。
やれやれ、君は凄いやつだよ。私自身も、元軍人ということから、報告書の制作といった書類制作は行ってきた。が、インターネットのブログ活動といったものに関しては全く知識がなかった。当然、その二つは別物だ。しかし、将軍の活動を見て、それが軍の諜報活動に似たものを感じると、将軍の能力の高さが分かる。情報は力だ。それをまとめ、人々を自在に動かす将軍は正に電子戦の将軍だ。
そのように微笑ましく思っているところで、部屋に気配を感じる。一切の音を立てずに入ってきた存在にシナンジュ王は目を向ける。だが、それは敵ではない。音を立てずに入ってきた存在――――忍者ステマックスが、将軍に報告する。
「アフィモウジャス将軍、忍者ステマックス。只今密命から戻ったで御座る」
「うむご苦労。して、成果は?」
「はっ」
将軍が聞くとステマックスが背部に背負っていたボックス状のユニットから、本を取り出す。その本の表紙には、金色の髪の女性のイラストが描かれた本が一冊。
そして、将軍に対し、その本の詳細を告げる。
「こちらが、本日から委託販売が開始された同人誌「黄金色の冬休み」の新刊で御座る」
「確かに、褒めてつかわそう」
「ありがたきお言葉!」
将軍の言葉に、王は一層そのカメラユニットに光を灯す。緊張感を高めていたのだ。そうしなければ自分はいけなかったから。
そして、受け取った将軍が呟く。
「と、形式張ったものはここまでにして。――――いやぁ、今回もすまないのうステマックス!ネットの通販予約を失敗した時はどうなるかと思ったが、お主なら買ってくれると信じておったわい」
それは、先程までの、厳格ある将軍とは違った話し方であった。それも当然。ステマックスが渡した本。それに理由があった。
将軍は非常にゲイムギョウ界のカルチャーであるアニメやゲーム、漫画に関心があった。そして、先程ステマックスが渡した本、それは同人誌。同人誌とは、簡単に言えばブックショップなどに代表される一般販売されて漫画や小説とは違い、作者の個性が強く出た、いわゆるファンブックのようなものだ。
そして、アフィモウジャス将軍がステマックスに頼んだ代物は、同人誌の中でも、アダルトな作品の部類に入る。機動兵器とはいえ、シナンジュ王もまた、ゲイムギョウ界の住人である。いかがわしいものに関しては、あまり耐性がなかった。R-18という部類でも、人の流した血を幾度も見たことのある歴戦の傭兵でも、そういった物はあまり好んで見たくはなかったのだ。
が、そこはいくつもの戦いを行なってきたラステイション軍元大佐。目を背けることなく、その様子を見ていた。逆に将軍が喜んでいるところを喜ばしく思うようになっていた。将軍の息抜きとして考えるようになったのだ。
アフィモウジャス将軍の先程までとは違った声音に対し、ステマックスもまた、同じように砕けた話し方で答える。
「けど、今回はほんとぎりぎりだったんで御座るよ?なんと、残り三冊」
今回の案件は、予約し損ねたその同人誌の確保。パソコンから離れることを避けたい将軍にとって、予約の失敗は致命的であった。しかし、そこでステマックスに同人誌の確保を依頼したのだ。
そのことに関しては、シナンジュ王は反対しなかった。将軍はとても忙しい。加えて今のゲイムギョウ界の改変に深く関わっている。そんな中で外に出ることは、もっとも避けたいことではある。だからこそ、今動ける将軍が最も信頼する人物であるステマックスに命令したことは間違いではない。むしろ今の状況の中では最善手であろう。
一方、ステマックスからの話に、アフィモウジャス将軍は頼んでよかったと伝える。
「うむ、あの時迷わず、直ぐにお主に頼んで正解だったな。どれ、ではさっそく中を拝見……」
「あ、将軍だけズルいで御座る!拙者にも見せて欲しいで御座る」
「ふふふっ。慌てるでない」
二人の様子は如何にも少年誌を確認しようとする子供の反応であった。それだけ、二人にとってその本は待ち遠しい物だったのだろう。将軍が開いたページをステマックスが横に回り、本の端を持ってその中身をじっくり拝見する。そして――――
「おおーっ!」
興奮の声が、同時に響いた。どうやら二人にとって、その本は至福のものだったようだ。次々とめくっていく途中で、ステマックスが感動の声を漏らす。
「なんと素晴らしいイラストの数々!朝から並んだかいがあったで御座る」
