ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く 作:始まりの0
~天王理家~
「ふぁ~………眠い」
零は朝起きると、何時もの様に食事の用意を始めた。だが少し疲れているのか眼の下に隈がある。
「ふぅ………この所、休んでる暇がないからか少し疲れたな」
流石の零も戦い、異世界の移動を繰り返していたので疲労が溜まっている様だ。しかし零とて神の力を持つ者、そう簡単には疲れない筈、恐らく精神的な物だろう。
「ん~………さて皆を起こすには早いか。散歩でもいこう」
時計を見てみれば午前5時30分だ。朝食と言っても流石に早すぎる。なので零は散歩に行く事にした。
~駒王街 公園~
未だ早朝と言う事で人の姿はないものの、早朝ランニングをしている者、体操をしている老人達。平和な時間だ……零はそう思いながら公園を歩いている。
辺りは未だ薄暗いが、徐々に朝日が昇り始めている。
「母様が顔を出されるか………」
零は昇り始めている太陽を見ながら、そう呟いた。
「………ん?アレは……」
零はある人物を見つけた。その人物は走っていた、しかも長時間走っていたのかかなり汗を掻いている。
「朝から鍛錬とは感心な事だな」
「おわぁ!?……れっレイ!?」
「そう驚くな。別にお前をどうこうするつもりはない……取り敢えずおはよう、一誠」
それはクラスメイトであり、悪魔となった友人・一誠だった。
「れっレイ……(ゴクッ」
一誠は警戒しているのか、その場から下がり構えをとっている。
「はぁ……よいしょっと」
零はそんな一誠を見て溜息を吐くと、近くのベンチに腰かけた。
「それで、何してるんだ?」
「えっ……ぁっ……鍛錬だよ」
一誠は零から敵意を感じないのが分かると、構えを解いてそう答えた。
「へぇ………それであの女はどうしている?」
「あっあの女?」
「リアス・グレモリーだ」
「部長か……部長はギャスパーの事がショックだったみたいだけど、これからの為に魔王様達と色々と動いているみたいだ」
「ふぅん………まぁいい。あの女がどうしようが構わん。俺の気に触れさえしなければな」
零はそう言うと、興味を無くした様に空を見上げている。
「なぁ……レイ、なんでお前は部長の事をあんなに嫌ってるんだ?」
「あっ?………俺があの女を嫌う理由?簡単だ………愛・家族・大切などとほざいているくせに、自分の眷族の事を何も理解していない。うわべだけの言葉だけ並べて何も大切な事を理解していない、それに加え木場祐子のこと、ギャスパーのこと、姫島朱乃のことについてもだ………正直言うと今すぐにでも存在ごと消し去ってやりたいくらいだ………しかしアレは魔王の妹、此方から手を出せば母様に迷惑になるからな………まぁ白音やアーシア達に手を出したら苦しみの末に生きてる事を後悔させてやる、ハハハ」
零は軽く言っているが、一誠はそれを聞いただけで背筋が寒くなった。零にかかれば1日もしない内に悪魔は魔王も含めて滅びるだろう。
「しかし……アーシアや姫島朱乃も、それにお前もアレを殺すのは反対するだろうからな。本気で奴が白音やアーシアに手を出さないなら放って置く」
零はそう言うと、立ち上がり家の方向に向かい歩を向ける。
「俺的にはあの口だけ女を除けば、オカ研のメンバーは嫌いではない。むしろ好ましい方だ………おっとそろそろ戻らないと腹を減らした奴等がいるしな」
零はそのまま、家に向かい歩を進めた。
~一誠side~
一誠は零が去っていた後を見ていた。
「レイ…………」
《相棒………どうした?》
「俺はアイツが怖い………………でもその反面…アイツが凄くカッコイイって思う時がある……そしてアイツに勝ちたいって思う。なぁドライグ、俺は強くなればアイツに勝てるかな?」
《さぁな………奴は二天龍と称された俺とアルビオンを一撃で倒した。それに加え太陽神の子供だ、今のままでは万が一………いや億………兆……亰………まぁ天と地がひっくり返っても無理だな》
