新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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皆様、お元気でしょうか。
テストから解放されたと思ったら、課題をやることになり、小説を全く書けなかった藤和木弘です。

あのジオン軍某マッドサイエンティストの作り上げたモビルアーマーが登場な、第9話です。

それでは本編参りましょう。


第9話 一つ目の機械の襲来

 

 

目の前の金属が突然、途中から横にずれ、地面へと落ちる。いきなりそんな事が起きれば、超常現象か、と思ってしまう人もいるだろう。だが当然それには理由がある。それはただ、ガンダム・ブラックエースⅣの持つANビームサーベルⅥが金属製のテスト用障害物を両断しただけだ。

ふと、ガラスの向こう側で見ているネプテューヌたちの方に顔を向ける。その表情には様々なものがあった。ノワール、ブラン、ベールは驚愕しているような表情を見せている。おそらく、この機体の性能に唖然としているのだろう。研究員たちも同じような顔つきでこちらの様子と、計測機器の方を見比べている。

一方、女神候補生の方は色々な反応を見せていた。ネプギアは、まじまじと見て、持っていた携帯端末「Nギア」に計測機器のデータを打ち込み、こちらの方の写真を撮っている。ユニはただ茫然とこちらを見ていた。簡単に言えば、ノワールたちと同じような様子だろう。そして、一番違う反応を見せていたのがロムとラムだった。二人とも大はしゃぎで、何かを話し合っている。こちらの方にすごく関心を持っているようだった。

さらにこれはテストに入る直前の事なのだが、ガンダムモードに変形した際、その方法にかなり突っ込まれていた。ノワールらラステイション組はその機構に唖然とし、ルウィー組はブランは少し驚いた様子だ。ロム、ラムは「おもしろーい!」「大丈夫…なの?(びっくり)」という反応だ。ベールと研究員を含めたリーンボックス組も十人十色の反応を見せる。

テストに戻って、次はANヴァリスⅡのテストだ。ANビームサーベルⅥをラッチに収納し、サイドラッチに装備されているヴァリスⅡを両手に持つ。

 

『で、では次はANヴァリスⅡのテ…』

 

だがベールが慌てたような声で言い終わる前に、施設内にサイレンが響き渡る。

 

「なんだ…一体?」

 

そう言った光樹だったが、ある程度は予想できていた。このようなサイレンが鳴るというのは限られてくる。施設内で事故が起きたか、それとも、

敵が来たか。

そしてそれはすぐに判明することになる。ガラスの向こうにいる研究員たちが通信機に向かって話しかけている。その内の一人が、慌てた様子でベールの方を向き、話しかける様子が見える。その報告を聞き、ベールが急いでインカムを付け、こちらの方に落ち着いて状況を知らせる。

 

『大変ですわ。現在リーンボックス東側の海上から、無数のモンスターが接近中という情報が入ってきましたわ。』

 

「モンスターが?無数って、どれくらい…。」

 

だが、その後の言葉を聞いて、軽く絶望することとなる。

 

『ビットタイプが200機前後、それに加えて、その奥に10メートル級の未確認型が存在しているようですわ。』

 

「え、に、200?多すぎない?」

 

こちらの限界性能を引き出すいい機会だと思っていたのだが、流石に数が多すぎる。その上謎の未確認機体まであるそうではないか。それもこちらより大きいやつが。ビットタイプの指揮官、もしくは親玉的な存在から、同じ機械系モンスターなのだろう。だが見てみないことにはどうにもならない。おそらくリーンボックス軍も迎撃をするだろう。もしかしたら女神たちも迎撃に参加するかもしれない。そうなればまだ勝機はある。そこで、こちら側から、ベールたちの方に通信を飛ばす。

 

「俺が先に行って迎撃に出る。それでいいか?」

 

『えっ!そんな無謀な…。』

 

「もちろんリーンボックス軍の航空戦力も借りますよ。それでどうですか?」

 

『それでも…!』

 

ベールが反対しようとしたところで、ベールのマイクをひったくて、話に割り込んだ人物がいた。ノワールだ。

 

『あなた、どうしてそんな無茶なことを!』

 

「無理はしないさ。それに、機体のテストにうってつけだろ?」

 

