新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結) 作:藤和木 士
ジャンヌ「それ、ドタキャンですよ?あんまりそういうのはなくさないといけませんよ?
どうも、皆様。今日は学校に付き添う日と同じ時間の起床でした、ジャンヌ・ドラニエスです」
レイ「まぁ、OKもらったけど、行くべきかどうかってのに悩むのはよくわかるよ。どうも、みんな!今日は学校休みなのに早起きして気分もいい、レイ・オーバだよっ!」
うん、本当に急な予約キャンセル申し訳ないと思っております。一応期間には間に合っていたから、あれで大丈夫ですかねと本当に心配してます
さて、本日は第96話の更新です
レイ「イストワールさんが覚えててくれたんだったよね。これで一安心になるのかな?」
ジャンヌ「ここからどのようなお話になっていくんでしょうか?」
さて、どうなることやら?それでは、本編へ!
「いーすん!?いーすんはわたしのこと忘れていないの!?」
ネプテューヌは声を大にして驚く。その様子は、正に予想外、もっと言うなら、諦めかけていたところに希望が見えたようなものだ。
それと同じように、光樹もまた驚きを露わにする。ここで記憶を失っていない人物が出てきたのはこちらとしても衝撃と同時に安心感を感じていた。覚えている人物がいたことに対する衝撃と、それが信頼できる人物であることに対する安心感を、だ。ともかく、これは幸いともいえる展開であった。
いーすんと呼ばれたその女性、勇也自身が記憶している名前ではイストワールだったはず。イストワールはネプテューヌに対し返事をする。
「誰がネプテューヌさんを忘れるものですか。嗚呼…まさか、またネプテューヌさんに会える日がくるだなんて…。光樹さんも、無事で何よりです」
「本当だよ。けど、イストワールが覚えていてくれて、助かったよ」
「わたしもだよ、いーすん。あいちゃんも街の人も、みーんなわたしのこと覚えてないから寂しかったよ」
その言葉に、二人も待ち望んでいたように落ち着いた様子を見せる。すると、そこでイストワールが勇也達に声をかける。
「それで、こちらの方々は?」
そう聞くのも当然だ。こちらはあったことがあると言っても、別の世界で、というだけであり、こちらのイストワールとは光樹以外は何の接点も持っていないのだから。そう言われるのは当然のことだ。
そこで真っ先に行動したのは、光樹であった。すぐにこちらのことについて説明に入る。
「あぁ、こいつらは……俺の元の世界での仲間……らしいよ?」
「らしい、じゃないわよ……まったく……。初めまして、イストワール。あたしは光木鈴。GKSWAXPのメンバーの一人よ。こっちは仲間の勇也と絵里奈」
「古谷勇也だ。よろしく頼む」
「福内絵里奈です。よろしくお願いしますー」
鈴に続いて勇也達も挨拶をする。何度も経験していることだが、やはり別の世界線で同じ人物に自己紹介するというのは、中々にシュールな光景だと思う。そんな事を知らないイストワールは、そんな挨拶に対して返事をする。
「あらあら、光樹さんの……。わざわざ来て下さるとは、ご苦労様です、それで、こちらに来ていただいたのは、どういったご用件で?」
イストワールはこちらがここまで来たことに気になったようだ。光樹が外の世界からやって来たのは鈴を通して伝わったネプテューヌの話から分かっている。つまり、何故光樹を見つけたにも関わらず、この世界に残っているのか、ということが気になっているのだろう。
そう言われればそうだ。こちらの当初の目的は、光樹を元の世界に連れ戻す事。光樹との接触が達成された今、この世界に留まる理由はないのは明らかだ。
だが、それは光樹が行方不明になった時。あくまでも、「当初」のころの話である。事態は常に変わるもの。状況が変化したのは、紛れもない、GKSWAXPメンバーでこれまでの情報を整理するための会議で分かった事実のためだ。
しかしながら、それを今この場で言うのはあまりに危険だ。そこで鈴がイストワールへの対応に当たる。
「それはちょっとこの世界でやらないといけないことが出来たからよ。そして、それはこの世界の異変を解決することにも直結しているわ」
「この世界の異変……ですか」
