新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結) 作:藤和木 士
ジャンヌ「また休みに入りましたねっ。どうも、皆様、また藤和木に甘えられる、ジャンヌ・ドラニエスです」
レイ「これで、遅れの出てるSSRが進むね!どうも、みんな!光樹にどんどんSSRの執筆を進めさせてる、レイ・オーバだよっ!!」
最近はレイさんが急かしてきてほんと大変……でも、今ストックが少なくなってきていて、本当に困ってますけどね。さて、今日は第98話の投稿です。
レイ「プラネテューヌを、ゲイムギョウ界を戻すために、遂に行動開始だねっ!!」
ジャンヌ「そして、光樹さんへの課題……とは?」
さて、そろそろ本編へ!!
「けどさ、女神がいないだけで、なんでこんなに物騒な世の中になるんだろうね?」
ネプテューヌの言葉……女神の有無だけで、ここまで世界が変わることについてのこと。それは未だそのような経験がないであろうネプテューヌが口にする疑問としては、聞きたいと思うのが筋なのは鈴にも分かった。今までの世界よりも状況が悪くなったからであろう。
だがしかし、鈴自身にはその理由がなんとなく分かった。それは、その存在そのものが世界の根幹を成していたから。元々、次元の壁を隔てて生み出された世界はその世界の中で、核となる「不変せし物語を編む者」という存在を中心に秩序を保っている。
簡単に言うなら、ゲームでいう所の物語の主人公だ。ゲームでの主人公の行動によって物語が変わるように、世界もまた、その存在の行動によってその未来を変える。もう少し分かりやすく例えるのなら、世界が人間の肉体、「編む者」が脳とすれば分かりやすいだろうか。
そして、先程のネプテューヌが感じていた女神の有無による世界の改変についてだが、要は今現在、物語の主人公がいなくなってしまった状態なのだ。今は代わりに主人公の偽物が物語を動かしている。だが、本来の主人公による物語の進行ではないため、争いが起きているのだ。
このように、物事には必ず中心となる人物がいる。今回はネプテューヌ達四女神が「編む者」。つまり主人公だ。どうにかして、彼女らに主人公としての座を戻す必要がある。それこそが、自分達の目的なのだ。
ネプテューヌの疑問に対して、鈴はその持論をもって答える。
「確かに不安になるのは分かるわ。でも、逆に考えれば、あなた達の方が有能だった……というか、あなた達こそが本来の守護者。あなた風に言うなら、この世界の「主人公」だから、ってことにもならない?」
「おおーっ!!それはいいかも!!前は無能だとか使えないとか叩かれていたわたしたち女神だけど、やっぱり国を治めるのは女神ってことだよね!鈴、ナイス発言!ドヤ顔してもいいんだよ?」
鈴の答えを聞いてネプテューヌが大喜びでこの状況をポジティブに考える。これが世界を早く元に戻そうという気持ちに火をつけてくれるだろう。
鈴はそう思っていたが、実際の所、ネプテューヌのやる気は既に出ていた。光樹と合流した時にだ。だが、少なからず、鈴の言葉による鼓舞はネプテューヌの女神に返り咲こうとする意志を助長させていた。
そうとは知らず、鈴は自身の言葉でやる気が起きたのならいいと思っていた。鈴も機嫌がよくなっているネプテューヌに言葉を返す。
「フフッ、そう言われると、少し気分が上がっちゃうわね」
「鈴、お前なんでそんなに自慢そうに……」
「光樹、アンタは黙ってなさい。嫉妬するのも、大概にしてほしいんだから」
余計な茶々を入れてきた光樹に対し、そのように軽くあしらう。いつもからかってきている光樹へのささやかな仕返しであった。しかしながら、今の光樹は記憶を失っている状態なので、ほぼ八つ当たりに近い状況だが。
鈴の言葉を受けた光樹は若干不満そうにしつつ、元の話に注目する。
「……だけど、ほんと、今になってよく分かるよな。改変前の女神が国民から愚痴とか批判を受けていた状況の方が今よりマシっていうのは」
「それは言えていますね。今思うと、あの時が一番平和だったんだと、改めて思います」
