ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP63 聖戦開幕

 ~冥界 荒野~

 

 荒野に転送された一誠達は直ぐに場の異常に気が付いた。

 

 辺り一帯に漂う禍々しく、巨大な力。

 

 一誠達の視線はすぐに、離れている場所にある光の塊に向けられた。

 

 それはアジュカにより封印されたロキがいる魔法陣だ。だが次の瞬間、空一面を覆う暗雲から落ちた雷により魔法陣が破壊された。そして邪神がその姿を現した。

 

 

「フン、やっと解けたか。忌々しいベルゼブブめ」

 

 

「ロキ様!この様なことお止め下さい!今ならオーディン様も御許しいただけます!」

 

 ロキに向かい、ロスヴァイセがそう叫ぶ。

 

 

「フッあの爺の許しなどいらん。それに神々の黄昏(ラグナロク)は我が悲願、止める訳にはいかん。出でよ!我が息子達よ!」

 

 ロキがそう言うと、雷が発生しロキの周囲に落ちた。すると地面からフェンリルとフェンリルに似た2頭の狼、巨大な龍が現れた。

 

 

「フェンリルとその子、ハティとスコル!?」

 

 

「それに龍王ミドガルズオルムまで………恐らく模造品でしょうけど」

 

 ロスヴァイセとソーナがそう言った。

 

 

「皆、油断しちゃ駄目よ」

 

 

「特にフェンリルには気をつけて下さい。あの牙にやられれば終わりですよ」

 

 

「「「「はい!!」」」」

 

 それぞれの主にそう言われ、各自が臨戦態勢に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くぜぇぇぇぇぇ!」

 

 

 《Welsh Dragon Over Booster!》

 

 一誠は不完全ではあるが、禁手を使い鎧を纏う。

 

 

「おりゃあぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 《Boost!》

 

 一誠は力を倍加させ、フェンリルに殴り掛かった。フェンリルはそれにより少し後ずさるが直ぐに体勢を立て直しその爪で一誠に襲い掛かる。一誠はそれを背にあるブースターを吹かせ移動することで回避する。

 

 

「ハアァァァァァ!」

 

 

「でやぁぁぁぁぁ!」

 

 フェンリルが止まった一瞬の隙を突き、裕子とゼノヴィアが双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)とデュランダルで斬り掛かる。

 

 

「あれでも傷1つ付かないとは」

 

 

「流石は伝説の魔狼だね」

 

 ゼノヴィアと裕子はそう言うと、一旦その場から下がる。

 

 

「雷よ!」

 

 巫女服の朱乃が雷を発生させ、フェンリルに向かい放つ。フェンリルは直撃したものの、全くと言っていいほど効いていない。

 

 

「……自分の血を受け入れる………彼の前なら……彼なら」

 

 朱乃は上空から一誠の方を見ると、決意した様に目を見開いた。

 

 

「私は姫島朱乃……姫島朱璃とバラキエルの娘!そしてリアス・グレモリーのクイーン!……雷光よ!」

 

 朱乃の背に悪魔と堕天使の翼が生え、右手から雷を放ち、左手から光を放つ。そして雷と光が合わさり雷光となる。雷光はフェンリルに直撃した。

 

 

「流石、朱乃先輩!」

 

 

「ウフフフ、一誠君に褒められると照れてしまいますわ」

 

 朱乃はそう言うと顔を赤く染めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何故かな……今の一誠君と朱乃さんのやり取りを見てると胸がモヤモヤする……でやぁぁぁ!」

 

 裕子は一誠を見ながらそう呟き、襲い掛かって来たハティの攻撃を避け迎撃する。だが双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)をもってしてもフェンリルの子であるハティに傷をつける事はできない。

 

 

「やっぱり力不足か………未だ長時間は使えないけど」

 

 裕子は目を瞑り、聖魔剣を消すと両手の甲に白と黒の竜を模った紋章が浮かび上がった。

 

 

「『聖を司りし白銀の龍よ。汝が聖なる光は邪神を浄化し、焔は魔を焼き尽くす。その光と焔を我が手に。顕現せよ、天空の支配者にして龍の皇帝よ!【聖龍剣(フォース・オブ・ドラゴスレイブ)!】』」

 

 右手の甲の紋章が眩い光を放つ、そして光が巨大な龍の姿となった。

 

 

「『邪を司りし漆黒の竜よ。汝の邪は神にすら死を与えし毒、氷は時をも止めし絶対の冷気。その邪と氷を我が手に。顕現せよ、地獄の支配者にして竜の皇妃よ!【邪竜剣(グレイズ・オブ・ドラゴスレイブ)!】』」

 

 左手の甲の紋章から禍々しい闇が溢れ、その形を巨大な竜に姿を変える。

 

 

【ククク……我等が仮の宿主よ。我等を使うか】

 

 

【貴女が護るものため、貴女の願いのために】

 

 

【我等を思う存分に使うといい】

 

 

【その想いが……愛がある限り、我等は力を貸しましょう】

 

 2体の龍達がそう言うと、それぞれが光と闇に変わり裕子の両手に収まった。そして裕子の手には零から受け取った聖龍剣と邪竜剣に姿を変えた。

 

 

「ボクは護る!部長を!一誠君を!皆を!この剣に誓って!」

 

 裕子がそう叫び、聖龍剣と邪竜剣を掲げると夫婦剣の刀身が光と闇を纏った。そして裕子は自身の悪魔の駒(イーヴァル・ピース)の特性である速さを使い、ハティの攻撃の避けた。それはこれまでの速さとは段違いだ。