ステマックスの言う通り、彼は今朝早くから、その依頼をこなしていた。早く行かなければ売り切れる可能性があるゆえにだ。その時間は、比較的早くから起きるシナンジュ王も少し驚いたほどだ。
内容に対する感動のあまり、ステマックスが将軍に同意を促す。
「やはり、女の子は金髪巨乳に限るで御座るな、将軍!」
「あぁ、全くだ。これこそ、まさに真理とも言えよう。やはり、豊かな胸は金髪少女に似合う」
好みの女性に関する談義が行われる。そんな様子を見て、シナンジュ王は笑みを浮かべる。
「……フフッ」
「ん?なんじゃ、王よ。もしやお主も見たくなったか?」
そんな声を聞いて、将軍がこちらに話を振る。先程の笑いが、彼らにとっては興味を示したと思ったのだろう。
概ね、シナンジュ王の考えは当たっていた。普段あまり本当の意味で笑うことが少ないシナンジュ王の笑い声を聞き、ひょっとして、と思ったのである。とはいえ、これが初めてというわけではないが。
思わず声を出してしまっただけなのだが……。やれやれと思いつつも、王はその反応に言葉を返す。
「いや、相変わらず、趣味の方になると、君らは実に楽しそうにするのでね。思わず反応して微笑ましく思ってしまっただけさ。あまり私は、そちらの方に興味はないのでね」
「うむ。そうか……」
「別に、私は君らの趣味を否定しているわけではないさ。むしろ、このように忙しい中でも、趣味を楽しむ心があることは実にいいことだ」
「王殿……」
シナンジュ王の気遣いを二人は受け取る。趣味を楽しむことに共感したことが先程の笑い声に納得した様だ。言った本人も、息抜きに関してはこういった暗躍では必要であることを知っていたため、そう言ったのだ。
と、そこで何かを思い出したかのようにステマックスがサラッと重要なことを報告する。
「あ、そう言えば将軍、王殿。以前に報告した、マジェコンヌ殿とエクス殿が戦った、プラネテューヌの元女神ネプテューヌと黒いガンダムの少年の仲間が、今日病院から退院した様で御座るよ」
「なんと!」
「ほう。それはそれは……」
プラネテューヌに差し向けていた、「あの者たち」からの援軍であるマジェコンヌとエクスが敗れた相手であるプラネテューヌの元女神と、黒の少年という、次元の調停者とその仲間の存在は知っていた。現に、プラネテューヌ以外の四国家にも、既にその仲間がこちらの計画を邪魔し始めていたのだから。
特に、黒の少年である「和藤光樹」という存在は、シナンジュ王も注目していた。モンスターの猛争武装化状態の機体を倒したほどの実力者。その存在に、シナンジュ王は魂の高鳴りを感じていた。かつて、ジニアスの作った「アフサラスⅢ」、そしてパープルプロテクターを破った存在に。
(待っていたまえ、和藤光樹君。君がどれだけ、この私を楽しませてくれるか、どうか……)
シナンジュ王が心の中で思っている間に、それを聞いていたアフィモウジャス将軍が驚きを見せる。
「ほう、もう回復したのか。にしても、あの時聞いた時は驚いたものじゃ。行方不明と聞いていたはずが、まさか、こちらの妨害を行ってくるとはのう。……して、どうだった?ネプテューヌの方は。まさか、女神化している状態で会ったのではなかろうな」
プラネテューヌの元女神に関して追及すると、ステマックスが答える。
「流石に、戦闘中ではなかったので、女神化はしていなかったで御座る。しかし、二日前のあの姿と比べると、やはりますます金髪でないことが残念かつ、あれと同一人物であることが信じられなかったで御座る」
「くそぅ!実際に会っていたことが、今でもますます羨ましすぎる!しかし、直接話していなかったのは、もったいなかったのう」
「だ、だって、あまりにも緊張しすぎて……」
「まったく、相変わらずお主はヘタレよのぅ。女性との会話くらいなんともないだろうに。一緒におったローゼンは大丈夫であったのだから」
ネプテューヌや光樹と出会った時のステマックスの心境に、アフィモウジャス将軍がやれやれとがっかりする。その反応が示す通り、ステマックスには致命的な欠点がある。簡単に言えば、女性恐怖症だ。彼は女性と目が合うと、極度に緊張してしまう。そのため、正確には極度の女性に対するあがり症だろう。
いつも完璧な仕事を行なってきていたステマックスだが、ただ唯一の弱点には、アフィモウジャス将軍も心配だったのだ。とはいえ、マジェコンヌに対しては、そういった弱点は感じられないようだが。
女性との話を出来ないことを落ち込むステマックスに対し、シナンジュ王はアドバイスを送る。
