ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP39 旧校舎を駆ける一角獣

 ~旧校舎~

 

 

「ふぅ……さて此処か」

 

 ユニコーンガンダムを纏い、零【分身】はギャスパー救出の為に旧校舎にあるオカ研の部室に向かっていた。

 

 

「なんだ貴様は!?」

 

 部室に向かう途中で魔術師共に出会った。俺は邪魔だったのでビームマグナムで一掃した。魔術師達は悲鳴を上げていたがそんな事はどうでもいい。俺は此奴等を許さない、ギャスパーを道具として扱ったこのクズ共だけは生かしてはおかない。

 

 

「ん……半身の奴。【断罪の間(ジャッチメント・フィールド)】を使ったか。丁度良かった、ビームマグナムで廊下がボロボロだし」

 

【半身】の使用した【断罪の間(ジャッチメント・フィールド)】の力を感じ取った零【分身】は先程のビームマグナムの一撃で廊下が焼け焦げている惨状を見てそう呟いた。

 

 

「まだいたか……」

 

 廊下の奥の方からやって来た魔術師達を見てそう呟くと、左手を前に翳す。すると周りに浮いていたシールドが零【分身】の前に出ると、装備されているガトリングが回転を始めた。

 

 

「シールドファンネル。撃て」

 

 シールドファンネルのビームガトリングから無数のビームの弾丸が放たれた。それを受け魔術師達は倒れていく。零は倒れている魔術師達を気にもとめずオカ研の部室に向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~オカ研 部室~

 

 

「どうやら作戦は順調にいっている様だな」

 

 魔術師達は拘束しているギャスパーを眺めながら時間停止の結界がうまく働いている事に満足している様だ。

 

 

 《ブゥゥン……スパッ!ガラッガラッ》

 

 

「なんだ?!」

 

 魔術師達は音のした方向、扉の方を見てみると、扉には幾つもの赤い線が入っており、扉はバラバラになって崩れた。扉の向こうには腕部に装備されているビームトンファーを構えている零【分身】が立っていた。

 

 

「ふぅやっと着いた………ビームマグナム、1カートリッジ分使いきっちまったか。よいしょっと(ガチャン」

 

 ビームトンファーのビームを消し収納する。そして右手にあるビームマグナムのカートリッジを使い切った事を思い出すと腰に装備されているカートリッジを手に取るとカートリッジをビームマグナムに装填する。

 

 

「さてと……」

 

 零【分身】はユニコーンを解除すると、自分の脚で地に足を着ける。

 

 

「ようギャスパー、怪我はないか?」

 

 

「てっ天王理先輩……ぐっ……ぅう」

 

 零【分身】は魔術師達を睨みながら、部室を見回した。すると床に落ちている壊れた眼鏡をみつけた。それは零がギャスパーに渡した『魔眼殺し』の眼鏡だった。

 

 

「此奴を掛けてりゃどんな事があってもギャスパーの魔眼は封じられる筈だったんだが……こういう事か」

 

 零【分身】は落ちている『魔眼殺し』を拾い上げると、『魔眼殺し』に手を翳すと光と共に『魔眼殺し』が修復される。それを懐に仕舞うとギャスパーの方を向いた。

 

 

「うぅ………天王理……先輩……ボクを……ボクを殺して下さ…い」

 

 

「はぁ……何言ってんだ?」

 

 

「だってボクが……ボクが居るから……こんな事に」

 

 ギャスパーは今回の事件を自分の責任だと思い、自分を殺せと言いだした。だが零はそんな気など全くない。

 

 

「阿呆……お前は何も悪くない。悪いのは此奴等だ」

 

 

「なに?!ふざけるな!この出来そk《キュィィィィ……ズガガガガッ」

 

 ギャスパーを出来損ないと言おうとした魔術師はシールドファンネルのガトリングによって蜂の巣にされた。それを見て他の魔術師達も零【分身】に攻撃しようとするが先にシールドファンネルのガトリングで一掃された。

 

 

「ギャスパー、お前は本当にこのまま何もせず死んでもいいのか?」

 

 

「でっでもボクのせいで……ボクなんて居ない方が」

 

 

「はぁ……あのなぁ。初めから力を完全に扱えるなど思うな、俺だって血反吐を吐いて、地に伏してやっとこの力を手に入れたんだ。死ぬかと思う事だってあった………だがお前は未だ始まってないだろう」

 

 

「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 お前は未だ始めてすらない。まだその長い道のりの一歩すら踏み出していない。それはお前が恐怖しているからだ。

 

 今まで己が味わってきた苦しみを、また味わうのを避けているのだ。

 

 そうだ、確かに苦しい。受けた苦しみは、哀しみはまた受ける等俺だって考えたくはなく。

 

 そこで止まっていては苦しみも悲しみも受ける事はない。それに死すればそれらを永遠に受ける事はない。

 

 だがそこで止まっていれば何も始まらない!!

