ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP68 ラグナロク【獣達の戦い】

 ~冥界 荒野~

 

 この場にはラグナロクを起こそうとする邪神ロキ、それに相対する無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)であるオーフィスの力を宿した鎧を纏った零がいた。

 

 2人は未だ動いていない。だが、2人の神から放たれる神の力は周囲に広がり続けていた。2人から離れた場所では、白銀の竜と神殺しの魔狼が互いに睨み合っていた。

 

 更にそこから少し離れた場所では、サガやカノン、黒歌達が一誠やロスヴァイセ達と共に居た。サガやカノン達、黄金聖闘士はアーシア達の前に出ている。そしてその小宇宙(コスモ)を燃やし、周りの者達に護っていた。

 

 

 《グルルル………ガアォォォォォ!!!》

 

 

 《ガルルル………ワオォォォォォ!!!》

 

 零の眷族であるバハムート神式、ロキの子であるフェンリルが咆哮を上げ地を蹴り互いに接近する。フェンリルは地が抉れる程の力で飛び上がり、バハムート神式の首に噛みついた。

 

 

『バキッバキッ……メキィ……ブシュー』

 

 

 《グオォォォォォォォン!!!》

 

 フェンリルの牙が堅い白銀の鱗を割り砕きながら、肉に喰いこんだ。バハムート神式はその痛みで叫びを上げた。しかしバハムート神式もやられてばかりではなく、カッと目を開きその尾でフェンリルに叩きつけた。

 

 

 《ギャイン!》

 

 尾を叩きつけられた事で、フェンリルの噛み付く力が抜ける。バハムートはそれを逃さす、フェンリルを引き剥がし放り投げた。そのまま巨体を回し、尾を振り上げ叩き付ける。フェンリルは岩山を幾つも壊しながら吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その様子を見ていた一誠と匙はこう考えていた。「「何コレ、何処の怪獣大決戦?」」と。

 

 

「すっすげぇ……」

 

 

「まるで映画のシーンみたいだな」

 

 

「そうなのかにゃ?アレ位、普通じゃない?」

 

 と黒歌が一誠と匙の言葉に続いていった。

 

 

「というか……塔城さんのお姉さん、その恰好は?」

 

 バンシィを纏っている黒歌の姿を見て、一誠はそう聞いた。

 

 

「これかにゃ?これはバンシィ……ご主人様から頂いたのよ」

 

 そう言うと、黒歌はバンシィを解除した。

 

 

「白音とお揃いにゃん」

 

 そう言って抱き着こうとしたが、避けられた。

 

 

「ぁあん!酷いにゃん!白音!何で昔みたいに甘えてくれないの?!」

 

 

「姉様の日頃の行いを考えて下さい、学校にまで来て監視してたり『白音が虐められてないか心配で』お風呂を覗いて来たり『白音の成長を見守ってたにゃん』乱入してきて変な所触ってきたり『白音の成長具合を確かめてただけにゃん』ベッドに侵入して来たり『姉妹で寝るのは可笑しい事ではないと思うわ』理由もなく抱き着いて来たり、キスしてきたり『姉妹のスキンシップにゃん』………」

 

 

「「しっ姉妹で入浴……ベット、おさわり……おっと鼻血が」」

 

 白音を言った事で、妄想したのか鼻血を出している一誠と匙。

 

 

「一誠!」「匙!」

 

 当然の如く2人は頭には主であるリアスとソーナの鉄拳が振り下ろされた。

 

 

「全く!貴方って子は!」

 

 

「すいません部長!」

 

 

「匙……帰ったらお仕置きです」

 

 

「かっ会長…御許しを!」

 

 そんな事は聞き入れられないだろう。だが何故かリアスとソーナは同情の眼を白音に向けている。

 

 

「彼女も苦労してるのね……」

 

 

「えぇ……その苦労、良く分かります」

 

 リアスとソーナは何処を見てるのかは分からないが、遠い目をしている。彼女達が何故そう思うのかと言うと、魔王は……リアスの兄サーゼクス、ソーナの姉セラフォルーはバカが付くほどシスコンである。同じシスコンの姉を持つ白音の話を聞いて我が身に起きたことの様に思ったんだろう。

 

 

 《グオォォォォォォォ!》

 

 その咆哮を聞いて、皆は我に帰りバハムート達の方向を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《ガアァァァァァァァ!!》

 

 吹き飛ばされたフェンリルはダメージが大きかったのか立ち上がろうとするが直ぐに崩れ落ちた。バハムート神式はフェンリルに追い打ちをかける為に、その翼を広げ大空に舞い上がった。

 

 

 《グオォォォォォォォ!》

 

 バハムート神式はその咢を大きく開き、凄まじい純度のエネルギーを収束させていく。

 

 伝説・神話に出る竜には共通して同じ力を持っている。幻想種の頂点に立つ竜が放つ力の奔流、赤い竜であれば炎、蒼い龍であれば氷などそれぞれの属性に合わせ放たれる。その一撃で街1つ、山1つが簡単に吹き飛ばす。

 

 その力の名は竜の息吹(ドラゴン・ブレス)。それは周囲に漂うマナと竜に宿る膨大な力を収束させ放つ最強の一撃とも言える。

 

 バハムートの本来の属性は闇・炎であるが、しかし原初の神獣へと昇華したバハムート神式の属性は光(聖)となっている。魔に属する獣であるフェンリルとは相対する属性。

 

 その膨大な竜の力とマナを収束させたバハムート神式は今、放とうとしている。

 

 

 《ガアァァァァァァァァ!!!神殺シヨ!主ハ違えド、主に仕エし獣としテ、最後マデ戦ッた汝に敬意ヲ示そウ!》

 

 バハムート神式は主は違えど己と同じく、主の為に命を賭して戦うフェンリルに敬意を示し己が最大の一撃を放つ。力を収束させたバハムート神式の身体は眩い光を放っていた。

 

 

 《【原初竜の息吹(ゼロ・フレア)】》

 

 眩い閃光が放たれた。それは一瞬の内にフェンリルを包み込んだ。そして着弾したと同時に辺りが白一色に染まった。

 

 一誠達は閃光で視界を奪われるが、回復しフェンリルのいた方を見る。そこにはフェンリルのいた場所を中心に巨大なクレーターを形成していた。

 

 

「【グオォォォォォォ!!】」

 

 バハムート神式は命を賭して戦ったフェンリルを弔う為に力の限り咆哮した。


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