「ステマックス君。そう気に病むことはない。誰だって弱点はある。ただそれをを認めて、次こそはと思えばいい。それが大人の特権だ」
「シ、シナンジュ王殿……」
励ましにも似た言葉に、ステマックスが声を震わせる。その言葉に感銘を受けていた。シナンジュ王の言葉にアフィモウジャス将軍も肯定する。
「そうじゃの。生きている者には必ず弱点がある。今度こそ話すことが出来れば、それで良いのだから。再び会った時に離せるようになればいいのじゃ」
「はい、将軍!!」
将軍からの応援を受け、次こそはと意気込むステマックス。と、そのタイミングでちょうど部屋の扉が開かれる。部屋に入ってきたのは、とある任務に従事していたローゼン・ズール。どうやら任務を無事達成し、戻ってきたようだ。
部屋に入ってきたローゼンが敬礼に近い体勢で報告を行う。
「失礼します。騎士ローゼン、ただいま周辺警戒および物資調達任務より戻りました」
「ご苦労だったね、騎士ローゼン。それで、結果は?」
「はい。警戒任務に関しては、問題はありません。物資調達につきましては、予定通り、明日早朝ポイントPTW5023にて補給に決定いたしました」
「そうか。ご苦労」
ローゼンの報告に、王はそのように返す。とりあえず、改変後の世界でも今の所問題なく活動は順調だった。ここもいくら高性能な設備が揃っていても、補給は欠かさなければ持つことは難しい。以前の補給が改変前の2週間前であるので、この辺りが丁度いいくらいではあろう。戦いに補給は欠かすことは出来ない。
報告を受けたところで、ステマックスが将軍に提案をする。
「それにしても将軍、たまには外に出てみてはどうで御座るか?シナンジュ王も。二人共、もう一週間は引き籠って御座るよ」
そう言われてみれば確かにそうだ。補給が行われた後も一度外に出たことはあるとはいえ、もう二人共この一週間はここからほぼ出ることが全くなかったのである。
一応、休息は取ったりしているものの、アフィモウジャス将軍のサイト「@将軍のまとめサイト」の記事づくりに時間を割いている状況だ。
不用意に外に出ることは危険であるのは分かっているものの、それでもいくら機械の体でもあまり外で体を動かさないのは腕が鈍る原因だ。体のエネルギー循環機能も上手く働かなくなる原因にもつながる。
それについては、アフィモウジャス将軍も分かっていた。
「そうしたいのだが、最近は話題性のあるニュースばかりでまとめてもまとめてもキリがないんじゃ」
「では、王だけでも……」
「そうはいかんよ。私だけが外に出るのは極力避けたいところだ。特に、この一週間集中してブログの記事づくりに精を出している将軍を放っておくことは危険だ」
ならば王だけでも……というローゼンからの意見に対して、シナンジュ王はそう答えた。以前は確かに将軍の傍から離れ、厄介な敵性組織を排除するために活動していた。最後に外に出た一週間前の日も、改変直後に活発化した組織同士の小競り合いに介入し、制圧していた。
が、今はそういうわけにはいかない。一週間も働きづめの将軍を一人にすることは危険だ。加えて、改変後に動向が掴めなかった女神達が、黒の少年こと、かつてのゲイムギョウ界にて女神に力を貸したと言われている和藤光樹とその仲間達と共に行動を開始していた。不用意に動けば、ここの位置がばれ、襲撃を受ける可能性もある。下手に動くことは出来ないのだ。
ローゼンの意見を却下した後、アフィモウジャスが「だが」と切り返して言う。
「ここまで忙しいとはいえ、そのおかげで、アクセス数も伸びて、広告収入もウハウハじゃ!」
「いつの間にか『@将軍のまとめサイト』も知らない人はいないくらいビッグになったで御座るからなぁ」
「まったくだ。任務中にも、たまにその名前を聞くほどだ」
ステマックスとローゼン・ズールが関心を示す。将軍が運営しているサイト「@将軍のまとめサイト」。最初の頃こそ、その知名度は高くなかったものの、ここ数ヶ月で知名度を上げ、改変後の影響と自分達の地下活動もあり、今ではトップクラスの情報サイトへと成長を遂げていた。
そのおかげもあってか、現在では収入にそのサイト分が加わり、大分金銭面に余裕が出来た。この「場所」も買うことが出来たのだから。将軍の手腕とステマックス達の諜報活動様様である。