そう返した光樹に対して、ノワールは―――

 

『止めても無駄みたいね。そんなにさっきの事、根に持っているのかしら。』

 

「まあ、それは半分半分かな。一番の理由はこいつの限界を知りたいから、だけどな。」

 

『なら、任せるわ。ベールもそれでいいかしら。』

 

『そうですわね。光樹さんの機体の性能を引き出すのには、ちょうどいいかもしれませんわ。こちらからも援護の戦闘機は出せますし、四国家合同で制作した「例の機動兵器」の出撃準備を稼げますし。』

 

ノワールとベールが納得し、ブランも頷いている。加えてネプテューヌも…。

 

『よーし、じゃあ光樹、自分の限界を見せてみろ!撃墜なんてされちゃだめだよ!』

 

『光樹さん、無理はしないでくださいね。』

 

笑顔でエールを送り、ネプギアもこちらを労う言葉を贈る。

そして研究員の一人がタッチパネルを操作すると、部屋の壁の一部が開き、通路が出現する。おそらく、その先に行けば外に出られる場所に行けるのだろう。すぐにその通路を通っていく。

通路の先にあったのは、いわゆる出撃デッキと呼ばれるところだった。床にはあらゆる兵器を飛ばすためのリニアカタパルトが存在していた。少し歩くと整備員と思われる人物がカタパルトの近くで手招きしていた。

 

「あそこか。」

 

すぐにそこまで移動する。到着すると整備員は言う。

 

「こちらのカタパルトに足を固定してください。」

 

「分かりました。こう…かな?」

 

カタパルトのロックする所に足を乗せる。するとすぐにロックがかかり、機体が固定される。

整備員が離れると。目の前の電光掲示板のような物にカウントダウンが表示され、発振準備が整う。

 

『発信準備完了。射出タイミングをパイロットに譲渡します。』

 

「了解。和藤光樹、ガンダム・ブラックエースⅣ、出ます!」

 

オペレーターからの言葉のあと、カウントダウン終了と同時に射出される。かなりのGが体にかかるのを感じる。何とかGに耐えると、光樹は大空に投げ出されていた。

 

「よし、飛行開始!」

 

『了解、推力調整をパイロットに譲渡します。』

 

ウイングユニットからAN粒子を放出させ、機体のバランスを安定させる。安定すると同時に、モニターに先程送られてきた敵の位置を地図に反映させ、方向を確認する。

 

「あっちか…よし、最大出力で…」

 

そう言おうとしたその時、エースが割り込む。

 

『光樹、到着までの時間の短縮のために変形を行いましょう。』

 

「へ、変形!?いやいや、流石に死ぬって…。」

 

変形という言葉に、恐怖を覚える。流石に変形などしたら死ぬと思うんだが…。だがそんなことなど構わず変形が開始されようとしている。

 

『変形開始します。』

 

同時に機体各部が自動で動いていく。胸部が上に開き、空いたスペースに腕部が収まり、シールドが腕部を隠すように展開する。そしてシールドのサイドパーツが開いてウイングのようになる。一方、下半身の方は腹部のパーツが少し伸び、手の収納スペースを生み出していた。さらに脚部の膝関節部分を若干収納してロックする。最後に背部ウイングユニットが推力を一方向に収束するように閉じられ、上部に装備される。

 

『ガンダム・ブラックエースⅣ、ファ―ターモードに変形完了。』

 

エースの言葉により変形が完了したことを聞くと、恐る恐る目を開く。すると、体はどこか別の空間にいるような感覚で、視界だけは機体正面のカメラから映像を送っているようなものとなっていた。

 

「これすごいな…で、どうやって動かすの?」

 

操作方法に戸惑っていると、どこからかエースの声が聞こえてくる。

 

『光樹、機体制御は脳内で戦闘機を飛ばすように意識してみてください。』

 

エースからそのように言う。っていうかそんな方法で飛ばせるのか、と思ってしまう。

だが迷っている場合ではない。現状戦闘機形態のブラックエースⅣは、重力に引かれて落下を始めている。

 

「やってみるか。」

 

