ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP25.5 プールの荒波

 ~???~

 

 何時からだろう?

 

 俺が平気で力を振るえる様になったのは?

 

 力を振るい何かを傷付けても、大切な物の為なら傷付けられるようになったのは?

 

 あの時、【僕】と【我】が1つになったのは?何時の日のことだったのだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《汚らわしい》

 

 

 《汚れた血の混じった忌み子が》

 

 

 《何故、あの方々はこんな下等な者を?》

 

 

 《理解できぬ、聡明なあの方々が……》

 

 

 《やはりこの者は危険だ。始末しようか》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言って皆が【僕】に冷たい眼を向け、見下す。まるでゴミを見る様な、害虫を見る様な目で【僕】を見る。【僕】は小さく弱かったから、何もできなかった。殴られても蹴られても【僕】は泣く事しかできなかった。

 

 ボロボロな【僕】を見て、母様や姉様達が【僕】を心配する。【僕】は「転んだだけだよ」と母様達に言った。【僕】は汚れてるから母様達に迷惑を掛けてしまう。これ以上、心配をかけたくないから。

 

 そんな【僕】を見て、母様達は泣きながら【僕】を抱きしめてくれた。

 

 暖かい、母様達は何時もこうしてくれる。暖かくて安心する、だから涙が出てしまう。【僕】はどうしてこんなにも弱いんだろう?どうしたら強くなるんだろう?と考えながら【僕】は眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【僕】が【我】となったのはこの身が血に染まったあの時だった。

 

 大切だった飼い猫が殺されたあの時、【僕】は自分の無力さを知った。そして頭が真っ白になり、思考が『怒り』に染まった。それからはあまり覚えてないけど、【僕】は壊した。

 

 飼い猫を抱き、この身を真っ赤な血に染めて、溢れ出る愉悦に身を任せ狂った様に笑い続けた。こうして【僕】は自分の中の【我】に気付いた。【我】は本能のままに暴れ続けた、何もかも本能のままに無へと帰す。

 

 騒ぎを聞いた、母様達が【我】を止め【僕】を抱きしめてくれた。

 

 けど【僕】の中の【我】は時を重ねるごとに強くなっていった。だから【僕】も強くなった、血反吐を吐き、全身の骨を折られても立ち上がった。

 

 強くなった【僕】と【我】は殺し合った。同じ存在であるが故に、【僕】と【我】は互いに憎み合った。憎くて、憎くて堪らなかった。

 

【僕】と【我】の関係は、『光と闇』『聖と魔』『天と地』と言った対なす存在。それ故に互いに憎んだ。

 

 けど【僕】と【我】も同じだった。それに気付き、互いに認め合った時、【僕(我)】は本来の姿に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~深夜 天王理家~

 

 

「ん………ぅう……ちが………ぅ…」

 

 深夜、零に抱き着いて寝ているアーシア、白音、黒歌。そして抱き着かれている零は魘されていた。オーフィスは零の様子を見て、首を傾げていた。

 

 

「零?」

 

 オーフィスは魘され涙を流す零の顔に手を伸ばし触れる。

 

 

「これは涙?涙は悲しい時に出る………何故、寝ている時に出る?」

 

 オーフィスは何故、零が涙を流しているのか分からなかった。そしてオーフィスは妙な違和感を覚える。オーフィス自身が永い時を生きてきた中で感じた事のない違和感を。

 

 

「なに?我、零が泣くと悲しい……悲しい?我、悲しんでる?……これが悲しい?苦しい……何故?」

 

 今まで生きてきた中で初めて悲しいという感情を体感したオーフィスは疑問に感じていた。何故、零が泣いていると自分も悲しいのだろう?と。それが何か分からないまま時間が過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~翌朝~

 

 

「……あのオーフィス、何かあった?」

 

 

「何もない(ふるっふるっ」

 

 オーフィスは首を振りながらそう言うが、朝からべったりと零に張り付いて離れようとしない。その様子を見て……

 

 

「オーフィスずるいです、私もします」

 

 

「私もするにゃ!」

 

 

「わっ私もします!」

 

