ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く 作:始まりの0
~天王理家~
俺は五月蠅かった一誠を気絶させて、サンタクロースを家に招いた。
一誠?放置したぞ、だって家に連れて来たくないしな。
「どうぞ、暖かい紅茶です」
そんな事を考えていたら、アーシアが紅茶を運んできた。白音とオーフィスは俺の背に張り付いている。どうやら目の前の老人がサンタクロースと分からないので警戒して居る様だ。
「ありがとうございます、御嬢さん」
「いえ、零さん。この方は?」
「あぁ、サンタクロース」
「ふぇ?……えっとあの……私の聞き間違いでしょうか?」
「ご主人様、今、サンタさんって」
アーシアと白音は驚いた表情をしている。
「ほっ本当にサンタさんっていらっしゃったんですね!?」
「ハハハ、アーシア。神様や悪魔がいるんだからサンタクロースが居ても不思議じゃないよ」
確かに、神や悪魔がいるのだからサンタクロースが居ても問題ないだろう。
「俺もサンタクロースに会うなんて滅多になかったからな」
「零、サンタクロースってなに?」
オーフィスはサンタクロースを知らない様だ。
「サンタクロースって言うのはな……ぅ~ん、どうせなら御本人に説明して貰おう」
「起源は色々と言われていますが、儂も何だったのか忘れてしまいました。儂は子供達の幸せを願う親の心と子供達の純粋な願いが儂という存在を産み出しました。それから儂は毎年、クリスマス・イヴに子供達にプレゼントを配るという役目を果たしておりました。ですが儂を信じてくれる子供達の思いも年々減ってきましてな……今では唯の老いぼれですじゃ」
サンタクロースの口から語られたのは事を聞いて、アーシア達は驚いていた。
「世界の神も同じ様な状態ですからね………」
「ですが……儂はこのまま消えても構わないと思っています。過去に比べて、それだけ平和になったという事ですからのぅ。子供達の笑顔こそ儂等の存在意義……子供達が笑顔でいるならそれで構いません」
どうやらサンタクロースは消えていくという現実を受け入れようとしている様だ。零はそれを聞いて目を細めた。
「零さん!サンタさんを何とか助けて差し上げられないんでしょうか!?」
アーシアがそう零に言った。
「フム………サンタさん。貴方は消えても構わないと言ってますが……貴方の存在を信じている子供達だっていますよ」
そう言うと、奥の部屋に入って行くと直ぐに出て来た。その手には大量の手紙が抱えられていた。
「よいしょっと……(ドサッ」
零はそれを机の上に置いた。
「これは……!?」
サンタクロースはそれを見て驚いた表情をしている。此処に在るのは手紙ただそれだけだ、だがサンタクロースが手紙を見て驚いたのではない。
「この……この手紙に込められた想いは」
サンタクロースが驚いたのは、この手紙に込められた想いだ。
「今朝方、世界各地に居る俺の仲間達から届いた物だ。因みに仲間達には孤児や捨て子、色々と抱えた子供達の面倒を見て貰っている。貴方はこれを見ても未だ消えてもいいと思いますか?」
零の仲間達、先のカノン達がいい例だろう。カノンは祐子の仲間達の面倒を見ている。
それと同じ様に世界各地には零のソウルコードにより呼び出された者達がいる。親に棄てられた子供、零の様に異なる血を宿し拒絶された子供、両親に愛されながらも両親を失ってしまった子供。零の呼び出した仲間達はそんな子供達の面倒を見ている。
その仲間達が見ている子供達からサンタクロースに向けて出された物を仲間達が零に届けたのだ。
普通は何処に出せばいいのか分からないので零に届けるのは当然の事だろう。
「願いが、想いが、貴方の根源だと言うのなら………この1つ1つに籠められた想いや願いを糧に在り続けて欲しい」
