ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

49 / 110
EP42 ぶつかる思い

 ~駒王学園 上空~

 

 かつて神、魔王、堕天使の三大勢力が協力し、最終的には零に封印された二天龍の片割れにして白き龍の皇……白龍皇アルビオンが宿る神器(セイグリッド・ギア)白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)を所有する旧魔王ルシファーの血を引くヴァーリ・ルシファー。

 

 そのヴァーリに相対するのは、地球を人類を守護すべく造られた超機人の鎧を纏う、この世界の太陽神・天照の息子の零。

 

 その戦いは凄まじい、大天使ミカエル、魔王サーゼクス、魔王セラフォルー、堕天使総督アザゼルでさえもその戦いを見て唖然としている。恐らくこの2人の間に入れば神であっても無事では済まないだろう。

 

 アザゼル曰くヴァーリは過去・現在・未来において歴代最高の白龍皇と言われている。だがそのヴァーリでさえも零に手玉に取られている。

 

 

「このぉ!!」

 

 

「フハハハハハハ!ほらっ!こっちだ!こっち!」

 

 ヴァーリは常人では捉える事のできない速度で接近し攻撃を繰り出すが、その攻撃が零に当たる事はない。零はヴァーリの攻撃が当たる瞬間にヴァーリの後ろに移動していた。

 

 

「くっ!速い………」

 

 

「ハハハ、そんなので俺に勝てないよ。じゃあこんなのはどうだ?『九天応元…雷声普化天尊!【破】!』」

 

 1枚の術符を取り出すと、ヴァーリに向かい突きだした。すると術符より雷が放出され、それがヴァーリに直撃する。

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 雷を受け、ヴァーリの纏っていた白龍皇の鎧が砕け散る。ヴァーリは肩で息をしながら浮いているのがやっとの状態の様だ。

 

 

「くっクフフフ………」

 

 ヴァーリは満身創痍の状態ではあるが、直ぐに断罪の間(ジャッチメント・フィールド)の効果により傷は治癒していく。そんな状態なのだが何故か笑っている。

 

 

「おいおい、傷付いて喜ぶなよ。端から見たら俺まで変態の仲間だと思われるだろうが」

 

 

「えっ、零も変態じゃないの?」

 

 ヴァーリは零の発言に驚いている。

 

 

「だって零って……オーフィス、白い猫のロリっ娘を家に置いてるなんてロr「それ以上言うなら本気で潰す………2人は家族だ、そんな目で見たい事は………………ない……うん、ない」今のは気になるけど、まぁそう言う事にしていてあげるよ」

 

 ヴァーリはそう言うと傷が完治したのか直ぐに禁手(バランス・ブレイカー)化する。

 

 

「このフィールド内では傷は治るが、疲労やダメージは蓄積しているんだけどな……はぁ………さっさと疲れて倒れてくれれば終わるんだけど………俺も今日は疲れてるから、一気に終わらせる」

 

 零はそう言うと、龍王破山剣を構えて背にある雀王機の翼を広げると全身から凄まじい力が溢れる。

 

 

「!?……フフフ、まだ力が上がるのか。本当に面白い!……ん?」

 

 ヴァーリが再び攻撃を繰り出そうとした瞬間、2人は会談室の方向を見た。会談室の方から赤いオーラが溢れているのを確認した。

 

 

「この力……一誠か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~会談室 一誠side~

 

 

 凄ぇ…………何でだろう、凄く身体の奥が熱い。

 

 あの2人の戦いを見てたら、無性に零と戦いたいと心から思っている俺がいる。

 

 何でなのかは分からない、でも零のあの力を、あの強さを見たら俺の中の何かが高ぶってる。何時もの女子更衣室を覗いたりする時とは違う高ぶりがある。

 

 コレが何なのか……なんてどうでもいい。今はそんな事よりも………。

 

 

 《ほぅ……相棒、漸く気付いた様だな》

 

 

 ドライグ?