 白音、黒歌、アーシアも対抗し零に引っ付いた。

 

 

(一体なんなんだ?朝からこんなに引っ付いてきて……まぁいいや)

 

『ピリリリリリ』

 

 

「はい、もしもし」

 

 零は携帯が鳴っているのに気付くと、ディスプレイを見て一瞬面倒そうな顔をしたが取り敢えず電話に出て耳に携帯を当てる。

 

 

『あっレイか?一誠だけど……これから学園に来ないか?オカ研でプールの掃除をしないといけないんだが手伝ってくれないか?掃除の後にはプールを先取りして使えるんだけど』

 

 

「残念ながら興味ない……が、何やら白音達が行きたそうな顔をしているから行ってやる」

 

 白音達が行きたそうな表情をしていたので、行く事になったのだが。問題が1つあった。

 

 

「私も行くにゃ!白音の水着姿なんて普段は見れないにゃ!」

 

 シスコン全開、血走った目で訴え続ける黒歌をどうしたものかと考えている零。

 

 

「姉様、眼が怖いです」

 

 白音がシスコンの黒歌に引いていると、黒歌はショックを受け倒れた。

 

 

「気持ちは分かるが今日は留守番してろ」

 

 黒歌は白音とは違ってS級悪魔として指名手配されている黒歌が、悪魔の関係者が多い駒王学園に連れて行く訳にはいかない。オーフィスの件でさえ、リアス達が黙っている(と言うより言えば零に何されるか分からない)からいいが、指名手配されている黒歌の場合はリアスの立場としても報告しない訳にはいかない。実際、そんな事すれば悪魔勢が殲滅させられそうだが。

 

 

「零!酷いにゃ!!私がどんな気持ちk「今度の休みの日には白音に着物でも着て貰おうかな」残念だけど今回は諦めるしかないにゃ!行ってらっしゃい~(白音は着物の着付けができない、そうなれば着替えの時に……ふふふ)」

 

 良からぬことを考えている黒歌を余所に零達は学園に向かい歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~駒王学園 プール~

 

 

「来てやったぞ」

 

 

「あらっ来てくれて嬉しいわ、天王理。なんでオーフィスまで連れて来てるのかしら?」

 

 

「離れてくれないんでな、どうしようもない。何ならお前が引きはがしてみるか?」

 

 リアスは勢いよく首を横に振る。流石に命が惜しい様だ。

 

 

「それと1つ聞きたいんだが……何故、そこに教会の小娘がいる?(ギッ」

 

 何故か、その場にいたゼノヴィアを睨み付ける。以前にアーシアを侮辱したのを未だ覚えている様だ。

 

 

「教会?……アーシアを馬鹿にした奴……」

 

 オーフィスもアーシアが侮辱された事を覚えていたのか、零と一緒にゼノヴィアを睨む。

 

 

「いやあの……その…あの時は失礼しました。まさか【伝説の戦士】様とも知らず大口を叩いてしまい……」

 

 ゼノヴィアが申し訳なさそうにしているが、零とオーフィスからの圧力が一層増す。この2人なら常人だけでなく、上級悪魔でさえも睨みだけで殺せてしまいそうだ。その睨みを受けているゼノヴィアは今にも気を失いそうだ。というより、今にも2人ともゼノヴィアに攻撃を仕掛けそうな勢いだ。

 

 

「あっあの、零さん、オーフィスちゃん、私は気にしてませんから」

 

 アーシアが2人の雰囲気を読んで、何とか止めようとする。

 

 

「アーシアがいいなら、俺はそれでいいが」

 

 

「分かった……」

 

 アーシアからそう言われると、2人は睨むのを止めて視線をプールにむける。

 

 

「それでなんで教会の人間が此処にいる?」

 

 

「それは……私も悪魔になったからです(ばさっ」

 

 零が再び、ゼノヴィアを見ると背に悪魔の翼が生えていた。どうやらリアスの悪魔の駒(イミテーション・ピース)で転生悪魔になったらしい。

 

 

「もう1人いたと思うが………ツインテールのが」

 

 