両手で手紙の山に手を振れると、手紙の山が光り始めた。光はやがてサンタクロースを包み込んだ。
この光は手紙に籠められた何よりも純粋な子供達の願い・想い。
その想いや願い、親が子の幸せを願う想いが形を成したのがサンタクロースだと言うのであれば………この手紙に籠められた想いがサンタクロースに力を与えるのは必然。
「おぉ……何と暖かい……そうじゃった、儂はこの想いを受けずっと過ごしてきた。だが近頃、想いが薄れ消えゆく自分を受け入れていた。儂は子供達の笑顔を望みながら、何を諦めようとしていたのじゃろう」
ボロボロの老人の姿をしていたサンタクロースの姿が、子供達が思い描くであろう赤い服の姿に変わった。
「ありがとう……大切な事を思い出させてくれて。儂は大事な事を思い出せました、ただ1人でも儂を想ってくれる子供の為に儂は存在するのだという事を」
そう言って頭を下げると、サンタクロースは何処からともなく大きな白い袋を取り出した。
「いいえ……子供達の想いが、貴方を本来の姿に戻した。ただそれだけです……それに如何なる世界であっても子供は宝ですよ。さて折角ですし俺達も手伝うとしましょう【ソウルコード:エミヤ、クーフーリン、ルルーシュ、スザク】」
零の右眼が光り、零の前に現れたのは赤い外套の弓兵、犬、絶対遵守の魔王、人間離れした身体能力の騎士だった。
「おい!ちょっと待て!俺の紹介「犬」だったぞ!犬って言うな!!」
「別にいいだろう、
「アーチャー!テメェ!心臓穿ってやろうか!!」
「ふっ……やれるものならやってみ給え。今の私に敵うかな?」
両手に夫婦剣を呼び出す
「ふっ折角の聖夜に喧嘩とは愚かな」
「喧嘩は駄目だよ」
愚かな争いをしている2人を見て呆れている
「何故かシスコンと言われた様な気がするんだが……まぁいい。久しぶりだな零、俺を呼び出すとは何事だ?」
「あっ零だ、久しぶり」
「おう………今日はサンタさんに協力しようと思ってな。エミヤは赤いから、クーはエミヤとセットという事で。ルルーシュは12月生まれで、頭脳派。スザクは肉体労働担当なんで2人で1組と言う事で」
どうやらこの面子を選んだのには理由があった様だ。ただ、エミヤとクーフーリンの理由の所で愉悦顔をしてたのは見なかった事にしよう。
「零!テメェ絶対に楽しんでるだろ!その愉悦顔、言峰や金ぴかにそっくりだ!」
「気の性だ………と言う訳でお前達にも協力してほしいんだ」
「フッ……やっと私の時代がやって来たという事なのだな。ランサーと一緒と言うのは気に喰わないが、子供達の為だ我慢するとしよう」
エミヤはかつて扱いが酷かった【EP25.5参照】。やっと周って来た初めての出番なのでかなり張り切っている様子だ。
「俺はお断りだね!……っと言いたい所だが、子供達の為となりゃ話は別だ。いいぜ、協力しようじゃない」
そう言ってクーフーリンは笑みを浮かべた。
「それにしてもサンタクロースが本当に居るとは……いやだが、非現実的だ。空飛ぶトナカイとか、煙突から侵入するとか……大体、あのソリはどういう物理法則なんだ?(ブツブツ」
「へぇ~サンタクロースって本当にいたんだ。サンタさんのお手伝いか……僕は喜んで協力するよ!」
ルルーシュは何やらサンタさんの事を非現実的といい、空飛ぶトナカイやソリの物理法則を考え始めた。それと対照的にスザクはサンタさんが本当に居たことに驚きながらも協力する気満々の様だ。
「と言うわけで(パチッ」
零が指を鳴らすと4人の服装がサンタクロースの服に変わる。
「じゃ始めようか、子供達の笑顔の為に」
と言いながら、心の中では
(プレゼントを配りつつ!オーフィスや白音達のサンタ姿を記録する!フハハハハハ!)
