ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く 作:始まりの0
聖夜の空を駆けるトナカイ。そして、トナカイに引かれたソリに乗るプレゼントの袋を持ったサンタクロース。
その横に並んで飛ぶのは大きな黒いロボットだった。
「あっあの零さん。こんな大きなロボットで見つからないでしょうか?」
そう聞いたのはロボットの掌に乗るサンタ服を着たアーシアだった。零はサンタの服を着てロボットの頭の所に乗っている。
『大丈夫だ、問題ない。この蜃気楼はステルス性能はばっちりだ』
言ったのはこのロボット、蜃気楼に乗るルルーシュだった。
因みに零(プレゼントの袋を背負わずオーフィスを担いでいる)とスザクが頭部、エミヤとクーフーリンは左右の両肩、黒歌と白音とアーシアは蜃気楼の掌の上に乗っている。更に言うと全員サンタの服だ。
「ホッホッホッ、長年生きてますが巨大ロボットと一緒に空を飛ぶとは思いませんでしたなぁ」
サンタクロースは楽しそうにそう言った。
「ハハハ、まぁ普通はないでしょうね」
零はそう言いながら笑っている。
「じゃあ、皆それぞれの場所を。ルルーシュは蜃気楼から指示を頼む。俺は少し準備をしてくるから」
零はそう言うと、オーフィスを降ろし何処かへ飛んで行った。
「アイツ、何処に行ったんだ?」
「さぁ?ふらっ~と何処かに行くのは何時も事だにゃ」
クーフーリンが零の飛んで行った方向を見ながらそう言うと、黒歌がそう答えた。
「それよりもさっさと配るぞ………私の管轄はこの辺りだな」
エミヤはそう言うと、蜃気楼の肩から地上に飛び降りた。普通の人間であれば死ぬ可能性があるがサーヴァントなので問題ないのだろう。
「じゃあ俺はあっちの方だな。よっと!」
クーフーリンもエミヤと同じ様に地上に向かい飛び降りた。
「行っちゃいましたね……」
「行きましたね………」
アーシアと白音が飛び降りた方向を見ながらそう呟いた。
『よしっ、スザク。目標はこの下だ』
「分かった!」
蜃気楼はゆっくりと降下すると、ルルーシュがそうスピーカーから言い放つとスザクは50メートル程下の家に向かい飛び降りた。スザクは家のベランダに着地すると鈴の様な物を取り出しそれを鳴らすと窓の鍵が解除された。そしてスザクは家に入っていった。
数十秒もしない内にスザクは出て来ると、屋根に上がりそこからジャンプして蜃気楼に飛び乗った。とても人間技とは思えない。
「1件目終了。さぁ次に行こうか」
そうしてクリスマスのプレゼント配りが始まった。
~エミヤ・クーフーリンside~
「ふぅ……これで20件目か。それにしてもこの鈴は便利ではあるが、悪用されれば大変な事になるな」
そう言ってエミヤが取り出したのは、スザクが持っていたものと同じ鈴だった。この鈴は家を出る前に零が皆に渡した物。サンタクロースは自分の力で子供達の元に行けるが、エミヤ達はサーヴァント、霊体となって中に入ることが出来ても、プレゼントの入った袋は持って入れない。
なので零が私のがこの鈴、鳴らすだけで目の前の鍵が開くと言う優れものだ。だが悪用されれば大変な事になるだろう。
「ん?……この気配……折角の聖夜なのに台無しではないか。プレゼントは殆ど配り終わったな………仕方ない。折角眠っている子供達を起こそうなどとは………私が許さん【
エミヤの服装がサンタの服から元の赤い外套に変わる。なにやら辺りに不穏な空気を感じ取った様だ。
「よう、アーチャー。お前も感じたか?」
エミヤが振り返ると、屋根の上に元の服装に戻ったクーフーリンがいた。
「あぁ……折角の聖夜が台無しだな。取り敢えず狩っておこう」
「同感だ、子供達の眠りを妨げられるのも困るしな」
エミヤは夫婦剣を、クーフーリンは魔槍を手にした。
その剣が斬るのは平和な日常を破壊する者達、その槍が貫くのは子供達の笑顔を曇らせる邪、2人が護るのは小さな幸せ。
何かを護る為に彼等は自分を犠牲にしてでも、人々の希望を、夢を守る。故に彼等は人々から英雄と称えられた。
そして今、彼等が護るのは1年に1度の聖夜に眠る子供達の安息と小さな幸せ。その為に彼等は戦う。
「【
「【
~side out~
