ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く 作:始まりの0
EP3 どうしようか?
~駒王学園~
さてこれは困った。俺は朝から絡んでくる鼻の下を伸ばした一誠の対処に困っている。「彼女ができた!」って喜んでいるのはいい、決して朝から何度も同じことを聴かされて、彼女は清楚だの、何だの聴かされて、鬱陶しいと思っている訳ではない…………少し鬱陶しいか。だか問題はそれではない。その相手だ、聞いた感じでは昨日見た女の事だろう。あの女は色々と問題だ。さてどうするか?友人が危ない目に合いそうになっているのを放って置くのは、あまり気分のいいものではない。
「おい!レイ!行ったぞ」
などと考えていると、現在、何をしているのかを思い出す。そう言えば体育の途中だったな、今してるのは野球だ。俺は音で後ろから何かが飛んでくるのを理解した。恐らくさっきの声からボールだろうと予想する。ボール何ぞに構ってる暇はないんだけどな。
俺は振り返りもせずにボールをキャッチすると、身を翻し、軽くホームベースにいるキャッチャーに向かい投げた。ボールは凄まじい速さでキャッチャーのミットに収まった。回りのクラスメイト達はかなり驚いている。
零はまるで他人事の様に、その場から去った。
~3年教室~
3年の教室に1人の赤い髪の少女がいた。彼女はリアス・グレモリー、整った美しい顔だちとその性格、貴族のような立ち振舞い、文武両道から「駒王学園のお姉様」と男女共に人気のある生徒だ。
「なっ!?」
普段は真面目な筈のリアスが、急に立ち上がった。
「ぐっグレモリーさん、どうかしましたか?」
「いっいぇ……なにも」
教師がリアスが急に立った事に驚き声をかけるが、直ぐに席についた。
(さっきのあの男子生徒何者かしら……明らかに見えて居なかった筈のボールを受け止めるなんて。それにあの距離を1回も地面につける事無く、あのスピードで投げるなんて……少し調べる必要がありそうね)
心の中で静かにそう考えると、再び授業へと意識を向ける。
~日曜日 夕方~
夕暮れ時の公園に1入りの少年と1人の少女がいた。1人は一誠、そしてもう1人は一誠の彼女だろう。どうやらデートの帰りに立ち寄ったらしい。
「ねぇ、一誠くん。お願いがあるの」
顔を赤く染めながら少女は一誠にそう言った。
(こっこの展開は……もっもしかしてきっキス!?)
そんな事を想像している一誠だが、この後の言葉で一変する。
「死んでくれないかな?」
「えっ?もう1度言ってくれないかな?何か聞き違いたみたいだから」
現実を受け入れられない一誠に追い打ちをかける様に、少女は言葉を放つ。
「死んでくれないかな?」
そう言うと、少女は背中から黒い翼が生える。そして彼女の雰囲気が冷たい物に変わる。
「楽しかったわ、貴方と過ごした日々。初々しい子供のままごとに付き合えた感じだったわよ」
少女はそう言うと、手に光の槍を形成すると一誠に向かい投げる。その槍は一誠の腹部を貫いた。
「えっ……嘘だろ…ごふっ」
一誠は口から血を吐き、そのまま倒れた。そして一誠は薄れゆく意識の中で聞き覚えのある声を聞いた。
『それは頂けない、一応友人なんでね』
「取り敢えず止めを刺すとしましょうか」
「それは頂けない、一応友人なんでね」
少女は、再び槍を形成する為に手を上げようとしたが、声がすると翼を羽ばたかせその場から飛び上がる。そして先程まで居た場所に赤い閃光が走る。
「何者だ?!」
「唯の通りすがりでそこで死にかけている奴の友人だけど?」
そこに現れたのは銀色の髪と赤と金の瞳を持つ少年、一誠の友人でもある零だった。そしてその手には巨大なライフルがあり、カートリッジを排出する。