 

 

 《相棒は今まで気付いてなかったんだよ。前に奴とコカビエルと戦った時も今と同じ状況だったろ?》

 

 

 そう言えば………そうだった様な……

 

 

 《それはお前が奴に……天王理 零の強さに憧れている、そして奴を越えたいと思っている。例え敵わないと分かっていても、お前は奴との戦いを望んでいる》

 

 

 俺がレイに憧れている?……確かにアイツの強さを見たらそれを越えたいと思った。

 

 

 《ならば何を迷う事がある?》

 

 

「ぁあ!!クソッ!!!……確かに友達と戦うのは気が引ける!でも俺はそんな事はどうでもいい!俺はアイツと戦いたい!理由なんてどうでもいい!」

 

 

 《そうだ!相棒!それでいい!俺は相棒が望むのであれば助力は惜しまん!Boost!》

 

 一誠は左手に赤龍帝の篭手(ブースデッド・ギア)を装備すると、力を倍加させる。

 

 

「イッセー?!どうしたの!?」

 

 

「部長!すいません!俺、レイと戦いたいです!理由なんてありません!でも理由がなくても戦いたいんです!」

 

 

「何を言ってる!?そんな事、ダメよ!見たしょう、天王理のあの力!あんな化物みたいな奴と戦うなんて危険よ!」

 

 リアスが言うのも無理はない、歴代最高の白龍皇と言われたヴァーリが手玉に取られている。なのに歴代最弱の赤龍帝である一誠が加わったとしても勝ち目など微塵もない。

 

 

「いっs「おい小娘」」

 

 リアスは強引にでも一誠を止めようとするが、圧倒的な神聖な力を纏った刃を喉元に突き付けられ動きを止めた。

 皆がリアスの方を見ると、そこには剣を持った素戔嗚が立っていた。その顔は怒りに満ちている。

 

 

「今、なんて言った?……家の可愛い甥っ子が『化物みたい』だと?」

 

 素戔嗚の持つ剣、それは神剣・天羽々斬。元は素戔嗚の父親である伊弉諾が火の神を斬り、素戔嗚が邪神・八岐大蛇を斬った剣で神殺しの力を宿している。それが今、リアスの喉元に突き付けられていた。その理由はリアスが言った言葉が原因だろう。

 

 大天使や魔王達さえも恐怖するほどの力を持つ零、リアス達からすれば化物の様なものだろう。人であっても、天使であっても、悪魔であっても未知の圧倒的な力を存在を前にすれば、恐怖でそれが自分達と同じ姿をしていても化物の様に見えるだろう。

 

 だがそれをこの世界で誰よりも零を愛する3柱の前でそれを言ったのは間違いだった。零自身に言えば本人は気にしないだろうが、零を自分の命より大切に思っている3柱の神にとってはリアスの発言は決して許せるものではないだろう。

 

 先程まで話しをする時以外は笑みを絶やさなかった天照でさえも怒りを顕にし、太陽神の光を放っている。月読もまた神の力を放っている。

 

 リアスは神々の殺気により全くと言っていいほど動けないでいる。天使や魔王達でさえもその力を前にして動けないでいる。

 

 

「小娘、お前が零の事をどう思っても構わない。心の中で思っていれば未だしも、口に出した………可愛い甥っ子を化物呼ばわりされて黙ってられるかよ」

 

 素戔嗚の天羽々斬の握る力が強くなると、刀身から神の力が溢れ出した。

 

 

「その命で贖え……小娘」

 

 素戔嗚がそう言うと、天羽々斬を振り上げ一気に振り下ろした。サーゼクスは妹を助けるべく動き出すが、既に時は遅い。

 

 《ガキィン!》

 

 鉄と鉄のぶつかる事と共に、素戔嗚は驚いた表情をしている。

 

 

「全く何をしているのですか叔父上?」

 

 天羽々斬を止めていたのは、リアスが化物と呼んだ真・龍虎王を纏った零だった。

 

 

「全く……叔父上達の神気を感じたかと思えば………折角、母上が穏便に話し合いで終わらせようとしているのに……魔王の妹を殺そうなんて………俺的にはどうでもいいですが……叔父上がこの女を殺せばそれこそ、日本神話体系と悪魔の戦争ですよ。それは母上の本意でもありませんしね……って母上、月姉までなんで顔を逸らしてるんです?」

 