イストワールもその言い回しを聞いて、真剣そうな表情を作る。イストワールも、この世界の異変に気付いている者。その一人として、この話は聞きたいはずだろう。
と、そこで話の内容にまったく付いていけていない様子を見せていた人物がいた。先程まで、ネプテューヌと言い争っていて、こちらを追い出そうとしていた職員である。イストワールが警戒をすることなく、話す様子から、困惑しているようだった。話の最中、その職員は状況がどうなっているのか質問する。
「…あの、イストワール様。この方はイストワール様のお知り合いですか?」
ためらいつつの発言だった。無理もない。怪しいやからだと思っていたら、いきなり上司が親しそうに話し、自分の事にお構いなく、色々と話していたのだから。
そんな様子を察してか、イストワールは口元を緩ませ、微笑みを見せて紹介する。
「はい。彼女達とは旧知の仲、そして、心強い協力者なんです。なので、彼女達は私が預からせてもらいますね」
イストワールはそう言った。その言葉はどれほどありがたい言葉だろうか。イストワールは自分達を保護すると言ってくれたのだ。協力者が出来ると共に、行動するための拠点を確保できたことはこの状況を打破するための足掛かりとして十分な成果であった。これならば、この世界での活動もしやすくなるだろう。
とは言っても、あまりに大きく行動すれば黒幕に何をされるか分からない。それでも、今はこのことに感謝するほかない。
一方で、その決定を聞いていた職員も態度を改め、平静を見せ返事をする。
「はっ、かしこまりました」
そう言って職員はその場を去る。イストワールなりの気遣い、もしくは配慮なのだろう。ともかく、これでゆっくりと話すことができる。イストワールもこちらに提案をしてくる。
「こんなところで立ち話もなんですし、奥でゆっくりお話をしましょう」
その提案にはこちらも賛成だ。こんなところで話をするというのは明らかに失礼だ。それに加え、誰かに聞かれるというのも困る。それも、今話したいのはこの世界の異変について。他の教会の者が聞いていたら、最悪黒幕に情報が漏れる可能性もある。そういった意味では、ナイスなタイミングであった。
そんなイストワールの言葉に対し、勇也達は頷き、その後を付いて行った。
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イストワールの案内で、案内されたのは、とある一室であった。教会の中ではあったが、その部屋は鮮やかな配色の家具が並べられていて、普通に生活感ある部屋であった。
しかし、この部屋を光樹は知っていた。ここは教会におけるネプテューヌの部屋である。主に女神達を呼んでの会議に使われることが多く、以前にもネプテューヌ達がゲイムギョウ界感謝祭の計画を立てた時にも使用したとネプギアが言っていたのを思い出す。そう言った関係上で、この部屋にはたくさんの遊び道具(ゲーム類が多い)があり、部屋も女の子らしい雰囲気を持っていた。
そんな部屋に光樹達は案内されると、各々に配置されていたソファーの上に腰を落とし、着席する。全員が座ったところで、ネプテューヌが早速イストワールにこれまでの事を聞く。
「それで、いーすん。これはいったいどういうことなの?」
ストレートな質問だった。何が起きているのかはこちらも聞き込みで得た情報のみで、世界改変後の情報くらいしか知っていない。どうしてこうなったかの理由がネプテューヌも知りたいからこそ、この話を最初に聞いたのは光樹にも分かる。
すると、その質問に対し、イストワールは息をついてからそのことについて話す。
「正直に言いますと、詳しいことはわかりません」
聞こえたその言葉に、全員が落胆する。まさか、意識を失っていないはずのイストワールにも、この異変は分かっていないようだ。イストワールなら、何か知っているのではと思っていたのだが、やはり意識を失っていた光樹達以外もこの原因は分かっていないのだろうか。
しかし、イストワールはその言葉にさらに続ける。
「ですが、この世界…ゲイムギョウ界から、女神の存在が消し去られてしまったのは確かです」
「消し去られた……教会の職員の反応から見ても、どうやらそのようね」
鈴がイストワールの言葉に納得するような声を出す。教会の職員も記憶を覚えていないというのは、却って教会という場所が何のためにあるのかということを感じさせていた。