改変前の方がまだ平和だった。光樹とイストワールはそのように語る。鈴達初代SSRNPのメンバーも改変前の状況は光樹を探しに来た時にも知っている(絵里奈のみ来てはいないが)が鈴としては、改変前もさほど平和な感じはない部分もあった。というのも、鈴がこの世界に調査しに来た直後の出来事が原因であった。鈴がこの世界に最初に訪れた時に、不良メンバーと交戦していた。その時不良達が拳銃やナイフを使って襲ってくる姿は、見慣れている光景とはいえ鈴には以前のゲイムギョウ界が平和だったとはあまり思えなかったのだ。
だがしかし、それ以外のことは特に荒れている様子はなく、今の状況は異変を異変として認識できていない部分を含めると昔の方がマシだというのも納得せざるを得ないのは事実であった。あの時は運が悪かったのだと自分に言い聞かせることにした。
「ところでさ、わたしの代わりにプラネテューヌを治めているゴールドサァドってのはどこにいるの?」
鈴が考えを切り替えた直後に、ネプテューヌはゴールドサァドの現在の行方について聞いた。ゴールドサァドはこれまでの情報から、現在プラネテューヌ教会のトップにいることは分かっていた。ネプテューヌは今すぐにでもその人物と話をしようというのだろう。
危険ではあるが、それは把握しておきたい事項ではあった。今敵になっている者の動きを知っておくというのは、反逆もとい、レジスタンスの戦略としては定石だ。特に敵組織の裏側に入り込んだ者には必ず把握しておかなければならないと言える必須事項だろう。
そんなネプテューヌの問いに、イストワールは頭を抱える。まるで、言いづらそうな態度を取っている。それに気になった光樹が聞く。
「どうしたんです、イストワール様。なんか、凄く悩ましい顔していますけど……」
「困ってそうな顔をしているな。何かあったのか?」
勇也も光樹の言葉に連続的に質問を繋げる。少し圧迫感を感じさせるかのように連続した質問だったが、それにイストワールが息をついてから答えた。
「それが、何の因果かネプテューヌさんのようにいつも遊んでばかりで、今日も朝から外に出かけているんです。ゴールドソフツのDRXさん達も、ビーシャさんに付きっきりです」
「……え?」
「……なんだそりゃ」
思わずしりすぼみしたように言葉が止まる光樹と勇也の二人。あまりに予想外な回答にあっけに取られてしまったのだろう。鈴も何もしていないという回答に反応が鈍る。
「へぇ~、ゴールドサァドちゃんも、ネプテューヌちゃんと似ているんだねぇ。仲良くなれそうかもー!」
ただ一人、絵里奈だけは自由過ぎる回答をする。ネプテューヌと似たところがあるというのは、一体どんなシンクロをしたのだろうか。その状況には、流石のイストワールも溜息をついてしまっていた。
「どうして、プラネテューヌばかり、こう仕事をしない人がトップになるのでしょうか…」
「……あなたも、なかなか大変な立場よね。代表が変わっても、役職が全く変わらないんだから……」
鈴は同情にも近い様な言葉をかける。その落ち込みようを何とかしないといけないと思ってしまったからだ。そこまで感じさせることからも、プラネテューヌという国はトップが責任感を持っていないのは明らかに見えた。
だが、それがイストワールの考えをフル回転させたようだ。ふっと顔を上げたイストワールがこの状況を打開する策を声高々に言い放った。
「……あ、そうですよ!ビーシャさんが仕事をしないなら、代わりにネプテューヌさんにしてもらえばいいんですよ!」
「ねぷっ!?」
その考えにネプテューヌは思わずビクッと反応する。予想していなかった考えに動揺した様だ。正に、寝耳に水、のように。
一方、それを聞いていた光樹はお気の毒とでも言うかのように、笑って伝える。
「ははは、いきなりのお願いとは大変だな、ネプテューヌ」
その声にネプテューヌが溜息をつく。だが、光樹のその余裕顔は一瞬で終わることとなった。
「あぁ、もちろん光樹さんにもネプテューヌさんのサポートをしてもらいますよ?」
「……え、あ、マジですか……」