「イリナなら回収したエクスカリバーと私のエクスカリバーと共に教会に帰りました……私も一度戻りましたが、主の不在という禁忌を知った私を見る彼等の眼は………そして行く宛もなく迷っていたらリアス部長に悪魔にならないかとお誘いがあったので悪魔になったんだ……です」

 

 ゼノヴィアはそう言うが、最後の方で何時もの様な口調で喋っていると、零から睨みが来たので直ぐに敬語に戻した。

 

 

「………そうだ、アーシア・アルジェント…君には謝らなければならない。主がいないのであれば、救いも愛もなかったんだ。すまない、アーシア・アルジェント。君の気が済むなら殴って貰っても構わない」

 

 ゼノヴィアはそう言うと、頭を下げ謝罪する。

 

 

「そんな……私はそのようなことをするつもりはありません。私は今の零さんとの生活がとても充実していますし、何より零さん達と出会えた事を感謝しています……あの様な事がなければ零さん達とはあえませんでしたから」

 

 うんうん、俺は感心したよアーシア。本当に心の広いな、この子には本当に聖女という言葉がしっくりとくる。だから彼女もアレをアーシアに渡す様に言ったんだろうな。この娘(ゼノヴィア)も根は悪い奴ではないか………まぁいいだろう。今回は不問とするか。

 

 

「さて取り敢えずさっさとプールに入るとするか」

 

 零はプールの方に目を向けると、何故か準備体操を始めた。

 

 

「あのねぇ天王理くん、掃除しないと入る物も入れないわよ?」

 

 

「掃除なんて時間の無駄な事はしたくないんでね。よっと」

 

 零は靴と靴下を脱ぐとその場から飛び上がり、汚れたプールの中に飛び込もうとする。このまま行けば汚い水の中に入る事になるのだが、零はそこまで馬鹿ではない。

 

 

『ポチャン』

 

 零の足先が水に触れた瞬間、汚れていたプールの水が透明で済んだ色に変わる。そして零は水の上に立っていた。一同は一体何が起こったのか分からないでいる。

 

 

「いっ一体何をしたの?」

 

 

「何って……ただ水と場を浄化しただけだ。悪魔はこんな簡単な事もできないのか?………さぁ着替えておいで、アーシア、白音、オーフィス(パシャパシャ」

 

 そう言いながら、零は地面を歩く様に水面を歩いている。アーシア達は零に言われると更衣室に向かって歩いていく、リアス達は理解できないと言った表情だが、自分達も更衣室に向かった。

 

 

「って俺も着替えなきゃ。おい、行くぞ一誠」

 

 零は一誠の腕を掴むと更衣室に連れ込んだ。勿論、着替える為と一誠にアーシア達の着替えを覗かせないためだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~男子更衣室~

 

 

「…………」

 

 

「ふぅ………なんだ、一誠?ジロジロみるな……お前、女にモテないからってそっちの趣味でももったのか?(すすっ」

 

 零は服を脱ぎながら一誠が此方を見ているのに気付くと、危険を感じ身を引いた。

 

 

「ちっ違う!俺にそんな趣味はねぇ!!俺はおっぱい命の男だ!!」

 

 一誠が零に言われた事を否定すると、そう叫ぶ。最後のは言う必要があったのか分からないが。

 

 

「そう……なら早く着替えろ」

 

 

「なぁ……レイ、1つ聞きたいんだけど……その傷」

 

 一誠がそう言ったのは、零の身体にある無数の傷の事だ。零の身体には傷が無数ある、それは小さい物から大きい物まで。切傷から火傷など様々な物があった。

 

 

「これがどうした?」

 

 

「レイはあんなにも強いのに傷を負う事もあるのかと思って………」

 

 

「フム………これは戦いの物じゃない。俺が俺の証、母様の息子という証だ………それに俺を傷つけたいならこの世界の全最高神を全員連れて来ないとかすり傷1つできないけど?」

 

 

「えっ?………じょ冗談きついぜ」

 

 

「それも不意打ちでやっとって所かな。俺は……ってお前等、何を出てこようとしてんだ」

 