 零はそう言いながら天照の方を見てみると、天照と月読が顔を逸らしていた。

 

 

「いっいえ……そうですね。戦争は避けたいですね(可愛い息子を侮辱した様な輩と戦う事はやぶさかではなかったなんて零の前では口が裂けても言えません。そんなの嫌われてしまいます)」

 

 

「あっあぁ……うん、そうだな(危ない、危ない。可愛い零を馬鹿にした奴とその種族を塵も残さず滅してやろうなんて、零に知られたら嫌われてしまう所だった)」

 

 どうやら2人とも零を侮辱したリアスとリアスの属する悪魔勢力を滅ぼすのを本気でやろうとしていた様だ。2人はその様な事を考えていたなどと零に知らたくなかった様で顔を逸らしていた様だ。

 

 

「はぁ………叔父上の事だから、多分俺の事を『化物』やらなんやら言ったから怒りに任せて斬ろうとしたんでしょう?」

 

 

「ぅう……ごめんなさい」

 

 素戔嗚は零からの圧力に負けて、その場に正座した。

 

 

「俺的には黒歌や白音の事も在りましたから……悪魔を一匹残らず、滅してやろうとも思いました……特にこの女は…まぁ…叔父上も俺の事を思って怒ってくれたんでしょうけど………」

 

 零はそう言うと一旦区切る。

 

 

「でも!叔父上は日本神話の頂点の一角なんですからもう少し考えて行動して下さい!」

 

 

「はっはい……」

 

 零の言葉に消沈している素戔嗚。どうやら零に嫌われたと思った様だ、今にも手に持つ天羽々斬で自害しそうな雰囲気だ。

 

 

(零に嫌われた……嫌われた……嫌われた……小さい頃の零との思い出を胸に死のう)

 

 どうやら雰囲気だけでなく、本気の様だ。

 

 

「はぁ………まぁその…………『ありがとうございます……父上』(ぼそっ」

 

 その様子を見て零は素戔嗚の横を通り過ぎる時にそう囁いた。それを聞いた素戔嗚は絶望の表情から幸せそうな笑顔に変わる。

 

 

「まぁ…この女を殺すなら俺がしますよ」

 

 零はリアスの方を見て、そう言った。リアスと周りの者達はその言葉の意味が全く分からなかった。これまで零はオカ研に顔を出している、故にリアスがどう言う性格なのかも理解できている筈だ。

 

 

「フン、全く理解できていない顔だな。だったら教えてやる(シュ」

 

 零はへたりこんでいるリアスを見下ろした。零は真・龍虎王の龍王機の尻尾を伸ばしリアスの首を絞めると身体を持ち上げた。

 

 

「俺は此奴を消す。今日、改めて理解したよ。此奴はにギャスパーは任せられない。だが此奴に何と言った所で簡単には渡さんだろうからな………それに気に喰わない事もあるしな」

 

 その眼は本気でリアスを殺そうとしている。迷いなど一切ない。サーゼクスはそれに気付くと自分の滅びの魔力を全身から放ち、それを零に向けて放った。

 

 

「無駄だ」

 

 真・龍虎王の左肩に装備されていた武王機の甲羅・武鱗甲の盾が分裂しサーゼクスの滅びの魔力を防いだ。

 

 

「なっ!?」

 

 

「はぁ………『止めろ!レイ!!』《ガァン!》ほぉ……一誠か」

 

 武麟甲の1枚が背後から殴り掛かって来た一誠の拳を防いだ。

 

 

「止めろレイ!部長を離せぇぇぇ!」

 

 《Boost!》

 

 

「邪魔だ、退いていろ。俺は此奴が気に入らない……だから消す。俺の都合でな」

 

 

「どう言う事だよレイ!何で部長を殺そうとするんだよ?!」

 

 《Boost!》

 

 一誠は更に力を倍加させるが武麟甲は微動だにしない。

 

 