一方、その話を聞いていたネプテューヌもこれまでのことを振り返る。
「だから、みんなわたしもを見ても、初対面な反応だったんだね」
街の人間がネプテューヌのことを知っていなかったことも、イストワールからの発言で、異変の影響であるということに納得できた。女神のことを忘れていたのなら、ネプテューヌを知らなくてもおかしくはない話だ。
するとそこで、ネプテューヌがあることに気づく。
「あれ?じゃあ、なんでいーすんはわかるの?」
それは当然の疑問であった。他の人間は忘れているのに、なぜイストワールだけはこの異変の中で当事者であるネプテューヌ達四女神や光樹達以外で覚えているのだろうか。ちなみにこの考えは鈴に勇也が光樹が気づくずっと前から、イストワールと話した時から気づいていた。
そんなことに気づくはずもなく、光樹もそのことについて言及する。
「それもそうだな。この異変に深く関わっている俺達以外に、まさか、イストワール様が覚えてくれていたってのは不思議っていうか……」
光樹が不思議がっていると、イストワールが二人の疑問に対する推測について話す。
「あくまで予想ですが、プラネテューヌの歴史の記録者として、人工的に生み出されたせいではないでしょうか。この事象はゲイムギョウ界の歴史やあり方を、何かしらの力で改変した結果だと思っています」
人工生命体だから。その理由に光樹も改変のやり方に対して若干の理解できていない部分を持ちながらも頷く。だが、光樹の理解した様子に不安か、はたまた呆れたのか。それは分からないが、鈴が分かりやすく解説をする。
「まぁ、要するにイストワールは歴史を記録するために作られた存在。だからあたし達とは記憶の保持する方法が違うってことよ。そういうことよね、イストワール?」
「えぇ。簡単に言えば、おそらくはそうなのだと思います」
鈴からの確認に、イストワールがそういうことであるという返事をする。光樹もその説明を受けてようやく納得する。
その言葉通り、イストワールはゲームの設定ではプラネテューヌの過去の女神によって造られた存在だ。記憶する際に覚える過程が違うのもおかしくはない話だ。
もしそれが本当なら、感謝しなければならないだろう。イストワールを作った、過去の女神に。光樹の記憶が正しければ、MK2だったかリバース2で、イストワールはプラネテューヌにいた過去の女神が作ったという話を、聞いたことがあるような、ないような気がしていたからだ。そして、それはこの世界に来てからもイストワールと話した時にも聞いたことがあるため、確実だろう。ともかく、この事態になっても覚えている人物に会えたことには礼を言うべきだろう。とは言っても、その礼を言うべき相手は、もうこの世にはいないのだろうが。
そう思いつつも、光樹はふうむと唸る。対してイストワールは先程中断したゲイムギョウ界を変えた事象について話を戻す。
「ともかく、その改変のせいで、女神ではなく、ゴールドサァド、そして、補佐としてゴールドソフツが治めるゲイムギョウ界へと変わってしまったのではないかと……」
「なるほどねー」
イストワールの異変に対する推測に、ネプテューヌは大きく頷き、納得した様子を見せる。これで原因の一つが分かった。光樹も同じように理解を示すように首を縦に振る。
様子を見て、理解したことを確認したイストワールは、続いてこの世界で起こっている他の出来事について5人に伝える。
「そして、大きな変化はいくつかあります。一つは、新たなモンスターの出現です」
新たなモンスター達の出現。光樹達には、心当たりがあった。それは、黄金の塔への向かう道中、モンスターが襲ってきたのだ。
当然、外を歩いていればモンスターが襲ってくるのはこの世界では当たり前のこと。光樹達もそれは十分承知していた。そして、5人はそのモンスターと戦った。しかし、その様子を一目見て、感じたのだ。こんなモンスター、居ただろうか、という疑問を。
モンスターの姿は見た目はただの小さなうさぎ型のモンスターであった。その種類は一応前に光樹がクエストに行った時、見たことがあった。しかし、初めて見た時には今までのネプテューヌシリーズで見たことがなかったので、イストワールに聞いたところ、以前からいたと言われた。おそらくゲームで登場しなかっただけなのだろう。とはいえ、今の状況でモンスターの情報を知らないというのはダメだ、ということで、その派生種もイストワールから借りたモンスター資料集を借りて頭に叩き込んだ。