「堕天使か………全くこの街にはどれくらいの奴等がいるのやら」
零は光の槍で腹部を貫かれた一誠を見る。
「瀕死状態か………取り敢えず、あの鴉を何とかしてからか」
零は堕天使にライフルを向ける。
「【
「此奴は
「ふざけるな!!何者か何てどうでもいい、死ね!」
堕天使は光の槍を零に向かい投げつけるが、何処からか飛来した緑色の光を放つX字型パーツの付いている、白い盾に防がれる。
「なっ!?」
「じゃあ、さようなら」
ライフルの引き金を弾くと銃口から赤い閃光が放たれた、閃光は先程の堕天使を包み込む。
「チッ……転移で逃げたか。まぁいい、あの程度の奴は何時でも潰せる」
零はそう言うと、手に持っていたライフルが消えた。それと同時に飛来してきた盾も消える。
「さて………って、あぁ……これは面倒な事になるパターンだな」
零は一誠の方を見ると、一誠の傍に赤い髪の少女が立っていた。しかも少女は零の方を見ていた。
「(一誠の怪我が治っている。いや違うな、人間ではなくなったと言う事か。まぁアイツが人間に戻りたいと言うなら手助けしてやるか)面倒な事になる前に去ろう………」
その場から去ろうとするが
「待ちなさい、天王理 零」
「チッ………」
零は声を掛けられた事で舌打ちすると、面倒そうな表情をして振り返る。
「俺は忙しいので帰らせて貰う」
「話を聞かせて貰うわよ、さっきの力の事も含めてね」
「お断りします。俺は暇じゃないんでね、話しなら明日にでもしてくれ。早く帰らないと腹を空かせている奴等がいるんでな」
黄色い光が零を包み込むと、その場から零が消えた。
~翌日 駒王学園~
「ふぁ~眠い……しかも全身痛いし」
何やら顔に猫に引っ掻かれた様な傷や何かに噛まれた様な傷がある零。どうやら全身に傷があるらしく、痛みがあるらしい。
「少しいいかな?」
金髪の男子生徒が話し掛けてきた。
「誰だ(悪魔の気配がするなこいつ)?それに一誠まで」
「よぉ……なぁ木場なんで天王理も呼ぶんだ?」
「部長…リアス・グレモリー先輩に言われてね。付いて来て貰えるかな?」
「仕方ない……」
「「きゃ~木場くんが、天王理くんに声を掛けてる」」
「でも何で、あの変態の兵藤まで!?」
「まさか、天王理×兵藤×木場?!」
「兵藤をかけての勝負?!三角関係!?」
などと何やら女子達が騒いでいるが、3人は直ぐに教室を出て行った。
~旧校舎 オカルト研究部 部室~
「で……此処は何処だ?」
「オカルト研究部…通称オカ研の部室よ」
零は目の前に座っている赤い髪の少女リアス・グレモリーを見た。
「それじゃあ説明するわね」
此奴は魔王からこの地の管理を任せれており、最近になって堕天使や主のいないはぐれ悪魔が多くなってきた。この間のはその堕天使の1人だそうで、一誠を狙った理由は一誠の身に宿る
確か本棚で見たな、一誠のは【
此処にいる、このオカルト研究部の部長リアス・グレモリー、黒髪の少女・姫島朱乃、金髪の少年・木場祐斗、一誠の背中から蝙蝠の様な翼が生える。
「それで俺を呼んだ理由は?」
黙っていた俺は、早く要件を済ましたい為に発言する。
「
「唯の一般人」
「嘘よ、唯の人間が堕天使を圧倒できる訳がない。それに貴方の持っていたあの武器、
「そうなのか天王理!?」
一誠は零が自分と同じ力を持っているのかと思い詰め寄る。
「答えはNOだ。俺は
「未だよ。普通の人間に堕天使を圧倒するなんてありえない、何か未知の力を持つ人間。そうね、貴方も話したくない事もあるだろうから今は言わなくてもいいわ。ねぇ、貴方私の眷族になるつもりはない?」
「全くない」
即答だった。予想外の答えに驚いているオカ研の部員たち。