イストワールから発せられた、更なるお願いは光樹をも巻き込んだ。この世界でお世話になるのなら、当然手伝ってもらう、かのような流れでサポートをお願いされる。そんな様子に、鈴も心の中で小馬鹿にする。
(ざまあないわね。さて、それにあたし達も協力しないとね……)
光樹とは反対に、鈴は逆にこのお願いに協力したいところだと思っていた。その理由はもちろん、異国も早くこの状況を打破したいと思っていたからだ。仕事をこなし、教会側からの信用を得る。そして、最終的にはゴールドサァドとの決戦に臨む。それが鈴が現状で考えていた策だ。
だがしかし、今はその必要性がなさそうに思えて来ていた。イストワールからの話で、ゴールドサァドもゴールドソフツも、今は特にこちらの邪魔をしているわけではないことが分かっている。ならば、まだ余裕はある方ではあるのだろう。
しかし、それでも鈴達が光樹の、もっと突き詰めるのならネプテューヌの手助けをするのなら、そのサポート組に回る必要がある。記憶を元に戻す治療を行うには、光樹との行動がいる。そのために、イストワールから許可をもらわなくては。
だが、鈴のその不安も無用となるのであった。
「あ、私達は、どうすればいいですかー?」
絵里奈が早速、イストワールに自分達の行動について聞く。すると、イストワールは手早く指示を出した。
「では、鈴さん達も、ネプテューヌさんのお手伝い兼見張りをお願いできますか?」
「見張りね」
「それはこっちとしても望むところだな。光樹の記憶喪失の件も解決する必要があるからな」
イストワールの言葉に二人で了解の返答をする鈴と勇也。その一方で先程嫌そうにしていたネプテューヌが必要性を訴える。
「どうしてそうなるわけ!?しかも、光樹達を見張りにつけるって、どれだけ信頼されてないの?」
ネプテューヌにとっては、現在の国のトップの代わりとして仕事をすることと、自分達が見張りに付けられることに納得がいかないようだ。その事について鈴は同情するつもりは残念ながらなかった。というのも、鈴としてもやるべきことをやらないメンバーを気に掛けるつもりはない、というのが鈴の信条であったからだ。
それになにより、この問題は、本来守護者であるネプテューヌがやるべきこと。女神の威厳を保つためにも、ここはネプテューヌにやらせなくてはならない。それに、それぞれの世界で起きた事件は、世界外からの干渉がない限りはその世界の者が立ち向かわなければならない。そうでなければ、歴史が乱れる。歴史を自ら乱すのはGKSWAXPの使命にも反する。それは避けるべき事態だ。
加えて、イストワールもネプテューヌのだらだらしたいという叫びを咎める。
「ただでさえ、世界が争いばかりで大変なんですから、こういう時こそ女神としての責務を果たしてもらいます。それを逃さないためにも、光樹さん達には見ててもらいたいのです。それに……」
「……それに?」
光樹が首を傾げる。そこでイストワールが言った。
「それに、今回の案件、私の勝手な憶測なのですが、女神の力だけでどうにかなるようなものではないと思うのです」
その言葉に、鈴は動揺を見せる。憶測とは言ってはいるものの、その指摘はあながち間違いではない。何せ、こちらもこの案件は、自分達が追っている黒きNPが関わっていると思っていたのだから。
「……その理由は?」
鈴はゆっくりとその理由について聞く。すると、イストワールも頷いてから、訳について触れた。
「実は、各地で正体不明の機動兵器が目撃されているんです」
正体不明の機動兵器。それだけ聞いて、勇也と絵里奈が反応する。鈴も同じだ。まだどのような特徴かは知らないが、それだけ聞いただけで、鈴達にはとある機動兵器が頭に浮かんだ。そう、襲撃してきた、あの黒いNPである。
すぐさま、勇也がその特徴について尋ねた。
「ちなみに、その機動兵器の特徴は分かるのか?」
「えぇ。三体確認されています。まず、青紫色の機体。こちらは盾のように装備された手裏剣や刀を持ち、姿は忍びの様な姿です」
「忍者ってこと!?ゲイムギョウ界にも、忍者の姿をしてる機体がいるんだねー!」
