ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP33 ギャスパーの闇

 ~真っ暗な闇の中~

 

 ボクは生まれついて呪われている。だから生まれちゃいけなかったんだ。

 

 なんでボクはこんな力(邪眼)を持って生まれたんだろう?

 

 父様も使用人の皆も僕は呪われていると言った。他の吸血鬼達(みんな)もボクを忌み嫌っていた。ボクの母さんが人間だから、ボクが吸血鬼と人間の子供だから。

 

 人間には停止邪眼(この眼)の性で気味悪がられた。吸血鬼からは混血だから忌み嫌われた。ボクの居場所なんて何処にもない。

 

 でもそんな時にリアス部長に出会った。リアス部長はボクに居場所をくれた。でもボクは臆病だから部屋から出る事ができなかった。

 

 ちょっとした事で脅えて力が暴走しちゃう。それで多くの人に迷惑を掛けてしまう。だからボクは生まれちゃいけなかったんだ。

 

 このままずっと眠っていたい。そうすれば嫌な事も、辛い目に合わなくて済む。

 

 

 

 

 

【全くこの宿主は……この俺を宿していながらそんな弱気なんて何を考えてるんだ?】

 

 黒い人の形をした闇がボクに話し掛けてきた。

 

 

【本来なら俺はまだ寝てる筈なんだったけどな。あの次元の違う奴の力の性か?取り敢えず少し俺の好き勝手にやらして貰うぜ】

 

 黒い闇がボクの身体を包んでいく。段々と意識が遠のいていく。

 

 

『テメェの出番のもっと後だ!』

 

 突然、現れた「伝説の戦士:天王理 零」が現れて闇を素手で捕まえる。

 

 

【なんでお前がギャスパーの精神世界(此処)にいるんだよ!?っていうか何者だよ?!】

 

 

「うるさい!黙れ!感動の再会なんだ!お前はお呼びじゃないんだよ!さっさとギャスパーから離れろ、さもないと………殴るぞ(消すぞ)?」

 

 

【えっ?!なに、俺だけ?俺だけなのか!殴るぞじゃなくて消すぞって聞こえたぞ!?】

 

 

『もう1回言うぞ。うるさい、黙れ。次は本当に消すぞ?』

 

 零は闇を掴んでいる手から聖なる光を出し始めた。闇は光によって浄化され始める。

 

 

【えっ……あっ……はい、ごめんなさい。黙ります……黙りますから!その光、止めてぇ!!痛い!その浄化の光!痛い!痛いから!マジで消えそう……本当に消えそうなんですけど?】

 

 

『大人しくする?』

 

 

【しっします。しますからその光、止めてぇ~】

 

 

『大人しく寝ろ、もし次に出てきたら………消すよ?』

 

 

【はっはい!寝ます!直ぐに寝ます!俺、寝るの得意なんです!】

 

 人の形をした闇は零に敬礼すると直ぐに消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

『ふぅ……俺の分霊を入れた際に余計な奴を起こしちまったか』

 

 

「なっなんなんですか?!」

 

 

『あっ……あぁ、此処はお前の精神世界だ。此処は夢って所かな』

 

 零はそう説明するとギャスパーの手を掴み、歩き出した。

 

 

「夢なのになんで貴方がいるんですか!?しかもなんか半透明です!」

 

 

『俺は魂の一部をお前の中に宿したんでこうやって此処に居れる訳だ。って言っても役目が終われば直ぐに本体に戻るけど』

 

 どうやら零によると、自分の魂の一部をギャスパーに入れたらしい。それはとある目的の為だとか。

 

 

『さてこの先だな……』

 

 零は真っ暗な闇の中で一筋の光を見つけた。

 

 

『ギャスパー、あの光に向かって歩いていけ。あそこでお前を待っている人がいる』

 

 零はそう言うとギャスパーの手を離し、光の方向を指差した。

 

 

「ボクを待っている人?」

 

 

『そう……この世界で一番、お前の事を知っている人だ。俺の役目は此処まで……あっそうだ。これを渡しておこう《魔眼ごろ~し~》』

 

 何処からともなく眼鏡を取り出した。それをギャスパーに渡した。

 

 

『それを掛ければお前の力を一時的に封印する事ができる。大丈夫だ、現実世界でも消えないから……ほらっ……早く行け』

 

 零はそう言うと優しくギャスパーの背を押した。ギャスパーはゆっくりと光の方に向かって歩いていった。そしてギャスパーは光の中へ消え、辺りは光に満たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さて………これで俺の役目も終わりか……ギャスパー。俺の様にはなるな……お前は未だ闇に身を堕とさなくてすむんだ』

 

 零はそう言うと、光となってその場から消えた。


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