ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く 作:始まりの0
~???~
1振りの剣が刺さった丘の上で目を覚ました零。零はまた此処かと思いながら辺りを見回した。
「今回はありがとうございました」
零が振り返ると、前に現れた金髪の少女が現れた。
「あぁ……まぁ今回は俺も動く事があったからな。そのついでだよ……アーサー王いや……アルトリア」
零は少女をアルトリアと呼んだ。
「地球……星が生み出した奇跡あり、聖剣の頂点に立つ聖剣。この剣は美しい……剣である事を忘れさせるほどの美しさを持つ剣………ただ聖書の神が創った贋作がエクスカリバーが本物だと称されるのが気に喰わなかっただけだ」
何時の間にか零の手には【
そして零の目の前にいる少女こそが彼の騎士王であり、
「さて………そろそろ現実では朝だろうからな。朝飯を作らないと家は大喰らいばかりだからな、遅くなると機嫌が悪くなるだろうからな…っておい、涎が出てるぞ?」
「はっ!?私としたことが………私もご飯が食べたいです、偶には現実世界に出たいです」
「そんな事したら、お前の騎士達やら子供やら自分達もって無理に出て来るだろうからな。そうしたら俺が疲れるから止めてくれ。唯でさえ母様達の封印で力が弱ってるのに……余計な負担をかけないでくれ」
「むぅ……残念です。では私はそろそろお暇しましょう」
辺りは光に包まれ、零の視界が真っ白に染まった。
~コカビエルの事件の翌日 天王理家~
「ふぅ………1人で寝た筈なんだけどな?」
零は目を覚ますと、1人で寝ていた筈なのだがオーフィス、白音、黒歌、アーシアが何時の間にか布団の中に潜り込んでおり、それぞれが零の両手足にしがみ付く形で眠っていた。
「何時ものことなんだが………何時の間に潜り込んだんだか……よっと」
零は上手く身体を動かし、この状況から抜け出すと朝食の用意の為にキッチンに向かおうとするが、背に重みを感じた。首を回して見てみるとオーフィスが背に張り付いていた。
「おはよう………零、何処行く?」
「ただ、飯を作りに行くだけだよ。別に何処にも行かないよ」
「そう………我も行く」
結局はオーフィスは背に張り付いたまま、零は朝食を作る事になった。
「零」
朝食を作っている最中にオーフィスは零に喋りかけた。
「なんだ?(シュパパパパパ」
素早い手つきで零は調理を進めていく。
「零……色々な料理作れる……どうやって知った?」
「基本は母様や色んな人に習って、後は自分で考えて、色々と試行錯誤してかな」
「零……我もしたい」
オーフィスが突然、そう言った。話の内容からして自分も料理をしたいと言うことだろう。零はそれを聞いてオーフィスが来たばかりの頃の事を思い出した。
それはオーフィスが来たばかりの時の話。その日は偶々零が居らず、白音が作る事になったのだが、その様子を見ていたオーフィスが自分も手伝うと言い出した。
しかし
白音はオーフィスに野菜と肉を切って、鍋に入れて火を付けると言うものなのだが……
野菜と肉がまな板に置かれ、白音が一瞬だけ目を離した時。
『これとこれを切る……(メキッ』
オーフィスが手を龍のものに変化させると、それを軽く降り下ろす。その結果、野菜と肉だけでなくまな板とキッチンが真っ二つに。
オーフィスは真っ二つにした野菜と肉を白音に言われた鍋に入れると、龍の手に変化させた手を元に戻し、掌に黒い炎を作り出した。
『これに火をつける……(ゴォォォォ』
黒い炎の塊が鍋に向かい放たれた。
『オーフィスかにゃ?何しt「ドカーン!」』
無限の龍神の作り出した炎により家の半分が吹き飛んだ。
その惨劇?の後を見た零の顔は苦笑いをしていた。それから零は天照に周囲の人間の記憶や家の修理を頼みに高天原に通う日々が続いた。
その時の事を思い出すと零は遠い目をしていた。高天原に通っていた時に何かあったのだろう。