絵里奈がやけに喜んで反応する。あまり騒ぐようなことではないのだが。しかしながら、MPやNPの中で忍者モチーフの機体は少ない。忍者のような武装を装備するMPを使う絵里奈としては、興味があるのだろう。
そう思いつつも、次の機体の説明に耳を傾ける。
「続いての機体は、また紫色の機体ですね」
「また紫色の機体か。同型機か?」
肩透かしを食らったように勇也が呟く。話を聞いている限りでは、色が似ているとカモフラージュのためか、もしくは同型機だと疑うのは筋だ。勇也の言葉には鈴も頷いていた。
だが、そこから違いが出てくる。
「ですが、こちらの機体は、指に当たる部分が三本のかぎ爪になっていますね」
「指がかぎ爪?」
「しかも三本?」
勇也と絵里奈が疑問を浮かべる。ロボットの指がかぎ爪なっているのが、何故か珍しく感じてしまったのだ。
……あら?紫色の機体?指が三本のかぎ爪?そんな機体、どっかで見たことがあるような気がしてならないわ。でも、どこで……。
悩んでいる矢先に、イストワールが大きな特徴について述べた。
「加えて、その背部にはタンクと一緒に、薔薇、とでも言うような。とにかく、薔薇状のユニットを装備しているそうなんです」
「……あ」
思わず声が止まってしまう。その正体がなんとなく分かってしまったからだ。
鈴の頭に浮かんだのは、機動戦士ガンダムの舞台である宇宙世紀。そのUC.0096の時代、ネオジオン残党「袖付き」にて開発された対サイコミュ用モビルスーツ。その名は「ローゼン・ズール」。
まさか、その機体がこの世界にいるとは想定できなかった。いや、想定したくはなかった。あのパイロットには若干苦手意識があり、あまり好きになれるようなキャラではなかったのだから。
鈴と同じように、勇也や絵里奈も理解したように各々に納得した様子を見せていた。そして、イストワールに対し、光樹がその正体について言及した。
「……なんか、それ、ローゼン・ズールだよな?」
「ローゼン、ズール?光樹さん、知っていらっしゃるのですか?」
「あぁ、確か、アンジェロが駆った、対サイコミュ用のインコム搭載機だろ」
「さ、さいこみゅ?いんこむ?何それ?美味しいの?」
光樹の説明にネプテューヌが付いて行けずに疑問符を浮かべている。イストワールも細部については分かっていなさそうな反応を見せる。
まったく、これだから状況判断能力が退行した馬鹿は……。そう思いつつ、鈴は二人に分かるように翻訳する。
「要するに、あたし達が見てきた、別世界に存在する機動兵器の事よ。それから、人の脳波で操作する武器のことよ、ネプテューヌ」
「おおーっ!まさか外の世界の機動兵器が、ここにいるなんて!!」
ネプテューヌが理解した様子を見せる。分かってくれたようでよかった。その説明にイストワールも納得を見せる。だが、そんな様子を見せつつも、的確な疑問が飛んでくる。
「では、何故、そのような別世界の機動兵器がここに?まさか、それが皆様が追っている敵だったりするんですか?」
「それは……まだ分からないわ」
「そう、ですか」
イストワールからの質問に、鈴は曖昧な答えを返す。外の世界にいるはずの機体がこの世界にいる。それはつまり、外部からの侵入者がいるということを意味する。その可能性は鈴も考えてはいた。
だが、中には例外が存在する。例えば、スーパーロボット大戦の世界には、色々な世界の機動兵器が一堂に会しているが、それでも、中の世界で起こったこと。それは特に世界の破滅要因にはならない。ローゼン・ズール似のその機動兵器も、もしかすると、この世界が生んだ物……なのかもしれない。
とはいえ、まだイストワールの話は続いている。3体目が一体何なのか。本当に、黒きNPなら……。
そんな中、いよいよ、3体目の特徴について語られた。
「最後に3体目ですが……赤い機体で、実は、随分と昔に見たことがあるような機体なんです」
「ずいぶん昔に見たことのある機体?」