半分くらいは自分の都合で動く零であった。
・登場人物
サンタクロース
殆どの人が知っているクリスマスに現れる、真っ赤なお鼻のトナカイさんとソリの共にやってくる赤い服のおじいさん。
本人曰く、子供達の願いと親の子供達の幸せを願う想いが形となって現れた存在らしい。
近年になり、サンタクロースを心から信じる子供達が減ってしまったことで存在が稀薄になっていた。力の殆どが失われていたので、ボロボロの老人の姿で現れた。
しかし零により、まだ自分を信じる子供達の手紙に籠められた想いや願いを受け、子供達の想い描く姿へと戻ることになった。
【ソウルコード】
・エミヤ
EP25.5の扱いからやっと出番が回ってきた弓兵。
投影魔術を使い、見た刀剣類を自分の心境世界に記録・保存する。
出番が回ってきたことと子供達の為に働けることで絶好調。ただ1つ気に食わないのがクーフーリンと一緒と言うこと。
・クーフーリン
因果を逆転させるゲイボルグの使い手。
生前の影響で犬と言われる事を嫌うが、零(や作者)、エミヤにはネタにされることが多い。
ルーンの使い手でもあるが、槍を持ってるので滅多に使わない。
近頃はエミヤと一緒にされることが多く、零の愉悦顔が何処ぞの神父や王と被って見えることが悩み。
「それにしてもますます、零が言峰や金ぴかと被って見えるぜ」
「まぁそうだな。私としてはどうでもいいことだか……まぁあの顔を見ていると無償に腹が立つな」
「あっ分かる!普段は澄ました顔してる癖に可愛いものの事となると目の色変えて豹変するよな。やっぱロリコンか?」
「まるでセイバーを追い回す英雄王の様だな。幼女趣味はどうかと思うがね」
「「ハハハハハハハハハハ」」
大いに笑う2人。仲がいいのか悪いのはよくわからない。
「ほぅ……」
「言いたいことはそれだけですか?」
2人の時間が止まった。そして、ぎこちなく振り返る。
そこには目の笑ってない笑顔浮かべた零とアルトリア(聖剣掲げ)がいた。
「【メモリーコード:王の財宝】」
「【エクスカリバー】」
そこでエミヤとクーフーリンの意識は途絶えた。
・ルルーシュ
とある世界で妹の為に大国を敵に回したシスコン。
絶対遵守のギアスを持っており、知能はかなり高い反面、身体能力はからかし。下手すれば子供にも負けそうな気がする。
零とは仲が良いが、ある事が絡むと零に対して強行手段をとろうとするが、最終的には精神的にも肉体的にもボロボロにされる。
・スザク
ルルーシュの親友。空気を読まないKY。
ルルーシュの相反して身体能力が人のそれを軽く越えており、知能はからかし、更に天然。
苦手な物は特にない。唯一、職場の上司の作ってくるこの世の物とは思えない料理だけは人外レベルの体を持ってしても受け付けない。
「それにしても僕達が呼ばれるなんて思わなかったね、ルルーシュ」
「ただ単に作者の思いつきだろう」
「そんな事言っちゃダメだよルルーシュ。世の中には数十話も放置されて出番がきた人もいるんだし」
「……それもそうだな。よし、初の出番だ。全力で子供達を笑顔にするぞ!」
「分かった!」
『子供達の為に頑張るルルーシュ様。その子供達に嫉妬するスザク様……「子供達だけじゃなく、僕も笑顔にしてよ」と迫るスザク様……そしてやがては…あっーーーーーーーーー』
何処からともなく、腐メイドの声がした。
「何だ!?今、変な声が聞こえてきたぞ!?しかも何か聞き覚えのある声だった!」
「そう?…ほらっ早くいかないと夜がおわっちゃうよ」
ルルーシュは気を取り直し、子供達の笑顔の為にスザクと共に聖夜を駆ける。
~お知らせ~
後編の投稿につきましては、今週中には投稿する予定です。