~その頃~
「ふぅ………これでプレゼント配りは終わりだな」
空中を飛んでいた蜃気楼に乗るルルーシュがプレゼントを配り終わった事を確認した。
「お疲れ様です、ルルーシュさん、スザクさん。これどうぞ」
アーシアはプレゼント配りを終えた2人を労い暖かい飲み物を渡した。
「「ありがとう、アーシアさん」」
2人はそれを飲み、冷えた身体を温めている。
「それにしても零の奴は相変わらずだな」
「御2人は零さんの昔の事を知ってるんですよね?」
アーシアは2人が昔の零を知っているかを聞いた。
「うん、零は一緒に戦った仲間だよ」
「大切な仲間であり、親友であり………愛する妹の心を奪った相手でもあるが、アイツなら任せられる(ぼそっ」
「「「?」」」
ルルーシュとスザクがそう言うが、ルルーシュの言葉の最後の方が聞こえなかったので首を傾げた。
「おっプレゼント配り終わったか?」
皆が上を見上げると、零が居た。
「人を呼び出して手伝わせておいて、お前は何をしている?」
「ん?俺だって働いてたんだよ………もうそろそろだ」
零がそう言って空を見上げると、空から白い何かが無数に降って来た。
「これは……冷たい…」
「雪だにゃ、もしかしてご主人様の仕業かにゃ?」
それが雪だった。黒歌はそれを零がした事だと思った様だ。
「あぁ、折角のクリスマスだ。世界各地に降らしてきた……俺からのクリスマスプレゼントって所だ」
『へぇ~お前にしちゃ』『いいプレゼントじゃないか』
声がすると、蜃気楼の肩に光の粒子が集まりエミヤとクーフーリンが現れた。
「ご苦労様2人とも……『掃除』までしてくれて助かったよ」
「ふっ……当然の事をしたまでだ」
エミヤがそういうと、「シャンシャンシャン」と鈴の音が聞こえてきた。皆が音のした方向を見るとサンタクロースがやってきた。
「サンタさん、子供達の所に行って貰ってすいません」
「いえいえ、貴方には大切な事を教えて頂きました。それに儂の役目は子供達を笑顔にすることですから」
零はどうやら、世界中にある自分の仲間達のいる所に行って貰った様だ。
「皆さん、ありがとうございました。ではまた来年お会いしましょう」
サンタクロースは頭を下げると、トナカイと共に空に消えていった。
【ホッホッホッ、メリークリスマス】
そう言い残して。
「そんじゃ俺らもお役ごめんだな」
「あぁ、ご苦労様(ぱちっ」
クーフーリンの言葉にそう答え、指を鳴らすとアーシア達の体が浮いた。
「何時でも呼びたまえ、私としては料理に関する出番があれば是非呼んで欲しいものだ」
「まぁ何時でも呼べや。出来たら可愛い姉ちゃんを紹介してくれると嬉しいねぇ」
「フン、また呼べ。あっそうだ、またお前とチェスをしたい」
「僕も何時でも呼んでくれていいよ」
エミヤ、クーフーリン、ルルーシュ、スザクの順にそう言うとその姿が段々と透明になっていく。
「ルルーシュさん、スザクさん、色々とお話聞かせて頂いてありがとうございました」
「空の旅も面白かったです」
「う~ん、私としては今度は鍛練してみたいにゃ」
アーシア、白音、黒歌がそう言って4人に別れを告げる。オーフィスは何故かクーフーリンの方をジッと見てる。
「ん?どうした、嬢ちゃん?俺に見惚れたか」
面白そうな顔をしてクーフーリンはそう言ったが…
「わんわん」
「「ぶっふ……(プルップルッ」」
オーフィスがクーフーリンに向かいそう言うと、エミヤと零が吹き出し体を震わせている。
「零!テメェ何を吹き込n…」
クーフーリンは零に文句を言おうとしたが消えてしまった。他のメンバーもまた消えていった。
「?」
オーフィスは何故、零が笑っているのか分からないので首を傾げる。
「何でもない…ククク、ぁ~面白かった。皆、帰るぞ」
零はそう言うと皆を連れて家に帰る。
後日、一誠がサンタクロースからプレゼントがないかと零に聞いた所
「サンタさんは純粋な子供にしかプレゼントを渡さんのだ。お前みたいな変態にあるわけないだろう」
と一蹴された。そして、復活した元浜と松田と一誠が黒歌の事で零に襲いかかり、返り討ちにされたのは言うまでもない。
因みにアーシア達には零と1日を過ごすというプレゼントをして貰ったのでご機嫌だったとか。