 

 お前も怖いだろう、再び苦しみを味わうのは………しかしお前は本当にそれでいいのか?

 

 本当にそれで……此処で終わってのいいのか?

 

 本当にそれでお前は……母に胸を張って会えるのか?

 

 

 

 

 

 

「おか…あさ……ん………」

 

 ギャスパーは夢の中の母アスティアの言葉を思い出した。

 

 

『泣いたっていい……転んだっていい……そしたらまた立ち上がればいいんです』

 

 

『例え弱くたっていい、泣いてもいい、貴方が元気に生きていてくれれば』

 

 

『例え姿は見えなくとも私はずっと貴方を見守っています。愛していますよ、私の愛しい子、ギャスパー』

 

 

「ボクは……ボクは」

 

 

「お前は自分で立ち上がれる。何故ならお前は……」

 

 

「ボクだって……ボクだって!望まれてたんだ!それにお母さんは言ってくれた、ボクの事を愛してるって……だから!だからボクも頑張るんだぁ!!」

 

 ギャスパーは自分の為に、自分を愛したくれている母の為にも立ち上がることを決意する。そしてギャスパーの両目が輝くと同時に辺りの時間停止が解除された。

 ギャスパーを拘束していた魔方陣が砕けると、そのまま倒れそうになるが零がそれを抱き留めた。

 

 

「見事だったぞ、ギャスパー………今は眠れ」

 

 零はそのままギャスパーを抱えると、天照達が待つ会談室へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~会談室~

 

 

「あらっ時間停止が解除されたみたいですね…………あちらの方は上手くいった様で安心しました」

 

 天照は時間停止が解除された事で周りを見回す。

 

 

「いっ一体これは何がどうなって」

 

 動き出した一同は現在の会談室の状態を見て唖然としている。壁と天井には大きな穴、部屋は瓦礫だらけ、外には魔術師達の亡骸が在り、敷地の殆どが消滅している。

 

 

「こっ校舎が……グラウンドが………お姉様!一体何をしたんですか?!何が原因で煌めかれたんですか?!」

 

 

「えっ!?ソーナちゃん、酷い!お姉ちゃんじゃないよ!」

 

 

「えっ……あぁそうですか。お姉様がしたものかと……お姉様以外でこんな事をするのはって……なんですかあれ?」

 

 ソーナはどうやら外の有様はソーナがした事だと思った様だ。だがそうでないと分かると直ぐに謝罪した。そして空では残った魔術師達を倒している悪魔の様な翼を生やした深紅の鎧を纏う者の姿だった。

 

 

「アレは伝説の戦士さんよ、ソーナ」

 

 

「へっ?」

 

 ソーナはリアスが零だと言うと、唖然をしている。

 

 

『フハハハハハハハハハ!!!雑魚共がぁ!!』

 

 これまでソーナが見た零の戦いは、空で戦っている者とは戦い方が全く違っていた。それに性格も変わり過ぎている。

 

 

「まぁ気持ちは分かるけど………」

 

 

『戻りました、母様』

 

 皆が振り返ると、そこにいたのはギャスパーを抱えた零だった。

 

 

「ギャスパー!?」

 

 リアスはギャスパーの身を案じて直ぐに近付こうとするが、零に睨まれて動けなくなる。零はそれを確認すると、机の上にギャスパーを寝かせた。

 

 

「気を失っているだけだ………」

 

 零は一度、ギャスパーの頭を撫でると懐から魔眼殺しの眼鏡を取り出すとギャスパーに握らせた。そして直ぐに空を見上げる。

 

 

「さて……そろそろ戻らねば。暴れすぎたっての……気持ちは分かるが……」

 

 零は地を蹴り、空に居る【半身】の前まで上昇した。

 

 

「おぉ我が【分身】よ……終わったか?」

 

 

「あぁ【半身】よ。終わった、ギャスパーも無事だ……それにこの時間停止を解いたのはアイツ自身だぞ」

 

 

「ほぉ……それは上々……我としてはもう少し楽しみたいが……もう今の状態ではこれが限界だな。戻るとするか」

 

【半身】はそう言うと、ソウルコードを解除し、現れた時の様にその身を闇と化す。

 

 

「では戻ろうぞ」

 

 

「あぁ、戻ろう」

 

 闇と化した【半身】は【分身】の身体へと吸い込まれていく。そして再び【分身】と【半身】は1つとなった。

 

 

「ふぅ………ん~。ぁ~身体が怠い……やっぱ魂と身体を2つに別けるのは疲れるぜ。疲れてるんだから止めて欲しいんだがな。ヴァーリ」

 

 零が振り返るとそこにいたのは白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)を広げたヴァーリの姿だった。


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