そう言って光樹は機体を飛ばすようにイメージする。すると、すぐに機体が飛行を開始する。Gが体にかかるような感覚を感じる。どうやら飛ばすことは成功できたようだ。

しばらくの間、感覚に慣れるとすぐに機体を東に向け、飛ぶ。推力を一方向に向けているため、ガンダム形態時よりもかなり早い。

そんな事を考えていると、横から先程の基地から発信したと思われる戦闘機が近づいてくるのが見えた。おそらく、ベールからの援軍だろう。通信回線を開き、確認する。

 

「こちら、和藤光樹。ガンダム・ブラックエースⅣです。そちらはリーンボックスからの援軍ですか?」

 

『そうだ。…本当にそれがそちらの機体なのか?戦闘機になったが…。』

 

「こいつの支援インターフェース曰く、変形だそうだ。」

 

『了解した。では戦闘空域へ行こう。すでに偵察部隊が戦闘して何機かやられているとのことだ。』

 

そのことを聞いて少し不安になる。少しでも早く到着しなければ、全員やられてしまうかもしれない。

 

「じゃあ急ぎましょう。」

 

『分かっている。全機通達!最高速度で現場に急行!』

 

そこで通信は切られ、周りにいた戦闘機12機が先行する。それに送れないよう、こちらも最大出力を指示する。

そして戦闘機の後を追うのであった。

 

 

 

 

 

数分後、ブラックエースⅣを含めた迎撃部隊全13機は戦闘空域手前まで来ていた。すでに遠目からでも、戦闘が行われていることが分かるくらい、火線が何条も交差しているのが見えた。

 

「よし、見えてきた。エース、変形解除!」

 

『了解、変形を解除します。』

 

脚部を前に向けてスラスターを吹かして逆制動をかける。そしてスピードが弱まったところで変形を解除する。元のガンダム形態になる。

すぐにウイングスラスターの出力を全開にして、戦闘領域に突入する。その後を援軍部隊が続く。突入と同時に、こちらに気づいたビットの何十機かがこちらに対し、目の部分からビームのような熱線を発射してくる。

それを回避しつつ、背部に装備されたANランチャーキャノンⅣ二門を構える。上部のキャノンユニットと下部のランチャーユニットを展開した状態で、発射する。

 

「いけっ!」

 

一門ずつ、計四門から発射されたビームは正確にビットを貫き、爆散させる。その様子をただ見ていないで、連続で発射し、さらに敵機を撃破していく。何機か撃破した後、後ろの方から銃弾が通過していく。リーンボックス軍の援護部隊の攻撃だ。それらが何発か、ビットに当たる。撃破まではいかなかったが、ある程度の損傷は見受けられた。

だが、一度態勢を立て直すため、距離をとる。先程の戦闘機の攻撃のダメージが予想より低かったため、隊長さんに作戦を進言しようというのと、ベールからの報告にあった、「10m級の未確認型」の姿を確認するためだ。

 

「よし、離れた。まずは敵の確に…ん……を…。」

 

そこで言葉が止まる。理由は単純、その未確認型と思われる存在を補足したからだ。だがそれだけではない。その正体が、あまりにも突飛な、かつ自分の知っている存在だったからだ。

 

(あの横に長いフォルムに中央の大きな口のような部分、さらに下部の丸いパーツ、そして、顔と思われる部分にはモノアイの目に動力パイプが口の部分に接続されている…あれは……間違いないよな…。)

 

そう思ったその時、耳元から声が聞こえてくる。基地に残っている、ネプテューヌたちからだった。

 

『光樹さん、現状はどうなっているのでしょうか?』

 

「ベール、こっちはちょうど戦闘になったところだ。それで、さっき聞いてた未確認型を確認したんだが…」

 

『したんだが…どうかなされたのですか?』

 

「いや、それがですね…。」

 

その先を言おうとする前に、ネプテューヌが話に割り込んでくる。

 

『どうしたのさー、光樹!どうせでっかいビットなんでしょ?それともシュジンコウキ系?』

 

ネプテューヌのそんな言葉に、思わず頭を抱えてしまう。見ていないから、そんなことを言えるのだろう。まあシュジンコウキ系は総じて危険種だから、心配はしてくれているのだろう。