「理由はギャスパーを苦しみを理解しなかったこと、眷族は家族、愛していると言いながら何もしなかったこと。それはギャスパーだけの事だけじゃない。そこにいる木場祐子の事もそうだ。此奴はな、眷族を家族とか何とか言っているくせに何もしない、外から隔離し護る事で家族を守ったなどと言う悦に浸っているだけの愚かな小娘だ。それに此奴はお前等の苦しみを分かったつもりでいるが、理解しようとなど微塵もしていない。ただの1人善がりだ」

 

 零はそう言いながら徐々に首を絞める力を強くしていく。

 

 

「ふざけんな!ふざけんなよ!そんな事ねぇ!部長は何時も俺達の事を第一に考えてくれてる!」

 

 

「それはどうだろうな?」

 

 

「そうなんだよ!部長は何時だって優しくて!俺達の事を見てくれている!」

 

 

「ならば聞こう、何故この女はギャスパーが力をコントロールできないと言うだけで、この会談に連れて来なかった?」

 

 

「それはギャスパーの力が暴走したr「会談ができなくなる?」そうだ」

 

 

「あぁそうかもな。だがその性で今回、ギャスパーは利用された。例えついこの間まで厳重に護っていたとしても何か在るかも知れないと考えるべきだったんだ。そうすれば対抗策をたてる事はできた、なのに此奴はしなかった。暴走?危険?それこそふざけるな、それをどうにかする為に助力するのが家族の役目だ。なのに此奴はどうだ?ギャスパーが外に出たがらない事を良い事に何もしなかった。それどころか、あのままだったら他人にでも任せてただろうさ」

 

 零は淡々とそう言う。

 

 

「確かにそうかも知れないけど!部長には部長の考えがあるんだろう!?」

 

 

「はぁ………だったら一誠。示してみせろ、お前達の言うグレモリー眷族の愛とやらをな。おい、アザゼル!」

 

 

「えっ?俺?」

 

 アザゼルは突然声を掛けられて驚いている。

 

 

「お前が作った神器の力を抑える腕輪を一誠に渡せ。流石にこのままじゃ相手にもならん………一誠、もしお前が俺にグレモリー眷族の愛とやらを認めなせねば俺は此奴を殺す。誰が何と言おうとな……此奴はな、機会があれば白音やアーシアを自分の眷族にしようと狙ってたんだ、それだけでも俺は腹が煮えくり返す思いだっただよ」

 

 そう言いながらリアスを離す。だが何故零はリアスがアーシア達を自分の眷族にしようと考えていたのか分からない。

 

 

「そっそんな事ないだろう……部長がそんな」

 

 

「いいや……絶対そうだ。アーシアと白音を見る時の眼……特にコカビエルとの戦いの後……‥2人の事を何時か引き入れてやろうという目をしていた。どうせそのまま俺を自分達の元に引き入れようなどと考えていたんだろうな」

 

 そう言われてリアスは顔を伏せている。リアスはそう言われた事に心当たりがあったから。できれば白音達を自分の眷族にし、零を通じ日本神話との交渉しようと考えていたのだ。

 

 

「ぶっ部長……本当なんですか?」

 

 

「そっそれは……えぇ…‥彼女達の力を見て私の眷族になってくれればとも思ったわ」

 

 一誠はリアスの言葉に驚く。まさかリアスがその様な事を考えているなんて思っても居なかった様だ。

 

 

「フン………じゃあ一誠、外に居るぞ。本気でやるなら来い……だが俺の前に立つなら死ぬ覚悟はしておく事だな。俺は加減などせんぞ」

 

 零はそう言うと翼を広げ外に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~零side~

 

 

 これで準備は整った。

 

 後はアイツ次第だけど………俺はリアス・グレモリーが気に喰わん………白音達の事も、ギャスパーの事にしても。

 

 だから思い知らせてやろう。

 

 お前達のその愛とやらが通用するのかをな。

 

 




~次回予告~


リアスの命を護る為に立ちあがった赤龍帝・一誠。

魔王の血を引く力を求める歴代最高の白龍皇・ヴァーリ。

その2人に相対するのは世界守護せし超機人を纏いし、原初の神の子・零。


一誠はリアスの命を守る為に、圧倒的な力を持つ零に立ち向かう。

だが零は突然にもリアスの命を奪おうとしてのは本当に白音達やギャスパーの事が原因なのだろうか?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。