ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP64 神の権能

 ~冥界 荒野~

 

 戦闘が開始し、自分の放った魔物達が倒されていくのを沈黙し様子を見ているだけで全く動こうとしないロキ。それが不気味過ぎる。しかし皆は気付いていない。

 

 皆が協力しロキの魔物達を気絶させる事に成功した。

 

 

「はぁ……つまらん。所詮この程度か、何の面白味もない」

 

 ロキのその言葉で皆が、ロキを見上げる。

 

 

「ロキ様!もうお止め下さい!!」

 

 

「貴方の魔獣達は既に倒したわ!これ以上続けるので在れば覚悟しなさい!」

 

 ロスヴァイセとリアスがそういい、皆がロキに向かい構える。

 

 この時、ロスヴァイセ以外の心の中ではこう思っていた【例え神であろうとも、今の自分達なら何とか勝てる】と。

 零やアザゼルの課題により、ロキの魔獣達を倒し内心ではかなり舞い上がっている。

 

 

「貴様等………何か勘違いしてないか?」

 

 

「なんだとコラァ!俺達は零やアザゼル先生の地獄の特訓で強くなってんだよ!」

 

 

「現にアンタはもう1人じゃねぇか!」

 

 禁手化状態の一誠と、アザゼルによって4つのヴリトラ系の神器を埋め込まれ使用が可能になった匙がロキに叫ぶ。

 

 

「魔王でもない悪魔……それに悪魔もどき、天使もどき……戦乙女(ヴァルキリー)が神に勝てると思っているのか?」

 

 魔王でもない悪魔と言うのはリアスとソーナの事だろう。悪魔もどきとは……恐らく転生悪魔である眷族達のこと、そして天使もどきとは白い翼を生やしたイリナの事だろう。これは転生悪魔の技術を利用し、他種族を転生天使に変えるものによって誕生した転生天使・イリナだ。

 

 

「まぁ神々の黄昏(ラグナロク)の余興としては十分だな」

 

 ロキがそう言い、右手を天に向けると魔法陣が展開しそこから無数の魔力弾が放たれ地上に降り注いだ。全員は予想もしなかった攻撃に回避する事のできなかった。リアス・朱乃・ソーナ・椿姫・レイナーレ・ロスヴァイセ・イリナは防御が間に合ったのか無事の様だ。

 

 

「そっそんな……今すぐに治療します!【聖母の慈愛(マリア・ザ・ヒーラー)!】」

 

 レイナーレがそう言い、両腕に金の腕輪が現れると暖かな光を放ち始めた。その光を受けた一誠達の傷は治癒されていく。

 

 

「これが貴女の神器なのね……レイナーレ」

 

 

「はい、部長。聖母の慈愛(マリア・ザ・ヒーラー)私の半径5メートル以内の味方を治癒する神器です。アザゼル様に頂きました」

 

 

「そう、貴女は皆の治癒をお願い」

 

 どうやらアザゼルによって埋め込またのは、広範囲治癒系の神器らしい。ロキはそれをジッと見つけていた。

 

 

「攻撃を仕掛けてこない……どういうつもりです?」

 

 ソーナがロキに向かいそう言った。

 

 

「フン……幾らやろうとも同じ結果だと言う事だ。所詮悪魔や天使など神の前では雑魚にしかすぎん」

 

 その言葉に怒りを覚えたのか、治療の終わった全員が立ち上がりロキを睨み付けた。

 

 

「幾ら虫が集まろうと私に勝てる筈がないだろう」

 

 ロキがそう言うと、ロキから放たれていた圧倒的な力が消えた。

 

 

「なっなんだ……」

 

 

「ロキの力が消えた?」

 

 

「いぇ……こっこれはまさか……ロキ様!それはいけません!それを使っては世界が!」

 

 ロキの様子に不思議がっている一誠や祐子達。だが唯一ロスヴァイセが何が起きているのかを理解した様で、顔を青ざめさせている。

 

 

神々の黄昏(ラグナロク)が早まるだけだ。それに愚か者どもに教えてやらねばならん……弱小な存在である自分達が誰に刃向っているのかをな」

 

 ロキがそう言い終わると、ロキから光の波動が放たれ始めた。一同は何事かと想い周辺を見渡すが、何も起きていない。

 

 

「テメェ!何をしやがった!」

 

 匙が一歩出てそう叫ぶと、何故か匙の身体が炎に包まれた。

 

 

「あちちちちちちち!!」

 

 

「匙!」

 

 ソーナが魔法で水を出し、匙を消火した。

 

 

「いっ一体何が起きたと言うの……見る限りロキは何もしていない」

 

 

