ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く 作:始まりの0
EP85から短い時間で多くの感想ありがとうございました。誤字報告もあったので、修正しました。
では御待たせしました、どうぞ。
~ディオドラ神殿 最奥 玉座の間~
神殿が崩壊し、突如現れた6体の機械の獣達。
そして、零から……零の首に掛かる宝石から溢れる力。正体は分からないがそれは悪魔であるディオドラが本能的に嫌悪する力だった。
その様子を見て、目を丸くしている白音達。
「相変わらず無茶苦茶な力ですね」
「同意見にゃ……」
と話し合っている白音達だが、近付いてくる足音に気付き振り返るとリアスと眷族達が走って来た。
「こっこれは何事?!」
「ぁ~何しに来たにゃ?」
「えっ……と。その……それよりもこれは一体」
リアスや朱乃達は零の上空に居るメカライオン達を凝視している。
「なっなんじゃありゃ~!?」
一誠に至っては叫んでいる。
「うるさいにゃ……アレは私達も始めてみる力よ。取り敢えず死にたくないなら下がりなさいな、今のご主人様は貴方達なんか気にしてられる程、冷静じゃないわ」
「ッ……でも「その猫さんの言う通りですね」」
「「えっ?」」
リアスが何かを言おうとした瞬間、言葉を遮る様に声が聞こえてきた。それは黒歌でもなく、白音達でもない。グレモリー眷族でもない声だ。皆が声をした方向を見てみると、小さな少女が立っていた。
「「「「誰?」」」」
「初めまして、私はアベルと申します」
少女はそう名乗ると、自分の傍に浮かぶ緑色の板の様な水晶に触れた。
「まぁ……私が何者かはさて置き、そろそろこっちに来た方がいいですよ。死にたいならそこに居ればいいですけど」
アベルはそう言うと、零の背を見る。白音達は彼女の正体が分からないが、
「此方は何時でも構いませんよ」
「あぁ……頼む」
「では……」
零がそう言うと、アベルの身体が光り出し天使の様な光の羽が背中に生えた。そして右手を振り上げた。
「ジェネシック・ドライブ!」
アベルは振り上げた拳を緑色の水晶の中心に叩き付けた、中心部がヒビ割れるとそこから光が放たれると水晶はそのまま消えてしまった。
「ファイナル・フュージョーン!」
零が飛び上がると、ギャレオンと5体の機械の獣達が零の元に集まった。そして緑色の繭の様に包まれた。
「アレは……なに?」
リアスはそう呟いた。それを聞くと、アベルが口を開いた。
―アレは……暴走する創造を止める破壊の化身。勇気を力に変える命の宝石【Gストーン】を……その結晶【Gクリスタル】より出でし破壊神―
「破壊神……」
―ジェネシック・ギャレオンを始めとし、5体のジェネシック・マシン……プロウグンガオー、プロテクトガオー、ストレイトガオー、スパイラルガオー、ガジェットガオーとフュージョンし誕生する究極の勇者、その名は―
「ガオ!ガイ!ガー!」
緑の繭を内側から破り、降臨したのは人サイズではあるが紛れもなく黒鋼の巨神。
胸を覆うギャレオンの顔、右肩部のプロウグンガオー、左肩部のプロテクトガオー、右脚部のスパイラルガオー、左脚部のストレイトガオー、背部のガジェットガオー、額部に光輝く命の宝石【Gストーン】。
それは最強の破壊神……それは勇気の究極なる姿……辿り着いた大いなる遺産……その名は勇者王…ジェネシック・ガオガイガー。
正確にはガオガイガーを纏った零だ。零が地面に着地すると、それだけで地面にヒビが入った。
「なっ……なんなんだ貴様は?!」
「【ソウルコード:ジェネシック・ガオガイガー】……ただの破壊神だ、さぁ立て!貴様を破壊する!」
「……ふっ……だからどうした!僕には貰った【蛇】がある!無限の力に敵うものか!」
ディオドラは冷静になると、零に向かい手を向ける。その掌には「∞」を模った蛇の紋章が浮かび上がった。
「あっ……我の蛇」
オーフィスがそう呟いた。それを聞くと、零の足元のヒビが広がり、クレーターができる。
「アーシアだけでなく……オーフィスの蛇まで……存在ごと破壊してやる」
「ふざけるな!お前如き、極東の島国の神なんて、無限の力を得た僕が瞬殺してやる!」
ディオドラが手に魔力弾を形成し、零に向かい放った。それに加え、周りに魔力弾を無数に形成して零に放つ。