光樹が疑問に持ったのは後の特徴の方であった。イストワールが昔に見たことがあるというのはつまり、以前よりゲイムギョウ界にいたということだ。もしかすると、イストワールも思い出しかけているのかもしれない。
そんな中、鈴が気になったのは、先に言った特徴の方。赤い機体という単語に、気にせざるを得なかったのだ。というのも、先程言ったローゼン・ズール似の機体のことを先に聞くと、どうもその機体が、あの機体の事しか思いつかなかったのだ。単なるこじつけかもしれないが、本当にそうだったら……。
そう思っていた鈴を横目に、何か心当たりのある勇也が顔をはっと上げ、イストワールに対して質問した。
「なぁ、ひょっとして、その赤い機体を見たっていうのは、80年前のラプラスボックス事件で見たんじゃないか?」
「ラプラス……ボックス?」
「……そうです!その時に見たんです。ラステイションの赤い彗星!」
イストワールがその言葉に反応する。どうやら勇也の考えていたことが当たったようだ。
しかしながら、鈴には何がさっぱりだ。光樹の反応と同じ状態で、詳しく聞く必要があった。すぐに鈴は勇也に詳細を尋ねた。
「ねぇ、ラプラスボックス事件って何?それに赤い彗星って、あの赤い彗星?」
「あぁ。その事なんだが、俺らの知っているラプラス事件に似ててな。今は長く話していられるほどじゃないが、世界を混沌へと追いやる程の闇の力を秘めたっていう、ラプラスボックスっていう名前のゲームデータを巡って、ルウィーに居た一角の機人機動兵器がラステイション軍の当時大佐だった別名「赤い彗星」って名前を持った、「フロンタル・ジ・シナンジュ」っていう同種の兵器と世界を賭けて戦ったっていう話だ」
その話はまさにラプラス戦争に近い物語であった。赤い彗星という機動兵器が間違いなくそのシナンジュという、「あの機体」と姿が似ているのは確かだ。だが、まさかそんなことが起きていたとは、鈴も到底考えつかなかった話だ。
それを勇也が知っていたのも気になったが、今はイストワールとの話が先だと考え、後で言うということを伝える。
「色々とツッコミどころはあるけれど……あとで聞くわ。それで、イストワール。本当に確認されたのは、その機体で間違いないのね?」
「はい。撮られた写真は間違いなくその機体です。ですが、その機体は、いえ、そのロボットは80年前に行方不明になったはず……どうして、今になって……」
イストワールは首を傾げる。どうやら、今でも活動していることに疑問を感じているようだ。その事については鈴も少し、不信というよりも、驚愕を感じていた。まさか80年も稼働している機動兵器があるとは……。と言っても、自分達が駆ってきたSSRシリーズのガンダムは約1万年以上前に開発されたという、古代のロストテクノロジーで生み出された機体ではあったのだが。
性能はおそらくはその時代据え置き。ならばただの骨董品……かもしれないが、それだけの年代があるということは、腕もそれ相応あるということ。戦うことになれば、油断は出来ないだろう。
とはいえ、元々の話から主題が外れてしまっている。本来の話に戻さなければ、話は進まないだろう。すぐに鈴はそのことを提案する。
「で、元々の話はネプテューヌがこの国の今の代表に代わって仕事をするって話だったわよね?」
「そうですね。ネプテューヌさん、みなさんに監視される理由、理解できましたか?」
「うん。まぁ、分かるけどさぁー……でも……」
イストワールからの説明に納得しきれない様子を見せるネプテューヌ。それに対し、やれやれと言った様子で再びイストワールが説得する。
「嫌がってもダメです。プラネテューヌの、いいえ。ゲイムギョウ界のピンチなんですよ」
ここまで言っても動かないのなら、もう仕方がないかもしれなかったが、そこで折れたのはネプテューヌの方であった。
「じゃあさ、あいちゃんを手伝って来てもいいかな?」
「アイエフさんをですか?…ですが、彼女はネプテューヌさんのことを…」
その発言に、イストワールは大丈夫かと聞き返す。あいちゃんといえば、、先程別れたアイエフのことだろう。ネプテューヌの親友でもあることから、手助けをしたいと考えているのだろう。