「えぇ……魔法にしても、何にしても力の波動がある筈。しかしそれがロキから感じられない、いぇそれどころか一切力を感じませんわ」

 

 リアスと朱乃がそう言った。

 

 悪魔や天使などが魔法などを使用する時、何かしらの力を発する。それは日本の妖怪であっても、魔物であっても変わらない。しかし唯一例外がある。

 

 

「皆さん!不用意に動かないで下さい!今のロキ様は【権能】を使用しています!」

 

 

「「「権能?」」」

 

 ロスヴァイセの言葉に皆がなんなのかと思っている。

 

 

『【権能】とは神だけが持つ力。ただそうするだけの権利の事だ』

 

 辺りに声が響き、眩い光と共に零とアーシア達が現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「れっレイ!?どっどうして此処に!?」

 

 

「どうしても、こうしてもない。神が【権能】を使うと言う事はそれこそ世界が動くと言う事だ……そんな事態になれば俺が動かない訳にはいかん」

 

 

「そうだにゃん、今の貴方達じゃロキには敵わないわよん」

 

 何時もの様に着物を肌蹴させている黒歌が零に抱き着いている。

 

 

「「あぁーーーー!なんて羨ましい!」」

 

 

「五月蠅い」

 

 

「「すっすまん」」

 

 零に睨まれ、縮こまってしまう一誠と匙。

 

 

「天王理君、【権能】って一体なんなの?」

 

 落ち着いた様子で裕子がそう聞いた。

 

 

「【権能】……神が神たりえる証。総ての法則を無視して事象を引き起こすことができる神の力とでも考えろ」

 

 

「まさかそんな事、ありえる訳が……」

 

 

「「???」」

 

 皆が驚いている中で一誠と匙だけが首を傾げていた。

 

 

「はぁ……阿呆のお前等にも分かり易く言ってやる。例えば【物を移動させる】という権能があるとしよう」

 

 

「ほぅほぅ」

 

 

「人間や悪魔達がそれを行う時、手で動かす、魔法で動かすという行動をしなければ【物を移動させる】ことはできない。しかし権能は違う、【物を移動させる】という結果だけを行える」

 

 

「ん?……ん~分かった様な分からない様な」

 

 

「………もっと簡単に言ってやろう。【答えを出す】と言う権能をもつ者がテストを受ける。その者は問題も読まずにその答えが分かるということだ」

 

 

「「なに?!そんなチート的な力だったのか!?」」

 

 零が一誠達にも身近である学校のテストに例えて言うと、直ぐに理解した様だ。

 

【権能】とはただ「・・・」をする権利を持っていると言う事だ。そこには物理法則も計算も必要ない、そうするだけの【権利】があるだけ。

 

 

「そして邪神ロキよ。お前の権能は【火】と【神々の黄昏(ラグナロク)を引き起こす】というものだろう?」

 

 

「そうか、貴様は伝説の戦士だったな。そして極東の太陽神の息子でもある……成程、貴様も【権能】を持っているのだな。【権能】を持ちし神の中には、他の神の【権能】を見抜く者もいると聞いた事があるが……会うのは初めてだ」

 

 

「まぁそんな所だ……さて、邪神ロキよ。俺は寛大だ、泣いて謝るなら許してやるぞ?」

 

 零は完全にロキを挑発している。勿論、ロキがそれに応じる訳もない。ロキが零を睨むと、青い炎が発生し零達に襲い掛かった。先程の匙を焼いた炎とは比べ物にならない。

 

 

「アーシア、アレを試してみたらどうだ?」

 

 

「えっ……あっはい!」

 

 アーシアが前に以前に貰った十字架……かつて英雄ジャンヌ・ダルクが使っていた十字架を取り出すとアーシアが光りに包まれ、白い服と鎧を身に纏った。その手には旗を握っていた。

 

 

「『我が旗よ!我が同胞を護り給え!』」

 

 アーシアが旗を掲げるが、ロキの炎は皆を飲み込んだ。




【権能(けんのう)】

 神だけが持つ力。あらゆる法則に関係なくあらゆることを行うことが出来る。

 神々の神秘が満ちていた太古の時代には当たり前の様に、使用されていた。しかし神秘が薄れ、人が物事に法則をつけ始めたことで現在、権能を使う事が出来るのは、最高神や高位の神のみ。

 使用時は全く力を感じれないが、実際には力の次元が違い過ぎて神でなければ感知できないだけである。

 通常の魔術・魔法などとは、比べ物にならない力を発揮する。また通常では考えられない超常現象を起こす事ができる。

 ロキであれば【火】【ラグナロクを引き起こす】と言う、神話・伝承に因んだ【権能】を持っている。

 零は勿論、天照達も使用する事ができる。 

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