「これも、お主らが情報を操作したり、何処よりも早く情報を手に入れてくれるおかげじゃ。それにシナンジュ王の隙のない護衛のおかげで、安心して作業に取り組めるのにも感謝じゃ」
「ふふ。そこまで言われるとは……。ありがたき言葉でございます」
アフィモウジャス将軍からの褒めの言葉に、シナンジュ王は謙遜しつつも、首を垂れ、ありがたくその言葉を受け取った。王の反応に合わせ、忍者と騎士も同じように顔を下げた。
そこまで感謝されるのなら、素直に受け取った方がいい。信頼関係というのは非常に重要なものだ。互いの関係が戦力に反映されるのは今までの戦いで学んできたことだ。素直に感謝され、それを受け取るのも。
と、礼を示したところで、早速アフィモウジャス将軍が次の仕事の依頼を行う。
「ところで、帰ってきて早々で悪いが、またもう一仕事、頼めんかのう?もう少しで、今月の広告収入が先月の二倍になりそうなんじゃ」
「なら、ローゼンにも私から頼みたい。将軍との打ち合わせで、少し気になる集団がいる。その集団との話し合いだ。場合によっては、力づくでも構わない」
二人からの依頼が唐突にそれぞれの部下達に送られる。帰って来てからの間髪入れずの指示。が、それに対し、二人は嫌そうにせず、すぐに応える。
「はっ。仰せのままに」
「了解いたしました。すぐに行動いたします。では」
素早く部屋を後にしたステマックスとローゼン・ズールの二人。ステマックスは、先程までの口調から一瞬で仕事での話口調に変えて答えた。流石、と思わずそう思っていた。
二人が部屋を出て、静寂が部屋を支配した。
しかしすぐに、そこへ客人がやって来た。それもやや厄介な客人だ。この世界を変えるほどの力を持った……
♦
「首尾はどうだい?」
その声が唐突に部屋に響いた。いきなり響いた声に、シナンジュ王がすばやく部屋の一点の方向そ向く。。将軍も同じようにその声の持ち主がいる方に目を向ける。
目を向けた先に居たのは、黒髪の少女。スーツの様相を見せた服装に、闇に覆われたように錯覚する肌。その少女を、将軍達は知っていた。
やれやれ……このタイミングで話しかけてくれようとは……。ワシが緊張をほぐすために息を吐くと、王が少女の声に返す。
「……君か。君達から頼まれている例の物なら、まだ探している最中だが?」
シナンジュ王からの声にはやや怒りのこもったような、もっと言うなら、警戒していると分かるような声音で返答していた。
将軍も王の話し方には納得する部分があった。唐突に、それもわざわざ気配を消してまで話しかけてくる姿には、気味の悪さを感じるほどだ。
ところが、そんな歓迎を感じない返答に気にすることなく、声の持ち主はやや肩を落として落胆する。
「そうか。まだ見つからないのか……」
『まさか、ブログの資金調達の方を優先しすぎて、忘却の彼方だった……というわけではないだろうな?』
少女の残念そうな声に続いて、また先程までいなかったはずの人物の声が響いた。今度は壁に寄りかかり、その体を支えていた。だがその姿は影に覆われ、全く姿が分からない。かろうじて、その声から男性であることは分かった。それも少年と呼べるほどの若い人物の声が。
突如として現れたその存在に緊張感を持ちつつも、将軍は返事をする。
「忘れてなどいるものか。貴様らには、世界を創り変えてくれた恩があるからな」
「そうだ。貴様らの力なくしては、今のこの状況もなかったのだ。恩義はきっちりと返す」
「良かった、忘れていなかったんだね」
『そうか。ならそれはそれでよい』
将軍と王の回答に、相手は納得を示す。
相変わらず、将軍達との取引で要求されたモノの捜索具合が気になるようだ。そもそも、このゲイムギョウ界を改変し、創り変えたのは、他でもない彼らだ。
その彼らが、改変の代わりに要求したモノこそ、自分達がサイトの記事を作っている中でもしっかりと時間を作って部下達、そして彼らから提供された人材こと魔女マジェコンヌとエクスに探させている「とある機器」なのだ。
今の所、良い報告はあまり見られていない。だが、それでも見つけるために行動に出しているのだ。そう思っていたところで、唐突に少女の方が一つ質問を投げかけてくる。
「……ところで、どうだい?君らから見た、改変された世界は?」
それはこの生まれ変わった世界に対する、自分達の評価というものだった。
評価、か。少し悩むが、やはりこれじゃろう。すぐにワシは言ってやる。
「そうだな……。例えるならば、……そう、金のなる木だ!」
