ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP78 復活

 ~高天原 天照の神殿~

 

 高天原の頂点、太陽神・天照、月の神・月読、荒ぶる神・素戔嗚は珍しく真剣な顔をして顔を合わせていた。この様な真剣な表情をしているのは先の三大勢力の会合以来ではないだろうか。

 

 

「………では会議を始めましょう」

 

 キリッとした表情で天照がそう言うと素戔嗚が立ち上がった。

 

 

「今回の議題は………【零の写真撮影で使うのはどの衣装にするかについて】だ」

 

 高天原の他の神々が見れば「えっ?なにそれ?」と言うだろう。まるで高天原今後の方針を決める為の重要な会議をしている様な光景なのだが、内容は写真撮影をする為に零にどの衣装を着せるかという何とも私的なものだ。

 

 

「私は子供の方にはメイド服を、赤子の方にはこの掛け着がいいと思う」

 

 そう言って月読は、どこからともなく紫をメインにしたメイド服と桜柄の掛け着を取り出した。完全に女物で、零のサイズである。

 

 

「姉貴、確かに女子の格好をさせるのも可愛いが………零も男だ!男らしくこの鎧とこの掛け着だ!」

 

 素戔嗚が取り出したのは蒼をメインにした小さな鎧兜一式と龍の絵柄の青い掛け着だ。これもまた零のサイズである。

 

 

「ふっ……フフフ、彼方達もまだまだですね」

 

 天照はそう言い、立ち上がると何時の間にか横に置いてあった箱の中から出したのはサイズは違うが天照が着ている服と同じ物だ、後赤子用のフリフリのついたベビードレスだ。

 

 

「なぁ!?お揃いだと!!」

 

 

「そっそんなの反則だぁ!!」

 

 どうやらお揃いという事が本人達には重要の様だ。基準が全くと言っていいほど分からないが……。

 

 《パチっ》

 

 指を鳴らす音が聞こえると、黒い焔が服を燃やした。

 

 

「ぁあ!夜なべして創った服が!?」

 

 

「「着ませんよ」」

 

 三貴士達が振り返ると、何時も通りの銀髪の零『分身』と黒髪の零『半身』がいた。2人とも子供と赤ん坊の姿ではなく元の高校生の姿に戻っていた。服装は駒王学園の制服だ。

 

 

「「「零?どうして元に!?」」」

 

 零がこんなにも早く元に戻るとは思わなかった様だ。

 

 

「俺だって学習しているんです。前の時は1ヶ月掛かりましたんでね、記憶がないで分かりませんが……母様達の事です、俺に色々としてるでしょう?」

 

【分身】が視線を向けると、三貴士達の眼が泳いでいる。

 

 

「我が分裂するのは、2つに別れた身体と心を無理矢理1つに戻す時に殆どの力を使ってしまうからです。こんな時の為にアーシアに渡した十字架に宿るジャンヌや白音達の首輪のライガーたちに力を分割しておいたんです」

 

 零が行ったのは、アーシアや白音、黒歌達に渡しているジャンヌやライガーゼロの依り代に力の一部を預けておき、それを取り戻す事で零は元に戻ることが出来たと【半身】は説明した。

 

 

「はぁ……流石にあのクソアマを倒す為とは言え、【神殺し】まで持ち出したのはやり過ぎたか?」

 

 

「いやぁ完全に頭に血が昇ってたなぁ……ちょいと反省だ」

 

 2人の零はそう言いながら、笑っている。

 

 

「「あっ母様」」

 

 

「なんですか零………はてっ何でしょうその手は?あっおやつですか?」

 

 天照に声を掛けると、2人の零は手を出した。

 

 

「「出して下さい」」

 

 

「なっ何をですか?」

 

 

「「写真」」

 

 その言葉に天照は視線を逸らした。気が付かなかったが、天照の胸の辺りを見ると妙に膨らんでいる。

 

 

「「大人しく渡して下さい」」

 

 

「はっ母から楽しみを奪うというのですか!?折角、撮ったのに!!」

 

