ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く 作:始まりの0
~駒王学園 中庭~
彼の騎士王の持つ
「―――流石は伝説の戦士という所だね。コカビエルを倒すとは」
8枚の翼を持つ白き龍を模した鎧を纏った何者かがそこにいた。
「初めまして、今代の【赤龍帝】君。そして久し振りだね、会いたかったよ……君が伝説の戦士だったとは驚きだよ。零」
それを聞いた零は露骨に嫌な表情をしていた。
「俺は会いたくなかったよ」
「おや冷たいね。しかも何でそんな嫌な顔をしてるんだい?」
「五月蠅いぞ、変態。さっさと帰れ、どうせコレを連れて来いってアザゼルに言われたんだろう?」
零は踏み付けているコカビエルを持ち上げると白い鎧を付けている者に向かって投げる。白い鎧の者はコカビエルを受け取ると、肩に担いだ。
「序でにそこで寝ているフリードも連れて行っていいかな?」
「あんな気違いさっさと連れていけ……二天龍の片割れ、白龍皇」
「そうかい、ありがとう………それよりもさっきの一撃凄かったね。もしアレをこの身に受けるとなると………………興奮する!!!」
何やら危ない言葉を言う一誠の運命のライバル白龍皇。零はさっさと帰れと言う様に手を払う仕草をしている。
「白龍皇にアザゼルですって!?天王理!貴方、一体何を知ってるの!?」
白龍皇と堕天使の総督であるアザゼルの事を知っている事に驚いているリアス。
「黙ってろ……それよりも今回の事はアザゼルに問い詰めるからそう伝えとけ。『それと首を洗って待ってろ、じゃないとアーシアの時の事も含めて堕天使を全滅させるぞ』って言っとけ」
零は笑顔で言っているが、その眼は殺意と怒りが篭っていた。
「アハハハハハハ、それはそれで楽しそうだ。それにその殺気!その力!あぁ……良いね!やっぱり君はいい!あぁ、そうだ、今度俺と本気で勝負してよ。今までは軽く流されていたけど【伝説の戦士:ライディーン】と戦うのは俺の夢でもあったんだ、だから君と戦ってみたい」
「はぁ……この戦闘狂め……帰れ、俺はさっさと帰る」
「あぁ、俺も帰るとするよ」
【無視か……白いの?】
身を翻し白龍皇が帰ろうとするが、一誠の
【久しぶりだな、ドライグ】
【おうよ……折角出会ったがこんなんじゃな】
ドライグが残念そうにそう言った。
【別にいいさ。いずれは戦う運命だ………それにやっと俺達の共通の敵が現れたんだ】
そう言うと白龍皇は零の方を向いた。
【やっと見つけたぞ、伝説の戦士………今すぐお前を殺してやりたいが、ドライグの方がその状態ではお前に勝てないからな】
【全くだ。相棒がしっかりしてりゃ、この場で奴を噛み殺してやったのにな】
2人に宿る赤龍帝ドライグと白龍皇アルビオンはどうやら、かつて零に倒された事を根にもっている様だ。そして零を共通の敵と見ているらしい。
「はぁ………かえr「やっと見つけた」オーフィス、何で此処に?」
場の空気を破る様に突然、オーフィスが現れた。
「お腹空いた………それに約束」
オーフィスは何時の無表情なのだけど、完全にご立腹の様だ。これも皆、コカビエルの性だ。魂ごと消滅させればよかった。これは拙い……非常に拙い。命の危険が……そうだ!あの手があった!
「白音、アーシア、寝てる?」
オーフィスは零に抱えられている2人を見て、首を傾げた。
「あぁ……ちょいとな。取り敢えず家に帰るぞ」
「ん……ドライグ、アルビオン、久しい」
オーフィスは、一誠と白龍皇を見るとそう言った。
【まさかお前がいるとはな……‥
「誰なんだ、ドライグ?」
オーフィスが誰かを知らない一誠はドライグに尋ねた。
「オーフィス……
ドライグの代わりに白龍皇がそう伝えると、一誠だけでなく全員が驚いている。
「おっオーフィス……
リアスは驚き過ぎて頭を抱えている。
【しかしオーフィス、お前は群れなどとは無縁だったろうに………それがライディーンと一緒にいるとは】
「零、美味しいものくれる。零の傍、暖かい。零は我の居場所………ドライグ、アルビオン…零を傷付けるなら………消す」
オーフィスはそう言うと、全身から禍々しいオーラを出している。どうやら零の身に何か在ればオーフィスは一誠達ごと消し去ろうとするだろう。
「ドライグ、アルビオンでは我には敵わない………それでもやる?」
【俺達は何と言われようがそいつをぶっ倒す!そいつの性で俺達のプライドは!!ボロボロにされんだ!!】
【だから俺達は復讐を誓った!これまでその為に、互いを競い合ってきたのだ!!】
どうやら今まで零に復讐する為に二天龍達はこれまで努力して来た様だ。姿が見えないので分からないが泣きながら叫んでいる様に見えるのは気の性だろう、多分……おそらく。
「そう……我、旧知のドライグとアルビオンが消えるのは哀しい……でも零を傷付けるなら……死ね」
オーフィスは手の中に黒い球体を創り出すとそれを一誠達に向ける。
「こらっ……そんなもの使ったらこの街が吹き飛ぶだろうが、俺にはそこの2人程度では勝てんよ。それよりも帰るよ、オーフィス。カノン、居るか!?」
「御呼びでしょうか、王よ?」
零がそう叫ぶと、カノンが目の前に現れた。
「俺は帰るから、お前も向こうに戻ってくれ。それとそろそろ皆も、外に出る頃合いだろうからそう伝えてくれ」
「御意……では失礼します【アナザーディメンション】」
カノンは一礼するとアナザーディメンションを使用してその場から消えた。零はそれを確認すると、転移の魔法陣を展開する。
「零……帰ったら話す(ペシッペシッ」
オーフィスは零の後ろに浮くと、零の頭をペシッペシッと叩き始めた。
「分かった、分かった。全部、アザゼルのせいだからな」
「アザゼル……許さない。消す」
2人は会話しながら、そのまま転移で消えてしまった。
「アハハハハハハハ!!零は本当に楽しいね、全部アザゼルに責任を押し付けたな。まぁいいや……じゃあね、赤龍帝くん」
白龍皇はそう言い残すとボロボロなコカビエルとフリードを抱えてその場から飛び立った。残された一同は目の前で起きた現実を受け入れられずに呆然としていた。
~駒王街の近くの埠頭~
この埠頭で1人の男が釣りをしていた。
「はぁ………よぅ、戻ったか」
男が振り返ると、そこには1人の暗い銀髪少女が立っていた。少女の両腕にはコカビエルとフリードが抱えられている。少女は地面に2人を放り投げた。
「それでどうだった?」
「俺が着いた時には既に終わってたからな………アザゼルはこれから大変だろうけど」
「はぁ?」
「彼から伝言【首を洗って待ってろ、じゃないとアーシアの時の事も含めて堕天使を全滅させるぞ】だって、それとオーフィスが【アザゼル……許さない。消す】だとさ」
アザゼルと呼ばれた男は咥えていた煙草を落としてしまい、持っていた釣竿を落とすと腹を抱え苦しみ始めた。
「胃……胃が……」
そんなアザゼルを見ると、愉快そうな表情をして空を見上げ呟いた。
「あぁ………早く本気で彼と本気で戦ってみたいな」