 

 前と比べ数倍以上の速さを見せている。これはアルトリア達との修行の成果と、聖龍剣(フォース・オブ・ドラゴスレイブ)邪竜剣(グレイズ・オブ・ドラゴスレイブ)によるバックアップによるものだ。

 

 聖龍剣……聖なる龍の身体と魂を使い、零が創り上げた龍殺しの聖剣。その効果は邪神すらも焼き尽くす焔と持ち主の筋力の倍加。

 

 邪竜剣……邪悪な竜の身体と魂を使い、零が創り上げた竜殺しの邪剣。その効果は時すらも凍てるかせる絶対零度の氷と持ち主の速度の倍加。

 

 そしてこの2本は対なす夫婦剣。この夫婦剣に認められた裕子の力と速度は前の数倍になっている。

 

 

「ハアァァァァァァァ!」

 

 以前の数倍の速度で、一気にハティの真下に潜り込むと自分の魔力を聖龍剣と邪竜剣に流し込んだ。それにより刀身を覆う光と闇が強くなり、裕子はそのままがら空きのハティの腹を目掛けて剣を振るった。刀身はハティの腹に傷をつくり、裕子はその後すぐにその場を離れた。

 

 

「ッ……やっぱりこの剣は魔力の消費が激しい。この状態じゃ5分もしない内に魔力が空になりそうだ。もっと使い所を考えないとね」

 

 裕子がそう言うと、聖龍剣と邪竜剣が消えた。どうやら使用するとかなり魔力を消費する様だ、先程まで汗1つ掻いていなかったが、全力疾走した後の様に汗だくになっていた。

 

 

 《ガアァァァァァァ!》

 

 傷付けられたハティは頭に来たのか、裕子に襲い掛かった。

 

 

「しまlt「でやぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

 ゼノヴィアがデュランダルでハティを攻撃し退けた。

 

 

「ゼノヴィア……ありがとう助かったよ」

 

 

「祐子、もうバテたのか?さっさと立ち上がらないと全部私が斬ることになるぞ?」

 

 

「ハハハ……よいしょっと……言ってくれるね」

 

 裕子はゼノヴィアの手を借りて、立ち上がると聖魔剣を創造し構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「龍王の模造品とは……」

 

 

「敵も本気と言う事ね」

 

 崖の上から模造品のミドガルズオルムを見降ろしていたリアスとソーナ。2人は他の眷族の様子を確認しながら、目の前の敵に集中していた。

 

 

「さてそろそろ、始めようかしら」

 

 

「そうですね、こんな所で時間を喰ってる暇はありませんしね……」

 

 そう言う、2人の身体から魔力が立ち昇り始める。ミドガルムオルム(模造品)はそれに気付くと、2人に向かい炎を放つ。しかしソーナのクイーンである椿姫が2人の前に出た。

 

 

「その炎、返させて貰います!【追憶の鏡(ミラー・アリス)!】」

 

 椿姫の前に鏡が現れ、それがミドガルズオルムの炎を受け止め割れた。その瞬間に炎はミドガルズオルムに跳ね返された。

 

 

「行くわよ!ソーナ!ハアアァァァァァァ!」

 

 

「えぇ!リアス!ハアァァァァァ!」

 

 ソーナの魔力から巨大な氷の蛇が形成され、ミドガルズオルムに纏わりつくと凄まじい冷気と共に氷漬けにした。その直後にリアスが滅びの魔力で攻撃を加えた。

 

 

 《があぁぁぁぁ!》

 

 ミドガルズオルムはそのまま倒れ込んだ。

 

 

 

 スコルの方もロスヴァイセとイリナにより抑えられている。

 

 だがこの場にいる全員は知らなかった。

 

【神】の本当の力を…………。




~登場武器・神器紹介~



【聖龍剣(フォース・オブ・ドラゴスレイブ)】

 とある世界の聖と焔を司る白銀の龍から創り出された聖剣。龍から作られているのに龍殺しの力も秘めている。

 装備中は魔を浄化する光と邪神をも焼く焔を操る事ができ、持ち主の筋力を倍加させる。

 武器の中に魂も宿っている為、武器の状態でも元の雄龍との会話ができる。しかし使用中は凄まじい魔力を使うため、裕子は5分ほどしか使用できない。

 もう1振りの邪竜剣とは対の夫婦剣であり、同時に装備する事で共鳴し合い、その力を更に倍加させる。




【邪竜剣(グレイズ・オブ・ドラゴスレイブ)】

 とある世界の邪と氷を司る漆黒の竜から創り出された邪剣。聖龍剣と同じく竜殺しの力を宿している。

 装備中は神をも殺す闇と時をも止める氷を操る事ができ、持ち主の速度を倍加させる。

 武器の中に魂も宿っている為、武器の状態でも元の雌竜との会話ができる。しかし使用中は凄まじい魔力を使うため、裕子は5分ほどしか使用できない。

 もう1振りの聖龍剣とは対の夫婦剣であり、同時に装備する事で共鳴し合い、その力を更に倍加させる。

 
 この二振りの剣の特殊能力である【邪神殺しの光】【神殺しの毒闇】などは裕子の実力では使用不可である。

 しかしその切れ味は凄まじく聖魔剣で斬ることができなかったフェンリルの固い身体を斬る事ができる。

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