「くっ!お前なぁ……もう少し言い方をだな…」
《事実だ。今のお前じゃ傷1つ付けられん………だがお前の可能性は未知数でもある。これからの鍛錬と努力次第だな》
「努力次第か………」
~side out~
~天王理家~
「もきゅもきゅ(バチッ」
「もきゅもきゅ(バチッ」
零が家に戻り、食事を始めているのだが今日は何時もと違っていた。
「あっあの………」
「あぁ………アーシア、気にするな。満腹になったら消えるから」
「ひぃぃぃ~、何か見えないけどバチッバチッしてます。怖い~」
何時もと違っていたのは、零の膝の上に座る人物と横に座る人物だった。一方の膝にはオーフィス、横には白音。此処までは何時もと同じだが、もう片方に膝と横に座る人物達だ。オーフィスと白音が反対いる者達と見えない火花を散らしていた。ギャスパーはそれを見て部屋の隅に逃げている。
「おかわり!」
「おかわりです!」
米粒を口の周りに付けながら茶碗を差し出す金髪碧眼の少女達。よく見れば2人は良く似ている。
「この【たくあん】それに【みそ汁】というものとても気に入りました!零!こんな美味しいものを作れるのに何故呼んで下さらなかったんですか?!」
「【牛丼】【カツ丼】【ラーメン】とかいうの美味いな!零!父上の言う通りだ!こんな美味いもの、オレ達に内緒でこんな美味いのを食べるなんてずるいぞ!」
そう言ったのは、零の横に座る伝説の聖剣の持ち主であり騎士王と称されたアーサー王……アルトリア・ペンドラゴン。そして膝の上に座るアーサー王の子でありアーサー王が死ぬ原因となった円卓の騎士・モードレッド。鎧こそつけていないが2人は零のソウルコードにより実体化した本人達だ。
「あぁ……まぁ忙しくてな」
2人はプール(EP25.5)の際に零に文句を言う為に実体化した、その時にアルトリアとモードレッドに食事に誘うと言ったが、零は忙しく忘れていた様だ。2人は痺れをきらせて前の様に強制的に実体化したようだ。
「……この2人何なんですか?勝手に出て来て、私の特等席を占領して」
白音の言う特等席とは勿論、零の膝の事だろう。
「残念だかお前より前から此処はオレのだ」
そう言ってドヤ顔して胸を張るモードレッド。それを見て白音は今にも襲いかかりそうになるがグッと押さえ込んだ。
「まぁまぁ落ち着くにゃ白音」
「姉様は悔しくないんですか?」
黒歌が白音を落ち着かせようとするが、白音はそう言い返した。
「大丈夫にゃ……白音、何事においても冷静さを欠いては駄目にゃ。それに持つ者は持たざる者に施しを与える方がいいにゃ」
黒歌はそう言ったが、他の皆は首を傾げる。
「持たざる者?それはどういう事でしょう?」
アルトリアは黒歌にそう聞く。
「つまり……こういうことだにゃん」
黒歌はそう言うと、零の後ろに周るとそのまま抱き締めた。周りから見れば零が黒歌の胸に埋もれて居る様に見える。
「ご主人様だって男の子だにゃん。やっぱり(胸は)大きい方がいいにゃ………そんな小さい(胸)と満足できないと思うわ」
【【【ビシッ】】】
黒歌がそう言うと、白音、アルトリア、モードレッドは自分の胸を見た。そして何かにヒビが入る。
黒歌【豊満・大きい・母性の象徴・巨乳】。白音・モードレッド・アルトリア【貧しい・小さい・貧乳】太刀打ちできる気がしない。
「べっ別に………オレは女扱いされたくない訳だし……あっあろうがなかろうが」
「そっそうです………剣を振るうのに邪魔です……くっ!」
「くぅ………でっでも小さいのには小さいなりの需要が………」
モードレッド、アルトリア、白音の順にそう言うが、どうにも覇気がなく悔しそうだ。
「白音は未だ成長期……大丈夫にゃ、きっとお姉ちゃんみたいになるわ」
黒歌がそう付け加えると、白音の表情は明るくなる。アルトリアとモードレッドの表情はさらに沈み込んだ。2人は零のソウルコードにより現れた存在である故に時は止まっている。
「ぜっ零!何とかいえよ!そんな猫の胸に埋まってないで!」