「零……どうかした?」
オーフィスに声を掛けられて我に帰った零は、どうしようかと考えていたが
「(まぁ………始めの内は誰でも失敗するよな。俺も始めは失敗ばっかりだったし………何事も挑戦する事が大切だよな。俺がついてればいいか)……何でもないよ。さて何から教えようかな」
「零が教えてくれる……我、楽しみ」
~1時間後~
「……できた」
「あっあぁ……何とかな(ボロッ」
何時もの無表情だが何処か満足そうな様子で胸を張っているオーフィス、それとは正反対にボロボロの状態で疲れた顔をしている零。それに加えキッチンも至る所が壊れている。一体この1時間に何があったのか分からないが、キッチンの修理を行わないといけないのはいうまでもない。
「取り敢えず、ご飯にしよう……(これを直すのは飯を食ってからだな)」
ボロボロになったキッチンを横目に零はオーフィスと共に机に作った料理を運んでいく。それから数十分ほどするとアーシア達が起きてきたので朝食を始めた。
「ご飯、我が作った」
「そうなんですか、美味しいですオーフィス」
「本当に美味しいです、オーフィスちゃん」
「前から比べたら上達したにゃん………でも……(チラッ」
「何も言うな黒歌………誰もが通る道だ。うん……多分」
黒歌がチラッとキッチンの方を見るが、零がそう言った。
~昼過ぎ~
午前中の内にキッチンの修復を終わらせると零はオーフィスと共に街に出掛けた。出掛けた理由は夕食の買い物をする為と、先日約束を守れなかった為だ。今いるのは街中のとある店の前。
「………(ジィー」
「さて晩飯何にしようかな?……ん?オーフィス?」
オーフィスが何かを見つめている事に気付くと、零は何を見ているのかを横から覗いてみた。オーフィスが見ていたのはおもちゃ屋に転じされている白い蛇のぬいぐるみだった。
「ぬいぐるみか………フム、ちょっと待ってろ」
零はおもちゃ屋に入ると、直ぐに出て来た。その手に先程までオーフィスが見ていたぬいぐるみを手に出て来た。ぬいぐるみをオーフィスに渡した。
「我……これが欲しいとは言ってない……なのに零はなんで分かった?」
「そりゃ………そんなに欲しそうな目をしてればな。大切にしろよ」
「ん………ありがとう」
オーフィスが礼を言うと、零はオーフィスの頭を撫でた。端からみれば兄弟の様に見える。
「ん?アレは……丁度いい。フフフ」
「アレ……?……許さない」
零とオーフィスの視線の先に居たのは1人の男だった。男は視線に気付いたのか、此方を振り返り2人の存在に気付くと表情を強張らせている。2人は一緒にゆっくりと歩を進め男に近付いていく。男は2人が近付けば近付く程、顔を青ざめ冷や汗を滝の様に流している。因みに2人の全身からは凄まじい力が溢れ出している。
「よぉ……久しぶりだな、ア・ザ・ゼ・ル」
「アザゼル、久しい………覚悟」
「いやあの………その……ごっご機嫌はいかがですか御二方?」
堕天使の組織
「物凄くいい気分だ。そっちから現れてくれるとは………嬉しいよ」
「ちょ……ちょっと待て!待ってくれ!!今回の事は俺が悪かった、俺がちゃんとコカビエルを抑えられなかったのが悪かった!俺の責任だ!罰は受けるからこんな所でそんな力を……あれ?周りに誰もいない?と言うかこれってもしかして結界!?」
「俺の張った結界【多重結界・
「我がする。アザゼル……覚悟」
「ちょ……ちょっとまっぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
それから数時間、零とオーフィスからの(肉体的・精神的)攻撃を受けたアザゼルはボロボロで、涙目になりながら2人の前で土下座をしていた。
「この街にいるとは……と言うか、前から居たならさ、コカビエルを止める事もできたんじゃないのか?と言うか事件は終わったのに何で此処にいるんだ?」
零は笑顔なのだが、眼が全くと言っていいほど笑っていない。