ところが、目の前にいたモンスターは図鑑で見たどのモンスターとも違う体色をしていたのだ。加えて、モンスターの攻撃性もかなり異なっていた。具体的に言うなら攻撃を積極的に行うようになっていた。それ以外にも耐久力がややタフにはなっていたが、それでもまだ苦戦するというレベルではなく、あっさりと倒すことが出来ていた。
そのことについて、イストワールが詳しい変化について説明する。
「これまで確認されたことのない獰猛なモンスターたちが、徐々にその数を増やしているんです。そして、突如モンスターが凶暴化する現象も報告されています」
イストワールの後半の言葉に光樹は注目した。凶暴化する。それは先程思い出していたモンスターの状態と似ていたのだ。
それがイストワールの言う凶暴化なのか、光樹は聞くことにした。
「イストワール様。多分俺達、凶暴化したモンスターとはもう既に戦ったかもしれない」
「それは本当ですか?」
「はい。今までに見た同じ種類のモンスターが、確認されていない体色になっていたんです。それも、モンスターの雰囲気もかなり危なげというか……暴走しているように見えました」
光樹からの報告を聞いて、イストワールは頷く。その様子から、どうやら光樹の思う通り、あれもゲイムギョウ界の改変による影響を受けた結果のようだ。無意識だったため、気にも留めていなかったのだが、これもこの改変に繋がることなら、気をつけなければならないだろう。
一方、イストワールは話を再開させる。
「おそらくは、光樹さん達が戦ったのも、凶暴化したモンスターでしょう。過去に、犯罪神の瘴気に当てられたモンスターが汚染され、凶暴化した事案がありましたが、それとは異なる現象です」
犯罪神。その言葉に光樹も思い出す。「MK2」や「V」でも戦った普通のモンスターが何らかのオーラのようなものに当てられてステータスが強化された状態。それがかつて、「汚染化」という状態であったと覚えていた。だがしかし、イストワールはそれとは違う状態だという。その事に鈴が話に割って入る。
「今までの凶暴化と違う現象……。それは一体……?」
鈴の質問に対し、イストワールが答える。
「自分以外の他者に対して見境なく猛威を振るうことから、わたしたちは「猛争化」と呼んで、原因を調査しています」
「猛争化……ねぇ」
「争いに猛る姿に変化……ってところか」
話を聞いていた勇也も鈴と共に納得する。特に勇也のその例え方は独特で、かつ納得のできる補足であった。一方、光樹は絵里奈とネプテューヌと共に、猛争化のことについて言葉を交わす。
「まさか、ゲイムギョウ界の改変がモンスターにも影響しているなんてな……」
「うん。モンスターもおかしくなっているんだね」
「あの時は数が少なかったけどー、あれがもっとたくさんいたら大変だねー……」
ネプテューヌがその変化に困るように息を吐き、絵里奈がこれ以上のことになった時に危機感を感じる。ゲイムギョウ界にいるモンスター達。それがもし、一斉に「猛争化」を起こせば、とんでもないことになるだろう。
ともかく、イストワールが調べているというのなら、今はそれについても対応していかなければならない。光樹はそれを感じながらも、続くイストワールの話にも耳を向けた。
TO BE CONNTINUED
今回もお読みいただき、ありがとうございます。
ジャンヌ「今回は、猛争化、という現象についての説明でしたね」
レイ「というか、光樹君達、もう戦っていたんだね……」
いやー、起きたこと全部書いてたら、全然話進みませんから(笑)。たまにこういうこともあるので、ご理解をお願いします。
レイ「さて、しばらくイストワールさんのお話はまだまだ続きそうっ。世界が変わった影響はどこまで来てるのかな?」
ジャンヌ「支配者の入れ替わり、それに今まで以上の争いの起こる世界になりそうな予感ですね」
ここからしばらく、イストワールとのこれまでのことについてのお話が続きますので、大きく動くのはそれ以降ですね。では、今回はここまで!
ジャンヌ「次回は水曜日の投稿になりますっ」
レイ「じゃあみんな、また次回ッ!!」