「そっそうです!零!貴方なら分かるでしょう!?」
2人はそう言うと、零を黒歌の胸から引っ張り出した。
「えっ?俺?いや……あの………その……まぁそのだな」
流石の零も困惑している。というより自分に振られるとは思ってなかった様だ。
「……まぁ……やっぱりアレじゃないかな。大切なのは大きさよりも愛じゃないかな……うん」
零はそう言うと、オーフィスとモードレッドを膝から降ろしその場から離れようとする。
「零は大きいのがいい?………分かった」
オーフィスはそう言うと、身体が大きくなる。子供の姿から、黒歌と同じ位の背丈の女性へと変わる。胸も黒歌といい勝負をしている。
「あっあのオーフィスさん?むがっ!?むっがっ」
大きくなったオーフィスは黒歌の様に胸に零を抱き寄せた。零は抵抗しようともがくが、オーフィスは
伝説の戦士、神の子と言えど零も男の子。顔が赤くなるのは当然の事だ。
「言いたい事はそれだけですか?(かちゃ」
アルトリアは無言のまま、暴風と共に鎧を纏い黄金に輝く聖剣を零に向ける。
「見損なったぞ、零………お前はそんな男とは思わなかったぞ(かちゃ」
アルトリアと同じ様に鎧を纏い、自身の持つアーサー王を死に至らしめた魔剣を構える。
「えっ…ちょっと待て!おr「「問答無用!」」あっ!」
「束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流。受けるがいい!【
「これこそは…我が父を滅ぼし邪剣。【
「ぎゃぁーーーーーーーーーー!!」
零は黄金の光の奔流と赤黒い禍々しい雷に飲み込まれた。
~1時間後~
星の聖剣と騎士王を死に至らしめた邪剣の直撃を受けた零自身は無事だとしてもダメージが全くない訳では無い様だが………聖剣と邪剣の力の奔流は零が家に張った結界のお蔭で街に被害を及ぼす事はなかったが家が全壊。つい先ほど零は家の修復を終えた。
「ぅう……疲れた」
「もっ申し訳ありません」
「ごっごめんなさい」
この家が全壊させた2人の騎士は零の前に正座をしている。
「つい冷静さを欠いていました」
「オレもその……熱くなり過ぎた」
どうやら2人とも密かに気にしている事を言われたので冷静ではいられなかった様だ。
「いやまぁ……被害が俺だけで済んで何よりだった。うん……アーシア達は俺や母様達の加護で無事だったし、俺は男だからお前等の気持ちは良く分からんが「「「「「全くその通り(です・だにゃ)」」」」」なにが?」
((((((鈍感))))))
皆(オーフィス以外)が揃えてそう言うが、零自身は何が何なのか分かっていない様だ。
「言っておくが俺は一誠の様に胸だけを見てないぞ。俺は好きになった者だったら大きかろうが小さかろうが構わん。全身全霊で愛し、護る……それだけだ。ってなんかこっちまで恥ずかしくなってきた」
零はそう言いながら珍しく顔を赤くしている。
『ピリリリリリリ』
「ん?……はい、あっ母様だ………もしもし……はい…そうですか。あぁ……その事ですか……まだ分かりせん。はい……えっ?ぁあ……そちらの方は既に準備できています。はい……明日は忙しいので誰か使いに……はっ?俺に来い?いやです……嘘泣きしてもダメです。忙しいので……後、後ろに居るであろう叔父上と伯母上にもそうお伝えください。えっ来ないと岩戸に引き籠る?いやいやそんな事で皆既日食を起こそうなんてしないで下さい………」
どうやら天照からの電話の様だ。何やら【岩戸に引き籠る】やら【皆既日食】やら物騒な話になっている。
「はぁ………まぁ考えておきます。なので引き籠らないで下さいね。では……」
零は疲れた様子で電話を切った。
「疲れる………まぁ2人とも、また力を借りる事もあるだろうからよろしく頼むよ。アルトリア、モードレッド」
「勿論です!ではまたご飯お願いします!」
「オレも!」
アルトリアとモードレッドは嬉しそうに返事を返すと消えていった。
「今日は疲れた……寝ようの前にギャスパー、少しお話いいかな?」
「ふぇ?ボクですか?」