 零は喋っている途中に右眼を抑え始めた。一誠は何事かと思い近付こうとするが何かに弾き返された。そして零の周りに4つの光が現れて人の形になった。

 1人は黒い甲冑を着た黒髪の男、1人は白い甲冑を着た金髪の男、1人は青い服の少女、1人は全身甲冑の男か女かも分からない人物。

 

 

「なっなにが?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~プール~

 

 

「だから言ってるでしょう!私はロリコンではありません!ただ小さく幼い女性がタイプなだけです!」

 

 

「人妻好きとは失礼な、私はどちらかと言うとギネヴィア様より王の方g……コホン、取り敢えず訂正して頂きたい!」

 

 

「誰がファザコンだ!?オレは父上なんか大嫌い……でもないけど……好きでもないぞ!」

 

 零に迫って抗議している3人の甲冑の者達。そして青い服の少女の方は申し訳なさそうにしている。

 

 

「お前等、取り敢えず俺の中に還れ。ガウェイン、ランスロット、お前等は似た者同士だったんだな。モードレッド、ツンデレもいいがいい加減に素直になれ、素直が一番だ」

 

 

「「なっ!?ガウェイン(ランスロット)と一緒にしないで貰いたい!」」

 

 太陽の騎士ガウェイン、湖の騎士ランスロット。この2人はアーサー王に仕える円卓の騎士の一角、色々とあって仲が悪い。そしてアーサー王の息子と言われている騎士モードレッド。最後にはアーサー王を傷付けた騎士でもある。

 3人が何故此処にいるのかは分からないが、恐らく零の力によるものだろう。

 

 

「アルトリア、後でご飯食べさせてやるから此奴等連れて還って」

 

 

「ごっご飯!………3人ともいい加減にしなさい。さっさと帰りますよ」

 

 アーサー王……アルトリアはご飯と聞くと満面の笑みを浮かべてそう言った。ガウェインとランスロットは更に抗議しようとするがアルトリアから睨まれるとシュンと小さくなってしまい光と共に消えてしまった。

 

 

「零!オレもご飯食べたい!!」

 

 

「零!私は分厚いステーキが食べたいです!」

 

 

「分かった、分かった。喰わせてやるから」

 

 アルトリアとモードレッドは零からそう聞くと、消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いっ一体なんだったのかしら?」

 

 

「さっさぁ?」

 

 

「分かりませんわね」

 

 そのやり取りを見ていたリアス達は目の前で起きている事が全く理解できなくて困惑していた。だが「さっさと忘れろ」と零が言ったら直ぐに皆はプールで遊び始める。

 

 

 そしてこの日は、一誠がリアスと朱乃、祐子のオイル塗りやらゼノヴィアが一誠と子作りしようと言いだして一波乱あり、それを零は愉悦顔で見ていたのはまた別の話。




【ソウルコード:実体化】

零の力、絆の力ソウルコードを用いて絆を紡いだ者を応龍皇の様に実体化させる事ができる。


ソウルコード:アルトリア……伝説のアーサー王その人。

「零!お腹が空きました。ご飯下さい」


ソウルコード:モードレッド……アーサー王の息子。父上大好きっ子だが素直になれないオレっ娘。

「父上なんか大嫌い(大好き)だ!因みに零は好きだ、ご飯くれるから」


ソウルコード:ガウェイン……アーサー王の騎士の1人。小さく幼い女性がタイプ。

「ロリコンではありません。零、オーフィスちゃんと白音ちゃんの写真をくd(グシャ」


ソウルコード:ランスロット……アーサー王の騎士の1人。ギネヴィアよりアルトリアがたいp「アァァァァァァァァァサァァァァァァ!!!(バーサーカー化)」

「先程の事は忘れて下さい……それより零、王が御空腹です。早く食事の用意を」


以上が今まで出て来た零と絆を紡いだ人達でした。



















「ん?………ちょっと待て!私は!?私は始めの方に出て来たはずだ!なのに、なんでさっ!?」

赤い弓兵の叫びは誰にも届く事はありませんでした。


「なんでさぁぁぁっぁぁ!?あんまりだぁぁぁぁぁ!!」

ソウルコード:エミヤ………同じみの赤い弓兵。

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