 天照は胸を庇う様にしている。どうやらあの膨らみは写真の様でかなりの量がある様だ。

 

 

「「勿論、姉上と叔父上もですよ」」

 

 

「「ヴぇ?!」」

 

 月読と素戔嗚はその場から去ろうとしていたが、零に声を掛けられた事で変な声を上げてしまう。

 

 

「これはその」

 

 

「俺達の宝物であって……だな」

 

 2人も渡す気はないらしい。だが零も下がる気は全くない様で、強気でいる。彼にとっては残したくないものなのだろう。

 

 

「母様、大人しく」

 

 

「渡して下さい」

 

 ジリジリと迫る2人の息子に後退る天照。妹と弟の2人は隙を見て逃げ出そうとしたが…。

 

 

「「メモリーコード:天の鎖」」

 

 記憶の力で神を縛る天の鎖を呼び出し、月読達を縛り上げた。

 

 

「逃げようとしても無駄です」

 

 

「さぁ、母様。渡して下さい」

 

 

「ッ……これは可愛いい息子の記録なのです!親として子の成長を記録するのがいけないというのですか!?」

 

 天照が言うことも分かる、親として子供の事を記録として残して置きたいのは親心と言うものだろう。

 

 

 

「母様が言うことも理解しています。それだけ俺の事を愛してくれているのでしょう」

 

 

「しかし、母様達の趣味で女装やらコスプレをさせられる此方の身にもなって頂きたい」

 

 

「「あまつさえ、仕事と称した写真整理で、本来の仕事をしないと原初世界の神々に怒られるのは俺なんですよ」」

 

 

「零を怒るですって!?」

 

 

「私の弟に対して…許せん!」

 

 

「誰だ!?俺が直々に斬ってやる!」

 

 

「「自分達が原因でしょう!反省して下さい!」」

 

 息子(弟)にそう言われ申し訳無さそうに頭を下げる三貴士達。

 

 

「さぁ母様、渡して下さい」

 

 零は手を出し、天照に近寄る。

 

 

「うぅ……」

 

 今にも泣きそうな母を見て流石にやり過ぎたかと思った2人の零は互いに顔を見合わせる。

 

 

「母様、大人しく写真とメモリーを渡してくれれば」

 

 

「子供の姿で今度、御出掛けしましょう」

 

 それを聞くと天照は顔を上げる。

 

 

「……それは1人ですか?」

 

 

「母様がお望みなら」

 

 

「分身と半身に別れます」

 

 

「写真とカメラのメモリーです!」

 

 先程まで追い詰められていた者と本当に同一人物……同一神なのかと想うくらい早い切り替えだ。

 

 

「「次いでに姉上達のも取り上げて下さい」」

 

 天照の視線が妹と弟に向けられ、一瞬の内に縛られている2人の服から写真とカメラを抜き取り零に渡した。

 

 そして天照が指を鳴らすと天の鎖が消えた。

 

 

「姉さんの裏切り者!」

 

 

「姉上の裏切り者!」

 

 

「血を別けた妹弟よりも血肉を別けた息子の方が可愛いいのです」

 

 自分だけ零と御出掛けなんてズルい!と2人の目線が言っている。

 

 その様子を見ながら分身と半身は写真とメモリーを自分の管理する異空間に収納した。何故直ぐに破棄しないのだろう?

 

 ーコレは、コレで使い道があるーとの事です。

 

 

「「ん?……成程」」

 

 分身と半身はそう言うと、互いの手を合わせた。すると半身が闇に代わり分身と1つとなった。

 

 

「ふぅ……母様、姉上、叔父上、俺は用がありますので行きます。後、アーシア達が何故か気を失って彼方の部屋に寝かせてますので宜しくお願いしますね」

 

 零はそう言うと何処かに行ってしまう。

 

 

「「「?」」」

 

 天照達は何のことかと思い、隣の部屋を見てみると顔を真っ赤にし、気絶しているアーシア、白音、黒歌、ギャスパー、何事も無いかのように絵本を読んでいるオーフィスを発見した。


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