「何言ってんだ!天王理!さっきの聞いてたろ!悪魔になって、力を付ければ下僕を持つ事ができるんだぞ!?そしたら、あんな事やこんな事を命令し放題なんだぞ!?可愛い下僕にはどんな事でも命令できる!!最高じゃないか!」
何やら息を荒くしながら熱弁する一誠。全くこいつの頭の中はエロだけで構成されているんじゃないだろうかと思う。
「俺は誰かに仕える事なんてしない。それに………まぁそうだな、何なら実際に試してみるといい。俺を悪魔にできるかどうかをな」
「それは自分が悪魔にはなれないって事かしら?」
「そう言う事だ。仮に俺を悪魔に出来たら、お前の下僕だろうが、執事だろうがやってやるよ」
「へぇ……面白い、ならなって貰おうかしら」
リアスは赤いチェスの駒を出す。これは
リアスは駒の中からナイトの駒を出すと零の胸に当てる。だが駒は零に触れた瞬間に「バチッ!」という音と共に弾かれた。
「「「「えっ!?」」」」
「残念でした。俺は昔からこういう類の物は効かないんでね」
俺は昔から、こういう悪魔やら天使の契約とか絶対に効かない。何故なら俺の母様がそうしているからだ、その昔、俺が幼い頃の話だ。母様と俺はとある世界に出掛けた、その世界で色々とあって母様と逸れてしまった。その頃は身を守る術も殆ど持っていなかった。ただ純粋な力だけを身に宿していたけど、まぁそれが原因でその世界の邪神に取り込まれそうになった。
俺はその時は何もできなくて、取り込まれそうになっていたが母様が現れて助けてくれた。それから母様は過保護になって大変だったな。それは置いておいて、取り込まれそうになった事でそんな事が絶対に無い様に色々な力を与えてくれた。だからこういうのは効かないのだ。えっ?その邪神はどうなった?叔父上と伯母上もやってきた3人で邪神を消滅させたそうだ。
「まさか……そんな事が……」
「さて……かえr『ドガッ』」
突然、扉から鈍い音がすると皆はその方向をみる。扉にヒビが入り砕けると、そこには白音が立っていた。
「結界は壊しました」
「アレは?!塔城白音ちゃん!?何で此処に!?」
「白音、学園では目立った行動はするなって言った筈なんだけど?」
「匂いを追って来たら此処について、結界が張ってあったから何か在ったものかと思って」
どうやら白音は零を心配して、匂いを追ってきたらしい。そして白音は辿り着いた所に結界があった、匂いは此処で途切れている。と言う事は零は此処にいると思い安否を確かめる為に結界を壊したそうだ……拳で
「何もないよ。取り敢えず扉は直そうね」
「はい」
白音が手を翳すと、魔法陣が浮かび扉が何もなかったかの様に元に戻る。
「これはまさか……仙術?」
リアスは白音が行った事をみてそう呟いた。
「へぇ……仙術を知ってるとは……まぁいいや。白音、まずは自己紹介を」
「塔城白音……」
白音は零の横に来ると、名前だけを名乗り黙った。
「彼女は何者なの?」
「俺の家族、それ以上でもそれ以下でもない。話が終わったなら帰らせて貰いたいんだけど?」
「………では最後に1つ、私の協力者になってくれないかしら?」
「協力者ね……俺はお前達に干渉しない、お前等も俺に干渉しない。それでいいだろう?」
「そう言う訳にはいかないわ。唯でさえ堕天使や逸れ悪魔が多い。それに貴方達の力にも興味があるけど他の勢力に渡るのを防ぐのが一番の目的ね」
「断る。お前等に協力するつもりはない、俺は俺にとって大切な物を守る為に動く。これまでも、これからもね。俺の邪魔をするなら、誰であろうと排除するし邪魔をしないなら関わらない。それだけだ」
零はそう言うと、立ち上がり扉に向かって歩いていく。白音は勿論、その後ろにぴったりと着いていく。
「まぁ………友人が困っている時は少し手を貸してやってもいい」
そう呟くと先日の様に黄色い光に白音と共に包まれ、その場から消えた。