その言葉に、王がやはりかと言うかのように首を頷かせ、少女が興味を持つ。そんな一方、黒いもやの人物はあまり反応しない。少し息を吐いただけである。
しかし、その反応に気にすることなく、将軍は持論を語る。
「かつては女神の守護のもと、平和だったゲイムギョウ界が今はどうか!女神がいないだけで、国は乱れ、モンスターは増え、争いが争いを呼ぶ!!まさに、情報で金を儲ける為にある世界だ!!」
そう、今の時代は非常に混乱している。混乱した状況の中で人々が求めるのは情報。何が起こっているのか、世界が今、誰を中心にしているのか、それを決めるのは全て情報だ。
そして今、それを制しているのは、情報強者、すなわち自分。現に今のゲイムギョウ界で、誰もが将軍の「@将軍のまとめサイト」を知っている。この世界の中心に、今やなりつつあるのだ。
将軍の意見に、シナンジュ王も続く。
「私も、その意見に近いね。今の世界は誰もが目に見える安全がない。むしろ逆に、恐怖が人々の感情を支配している。女神という安心が消えた今、頼りにできるのは情報のみ。それを支配してしまえば、私達の勝ち。そういった意味では、この世界は、私なりに言うなら、戦嵐の世界、かな?」
王の言葉を聞いて、将軍は理解をする。かつて、数十年に渡って、ラステイションの軍を率いて戦っていた将軍らしいと感じる。本来「乱」とすべき部分を「嵐」としている辺りからも、シナンジュ王の戦いに対するこだわりが見える。
そんな二人の意見を聞き、少女がクスリ、とほくそ笑む。
「気に入ってもらえて、何よりだよ。オレも、住民たちの苦しむ姿が見れて楽しい限りだよ。シナンジュ王のその意見には、オレもゲイムギョウ界を巻き込んだ最終戦争が起きて欲しい限りだよ。君はどうかな、「キング」?」
『……そうだな。あまり私としては期待はしていないが、是非そうなってほしいものだ』
話を振られた黒いもやの人物「キング」が溜息をつきつつも、その言葉をかける。
何故かは知らんが、キングは期待しておらんな。時とおり、このような反応をしてはおったが、今回は更に強くその部分が出ているように感じるのう。まるで、何回も失敗して飽き飽きしているような……。
アフィモウジャス将軍はそのように感じるが、そのような夢物語があるわけがないと考え、その言葉を受け止める。すると、その言葉を聞いていた少女が提案をする。
「……けど、まだ生ぬるいと思わないかい?」
「これ以上の動乱を望むというのか?目的は例の物だけではないのか?」
「昔から人の不幸は蜜の味……と言うだろう?人々が苦しむ姿は大好物なんだ」
少女はその顔に喜びの笑みを浮かべていた。その表情は協力者でありながらも、不気味さを感じさせる。少女の笑みに続くように、「キング」がそれに対する回答を求める。
「……ということだ。お前らも、その方がもっと金儲けができるはずだが?」
『………………』
二人は揃って黙っていた。相手の黒い考えに、怯えてしまったのだ。だが、それに構わず、少女が自らの絶望を、ぶちまけた。
「ゲイムギョウ界なんて、滅茶苦茶になっちゃえばいいんだ……」
少女の声がこだまする。その声に、黒いもやの人物の口元に笑みが浮かんでいた。
TO BE CONNTINUED
今回もお読みいただき、ありがとうございます。しかし、この作品の原作にすっかり影響されたのかな、私。
レイ「というと?」
いや、だって、アフィモウジャス将軍達、好みのタイプは金髪巨乳だろ?ジャンヌさんとかそれに割と当てはまってるし。前はうずめが好みだったのに……あ、一応ネプテューヌという作品の中ではうずめが一番好きですよ
ジャンヌ「た、確かに……。でも、わたくしとしては、藤和木自身の好みに当てはまったって言われた方が……わたくしは嬉しいです……♡」
うん。ジャンヌさんはカード画像見て一目惚れしたようなものだからね
レイ「……で、話の方だけど、シナンジュ王は改変の元凶を嫌ってる感じなのかな?」
ジャンヌ「そんな所がありますよね。どうなのですか?」
シナンジュ王としては、まだ信用しがたいところがあるんだよ。裏ではローゼンと共に動いている所とかがあるし。第0章でも暗躍していたりもしてるね
ジャンヌ「そういえばそうでしたね。ジニアスの忘れ形見とは一体……」
それは後々明らかにするとして、次回は黒の館!ですが投稿は金曜日辺りになります
レイ「執筆ペース落ちてるもんね」
ジャンヌ「それでは皆様、また次回にお会いしましょう」