だがいつまでもその正体が分からなければ、どの位危険なのか分からないだろう。とにかくネプテューヌの先程の問いに答える。…少し笑いを誘うような答え方で。

 

「ネプテューヌ、これビットやない。アプサラスⅢや!」

 

そう、未確認型の正体は、あの「第08小隊」に登場した、アプサラスⅢだったのだ。なんで出てきたかは分からないが、やつが一番のクセ物だろう。だがその前に、周りのビットを倒さなければ、あいつの相手は出来ない。そこで、戦闘機部隊に通信をつなげる。

 

「リーンボックス部隊の隊長さん、聞こえる?」

 

『聞こえている。これほどの大群に加えて、大型の未確認型…アプサラスⅢと言ったか、どう立ち向かう?』

 

「とりあえず、ビットから倒しましょう。話はそれからです」

 

『了解した、援護に回る!全機散開!敵をパターンBで追い込め。』

 

そう言って、周りの戦闘機が二機一組の隊列になってビットに対し、連続で攻撃していく。光樹も両手にANヴァリスⅡを持ち、ビットに連射する。連続して放たれた弾丸は、ビットの体を穿っていく。と、その時、後ろの方からビット二機が強襲してくる。

 

「くっ!」

 

すぐにその方向に向くと同時に、腰部に展開されたANヴェスバーレールガンⅣをレールガンモードで起動させる。そして、放つ。固体圧縮されて放たれた砲弾はビットを貫き、爆散させる。そして正面に向き直り、腹部のANハイカノンⅣを撃つ。一筋の光が、空の敵を飲み込み、消滅させる。だが、それでもまだ敵は残っている。

敵からの攻撃を避けつつ、着実に敵を落としていく光樹とリーンボックス軍の部隊であったが、その快進撃は止められることになる。

突如、後方にいたアプサラスⅢが口の部分、大型メガ粒子砲の部分に光を収束させる。その様子を見て、光樹は悟る。

 

(まさか、メガ粒子砲を!?)

 

その先には何機かの戦闘機部隊が。

 

「マズイ、逃げ…」

 

通信回線をすぐに開き、離脱を指示しようとするが、既に遅かった。

光の奔流、いや、メガ粒子砲が発射される。そのビームは戦闘機を飲み込み、爆散させる。

 

「くそ!隊長さん、生きてますか!?」

 

すぐに通信をつなげようとする。しかし、通信回線からは何も反応は無かった。「ザーッ」という雑音のみだ。

 

(まさか…やられた!?)

 

光樹の心の中で戦慄が走る。だがそんな光樹を待つほど、敵も馬鹿ではなかった。いつの間にか、無数のビットに囲まれていた。

 

「!?」

 

その様子に焦る。何とか突破を試みようとしたが、その前にビットがビームの一斉射を始める。

 

「ちい!」

 

慌てて光樹はシールドを構える。だが背部までは流石にカバーできない。すると突然、エースが告げる。

 

『ANフィールド、展開します。』

 

それと同時に機体を球体の粒子の壁が覆う。それによりビームを弾く。

 

「エース、助かった!」

 

『気を抜いてはいけません。この状況は動きを固められているので、もしあのアプサラスⅢにあの粒子砲を撃たれれば持ちません。』

 

「そうだよな…何とか抜けられれば……。」

 

だがそうは言ってもなす術はない。攻撃を防ぎつつ、打開策を考えていた光樹だったが、終わりが近づいてきていた。粒子フィールドが消え始めてきていたのだ。

その様子に光樹が焦る。その時だった。

エースが発言する。

 

『緊急事態につき、システムを緊急解放します。リミッター解除、TRANS-AM(トランザム)システム、解放します。』

 

瞬間、光が発せられた。

 

 

TO BE CONNTINUED

 




いかがだったでしょうか、ブラックエースⅣの変形がうまく伝えれたら良かったんですが、どうだったでしょうか。

次の話では、あのシステムが登場です。

最後に、前回のお話で言いました、アンケートの件ですが、零次元編の第1章オープニング、エンディングテーマの投票締め切りは第12話投稿後にさせていただきたいと思います。

それでは、次回から夏休みですが、投稿は1週間後になりますので、また1週間後、会いましょう。

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