「あっあのその……近々、堕天使・天使・悪魔のトップの会談があってだな。俺はそれに参加する為に居るんだ…‥です。はい」
アザゼルがそう言うと、零は何かを思いついた様だ。上位の堕天使のアザゼルだが、【
「場所と日時は?」
「えっと1週間後で、場所は駒王学園だ……です」
「ふぅん………成程ね。母様にも言われていたし丁度いい機会か……ア~ザ~ゼ~ル。その会談に俺も参加させて貰う。勿論、母様も一緒だが……と言う訳でそれを伝えておいてくれ。今回はこれくらいで許してやるけど………もし、次に俺の家族に手を出したら……本当に堕天使を全滅させるからな?じゃあ最後に……【悪夢】」
零の金色の瞳に魔方陣が浮かぶ、そしてアザゼルがそれを見ると
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?」
突然叫びだしビクッビクッとアザゼルは痙攣すると、そのまま倒れてしまった。オーフィスは何処で拾った木の棒でツンツンとアザゼルを突いた。
「アザゼル、死んだ?(ツンツン」
「いや、少し幻術をかけた。本人にとって一番起きて欲しくない悪夢を24時間、見せ続けるってものをな」
「そう……どうでもいい(ズボッ)あっ……鼻に入っちゃった」
「よし買い物の続きをしようか、オーフィス」
「うん」
気を失っているアザゼルを放置して、2人はその場から離れようとするが零が何かを思いついたのかアザゼルの元に戻ると懐から1本の【油性マジック】を取り出した。そして醜悪な笑みを浮かべるとマジックの蓋を開けた。
「零、何をする?」
「ちょっとしたイタズラだ……フフフ(キュキュ」
オーフィスは零がアザゼルの顔に【油性マジック】で落書きをしているのを見ていると、零の服を引っ張った。
「我もしたい(うずっうずっ」
「いいぞ、何でも書いてやれ」
オーフィスは零からペンを受け取ると、アザゼルの顔に落書きを始める。何処となく嬉しそうな雰囲気を出しているオーフィスを見て零も何処か嬉しそうな顔をしている。
「うんうん。オーフィスも表情には出さないけど喜怒哀楽が出やすくなってるな、これで表情に出てくれれば俺としては嬉しい所ではあるんだが(パシャパシャ」
零は何処からともなく高性能カメラを取り出すとオーフィスの写真を撮り始めた。それに加え、アザゼルの無残な姿も撮ると「後で各勢力に送りつけてやろうか?それとも脅しに使うか?」などと言い残しオーフィスと共にその場から去っていった。目を覚ましたアザゼルは落書きに気付かず周りの人間に変な目で見られ、
~翌々日
アザゼル宛に分厚い封筒が送り付けられ、それを確認したアザゼルは顔を蒼白にさせ、胃薬が手放せなくなってしまったそうだ。その封筒の中にはアザゼルの無残な写真と『もし次に何かあったら、これをばら撒くからな。それが嫌なら以下の物を用意する様に。用意できなかった場合は堕天使を全滅させて・・・・にもあること、ないこと吹き込むつもりなので宜しく』とその次に書かれていたのは通常では手に入らないオリハルコンなどが山ほど書かれていた。因みに差出人の名はなかったが、それが誰なのかはアザゼルには分かっていた。
「くっ……くぅ……胃が、胃がぁぁぁぁ」
「何をしてるんだ、アザゼル?」
「しぇ…シェムハザか。いっいや何でもない………急がないと、急いで用意しないとあんなのばら撒かれたら俺の威厳が……それにこれ以上……に嫌われたら」
「?」
「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!アイツは嫁にはやらん!やらんぞ!!!!!!」
「趣味に没頭しすぎで頭が可笑しくなりましたか?それよりも仕事をして下さい、貴方が遊んでいる間に書類が溜まってるんですからって……もういない。あの人は全く何を考えているんですかね……はぁ」
どうやら副総督のシェムハザの苦労は未だ絶えない様だ。