ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP19 遠き日の仲間達

 ~何処かの森の中~

 

 

「っ……一体何が」

 

 祐斗は目を開くと、そこには木々が1面に広がっていた。

 

 

「おいっ……大丈夫か?」

 

 祐斗は顔を上げ、声のした方向を向くと零とカノンが立っていた。

 

 

「此処はどこだ?」

 

 

「此処はイギリスの森の中。ちょいと山奥過ぎて滅多に人は入ってこない場所だ。ついてこい」

 

 零とカノンが歩き出すと、祐斗も立ち上がりその後を着いていく。

 

 

「僕を何処に連れていくつもりだ」

 

 

「これまで偽って来たお前が、これからお前がお前として生きていく為に選択する場所だ」

 

 祐斗には零の言葉に驚いている。

 

 

「何故それを!?」

 

 

「何たって俺は神の子。魔剣の力で偽っていても、それくらいは見抜くのは簡単だ」

 

 

「っ……だったら何故僕に構う!?君には関係のない事だろう!?」

 

 自分がこれまで隠し続けてきた事を見抜かれた事、それを知った上で零が何をするのか理解できなかった。

 

 

「あぁ、関係ない。関係はないが……あの子達が頼むんでな」

 

 零がそう言うと、どうやら森を抜けた様だ。祐斗は森を抜けた先で見たのは大きな屋敷だった。

 

 

「こんな所に屋敷が……」

 

 

「これは俺が創ったもんでな。ある施設になっていr《ドカーン!》…………」

 

 屋敷の一角が吹き飛んだ。それを見て明らかに怒っている零とカノン。

 

 

「アイツ等…………またか。カノン、これで今年で何回目だ?」

 

 

「私の覚えている限りでは今年で5回目ですね」

 

 

「はぁ………どうせ、あの2人だろう。壊れた所は2人に直させてくれ、今はあの子達の所に…『あっレイ様!』」

 

 爆発した屋敷の一角を見て、疲れた様に溜息を吐いていると中から沢山の子供達が出て来る。子供達は零の周りに集まった。

 

 

「レイ様!帰って来たの!?」

 

 

「あぁ……それよりもお前達のお友達を連れてきたよ」

 

 子供達が振り返ると、そこには祐斗がいる。

 

 

「君達は……でもどうして……生きて…あっ!」

 

 祐斗が目にした子供達。祐斗にはその子供達が誰なのかが分かった。成長はしても見間違える筈がない、かつて苦楽を共にした仲間達が目の前にいる。そして祐斗は自分を庇って死んでしまった仲間達が本当に生きているとは思わなかった、だがゼノヴィアの言葉を思い出した。【金色の鎧を纏った男達を引き連れた少年によって施設は破壊された、子供達は少年が出した光によって治療され連れて行かれた】と言う言葉を。

 

 目の前にいる金色の鎧の男=カノン、それを引き連れた少年=零。こうして全てが繋がった。

 

 

「よかった……本当によかった……皆…無事で」

 

 祐斗は泣きながら、その場に膝を付いた。子供達も祐斗が誰なのか分かった様で、祐斗の周りに集まる。

 

 

「君も本当に無事で……」「これまでどうやって」

 

 祐斗と子供達は再会を喜び、互いの温もりに触れあっている。零はそれを見ながら、カノンから渡された水晶を見ていた。

 

 

「感動の再会か……俺こういうのに弱いんだよね。ぐすっ」

 

 零はカノンの鎧のマントで涙を拭いている。

 

 

「はっ………あの何故、私のマントで拭いていらっしゃるんですか?」

 

 

「ハンカチがなくて、そこに綺麗な布が在ったんで……すまんすまん。さてと」

 

 零はそう言うと、マントを離した。そして握っていた水晶を再び見た。

 

 

「あっちの方もそろそろ時間だな。4本の贋作が1本になる頃か……阿呆共が出過ぎなければいいんだが……カノン、スマンが様子を見て来てくれ。何か在れば手を出して構わない」

 

 

「御意……【アナザーディメンション】」

 

 カノンはアナザーディメンションを使い、その場から消えた。

 

 

「さて………時間がないな。フッ」

 

 零はカノンから渡された水晶に息を吹きかけると、水晶が砕け中に入っていた粒子が祐斗と子供達を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~木場side~

 

 

 僕は……私は…………人を捨ててまで復讐の為に生きてきた。なのに皆は生きていた、それはいい。皆が生きていてくれた事はとても嬉しい。でも……これまでの私の人生は何だったんだろう?

 

 悪魔となってリアス部長や朱乃さん、イッセー君と過ごしてきた日々は何だったんだろう?

 

 

「本当に貴方が無事でよかった……」

 

 

「ごめんね、君に全てを背負わせてしまって」

 

 

「でも僕達はレイ様に助けられた」

 

 

「だから、もう貴方は貴方の為に生きていいの」

 

 

「未だ、聖剣が憎い?」

 

 

 あぁ……僕や君達を苦しめたエクスカリバーは許せない。それに僕達をあんな目に合わせた奴等も、だからこそ僕は……私を捨てたんだ。

 

 

「でも今のままじゃ勝てない」

 

 

「私達の1人1人の力じゃ足りなかった。だから」

 

 

「私達の力をあげる」

 

 水晶から出た粒子が祐斗の力を包み込んだ。

 

 

 これは……この力は聖剣の……でもどうして?

 

 

「その力はかつて、その子達から抜かれた聖剣の因子だ。お前達1人1人ではそれが足らなかった、だからその子達は自分達の因子をお前に託した」

 

 零が歩いてくると、小さな子供達を撫でている。

 

 

「ふぅ………この後の事は全てお前が決めればいい。丁度、あっちも始まった様だからな」

 

 零は水晶玉を取り出すと、前に出す。水晶玉が光ると、駒王学園が映りオカ研のメンバーとイリナ達が映る。そしてその前には12枚の黒い翼を堕天使と聖剣を持ったフリードと研究者の様な格好をした人物がいた。

 

 

「ん?なんで、アーシアと白音までいるんだ?……やっぱこの結界は不便だな。強度はいいが外と中との時間がズレてるし」

 

 

 えっ?どういうこと?

 

 

「あぁ……この辺りには特殊な結界が張られててな。神でも最高神クラスしか打ち破れない強度のものなんだが、その反面、中と外に時間差が生じる。時間で言えば中での1日は外の3日程度になっている、まぁ今はどうでも良い事だ。俺は白音とアーシアを助ける為に行くが………どうする?」

 

 

 私は………今更あそこには戻れない……部長や朱乃さん、イッセー君に合わせる顔なんて……

 

 

「フン……リアス・グレモリーや姫島朱乃がどういうかは知らんが、一誠なら受け止めるだろうさ。アレは変態だがお人好しの馬鹿だからな」

 

 零の紅い右眼が光ると、制服から青い服に変わり右手に風が集まる。そして零は何かを掴んだ。

 

 

「【ソウルコード:アルトリア】………力を貸して貰うぞ。さて……行くか」

 

 零の足元に魔方陣が浮かび上がる、どうやら転移の魔法陣の様だ。

 

 

 私は……一体どうすれば……

 

 

「行ってあげて」

 

 

「私達はずっと此処で待っている。貴方は貴方の今、するべき事をして」

 

 

「僕達は離れていても君と共にいるよ」

 

 

 皆、ありがとう……………行ってくるね。

 

 

「また来てね!そしたら皆で聖歌を歌おうね!」

 

 

 あぁ……また歌おう。皆で一緒に……昔みたいに。

 

 

「フッ……では行くとしよう」

 

 零と祐斗は光に包まれてその場から消えた。


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