零はそれを回避する事無く、直撃を受けた。無数の魔力弾が直撃し、土煙が立ち昇る。土煙は凄まじい力の波動と共に吹き飛ばされ、中心には無傷の零が立っていた。
「なっ……なんで」
「瞬殺?……貴様の瞬殺ってのはこれほど長いのか、次はこっちからだ」
拳を握り右腕を溜める様に引くと、右の手首より先が朱く染まる。
「【プロウグン・マグナム】!」
零が右腕を突き出すと、右手首から先か発射された。発射された拳は自分の攻撃が全く無傷の零の姿に唖然としていたディオドラの顔面に直撃し、何故かディオドラは真上吹き飛んだ。すると零が放ったプロウグンマグナムはディオドラを追尾し、上空で幾度も攻撃している。十数回程、攻撃が終えた所でプロウグンマグナムは零の元へ戻った。
ディオドラは醜い声を出し、地面に落下した。
「ばっ馬鹿な……この僕が上級悪魔の僕が!現魔王ベルゼブブの血筋の僕がこんなぁ!?」
「貫通させない様に加減してやったんだ、感謝しろ」
零はそう言い、ゆっくりとディオドラに近付く。
「この僕が……極東の島国の神如きにぃ!」
ディオドラが手を翳し障壁を張った。零は金色の手で障壁に触れると、障壁は光となって砕かれ消えてしまった。
「オーフィスの蛇を使ってもこの程度か……程度が知れる。所詮は血筋の力に頼った小物か」
障壁の弱さに呆れながら、左腕でディオドラの胸倉を掴み持ち上げた。
「アーシアを苦しめた報い受けて貰うぞ」
拳を握り構えた。拳は再び朱い光に包まれている。
「この僕が……下賤な極東の神如きにぃー!!」
ディオドラは再び、障壁を展開した。障壁を展開した時に、零の手は離れてしまった様だ。障壁を破壊しようと触れるがバチッバチッと音を立てて、零の行く手を防いでいる。
「はっ……ハハハ!見ろ!たかが古臭い神如きに負ける筈がないんだ!無限の力を得たこの僕が!」
どうやら死ぬ気で発動した故にそれなりの強度らしい。しかしそれはオーフィスの蛇の恩恵でしかない。借り物の力で零が止められる訳がない。
「オーフィスの蛇……無限の一端か。だが使い手が貴様の様な小物では……」
零は右手で軽く障壁を叩くと、ディオドラの障壁は光となって消滅した。
「なっ……馬鹿な……僕はアスタロト家のディオドラだ……アガレスにも勝った!バアルにも勝つ予定なのに?!極東の神なんかに負ける筈がないんだ!?」
「あぁ……そう、貴様が誰であろうが関係ない。アーシアを悲しませ、苦しめた……それだけ分かっていればいい、俺が敵と見做すには十分すぎる理由だ」
「ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ディオドラは零の周囲に無数の魔力弾を展開する。この状況で魔力弾を放てば自分も巻き込まれる可能性もあるが、冷静な判断をできないディオドラに分かる訳もない。そして魔力弾は放たれた。
「フン……降らない。【プロテクト・シェード】」
零が左手を前に突き出すと、左の前腕部のパネルが立ち上がり朱い波動が放たれる。その波動により周囲の魔力弾は消滅し、ディオドラも吹き飛ばされた。
「あ……ぁぁぁぁぁ」
吹き飛ばされたディオドラは恐怖する。零の……ジェネシック・ガオガイガーの放つ巨大な力に。その悪魔にはない異質な力に対して恐怖する。
ジェネシック・ガオガイガーの動力源……命の宝石【Gストーン】は命のある者の【生きようとする意志】特に【勇気】に呼応しGパワーを無限に引き出す結晶体だ。本来は異世界のストレスに呼応し力を発する物質に対抗する為に、無限の再生を行う偽りの宝石に対抗する為に生み出された物だ。
言わば、Gストーンから放たれるのは【生命の力】そのものとも言える力だ。それは言いかえれば命の放つ輝き……光の力だ。光を弱点とし命ある者の負の感情を糧とする悪魔には、脅威だろう。
「フン」
震えているディオドラを一視すると、アーシアへと方向を変えた。
「アーシア、無事か?」
零は顔を覆うフェイスマスクを消し、拘束されたアーシアの前に立った。
「零さん……ごめんなさい、私」
「何を謝る?アーシアは何も悪くないだろう」
零は拘束している装置に触れようとする。だが直ぐに手を止めた。