だが、そこで心配するイストワールが言いたいのは、おそらくネプテューヌのことを覚えていないということだろう。しかしながら、ネプテューヌはそのことを知っている。それを知らないイストワールは、本当にそれでもいいのかと聞いたのだろう。
それでも、ネプテューヌは答える。
「うん、それなら、さっき会ったから知ってるよ」
「辛く、ありませんか?」
「そりゃあ、辛いけど、今はしょうがないよ。けど、もしかしたら、一緒にいるうちに思い出すかもしれないじゃん?」
イストワールの心配を突っぱねるように、今までにも見てきた明るさで言った。だが、そこから急にシリアスな表情に変えて、思っていたことを言う。
「それにさ、いーすんとか鈴に勇也の話を聞いてると、あいちゃん一人に秘密結社を追わせるのも危ない気がするんだ」
それは親友ゆえの心配だった。普通の人間に、それも、女の子に危険な橋を渡らせたくないという気持ちからの発言であった。
そんな様子を見て、イストワールも了承したように許可を出す。
「…そうですね。何が起こるかわかりませんし、そういうことなら、許可しましょう」
「わーい、やったー!」
「ですが、くれぐれも邪魔をしてはいけませんよ?」
イストワールからの注意を受けつつ、ネプテューヌは教会を後にした。その後を、光樹も追っていく。本来なら、鈴達もすぐに行かなくてならないが、そこで鈴は止まる。
さて、あたし達もやることやってから行かなくちゃね。その前に、ちょっとやることもあるけれど。あたしはイストワールに一つ頼みごとをする、
「じゃあ、あたし達も少ししてから行動を開始するわ。スタジアムを借りられるかしら?それも、軍事試験用の」
「軍事試験用……ですか?構いませんが……なぜ?」
イストワールが首を傾げる。理由を言わなくてはいけないのは当たり前だ。まぁ、隠すべきことでもないため、鈴はその理由を語る。
「えぇ。ちょっと、光樹の事なんだけどね……」
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「……んで、なんでこんなところに俺を呼んだんだ?」
光樹は広いスタジアムの中央に立っていた。現在光樹はプラネテューヌ国内に存在する機動兵器運用訓練スタジアムに来ていた。実は、ネプテューヌの後を追っていく途中で、鈴に急に呼び止められたのだ。
訳を聞く暇もなく、鈴達に連れられ、ここにやって来ていた。そして、今目の前には鈴に勇也、絵里奈の三人と向かい合っていた。
一体、何が始まるのか。気になる最中、端末をいじっていた鈴が、端末を仕舞ってこちらに話しかけてくる。
「待たせたわね。じゃあ、始めるわ」
「始めるって……一体何を始めるんだよ。ネプテューヌの方はいいのかよ……」
光樹の心配に対し、絵里奈が前に出て答える。
「あー、それなら大丈夫ー。こっちのサポートメカがちゃんと行方を追ってるよー」
ちゃんと見張りがいるのなら、問題はない。絵里奈の発言で、光樹も早くこの時間が終わってほしいという気持ちは引っ込んだ。
だが、それでもこれは何なのか。なぜこんなところに来たのかという気持ちが巡る。すると、先程の光樹の話に鈴が答える。
「まぁ、いつまでも教えておかないってわけにもいかないわ。じゃあ、単刀直入に言うけど、」
「光樹、アンタの今の実力、あたし達3人にぶつけてきなさい」
鈴の乾いた声が光樹の耳に届いた。
TO BE CONNTINUED
本日もお読みいただき、ありがとうございます。さて、久々にあのシナンジュ王の名前が出てきました。
レイ「でも、まさかフロンタルさんの名前をつけてるなんて、やっぱりガンダムUCとかかわりあるね」
ジャンヌ「時期が時期ですからね。それに敵の二人がどうも二人の関係に似てますから」
それで決定した感じではあるけど、意外にしっかりとハマっているんだよね。さて、次回は光樹君と鈴達との対戦!そんな次回の投稿日は、今回はやることも少しあるので、火曜日になります
レイ「設定とかあるもんねー」
ジャンヌ「それでは皆様、また次回に」