「これは……下手に外す事もできないか。無理に外そうものなら、結界がアーシア自身を飲み込む様になってやがる………しかもご丁寧に力を流そうもんなら反転して此処一帯が封印される」
零は自分の眼で拘束している装置を間近で確認し、装置の力を理解した。
「零さん……私ごと、この装置を破壊して下さい」
「なにを……」
「もう十分です……死ぬ筈だった私を助けて下さって、家族にしてくれた。家族にしてくれた皆さんを巻き込むくらいなら」
「バカを言うな……俺の後ろを見ろ、此処に居るにはアーシアを犠牲に助かろうとする家族はいないぞ」
アーシアはそう言われ、零の後ろを見るとオーフィス達がいた。彼女達もアーシアを見捨てるなんて言う選択肢は絶対に選ばない。
「今の俺は破壊神だ……それに女の子を見捨てる勇者王が居て堪るか。そうだろ!ギャレオン!」
【ガオォォォォォォ!!!】
ガオガイガーの中心のギャレオンが咆哮を上げる。
「破壊するのはアーシアを拘束する装置のみ」
額部に輝くGストーンが輝き始めた。
零の、アーシアを助けたい……共に「生きる」と願う白音、黒歌、オーフィス、ギャスパーの想いを応えGストーンはその力を高めていく。
「【ジェネシックオーラ!】」
茜い波動が零の全身から放たれる。ジェネシックオーラ……本来は【ラウドGストーン】【遊星主】と呼ばれる存在に対して破壊を齎すオーラだが、零自身の力も加わっている為に物質・存在に対してその破壊の力を使う事ができる。何の意志もなく放てば、周辺の物質を破壊するだろう。
しかし今、破壊するのはアーシアを拘束する装置のみ。ジェネシックオーラを放つGストーンがその意志に応え、破壊されるのは装置のみだ。
ジェネシックオーラを受け、アーシアを拘束した装置はその力を発揮することなく破壊された。零はジェネシック・ガオガイガーを解除し拘束より解放されたアーシアを受けとめた。
「ふぅ……怪我はないな?」
「はい、零さん……本当に……本当にありがとうございます」
「無事で何よr…うぐっ」
アーシアは話している零の唇と自分の唇を重ねた。
「「「「あっーーーーー!!!」」」」
ふぅ……やっと勇者王登場させる事が出来ました。
色々と無理矢理な設定だと思いますが、あくまでこの小説内での設定なのでご勘弁を……。
・ソウルコード:ジェネシック・ガオガイガー
とある世界の勇者が辿り着いた勇気の究極の姿……最強の勇者王。
ギャレオン、プロウグンガオー、プロテクトガオー、ストレイトガオー、スパイラルガオー、ガジェットガオーとファイナル・フュージョンする事で誕生する勇者。
動力源は勇気に呼応して力を発揮する【無限情報サーキット:Gストーン】。Gストーンから放たれるジェネシックオーラは【ラウドGストーン】【ソール11遊星主】に対し絶大な力を発揮するが、零自身の力も加える事で物質・存在に対して破壊効果を付与された。
また今回ディオドラに放ったプロウグンマグナムも本来で在れば、1撃で魔王や神を消し飛ばす事ができる。しかし零の任意により威力の調整が可能である。
・基本装備
プロウグンマグナム:右手に攻撃の力を収束させて、拳自体を放つ。この世界の主神クラス以外の神なら一撃で消し飛ばせる。
プロテクトシェード:左手のパネルの展開し波動を放ち防御する。この波動もジェネシックオーラの為、攻撃にも転用できる。また原作通り、光学兵器の反射・物理衝撃をジェネシックオーラに変換する機能もある。
スパイラルドリル:右脚部のドリル、広範囲の破壊に適している。
ストレイトドリル:左脚部のドリル、狭い範囲だが貫通性に優れている。「ドリルは男の子のロマンである」
ガジェットフェザー:ガジェットガオーに装備されたスラスター。展開すると翼の背面に巨大な眼を思わせる姿が現れる。今回は未登場。
各種ガジェットツール:ウィルナイフ、ボルティングドライバー、ヘルアンドヘブンで使用される。(あくまで)今回は未登場。
・Gストーン
勇気に呼応して無限の力を放つ無限情報サーキット。
「命ある者の生きたいと言う思いを力に変える」→生きたいと言う思い(正)=命の放つ光=Gパワー・ジェネシックオーラ
悪魔=光が弱点、命ある者の負を糧とする←Gパワー・ジェネシックオーラが弱点。
と若干、無理矢理な設定になりました。